ところで、本出願人は土鍋を用いた電気炊飯器を開発し既に提案するとともに、実用にも供している。その炊飯器用非金属製鍋の形態は金属製鍋の形態をほぼ踏襲したものであり、底部下面の発熱体を保護する意味で高台を設けている点が相違している。また、電磁誘導コイルの配置も金属製鍋を使用している電気炊飯器と同様に、非金属製鍋の底部中央部と胴部の底部からの立ち上がり湾曲部とに対応する2箇所に設け、これらに対応する、非金属製鍋の外面に発熱体を設けてある。これによって、加熱条件、制御条件、温度検出条件といった面での非金属製鍋に特有の工夫を含め実用化に成功している。
一方、小型化や小容量タイプの実現に向けさらに開発を進め、炊飯器用非金属製鍋の形態や誘導加熱方式の単純化を図る中、本発明者は、高台が発熱体を定置面から浮かせて保護するために、非金属製鍋の底部の下面に局部的に突出してこれを境にした両側の壁厚に比しボリュームが局部的に増大し、一旦昇温すると降温しにくい反面、形態および加熱方式の単純化、小型化に対応する底部下面に限った発熱体からの単純加熱では、高台部の昇温が極端に遅れて隣接部との昇温差から、高温加熱時、特に空炊き時は割れが生じやすくなることを経験している。
本発明の目的は上記のような問題点を解決することにあり、被炊飯器用非金属製鍋の形態および誘導加熱方式の単純化に適して、しかも、高台による昇温差のない割れにくい炊飯器用非金属製鍋とそれを用いた電気炊飯器を提供することにある。
上記のような課題を解決するために、本発明の炊飯器用非金属製鍋は、底部下面に、電磁誘導で発熱する発熱体と、この発熱体を定置面から浮かせる高台とを備え、発熱体は、高台部から離して設けることを1つの特徴とする。
このような構成では、底部下面に限った発熱体からの単純加熱としながら、高台は発熱体を定置面から浮かせて保護するために、非金属製鍋の底部下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいことに対し、発熱体が高台から離れて高台近傍部昇温度合いを低減することで、非金属製鍋における高台部とその近傍部との昇温差を抑えられる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋は、また、底部下面に、電磁誘導で発熱する発熱体と、この発熱体を定置面から浮かせる高台とを備え、発熱体は、高台部に近づくのに伴い発熱量を下げることを別の特徴とする。
このような構成では、底部下面に限った発熱体からの単純加熱としながら、高台は発熱体を定置面から浮かせて保護するために、非金属製鍋の底部下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいことに対し、発熱体の発熱量を高台に近づくに伴い下げることで、非金属製鍋における高台部とその近傍の発熱体加熱部との昇温差を抑えられる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋は、また、底部下面に、電磁誘導で発熱する発熱体と、この発熱体を定置面から浮かせる高台とを備え、発熱体は、高台部に及んで設けたことを他の特徴とする。
このような構成によれば、底部下面に限った発熱体からの単純加熱としながら、高台は発熱体を定置面から浮かせて保護するために、非金属製鍋の底部下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいことに対し、発熱体が高台部に及んで高台部を直接加熱し昇温を早めるので、高台部の局部的なボリュームの増大による隣接部との昇温差を抑えられる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋は、また、底部下面に、電磁誘導で発熱する発熱体と、この発熱体を定置面から浮かせる高台とを備え、発熱体は、高台部の内側と外側とに設けたことを今1つの特徴とする。
このような構成によれば、底部下面に限った発熱体からの単純加熱としながら、高台は発熱体を定置面から浮かせて保護するために、非金属製鍋の底部下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいところ、発熱体が高台の内側と外側とに位置して発熱体からの発熱が高台部にも内側および外側から及んで昇温させやすくなり、高台部の局部的なボリュームの増大による隣接部との昇温差を抑えられる。
本発明の電気炊飯器は、上記いずれか1つの特徴の炊飯器用非金属製鍋をほぼずんどう形態としたものと、この非金属製鍋を着脱できるように収容して受載し、内、外装ケースの底部間に配置した加熱コイルからの交番磁界によって非金属製鍋の発熱体を発熱させて炊飯を行う器体と、器体および非金属製鍋を開閉し、閉じ状態では炊飯中の蒸気を外部に放出する蓋体と、を備え、器体の内装ケースの胴部の下部から非金属製鍋のフランジ部に下方から対向する肩部まで複数のヒータを配設し、蓋体の金属製の放熱板上に複数のヒータを径方向に配設したことを特徴とする。
このような構成では、非金属製鍋の胴部に対応する円筒域に対する高い容積率によるデッドスペースの低減と加熱コイルおよびその設置域の低減とから電気炊飯器全体が小型化して、底部下面に配した発熱体による全収容域にほぼ対応した広域加熱の実現と、多数のヒータによる各部での温度補償とを伴い、炊飯時や保温時の均一加熱性、温度むらによる結露の防止性、割れ防止性を発揮することができる。
