JP2009167494A - 密着性に優れた銅合金薄膜並びにこの銅合金薄膜からなる液晶表示装置用配線および電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示装置の配線および電極を形成するための銅合金薄膜を提供する。
【解決手段】フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する密着性に優れた銅合金薄膜。
【選択図】なし
【解決手段】フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する密着性に優れた銅合金薄膜。
【選択図】なし
Description
この発明は、ガラス基板に対する密着性に優れた銅合金薄膜に関するものであり、この銅合金薄膜は液晶表示装置の配線および電極など使用されるものである。
一般に、フラットパネルディスプレイなどの液晶表示装置にはガラス基板表面に格子状に銅合金薄膜からなる配線が密着して形成されており、この純銅合金薄膜からなる格子状配線の交差点にTFTトランジスターが設けられており、このTFTトランジスターのゲート電極にも銅合金薄膜が使用されている。これらガラス基板表面に形成された銅合金薄膜からなる配線およびTFTトランジスターのゲート電極はガラス基板表面に対する密着性が低いために軽微な振動を受けても剥離し、そのために故障の原因となっていた。これを改善するために、酸素を含有させた銅合金薄膜が提案されており(特許文献1参照)、この酸素を含有した銅合金薄膜はガラス基板表面に対する密着性が優れているなることが知られている。
特開平8−26889号公報
近年、液晶表示装置は益々大型化しており、50インチ以上の大型液晶パネルが量産されるようになって来た。そのために液晶表示装置のガラス基板表面に形成されている配線は長くなり、さらに益々細くすることが求められている。しかし、配線は細くなるほど振動などに対して剥離しやすくなり、そのために配線の比抵抗を低く維持するとともに配線が剥離することのないようにガラス基板表面に対する密着性に一層優れた銅合金薄膜が求められている。
そこで、本発明者等は、比抵抗が低く、しかもガラス基板表面に対する密着性に優れた銅合金薄膜を開発し、これを液晶表示装置における配線および電極に適用すべく研究を行った。
その結果、純銅(特に純度:99.99%以上の無酸素銅)にフッ素:0.01〜5原子%を含有させ、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有した銅合金薄膜は、従来の純銅薄膜の比抵抗に比べて大幅に上昇することなく、さらにガラス基板表面に対する密着性が一段と優れていることから、かかる成分組成を有する銅合金薄膜を液晶表示装置の配線および電極として使用した場合に優れた効果を奏する、という研究結果が得られたのである。
その結果、純銅(特に純度:99.99%以上の無酸素銅)にフッ素:0.01〜5原子%を含有させ、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有した銅合金薄膜は、従来の純銅薄膜の比抵抗に比べて大幅に上昇することなく、さらにガラス基板表面に対する密着性が一段と優れていることから、かかる成分組成を有する銅合金薄膜を液晶表示装置の配線および電極として使用した場合に優れた効果を奏する、という研究結果が得られたのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する密着性に優れた銅合金薄膜、
(2)前記(1)記載の成分組成を有する銅合金薄膜からなる密着性に優れた液晶表示装置用配線、
(3)前記(1)記載の成分組成を有する銅合金薄膜からなる密着性に優れた液晶表示装置用電極、に特徴を有するものである。
(1)フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する密着性に優れた銅合金薄膜、
(2)前記(1)記載の成分組成を有する銅合金薄膜からなる密着性に優れた液晶表示装置用配線、
(3)前記(1)記載の成分組成を有する銅合金薄膜からなる密着性に優れた液晶表示装置用電極、に特徴を有するものである。
この発明の銅合金薄膜並びにこの銅合金薄膜からなる液晶表示装置の配線および電極は、Ca、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有する銅合金ターゲットを用い、フッ素ガスを含む不活性ガス中でスパッタリングすることにより成膜することができるが、フッ素ガスは取り扱いが難しい。そのために、F:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有するターゲットをあらかじめ作製し、このターゲットを用い、不活性ガス雰囲気中でスパッタリングすることにより形成することが簡単で一層好ましい。そして、この不活性ガス雰囲気中でスパッタリングする際に使用するターゲットは、原料粉末として純度:99.99%以上の無酸素銅粉末、Cu−Ca二元系合金粉末、Cu−Mg二元系合金粉末、Cu−Zn二元系合金粉末などの金属粉末を用意し、さらにCaのフッ化物(例えば、CaF2)粉末、Mgのフッ化物(例えばMgF2)粉末、Znのフッ化物(例えばZnF2)粉末などのフッ化物粉末を用意し、これら原料粉末をフッ素:0.01〜5原子%、Ca、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有するように配合し混合し、得られた混合粉末を加圧成型して加圧成型体を作製し、この加圧成型体を不活性ガス雰囲気中、温度:700〜1000℃で焼結し、得られた焼結体を所定の寸法に切削することにより得られる。したがって、この発明は、
