JP2008280911A - コモンレール式燃料噴射システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ECU40は、各インジェクタ15から各気筒12への燃料の噴射が停止されているときに、特定のインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出す。これにより、コモンレール圧が各インジェクタ15からの燃料噴射による影響を受けず安定しているときに特定のインジェクタ15から燃料が噴射される。そのため、特定のインジェクタ15から燃料を噴射したときのコモンレール圧の変化の検出精度が高くなる。その結果、コモンレール圧の変化を検出することによって算出される特定のインジェクタ15の噴射開始遅れ期間の算出精度も高くなる。ECU40は、特定のインジェクタ15の噴射開始遅れ期間が所定の範囲外であった場合、特定のインジェクタ15に異常が生じていると判定する。
【選択図】図1
Description
請求項3記載の発明では、噴射制御手段は、各インジェクタから各気筒への燃料の噴射が停止されてから所定期間を経過した後に特定のインジェクタへ燃料噴射の指令を出す。これにより、コモンレール圧が安定しているときに特定のインジェクタから燃料が噴射される。したがって、特定のインジェクタから燃料が噴射されたときのコモンレール圧の変化の検出精度を高めることができる。
本発明のコモンレール式燃料噴射システムを適用したディーゼルエンジンシステムの一実施形態を図1に示す。図1に示す内燃機関の一例としてのディーゼルエンジンシステム(以下、「エンジンシステム」という。)10は、エンジン本体11を備えている。エンジン本体11は、四つの気筒12を有している。エンジンシステム10は、コモンレール13、サプライポンプ14、インジェクタ15、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)40を備えている。サプライポンプ14は、燃料タンク16に蓄えられている燃料を加圧してコモンレール13へ吐出する。コモンレール13は、サプライポンプ14で加圧された燃料を、圧力を維持したまま、すなわち蓄圧状態で蓄える。コモンレール13には、エンジン本体11の各気筒12に設置されているインジェクタ15が接続している。本実施形態のように四気筒のエンジン本体11の場合、コモンレール13には四本のインジェクタ15が接続している。
本実施形態の場合、エンジン本体11は、四つの気筒12を有している。また、各気筒12それぞれには、インジェクタ15が一つずつ設置されている。上述のように、インジェクタ15は、ECU40からの電気的な制御信号によって各気筒12へ燃料を噴射する。すなわち、インジェクタ15の電磁駆動部は、ECU40から燃料噴射を示す制御信号を受けると、ニードルを駆動する。これにより、ニードルは、インジェクタ15の噴孔とは反対側へ移動し噴孔が開放される。その結果、インジェクタ15の噴孔から燃料が噴射される。一般に個々のインジェクタの燃料噴射に関する応答性には、個体差がある。そのため、インジェクタ15から燃料が噴射されるとき、インジェクタ15の電磁駆動部がECU40からの燃料噴射の制御信号を受けてから実際に燃料の噴射が開始されるまでには、わずかな期間(以下、この期間を「噴射開始遅れ期間」という。)を要することがある。
ECU40は、エンジン本体11が運転状態にあるとき、図2に示す流れにしたがってインジェクタ15の異常を検出する。
ECU40は、インジェクタ15からエンジン本体11への燃料の噴射が停止されているかどうかを判断する。すなわち、ECU40は、アクセルセンサ42からの出力および回転数センサ43からの出力に基づいて検出されたエンジン本体11の負荷が無負荷になったとき、エンジン本体11への燃料の噴射が停止されたと判断する。ECU40は、エンジン本体11への燃料の噴射が停止されたと判断すると、燃料噴射停止フラグをONにする。ここで、燃料噴射停止フラグとは、エンジン本体11への燃料の噴射が停止されているかどうかを表すフラグである。すなわち、燃料噴射停止フラグがONのとき、エンジン本体11への燃料の噴射は停止されていることを表す。一方、燃料噴射停止フラグがOFFのとき、エンジン本体11への燃料の噴射は継続されていることを表す。
ECU40は、コモンレール圧が所定の安定範囲内かどうかを確認する。ECU40は、圧力センサ41によってコモンレール圧を検出する。検出したコモンレール圧が安定範囲内であった場合、処理はステップS103へ移行する。一方、検出したコモンレール圧が安定範囲外であった場合、処理はステップS104へ移行する。
ECU40は、圧力安定判定カウンタの数値を上昇させ、その数値を圧力安定判定カウンタの数値として設定する。そして、処理は、ステップS105へ移行する。
(S104)
ECU40は、圧力安定判定カウンタの数値をクリアすなわち0にし、0を圧力安定判定カウンタの数値として設定する。そして、処理は、ステップS105へ移行する。
ECU40は、圧力安定判定カウンタの数値とコモンレール圧安定期間数値とを比較する。ここで、コモンレール圧安定期間数値とは、予め設定されている正の数値であり、コモンレール圧が安定している期間を表す数値である。すなわち、コモンレール圧安定期間数値が大きいほどコモンレール圧が安定している期間が長いことを表す。ECU40によって圧力安定判定カウンタの数値とコモンレール圧安定期間数値とを比較し、圧力安定判定カウンタの数値がコモンレール圧安定期間数値よりも大きい場合、すなわちコモンレール圧が安定範囲内にある状態で所定の期間が経過した場合、処理はステップS106へ移行する。一方、圧力安定判定カウンタの数値がコモンレール圧安定期間数値以下の場合、処理はステップS102へ戻る。