この場合、上記において、さらに、高台の内側と外側に発熱体を設けた非金属製鍋をほぼずんどう形態として備え、加熱コイルは、高台内側の発熱体との対向域を超えて高台外側の発熱体近傍に至る大きさか、高台外側の発熱体との対向域にまで至る大きさとすることができ、これにより加熱コイルは1つのままで、高台内側の発熱体との対向域を超えて高台外側の発熱体近傍に至る大きさとして、外側の発熱体との距離がやや大きいが、それとの対向位置に及ばない加熱コイルで発熱させるようにするか、高台外側の発熱体との対向域にまで至る大きさとして直近から強く発熱させることもできる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋の1つの特徴によれば、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋の底部下面だけの発熱体からの加熱にて炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体保護のために高台が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体が高台から離れて高台部近傍の昇温を低減して、非金属製鍋における高台部とその近傍の発熱体部との昇温差を抑えられるので、高温加熱時、特に空炊き時に生じやすい割れを防止することができ、耐久性を高められる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋の別の特徴によれば、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋の底部下面だけの発熱体からの加熱にて炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体保護のため高台が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体が高台に近づくにつれ発熱量が下がって高台に近づくほど昇温を低減して、非金属製鍋における高台部とその近傍の発熱体加熱部との昇温差を抑えられるので、高温加熱時、特に空炊き時に生じやすい割れを防止することができ、耐久性を高められる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋の他の特徴によれば、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋の底部下面だけの発熱体からの加熱で炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体保護のため高台が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体が高台部に及んで高台部を直接加熱し昇温を早めて隣接部との昇温差を抑えられるので、高温加熱時、特に空炊き時に生じやすい割れを防止することができ、耐久性を高められるし、加熱効果も高まる。
本発明の炊飯器用非金属製鍋の今1つの特徴によれば、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、発熱体の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋の底部下面だけの発熱体からの加熱で炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体保護のため高台が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体の発熱が高台に内側と外側とからの加熱が及んで昇温させやすく高台部の局部的なボリュームの増大による隣接部との昇温差を抑えられる。
本発明の電気炊飯器によれば、炊飯器用非金属製鍋の高い容積率によるデッドスペースの低減と加熱コイルおよびその設置域の低減とから電気炊飯器全体が小型化して、底部下面に配置した発熱体による全収容域にほぼ対応した広域加熱の実現と、多数のヒータによる各部での温度補償とを伴い、炊飯時や保温時の均一加熱性、温度むらによる結露の防止性、割れ防止性を発揮することができ、小容量の電気炊飯器に特に好適である。
特に、高台の内側と外側に発熱体を設けた炊飯器用非金属製鍋の使用において、加熱コイルは1つのままで、高台内側の発熱体との対向域を超えて高台外側の発熱体近傍に至る大きさで、外側の発熱体との距離がやや大きいが、それとの対向位置に及ばない加熱コイルで発熱させるようにするか、高台外側の発熱体との対向域にまで至る大きさで直近から強く発熱させることもできる。
以下、本発明に係る、炊飯器用非金属製鍋とそれを用いた電気炊飯器の実施の形態について、図1〜図13を参照しながら詳細に説明し本発明の理解に供する。
