JP2008280760A - せん断補強方法および充填材の充填方法 - Google Patents

せん断補強方法および充填材の充填方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存のコンクリート構造物のせん断補強および既存のコンクリート構造物に形成され削孔穴への充填材の充填について、施工後の止水性が優れた状態となるように行うことを可能とした、せん断補強方法および充填材の充填方法を提供する。
【解決手段】側壁Wに形成された補強部材挿入孔10の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液からなる含浸材40を噴霧した後、補強部材挿入孔10にせん断補強部材を挿入するとともに充填材30を充填するせん断補強方法および充填材の充填方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、せん断力が作用する既設のコンクリート構造物のせん断補強方法および既設のコンクリート構造物に形成された削孔穴に充填材を充填する方法に関する。
例えば、既設のコンクリート構造物の耐震補強方法として、後施工によりせん断補強鉄筋を施工する場合がある。このようなせん断補強鉄筋の施工は、コンクリート構造物に補強部材挿入孔の削孔を行い、この補強部材挿入孔内にせん断補強鉄筋を配設するとともに補強部材挿入孔に充填材を充填することにより行う。
このような、耐震補強方法において、補強部材挿入孔内に充填された充填材が、充填後に補強部材挿入孔の孔口から流れ出すことにより、充填材と補強部材挿入孔の孔壁との間に隙間が生じる場合がある。孔壁と充填材との間に隙間があると、この隙間が水みちとなって、構造物内に地下水等が浸透してしまうという問題点を有していた。
そのため、従来は、補強部材挿入孔の孔口を押え板等により塞ぐことで、充填材のダレが生じることを防止し、充填材と孔壁との間に隙間が生じないようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−293294号公報(段落番号[0042]、図6)
ところが、補強部材挿入孔に充填材が充填されていても、充填材と孔壁とが一体化されるものではないため、構造物の背面や構造物に形成されたひび割れ等から地下水等が浸透してきた場合には、充填材と孔壁の接合面が水みちとなって、構造物内に地下水が流入してしまう場合があった。
このような問題は、既設構造物のせん断補強のみならず、例えば、コアボーリングの削孔後の処理など、あらゆる既設のコンクリート構造物の削孔穴の充填において生じていた。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、既設のコンクリート構造物のせん断補強および既設のコンクリート構造物に形成され削孔穴への充填材の充填について、施工後の止水性が優れた状態となるように行うことを可能とした、せん断補強方法および充填材の充填方法を提供することを課題としている。
前記課題を解決するために、本発明のせん断補強方法は、既設のコンクリート構造物に形成された削孔穴の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液を噴霧した後、前記削孔穴に補強部材を挿入するとともに該削孔穴に充填材を充填することを特徴としている。
かかるせん断補強方法によれば、削孔穴の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液を噴霧し、内壁面にセメント結晶を増殖させるため、削孔穴の内壁面の止水処理が施されて、コンクリート構造物の背面や亀裂等から浸透してきた水分が、削孔穴内に浸透することが防止される。また、無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液は、噴霧により削孔穴の内壁面全体に付着されるため、簡易な作業により止水性能が確保される。
さらに、既設のコンクリート構造物に補強部材が配設されることによりコンクリート構造物のせん断耐力を向上させることが可能となるため、好適である。
また、前記せん断補強方法において、前記削孔穴の孔口に前記削孔穴に充填された前記充填材の流出を防止する押え部材を配置してもよく、この前記押え部材を、押えバネにより固定してもよい。
かかるせん断補強方法によれば、充填材が孔口から流出することを防止され、充填材と削孔穴との間に隙間が形成されることが防止されるため好適である。
また、押えバネを利用することで、押え部材の固定を簡易に行うことが可能となるため好適である。
また、本発明の充填材の充填方法は、既設のコンクリート構造物に形成された削孔穴の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液を噴霧した後、前記削孔穴に充填材を充填することを特徴としている。
