JP2008279243A - 噴霧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体を霧化して噴霧する噴霧装置(10)において、肌に対して液体を噴霧し続けた場合に肌に付着した液体が垂れることを防止して、使用者の快適性を向上させる。
【解決手段】液体を霧化して噴霧する噴霧装置(10)において、肌に向かって液体を連続的に噴霧するように構成し、液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないような値に噴霧量を設定する。
【選択図】図2
【解決手段】液体を霧化して噴霧する噴霧装置(10)において、肌に向かって液体を連続的に噴霧するように構成し、液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないような値に噴霧量を設定する。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体を霧化して噴霧する噴霧装置に関するものである。
従来より、液体を霧化して噴霧する噴霧装置が知られている。噴霧装置には、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamics)によって液体を霧化する静電噴霧装置や、超音波振動によって液体を霧化する超音波噴霧装置などがある。
特許文献1には、この種の噴霧装置で構成された吸入器が開示されている。この吸入器は、静電噴霧装置として構成されている。この吸入器は、例えば喘息や気管支炎等の治療薬を霧化し、微細な液滴状になった薬剤を鼻から吸入させるために用いられる。
特表2002−532163号公報
ところで、液体を霧化して噴霧する従来の噴霧装置は、肌に対して液体を連続的に噴霧するものではなく、十分な液体の量を肌に対して供給することができるように噴霧量が設定されている。このため、肌に対して液体を噴霧し続けると、肌に付着した液体が垂れてしまい、例えば人間の顔面に対して液体を噴霧したときに、使用者に不快感を与えるおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体を霧化して噴霧する噴霧装置において、肌に対して液体を噴霧し続けた場合に肌に付着した液体が垂れることを防止することにある。
第1の発明は、液体を霧化して噴霧する噴霧装置(10)を対象とする。そして、この噴霧装置(10)は、連続的に液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないような噴霧量に設定されている。
第1の発明では、噴霧された液体が、飛散して使用者などの肌に付着する。ここで、肌に付着した液滴は、体温によってある程度の量が単位時間当たりに蒸発する。このため、肌から蒸発量に対して肌に付着する液滴の量がある程度少ない場合は、肌に対して液体を噴霧し続けても、肌に付着した液体が大きな液滴になって垂れることがない。この第1の発明の噴霧装置(10)では、噴霧量が、肌に対して液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないような値に設定されている。このため、肌に対して液体を噴霧し続けても、肌に付着した液体が大きな液滴になって垂れることがない。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記噴霧量が、毎秒1.5μL以下に設定されている。
第2の発明では、噴霧量を毎秒1.5μL(1.5×10−6リットル)以下に設定している。ここで、本願の発明者は、肌に付着する液体の量が毎秒0.0045μL/cm2以下であれば、肌に対して液体を噴霧し続けても、肌に付着した液体が垂れないことを見つけ出した。そして、人間の顔面に対して液体を噴霧したときに、噴霧された液体が直径20cmの顔面全体にゆき亘ると想定すると、以下に示す式1により噴霧量Qが毎秒1.5μL程度必要となる。従って、この第2の発明では、この見つけ出した内容に基づいて、噴霧量を毎秒1.5μL以下に設定している。
式1:Q=0.0045×102×π=1.41
式1:Q=0.0045×102×π=1.41
第3の発明は、上記第1の発明において、上記噴霧量が、毎秒1.0μL以下に設定されている。
第3の発明では、噴霧量を毎秒1.0μL(1.0×10−6リットル)以下に設定している。ここで、人間の顔面に向けて液体を噴霧すると、霧化された液滴の一部が眼球に到達する。従って、噴霧装置(10)を顔面に向けて使用することで、涙が蒸発して涙膜が破壊されるドライアイを緩和させることが可能である。