本実施の形態は、図1、図2に示す例の非金属製鍋1、図3に示す例の非金属製鍋1、図4に示す例の非金属製鍋1、図5に示す例の非金属製鍋1、図6に示す例の非金属製鍋1図7に示す例の非金属製鍋1を含み、いずれも、底部2の下面に、電磁誘導で発熱する発熱体3と、この発熱体3を定置面4から浮かせる高台5とを備えている。これにより、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋1の底部2下面だけの発熱量を増大した発熱体3からの加熱にて炊飯などに十分な昇温効果を得られる。このような非金属製鍋1は、陶土を焼成したいわゆる土鍋でよいが、セラミック類も含み、既に知られる種々のものを採用することができ、発熱体3は例えば銀を採用し、転写紙から銀箔を転写する方式によって形成することができ、通常10〜数十μm程度の層厚でよい。しかし、銀ペーストの塗布層、印刷層、あるいは銀の蒸着層などでもよい。材料や設け方は自由に選択できる。特に、底部2の厚さCと、発熱体3から高台5までの距離Dとの関係は、C<Dとするのが好適である。
しかし、このような非金属製鍋1において高台5は発熱体3を保護するため、非金属製鍋1の底部2下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、底部2における高台5部とその近傍の発熱体部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすくなる。
そこで、最も単純な対応として、図1、図2に示す例の非金属製鍋1、図3に示す例の非金属製鍋1、図4に示す例の非金属製鍋1、図5に示す例の非金属製鍋1は、発熱体3を高台5から離して設けてある。これにより、底部2の下面に限った発熱体3からの単純加熱としながら、高台5は発熱体3を定置面4から浮かせて保護するために、非金属製鍋1の底部2下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいことに対し、発熱体3が高台5部から離れて高台5近傍部の昇温度合いを低減することで、非金属製鍋1における高台5部とその近傍部との昇温差を抑えられる。
この結果、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体3の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋1の底部2下面だけの発熱体3からの発熱量を増大するなどした加熱にて炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体3保護のために高台5が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体3が高台5から離れて高5部近傍の昇温を低減して、非金属製鍋1における高台5部とその近傍の発熱体部との昇温差を抑えられるので、高温加熱時、特に空炊き時に生じやすい割れを防止することができ、耐久性を高められる。
また、図3に示す例の非金属製鍋1、図7の右半部に示す例の非金属製鍋1では、発熱体3は、高台5部に近づくのに伴い発熱量を下げるようにしてある。発熱量は発熱体3の層厚の増大によって簡単に実現し、図3に示す例のように、転写や印刷する重ね数を周辺から中央部へ段階的に増大することで簡単に実現するし、図7の右半部に示す例のように層厚を周辺から中央部へ連続に増大させることもでき、それには発熱体材料の型による当てがいや塗着によれば対応しやすい。
この場合も、底部2の下面に限った発熱体3からの単純加熱としながら、高台5は発熱体3を定置面4から浮かせて保護するために、非金属製鍋1の底部2下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいことに対し、発熱体3の発熱量を高台5に近づくに伴い下げることで、非金属製鍋1における高台5部とその近傍の発熱体加熱部との昇温差を抑えられる。
この結果、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体3の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋1の底部2下面だけの発熱体3からの発熱量を高めるなどした加熱にて炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体3保護のため高台5が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体3が高台5に近づくにつれ発熱量が下がって高台5に近づくほど昇温を低減して、非金属製鍋1における高台5部とその近傍の発熱体3による加熱部との昇温差を抑えられるので、高温加熱時、特に空炊き時に生じやすい割れを防止することができ、耐久性を高められる。また、発熱体3を図7の右半部に示す例のように高台5に近づけても昇温差への影響を抑えられるので、広域加熱に有利である。
これらとは逆に、図6に示す例の非金属製鍋1では、発熱体3は、高台5部に及んで設けている。この場合も、底部2の下面に限った発熱体3からの単純加熱としながら、高台5は発熱体3を定置面4から浮かせて保護するために、非金属製鍋1の底部2下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいことに対し、発熱体3が高台5部に及んで高台5部を直接加熱し昇温を早めるので、高台5部の局部的なボリュームの増大による隣接部との昇温差を抑えられる。
