JP2008281584A - 酸素センサ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基準ガス室18を設けた固体電解質体10、測定電極11、基準電極12とよりなると共に基準ガス室18にはヒータ19が挿入配置してある。内側面102とヒータ19とが接触する領域及びこの領域と対向する外側面101とを含む領域とよりなる接触部100を有しており、かつ測定電極11は接触部100の少なくとも一部を含むように形成されている。素子先端部14から長さLの範囲に被測定ガス接触面13を有している。接触部100の少なくとも一部は素子先端部14から長さ0.4L以内の範囲に位置する。測定電極11は素子先端部14から長さ0.8Lの範囲のみに設けてある。
【選択図】図1
Description
即ち、上記酸素センサ素子は、内部に基準ガス室が設けてあるコップ型の固体電解質体と、該固体電解質体の外側面に設け、かつ被測定ガスと接触する測定電極と、上記固体電解質体の内側面に設けた基準電極とよりなる。
上記測定電極及び基準電極は固体電解質体の略全面に形成されるケースと、部分的に形成されるケースとがある(特許文献1参照)。
つまり、酸素センサ素子の外側面は後述するごとく素子先端部から長さLの範囲に被測定ガス接触面を有しており、この部分は酸素センサ素子の使用時には高温の被測定ガスにより加熱された状態にある。従って、後述する図8に示すごとく、酸素センサ素子には温度分布が発生する。
従来構造にかかる酸素センサ素子ではこのような要求に応えることが難しかった。
上記固体電解質体の内側面と上記ヒータとが接触する領域及びこの領域から上記固体電解質体の内側面の法線方向に存在する外側面の領域とよりなる接触部を有しており,かつ上記測定電極は上記外側面側の接触部の少なくとも一部を含むように形成されており,
また,上記酸素センサ素子の外側面は該酸素センサ素子の素子先端部から長さLの範囲に酸素センサ素子の使用時には被測定ガスと接触する被測定ガス接触面を有しており,かつ上記接触部は上記素子先端部から長さ0.4L以内の範囲のみに位置するよう形成されており,
更に,上記測定電極は上記素子先端部から長さ0.8Lの範囲のみに設けられるよう形成されおり,上記固体電解質体の上記外側面には上記測定電極の電極出力を外部に導出するための外側リード電極が設けてあり、該外側リード電極の上記測定電極と反対側には外側端子電極が形成されていることを特徴とする酸素センサ素子にある。
ここに、上記接触部とは、後述する図5に示すごとく、例えばヒータと内側面とが当接するA点と固体電解質体を介してA点と対向するB点、更に両点の近傍を含む領域である。
なお、ヒータと内側面とが当接する領域を含む接触部とは点状、線状、面状といった形態を取ることがある。また、一ヶ所において当接することも、複数箇所において当接することもある。
上記発熱抵抗体は測定電極と対面するよう設けることが好ましい。これにより、測定電極を効率的に加熱することができ、酸素センサ素子の活性を高めることができる。
本発明にかかる酸素センサ素子は、内側面はヒータが接触する接触部を有しており、かつ測定電極は接触部の少なくとも一部を含むように形成されている。
これにより、ヒータの熱は内側面及び固体電解質体を経由して測定電極へと直接的に伝導することができる。このため、ヒータは測定電極を直接加熱することができる。従って、本発明にかかる酸素センサ素子は、ヒータによる加熱開始後からセンサ出力が得られるまでの活性時間を短くすることができる。
これにより、固体電解質体等を通じて酸素センサ素子のより上方へ熱が逃げること、即ち熱引けを防止することができ、よってヒータによる加熱をより効率よく行うことができる。
このため、センサ使用時の測定電極は高温に保持されている(後述する図8参照)。これにより、測定電極に温度分布が生じることが防止でき、応答性の低下を防止することができる。また、活性時間を短くすることもできる。
なお、上記側面電極の面積は2mm2以上とすることが好ましい。2mm2未満では電極面積が小さすぎて充分なセンサ出力を得ることが困難となるおそれがある。
測定電極及び基準電極との間に酸素イオン電流が流れることによりセンサ出力を得ることができる。従って、対向しない位置に存在する電極は機能上の観点からは特に必要がない。更に、上記測定電極及び基準電極は後述するごとく貴金属等より構成されている。
従って、本発明によれば、高価な貴金属よりなる電極材料の使用量を減らすことができ、原料コストが安価な酸素センサ素子を得ることができる。
