JP2008272786A - Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法および連続鋳造用発熱性モールドパウダー - Google Patents

Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法および連続鋳造用発熱性モールドパウダー Download PDF

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【課題】液相線温度が1330〜1420℃と低いFe基合金およびNi基合金の連続鋳造を可能にすると共に、表面欠陥の発生が少なく、研削歩留まりが向上し、製造コスト低減をもたらす。
【解決手段】Fe基合金およびNi基合金を連続鋳造するに当たり、連続鋳造用鋳型内に注入した合金溶湯上に、燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4.0〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、および不可避混入不純物を含む酸化物からなり、かつ、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)が0.60以上0.70未満、融点が1050℃〜1150℃、1300℃における粘度が1.5poise〜2.5poiseの物性を有する連続鋳造用発熱性モールドパウダー、を投入Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、Fe基合金やNi基合金の連続鋳造方法およびこの方法の実施に当たって使用する連続鋳造用発熱性モールドパウダーに関するものである。
Fe基合金などの連続鋳造時に使用されるモールドパウダーは、連続鋳造鋳型内の合金溶湯の上部に投入され、このときの溶鋼の熱によって溶融し、その溶融したモールドパウダーが、鋳型内壁面と凝固シェル外面との間に流入することによって、鋳型と凝固シェルとの焼つきを防止する潤滑作用、鋳型と凝固シェルの間に生じた隙間を埋めることにより鋳片表面の冷却を促進する作用を持っている。それと同時に、その溶融したモールドパウダーは、これが溶鋼表面を覆うことによって、空気の遮断を果し、溶鋼表面の酸化を防止するとともに溶鋼中に混在する非金属介在物の吸収・吸着作用も併せもっている。
そこで、Fe基合金やNi基合金中でも特に、液相線温度が1330〜1420℃と低い合金の場合、これらはもともと溶湯の熱量が小さいことから、モールドパウダーの溶融が不足気味になりやすいことが知られている。その結果、溶融モールドパウダーの前記隙間への不均一流入に伴う欠陥発生を引き起こしやすいという傾向があった。これに対して、特許文献1および特許文献2では、液相線温度が低い合金種に適したモールドパウダーを提案している。しかし、この提案に係るモールドパウダーは、発熱型ではないために、溶融特性に課題があった。
一方で、連続鋳造鋳片の品質劣化を防止するための従来技術としては、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7等で提案しているとおり、発熱性モールドパウダーの使用が推奨される。しかしながら、これらの文献で提案している連続鋳造用発熱性モールドパウダーは、鋳型内の溶融合金の液相線温度が1500℃を大きく超えるような炭素鋼の連続鋳造用モールドパウダーとして開発されたものであり、溶融合金の液相線温度が1420℃を下回るようなFe基合金およびNi基合金の連続鋳造に適用することができないものである。
即ち、従来の一般的なモールドパウダーは、連続鋳造鋳型内の溶鋼上部に投入され、その溶鋼の熱を利用して溶融させるものであるから、1500℃を大きく超えるような高温で使用することを前提として開発されたものである。つまり、従来のモールドパウダーは、上記の使用温度で所定の溶融特性が生じるように調整されているため、融点が1420℃を下回るような低温の合金溶湯用として使用すると、前記隙間への不均一流入や流入不足等の欠陥を生じる。
さらに、特許文献8では、SUS304、SUS409、SUS321、SUS631に代表される一般的なステンレス鋼の連続鋳造に適用されるモールドパウダーの提案がある。
特開2007-061845号公報 特開2007-061846号公報 特開平3-169467号公報 特開平4-105757号公報 特開平9-85403号公報 特開平10-5953号公報 特開平10-34301号公報 特開平02-220749号公報
以上説明したように、従来のモールドパウダーは、いずれも液相線温度が1420℃を大きく超える合金を対象として開発されたものであり、本発明が対象とするようなFe基合金およびNi基合金の連続鋳造には、上述した理由により適用することができないものである。
さらに、本発明で処理対象としているようなFe基合金およびNi基合金の連続鋳造の場合、炭素鋼やステンレス鋼などと比較して、凝固シェルの熱間強度が高く、凝固シェルが変形すると、元の形状に戻りにくいため、連続鋳造時にデプレッションが発生しやすい傾向がある。この意味においても、Fe基およびNi基合金に対して適用が可能なモールドパウダーの開発が急務であった。