この結果、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、かつ、発熱体3の転写や印刷が高台4への乗り上げ部を除いて平坦にでき容易になる、非金属製鍋1の底部2下面だけの発熱体3からの発熱量を上げるなどした加熱で炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体3保護のため高台5が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体3が高台5部に及んで高台5部を直接加熱し昇温を早めて隣接部との昇温差を抑えられるので、高温加熱時、特に空炊き時に生じやすい割れを防止することができ、耐久性を高められるし、加熱効果も高まる。
さらに、図7の左半部に示す例の非金属製鍋1では、発熱体3は、高台5部の内側と外側とに設けてある。この場合も、底部2下面に限った発熱体3からの単純加熱としながら、高台5は発熱体3を定置面4から浮かせて保護するために、非金属製鍋1の底部2下面に局部的に突出してボリュームが増大し、一旦昇温すると冷めにくい反面、昇温しにくく、近傍の発熱体加熱部分との昇温差が大きいために、高温加熱時、特に空炊き時に割れやすいところ、発熱体3が高台5の内側と外側とに位置して発熱体3からの発熱が高台5部にも内側および外側から及んで昇温させやすくなり、高台5部の局部的なボリュームの増大による隣接部との昇温差を抑えられる。特に、高台5は図7の右半部に示す例の底部2の外周コーナ部に設ける場合、内側のご飯の攪拌性やお手入れ性を高めるアール面8との関係から局部的なボリュームの増大が大きくなるのに対し、図7の左半部に示す例の内側の平坦部に寄った位置では、局部的なボリュームの増大が抑えられ昇温差に原因した割れの防止効果が高まる。
この結果、形態や加熱方式の単純化、小型化に対応しやすく、発熱体の転写や印刷が平坦にでき容易になる、非金属製鍋1の底部2下面だけの発熱体3からの発熱量を増大するなどした加熱で炊飯などに十分な昇温効果を得ながら、発熱体3保護のため高台5が局部的に突出してボリュームが増大し昇温しにくいことに対し、発熱体3の発熱が高台5に内側と外側とから及んで昇温させやすく高台5部の局部的なボリュームの増大による隣接部との昇温差を抑えられる。この場合、高台5の内側および外側の発熱体3が高台5まで及んで設けるのが高台5の早期昇温に有利であり、発熱体3の高台5に及んでいる部分の発熱量を増大するのがさらに好適である。また、図1、図2の例または図3に示す例での形態の非金属製鍋1における高台5を内側に寄せると、底部2における高台5の外側の平坦域が胴部6の内面6aの延長線7の位置程度ないしはその外まで伸ばすことができ、高台5の外側にも発熱体3を配置することを利用して全収容域X0の全範囲ないしはそれを超えた範囲での広域加熱が実現する。
図7の左半部に示す例の非金属製鍋1は高台5を境に内外2つの発熱体3を持っているが、図8に示す電気炊飯器10などにおける1つの加熱コイル11に対応させるだけで広域加熱ができる。この場合、非金属製鍋1の全収容域X0にほぼ対応した、換言すると非金属製鍋1の胴部6の内径にほぼ対応した加熱域Xが実現し、熱伝導性の低い非金属製鍋1での加熱効率、加熱の均等度を高められる。さらに、胴部6を包含する円筒域X1内での容積率が高まる。
本実施の形態の電気炊飯器10は、上記いずれか1つの非金属製鍋1を図示するようなほぼずんどう形態としたものと、この非金属製鍋1を着脱できるように収容して受載し、内、外装ケース13、14の底部13a、14a間に配置した1つの加熱コイル11からの交番磁界によって非金属製鍋1の発熱体3を発熱させて炊飯を行う器体12と、器体12および非金属製鍋1を開閉し、閉じ状態では炊飯中の蒸気を外部に放出する蓋体15と、を備え、器体12の内装ケース13の胴部13bの下部から非金属製鍋1のフランジ部16に下方から対向する肩部14cまで複数のヒータ17、18を配設し、蓋体15の金属製の放熱板19上に複数のヒータ21を径方向に配設したものとすることができる。
これにより、非金属製鍋1の胴部6に対応する円筒域X1に対する高い容積率によるデッドスペースの低減と加熱コイル11およびその設置域の低減とから電気炊飯器10全体が小型化して、底部2下面に配した発熱体3による全収容域X0にほぼ対応した広域加熱の実現と、多数のヒータ17、18、21による各部での温度補償とを伴い、炊飯時や保温時の均一加熱性、温度むらによる結露の防止性、割れ防止性を発揮することができる。
この場合、高台5の内側と外側に発熱体3を設けた非金属製鍋1をほぼずんどう形態として備え、1つの加熱コイル11は、高台5内側の発熱体3との対向域を超えて高台5外側の発熱体3近傍に至る図7(a)に示す大きさか、高台5外側の発熱体3との対向域にまで至る図7(b)に示す大きさとすることができ、これにより加熱コイル11は1つのままで、高台5内側の発熱体3との対向域を超えて高台5外側の発熱体3近傍に至る大きさで、外側の発熱体3との距離がやや大きいが、それとの対向位置に及ばない加熱コイル11で発熱させるようにするか、高台5外側の発熱体3との対向域にまで至る大きさで直近から強く発熱させることもできる。