本発明のせん断補強方法によれば、止水性を確保した状態で、既設のコンクリート構造物のせん断補強を行うことが可能となる。また、本発明の充填材の充填方法によれば、削孔穴が形成された既設のコンクリート構造物について、この削孔穴への充填材の充填を、簡易な方法により、施工後の止水性を確保できるように行うことが可能となった。
本発明の補強方法の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
本発明に係るせん断補強方法は、既設のコンクリート構造物に補強部材挿入孔(削孔穴)を穿孔する穿孔工程と、補強部材挿入孔の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液を噴霧する噴霧工程と、水溶液が噴霧された補強部材挿入孔にせん断補強部材(補強部材)を挿入するとともに充填材を充填する充填工程と、を含んで構成されている。
(1)穿孔工程
穿孔工程は、図1(a)に示すように、既設の鉄筋コンクリート構造物の側壁Wの内側(地盤Gの反対側)から外側(地盤G側)に向けて、せん断補強部材20(図2(a)参照)を設置するための補強部材挿入孔(削孔穴)10を形成する作業を行う工程である。
補強部材挿入孔10は、既設の鉄筋コンクリート構造物(側壁W)の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、穿孔時に主鉄筋R1及び配力鉄筋R2に損傷を与えることの無いように、横間隔は主鉄筋R1と、縦間隔は配力鉄筋R2と同間隔で両鉄筋の中央に配置する。補強部材挿入孔10の穿孔は、側壁Wの内側から地盤Gと接している外側方向であって、側壁Wの表面に略垂直な方向に、インパクト・ドリルやロータリーハンマ・ドリル、コア・ドリルなどの穿孔手段60を用いて行う。この補強部材挿入孔10は、地盤G側に所定寸法の被りコンクリート厚さを差し引いた長さ寸法に設けるとともに、孔径は、図2(a)に示すせん断補強部材20の先端部に形成された先端定着部材22の直径(幅寸法)に若干の余裕を見込んだ値とする。
その後、せん断補強部材20の基端部(末端部)に取り付けられている基端定着部材23の周縁部が掛止されるように、穿孔手段60を用いて側壁Wの内側の削孔径の拡幅を行い、拡幅部11を形成する。なお、この拡幅部11の削孔深さは基端定着部材23の厚みに所定の被りコンクリート厚さ(本実施形態では主筋R1と同等の被りコンクリート厚さ)を加算した値とする。
そして、補強部材挿入孔10の拡幅部11の穿孔が完了したら、補強部材挿入孔10に穿孔のために生じたコンクリート粉を除去する。
(2)噴霧工程
噴霧工程は、図1(b)に示すように、補強部材挿入孔10の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液からなる含浸剤40を噴霧する工程である。
含浸剤40の噴霧は、噴霧機41を利用して行うものとし、噴霧機41のノズル42を、先端が補強部材挿入孔10の底部(地盤G側端部)付近に位置するまで、補強部材挿入孔10の内部に挿入した後、ノズル42の先端から引抜きつつ含浸剤40を噴霧することで、補強部材挿入孔10の内壁面全体に行う。
なお、噴霧機41は、適宜公知のものを使用すればよく、その形式等は限定されるものではない。
含浸剤40は、補強部材挿入孔10の内壁面に噴霧されることで、当該内壁面のコンクリート表面における結晶化反応を繰り返し行い、コンクリートの毛細管空隙などの欠損部を、セメント結晶で埋めることにより、コンクリート表面の緻密化を促進させる。補強部材挿入孔10の表面における含浸剤40による緻密化の促進により、補強部材挿入孔10の内壁面の止水性が向上する。
なお、無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液からなる含浸剤40としては、水性の材料であって、噴霧が可能であれば、限定されるものでなく、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。
(3)充填工程
充填工程は、図1(c)および図2(a)〜(c)に示した、補強部材挿入孔10にせん断補強部材20を挿入するとともに、当該補強部材挿入孔10に充填材30を充填して、一体化する作業を行う工程である。
充填工程では、図1(c)に示すように、まず、補強部材挿入孔10の拡幅部11以外の一般部12に充填材30を充填する。