ECU40は、第1の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了しているかどうかを判断する。すなわち、エンジン本体11に設けられている四つの気筒12のうちの第iの気筒を表すiの値が設定されていないとき、もしくはiの値が0のとき、ECU40は、第1の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了していないと判断する。そして、処理は、ステップS110へ移行する。一方、iの値が1以上のとき、ECU40は、第1の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定は完了していると判断する。そして、処理は、ステップS107へ移行する。
ECU40は、第2の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了しているかどうかを判断する。すなわち、iの値が1のとき、ECU40は、第2の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了していないと判断する。そして、処理は、ステップS111へ移行する。一方、iの値が2以上のとき、ECU40は、第2の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定は完了していると判断する。そして、処理は、ステップS108へ移行する。
ECU40は、第3の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了しているかどうかを判断する。すなわち、iの値が2のとき、ECU40は、第3の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了していないと判断する。そして、処理は、ステップS112へ移行する。一方、iの値が3以上のとき、ECU40は、第3の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定は完了していると判断する。そして、処理は、ステップS109へ移行する。
ECU40は、第4の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了しているかどうかを判断する。すなわち、iの値が3のとき、ECU40は、第4の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定が完了していないと判断する。そして、処理は、ステップS113へ移行する。一方、iの値が4以上のとき、ECU40は、第4の気筒12に設置されているインジェクタ15の異常判定は完了していると判断する。そして、ECU40は、インジェクタ15の異常検出処理を終了する。
ECU40は、1をiの値として設定する。そして、処理は、ステップS114へ移行する。
(S111)
ECU40は、2をiの値として設定する。そして、処理は、ステップS114へ移行する。
ECU40は、3をiの値として設定する。そして、処理は、ステップS114へ移行する。
(S113)
ECU40は、4をiの値として設定する。そして、処理は、ステップS114へ移行する。
ECU40は、ステップS110、ステップS111、ステップS112またはステップS113において設定されたiの値に基づいて、第iの気筒12に設置されているインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出す。すなわち、ECU40は、第iの気筒12に設置されているインジェクタ15の電磁駆動部へ、ニードルを駆動するための電気的な制御信号を出力する。これにより、所定の量の燃料がインジェクタ15から第iの気筒12へ一回噴射される。そして、処理は、ステップS115へ移行する。
ECU40は、ステップS114でのインジェクタ15からの燃料の噴射によって生じるコモンレール圧の変化を検出する。ECU40によってコモンレール圧の変化が検出されると、処理はステップS116へ移行する。
ECU40は、第iの気筒12のインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出してから実際にインジェクタ15から燃料が噴射され始めたときまでの期間を、第iの気筒12のインジェクタ15の噴射開始遅れ期間として算出する。すなわち、ステップS114で第iの気筒12のインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出してからステップS115でコモンレール圧の変化を検出したときまでの期間を、第iの気筒12のインジェクタ15の噴射開始遅れ期間として算出する。そして、処理は、ステップS117へ移行する。
ECU40は、ステップS116で算出した、第iの気筒12のインジェクタ15の噴射開始遅れ期間が所定の範囲内かどうかを判断する。ECU40は、算出した噴射開始遅れ期間が所定の範囲内の場合、第iの気筒12のインジェクタ15は正常であると判定する。そして、ECU40は、第iの気筒12のインジェクタ15の正常判定フラグをONにする。一方、ECU40は、算出した噴射開始遅れ期間が所定の範囲外の場合、第iの気筒12のインジェクタ15は異常であると判定する。そして、ECU40は、第iの気筒12のインジェクタ15の異常判定フラグをONにする。