これにより、非金属製鍋1の高い容積率によるデッドスペースの低減と加熱コイル11およびその設置域の低減とから電気炊飯器10全体が小型化して、高台5を境に内外に配置した発熱体3による全収容域により対応した広域加熱の実現と、多数のヒータ17、18、21による各部での温度補償とを伴い、炊飯時や保温時の均一加熱性、温度むらによる結露の防止性、割れ防止性を発揮することができ、小容量の電気炊飯10に特に好適である。特に、高台5の内側と外側に発熱体3を設けた非金属製鍋1の使用において、加熱コイル11は1つのままで、高台5内側の発熱体3との対向域を超えて高台5外側の発熱体3近傍に至る大きさとして、外側の発熱体3との距離がやや大きいが、それとの対向位置に及ばない加熱コイル11で発熱させるようにするか、高台5外側の発熱体3との対向域にまで至る大きさとして直近から強く発熱させることもできる。
以下、図示例について詳述する。図1に示す例の非金属製鍋1は、本発明の1つの実施例図であり、図示するような寸法関係を持ち、3合炊き以下の小容量調理なべを示しているが、これに限られることはなく、基本的には、底部2の下面に、電磁誘導で発熱する発熱体3と、この発熱体3を定置面4から浮かせる高台5とを備え、高台5は、ほぼずんどうな胴部6の外面にほぼ連続し、かつ、胴部6の内面6aからの図1に示す例のようにほぼ延長線7上か図3に示す例のようにそれより外側に位置するように設けた点に特徴がある。図3の例では高台5はこれに続く胴部6の肉厚の中心線7a上に位置している。
本発明者は既述したように、高台5は発熱体3を定置面4から浮かせて保護するために、非金属製鍋1の底部2の下面に局部的に突出してこれを境にした両側の壁厚に比しボリュームが局部的に増大して、一旦昇温すると降温しにくいが、昇温が極端に遅れて隣接部との昇温差から空炊き時は特に割れが生じやすくなることを経験しているが、上記の特徴から、高台5がほぼずんどうな胴部6の外面6bにほぼ連続して位置し、かつ、図1に示す例のように胴部6の内面6aからのほぼ延長線7上か図3に示す例のようにそれより外側に位置するため、非金属製鍋1内の加熱域から少なくともほぼ外れるので、ある程度の昇温差があっても加熱調理時の加熱むらの原因になるのを防止することができる。また、非金属製鍋1の底部2下面における高台5の内側に発熱体3を設けて、図8に示す電気炊飯器10などにおける1つの加熱コイル11に対応させるだけで非金属製鍋1の全収容域X0にほぼ対応した、換言すると非金属製鍋1の胴部6の内径にほぼ対応した加熱域Xが実現し、熱伝導性の低い非金属製鍋1での加熱効率、加熱の均等度を高められる。さらに、胴部6を包含する円筒域X1内での容積率が高まる。
この結果、高台5がほぼずんどうな胴部6の外面6bにほぼ連続し、かつ、胴部6の内面6aからのほぼ延長線7の上か外側にて、加熱域Xからほぼ外れるか外れ、昇温差による加熱むらを防止するのに併せ、高台5の内側の発熱体3を1つの加熱コイル11などに対応させるだけで非金属製鍋1の全収容域X0にほぼ対応した加熱域Xにて、熱伝導性の低い非金属製鍋1での加熱効率、加熱の均等度を高められ、ご飯を美味しく炊き上げられる。また、胴部6を包含する円筒域X1内での容積率が高まり、容量に対するかさ張りを低減することができる。
また、高台5を境にした底部2と胴部6の底部2からの立ち上がり湾曲部6cとの厚みをほぼ同等にしてある。これにより、非金属製鍋1における胴部6のほぼずんどう形態を損なわない程度の、高台5部にほぼ連続した底部2からの立ち上がり湾曲部6cによって、お手入れ性、炊飯後のご飯の攪拌性を高める、非金属製鍋内の底部2および胴部6間のアール面8に対し厚肉にならずに外面6bを沿わせて、底部2の厚みとほぼ同等とし、かつ、高台5部のボリュームも抑えられ、高台5部を境にした肉厚の変化を緩やかにして昇温差の変化や加熱むらを軽減できる。従って、非金属製鍋1の昇温差による割れを防止して、しかも、ご飯をより美味しく炊き上げられる。また、前記立ち上がり湾曲部6cの立ち上がり位置X2は、図9に最少目盛線高さとして示した最少調理水位にほぼ対応するか図6に示すようにその下方近傍とする。これにより、最少調理水位にほぼ対応するかその下方近傍となる湾曲立ち上がり位置X2として実用上のお手入れ性、ご飯の攪拌性を確保して、しかも、高台5部のボリュームが徒に大きくなるのを防止することができる。従って、高台5の存在が割れや加熱むらの原因になるのを防止することができる。同時に、非金属製鍋1の陶土などの成形型面への押し付け成形時に生じやすい陶土などの型面コーナ部への押し込み不良も解消され成形性が向上する。立ち上がり湾曲部6cの立ち上がり位置が最少調理水位よりも下の場合は、特に、最少調理水位を示す最少目盛線の転写が容易となり、位置ずれも生じにくくなる利点がある。さらに、高台5部は、図2に示すように全周連続している。高台5部が不連続であると、非金属製鍋1の高台5部とその途切れ部との間で周方向における肉厚変化が極端になり、高温加熱時、特に空炊き時の割れの原因になるのを、高台5部が連続して周方向での肉厚変化をなくすことにより防止することができ、耐久性が向上する。
