JP2008273412A - タイヤ性能予測方法、地盤シミュレーション方法、タイヤ設計方法、記録媒体及びタイヤ性能予測プログラム - Google Patents

タイヤ性能予測方法、地盤シミュレーション方法、タイヤ設計方法、記録媒体及びタイヤ性能予測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】あらゆる地盤に対して精度良くタイヤ性能を予測することができる。
【解決手段】タイヤモデルを作成すると共に、実際の圃場計測を行った後にその計測データに基づいて圃場モデルを作成し(ステップ100〜104)、境界条件を設定し(ステップ108)、タイヤモデルの変形を計算し(ステップ110)し、地盤の水分を考慮して圃場モデルの変形を計算し(ステップ112)し、タイヤ表面における圃場の圧力等を計算し(ステップ114)し、タイヤに作用する摩擦力を計算し(ステップ116)し、タイヤモデルの変形に応じて圃場の境界面を認識して境界条件を付加し(ステップ118)、タイヤモデルに摩擦力を加えた表面力を付加し、結果を出力、評価する(ステップ122)。このようなタイヤ性能の結果出力、評価を繰り返す(ステップ122〜134)。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ性能予測方法、地盤シミュレーション方法、タイヤ設計方法、記録媒体及びタイヤ性能予測プログラムにかかり、自動車等に使用されるトレッドパターンを有するタイヤの地盤における性能、特に、土等を含む流体を介するタイヤ性能を予測するタイヤ性能予測方法、タイヤ周囲の地盤の挙動を模擬する地盤シミュレーション方法、タイヤ設計方法、記録媒体及びタイヤ性能予測プログラムに関する。
従来、空気入りタイヤ開発において、タイヤ性能は実際にタイヤを設計・製造し、自動車に装着して性能試験を行うことにより得られるものであり、性能試験の結果に満足できなければ設計・製造からやり直す、という手順を踏んできた。最近では、有限要素法等の数値解析手法や計算機環境の発達により、例えば、舗装路面を対象にしたタイヤ性能については、計算機でタイヤの剛体路面への荷重負荷、転動解析を行うことによる予測も可能になり、ここから幾つかの性能予測が行えるようになってきた。
また、雪上路面を対象にした性能についても、弾性域または塑性域を判別しつつ雪モデルの変形計算を行う技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、タイヤ性能については、水や雪などの流体や材料を考慮することを検討しているが、雪に類似した土壌を含んだ圃場が考え得る。圃場は土を材料として雪上性能の範疇で検討される可能性があるが、実際には、雪上を走行するタイヤと圃場を走行するタイヤとでは取り扱う現象が大きく異なる場合がある。すなわち、雪上性能は、垂直応力に対するせん断強度が支配的であると考えられる。これに対して、圃場性能は、非常に大きな沈下が生じた上で性能を発揮するので、垂直応力に対するせん断強度だけでは現象を再現できない。
このため、圃場の数値モデル化、圃場とタイヤの連成解析を行う技術が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。
特許第3305705号公報 特開2006−51840号公報 特開2006−131067号公報
しかしながら、上記特許文献2、3に記載された技術では、圃場で使用されるタイヤのトラクション(牽引力)性能を予測することは可能であるものの、例えば砂や礫(以下、粗粒土という)が支配的となる路面では、トラクション性能を予測するのは困難であった。なお、我が国では土質材料を(1)粗粒土(例えば砂)、(2)細粒土(例えば粘土)、(3)高有機質土と分類するが、圃場は、(1)〜(3)が混合されたものであると考えて良い。
また、上記特許文献2、3に記載された技術では、圃場の特性を表わすために、圃場の間隙比又は密度、圧力、せん断強度の関係を数式で近似することでトラクション性能等のタイヤ性能を予測している。
しかしながら、圃場に限らず、あるとあらゆる地盤材料、例えば水田のような軟弱な地盤から、石混じりの路面、砂漠のような地盤まで対応するには、これらの地盤材料を表現し得る構成則を用いる必要があるが、従来では雪上や圃場におけるせん断強度に着目したタイヤ性能の予測が主な目的となっているため水分率等が考慮されておらず、あらゆる地盤について精度良くタイヤ性能を予測することは困難であった。
実際の地盤材料は、一般的には粒子、水、及び空気から構成されるが、特許文献2、3に記載された技術では、粒子から成る構造及び粒子以外から成る構造の2相を考慮したシミュレーションとなっている。
しかしながら、この方法では、水分率によって異なる特性を解析するのは不可能であり、地盤が圧縮されればされるほど、圧力やせん断強度が増すようなモデルとなっているが、実際には地盤の水分が圧力やせん断強度に多大な影響を及ぼす。
例えば、地盤の圧縮初期、圧縮後期(水分率が十分に低い場合)、圧縮後期(水分率が十分が高い場合)においては、地盤は以下のようになる。
(1)地盤の圧縮初期
地盤材料の特徴として、ある初期状態にある地盤材料を圧縮する場合、粒子からなる骨格構造が破壊され、空隙が圧縮される。つまり間隙率が低下する。タイヤの下の地盤材料のように、いわゆる土木作業で見られる数日から数ヶ月かけて変形するような遅い変形と比べると、水分の移動する時間がない、このことから、間隙率は低下するものの水分の移動がないため、水分率は逆に上昇する。地盤の水分を考慮してシミュレーションする場合、この後のシミュレーションに違いが生じる。
(2)圧縮後期(水分率が十分に低い場合)
圧縮初期の状態からさらに圧縮された場合において水分率が十分に低い場合、地盤の骨格構造は完全に破壊されてこれ以上圧縮できない状態にまで達する。このとき、はじめの水分率が低いため、この状態においても空隙は水分で飽和せず、地盤は土粒子からなる骨格構造によりタイヤ荷重を支えている状態にある。これは上記従来技術で取り扱っている状態に近く、上記従来技術ではこの状態をモデルとしてシミュレーションしていると言える。
(3)圧縮後期(水分率が十分が高い場合)
圧縮初期の状態からさらに圧縮された場合において水分率が高い場合、地盤の骨格構造が完全に破壊される前に、空隙が水分で満たされた飽和状態になる。水はほぼ非圧縮性であるため、圧縮を引き起こす荷重は水の圧力のみで支えられる。このとき、土粒子から成る骨格構造は水に浮いた状態となり、骨格としての強度は無いに等しい。水分の高い水田や泥池、または降雨後の圃場など、タイヤがスタックする状態では、水が湧き出ていることがよく観察されるが、この状態にあたる。骨格構造の強度が失われ、かつせん断強度がほぼゼロであることから、飽和状態の土ではタイヤがスタックすることとなる。
以上のように、地盤の水分が圧力やせん断強度に多大な影響を及ぼすが、上記従来技術では、地盤の水分を考慮せずにシミュレーションしているため、あらゆる地盤に対して精度良くタイヤ性能を予測することができないという問題があった。
本発明は、上記事実を考慮して、あらゆる地盤に対して精度良くタイヤ性能を予測することができるタイヤ性能予測方法、地盤シミュレーション方法、タイヤ開発を効率化し、良好な性能のタイヤを得ることができるタイヤ性能予測方法、地盤シミュレーション方法、タイヤ設計方法、記録媒体及びタイヤ性能予測プログラムを得ることが目的である。
上記目的を達成するために本発明は、地盤を介する実際に使用するタイヤの性能を予測し、特にタイヤ接地時及び回転時について地盤の挙動を解析を可能し、また、タイヤ開発を効率化し、良好な性能のタイヤの提供を容易にしたものである。
具体的には、本発明のタイヤ性能予測方法は、次の(a)〜(f)の各ステップを含む。
(a)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
(b)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
(c)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
(d)前記ステップ(b)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(c)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(b)及び前記ステップ(c)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
(e)前記ステップ(c)またはステップ(d)におけるタイヤモデル及び地盤モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
(f)前記物理量により地盤におけるタイヤ性能を予測するステップ。
すなわち、本発明のタイヤ性能予測方法では、まず、これから評価するタイヤの設計案(タイヤ形状・構造・材料・パターンの変更など)の性能を予測するため、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込む。すなわち、数値解析が可能なタイヤモデル(数値解析モデル)を作成する。更に、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料である目標性能に関わる地盤(路面を含むことができる)のモデル化を行い、地盤モデル(数値解析モデル)を作成し、タイヤ及び地盤(路面を含むことができる)を同時に考慮した数値解析を行い、目標性能について数値予測する。この予測結果からタイヤ設計案の可否を判定し、結果良好なら設計案を採用、もしくは更にこの設計案のタイヤを製造し、性能評価を行い、この結果まで良好なら設計案を採用する。設計案による予測性能(またはは実測性能)が不十分であれば、設計案の一部または全部を修正し、数値解析モデルの作成から再度実行する。これらの手順であれば、タイヤを製造して性能評価をする回数が極めて少なくなるため、タイヤ開発を効率化できる。
