JP2008277685A - 密着性に優れたtftトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線膜および電極膜並びにそれらを形成するためのスパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金薄膜からなる密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線および電極、並びにこれらを形成するためのスパッタリングターゲット。
【選択図】なし
Description
このTFTトランジスターを図1の断面概略説明図に基づいて説明すると、TFTトランジスターはガラス基板1の表面に金属膜からなる配線2が形成されており、この配線2の上にSiN膜3が形成されており、さらにSiN膜3の上にアモルファスSi膜4が形成されており、さらにアモルファスSi膜4の上に金属膜からなるドレイン電極5およびソース電極6が形成されている。ガラス基板1の表面に形成されている配線2並びにアモルファスSi膜4の上に形成されているドレイン電極5およびソース電極6は一般に純銅膜が使用されている。
しかし、純銅膜で構成されている配線2はガラス基板1に対する密着性が悪く、ドレイン電極5およびソース電極6はアモルファスSi膜4と容易に合金を形成する。そのために、近年、配線2、ドレイン電極5およびソース電極6には、ガラス基板1に対して密着性に優れ、アモルファスSi膜4に対し合金を形成し難い酸素を含む銅膜が使用されるようになってきた(特許文献1、2参照)。
(イ)純銅(特に純度:99.99%以上の無酸素銅)に、酸素を0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有した成分組成を有する銅合金膜は、従来の酸素を含む銅膜に比べて、電気抵抗がほぼ同じでかつガラス基板およびアモルファスSiに対する密着性が一層優れていることから、この成分組成を有する銅合金膜をTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線および電極として使用した場合に激しい振動を長期間受ける過酷な環境下にあっても剥離することがなく、したがって、故障することがないので信頼性が一層向上する、
(ロ)前記フラットパネルディスプレイ用配線および電極を構成する銅合金膜は、酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する前記銅合金膜と同じ成分組成を有するターゲットを用いてスパッタリングすることにより形成される、という研究結果が得られたのである。
(1)酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなる密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線、
(2)酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなる密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用電極、
(3)酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線または電極を形成するためのスパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
配線および電極を構成する銅合金膜に含まれる酸素を0.4〜6原子%に限定したのは、TFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイにおける配線および電極を構成する銅合金膜に酸素を含有させることにより密着強度を向上させることができるが、その含有量が0.4原子%未満では密着強度の十分な効果が得られないので好ましくなく、一方、6原子%を越えて含有すると電気抵抗が上昇し、フラットパネルディスプレイにおける配線および電極に使用する膜としては好ましくないからである。
さらに、配線および電極を構成する銅合金膜に含まれるNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%に限定したのは、これら成分は酸素と共存することによりガラス基板およびアモルファスSi膜表面に対する密着性を一層向上させる作用を有するので添加するが、これら成分のうちの1種または2種以上を合計で0.001原子%未満添加しても密着強度向上の効果が得られず、一方、3原子%を越えて添加すると、配線および電極の電気抵抗が上昇するので好ましくないことによるものである。
この発明の銅合金膜を成膜するためのターゲットに含まれる酸素を0.4〜6原子%に限定したのは、ターゲットに含まれる酸素が0.4原子%未満ではスパッタリングすることにより形成される銅合金膜に含まれる酸素が0.4原子%未満となって所望の効果が得られなくなるので好ましくなく、一方、ターゲットに含まれる酸素が6原子%を越えて含まれるようになると、スパッタリングして得られた膜の密着性は向上するものの電気抵抗が上昇するので好ましくないからである。
さらに、銅合金膜を成膜するためのターゲットに含まれるNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%に限定したのは、これら成分のうちの1種または2種以上を合計で0.001原子%より少なく添加したターゲットは、これを用いてスパッタリングしてもNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001原子%未満含有する銅合金膜が形成されて十分な密着性を有する銅合金膜が得られないので好ましくないからであり、一方、3原子%を越えて添加したターゲットを使用してスパッタリングすると、成膜される銅合金膜に含まれるこれら成分の含有量が3原子%を越えるようになり、電気抵抗が上昇するので好ましくないことによるものである。
本発明ターゲット1〜24、比較ターゲット1〜6および従来ターゲット1を無酸素銅製バッキングプレートにはんだ付けして得られたバッキングプレート付きターゲットを、ターゲットとガラス基板およびターゲットとアモルファスSiを成膜したガラス基板との距離が70mmとなるようにスパッタリング装置にセットし、
電源:直流方式、
スパッタパワー:600W、
到達真空度:4×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:Ar、
Arガス圧:0.67Pa、
ガラス基板加熱温度:150℃、
の条件で1分間成膜し、ガラス基板およびアモルファスSiを成膜したガラス基板の表面に、厚さ:300nmを有し、表3〜4に示される成分組成を有する本発明銅合金膜1〜24、比較銅合金膜1〜6および従来銅合金膜1を形成した。
さらに、ガラス基板およびアモルファスSiを成膜したガラス基板の表面に形成された厚さ:300nmを有する本発明銅合金膜1〜24、比較銅合金膜1〜6および従来銅合金膜1を赤外線加熱炉に装入し、到達真空度:4×10−4Paの真空雰囲気中、昇温速度:5℃/min、最高温度:350℃、30分間保持の熱処理を施した。これら熱処理を施した本発明銅合金膜1〜20、比較銅合金膜1〜6および従来銅合金膜1の5点の比抵抗を四探針法により測定し、その平均値を求め、それらの結果を表3〜4に示した。
Claims (4)
- 酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなることを特徴とする密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線。
- 酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなることを特徴とする密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用電極。
- 酸素:0.4〜6原子%を含有し、さらにNi、CoおよびZnのうちの1種または2種以上を合計で0.001〜3原子%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなることを特徴とする密着性に優れたTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ用配線または電極を形成するためのスパッタリングターゲット。
- 請求項1記載の配線および請求項2記載の電極を形成したTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイ。
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