図1に示す例について、さらに述べると、底部2の厚さCを胴部6の立ち上がり湾曲部6cの厚さBよりも大きくしてあり、発熱体3を設けて加熱を行う底部2での高台5部との肉厚変化を、立ち上がり湾曲部6cと高台5部との肉厚変化よりも小さくして、昇温差、加熱むらをより解消し、割れの十分な防止と均一加熱性の向上とを図れる。また、これら厚さB、Cを基準にアール面8の半径寸法Rを設定すると、R≧2・Bまたは2・C程度の幅を持って設定して成形性を確保するのに好適となる。B、Cは図1に示す寸法に限られないのは上述の通りである。さらに、胴部6の上部、例えば立ち上がり湾曲部6cから上部6dの厚さAは、それより下、従って、図示例では立ち上がり湾曲部6cの厚さBよりも大きく設定して、その範囲での蓄熱性を高め、炊飯時や保温時の側面からの加熱性が不足するのを防止している。これによって胴部6の上部と下部との間にできる段部X3の肉厚変化は、向きの違う2つのアール面によって緩やかにし、応力の集中による割れが発生しないようにする。また、胴部6の上部6dは上端開口20に向かって径が増大する若干のテーパ形状をなしていて、等厚で成形型からの引出が容易となるし、高台5および立ち上がり湾曲部6cとのやや三次元形状によって落下時の耐衝撃力を高められる。
また、発熱体3は外周を高台5から離しているので、高温に発熱する発熱体3が近くにあって昇温が遅れる高台5との昇温差を小さくできる。また、これに併せ、または別に、発熱体3の発熱量を外周に向け小さくすることも高台5部とその近傍に位置する発熱体3との昇温差を小さくするのに有効となる。それには、発熱体3の層厚を設定発熱量に比例して増大させればよい。例えば、図3に示すように発熱体3の転写層を発熱量を高くする度合いに応じて重ねればよい。また、これらとは、逆に、発熱体3の外周を高台5の表面における最下位置手前を限度として図3に破線で示すように高台5部に及ぼして積極的に加熱することにより、高台5部の昇温を早めて発熱体3や底部2との昇温差を小さくすることもできる。それには、発熱体3の高台5部に及ぶ部分の発熱量を他の部分の発熱量よりも大きくするのが好適である。
また、図4(a)〜(c)に示す例のように、底部2の高台5側への肉厚を漸増させることで、底部2から高台5部にかけての昇温差の変化を極く緩やかにすることができ、空炊き時の悪条件での割れを防止しやすくなる。既述した他の割れ防止対策と複合して用いるのがさらに好適となり、図4に示す各例では、発熱体3の外周を高台5から離している。図4(a)の例では、底部2の上下両面が中央部から高台5の位置まで大きな曲率半径R1、R2を持った曲面として肉厚の漸増を図っている。図4(b)に示す例では、底部2の下面を水平とし、上面のみを大きな曲率半径R1を持った曲面として肉厚の漸増を図っている。図4(c)に示す例では、底部2の上面を水平とし、下面のみを大きな曲率半径R2を持った曲面として肉厚の漸増を図っている。しかし、曲面に代えて中央部のアール面と立ち上がり湾曲部6cのアール面8とを繋ぐ傾斜面とすることもできる。
本発明の電気炊飯器10は図8、図9に示すように、上記のような非金属製鍋1のいずれか1つと、この非金属製鍋1を着脱できるように収容して受載し、内、外装ケース13、14の底部13a、14a間に配置した1つの加熱コイル11からの交番磁界によって非金属製鍋1の発熱体3を発熱させて炊飯を行う中空の器体12と、器体12および非金属製鍋1を開閉し、閉じ状態では炊飯中の蒸気を外部に放出する蓋体15と、を備え、器体12の耐熱樹脂製とした内装ケース13の胴部13bの下部から非金属製鍋1のフランジ部16に下方から対向する肩部13cまで複数の胴部ヒータ17および肩ヒータ18を配設し、蓋体15の外蓋62の内側に設けた金属製の放熱板19上に複数の蓋ヒータ21を径方向に配設した基本構成を有している。これにより、非金属製鍋1の高い容積率によるデッドスペースの低減と加熱コイル数の低減とから電気炊飯器10全体が小型化して、多数のヒータ17、18、21による各部での温度補償を伴い炊飯時や保温時の均一加熱性、温度むらによる結露の防止性、お手入れ性、ご飯の攪拌性、割れ防止性を発揮することができる。従って、ご飯を美味しく炊き上げ、また保温することができるし、十分な耐久性が得られる。
非金属製鍋1のフランジ部16は蓋体15の放熱板19の内側に着脱できるようにしたアルミニウムなどの金属製の内蓋22の外周に設けたシールパッキン23との十分な圧接面を提供し、非金属製鍋1の成形誤差があっても内蓋22による、非金属製鍋1の上端開口20との間の蒸気漏れを確実に防止できるようにしている。しかし、フランジ部16が広いと水切れが悪くなるので、図1に示すように内に向け低くなる軽い傾斜を持たせている。図示する例では水平からの傾斜角は3°としてある。この傾斜はフランジ部16に圧着するシールパッキン23が蒸気圧によって外方へ逃がされずに圧着を強める作用をも営む。また、フランジ部16は外気により冷やされやすく、小容量炊飯器では特に顕著で結露の原因になりやすいが、図1に示すようにフランジ部16が肩ヒータ18の真上まで延びて加熱されやすくするのに併せ、上端開口20での内側への膨らみ部16a、外周部の上方への膨らみ部16b、胴部6の外面6bからのアール面接続による基部膨らみ部16cによって胴部6よりもボリュームを持たせて蓄熱性を高めて昇温状態を維持しやすくすることで、結露が生じないようにしている。