ここで、本願の発明者は、噴霧装置(10)をある程度顔面から離して使用する場合に、ドライアイを緩和するためには、噴霧量Qが毎秒1.0μL程度必要であることを見つけだした。具体的に、涙液の平均的な蒸発量は毎秒0.002μL(毎分0.1μL)である。このため、涙液の蒸発量の分だけ液体を眼球に供給するには、眼球の直径を1cmと想定すると、以下に示す式2により、毎秒0.003μL/cm2程度の量Sの液体を眼球に供給する必要がある。
式2:S=0.002÷(0.52×π)=0.003
式2:S=0.002÷(0.52×π)=0.003
そして、噴霧装置(10)をある程度顔面から離して使用する場合に、液滴の付着する領域が例えば直径20cm程度の円になると想定すると、計算上では、以下に示す式3により噴霧量Qが毎秒0.9μL程度必要となる。そして、涙液の蒸発量に個人差があることを考慮すると、噴霧量Qが毎秒1.0μL程度必要であるといえる。
式3:Q=0.003×102×π=0.9
式3:Q=0.003×102×π=0.9
一方で、ドライアイを緩和するために噴霧量を多くしても、眼球に到達する液滴の量が多すぎると、眼球に付着した液体が垂れてしまう。眼球を保護する涙には、抗体や殺菌物質などの有用な物質が含まれている。このため、眼球に付着した液体が垂れると、涙に含まれる有用な物質が液滴と一緒に流れてしまう。しかし、本願の発明者は、噴霧量が毎秒1.0μL以下であれば、顔面に向けて液体を噴霧し続けても、眼球に付着した液体が垂れないことを見つけ出した。
従って、この第3の発明では、ドライアイを緩和できる値で且つ眼球に付着した液体が垂れない値として、噴霧量を毎秒1.0μL以下に設定している。
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1つの発明において、上記噴霧量が、毎秒0.1μL以上に設定されている。
第4の発明では、噴霧量を毎秒0.1μL(0.1×10−6リットル)以上に設定している。ここで、ドライアイを緩和させるために噴霧装置(10)を使用する場合に、噴霧量が少なすぎると、涙膜の破壊を抑制するのに十分な液滴の量が眼球に到達しない。すなわち、ドライアイを緩和させる効果がほとんど得られない。このため、ドライアイを緩和させる効果を得るために、蒸発する涙液の10%程度の液体を供給できる値として、噴霧量を毎秒0.1μL以上に設定している。
第5の発明は、上記第1乃至第4の何れか1つの発明において、噴霧する液体を貯留する容器部(15)と、上記容器部(15)内に連通するノズル部(20)と、電圧が印可されることによって上記ノズル部(20)の先端部に電界を形成する電界形成部(31)とを備え、上記電界形成部(31)によって上記ノズル部(20)の先端部に電界を形成することによって該ノズル部(20)の先端から液体を噴霧する。
第5の発明では、ノズル部(20)の液体が電界によって引きちぎられて液滴化する。ノズル部(20)から飛散した液滴は、電界の吸引力によって、ノズル部(20)からの距離が少なくとも20cm程度の位置まで飛散する。ノズル部(20)から飛散する液滴は帯電しているので、使用者の対面する位置から液体を噴霧すると対向極となる人間に向かって飛散する。このため、この第5の発明の噴霧装置(10)を用いると、使用者が不快に感じない程度の離れた位置に使用者に対面するように噴霧装置(10)を設置した状態で、微細な液滴を人間の肌に付着させることが可能である。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記容器部(15)には、噴霧する液体として、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下の範囲の値の液体が貯留され、上記電界形成部(31)には、5kV以上11kV以下の範囲の値の電圧が印加される。
第6の発明では、噴霧する液体として、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下の範囲の値の液体が用いられている。また、電界形成部(31)には、5kV以上11kV以下の範囲の値の電圧が印加される。電気抵抗率が上記範囲の値の液体を用いて、電界形成部(31)に上記範囲の値の電圧を印加すると、粒径が概ね50μmから200μmの範囲の液滴が噴霧される。
ところで、噴霧される液滴の大きさがこの範囲よりも大きい場合には、空気抵抗によって失われる液滴の運動エネルギーが大きくなり、液滴が到達する距離が、ノズル部(20)から10cmから30cm程度になる。また、噴霧される液滴の大きさがこの範囲よりも小さい場合には、液滴が使用者の周りの気流等の影響を受けて散らばってしまい、効率的に使用者に液滴を付着させることができない。