一方、幅が5.0mmより大となった場合には、センサの応答性、出力が低下するおそれがある。これは、低温の外側リード電極から生じるセンサ出力の影響が無視できなくなり、ここの低いセンサ出力が酸素センサ素子の出力に影響を与え、総じてセンサの応答性が低くなるおそれがある。
なお、上記外側リード電極の本数は特に問わず、複数本設けることもできる。複数本の外側リード電極の幅の合計が5.0mm以下となればよい。
なお、外側リード電極の形成はメッキ、ペースト印刷、スパッタ蒸着のいずれの方法によって形成してもよい。
上記内側リード電極と上記外側リード電極とは固体電解質体を介して対向しない位置にそれぞれ設けてあることが好ましい。
一般に各種電極を形成する方法としては、化学メッキ、導電性ペーストの印刷、スパッタ、蒸着等の各種方法が挙げられる。
化学メッキにより形成された電極は、ペースト電極と比べるとより低温で焼成されて作製されるため、電極の表面エネルギーが高く、触媒活性が優れている。このため、より高い応答性を得ることができる。
なお、この貴金属核の形成は以下に示す方法にて行うことが好ましい。
この場合の有機貴金属ペーストとしては、有機貴金属、例えばジベンジリデン白金等を使用することができる。また、上記貴金属としては触媒活性を持つPt、Pd、Au、Rh等の中より選ばれる少なくとも1種類を使用することができる。
なお、基準電極を形成する方法としては、化学メッキ、導電性ペーストの印刷、スパッタ、蒸着等の各種方法が挙げられる。
本発明の実施形態例にかかる酸素センサ素子について、図1〜図12を用いて説明する。
図1〜図5に示すごとく、本例の酸素センサ素子1は、一方が閉塞され、内部に基準ガス室18が設けてあるコップ型の固体電解質体10と、該固体電解質体10の外側面101に設け、かつ被測定ガスと接触する測定電極11と、上記固体電解質体10の内側面102に設けた基準電極12とよりなると共に上記基準ガス室18にはヒータ19が挿入配置されている。
更に、図1に示すごとく、上記測定電極11は上記素子先端部14から長さ0.8Lの範囲のみに設けられている。
本例にかかる酸素センサ素子1の詳細な構成について、以下に説明する。
図1〜図4に示すごとく、上記固体電解質体10の外側面101には測定電極11と、これと導通するよう形成された外側リード電極111及び外側端子電極112とが設けてある。内側面102には、基準電極102、内側リード電極121、内側端子電極122とが設けてある。
また、上記基準ガス室18には棒状のヒータ19が挿入配置されている。上記ヒータ19には通電により発熱する発熱抵抗体190が内蔵されている。
なお、上記固体電解質体10は酸素イオン導電性のZrO2よりなる。
また、基準電極12は図5に示すごとく、測定電極11と対向する位置に設けてあり、その長さは測定電極11よりも若干短めである。
なお、図6に示すごとく、基準電極12の長さを測定電極11より長くすることもできる。また、両者の長さを揃えて同じにすることもできる。
図4(b)に示すごとく、上記外側及び内側リード電極111、121はそれぞれ90度ずらして各2本づつ設けてある。
図2に示すごとく、ヒータ19に内蔵された発熱抵抗体190はヒータ19の先端部から1.0mmの部分より長手方向に7.0mmの長さで形成されている。上記発熱抵抗体190の材質はW−Re、Pt等である。
上記ヒータ19の発熱抵抗体190は素子先端部14より高さ0.56L(10mm)の部分まで形成されている。
また、Al2O3よりなる角状の基板に抵抗発熱体を設け、その表面に被覆用の基板を積層した積層型のヒータを利用することもできる。
固体電解質体10の外側面101にペーストを測定電極11、外側リード電極111、外側端子電極112の形状にパッド印刷で印刷する。また、上記ペーストはジベンジリデンPtを含有し、該ペースト中の貴金属量は0.4wt%である。次に、印刷したペーストに対し熱処理を施す。これにより、Pt核形成部を得た。
その後、上記Pt核形成部に対し化学メッキを施した。メッキの厚さは1μmである。以上により、測定電極11等を得た。
なお、本例においては測定電極11と共に外側リード電極111、外側端子電極112を化学メッキにより形成したが、外側リード電極111をペースト電極により形成することもできる。
内部に有機貴金属あるいは貴金属ペーストを充填したディスペンサーのノズル先端を基準ガス室18に挿入し、該ノズル先端を内側面102に沿わせて、上下、左右に回転させながら動作させる。これにより、上記ペーストによる印刷部を形成することができる。この印刷部の形状は、基準電極12、内側リード電極121、内側端子電極122と同様の形状である。