従って、性能予測に基づくタイヤ開発を行うためには、効率良く、精度の良いタイヤ性能予測のための数値解析モデルが不可欠である。そこで、本発明では、タイヤ性能を予測するため、ステップ(a)において、接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定める。なお、路面モデルをさらに定めることもできる。ステップ(b)では、タイヤモデルの変形計算を実行し、ステップ(c)では、地盤の水分に関する情報に基づいて、地盤モデルの変形計算を実行する。ステップ(d)では、前記ステップ(b)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(c)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(b)及び前記ステップ(c)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させる。ステップ(e)では、ステップ(c)またはステップ(d)におけるタイヤモデル及び地盤モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求め、ステップ(f)では、物理量によりタイヤ性能を予測する。
土壌などを有する地盤では負荷がかかると内部構造(例えば空洞や水と土で形成される構造)が変化して変形するが、除荷しても変形が回復して初期形状に戻ることは殆どない。このため、例えば土壌などを有する地盤を数値モデルとして表現するために地盤を塑性体としたり、必要に応じて弾性体としての特性も与えることで荷重負荷時に適切な反力を発生させるようにモデル化する。このように例えば土壌などを有する地盤を弾塑性体または塑性体(剛塑性体)としてモデル化することにより、高精度にタイヤ性能を予測することができる。
また、地盤の水分に関する情報に基づいて、地盤モデルの変形計算を実行するので、あらゆる地盤に対して精度良くタイヤ性能を予測することができる。
なお、請求項2に記載したように、前記ステップ(c)は、前記地盤内の水分の流動計算を実行するステップと、前記地盤の骨格構造の変形計算を実行するステップと、を含むことができる。
また、請求項3に記載したように、前記ステップ(c)は、前記地盤の水分に関する情報に基づいて前記地盤の弾塑性に関するパラメータを計算するステップを含むことができる。
また、請求項4に記載したように、前記前記地盤の水分に関する情報は、前記地盤の飽和度であり、前記地盤の弾塑性に関するパラメータは、前記地盤の体積弾性係数及び粘着力の少なくとも一方であることとすることができる。
また、請求項5に記載したように、前記地盤モデルは、複数種類の地盤材料を含んでモデル化されたこととすることができる。
また、請求項6に記載したように、前記地盤は、土質材料を含むこととすることができる。
また、請求項7に記載したように、前記地盤の状態を表わす地盤状態情報に基づいて、前記タイヤモデルと前記地盤モデルとの間に発生する摩擦力を計算するステップをさらに含み、前記ステップ(d)は、前記摩擦力を前記タイヤモデルに付与するようにしてもよい。
請求項8に記載の発明の地盤シミュレーション方法は、次の(イ)〜(ニ)の各ステップを含む。
(イ)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
(ロ)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
(ハ)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
(ニ)前記ステップ(ロ)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(ハ)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(ロ)及び前記ステップ(ハ)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
タイヤ周辺の流体の挙動をシミュレーションする場合、ステップ(イ)において接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルとを定め、ステップ(ロ)においてタイヤモデルの変形計算を実行し、ステップ(ハ)において地盤の水分に関する情報に基づいて地盤モデルの変形計算を実行し、ステップ(ニ)において前記ステップ(ロ)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(ハ)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(ロ)及び前記ステップ(ハ)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるようにすれば、タイヤまわりの地盤を評価し、地盤の挙動を予測し、タイヤ性能予測に役立てることができる。
請求項9の発明のタイヤ設計方法は、次の(1)〜(9)の各ステップを含む。
(1)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
(2)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
(3)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
(4)前記ステップ(2)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(3)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(2)及び前記ステップ(3)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
(5)前記ステップ(3)またはステップ(4)におけるタイヤモデル及び地盤モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
(6)前記物理量により地盤におけるタイヤ性能を予測するステップ。
(7)前記タイヤ性能を考慮して前記タイヤモデルを修正するステップ。
(8)前記ステップ(7)での修正後のタイヤモデルについて、前記ステップ(2)〜(6)を実行した結果のタイヤ性能を考慮してタイヤモデルを修正することを繰り返し計算させるステップ。
(9)前記ステップ(8)での計算結果のタイヤモデルに基づいてタイヤ設計するステップ。
タイヤを設計する場合、ステップ(1)で接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルとを定め、ステップ(2)でタイヤモデルの変形計算を実行し、ステップ(3)で地盤の水分に関する情報に基づいて地盤モデルの変形計算を実行し、ステップ(4)では変形計算後のタイヤモデル及び地盤モデルの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(2)及び前記ステップ(3)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させ、ステップ(5)でタイヤモデル及び地盤モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求め、この物理量によりステップ(6)で地盤におけるタイヤ性能を予測し、ステップ(7)では予測したタイヤ性能を考慮してタイヤモデルを修正し、ステップ(8)では修正後のタイヤモデルについて、ステップ(2)〜(6)を実行した結果のタイヤ性能を考慮してタイヤモデルを修正することを繰り返し計算させ、ステップ(9)ではステップ(8)での計算結果のタイヤモデルに基づいてタイヤ設計する。
このようにすることで、タイヤまわりの地盤を評価し、地盤の挙動を予測しつつ、タイヤ性能として地盤性能を考慮したタイヤを設計することができる。
請求項10の発明は、コンピュータによってタイヤ性能を予測するためのタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体であって、次の各ステップを含むことを特徴とする。
(A)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
(B)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
(C)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
(D)前記ステップ(B)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(C)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(B)及び前記ステップ(C)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
