JP2005237646A - 電磁調理器用土鍋 - Google Patents
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【課題】発熱層にクラック、亀裂あるいは剥離が生じにくく、耐久性に優れた電磁調理器用鍋を提供する。
【解決手段】電磁調理器用鍋1を構成する鍋本体2は一対の取って3を有し、この鍋本体2は二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン等を含有する磁器製であり、鍋本体2の外底面には、銀を含有する発熱層4が底面視状態でドーナツ状に形成され、この発熱層4全体を被覆するように、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムを含有する保護層5が形成されている。また、発熱層4は、メッシュ形状に形成されており発熱層4の存在しない非発熱部6が多数配置されている。これらの非発熱部6においては、鍋本体2の外底面を直接、保護層5が被覆している。
【選択図】図2
【解決手段】電磁調理器用鍋1を構成する鍋本体2は一対の取って3を有し、この鍋本体2は二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン等を含有する磁器製であり、鍋本体2の外底面には、銀を含有する発熱層4が底面視状態でドーナツ状に形成され、この発熱層4全体を被覆するように、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムを含有する保護層5が形成されている。また、発熱層4は、メッシュ形状に形成されており発熱層4の存在しない非発熱部6が多数配置されている。これらの非発熱部6においては、鍋本体2の外底面を直接、保護層5が被覆している。
【選択図】図2
Description
本発明は、電磁誘導過熱を原理とする電磁調理器に使用して加熱調理を行うことのできる鍋に関する。
電磁調理器は、火炎なしで食材を調理加熱することができ、二酸化炭素などの燃焼ガスも発生せず、天ぷら料理の際に油に引火するおそれも無く、エネルギー効率も高いので、最近は一般家庭にも普及している。
従来、電磁調理器に使用することのできる鍋は、電磁調理器に載せたときに渦電流が発生して自己発熱する材料で形成されたものに限られていたが、近年、電磁調理器に使用できる陶磁器製あるいは非金属製の鍋が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、発熱膜として、土鍋の底面に溶射膜を付着させることによって形成された電磁調理器用土鍋が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この電磁調理器用土鍋の製造工程においては、金属の溶射膜が溶射後収縮して膜の周縁がめくれて剥離することがあるため、これを防ぐため、鍋底の中央部分に非溶射部を作り、これを中心としてリング状の狭い非溶射部を作る、という対策がとられている。
特許文献1に記載されている電磁調理器用の陶磁器は、その底部の下面に銀および白金からなる発熱皮膜が設けられ、この発熱皮膜を覆うようにケイ酸カルシウムからなる剥離防止皮膜が設けられているが、電磁調理器を用いた加熱調理を繰り返した場合、陶磁器および発熱皮膜の熱膨張係数の違いにより、発熱皮膜に微細なクラックや亀裂が生じたり、発熱皮膜が部分的に剥離したりすることがある。また、加熱速度の速いAC200V方式の電磁調理器に使用すると、このようなクラック、亀裂あるいは剥離が生じる可能性が高まる。
このようなクラックが発生すると、発熱皮膜が部分的に切断された状態となるため、電磁調理器に所定通り載置しても、発熱皮膜に定格通りの渦電流が発生せず、発熱量が大幅に低下することがある。また、発熱皮膜が部分的に剥離すると、発熱皮膜から陶磁器への熱伝導が阻害されるので、熱効率が低下することとなる。
一方、特許文献2に記載の電磁調理器用土鍋の場合、鍋底の中央部分の非溶射部を中心として円弧状の狭い非溶射部を設けることにより、溶射後の収縮に起因する、金属溶射膜周縁のめくれや剥離を防ぐことはできる。しかしながら、この金属溶射膜は、その厚さが100μm〜150μm以上の比較的厚い膜であるため、電磁調理器を用いた加熱調理を繰り返した場合、土鍋と金属溶射膜の熱膨張係数の違いにより、金属溶射膜に微細なクラックや亀裂が生じたり、部分的に剥離したりすることがある。特に、加熱速度の速いAC200V方式の電磁調理器を使用すると、このようなクラック、亀裂あるいは剥離が生じる可能性が顕著となる。また、非溶射部が円弧状であるため、金属溶射膜に発生したクラックが鍋底の半径方向に進行するのを阻止できないことがある。
また、金属の溶射膜は均等に形成することが困難であり、膜厚がばらつきやすいので、電磁調理器に載せて使用した場合、膜厚の熱い部分には大電流が流れて発熱量も大となり、膜厚の厚い部分と膜厚の薄い部分との間にクラックや亀裂が生じることがある。このようなクラックや亀裂は前述した非溶射部を設けても防止することはできない。
本発明が解決しようとする課題は、発熱層にクラック、亀裂あるいは剥離が生じにくく、耐久性に優れた電磁調理器用鍋を提供することにある。