以上により、基準電極12等を得た。
なお、上記ディスペンサーとしては、先端に例えば発泡体のような多孔質体を取り付けたものを利用することもできる。
図7に示すように、上記酸素センサ6はハウジング60と該ハウジング60に挿入された酸素センサ素子1とよりなる。上記ハウジング60の下方には被測定ガス室63を形成し、酸素センサ素子1の先端部を保護するための二重の被測定ガス側カバー630が設けてある。上記ハウジング60の上方には、三段の大気側カバー61、62、63が設けてある。
なお、上記ターミナル681、682は、上記酸素センサ素子1における外側及び内側端子電極112、122に対し接触固定されている。
上記温度センサ素子1の各部における温度上昇プロファイルを各部に熱電対を設け、雰囲気温度400℃である被測定ガス中に酸素センサ素子を導入し、同時にヒータに通電し、その後のセンサ出力をモニタすることにより測定した。この結果を図8に記載した。
本例にかかる酸素センサ素子1は、内側面102はヒータ19が接触する接触部100を有しており、かつ測定電極11は接触部100の少なくとも一部を含むように形成されている。
これにより、ヒータ19の熱は内側面102及び固体電解質体10を経由して測定電極11へと伝導し、測定電極11を直接加熱することができる。従って、本例にかかる酸素センサ素子は、ヒータ19による加熱開始後からセンサ出力が得られるまでの活性時間が短い、優れた素子である(実施形態例2参照)。
これにより、熱引けを防止することができ、よってヒータ19による加熱をより効率よく行うことができる。
このため、センサ使用時の測定電極11は高温に保持されている(後述する図 参照)。これにより、測定電極11に温度分布が生じることが防止され、応答性の低下を防止することができる。また、活性時間を短くすることもできる。
図10に示す酸素センサ素子1は、プラズマ溶射法により形成されたMgAl2O4スピネルからなる保護層107が設けてある。
上記保護層107の厚みは100μm、気孔率は20%である。上記保護層107は拡散抵抗層としての機能も有する。上記保護層107は酸素センサ素子1における被測定ガス接触面13の全面に対し形成されているが、少なくとも測定電極11の全体が被覆されていれば、効果を得ることができる。
上記保護層107により、電極が熱により凝集することを抑制することができる。
上記第2保護層108は主成分がAl2O3であり、厚みは120μm、気孔率は20〜50%である。
Al2O3をスラリー化し、ディッピングにより保護層107の表面をコートする。その後、これを熱処理して第2保護層108となる。
上記第2保護層108は測定電極11を被覆すれば充分効果を発揮することができる。本例においては素子先端部14より12mm(0.67L)の部分まで形成されている。また、上記第2保護層108は被測定ガス接触面13の全体に施してもよい。
上記第2保護層108の形成方法と同様にAl2O3をスラリー化し、ディッピングにより第2保護層107の表面をコートする。その後、熱処理することにより第3保護層109を得ることができる。
また、上記第3保護層109は素子先端部14より11mm(0.61L)の部分まで形成されている。
本例は、表1、表2に示すごとく、試料1〜試料16にかかる酸素センサ素子の性能試験を行ったものである。
表1、表2は本発明にかかる構造の酸素センサ素子である試料1〜9の結果について記載した。これらの試料の構造は実施形態例1に示した酸素センサ素子と同様の構造である。但し、各部の寸法、位置等がそれぞれ異なる。また、測定電極の製法も異なる。
なお、これらの酸素センサ素子(試料及び比較試料の双方)は、外側及び内側リード電極は、実施形態例1の図4(b)に示すごとく、それぞれが90度づつずらして設けてある。
また、表1にかかる試料8は後述する実施形態例3の図16に示すごとき形状の外側電極を有しており、外周方向の幅は3mmである。
上記性能試験としては、活性時間の測定、センサ応答性の測定(センサ出力、応答時間)、耐久性の測定を行う。ここでセンサ応答性の指標としてセンサ出力波形の振幅(出力)、応答時間を測定した。
リッチ雰囲気(λ[空気過剰率]=0.9)、雰囲気温度400℃である被測定ガス中に試料及び比較試料にかかる酸素センサ素子を導入する。この導入と同時にヒータに通電する。
ヒータ通電後、センサ出力が0.45Vとなるまでの時間を測定し、この時間が30秒以下である試料、比較試料について○を記載した。