(4)フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有するスパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
(4)フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有するスパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
次に、この発明の銅合金薄膜並びにこの銅合金薄膜からなる液晶表示装置における配線および電極の成分組成の範囲を前述のごとく限定した理由を説明する。
(a)フッ素:
配線および電極を構成する銅合金薄膜に含まれるフッ素はガラス基板表面に対する密着性を一層向上させ、さらに下地のガラス基板に含まれるSiの銅合金薄膜への拡散を防止する作用を有するので添加するが、フッ素を0.01原子%未満添加しても所望の効果が得られず、一方、5原子%を越えて添加すると、配線および電極を構成する銅合金薄膜の比抵抗が上昇するので好ましくない。したがって、配線および電極を構成する銅合金薄膜に含まれるフッ素:0.01〜5原子%に定めた。
(b)Ca、MgおよびZn
これら成分はガラス基板に対する密着性を一層向上させるので添加するが、その含有量が0.01原子%未満添加しても所望の効果が得られず、一方、2.5原子%を越えて添加すると、配線および電極を構成する銅合金薄膜の比抵抗が大きく上昇するので好ましくない。したがって、配線および電極を構成する銅合金薄膜に含まれるCa、MgおよびZnを0.01〜2.5原子%に定めた。
(a)フッ素:
配線および電極を構成する銅合金薄膜に含まれるフッ素はガラス基板表面に対する密着性を一層向上させ、さらに下地のガラス基板に含まれるSiの銅合金薄膜への拡散を防止する作用を有するので添加するが、フッ素を0.01原子%未満添加しても所望の効果が得られず、一方、5原子%を越えて添加すると、配線および電極を構成する銅合金薄膜の比抵抗が上昇するので好ましくない。したがって、配線および電極を構成する銅合金薄膜に含まれるフッ素:0.01〜5原子%に定めた。
(b)Ca、MgおよびZn
これら成分はガラス基板に対する密着性を一層向上させるので添加するが、その含有量が0.01原子%未満添加しても所望の効果が得られず、一方、2.5原子%を越えて添加すると、配線および電極を構成する銅合金薄膜の比抵抗が大きく上昇するので好ましくない。したがって、配線および電極を構成する銅合金薄膜に含まれるCa、MgおよびZnを0.01〜2.5原子%に定めた。
この発明の液晶表示装置における配線および電極は、ガラス基板表面に対する密着性に優れ、比抵抗が低いことから高精細化し大型化した液晶表示装置の配線および電極に使用しても消費電力を少なくすることができるなど優れた効果を奏するものである。
実施例
ガスアトマイズすることにより得られたいずれも平均粒径:1.0μmを有する純度:99.99質量%の無酸素銅粉末、Cu−Ca二元系合金粉末、Cu−Mg二元系合金粉末、Cu−Zn二元系合金粉末を用意した。
ガスアトマイズすることにより得られたいずれも平均粒径:1.0μmを有する純度:99.99質量%の無酸素銅粉末、Cu−Ca二元系合金粉末、Cu−Mg二元系合金粉末、Cu−Zn二元系合金粉末を用意した。
さらにいずれも平均粒径:0.2μmを有するCaF2粉末、MgF2粉末およびZnF2粉末を用意した。
先に用意した無酸素銅粉末、Cu−Ca二元系合金粉末、Cu−Mg二元系合金粉末、Cu−Zn二元系合金粉末にCaF2粉末、MgF2粉末およびZnF2粉末を配合し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を金型に充填して成型し、得られた成型体をArガス雰囲気中、温度:950℃で焼成し、得られた焼成体の表面を旋盤加工して外径:200mm×厚さ:5mmの寸法を有し、表1に示される成分組成を有する本発明ターゲット1〜19および比較ターゲット1〜4を作製した。
先に用意した無酸素銅粉末、Cu−Ca二元系合金粉末、Cu−Mg二元系合金粉末、Cu−Zn二元系合金粉末にCaF2粉末、MgF2粉末およびZnF2粉末を配合し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を金型に充填して成型し、得られた成型体をArガス雰囲気中、温度:950℃で焼成し、得られた焼成体の表面を旋盤加工して外径:200mm×厚さ:5mmの寸法を有し、表1に示される成分組成を有する本発明ターゲット1〜19および比較ターゲット1〜4を作製した。
これらバッキングプレート付きターゲットを、ターゲットとガラス基板(縦:50mm、横:50mm、厚さ:0.7mmの寸法を有するコーニング社製1737)との距離:70mmとなるようにセットし、
電源:直流方式、
スパッタパワー:500W、
到達真空度:4×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:Arガス、
Arガス圧:0.67Pa、
ガラス基板加熱温度:150℃、
の条件でスパッタリングすることによりガラス基板の表面に厚さ:300nmを有し、表2〜3に示される成分組成を有する本発明銅合金薄膜1〜19および比較銅合金薄膜1〜4を形成した。
電源:直流方式、
スパッタパワー:500W、
到達真空度:4×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:Arガス、
Arガス圧:0.67Pa、
ガラス基板加熱温度:150℃、
の条件でスパッタリングすることによりガラス基板の表面に厚さ:300nmを有し、表2〜3に示される成分組成を有する本発明銅合金薄膜1〜19および比較銅合金薄膜1〜4を形成した。