これに対して、液滴の大きさが上記範囲であれば、ノズル部(20)からの液滴が、散らばることなくノズル部(20)から60cm程度離れた使用者に到達する。この第6の発明では、ノズル部(20)から60cm程度離れた使用者にまで効率的に液滴を付着させることができるような粒径の液滴が形成されるように、噴霧する液体の電気抵抗率や印加する電圧の大きさが設定されている。
第7の発明は、上記第5又は第6の発明において、上記噴霧しようとする量と同じ量の液体を上記ノズル部(20)に送り出す液搬送部(22)を備えている。
第7の発明では、容器部(15)からの液体をノズル部(20)に送り出す液搬送部(22)が設けられている。液搬送部(22)は、噴霧しようとする量と同じ量の液体をノズル部(20)に送り出すように構成されている。ノズル部(20)からの噴霧量は、液搬送部(22)によって供給される液体の量と等しくなる。この第7の発明では、ノズル部(20)からの噴霧量が、液搬送部(22)がノズル部(20)に供給する液体の量で規定されている。
第8の発明は、上記第5乃至第7の何れか1つの発明において、パーソナルコンピュータ(16)おける電力を供給可能な接続端子(19)に接続可能に構成され、上記電界形成部(31)に電圧を印加するための電力を該接続端子(19)を通じて得るように構成されている。
第8の発明では、噴霧装置(10)がパーソナルコンピュータ(16)おける電力を供給可能な接続端子(19)(例えばUSBポート)に接続されて、その接続端子(19)を通じて電界形成部(31)に電圧を印加するための電力を得ている。すなわち、パーソナルコンピュータ(16)を使用しながら噴霧装置(10)を使用する場合に、パーソナルコンピュータ(16)が上述したような接続端子(19)を具備していれば、噴霧装置(10)をその接続端子(19)に接続するだけで、噴霧装置(10)を使用することが可能になる。
本発明では、噴霧量を肌に対して液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないような値にすることで、肌に対して液体を噴霧し続けても、肌に付着した液体が垂れることがないようにしている。従って、肌に対して液体を噴霧し続けた場合に肌に付着した液体が垂れることがないので、例えば使用者の顔面に対して液体を噴霧した場合に、使用者の快適性を向上させることができる。
また、上記第2の発明では、噴霧量が毎秒1.5μL以下であれば肌に向けて液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないことを考慮して、噴霧量を毎秒1.5μL以下に設定している。このため、使用者に不快感を与えることなく、例えば化粧用の液体のような顔の肌に対して有用な液体を顔に供給し続けることができる。
また、上記第3の発明では、涙液の蒸発量を補うために必要な噴霧量が毎秒1.0μL程度であること、さらに噴霧量が毎秒1.0μL以下であれば顔面に向けて液体を噴霧し続けても眼球に付着した液体が垂れないことを考慮して、噴霧量を毎秒1.0μL以下にしている。これにより、噴霧装置(10)を顔面に向けて使用するときに、涙に含まれる有用な物質が眼球に付着した液体と共に流れることを防止した上で、適度な量の液滴によって効果的にドライアイを緩和させることができる。
また、上記第4の発明では、使用者が飛散する液滴を感じない値として、噴霧量が毎秒0.3μL未満に設定されている。従って、使用者が飛散する液滴を感じないので、使用者がさらに快適に噴霧装置(10)を使用することができる。
また、上記第6の発明では、ノズル部(20)から60cm程度離れた使用者にまで効率的に液滴を付着させることができるような粒径の液滴が形成されるように、噴霧する液体の電気抵抗率や印加する電圧の大きさが設定されている。従って、ノズル部(20)の位置を使用者から60cm程度離すことができるので、使用者の快適性を向上させることができる。
なお、この噴霧装置(10)をパーソナルコンピュータ(16)のディスプレイ(18)の上に設置して使用する場合、噴霧装置(10)とパーソナルコンピュータ(16)の使用者との距離は、概ね40cmから60cm程度になる。この第6の発明では、このような使用状態において効率的に液滴を使用者に供給することができる。