雰囲気温度400℃の被測定ガスにおいて、リッチ雰囲気(λ=0.9)及びリーン雰囲気(λ=1.1)を出力電圧0.45Vを境に切り替えた。この時の酸素センサ素子の出力波形を測定し、該波形の周波数が0.8Hz以上、被測定ガスがリッチ雰囲気(λ=0.9)である場合、リーン雰囲気(λ=1.1)である場合との間の出力電圧の差が0.7V以上のものを○とした。
試料14は測定電極がペースト印刷により作製されているため、活性時間が長く、応答性が悪く、センサ出力も低かった。また、試料15は測定電極が接触部に形成されていないため活性時間が長かった。
また、測定電極を化学メッキにて構成し、外側リード電極の幅を0.1〜5mmの範囲内とすることが好ましいことが分かった。
本例は、図13〜図18に示すごとく、外側電極11等の異なる各種の酸素センサ素子1について示すものである。
図13は被測定ガス接触面13の長さが25mmである酸素センサ素子1である。測定電極11は素子先端部14から10mm(0.4L)の部分まで形成されている。また、外側リード電極111の幅は1.5mm、外側端子電極112は幅7mm、長さ4mmの長方形である。
その他は実施形態例1と同様である。また、実施形態例1と同様の作用効果を有する。
また、図14にかかる酸素センサ素子は実施形態例2の表1にかかる試料3である。このものは活性時間が非常に速く、センサの応答性、出力も高く、優れた酸素センサ素子1である。
また、外側電極11の面積が小さく、高価なPtの使用量が少なくて済むため、製造コストが非常に低いという利点がある。
その他は実施形態例1と同様である。
また、このものは表1の試料8にかかる酸素センサ素子である。
上記テーパ109を設けることで応力を分散させることができるため、接続部分の断線を防止することができる。
この基準電極12は有機貴金属を溶解した溶液を内側面にディッピングし、熱処理後にメッキを施すことにより作製することができる。
このため、ディスペンサー等の複雑な装置を用いることなく、容易に基準電極を形成することができる。
その他は実施形態例1と同様である。
10 固体電解質体
100 接触部
101 外側面
102 内側面
11 測定電極
111 外側電極リード部
12 基準電極
121 内側電極リード部
13 被測定ガス接触面
18 基準電極
19 ヒータ
Claims (6)
- 一方が閉塞され,内部に基準ガス室が設けてあるコップ型の固体電解質体と,該固体電解質体の外側面に設け,かつ被測定ガスと接触する測定電極と,上記固体電解質体の内側面に設けた基準電極とよりなると共に上記基準ガス室にはヒータが挿入配置してある酸素センサ素子であって,
上記固体電解質体の内側面と上記ヒータとが接触する領域及びこの領域から上記固体電解質体の内側面の法線方向に存在する外側面の領域とよりなる接触部を有しており,かつ上記測定電極は上記外側面側の接触部の少なくとも一部を含むように形成されており,
また,上記酸素センサ素子の外側面は該酸素センサ素子の素子先端部から長さLの範囲に酸素センサ素子の使用時には被測定ガスと接触する被測定ガス接触面を有しており,かつ上記接触部は上記素子先端部から長さ0.4L以内の範囲のみに位置するよう形成されており,
更に,上記測定電極は上記素子先端部から長さ0.8Lの範囲のみに設けられるよう形成されおり,上記固体電解質体の上記外側面には上記測定電極の電極出力を外部に導出するための外側リード電極が設けてあり、該外側リード電極の上記測定電極と反対側には外側端子電極が形成されていることを特徴とする酸素センサ素子。 - 請求項1において,上記外側リード電極が2本形成され,それぞれ対向してなることを特徴とする酸素センサ素子。
- 請求項1又は2において,上記外側リード電極の固体電解質体外周方向の幅は0.1〜5mmの範囲内にあることを特徴とする酸素センサ素子。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記固体電解質体の上記内側面には上記基準電極の電極出力を外部に導出するための内側リード電極が設けてあり,
上記内側リード電極と上記外側リード電極とは固体電解質体を介して対向しない位置にそれぞれ設けてあることを特徴とする酸素センサ素子。 - 請求項4において、上記内側リード電極の上記基準電極と反対側には、内側端子電極が形成されていることを特徴とする酸素センサ素子。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記測定電極は化学メッキにより形成された電極であることを特徴とする酸素センサ素子。
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