さらに、外装ケース14の胴部前面に操作パネル31が設けられ、その内側に設けたマイクロコンピュータを搭載したマイコン基板32と、このマイコン基板32と反対の側に設けた制御基板33とが協働して、操作パネル31からの設定データと、それに対応する制御プログラムと、非金属製鍋1の底部中央に当接する温度センサ34および図6に示す放熱板19上の蓋センサ34aからの温度情報とを基に、ヒータ17、18、21や加熱コイル11を制御して選択された炊飯を始めとする種々な調理や保温を行う。しかし、非金属製鍋1は熱伝導性が低く温度センサ34がその外面から炊飯温度との高い相関性を持って温度の検出を行うには、発熱体3からの直接の熱影響を防止する必要があり、発熱体3の内周を温度センサ34から所定量離している。これにより、温度センサ34が検出する温度と調理温度との相関性が経験上精度良く得られるようになり、適正な加熱制御ができる。また、非金属製鍋1の立ち上がり湾曲部6cはその上部6dよりも肉厚が小さいが、肉厚が小さくかつ湾曲していることと、内装ケース13の底部13aおよび胴部13b間の小さなアール形状としたこととを利用して、双方間に他の部分に形成しているエアギャップ51よりもやや大きな空間35を形成し、立ち上がり湾曲部6cの外まわりを空気断熱すると共に、内装ケース13の胴部13bの外まわりに設ける金属板押さえで覆って設ける胴部ヒータ17を空間35に対応させて、立ち上がり湾曲部6cでの温度が不足し勝ちになるのを補償している。
さらに詳述すると、制御基板33は加熱コイル11を駆動するスイッチング素子としてIGBTなどの発熱部品を搭載しているので、これら発熱部品を冷却するヒートシンク36を設けると共に、ヒートシンク36をその下に設けた冷却ファン37からの送風によって冷却するようにしてある。また、加熱コイル11も発熱するので、冷却ファン37が外装ケース14の合成樹脂製の底部14aの後部側に形成した吸気口38から隔壁39による案内部を設けて集中して吸引した図8左半部の外気を、主として、内装ケース13の底部13aやコイル台44の案内によって内、外装ケース13、14の底部13a、14a間の加熱コイル11の設置域を通過させ、加熱コイル11に対する冷却効率を高めるようにし、吸引した図8右半部の外気は、真上のヒートシンク36に送風して冷却した後、底部14aの前部側に形成した排気口41から加熱コイル11を冷却した後の外気と共に、底部14a下に排気することにより、ヒートシンク36に送風された外気が排気口41から排気されるようにしている。吸気口38は図13に示すように冷却ファン37の真下にその大きさに見合う範囲に集中して形成してあるのに対し、排気口41は図13に示すように底部14aの前部外周に沿うほぼライン上に形成して、中央部での開口度を高めながらも排気が広域に及んで加熱コイル11の全配置域を外気が通過できるようにしている。また、冷却後の昇温した外気が1か所に集中して勢いよく排気されるのを防止することもできる。マイコン基板32、制御基板33共に合成樹脂製の絶縁カバー47、48で覆ってある。
外装ケース14は合成樹脂製の底部14aと肩部14cとの間に金属製の胴部14bを挟んで一体化し、肩部14cを内装ケース13の肩部13cの上に載せてねじ42により連結している。肩ヒータ18は内、外装ケース13、14の肩部13c、14c間に放熱金属筒92に収容して保持している。また、内、外装ケース13、14の底部13a、14a間はねじ43によって連結すると共に、内装ケース13の底部13aの下に樹脂製のコイル台44を当てがってねじ45により取り付け、コイル台44によって加熱コイル11、温度センサ34、加熱コイル11が発振する交番磁界を安定させる図9、図11に示す放射状に配したフェライト46を保持している。
器体12は、非金属製鍋1を内装ケース13との間に前記エアギャップ51を残して非着脱できるように受け入れ、内装ケース13の底部13aの外周寄りに周方向3か所に設けたシリコンゴムなどの弾性支持台52上に載置することで、非金属製鍋1の上端のフランジ部16が外装ケース14の肩部14cの上に図8に示すエアギャップ53を有して前記肩ヒータ18上に対向するようにしている。また、肩部14cの左右2箇所には図9に示すように非金属製鍋1のフランジ部16との間にフランジ部16への手掛りを容易にするための凹部54を形成している。
外装ケース14の底部14aは特に耐熱の問題はないのでPETで形成されてよく、胴部ヒータ17や肩ヒータ18との関係で耐熱性が要求される内装ケース13や肩部14cは耐熱温度が250℃程度と高いPPSとしている。
上記のように非金属製鍋1の外面に設けた発熱体3の熱は、非金属製鍋1の側に効率よく伝わらない分だけ、内装ケース13の底部13a側、加熱コイル11の側に放熱する割合が高くなり、炊飯を首尾よく遂行できなかったり、炊飯温度を確保するために炊飯時の加熱温度を高めると非金属製鍋1側の局部過熱や、この局部過熱部となる発熱体3からの放熱による内装ケース13の底部13aの劣化や溶損、加熱コイル11の異常発熱の原因になって炊飯器や使用の安全が損なわれたりする。
これに対応するため、内装ケース13における底部13aの非金属製鍋1における発熱体3と対向する部分に透磁性の耐熱部材としての耐熱プレート55を配し、発熱体3からの熱を反射させるようにしている。耐熱プレート55はその透磁性によって加熱コイル11からの交番磁界を遮断することなく発熱体3に及んで効率良く発熱させることを保証しながら、発熱体3を持った非金属製鍋1側からの熱は遮断して加熱コイル11に及ばないようにする。従って、発熱体3が図示例のように非金属製鍋1の外面に設けられ熱伝導性の低い非金属製鍋1内での良好な炊飯のために炊飯温度を上まわる高い温度に発熱させられて外まわりへの放熱の割合が高くなる条件にあっても、加熱コイル11は通常の送風冷却のもとに安定動作させられる。しかも、非金属製鍋1側の熱が器体12の外面に及ぶことはない。また、耐熱プレート55は非金属製鍋1側からの熱を非金属製鍋1の側に反射させて非金属製鍋1を二次加熱して炊飯の加熱に再度生かし加熱効率を高められる。この結果、非金属製鍋1の熱を篭らせやすい特性との組み合わせから本発明の目的に対応した均一で十分な加熱での良好な炊飯が実現する。さらに、耐熱プレート55はその耐熱性によって劣化や損傷するようなことがなく長期に機能する。