コンピュータによってタイヤ性能を予測する場合、ステップ(A)で接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルとを定めさせ、ステップ(B)で前記タイヤモデルの変形計算を実行させ、ステップ(C)で前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤モデルの変形計算を実行させ、ステップ(D)で前記ステップ(B)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(C)で変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(B)及び前記ステップ(C)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させる、各ステップを含むタイヤ性能予測プログラムを記憶媒体に記憶するようにし実行させ、データ収集するようにすれば、過去の性能評価との比較や今後のデータ蓄積に役立てることができる。
また、コンピュータによってタイヤ性能を予測する場合、次のプログラムをコンピュータによって実行させることにより、容易かつ簡便にタイヤ性能を予測させることができる。
請求項11に記載の発明は、タイヤ性能予測プログラムであって、コンピュータによってタイヤ性能を予測するために、次の各ステップを含むことを特徴とする。
(I)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
(II)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
(III)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
(IV)前記ステップ(II)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(III)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(II)及び前記ステップ(III)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
以上説明したように本発明によれば、あらゆる地盤に対して精度良くタイヤ性能を予測することができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態は空気入りタイヤの性能予測に本発明を適用したものである。なお、本実施形態では、地盤モデルとして粗粒土、細粒土、及び高有機質土等を含む土質材料を含む圃場モデルを採用した場合について説明するが、本発明は圃場モデルに限定されるものではなく、上記の土質材料を含む他の地盤モデルや、例えば岩石質材料や石分まじり土質材料、人工材料等を含む地盤モデルについても本発明を適用可能である。
図2には本発明の圃場性能を考慮してタイヤの性能予測を実施するためのパーソナルコンピュータの概略が示されている。このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤの性能を予測するコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT14から構成されている。
なお、コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述する処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CDやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらにCD−ROM装置、CD−RAM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、MD装置、MO装置等を用いればよい。
図1は、本実施の形態の処理ルーチンを示すものである。本処理は、タイヤの性能予測評価を行いつつタイヤの最適形状を導出するものである。
ステップ100では、評価するタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料、パターンの変更など)を定める。また、ステップ100では、データベース化した圃場における弾性係数(例えば数値や近似式で表わされる)、圃場におけるせん断強度(例えば数値や近似式で表わされる)、圃場における摩擦係数に関する関係(例えば数値や近似式で表される)、圃場における水分率(例えば数値や近似式で表わされる)を読み取る。これらの圃場性能の計測結果や圃場におけるせん断強度の関係についての技術は、本出願人が既に出願済みの技術(前述した特許文献2)を用いることができる。
圃場性能を得る技術の一例を説明する。まず、実際の圃場計測を行い、それを用いて数値演算により圃場性能の予測値を求める。数値演算は、圃場とタイヤを連成し、タイヤに作用する接地圧に対応するせん断応力分布を求めたのちにトラクションを求めて予測値を得る。例えば、土質試験による圃場計測を行い、計測結果をデータベース化する。なお、圃場の材料特性としては、圃場の間隙比と、応力と、せん断強度と、水分率との関係を測定する。また、タイヤに接する流体として土などを含む圃場でよく、また弾塑性体や塑性体を含むものでもよく、例えば粒子状の氷塊を含む流体や土や泥、霜化した土や泥を含む流体などの各々や組み合わせでもよい。
圃場は、深さ方向への強度を再現することが困難なため、実圃場でせん断抵杭を測定すると共に、貫入抵抗を測定する。貫入抵抗は、圃場の深さ方向への強度分布を示すものである。なお、圃場モデルを深さ方向へ複数の層を成すようにモデル化するために、各層の材料(圃場を構成する材料)を、実測する。すなわち、圃場(土壌)表面での強度を測定することで、せん断抵抗値を計測し、その圃場(土壌)の深さ方向への強度分布を測定することで、貫入抵抗値を計測する。せん断抵抗は、圃場(土壌)の強度測定として、垂直応力とせん断応力との関係の計測が対応する。また、貫入抵抗は、圃場(土壌)の強度測定として、圧力と沈下量との関係の計測が対応する。この計測結果をデータベース化する。これにより、自由に圃場のデータを利用することができる。計測結果の一例として、圃場(土壌)表面での強度測定であるせん断抵抗値の計測結果(垂直応力とせん断応力との関係、図3)、貫入抵抗値の測定結果(圧力と沈下量との関係、図4)がある。
次に、圃場の間隙比、圧力、せん断強度との関係を関数近似する。詳細には、圃場は、間隙比、圧力、及び応力が関係する。この場合、圃場が有するべき特性として、体積歪みと、間隙比と、密度との間には所定の関係があり(図6)、また圃場の間隙比と圧力の対数値が比例する(図5)。また、圧力と体積歪みは比例しない。体積弾性係数Kが圧力の関数であることから、密度の関数として表現できるので、ポアソン比を仮定すれば(例えば0.3)、せん断弾性係数を決定できる。なお、図7には、密度と圧力との関係を示した。
以上の関係を用いて、圃場を構成する物質、すなわち土の粒子と間隙を満たす材料の密度から、圃場の密度と間隙比を関係づけた関数を導出し、間隙比の変化と圃場の体積歪みを関係づけた関数を導出する。この圃場に生じる圧力増分は、体積歪みなどを用いた指数関数を採用することができる。そして、体積弾性率やせん断弾性率は、この圧力に応じて決定する関数として導出することができる。せん断強度は、これらの過程で計算される圧力や塑性歪みにより決定される関数として導出することができる。以上の手順により、圃場が有するせん断強度を決定する関数を導出することができる。すなわち、圃場に関して、間隙比や圧力が密度で表されることから、せん断強度と間隙比、圧力の関係は、せん断強度と密度の関係式として、次の関数fによって例えば多項式を用いて近似式で表現することができる。
t=f(ρ,e(ρ),P(ρ)) =c+cρ+cρ+・・・・+cρn−1 ・・・(1)
但し、eは間隙比、Pは圧力、ρは密度、nは自然数、である。
これによって、土壌などを含む圃場を上記関数式に基づいてモデル化することができる。詳細には、せん断抵抗と貫入抵抗を計算により求め、求めた抵抗値と実測値とが、せん断および貫入とも合うように圃場モデルに用いるパラメータを設定することで、タイヤの圃場性能を予測するに足りる圃場モデルを作成することができる。すなわち、圃場モデルについて、せん断抵抗値や貫入低抗値を多数予め計算しておき、せん断抵抗値や貫入低抗値をもととするデータベース構築することが好ましい。
次に、圃場における摩擦係数に関する関係を得る技術の一例について説明する。
前述したように、地盤が粗粒土等の圃場の場合、タイヤと粗粒土との間の摩擦の影響が大きくなるため、本実施形態では、タイヤと圃場との間に生じる摩擦の摩擦係数を求め、これを考慮した圃場のトラクション性能を予測する。
摩擦係数は、圧力、水分率、すべり速度、温度等の圃場の状態に依存する。以下、摩擦係数と圃場の状態の依存性について説明する。
まず、摩擦係数の圧力依存性について説明する。
タイヤと接触する地盤が土の場合、圧密によって密度が変化すると同時に、タイヤとの真実接触面積が大きく変化する。ミクロに見れば、タイヤと接触する土粒子の数が変化する。このため、図8に示すように、地盤に加わる圧力(タイヤの接地圧)の大きさがある程度大きくなるまでは摩擦係数が増加すると考えられる。
次に、摩擦係数の水分率依存性について説明する。
タイヤと接触する地盤が比較的水分を含む土の場合、土に含まれる水分を排するのに要する時間と比して変形が高速な場合、大きな圧力が作用すると、土の骨格構造が破壊され、空隙に閉じこめられた水分のみで力を発生するようになる。このとき、大きな圧力が発生するものの、水分はせん断剛性をほとんど持たないため、せん断強度が低下する。さらに湧き出た水の潤滑作用により、タイヤ表面と土粒子との間の摩擦力が低下する。このため、図9に示すように、水分率が高くなるに従って摩擦係数が減少すると考えられる。
通常、圧力が増加すると間隙率が低下し、これに応じて水分率が増加する。このように、摩擦係数の圧力依存性は水分率依存性とも深い関係があり、初期水分率によっても圧力依存性は変化する。例えば図10に示すように、水分率の低い土と水分率の高い土とでは摩擦係数と圧力との関係が異なる。