一般部12への充填材30の充填は、含浸剤40によるセメント結晶の増殖が始まる前に行う。本実施形態では、圧入機械Mにより、この補強部材挿入孔10にグラウト等からなる充填材30を圧入することにより行う。なお、一般部12への充填材30の充填の時期は、前記の時期に限定されるものではなく、例えば、含浸剤40によるセメント結晶の増殖が始まった直後や進行している段階、あるいは増殖させた後であってもよい。
充填材30の一般部12への充填は、圧入機械MのノズルM1を補強部材挿入孔10の底部(地盤G側の先端部)まで挿入した状態で、充填材30をノズルM1の先端から圧入しながらノズルM1を引き出すことで、補強部材挿入孔10の先端から行う。なお、充填材30の充填量は、後記するせん断補強部材20を補強部材挿入孔10に挿入した状態で、一般部12に充填される程度とすることが望ましい。
ここで、充填材30としてのグラウトは、セメントとシリカヒュームや石英粉などのポゾラン物質と増粘材と水とから構成される材料で、上向きに充填しても流れ落ちることのない性質を有しているため、補強部材挿入孔10の方向に限定されることなく、充填することが可能である。なお、充填材30の材質等は、限定されるものではなく、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。
次に、図2(a)に示すように、せん断補強部材20を補強部材挿入孔10に設置し、側壁Wと一体化させる。
せん断補強部材20は、せん断補強鉄筋21と、前記せん断補強鉄筋21の先端部及び基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい先端定着部材22及び基端定着部材23と、から構成されている。
せん断補強部材20は、地盤G側に先端定着部材22が位置するように、補強部材挿入孔10に挿入される。せん断補強部材20を補強部材挿入孔10に配置すると、基端定着部材23が、拡幅部11に係止する。
本実施形態では、せん断補強部材20が補強部材挿入孔10に挿入された状態で、先端定着部材22および基端定着部材23のそれぞれが主鉄筋R1と同等のコンクリート被り厚さが確保されている。
本実施形態では、先端定着部材22および基端定着部材23として、鋼製プレートを使用するものとし、摩擦圧接機械を用いて、固定したせん断補強鉄筋21の先端および基端に、回転させた鋼製プレート(先端定着部材22および基端定着部材23)を押し付けることにより、回転する鋼製プレートに所定の圧力で摩擦熱を発生させて、先端定着部材22および基端定着部材23をせん断補強鉄筋21に溶着させることによりせん断補強部材20を構成する。このような、先端定着部材22および基端定着部材23としては、厚さがせん断補強鉄筋21の直径の40%〜80%、幅(直径)がせん断補強鉄筋21の直径の150%〜300%の鋼製プレートが使用可能である。また、先端補強部材22および基端定着部材23の形状は限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、小判型、正方形、矩形、その他の多角形等、適宜設定することが可能である。
なお、先端定着部材22および着端定着部材23を構成する材料や形状は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
例えば、先端定着部材22または基端定着部材23として、軟鋼やアルミニウム合金などの比較的加工しやすい金属製材料からなる円筒体を使用してもよい。この場合、円筒体をせん断補強鉄筋21の先端部または基端部にかぶせ、この周りを半分の円環を2つあわせたグリッパを用いて周囲から押しつぶすことにより、あるいは、鉄筋のスクイズ・ジョイントに用いるような円筒体を絞り込む(スクイズする)ようにして、円筒体を塑性変形させてせん断補強鉄筋21と一体にすることで簡易にせん断補強部材20を製造することができる。このような円筒体としては、例えば、肉厚(せん断補強鉄筋21の鉄筋径方向の部材厚)がせん断補強鉄筋21の直径の15%〜40%、長さ(せん断補強鉄筋21の軸方向の高さ)がせん断補強鉄筋21の直径の100%〜250%の形状を有するものが好適に使用可能である。
また、せん断補強鉄筋21としてネジ鉄筋を用いて、先端部にロックナットをねじ込み、せん断補強鉄筋21とロックナットとのがたつきを取り除くためにダブルナットとするか、ナット内部の隙間にエポキシ樹脂のような充填材を注入する方法のいずれかにより、先端定着部材22または基端定着部材23として、幅(せん断補強鉄筋21の鉄筋径方向の幅または直径)がせん断補強鉄筋21の直径の150%〜300%、長さ(せん断補強鉄筋21の軸方向の厚さ)がせん断補強鉄筋の直径の100%〜250%となるように、製造することもできる。
ここで、両端部の先端定着部材22と基端定着部材23の組み合わせは、補強を行う側壁Wの配筋状態、コンクリート強度、壁厚などの要因にあわせて自由に選択することができる。