ここに、耐熱プレート55は透磁性、耐熱性の面から非金属、非樹脂製であるのがよく、セラミック系とするのがその成形性、耐熱性、反射面の形成に好適である。発熱体3との対向面を白色の反射面としていると、熱の吸収をさけ反射率を高められる。反射面の白色はセラミックである場合その焼成温度によって簡単に実現するし、光沢のある鏡面性の反射面も同時に得られる。また、白色を得る焼成温度が耐久性など他の面で問題となるような場合、白色以外に焼成しても白色の光沢材料を貼り合わせたり、白色の光沢面を塗装するなどして設けてもよい。このような反射面に適した面粗度は、例えば、3〜5μm程度でよい。また、セラミックを透明とするときは白色の反射面は耐熱プレート55の表面に施しても、裏面に施してもよく、両者を選択できる。しかし、耐熱プレート55の裏面、つまり内装ケース13との対向面を粗面として内装ケース13に接着してあると、接着性が向上する。接着剤はシリコン系でよく水硬化性で取り扱いやすい。このように粗面とする耐熱プレート55に裏面の面粗度は30μm前後程度と表面の反射面に対し裏面の面粗度は10倍から6倍程度として好適である。
また、耐熱プレート55は発熱体3などからの熱を非金属製鍋1の側に反射させるもので、接触し合うことは避けなければならない。従って、非金属製鍋1および発熱体3などと耐熱プレート55との間にはエアギャップ56を設けることが必須となる。特に、このエアギャップ56が閉鎖空間となって熱を篭らせないように少なくともまわりのエアギャップ51へ開放されているのが望ましく、前記弾性支持台52が非金属製鍋1を受載し支持することで確保している。この非金属製鍋1の弾性支持台52上への載置、支持は、非金属製鍋1の弾性支持や回り止めの効果も併せ発揮する。一方、このエアギャップ56は図8、図9に示すように内装ケース13と非金属製鍋1との間の胴部間のエアギャップ51と共に全域に形成することが非金属製鍋1側から内装ケース13の側への熱影響を防止しながら、その熱を内装ケース13と非金属製鍋1との間に篭らせて、厚く熱伝導性の低い非金属製である、非金属製鍋1と炊飯の加熱に協働して加熱効率、均一加熱を促進しやすくなり、特に、器体12の内装ケース13に設けた耐熱プレート55が非金属製鍋1側に反射させる熱を生かしやすい。
さらに、耐熱プレート55は、温度センサ34を非金属製鍋1に接触させる穴57を中央部に有し、対向する発熱体3の外径よりも大きくしている。これにより、中央部の穴57を通じ炊飯との相関性の高い非金属製鍋1における底部2の中央部の温度を温度センサ34で検出することができる。このために、温度センサ34は図8、図9に示すように、前記コイル台44の中央に設けてばね58により上動付勢し、内装ケース13の底部13aおよび耐熱プレート55を貫通してその上に常時突出する習性を与え、弾性支持台52上に載置される、非金属製鍋1の底部2に圧接し、非金属製鍋1の温度をモニタできるようにしている。
蓋体15は器体12の後部に軸61により開閉できるように支持して器体12をその肩部14cとの間で開閉する外蓋62と、非金属製鍋1を開閉する内蓋22との二重構造としてある。内蓋22は、中央部に調圧用の逆止弁63をもった蒸気放出室64が設けられている。蒸気放出室64は内蓋22の蒸気孔を通じ流入する蒸気をおねばと分離して外蓋62の中央開口65から外部に放出する。また、分離したおねばは内蓋22上に戻し、内蓋22はその上に流出し、また蒸気放出室64から戻されたおねばを溜めながらも適度に非金属製鍋1内に戻す。外蓋62は樹脂製の外板62aと中央部に放熱板19を嵌め付けた樹脂製の内板62bとで中空に形成し、外板62aと放熱板19との中央開口65の口縁間にシールパッキン66を挟み付けており、このシールパッキン66に蒸気放出室64を下方から着脱できるように弾性的に嵌め合わせ、双方間をシールすると共に内蓋22をを弾性支持し、外蓋62と一体に開閉できるが、内蓋22を外蓋62から外して丸洗いすることができる。さらに、外蓋62の放熱板19と内板62bとの間にはシールパッキン67を挟み付けて内蓋22の外周に圧着させて双方間をシールすると共に、内蓋22を非金属製鍋1に圧着させるようにしている。これによって、蒸気は蒸気放出室64を通じてしか放出されなくなる。これを保証するのに外蓋62はその自由端部にロックレバー72が設けられ、器体12の肩部13cに形成した係止部71にばねの付勢によって弾性係合して、外蓋62を閉じ状態にロックし、前記各部のシール状態を確保するようにしている。ロックの解除は、ロックレバー72の操作部72aをばねに抗し押下して係止部71との係合をはずせばよい。蓋体15は軸61まわりで器体12との間に働かせたばね73によって開き方向に付勢されていて、ロック解除と共にばね73によって適度な制動によってゆっくり開かれるようにしてある。なお、胴部ヒータ17の外まわり、および蓋ヒータ21の上部には断熱材93を設けて外部への放熱を防止し、熱効率を高めている。