また、上記第8の発明では、パーソナルコンピュータ(16)を使用しながら噴霧装置(10)を使用する場合に、パーソナルコンピュータ(16)が電力を供給可能な接続端子(19)を具備していれば、噴霧装置(10)をその接続端子(19)に接続するだけで、噴霧装置(10)を使用することが可能になる。このため、使用者は電力を得るためのコンセントを準備する必要がないので、噴霧装置(10)の使いやすさを向上させることができる。また、電力を得るために電池や充電池を内部に具備させる場合に比べて、噴霧装置(10)の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、本発明に係る噴霧装置として構成された静電噴霧装置(10)である。この静電噴霧装置(10)は、化粧用の液体を使用者の顔の肌に連続的に供給するためのものである。
この静電噴霧装置(10)は、図1に示すように、ケーシング(11)と容器部(15)と噴霧ノズル(20)と液搬送部(22)と電源用接続部(29)と電源部(25)と運転制御部(26)とを備えている。容器部(15)と液搬送部(22)と電源部(25)と運転制御部(26)は、ケーシング(11)に収容されている。また、噴霧ノズル(20)は、ケーシング(11)の前面から突出するように設けられている。
容器部(15)は、噴霧する液体を貯留するためものである。容器部(15)は、円筒状に形成されている。容器部(15)の一端には後述する接続管(13)を接続するための貫通孔が形成され、容器部(15)の他端には後述する液搬送部(22)のロッドを挿入するための貫通孔が形成されている。容器部(15)には、噴霧する液体として、肌の保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(例えばヒアルロン酸を含む溶液)が貯留されている。この化粧用の液体は、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下の範囲の値になるように濃度が調整されている。
噴霧ノズル(20)は、液体を噴霧するためのノズル部であって、ステンレス製の円管として構成されている。噴霧ノズル(20)には、内径が0.2mmのものが用いられている。噴霧ノズル(20)の先端部(20a)は、先端ほど外径が小さくなるように形成されている。先端部(20a)の外周面は、頂角が20度の円錐面になっている。噴霧ノズル(20)は、接続管(13)を介して容器部(15)の内部に連通している。なお、この実施形態では噴霧ノズル(20)の本数が1本であるが、噴霧ノズル(20)の本数が複数であってもよい。
液搬送部(22)は、いわゆるシリンジポンプである。液搬送部(22)は、容器部(15)内を加圧するためのピストン部(23)と、ピストン部(23)を移動させるためのモータ部(24)とを備えている。ピストン部(23)は、円板状に形成されており、外周が容器部(15)の内周面に密着する状態で容器部(15)内に設けられている。容器部(15)内は、ピストン部(23)よりも前面側が液体で満たされている。ピストン部(23)の背面は、ロッドを介してモータ部(24)に接続されている。
液搬送部(22)では、モータ部(24)が駆動すると、ピストン部(23)が少しずつ前方に移動する。ピストン部(23)が前方に移動すると、容器部(15)内の液体が押し出されて噴霧ノズル(20)に供給される。液搬送部(22)は、毎秒0.1μL以上1.5μL以下の範囲の量の値(例えば毎秒1.5μL)の液体を噴霧ノズル(20)に供給するように構成されている。液搬送部(22)が噴霧ノズル(20)に供給する液体の量は、噴霧ノズル(20)から噴霧しようとする液体の量になっている。
電源用接続部(29)は、USBコード(14)を接続可能に構成されている。また、電源用接続部(29)は、電源部(25)と電気的に接続されている。電源用接続部(29)が、USBコード(14)を介して、パーソナルコンピュータ(16)の本体(17)のUSBポート(19)に接続されると、電源部(25)にはパーソナルコンピュータ(16)の本体(17)から電力が供給される。
電源部(25)は、USBポート(19)からの供給された電力を、モータ部(24)及び運転制御部(26)に供給するように構成されている。また、電源部(25)は、USBポート(19)からの供給された電流の電圧(5V)を、5kV以上11kV以下の範囲の高電圧(例えば6kV)に変換して噴霧ノズル(20)に印加するように構成されている。
運転制御部(26)は、静電噴霧装置(10)の運転を制御するための部分である。運転制御部(26)は、静電噴霧装置(10)の電源がON状態に設定されると、液搬送部(22)のモータ部(24)を駆動させると共に、噴霧ノズル(20)に電圧を印加するように電源部(25)に指令を出すように構成されている。
−運転動作−