得られた本発明銅合金薄膜1〜19および比較銅合金薄膜1〜4の5点の比抵抗を四探針法により測定し、その平均値を求め、それらの結果を表2〜3に示した。
さらに、得られた本発明銅合金薄膜1〜19および比較銅合金薄膜1〜4に、JIS-K5400に準じ、1mm間隔で碁盤目状に切れ目を入れた後、3M社製スコッチテープで引き剥がす碁盤目付着試験を実施し、ガラス基板中央部の10mm角内でガラス基板に付着していた100個の碁盤目の内で密着している碁盤目の数を測定し、その結果を(密着数/100)として表2〜3に示し、ガラス基板に対する密着性を評価した。
従来例
溶解鋳造して得られた純銅ターゲットを用意し、この純銅ターゲットをターゲットとガラス基板(縦:50mm、横:50mm、厚さ:0.7mmの寸法を有するコーニング社製1737)との距離:70mmとなるようにセットし、
電源:直流方式、
スパッタパワー:500W、
到達真空度:4×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:Arガス、
Arガス圧:0.67Pa、
ガラス基板加熱温度:150℃、
の条件でスパッタリングすることによりガラス基板の表面に厚さ:300nmを有し、表3に示される純銅からなる薄膜(以下、従来薄膜1という)を形成した。
さらに、先に用意した純銅ターゲットを用い、雰囲気ガス組成を酸素:
2容量%含むArガスとする以外は同じ条件でスパッタリングすることにより表5に示される酸素含有銅からなる薄膜(以下、従来薄膜2という)を形成した。
このようにして得られた従来薄膜1〜2について、実施例1と同様にして比抵抗を測定し、さらにガラス基板に対する密着性を評価し、その結果を表3に示した。
さらに、得られた本発明銅合金薄膜1〜19および比較銅合金薄膜1〜4に、JIS-K5400に準じ、1mm間隔で碁盤目状に切れ目を入れた後、3M社製スコッチテープで引き剥がす碁盤目付着試験を実施し、ガラス基板中央部の10mm角内でガラス基板に付着していた100個の碁盤目の内で密着している碁盤目の数を測定し、その結果を(密着数/100)として表2〜3に示し、ガラス基板に対する密着性を評価した。
従来例
溶解鋳造して得られた純銅ターゲットを用意し、この純銅ターゲットをターゲットとガラス基板(縦:50mm、横:50mm、厚さ:0.7mmの寸法を有するコーニング社製1737)との距離:70mmとなるようにセットし、
電源:直流方式、
スパッタパワー:500W、
到達真空度:4×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:Arガス、
Arガス圧:0.67Pa、
ガラス基板加熱温度:150℃、
の条件でスパッタリングすることによりガラス基板の表面に厚さ:300nmを有し、表3に示される純銅からなる薄膜(以下、従来薄膜1という)を形成した。
さらに、先に用意した純銅ターゲットを用い、雰囲気ガス組成を酸素:
2容量%含むArガスとする以外は同じ条件でスパッタリングすることにより表5に示される酸素含有銅からなる薄膜(以下、従来薄膜2という)を形成した。
このようにして得られた従来薄膜1〜2について、実施例1と同様にして比抵抗を測定し、さらにガラス基板に対する密着性を評価し、その結果を表3に示した。
Claims (5)
- フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有することを特徴とする密着性に優れた銅合金薄膜。
- 請求項1記載の成分組成を有する銅合金薄膜からなることを特徴とする密着性に優れた液晶表示装置用配線。
- 請求項1記載の成分組成を有する銅合金薄膜からなることを特徴とする密着性に優れた液晶表示装置用電極。
- フッ素:0.01〜5原子%を含有し、さらにCa、MgおよびZnの内の1種または2種以上を合計で0.01〜2.5原子%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる成分組成を有することを特徴とするスパッタリングターゲット。
- 請求項2記載の配線および請求項3記載の電極を形成した液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008009350A JP2009167494A (ja) | 2008-01-18 | 2008-01-18 | 密着性に優れた銅合金薄膜並びにこの銅合金薄膜からなる液晶表示装置用配線および電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008009350A JP2009167494A (ja) | 2008-01-18 | 2008-01-18 | 密着性に優れた銅合金薄膜並びにこの銅合金薄膜からなる液晶表示装置用配線および電極 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009167494A true JP2009167494A (ja) | 2009-07-30 |
Family
ID=40969010
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008009350A Withdrawn JP2009167494A (ja) | 2008-01-18 | 2008-01-18 | 密着性に優れた銅合金薄膜並びにこの銅合金薄膜からなる液晶表示装置用配線および電極 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009167494A (ja) |
-
2008
- 2008-01-18 JP JP2008009350A patent/JP2009167494A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20110405 |