そこで、本発明の目的は、液相線温度が1330〜1420℃であるようなFe基合金およびNi基合金の連続鋳造スラブの連続鋳造に有効な発熱性モールドパウダーを提案することにある。
また、本発明の目的は、連続鋳造時に発生するデプレッション、縦割れなどの表面欠陥をなくすのに有効なFe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱えている上述した問題がなく、上記の目的を実現する上で有効な連続鋳造用発熱性モールドパウダーの成分および物性がどうあるべきかについて検討した。その検討の中では、発熱剤および酸化剤等の組み合わせを多数調整したモールドパウダーを用いて、低融点のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造を行った。そして、連続鋳造用発熱性モールドパウダーの溶融速度、溶融時の粘度、発熱特性、融点と、Fe基合金およびNi基合金を連続鋳造して得られる鋳片の表面品質との関係を詳細に調査した、その結果、以下に示すよう知見が得られた。
一般に、連続鋳造を行う際、通常は液相線温度よりも10〜50℃程度より高温の溶湯にして鋳型内に注湯される。したがって、1420℃を下回るような低融点のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造行う際には、連続鋳造鋳型内へ注湯される溶融合金の温度は、高くても1470℃程度である。そのため、こうした低融点の合金に用いる連続鋳造用発熱性モールドパウダーの融点は、溶融性の観点から1050℃〜1150℃が適していることがわかった。また、最適な融点の範囲は、1060℃〜1130℃である。さらに最適な融点の範囲は、1070℃〜1120℃である。
その理由は、以下のとおりである。即ち、モールドパウダーが溶融するために必要な熱量は、その全てが溶融合金から得られるため、連続鋳造用発熱性モールドパウダーの融点が1150℃を超えるようになると、溶融合金からの熱が不足してモールドパウダーが溶け難くなる。その結果、モールドパウダーの溶融不足が起り、不均一流入ひいては鋳型内温度の不均一を招き、鋳片表面にデプレッションを発生させるようになる。しかも、鋳型内壁面と凝固シェルとの隙間の潤滑性が不足したり、未溶融のモールドパウダーが鋳片に巻き込まれるといった現象も見られるようになる。
逆に、該発熱性モールドパウダーの融点が1050℃を下回ると、前記隙間にモールドパウダーが過剰に流入し、凝固シェルの冷却が強くなり過ぎて鋳片表面に割れを生じさせたり、不均一流入を招いて鋳型内温度が不均一となり、同じように鋳片表面にデプレッションを発生させる。
本発明に適合する発熱性モールドパウダーは、これが溶融した際の1300℃における粘度が1.5poise〜2.5poisの物性を示ものであることが必要がある。ここで、1300℃とは目安であるが、これは鋳型と鋳片の隙間に溶融したモールドパウダーが流入した際の鋳片表面温度を想定した温度である。この温度における粘度が1.5poiseを下回ると、鋳型と鋳片の隙間の潤滑の役割をする液膜の安定性が悪くなる。これにより、潤滑不良を起こし凝固シェルの破断を誘発したり、鋳型と鋳片との隙間が不均一の場合には、隙間の大きい部分に過剰に流入しすぎて、鋳片の不均一冷却を助長し、鋳片の表面割れやデプレッションを招く。
一方、1300℃における粘度が2.5poiseを超えると、鋳型内壁面と凝固シェルとの隙間への流入そのものが阻害され、該凝固シェルの鋳型への焼き付きを招き、流入した液膜の摩擦力が増大して凝固シェルの破断を誘発する。したがって、1300℃における粘度は、1.5poise〜2.5poiseとなるようにする。
なお、このような融点および粘度などで示される本発明発熱性モールドパウダーの特性値は、坩堝中にて発熱反応を起させた後の生成溶融スラグについての測定値である。また、これらの特性値はモールドパウダー構成成分によっても決まる。
これらの特性に影響を与える発熱性のモールドパウダーの成分組成は、下記の酸化物からなるものであって、燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、その他原料から不可避的に混入する不純物からなり、かつ、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)が0.60以上0.70未満の範囲のものである。
この連続鋳造用発熱性モールドパウダーは、酸化物としての上記の成分に加え、さらに、Cを0.2〜2.5mass%含有し、発熱剤としてCa-Si合金を5〜15mass%含有し、そしてこれを発熱させる酸化剤としてMnO、KMnO4およびFe2O3のうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を13〜18mass%を含有するものであってもよい。