次に、摩擦係数のすべり速度依存性について説明する。
タイヤと接触する地盤が土の場合、すべり速度(地盤とタイヤとの相対速度)の影響も無視できない。例えばトレッドパターンのないタイヤであっても、地盤とタイヤとの摩擦によって発生するトラクションは例えばスリップ率(若しくはすべりせん断距離)の増加に応じて増加し、その後一定値を保持する。図11に示すように、初期状態が疎につまった土の場合、タイヤとの摩擦によるせん断作用を受けることで粒子が再密充填され、接触面積増加に伴い摩擦力が増加し、ある程度粒子が充填されと真実接触面積の増加もなくなるため、摩擦係数は一定となる。一方、初期状態が密につまった土の場合、せん断初期においてはダイレーション(せん断変形に伴う体積増加)による体積増加が付随して発生するため、圧力の変化も伴う現象となる。なお、図11に示す密な土の場合の摩擦係数のピーク部分は、ダイレーションによる体積増加に伴う圧力増加を表わしている。
次に、摩擦係数の温度依存性について説明する。
例えば砂漠のように、常温に比して温度の高い環境下では、土中の水分が蒸発する際に土(砂)が膨張し、間隙比の高い状態(ふかふかな状態)になる。当然のことながら水分率が低い状態となる。この状態自体は土(砂)の初期状態のモデルで対応するべきであり、温度の影響を考慮する必要がある。
本実施形態では、詳細は後述するが、圧力依存性、水分率依存性、すべり速度依存性、及び温度依存性を考慮した摩擦係数を算出してタイヤに作用する摩擦力を算出し、タイヤ性能としてトラクション性能を予測する。
上記のような圃場における摩擦係数に関する関係を得る場合、実際に圃場計測を行い、計測結果をデータベース化する。なお、この圃場計測では、例えばトラクション性能の測定対象となる土質材料を所定サイズのブロックにしたブロックサンプルを用いる。
そして、圃場計測では、図8〜11に示したような摩擦係数と圧力との関係、摩擦係数と水分率との関係、摩擦係数とすべり速度との関係、摩擦係数と温度との関係を測定する。また、ここでは、タイヤに接する流体として土などを含む圃場を想定したが、流体としての圃場は、弾塑性体または塑性体を少なくとも含めばよく、例えば、粒子状の氷塊を含む流体や、土や泥、霜化した土や泥を含む流体などの各々や組み合わせでもよい。
そして、計測結果をデータベース化する。これにより、自由に圃場のデータを利用することができる。
次に、データベース化した測定データに基づいて、摩擦係数と圧力との関係、摩擦係数と水分率との関係、摩擦係数とすべり速度との関係、摩擦係数と温度との関係を各々関数近似し、これらの関数から圧力、水分率、すべり速度、及び温度が全て考慮された摩擦係数を算出する摩擦関数を設定する。
すなわち、まず測定データに基づいて、圧力Pから摩擦係数を求める関数μ(P)、水分率Wから摩擦係数を求める関数μ(w)、すべり速度vから摩擦係数を求める関数μ(V)、温度Tから摩擦係数を求める関数μ(T)を各々求める。
そしてに、これらの関数の値から摩擦係数を算出する摩擦関数μ(P,w,v,T)を、次式のように設定する。
μ(P,w,v,T)=μ×μ(P)×μ(w)×μ(v)×μ(T) ・・・(2)
ここで、μは、圧力、水分率、すべり速度、及び温度について予め定めた基準条件(P、w、v、T)における基準摩擦係数である。
なお、各関数μ(P)、μ(w)、μ(V)、μ(T)は、基準摩擦係数μに対して正規化された関数を用いる。すなわち、μ(P)=μ(w)=μ(v)=μ(T)=1である。
また、各関数は、指数関数式、対数関数式、1次式、及び2次以上の多項式による関数式の少なくとも1つで近似した関数式とすることができるが、これらの関数を導出するには測定データの数が不十分である場合には、スプライン関数に代表される補間関数を用いて各関数を導出するようにしてもよい。また、圧力、水分率、すべり速度、及び温度の少なくとも一つのパラメータを考慮しない場合には、そのパラメータの関数については常に1を返す関数としてもよい。これにより、簡単にそのパラメータの影響を無視することができる。
このように、圃場における摩擦係数は、圧力、水分率、すべり速度、及び温度によって変化するため、これらの関係を関数式で近似して圃場をモデル化すれば、トレッドパターンにより踏み固められた圃場に対して、それぞれの場所で異なる応力等を算出することができる。結果として、圃場とタイヤとの間で発生するトラクション性能を高精度に予測することができる。
次のステップ102では、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むため、タイヤモデルを作成する。このタイヤモデルの作成は、本実施の形態では数値解析手法として有限要素法(FEM)を用いるものとする。従って、上記ステップ102で作成するタイヤモデルは、有限要素法(FEM)に対応した要素分割、例えば、メッシュ分割によって複数の要素に分割され、タイヤを数値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムヘのインプットデータ形式に数値化したものをいう。この要素分割とはタイヤ、圃場(流体)、及び路面等の対象物を小さな幾つかの(有限の)小部分に分割することをいう。この小部分ごとに計算を行い全ての小部分について計算した後、全部の小部分を足し合わせることにより全体の応答を得ることができる。なお、数値解析手法には差分法や有限体積法を用いても良い。
上記ステップ102のタイヤモデルの作成では、タイヤ断面のモデルを作成した後に、パターンをモデル化する。
詳細には、まず、タイヤ径方向断面のモデルすなわちタイヤ断面データを作成する。このタイヤ断面データは、タイヤ外形をレーザー形状測定器等で計測し値を採取する。また、タイヤ内部の構造は設計図面および実際のタイヤ断面データ等から正確なものを採取してもよい。タイヤ断面内のゴム、補強材(ベルト、プライ等、鉄・有機繊維等でできた補強コードをシート状に束ねたもの)をそれぞれ有限要素法のモデル化手法に応じてモデル化する(図12(A)参照)。次に、2次元データであるタイヤ断面データ(タイヤ径方向断面のモデル)を周方向に一周分展開し、タイヤの3次元(3D)モデルを作成する(図12(B)、(C)参照)。次に、パターンをモデル化する。このパターンのモデル化は、「パターンの一部または全部を別個にモデル化し、上記タイヤモデルにトレッド部分として貼りつける」こと、「タイヤ断面データを周方向に展開する際にリブ・ラグ成分を考慮してパターンを作成する」ことの何れかで行うことができる。図13には、パターンを含む3次元タイヤモデルを示した。
上記のようにしてタイヤモデルを作成した後には、図1のステップ104へ進み、圃場モデルを作成する。この圃場モデルは、土などの土壌を含む流体である。圃場モデルの作成は、タイヤの一部(または全部)および接地面、タイヤが移動・変形する領域を含む圃場(流体領域)を分割し、モデル化するものである。
実際の地盤の骨格構造は、様々な材料、すなわち組成、粒子径等の様々な多様性を含んだ複雑な構造となっている。さらに、人工的な作用、また自然の堆積作用等、結果的に存在する地盤の特性は、場所毎に異なると言える。
従来においては、地盤が単一の材料で構成されているものとしてシミュレーションしていたが、現実的な土の変形や力学的な特性をシミュレーションすることは困難である。特に、深さ方向の分布に関しては、その長年にわたる形成過程において、人的または自然の作用を受けることにより、例えば単一材料で重力を付加した際の分布とは大きく異なる。また、堆積土の場合には、そもそも全く異なる材料から構成される。
従来の手法においても、層状にモデル化することによる有効性が示されているが、より一般的に複数の材料から構成される地盤モデルとして定義することが好ましい。このため、本実施形態では、複数の材料から構成される地盤モデルを定義する。例えば、図14に示すように、ある任意の面で地盤を切断した面で見た場合に、平均的な地盤材料から成る地盤領域20、石分の多い地盤材料から成る地盤領域22、水分の多い地盤材料から成る地盤領域24、砂分の多い地盤材料から成る地盤領域26を設定する。これにより、より実際の地盤に近いモデルを作成することができ、精度良くシミュレーションを行うことが可能となる。なお、この場合でも、従来のように例えば貫入抵抗の実測結果を精度良く再現できるように材料を配置したシミュレーションを行うことも当然可能である。
さらに、水田のような地盤をモデル化するのであれば、例えば図15に示すように、表層30A〜30Cに初期状態から飽和状態の地盤材料を配置し、深さに応じて飽和度を低減させ、耕盤に相当する層32には、非飽和状態での間隙率の小さい締め固まった地盤材料を配置することで、水田の特性を模擬した地盤を再現することが可能となる。水平面内に石のように固い材料を部分的に配置することも、逆に軟弱な箇所を配置することも可能である。
このように地盤モデルを構築することで地盤材料の変形特性をより正確に再現することが可能となる。また、後述するように地盤の水分を考慮したシミュレーションを行うことでさらに精度良くシミュレーションすることができる。
詳細には、圃場を複数種類の単一の材料モデルからなる層を積層して構成する。この各々の層である材料モデルは、上述のように、圃場の間隙比(又は密度)、圧力、せん断強度の関係が指数関数や対数関数、そして多項式を組み合わせて関数化されており、さらに実測した貫入試験やせん断試験により決定されたパラメータとして定められる。
このようにして、圃場モデルの作成が終了すると、路面モデルの作成と共に路面状態の入力をすることで、評価可能な環境構築を終了する。ここでは、圃場として畑などにおける土壌を想定するため、路面のモデル化は特に必要はない。