図2(b)に示すように、せん断補強部材20を補強部材挿入孔10に挿入した後、補強部材挿入孔10に充填された充填材30が流出することを防止するために、押え板(押え部材)50を補強部材挿入孔10の拡幅部11に配置する。
押え板50は、基端定着部材23の端面に当接した状態で配設されており、押えバネ51により内側から地盤G側に押圧されることにより固定されている。
押え板50は、図3(a)および(b)に示すように、基端定着部材23の内側端面に当接した状態で配置されるものであって、拡幅部11の内径と同程度の直径からなる円形の板材により構成されている。押え板50を構成する材料は限定されるものではなく、鋼材や木材等、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。
押えバネ51は、鋼製の板バネであって、拡幅部の直径よりも長い。本実施形態では、図3(c)に示すように、平面視で略H字を示しているが、押えバネ51の形状は限定されるものでない。
押えバネ51は、図3(a)に示すように、押え板50側に凸となるように湾曲させた状態で、拡幅部11に配置され、中央部が押え板50に当接した状態で、両端が拡幅部11の内壁面に係止する。
なお、本実施形態では、押え板50と押えバネ51とをそれぞれ別部材により構成するものとしたが、押え板50と押えバネ51が予め一体に構成されていてもよい。
せん断補強部材20を挿入した後、充填材30の養生を行い、充填材30が固化して十分な強度を発現したら、押え板50および押えバネ51を取り外し、基端定着部材23の内側の拡幅部11にできた空間11aを、グラウト材からなる充填材31をコテによりすり込むことで充填する。本実施形態では、空間11aへの充填材31充填が完了したら、充填材31がその流動性により変形することがないように、型枠32を、拡幅部11を塞ぐように側壁Wの内側表面に設置する。なお、型枠32は、必要に応じて設置すればよく、例えば、補強部材挿入孔10が下向きの場合等、充填材31が変形する虞がないような場合には、型枠32を設置する必要はない。また、型枠32の材質・形状・設置方法は、拡幅部11からの充填材31の流出を抑止することができればよく、限定されるものではない。また、空間11aに充填される充填材31を構成する材料等は限定されるものではなく、適宜公知の材料を使用することが可能である。
本発明の補強方法によって補強された側壁Wは、図4に示すように面外のせん断力Sが作用した時に発生する斜めひび割れcに対して、直接的にせん断補強部材20で補強してせん断耐力を向上させるものである。
つまり、面外のせん断力Sが側壁Wに作用すると斜めひび割れcが発生しようとするが、せん断補強部材20に引張力が働くために、両端部の先端定着部材22や基端定着部材23に引き抜き力ftが作用する。このために、先端定着部材22及び基端定着部材23の内側にあるコンクリート(以下「内部コンクリート」という)には、その反力として内部コンクリートに支圧力が作用して、圧縮応力fcの場が形成される。つまり、内部コンクリートは横拘束を受けて、斜め引張に対して、抵抗力を増大する結果となる。このために、端部にそれぞれ先端定着部材22と基端定着部材23の付いたせん断補強部材20により側壁Wの面外せん断耐力が増大するとともに、内部コンクリートに圧縮応力fcが発生する(圧縮応力場が形成される)ことによる靱性性能の増大も図られることになる。
以上のように、本発明のせん断補強方法によれば、既設の側壁Wのコンクリート厚さを増加させることなく、直接的にせん断補強部材20を側壁Wに埋設することにより、せん断耐力と靱性性能の増大を効率的に実現できることから、従来の鉄筋コンクリート増厚工法等のように、補強後に内空断面が減少してしまうといった不都合が生じることを防止することができる。加えて、主鉄筋を増加させることがないことから、曲げ耐力を増加させることなく、面外せん断耐力を向上させることができるので、曲げ・せん断先行破壊型の可能性がある鉄筋コンクリート構造物を曲げ先行破壊型に移行することができる。
また、補強部材挿入孔10の内壁面には、含浸剤40が噴霧されて、含浸剤40によるセメント結晶化が施されているため、補強部材挿入孔10の内壁面の止水性が優れており、側壁Wの背面やひび割れ等から浸透した地下水等が補強部材挿入孔10内に流入してくることがない。そのため、補強部材挿入孔10と充填材30との接合面が水みちとなって構造物の内部に地下水等が浸水することがない。
また、補強部材挿入孔10の止水性は、補強部材挿入孔10の削孔後、含浸剤30を噴霧するのみで作業が完了するため、従来のせん断補強方法における作業工程と比較して、作業性等に大幅な影響をきたすことがない。