本発明の連続鋳造用発熱性モールドパウダーは、発熱量が300〜500kcal/kgのものである。その理由は、300kcal/kg以下だと溶融が遅く凝固シェル/鋳型間への流入量が不足し、500kcal/kg以上だと溶融が速すぎて、逆に流入過多になる。
即ち、本発明は、Fe基合金およびNi基合金を連続鋳造するに当たり、連続鋳造用鋳型内に注入した合金溶湯上に、酸化物として、燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4.0〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、および不可避混入不純物を含有するものからなり、かつ、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)が0.60以上0.70未満、融点が1050℃〜1150℃、1300℃における粘度が1.5poise〜2.5poiseの物性を有する連続鋳造用発熱性モールドパウダーを投入することを特徴とする、Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法を提案する。
本発明はまた、Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造時に使用するモールドパウダーであって、酸化物として、燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4.0〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、および不可避混入不純物を含有するものからなり、かつ、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)が0.60以上0.70未満、融点が1050℃〜1150℃、1300℃における粘度が1.5poise〜2.5poiseの物性を有することを特徴とする、Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造用発熱性モールドパウダーを提案する。
本発明において処理対象とするFe基合金およびNi基合金は、それらの液相線温度が1330〜1420℃の合金であること、前記発熱性モールドパウダーは、上記の成分に加えて、Cを0.2〜2.5mass%含有し、さらに発熱剤としてCa-Si合金を5〜15mass%含有し、これを発熱させる酸化剤としてMnO、KMnO4およびFe2O3のうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を13〜18mass%を含有し、そして、発熱量が300〜500kcal/kgの物性を有することが好ましい。
本発明において、前記Fe基合金とは、Ni:15〜45mass%、Cr:15〜25mass%以下、Mo:1〜10mass%以下、Cu:5mass%以下、N:0.5mass%以下、Ti:1mass%以下、残部鉄および不可避的不純物で構成される合金であり、また、前記Ni基合金とは、Cr:10〜30mass%、Fe:1〜20mass%、Mo:20mass%以下、Wを:5mass%以下、Co:5mass%以下、Nb:5mass%以下、残部Niおよび不可避的不純物で構成される合金である。
以上説明したように、本発明によれば、従来は連続鋳造が困難であった液相線温度が1330〜1420℃と低いFe基合金およびNi基合金をデプレッションや縦割れでの表面欠陥を招くことなく円滑に連続鋳造することが可能である。また、本発明によれば、上記表面欠陥が抑制できるため、研削歩留まりが向上し、製品の製造コスト低減につなげることができる。
まず、本発明の発熱性モールドパウダーの化学成分を限定する理由を説明する。本発明において、融点:1050℃〜1150℃、1300℃における粘度:1.5poise〜2.5poiseを確保するには、少なくとも燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、および不可避混入不純物からなる酸化物を含み、かつ、塩基度が0.60以上0.70未満のものにすることが必要である。
特に重要なのは、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)である。この塩基度が0.60を下回るとパウダーの融点や粘度が高くなりすぎて流入を阻害し、潤滑不良となる。逆に、0.70以上となると融点や粘度が低くなりすぎ、潤滑層の維持が難しくなる。そのために、潤滑不良となったり、鋳型と鋳片との隙間が不均一となり、とくに隙間の大きい部分に過剰に流入しすぎて、鋳片の不均一冷却を助長し、鋳片の表面割れやデプレッションを誘発する。
また、溶融時のモールドパウダー物性の制御のため添加される他成分とのバランスを考えると、好ましくは、CaOを20〜26mass%、SiO2を32〜38mass%の範囲に収めるべきである。それは、これら、CaO、SiO2の数値範囲が、これらの範囲を外れると、溶融速度が遅くなり凝固シェル/鋳型間への流入が不足する。