本実施形態の静電噴霧装置(10)の運転動作について説明する。この静電噴霧装置(10)は、図2に示すようなパーソナルコンピュータ(16)のディスプレイ(18)の上に設置された状態で使用される。電源用接続部(29)には、一端がパーソナルコンピュータ(16)の本体(17)のUSBポート(19)に接続されたUSBコード(14)が接続される。なお、ケーシング(11)には、ディスプレイ(18)の上部を挟み込むことによってケーシング(11)をディスプレイ(18)の上部に固定するための固定部が設けられている(図示省略)。
本実施形態の静電噴霧装置(10)の運転動作について説明する。この静電噴霧装置(10)は、図2に示すようなパーソナルコンピュータ(16)のディスプレイ(18)の上に設置された状態で使用される。電源用接続部(29)には、一端がパーソナルコンピュータ(16)の本体(17)のUSBポート(19)に接続されたUSBコード(14)が接続される。なお、ケーシング(11)には、ディスプレイ(18)の上部を挟み込むことによってケーシング(11)をディスプレイ(18)の上部に固定するための固定部が設けられている(図示省略)。
この状態で、静電噴霧装置(10)の電源がON状態に設定されると、電源部(25)によって噴霧ノズル(20)に電圧が印加されて噴霧ノズル(20)の先端部に電界が形成されると共に、液搬送部(22)のモータ部(24)が駆動する。この実施形態では、噴霧ノズル(20)自らが電界形成部(31)を構成している。
モータ部(24)が駆動すると、ピストン部(23)が容器部(15)内を少しずつ前方に移動し、容器部(15)内の液体が押し出されて噴霧ノズル(20)に供給される。噴霧ノズル(20)には、毎秒1.5μLの液体が供給される。噴霧ノズル(20)の先端には電界が形成されているので、噴霧ノズル(20)内の液体が分極し、噴霧ノズル(20)の先端の気液界面近傍に+(プラス)の電荷が集まる。そして、噴霧ノズル(20)の先端では、気液界面が引き延ばされて円錐状となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。噴霧ノズル(20)からは、容器部(15)から供給された量と等しい量(毎秒1.5μL)の液体が液滴化する。
この実施形態の印加電圧の大きさ、及び液体の電気抵抗率であれば、噴霧ノズル(20)から飛散する液滴の大きさは、概ね50μmから200μmの範囲の大きさになる。噴霧ノズル(20)から飛散した液体は、噴霧ノズル(20)の先端から40から60cm程度離れた使用者(P)に向かって飛散し、使用者(P)の顔の肌や眼球に付着する。
噴霧ノズル(20)の先端から使用者(P)の顔面までの距離が40cmの条件で使用する場合に、顔面における液体の付着する領域は、直径が20cm程度の円になる。このため、顔面に付着する液体量は毎秒0.0045μL/cm2程度の値になる。この値は、人間の顔面に対して液体を噴霧し続けても顔面に付着した液体が垂れない値である。従って、この静電噴霧装置(10)は、この条件で使用する場合に、顔面に付着した液体が垂れることなく使用することができる。なお、噴霧ノズル(20)を複数にする場合は、噴霧ノズル(20)の合計の噴霧量が毎秒0.1μL以上1.5μL以下の範囲の量の値になるようにする。
−実施形態の効果−
本実施形態では、噴霧ノズル(20)からの噴霧量を人間の顔面に対して液体を噴霧し続けても顔面に付着した液体が垂れないような値にすることで、人間の顔面に対して液体を噴霧し続けても、顔面に付着した液体が垂れることがないようにしている。従って、従来の静電噴霧装置のように顔面に対して液体を噴霧し続けた場合に顔面に付着した液体が垂れることがないので、使用者の快適性を向上させることができる。
本実施形態では、噴霧ノズル(20)からの噴霧量を人間の顔面に対して液体を噴霧し続けても顔面に付着した液体が垂れないような値にすることで、人間の顔面に対して液体を噴霧し続けても、顔面に付着した液体が垂れることがないようにしている。従って、従来の静電噴霧装置のように顔面に対して液体を噴霧し続けた場合に顔面に付着した液体が垂れることがないので、使用者の快適性を向上させることができる。
また、本実施形態では、噴霧ノズル(20)からの噴霧量が毎秒1.5μL以下であれば、顔面に向けて液体を噴霧し続けても顔に付着した液体が垂れないことを考慮して、噴霧ノズル(20)からの噴霧量を毎秒1.5μL以下にしている。このため、使用者に不快感を与えることなく、化粧用の液体のような顔の肌に対して有用な液体を顔に供給し続けることができる。