次のステップ108では、境界条件の設定がなされる。すなわち、タイヤモデルの一部は圃場モデルの一部に介在することになるので、圃場モデルおよびタイヤモデルに解析上の境界条件を与えてタイヤおよび圃場の挙動をシミュレートする必要がある。この手順は、タイヤ転動時とタイヤ非転動時の場合で異なる場合があるので、入力等によりタイヤ転動時とタイヤ非転動時の選択を行えばよい。
ステップ108における、タイヤ転動時における境界条件の設定では、まず、圃場モデル(流体領域)に流入・流出に関する境界条件を与える。この流入・流出に関する境界条件は、圃場モデル(流体領域)の上面は自由に土や泥などの流体が流出し、その他の前面、後面、側面、下面は壁(流入・流出なし)として扱う。次に、タイヤモデルには内圧を与え、次に、タイヤモデルに回転変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)の少なくとも一方と、予め定めた負荷荷重とを与える。
また、ステップ108における、タイヤ非転動時における境界条件の設定では、まず、流体モデルに流入・流出に関する境界条件を与える。ここでは、解析を定常状態で行うため、タイヤモデルは進行方向に静止し、圃場の材料である土や泥などが進行速度でタイヤモデルに向かって移動するモデルを考える。すなわち、圃場モデル(流体領域)内の土や泥などの流体に流速を与える。流入・流出に関する境界条件は流体モデル(流体領域)の前面は進行速度で流入、後面は流出とし、上面、側面、下面は転動時と同様である。そして、タイヤモデルには内圧を与えてタイヤモデルに負荷荷重を与える。
次のステップ110ではタイヤモデルの変形計算を行い、次のステップ112では圃場モデルの変形計算を行う。これらタイヤモデル及び圃場モデルの変形について定常な状態を得るために、タイヤモデルの変形計算及び圃場モデルの変形計算をそれぞれ所定時間(例えば1msec)以内で単独計算を行い、一定時間(例えば1msec)毎に両者の境界条件を更新する。
(タイヤモデルの変形計算)
タイヤモデルおよび与えた境界条件より、有限要素法に基づいてタイヤモデルの変形計算を行う。過渡的な状態を得るために、経過時間(単独経過時間)が1msec以下の間はタイヤモデルの変形計算を繰り返し、1msec経過したら次の計算(流体)に移る。
(圃場モデルの変形計算)
流体モデル及び与えた境界条件より、例えば有限要素法または有限体積法に基づいて流体計算を行う。過渡的な状態を得るために、経過時間(単独経過時間)が1msec以下の間は流体計算を繰り返し、1msec経過したら次の計算(タイヤモデルの変形)に移る。なお、詳細は後述するが、弾塑性体として流体を想定しており、流体に生じる応力からタイヤモデルに作用する応力分布を求めることができる。
圃場モデルの変形計算では、図16に示す処理が実行される。本実施形態では、水の流れと土の変形との2相を連成して解析する手法を用いる。すなわち、従来では、地盤モデルの変形計算として一度にすませていたものを、本実施形態では、地盤内水分の流動解析と地盤骨格構造の解析との2つに分けて計算を行う。
2相を別個に考慮する場合、理論的には土に作用する力が骨格構造と水分とで支持されており、次式のように表わすことができる。
p=σ’+π ・・・(3)
ここで、pは地盤の単位面積当たりの載荷重、σ’は有効応力、すなわち土の骨格構造で支持される応力、πは間隙水圧である。不飽和状態の土であれば間隙水圧が発生せず、載荷重は土の骨格構造のみで支えられる。図16の処理では、ステップ320で地盤内水分の流動計算を行い、ステップ322で地盤骨格構造の解析計算(例えば有効応力の解析等)を行う。
間隙水の流動(浸透)は、一般にDarcyの法則に従うと言われている。これは下記の式で表わされる。
Figure 2008273412
ただし、W(i=x,y,z)は間隙水の相対変位ベクトル、k(i=x,y,z)は透水係数、πは間隙水圧、ρは間隙水の密度、f(i=x,y,z)は単位質量当たりの物体力ベクトルを表わす。さらに、簡単のため、この間隙水の流動解析では間隙水の非圧縮性を仮定する。この場合、飽和状態においては次式に示す連続の式が成り立つ。
Figure 2008273412
ただし、εは土の(マクロな)体積ひずみを表わす。ステップ320では、この式を用いて間隙水の流動計算を行う。実際にはこれらの式が飽和状態でしか成り立たないため、予め定めた間隙水の質量分布と土の間隙率分布のもとで、各解析時刻において飽和状態の判定が必要となる。不飽和状態であれば、間隙水の流速をもとに間隙水の流動を計算する。
ここで、主要な土の物性値について図17に示した。同図において、Vは地盤の全体積、Vaは空気の体積、Vwは水の体積、Vvは空隙(=空気+水)の体積、Vsは土粒子の体積、Wwは水の重量、Wsは土粒子の重量、Wは地盤の全重量である。
空気の密度は土粒子や水と比べて非常に小さいため、空気の重量は無視するのが一般的である。土の間隙比eは土粒子体積と空隙体積の比であり、次式で表わされる。
Figure 2008273412
一方、間隙率nは、地盤の全体積Vと空隙Vvの体積との比であり、次式で表わされる。
Figure 2008273412
なお、間隙率nと間隙比eとは以下のような関係がある。
Figure 2008273412
ただし、一般的に間隙率nは%で示されるものであるが、ここでは100倍しない値とする。
飽和度Srは、空隙の体積Vvと間隙水の体積Vwとの比であり、次式で表わされる。
Figure 2008273412
体積含水比θは、全体積Vに対する間隙水の体積Vwの比であり、次式で表わされる。
Figure 2008273412
上記より、体積含水比θは、間隙率nと飽和度Srとにより次式で表わされる。
θ=n・Sr ・・・(13)
すなわち、間隙率nと飽和度Srが定まれば間隙水の体積を決定することができる。なお、間隙率nは土の骨格構造解析における密度から計算することができる。
次に飽和度Srの計算について説明する。土の要素体積をV’、従来の土の解析において直接得ることのできる土の体積含有率をVfとすると、当該要素の含まれる水の質量Mwは次式で表わされる。
Mw=ρw・θ・Vf・V ・・・(14)
これにより、ある瞬間における水の質量分布を決定することができる。水の質量分布が判れば、水の体積と間隙水の体積とを比べ、飽和判定を行うことができる。飽和度Srは次式で表わされる。
Figure 2008273412
なお、Sr<1.0の場合は不飽和状態であり、Sr≧1.0の場合は飽和状態である。
従って、ステップ320では、上記(15)式により飽和度Srを求め、これが1.0以上であるか否かを判定することにより飽和状態か不飽和状態かを判定することができる。
ステップ322では、この飽和度Srを用いて、地盤骨格構造解析で用いる体積弾性係数やせん断弾性係数を求め、これらに基づいて例えば有効応力等を求める。
地盤骨格構造解析では、例えば特許文献2等に記載された圃場の変形計算処理と略同様の計算が行われるが、従来密度の変化をもとに体積弾性係数等の弾性定数、内部摩擦等の塑性変形に関する材料定数を決定していた従来手法と異なり、密度変化のみならず飽和度Srに応じて体積弾性係数等が変化する点が異なる。
本実施形態では、例えば図18に示すような飽和度Srと体積弾性係数Kとの関係に基づいて、飽和度Srから体積弾性係数Kを求める。なお、同図において、飽和度1.0が飽和状態であると定義する。また、Sは例えば0.1以下の所定値を設定する。(1−S)と(1.0)との間は、ラインAのようになめらかに変化する曲線としてもよいし、ラインBのように線形に変化する直線としてもよい。Ksは、従来手法のように地盤の水分を考慮しない場合における体積弾性係数であり、従来用いていた、密度変化に依存するものである。
飽和状態に達すると、骨格構造により支持されていた外力が、水の体積弾性係数のみで支えられることとなる。つまり、骨格構造自体は、圧縮されても圧力を発生させない。有効応力の静水圧成分はゼロであるが、間隙水が非常に高い圧力を発生させるため、全応力としては高い圧力を発生させることとなる。具体的には、次式で示すように、上記特許文献2等に記載された手法で用いられていた体積弾性係数Ksに対し、飽和度Srをパラメータとする低減関数D(Sr)を乗算した値を体積弾性係数Kとする。
K=Ks×D(Sr)
ただし、低減関数D(Sr)は図19に示すような関数である。なお、飽和度が(1−S)と(1.0)の間は、ラインAのようになめらかに変化する曲線としてもよいし、ラインBのように線形に変化する直線としてもよい。
飽和度1.0を境に体積弾性係数を急激に変化させてもよいが、計算の不安定性を招くため、図18,19に示すように、微少区間1±Sの範囲で変化させることが好ましい。これにより比較的計算を安定させることができる。
このように体積弾性係数Kを求めた後、これに基づいて応力等を計算するが、これは例えば上記特許文献2に記載されたのと同様の計算により求めることができる。
また、従来、密度や間隙率の関数として計算していたせん断強度も、飽和度に応じて低減する。例えば構成則としてMohr−Coulombモデルを採用した場合を考える。Mohr−Coulombモデルでは、基本的にせん断強度σは次式で表される。
σ=c+Ptanφ ・・・(16)
ここで、cは粘着力、Pは圧力(骨格構造の応力から得られる静水圧成分)、φは内部摩擦角である。選択する構成則によって右辺は変わるが、基本的にはせん断強度を規定する方法が変わるだけであり、骨格構造はそのせん断強度を超えるせん断応力は持たない。水分によってせん断強度が失われる理由は様々であるが、粒子間の潤滑効果により粘着力cが低減すること、また粒子同士の接触が失われ、圧力Pが減少することなどが考えられる。後者はすでに体積弾性係数に適切な低減関数を導入することで実現され、図20に示すように粘着力cを低減する方法が考えられるが、これも体積弾性係数と同様に低減係数を掛けることで実現できる。すなわち、粘着力cを次式により算出する。