このように、ECU40によって第iの気筒12のインジェクタ15の正常または異常の判定が行われると、処理はステップS118へ移行する。
ECU40は、エンジン本体11の四つの気筒12それぞれに設置されている全てのインジェクタ15の異常判定が完了したかどうかを判断する。すなわち、ステップS110、ステップS111、ステップS112またはステップS113において設定されたiの値が3以下のとき、ECU40は、四つの気筒12それぞれに設置されている全てのインジェクタ15の異常判定は完了していないと判断する。そして、処理はステップS101へ戻る。一方、iの数値が4以上のとき、ECU40は、四つの気筒12それぞれに設置されている全てのインジェクタ15の異常判定は完了していると判断する。そして、ECU40は、インジェクタ15の異常検出処理を終了する。
上述のECU40による一連の異常検出処理の実行回数は、車両の運転一回につき任意の回数を設定してもよい。例えば車両の運転一回につき、上述の異常検出処理を一回のみ行うこととしてもよいし、複数回行うこととしてもよい。また、車両の運転毎に毎回異常検出処理を行うのではなく、所定の期間を経過する毎に異常検出処理を行うこととしてもよい。
次に、本発明の一実施形態によるコモンレール式燃料噴射システムを適用したエンジンシステム10に搭載されたECU40がインジェクタ15の異常検出を行うときの、エンジンシステム10の経時的な状態の変化を図3に基づいて説明する。
t3からt4までの期間においては、ECU40は、検出したコモンレール圧が所定の安定範囲内のとき圧力安定判定カウンタの数値を上昇させ、検出したコモンレール圧が安定範囲外のとき圧力安定判定カウンタの数値を0にしている。
t5になると、圧力安定判定カウンタの数値が所定のコモンレール圧安定期間数値よりも大きくなるため、ECU40は、コモンレール圧が所定の期間安定していると判断する。そして、ECU40は、特定のインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出す。これにより、特定のインジェクタ15の電磁駆動部には駆動電流が流れる。
t8になると、車両の搭乗者がアクセルペダルを踏み込むことなどによりエンジン本体11の負荷が上昇し、エンジン本体11へ燃料が噴射され始める。これにより、ECU40は、エンジン本体11への燃料の噴射が再開されたと判断し、インジェクタ15の異常検出処理を終了する。
上述した本発明の一実施形態では、ECU40は、インジェクタ15の異常検出処理を行うとき、コモンレール圧が所定の安定範囲内にある状態で所定の期間を経過した後に特定のインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出している。しかし、ECU40は、コモンレール圧が所定の安定範囲内にある状態で所定の期間を経過せずとも、コモンレール圧が所定の安定範囲内にあることを確認した時点で特定のインジェクタ15へ燃料噴射の指令を出してもよい。これにより、コモンレール圧が安定しているときに特定のインジェクタ15から燃料が噴射される。したがって、特定のインジェクタ15から燃料が噴射されたときのコモンレール圧の変化の検出精度を高めることができる。
Claims (6)
- 加圧した燃料を蓄えるコモンレールと、内燃機関の複数の気筒にそれぞれ設けられ前記コモンレールに蓄えられた燃料を前記内燃機関の各気筒へ噴射する複数のインジェクタと、を備えるコモンレール式燃料噴射システムであって、
前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段と、
前記インジェクタと電気的に接続され、前記負荷検出手段で検出された前記内燃機関の負荷に応じて前記インジェクタからの燃料の噴射の断続を指令する噴射制御手段と、
前記コモンレールに設けられ、前記コモンレールに蓄えられた燃料の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記噴射制御手段によって前記インジェクタから前記気筒への燃料の噴射が停止されているとき、前記噴射制御手段から複数の前記インジェクタのうち任意の特定インジェクタに燃料の噴射を指令してから、前記コモンレールの内部における燃料の圧力が変化するまでの期間に基づいて前記特定インジェクタの異常を検出する異常検出手段と、
を備えるコモンレール式燃料噴射システム。 - 前記異常検出手段は、前記内燃機関の前記気筒毎に前記インジェクタの異常を検出する請求項1記載のコモンレール式燃料噴射システム。
- 前記噴射制御手段は、前記インジェクタから前記気筒への燃料の噴射が停止されてから所定期間を経過すると前記特定インジェクタに燃料の噴射を指令する請求項1記載のコモンレール式燃料噴射システム。
- 前記所定期間は、前記コモンレールの内部における燃料の圧力変化が所定の範囲内にある期間として設定される請求項3記載のコモンレール式燃料噴射システム。
- 前記噴射制御手段は、前記圧力検出手段によって検出した前記コモンレールの内部における燃料の圧力の変化が所定の範囲内であるとき前記特定インジェクタに燃料の噴射を指令する請求項1記載のコモンレール式燃料噴射システム。
- 前記圧力検出手段は、前記インジェクタから前記気筒への燃料の噴射が停止されているとき、前記コモンレールの内部における燃料の圧力を通常の検出周期に比較して短い周期で検出する請求項1から5のいずれか一項記載のコモンレール式燃料噴射システム。
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