また、本実施形態では、噴霧ノズル(20)から60cm程度離れた使用者にまで効率的に液滴を付着させることができるような粒径の液滴が形成されるように、噴霧する液体の電気抵抗率や印加する電圧の大きさが設定されている。従って、噴霧ノズル(20)の位置を使用者から60cm程度離すことができるので、使用者の快適性を向上させることができる。
また、本実施形態では、パーソナルコンピュータ(16)を使用しながら静電噴霧装置(10)を使用する場合に、パーソナルコンピュータ(16)がUSBポート(19)を具備していれば、静電噴霧装置(10)をそのUSBポート(19)に接続するだけで、静電噴霧装置(10)を使用することが可能になる。このため、使用者は電力を得るためのコンセントを準備する必要がないので、静電噴霧装置(10)の使いやすさを向上させることができる。また、電力を得るために電池や充電池を内部に具備させる場合に比べて、静電噴霧装置(10)の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
−実施形態の変形例1−
実施形態の変形例1について説明する。この変形例1では、噴霧量が毎秒0.3μLを超えると使用者が飛散する液滴を感知してしまうので、使用者が飛散する液滴を感じないように、噴霧量が毎秒0.3μL未満の値(例えば毎秒0.2μL)に設定されている。
従って、使用者がさらに快適に噴霧装置(10)を使用することができる。
実施形態の変形例1について説明する。この変形例1では、噴霧量が毎秒0.3μLを超えると使用者が飛散する液滴を感知してしまうので、使用者が飛散する液滴を感じないように、噴霧量が毎秒0.3μL未満の値(例えば毎秒0.2μL)に設定されている。
従って、使用者がさらに快適に噴霧装置(10)を使用することができる。
なお、この変形例1では、噴霧ノズル(20)の先端から使用者(P)の顔面までの距離が15cmの条件で使用する場合に、顔面における液体の付着する領域の直径が7.5cm程度の円になり、顔面に付着する液体の量は毎秒0.0045μL/cm2になる。つまり、この静電噴霧装置(10)は、噴霧ノズル(20)の先端から使用者(P)の顔面までの距離が15cm以上であれば、顔面に付着した液体が垂れることなく使用することができる。
−実施形態の変形例2−
実施形態の変形例2について説明する。この変形例2の静電噴霧装置(10)は、ドライアイを緩和させるために使用されるものとして構成されている。
実施形態の変形例2について説明する。この変形例2の静電噴霧装置(10)は、ドライアイを緩和させるために使用されるものとして構成されている。
具体的に、容器部(15)には、噴霧する液体として、点眼用の液体が用いられる。この点眼用の液体は、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下の範囲の値の液体である。
この静電噴霧装置(10)は、上記実施形態と同じように、パーソナルコンピュータ(16)のディスプレイ(18)の上に設置された状態で使用される。帯電した液滴は湿っている場所に引き寄せられるので、顔面に向けて液体を噴霧すると、比較的多くの液滴が眼球に到達する。なお、使用者がメガネをしている場合でも、眼球に向かう液滴の多くはメガネを避けて眼球に到達する。噴霧ノズル(20)から飛散した液体は、噴霧ノズル(20)の先端から40から60cm程度離れた使用者(P)に向かって飛散し、使用者(P)の眼球や顔面の肌に付着する。
この静電噴霧装置(10)では、液搬送部(22)が、毎秒0.1μL以上1.0μL以下の範囲の量(例えば、毎秒1.0μL)の液体を噴霧ノズル(20)に供給するように構成されている。このため、噴霧ノズル(20)の噴霧量は、容器部(15)から供給された量と等しい量(毎秒1.0μL)になる。
この静電噴霧装置(10)では、涙液の蒸発量を補うために必要な噴霧量が毎秒1.0μL程度であること、さらに噴霧量が毎秒1.0μL以下であれば顔面に向けて液体を噴霧し続けても眼球に付着した液体が垂れないことを考慮して、噴霧量を毎秒1.0μL以下にしている。従って、涙に含まれる有用な物質が眼球に付着した液体と共に流れることを防止した上で、適度な量の液滴によって効果的にドライアイを緩和させることができる。
なお、噴霧量を毎秒0.1μL以上にするのは、噴霧量がこの値よりも小さい場合には、涙膜の破壊を抑制するのに十分な液滴の量が眼球に到達しないので、ドライアイを緩和させる効果がほとんど得られないためである。なお、例えば噴霧量を0.1μLに設定すれば、噴霧ノズル(20)の先端から使用者(P)の顔面までの距離が40cmの条件で使用する場合に、蒸発する涙液の10%程度の液体を眼球に供給することができ、ドライアイを緩和させる効果を得ることができる。なお、噴霧ノズル(20)の先端から使用者(P)の顔面までの距離が15cmの条件で使用すれば、涙液の平均的な蒸発量に概ね等しい量の液体を眼球に供給することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、噴霧する液体が、のど粘膜の保護成分を含む溶液であってもよい。