c=c×D(Sr) ・・・(17)
なお、cは不飽和時の粘着力である。また、図20において、(1−S)と(1.0)との間は、ラインAのようになめらかに変化する曲線としてもよいし、ラインBのように線形に変化する直線としてもよい。
他の構成則を用いる場合でも、塑性パラメータを同様に低減させることでせん断強度(降伏応力)を低減させることが可能である。
骨格構造の解析は、有限要素法、有限体積法、有限差分法、ひいては個別要素法に代表される離散解析手法を用いて行うことができる。また、水分の流動計算も有限要素法、有限体積法、有限差分法などを用いて行うことができる。骨格構造の強度解析と水分の流動解析で用いる要素(メッシュ)は必ずしも一致する必要はない。一致しない場合は、平均化されたものとして取り扱えばよい。
ただし、上記のような解析では、タイヤの変形、地盤骨格構造の変形、地盤内水分の流動解析と3相の解析を行う必要があり、従来と比べて非常に計算コストが高くなる。そのため、水分率を間接的に考慮した解析を行うようにしてもよい。以下、水分率を間接的に考慮した解析を行う場合について説明する。
従来手法で間隙率を考慮したのと同様に、水分の効果を含めて定式化することも可能である。すなわち、ある程度圧縮され密度が高い土は、非常に大きな体積弾性係数を持つとするものである。例えば図21に示すように密度と体積弾性係数との関係を定義する。これも上記の例と同様に(/ρ−ρ)と(/ρ)との間で連続的に変化させる関数として定義することができ、(/ρ−ρ)と(/ρ)との間はラインAのようになめらかに変化する曲線としてもよいし、ラインBのように線形に変化する直線としてもよいが、なめらかに変化させる方が好ましい。なお、/ρは上付きバーのρを示し、飽和度1.0に対する密度である。
せん断強度については、密度に応じて低減させることとなる。例えば粘着力cを図22に示すような関係を表す関数を用いて低減させる。これも(/ρ−ρ)と(/ρ)との間はラインAのようになめらかに変化する曲線としてもよいし、ラインBのように線形に変化する直線としてもよい。
ただし、この擬似的に水分を考慮する方法では、見かけの体積弾性係数が大きくなるため、図23に示すように内部摩擦角も低減させることが必要である。これも(/ρ−ρ)と(/ρ)との間はラインAのようになめらかに変化する曲線としてもよいし、ラインBのように線形に変化する直線としてもよい。
この手法であれば、従来手法と同様に1相の解析で水分率を考慮でき、計算コスト上昇も抑えることができる。2相での連成解析を行う方が精度よく解析することができるが、目的とするタイヤ性能予測としては、地盤が圧縮された際に水分が発生してせん断強度が失われる場合がある事を表現することが重要であり、水分率を間接的に考慮するだけでも効果はある。
このように、地盤の水分を考慮した解析を行うことにより、より正確な土の変形を考慮したタイヤ性能予測が可能になると共に、より幅広い地盤材料を考慮することが可能となり、様々な路面条件を考慮したタイヤ性能予測が可能となる。
なお、タイヤモデルの変形計算と圃場モデルの変形計算はどちらを先に計算しても良いし、また並行して計算しても良い。また、これらの変形計算では、経過時間(単独経過時間)を1msecに限定するものではなく、10msec以下の経過時間を採用することができ、好ましくは1msec以下であり、更に好ましくは1μ・sec以下の経過時間を採用することができる。また、この経過時間は、各々で異なる時間を定めても良い。
次のステップ114では、タイヤ表面における圃場の圧力P、水分率w、すべり速度v、及び温度Tを予め定めた方法(演算式等)により求める。
これらは、地盤モデル(本実施形態においては一例としての圃場モデル)で用いる地盤材料の構成則(材料モデル)に依存する。通常の地盤モデルの変形解析では、速度、圧力、及びせん断応力を使用し、タイヤ表面での圧力は、タイヤと接する地盤モデルの要素(地盤要素)の値を用いることができる。タイヤモデルの要素(タイヤ要素)の大きさと地盤要素の大きさが異なる場合(通常は地盤要素の方が小さい)、圧力Pは、次式で示すようにタイヤ要素と接する複数の地盤要素の圧力の平均値を用いる。
Figure 2008273412
ここで、Stireは地盤要素と接するタイヤ要素の面積であり、S(iは添え字)はタイヤ要素と接する各地盤要素の面積であり、Psoilは各地盤要素の圧力である。
すべり速度vは、タイヤの速度vtireと地盤要素の流速vsoilとの相対速度であり、次式で表わされる。
v=vsoil−vtire ・・・(19)
なお、タイヤ要素と地盤要素とのサイズの違いを解消したい場合、地盤要素の流速の平均値を用いた次式によりすべり速度vを求めても良い。
Figure 2008273412
なお、すべり速度vについても、上記(18)式のように面積により重みをかけた(積分した)すべり速度を求めるようにしてもよい。これにより、より正確なすべり速度を得ることができる。
水分率w、温度Tについても、例えば地盤モデルの変形解析において所定の演算式等を用いて解析データとして直接取得することができる。
ステップ116では、まずステップ114で求めた圧力P、水分率w、すべり速度v、及び温度Tに対応する摩擦係数μを上記(2)式により求める。そして、摩擦係数μに圧力Pを乗算することにより、摩擦力Pμを算出する。
なお、圃場として用いる土の構成則によっては、水分率や温度を求めることができない場合がある。このような場合には、水分率についてはまず土の密度を予め定めた方法(演算式等)により算出し、その密度から予め定めた方法(演算式等)により水分率を算出(推定)するようにしてもよい。また、温度については、タイヤの走行前後での温度変化は小さいため、外部の雰囲気温度から変化しないと考えて良い場合には、温度を求める関数μ(T)の出力値を1として、温度の影響を無視するようにしてもよい。
地盤モデルの変形解析において水分率w、間隙比e、温度Tを変形解析の解析データから直接取得しない場合、例えば以下のようにして密度からこれらを推定することができる。
まず、各地盤要素において、初期状態における土粒子の体積Vs、水分の体積Vw、空気の体積Vaの体積比率Vs:Vw:Vaを予め設定しておく。なお地盤要素の体積VはVs+Vw+Vaである。
地盤要素の体積変形が、すべて空気部分で発生していると仮定すると、密度ρの変化と体積の変化とを関係付けることができる。例えば体積ひずみεは次式で表わされる。
Figure 2008273412
ここで、ρrefは参照密度を表わし、通常は初期密度と一致する。
また、間隙比eは上記(8)式で表わされる。従って、間隙比の変化は次式で表わされる。
Figure 2008273412
ここで、上付き0の値は初期状態での値を表わす。また、体積変化は空気部分でのみ発生していると仮定しているので、以下のようになる。
Figure 2008273412
従って、上記(22)式における間隙比の変化は、次式で表わされる。
Figure 2008273412
また、水分率に代えて空隙中(=Vw+Va)に水分がどれだけ占めているかを示す飽和度sを用いることもできる。この飽和度Srは、水分と骨格構造を2相として解析する場合には上記(11)式で表わされ、水分を密度により擬似的に考慮する場合には、所定の密度で飽和度が1.0に達するような関数を用いて近似することが可能である。また、飽和度の変化は次式で表わされる。
Figure 2008273412
上記(22)式、(26)式と同様に、飽和度の変化は結局次式で表わされる。
Figure 2008273412
次のステップ118では、タイヤモデル及び圃場モデルを連成させるため、タイヤモデルの変形に応じて圃場モデルの境界面を認識し、境界条件を更新させ、次のステップ119においてタイヤモデルに表面圧を付加する。このとき、ステップ116で算出した摩擦力Pμを加える。
すなわち、ステップ118の境界条件更新の後に、ステップ119で上記圃場モデルの変形計算で計算した圧力にステップ116で算出した摩擦力Pμを加えた圧力をタイヤモデルの境界条件(表面力)として当該タイヤモデルに付加し、圧力によるタイヤモデルの変形を次のタイヤモデルの変形計算で計算させるようにする。圃場側は変形後のタイヤモデルの表面形状を新たな壁として境界条件に取り入れ、タイヤモデル側は圃場の圧力及び摩擦力をタイヤモデルにかかる表面力として境界条件に取り入れる。これを1msecごとに繰り返すことにより、タイヤ性能予測に関わるタイヤモデル及び圃場モデルの変形について定常な状態を擬似的に作り出すことができる。なお、上記では境界条件に取り入れる繰り返しの時間(単独経過時間)を1msecに定めたが、10msec以下の時間を採用することができ、好ましくは1msec以下であり、更に好ましくは1μ・sec以下の時間を採用することができる。
次のステップ120では、計算終了か否かを判断し、ステップ120で肯定されるとステップ122へ進み、ステップ120で否定されると、ステップ110へ戻り、再度タイヤモデルの変形計算および圃場モデルの変形計算それぞれ単独の計算を1msecずつ行う。なお、具体的な判断方法としては、次の例がある。
タイヤモデルが、非転動モデル、全周パターン付転動モデルの場合には、対象とする物理量(圃場からの反力、圧力、流速等)が定常状態とみなせる(以前に計算した物理量と同じとみなせる状態)まで繰り返し計算し、計算が終了した場合には肯定判断とする。または、タイヤモデルの変形が定常状態とみなせるようになるまで繰り返す。さらに、所定時間になったら終了させることも可能である。この場合の所定時間は好ましくは100msec以上、さらに好ましくは300msec以上である。