なお、これらのCaO、SiO2には、発熱性モールドパウダーに発熱剤として添加されるCa−Si合金中のCaおよびSi分も酸化物換算して含まれている。F、Na2O、K2Oは、溶融時のパウダー物性を適正に微調整するために添加される。
F分は、4mass%を下回ると、パウダーの融点や粘度が高くなりすぎて流入を阻害し潤滑不良となる。逆にF分が5.5mass%を超えると、融点が1050℃を下回って低くなったり、粘度が1.5poise未満と低くなりすぎて潤滑層の安定性が悪くなるため、やはり潤滑不良となる。また、場合によっては、鋳型内壁面と凝固シェルの隙間が不均一の場合には、隙間の大きい部分に過剰に流入しすぎ、鋳片の不均一冷却を助長して、鋳片の表面割れやデプレッションを誘発する。
Na2Oは、3mass%を下回ると、パウダーの融点が1150℃を超えて高くなったり、粘度が2.5poiseを超えて高くなりすぎて流入が阻害され潤滑不良となる。逆に、このNa2Oが5mass%を超えると融点が1050℃未満と低くなり、粘度も1.5poise未満と低くなりすぎて、潤滑層の維持が難しくなり、やはり潤滑不良となったりする。また、鋳型内壁面と凝固シェルとの隙間が不均一になった場合には、隙間の大きい部分に過剰に流入しすぎ、鋳片の不均一冷却を助長して、鋳片の表面割れやデプレッションを誘発する。
K2Oは7mass%を下回ると、パウダーの融点や粘度が高くなりすぎ流入を阻害し潤滑不良となる。逆に、K2Oが10mass%を超えると融点や粘度が低くなりすぎて潤滑層の維持が難しくなるため、やはり潤滑不良となったりする。そして、鋳型内壁面と凝固シェルとの隙間が不均一の場合には、隙間の大きい部分に過剰に流入しすぎて、鋳片の不均一冷却を助長して、鋳片の表面割れやデプレッションを誘発する。
Al2O3とMgOは、それぞれ2.5mass%、2mass%を超えると、MgAl2O4のような高融点化合物を生成し潤滑を阻害する。
C分は、炭酸塩として含まれる場合と炭素単体として含まれる場合があるが、炭酸塩の熱分解が吸熱反応のため、発熱性を阻害し、また炭素単体は骨材となってパウダーの溶融速度を低下させるので、C分換算であわせて2.5mass%以下にすべきである。
さらに発熱剤を発熱させるための酸化剤として、MnO、KMnO4あるいはFe2O3のいずれか1種または2種以上を13〜18mass%添加する。これらが13mass%を下回ると、発熱剤を発熱させるのに不足し、一方、18mass%を超えると過剰なこれらの成分は溶融パウダー中に残存し溶融パウダーの特性値が変化してしまう。
さらに、発熱剤として、Ca-Si合金を5〜15mass%添加する。これが5mass%を下回ると、発熱量が不足して連続鋳造鋳片の品質劣化を防止する効果がなくなり、一方、15mass%を超えると発熱が過剰となって、合金の凝固シェル形成を阻害する。これらの最適な発熱量は、炭酸塩の熱分解が吸熱反応であることも考慮した上で、発熱性のモールドパウダー1kgあたり300kcal〜500kcalである。発熱剤はMnO、KMnO4、Fe2O3として添加するのが適している。
また、本発明の発熱性モールドパウダーを適用するFe基合金とは、Ni:15〜45mass%、Cr:15〜25mass%以下、Mo:1〜10mass%以下、Cu:5mass%以下、N:0.5mass%以下、Ti:1mass%以下、残部鉄および不可避的不純物で構成されるものが適している。
本発明の発熱性モールドパウダーを適用するNi基合金については、Cr:10〜30mass%、Fe:1〜20mass%、Mo:20mass%以下、Wを:5mass%以下、Co:5mass%以下、Nb:5mass%以下、残部Niおよび不可避的不純物で構成されるものが適している。これら溶融合金の液相線温度は、1330〜1420℃と、普通鋼やステンレス鋼と比べて低温であるため、本発明のパウダーが好適である。
表1に本発明に適合する発熱性モールドパウダー(以下、「発明パウダー」という)の例を、本発明に適合しないモールドパウダー(以下、「比較パウダー」という)の例と共に示す。表2には、これらのモールドパウダーを用いて、実機試験を行った結果を示す。まず、鋼種によって、鉄屑、Ni、Fe-Ni、Fe-Mo、Cr、Fe-Cr、ステンレス屑等を、電気炉において溶解した。鋼種によっては、W、Fe-W、Coも配合した。その後、AODあるいはVODにおいて、脱炭、Cr還元を行い、最終的に脱硫処理をした。鋼種によっては、Ti、NbはVODにて投入添加した。場合によっては、取鍋精錬にて温度調整と、成分の微調整を行い、連続鋳造機にてスラブを製造した。溶鋼重量は、20トン、40トン、60トンの3水準の重量である。スラブ幅は750〜1500mmまであり、そのため、スラブ本数は20トンで最低2本、60トンでは最高7本であった。スラブ長さは5〜10m程度に切断している。
Figure 2008272786
Figure 2008272786
表2から明らかなとおり、発明パウダーを用いた場合は、スラブ表面性状が良好であった。すなわち、スラブ全表面を目視観察して、デプレッション、縦割れなどの表面欠陥が占める面積が1m2以下であった。しかし、比較パウダーを用いた場合は、デプレッション、縦割れなどの表面欠陥が1m2よりも広く発生してしまい、スラブ研削歩留まりが低下した。場合によっては、屑化せざるを得ない場合もあった。