また、上記実施形態について、噴霧装置(10)が超音波噴霧装置であってもよい。
また、上記実施形態について、静電噴霧装置(10)が、USBポート(19)以外のパーソナルコンピュータ(16)おける電力を供給可能な接続端子(19)(例えばIEEE1394)に接続可能に構成されていてもよい。電源用接続部(29)は、IEEE1394用の接続コードを接続可能に構成されている。
また、上記実施形態について、電界形成部(31)が、2つの電極から構成されていてもよい。この場合、2つの電極のうち一方が噴霧ノズル(20)内の液体に接触し、他方が噴霧ノズル(20)内の液体から絶縁される。電源部(25)によってこれらの電極間に電位差が与えられると、噴霧ノズル(20)の先端部に電界が形成される。なお、この場合、静電噴霧装置(10)が、電界形成部(31)を交番可能に構成されていてもよい。すなわち、運転中に所定の時間間隔で2つの電極の極性の切換が行われるように、静電噴霧装置(10)を構成する。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、液体を霧化して噴霧する噴霧装置について有用である。
10 静電噴霧装置(噴霧装置)
15 容器部
16 パーソナルコンピュータ
19 USBポート(接続端子)
20 ノズル部(噴霧ノズル)
22 液搬送部
31 電界形成部
15 容器部
16 パーソナルコンピュータ
19 USBポート(接続端子)
20 ノズル部(噴霧ノズル)
22 液搬送部
31 電界形成部
Claims (8)
- 液体を霧化して噴霧する噴霧装置であって、
連続的に液体を噴霧し続けても肌に付着した液体が垂れないような噴霧量に設定されていることを特徴とする噴霧装置。 - 請求項1において、
上記噴霧量は、毎秒1.5μL以下に設定されていることを特徴とする噴霧装置。 - 請求項1において、
上記噴霧量は、毎秒1.0μL以下に設定されていることを特徴とする噴霧装置。 - 請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
上記噴霧量は、毎秒0.1μL以上に設定されていることを特徴とする噴霧装置。 - 請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
噴霧する液体を貯留する容器部(15)と、
上記容器部(15)内に連通するノズル部(20)と、
電圧が印可されることによって上記ノズル部(20)の先端部に電界を形成する電界形成部(31)とを備え、
上記電界形成部(31)によって上記ノズル部(20)の先端部に電界を形成することによって該ノズル部(20)の先端から液体を噴霧することを特徴とする噴霧装置。 - 請求項5において、
上記容器部(15)には、噴霧する液体として、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下の範囲の値の液体が貯留され、
上記電界形成部(31)には、5kV以上11kV以下の範囲の値の電圧が印加されることを特徴とする噴霧装置。 - 請求項5又は6において、
上記噴霧しようとする量と同じ量の液体を上記ノズル部(20)に送り出す液搬送部(22)を備えていることを特徴とする噴霧装置。 - 請求項5乃至7の何れか1つにおいて、
パーソナルコンピュータ(16)おける電力を供給可能な接続端子(19)に接続可能に構成され、上記電界形成部(31)に電圧を印加するための電力を該接続端子(19)を通じて得るように構成されていることを特徴とする噴霧装置。
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JP2010155200A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Daikin Ind Ltd | 静電噴霧装置 |
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2007
- 2007-12-25 JP JP2007331366A patent/JP2008279243A/ja active Pending
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