タイヤモデルが、転動モデル、パターンを一部のみモデル化した場合には、解析対象となるパターン部分の変形が終了するまで繰り返し計算し、計算終了とした場合には肯定判断とする。パターン部分の変形とは、転動によりパターン部分が路面モデルに接触後に路面モデルから離れるまでの間、または沈下量の変動が微小となる圃場モデルの材料モデルの層に到達後にそこから離間するまでの間、もしくは圃場モデルに接触後に予め定めた沈下量に達するまでの間の変形を指す。このパターン部分の変形は、タイヤが1回転以上転動した後に前記各モデルに接触するときからを対象としてもよい。さらに、所定時間になったら終了させることも可能である。この場合の所定時間は好ましくは100msec以上、さらに好ましくは300msec以上である。
なお、タイヤモデルと圃場モデルを一部重ねて定義すると計算モデル作成の手間を大幅に減らすことができる。またタイヤモデルに一部隠れる要素を2分することによって初期のメッシュを大きく取ることができ、土などの材料要素が増えて計算時間が増大することを防ぐことができ、性能予測を効率的に行える。
以上のようにして、タイヤモデルの変形計算及び圃場モデルの変形計算、タイヤと圃場との間に発生する摩擦力の計算、そして両モデルの連成のための境界条件変更及び境界条件(表面力)の付加を行った後、変更した境界条件で計算を行う。これを繰り返し、計算が終了した場合には、ステップ120で肯定され、ステップ122へ進み、計算結果を予測結果として出力し、予測結果の評価を行う。なお、繰り返し計算中に、その時点における計算結果を出力し、その出力について評価したり、逐次評価したりしてもよい。すなわち、計算中に出力・評価してもよい。
予測結果としてせん断応力が求まる場合、せん断応力は積分することによってトラクションが求まるので、結果として求まるせん断応力を積分し、トラクションを求めて予測結果とすることができる。
本実施形態では、タイヤと圃場との間の摩擦係数を求めて摩擦力を計算し、これをタイヤモデルの境界条件として与えるので、粗粒土等の圃場におけるトラクション性能を高精度に予測することができる。また、摩擦係数は、圧力や水分率等の各種依存性が考慮された値となるため、摩擦係数を単純に一定とした場合と比較してトラクション性能等を高精度に予測することができる。
また、予測結果の出力は、せん断応力、圧力、エネルギー、トラクション、摩擦係数、摩擦力等の値もしくは分布を採用することができる。予測結果の出力の具体的な一例として、圧力の出力と可視化、及び応力分布の出力と可視化がある。また、評価は、トラクションが許容値であるかなどの評価や、主観評価(全体的に、スムーズに流れているか、流れの方向による乱れの判断等)、圧力・エネルギーが局所的に上昇していないか等を採用することができる。また、パターンの場合、溝内移動を採用することもできる。また、タイヤモデルの場合、タイヤが回転することにより、タイヤが土や泥等の流体を挟み込み、前方に押し出す量が多いか等を採用することができる。この予測結果の評価は、予測結果の出力値や出力値の分布を用いて、予め定めた許容値や許容特性を各出力値や出力値の分布にどの程度適合するかを数値的に表現することによって、評価値を定めることができる。
次に、ステップ124では、上記予測結果の評価から、予測性能が良好であるか否かを判断する。このステップ124の判断は、キーボードによる入力によってなされてもよくまた、上記評価値に、許容範囲を予め定めておき、予測結果の評価値が許容範囲内に存在するときに、予測性能が良好であると判断するようにしてもよい。
予測性能の評価の結果、目標性能に対して不十分であるときは、ステップ124で否定され、次のステップ134において設計案を変更(修正)してステップ102へ戻りこれまでの処理をやり直す。一方、性能が十分であるときは、ステップ124で肯定され、次のステップ126において、上記ステップ100で設定した設計案のタイヤを製造し、その製造したタイヤについて次のステップ128において性能評価を行う。ステップ128の性能評価の結果が満足のいく性能(良好な性能)であるときは、ステップ130で肯定され、次のステップ132において、上記ステップ100またはステップ134で修正した設計案を良好な性能のものとして採用し、本ルーチンを終了する。ステップ132の設計案の採用は、その設計案が良好な性能であることを出力(表示したり、印刷したり)すると共に、その設計案のデータを記憶する。
なお、上記の実施の形態では、1つの設計案についてタイヤ性能予測及び評価を設計案を修正しながら繰り返し、採用する設計案を求めた場合を説明したが、複数の設計案から採用する設計案を求めても良い。例えば、複数の設計案について、各々タイヤ性能予測及び評価して、各々の評価結果のうち最良の設計案を選択すればよい。また、選択した最良の設計案について、上記実施の形態を実行することによって、さらに最良の設計案を求めることができる。
次に、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例は、ラジアルタイヤの性能予測に本発明を適用したものである。
タイヤの規格として、荷重は標準荷重であり、標準荷重とは、下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことである。このときの内圧は下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことである。また、リムは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、"Approved Rim"、"Recommended Rim" )のことである。そして、規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では "The Tire and Rim Association Inc. の Year Book" で、欧州では"The European Tire and Rim Technical Organization の Standards Manual"で、日本では日本自動車タイヤ協会の"JATMA Year Book"にて規定されている。
このタイヤをもとに性能予測のためのモデル化を行った後にタイヤモデルの性能予測を行い、予測結果、実測結果を合わせて示す。
本実施例としてモデル化・試作したタイヤは、タイヤサイズは195/65R15であり、トレッドパターンはサイプなしの構造とした。
モデル化は、タイヤの外面形状をレーザー形状測定器で測定し、設計図面、実際のタイヤの断面データよりタイヤ断面モデルを作成し、周方向に展開してタイヤ3Dモデル(数値モデル)を作成した。トレッドパターンは設計図面に基づき3Dモデルを作成し、タイヤ3Dモデルにトレッド部として貼り付けた。トレッドパターンとしては、図24(A)に示すような「パターンA」、同図(B)に示すような「パターンB」についてモデルを作成した。
性能評価試験では、上記のタイヤを6J−15のリムに内圧200kPaで組み付け、室内牽引力測定により、スリップ率30%で走行した際の沈下量と牽引力を測定した。測定結果を以下に示す。
まず、人工的に締め固めた地盤(地盤1)を準備し、最初の試験を行った。その後、その締め固めた地盤を掘り起こし、人工的に間隙率を高くした地盤(地盤2)を準備し、2度目の試験を行った。その後、地盤を掘り起こすと同時に大量の水をまくことで水分率を高くした地盤(地盤3)を準備し、最後の試験を行った。
地盤を単一材料によりモデル化した地盤モデルを作成し、従来手法(上記特許文献2記載の手法)、間隙率のみ考慮した手法、間隙率及び水分率を考慮した本発明にかかる手法により沈下量をシミュレーションした結果を実測値と共に示す。
Figure 2008273412
なお、従来手法を用いて間隙率や水分率を考慮することに物理的な意味はないため、その結果は省略している。間隙率のみを考慮した場合での水分率の結果も同様である。上記表から明らかなように、間隙率及び水分率を考慮した場合における地盤1〜3の3種類の地盤における間隙率や水分率の予測結果と実測値とを比較すると、2種類のタイヤ間の差の傾向をほぼ正しく予測していることが判る。ただし、何れの結果も実測値と比較して沈下量が少なくなっている。すなわち硬めの地盤モデルとならざるを得ない結果となっている。
次に、地盤を複数種類の材料によりモデル化した地盤モデルを作成し、上記と同様のシミュレーションを行った結果を実測値と共に示す。
Figure 2008273412
基本的に表1と略同様の傾向を示す結果となっているが、沈下量も実測値に非常に近い値となっているのが判る。
次に、地盤を複数種類の材料によりモデル化した地盤モデルを作成し、従来手法(上記特許文献2記載の手法)、間隙率のみ考慮した手法、間隙率及び水分率を考慮した本発明にかかる手法、間隙率及び水分率並びに摩擦力を考慮した本発明に係る手法により牽引力(トラクション)をシミュレーションした結果を実測値と共に示す。
Figure 2008273412
表から理解されるように、従来手法では予測不可能であった水分率が高いような条件であっても、トラクションの低下を正しく予測できていることが判る。
以上より、本発明により実用とする様々な条件下でのタイヤ性能を予測することが可能であることが判った。このことから本性能予測は設計案の性能予測に有効であり、設計・製造・性能評価のタイヤ開発サイクルの一部を数値解析で置き換えることが可能である。これを活用することによって、タイヤ開発の効率化を行なえることが理解される。