なお、溶鋼成分、パウダー成分および物性値は、以下の方法により測定した。
(1)連続鋳造用パウダー成分:C以外は、化学分析により定量分析した。表1中に示す各成分の合計が100%未満であるのは、これらの成分以外にも、S等の不可避的不純物を含むためである。C含有量は燃焼法により求めた。
(2)溶鋼成分:蛍光X線分析装置により定量分析した。ここに示す元素以外に、不可避的な不純物として、P、S、Cu、O、Nなどを含んでいる。さらに、脱酸にAlを用いている場合、0.4%以下程度のAlが含まれる。
(3)粘度:回転円筒法により測定した。すなわち、鉄坩堝にパウダーを入れ、縦型抵抗炉内で溶解し、その後、鉄製のローターを挿入、回転させることで粘度を測定した。なお、Ca-Siと酸化剤が反応した後に測定を行った。
(4)融点:上記粘度測定の際に、温度を降下していくと急激に粘度の値が立ち上がる点が求まる。この変曲点を凝固温度とした。
(5)発熱量:配合されている発熱剤(本例はCa-Si合金)が燃焼した時の発熱量であって、CaとSiの酸化反応から計算により求めた値である。
本発明の発熱性モールドパウダーは、低融点のFe基合金やNi基合金の連続鋳造に好適に用いられるが、それだけに限らず、例えば、Fe-Ni系、Fe-Mn系、ステンレス鋼などの鋳造用パウダーとしても利用が可能である。

Claims (7)

  1. Fe基合金およびNi基合金を連続鋳造するに当たり、連続鋳造用鋳型内に注入した合金溶湯上に、
    燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4.0〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、および不可避混入不純物を含む酸化物からなり、かつ、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)が0.60以上0.70未満、融点が1050℃〜1150℃、1300℃における粘度が1.5poise〜2.5poiseの物性を有する連続鋳造用発熱性モールドパウダー、
    を投入することを特徴とする、Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法。
  2. 前記Fe基合金およびNi基合金は、それらの液相線温度が1330〜1420℃の合金であることを特徴とする請求項1に記載のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法。
  3. 前記発熱性モールドパウダーは、酸化物としての上記の成分に加えて、Cを0.2〜2.5mass%含有し、さらに発熱剤としてCa-Si合金を5〜15mass%含有し、これを発熱させる酸化剤としてMnO、KMnO4およびFe2O3のうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を13〜18mass%を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法。
  4. 発熱量が300〜500kcal/kgの物性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造方法。
  5. Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造時に使用するモールドパウダーであって、燃焼後の化学成分が、CaO:20〜26mass%、SiO2:32〜38mass%、F:4.0〜5.5mass%、Na2O:3〜7mass%、K2O:7〜10mass%と、Al2O3:0.1〜2.5mass%以下、MgO:0.1〜2mass%以下、および不可避混入不純物を含む酸化物からなり、かつ、塩基度(CaOmass%/SiO2mass%)が0.60以上0.70未満、融点が1050℃〜1150℃、1300℃における粘度が1.5poise〜2.5poiseの物性を有することを特徴とする、Fe基合金およびNi基合金の連続鋳造用発熱性モールドパウダー。
  6. 前記発熱性モールドパウダーは、酸化物としての上記の成分に加えて、Cを0.2〜2.5mass%含有し、さらに発熱剤としてCa-Si合金を5〜15mass%含有し、これを発熱させる酸化剤としてMnO、KMnO4、Fe2O3のいずれか1種または2種以上を13〜18mass%を含有することを特徴とする、請求項5に記載のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造用発熱性モールドパウダー。
  7. 発熱量が300〜500kcal/kgの物性を有することを特徴とする請求項5または6に記載のFe基合金およびNi基合金の連続鋳造用発熱性モールドパウダー。
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