また、せん断補強鉄筋21の基端部に設けられている基端定着部材23及び先端部に設けられている先端定着部材22は、充分な定着効果が得られるとともに、面外せん断力が発生するとせん断補強鉄筋21に引張力が作用するために、基端定着部材23又は先端定着部材22及び基端定着部材23に支圧力が働き、内部コンクリートには圧縮応力場が形成されるため、せん断に対して内部コンクリート自身のせん断抵抗力が増大して効果的なせん断補強となる。
さらに、補強部材挿入孔10は、充填材30により外部と遮断されるので、補強後の耐久性の観点で劣化の抑制を期待できる。
また、補強部材挿入孔10は、拡幅部11において、押え板50により充填材30が流出することが防止されているため、充填材30と補強部材挿入孔10の内壁面との間に隙間が形成されることがない。したがって、補強部材挿入孔10の止水性能が維持される。
また、押え板50の固定は、押えバネ51により行うため、押え板50の設置および撤去作業が容易である。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
特に、本発明の補強方法の対象とする既設のコンクリート構造物は限定されるものではなく、あらゆるコンクリート構造物に適用可能である。
また、補強対象である既設のコンクリート構造物は、鉄筋コンクリート造であればよく、現場打ち鉄筋コンクリート構造体や、プレキャストコンクリート構造体等その種類は問わないとともに、補強を行う部位についても限定されず、例えば、天井スラブや底版等にも適用可能である。
なお、前記実施形態では、充填材を補強部材挿入孔に圧入してからせん断補強部材をこの補強部材挿入孔に挿入するものとしたが、せん断補強部材を挿入してから充填材を補強部材挿入孔に充填してもよいことはいうまでもない。
また、せん断補強部材の挿入間隔・挿入数は、前記実施形態に限られず、適宜に定めることができる。
せん断補強部材の先端定着部材および基端定着部材は必要に応じて形成されていればよく、省略してもよい。
同様に、補強部材挿入孔の拡幅部も必要に応じて形成すればよく、省略することが可能である。
また、前記実施形態では、鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法について説明したが、例えば、コアボーリング等の削孔穴が形成されたコンクリート構造物の復旧作業において、本願発明の充填材の充填方法を採用してもよい。これにより、削孔穴と充填材との接合面が水みちとなることがなく、止水性の優れたコンクリート構造物が提供される。
また、前記実施形態では、充填材の流出を、押え板を介して防止するものとしたが、例えばせん断補強部材の基端定着部材により充填材の流出が防止される等、充填材が流出する虞がない場合には、押え部材の配置を省略してもよい。
また、前記実施形態では、有底の削孔穴に対して充填材を充填する場合について説明したが、貫通孔に対して、本発明にかかるせん断補強方法および充填材の充填方法を採用してもよいことはいうまでもない。
(a)〜(c)は、本発明の好適な実施形態にかかるせん断補強方法の各工程を示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の好適な実施形態にかかるせん断補強方法の他の各工程を示す断面図である。 本発明の好適な実施形態にかかる押え板を示す図であって、(a)は押え板の取付状況を示す斜視図、(b),(c)は押え板と押えバネの斜視図である。 本発明の好適な実施形態にかかるせん断補強方法を適用した側壁にせん断力が作用した場合の応力状態を示す側断面図である。
符号の説明
10 補強部材挿入孔
11 拡幅部
20 せん断補強部材(補強部材)
30 充填材
40 含浸剤(無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液)
50 押え板(押え部材)
51 押えバネ
G 地盤
W 側壁

Claims (4)

  1. 既設のコンクリート構造物に形成された削孔穴の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液を噴霧した後、前記削孔穴に補強部材を挿入するとともに該削孔穴に充填材を充填することを特徴とする、せん断補強方法。
  2. 前記削孔穴の孔口に前記削孔穴に充填された前記充填材の流出を防止する押さえ部材を配置することを特徴とする、請求項1に記載のせん断補強方法。
  3. 前記押さえ部材を、押さえバネにより固定することを特徴とする、請求項2に記載のせん断補強方法。
  4. 既設のコンクリート構造物に形成された削孔穴の内壁面に無機質系の結晶増殖剤を含む水溶液を噴霧した後、前記削孔穴に充填材を充填することを特徴とする、充填材の充填方法。
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