本実施の形態にかかり、タイヤの性能予測評価プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態にかかる、タイヤ性能予測方法を実施するためのパーソナルコンピュータの概略図である。 貫入抵抗値の測定結果として、圧力と沈下量との関係を示す特性図である。 圃場(土壌)の強度であるせん断抵抗値の計測結果として、垂直応力とせん断応力との関係を示す特性図である。 圃場の間隙比と圧力の対数値との関係を示す特性図である。 圃場が有するべき特性として、体積歪みと、間隙比と、密度との関係を示す概念図である。 圃場の密度と圧力との関係を示す特性図である。 圧力と摩擦係数との関係を示す線図である。 水分率と摩擦係数との関係を示す線図である。 圧力と摩擦係数との関係を水分率毎に示す線図である。 圧力とすべり速度との関係を示す線図である。 タイヤモデルを示し、(A)はタイヤ径方向断面モデル(B)はタイヤの3次元モデルを示し、(C)はパターンをモデル化したイメージを示す斜視図である。 3次元タイヤモデルのイメージを示す斜視図である。 複数の材料から成る地盤モデルを作成した場合の地盤の断面の一例を示す図である。 複数の層から成る地盤モデルを作成した場合の地盤の断面の一例を示す図である。3次元タイヤモデルのイメージを示す斜視図である。 圃場モデルの変形計算である応力計算処理の流れを示すフローチャートである。 地盤構造について説明するための図である。 飽和度と体積弾性係数との関係を示す線図である。 飽和度と低減係数との関係を示す線図である。 飽和度と粘着力との関係を示す線図である。 飽和度と体積弾性係数との関係を示す線図である。 飽和度と粘着力との関係を示す線図である。 飽和度と内部摩擦角との関係を示す線図である。 タイヤのトレッドパターンの一例を示す図である。
符号の説明
10 キーボード
12 コンピュータ本体
14 CRT
30 タイヤモデル
FD フレキシブルディスク(記録媒体)

Claims (11)

  1. 次の各ステップを含むタイヤ性能予測方法。
    (a)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
    (b)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (c)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
    (d)前記ステップ(b)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(c)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(b)及び前記ステップ(c)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
    (e)前記ステップ(c)またはステップ(d)におけるタイヤモデル及び地盤モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (f)前記物理量により地盤におけるタイヤ性能を予測するステップ。
  2. 前記ステップ(c)は、前記地盤内の水分の流動計算を実行するステップと、前記地盤の骨格構造の変形計算を実行するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ性能予測方法。
  3. 前記ステップ(c)は、前記地盤の水分に関する情報に基づいて前記地盤の弾塑性に関するパラメータを計算するステップを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ性能予測方法。
  4. 前記前記地盤の水分に関する情報は、前記地盤の飽和度であり、前記地盤の弾塑性に関するパラメータは、前記地盤の体積弾性係数及び粘着力の少なくとも一方であることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ性能予測方法。
  5. 前記地盤モデルは、複数種類の地盤材料を含んでモデル化されたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤ性能予測方法。
  6. 前記地盤は、土質材料を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のタイヤ性能予測方法。
  7. 前記地盤の状態を表わす地盤状態情報に基づいて、前記タイヤモデルと前記地盤モデルとの間に発生する摩擦力を計算するステップをさらに含み、
    前記ステップ(d)は、前記摩擦力を前記タイヤモデルに付与することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のタイヤ性能予測方法。
  8. 次の各ステップを含む地盤シミュレーション方法。
    (イ)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
    (ロ)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (ハ)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
    (ニ)前記ステップ(ロ)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(ハ)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(ロ)及び前記ステップ(ハ)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
  9. 次の各ステップを含むタイヤ設計方法。
    (1)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
    (2)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (3)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
    (4)前記ステップ(2)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(3)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(2)及び前記ステップ(3)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
    (5)前記ステップ(3)またはステップ(4)におけるタイヤモデル及び地盤モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (6)前記物理量により地盤におけるタイヤ性能を予測するステップ。
    (7)前記タイヤ性能を考慮して前記タイヤモデルを修正するステップ。
    (8)前記ステップ(7)での修正後のタイヤモデルについて、前記ステップ(2)〜(6)を実行した結果のタイヤ性能を考慮してタイヤモデルを修正することを繰り返し計算させるステップ。
    (9)前記ステップ(8)での計算結果のタイヤモデルに基づいてタイヤ設計するステップ。
  10. コンピュータによってタイヤ性能を予測するためのタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体であって、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体。
    (A)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
    (B)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (C)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
    (D)前記ステップ(B)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(C)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(B)及び前記ステップ(C)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
  11. コンピュータによってタイヤ性能を予測するために、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤ性能予測プログラム。
    (I)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触する地盤モデルと、を定めるステップ。
    (II)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステップ。
    (III)前記地盤の水分に関する情報に基づいて、前記地盤の変形計算を実行するステップ。
    (IV)前記ステップ(II)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ステップ(III)での変形計算後の地盤モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデル及び地盤モデルに付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び地盤モデルについて前記ステップ(II)及び前記ステップ(III)の計算を繰り返して、前記タイヤモデル及び地盤モデルの変形が定常状態とみなせるまで計算させるステップ。
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