本発明の電磁調理器用鍋は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化リチウムを含有する磁気製の鍋本体と、白金、銀、パラジウム、ニッケル、炭化ケイ素、カンタルの少なくとも一つを含有し鍋本体の内底面、外底面の少なくとも一方に形成された発熱層と、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有し前記発熱層を被覆するように形成された保護層とを備えた電磁調理器用鍋であって、前記発熱層がメッシュ状の形状であることを特徴とする。ここで、内底面とは鍋本体の内側の底面部分をいい、外底面とは鍋本体の外側の底面部分をいう。
このような構成とすることにより、電磁調理器を用いた加熱調理を繰り返した場合における、鍋本体と発熱層の熱膨張係数の違いに起因する収縮量の違いを、発熱層がメッシュ状に形成された結果生じる非発熱部が緩和することができるようになるため、発熱層にクラックや亀裂が生じたり、剥離したりすることがなくなり、耐久性に優れたものとなる。また、万一、発熱層にクラックや亀裂が発生した場合でも、これらのクラックや亀裂の進行は非発熱部で止められるため、発熱量の低下を招くようなクラックや亀裂に発展することはない。
ここで、前記発熱層が形成された結果形成される非発熱部の面積は0よりも大きければよい。前記非発熱部は、その面積に関わらず、存在すれば、鍋本体の底部のあらゆる方向に進行するクラックや亀裂を防止する機能が高まる。
この場合、前記非発熱部の形状は、辺の数が3以上の多角形であれば良い。このような形状により、非発熱部が距離を隔てて複数存在することとなるため、クラックや亀裂の発生、進行を防止する機能がさらに向上する。
(1)二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化リチウムを含有する磁気製の鍋本体と、白金、銀、パラジウム、ニッケル、炭化ケイ素、カンタルの少なくとも一つを含有し鍋本体の内底面、外底面の少なくとも一方に形成された発熱層と、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有し発熱層を被覆するように形成された保護層とを備え、発熱層がメッシュ状の形状であることにより、鍋本体と発熱層の熱膨張係数の違いに起因する収縮量の違いを、発熱層がメッシュ状に形成された結果生じる非発熱部が緩和できるようになるため、発熱層にクラックや亀裂が生じたり、剥離したりすることがなくなり、耐久性に優れたものとなる。また、万一、発熱層にクラックや亀裂が発生した場合でも、これらのクラックや亀裂の進行は非発熱部で止められるため、発熱量の低下を招くようなクラックや亀裂に発展することはない。
(2)前記発熱層が形成された結果形成される前記非発熱部の面積が0よりも大きいため、鍋本体の底部においてあらゆる方向に進行するクラックや亀裂を防止することができる。
(3)前記非発熱部の形状を、辺の数が3以上の多角形とすることにより、、複数の非発熱部が距離を隔てて、鍋本体の底面全体に配置された状態となるため、クラックや亀裂の発生、進行を防止する機能がさらに向上する。
以下、図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態である電磁調理器用鍋を示す垂直断面図であり、図2は図1に示す電磁調理器用鍋の底面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の電磁調理器用鍋1において、一対の取って3を有する鍋本体2は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化リチウムを含有する磁気製である。この鍋本体2は、強化磁器材料である石英、セリサイト、カオリナイト、アルミナなどを主原料として焼成されたものである。
鍋本体2の外底面には、図2に示すように、銀を含有する発熱層4が底面視状態でトーナツ状に形成され、この発熱層4全体を被覆するように、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムを含有する保護層5が形成されている。発熱層4の内周縁4aより内側の領域および外周縁4bと高台2aとの間の領域には発熱層4が無く、鍋本体2の外底面を直接、保護層5が被覆している。
また、底面視状態でドーナツ状をした発熱層4には、発熱層4の存在しない多角形状の非発熱部6が多数配置されている。これらの非発熱部6においては、鍋本体2の外底面を直接、保護層5が被覆している。
図1に示すように、電磁調理器用鍋1を電磁調理器7の所定の位置に載置し、電源をONすると、電磁調理器7から発生する交番磁界によって電磁調理器用鍋1の外底面の発熱層4に渦電流が生じ、このときの電気抵抗発熱によって発熱層4が発熱するため、この熱が鍋本体2に伝達され、内部に収容されている食材Fを加熱調理することができる。
このように、鍋本体2が非導電性の磁器材料で形成されていても電磁調理器7を用いた調理加熱が可能であるため、電磁調理器用鍋1特有の機能である、遠赤外線による加熱機能、保温機能を発揮させることができるため、便利である。また、発熱層4は銀を含有しているため、誘導加熱効果が高く、発熱量も高い。さらに、保護層5は、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどの釉薬成分を含有しているため、鍋本体2および発熱層4との密着性が良好であり、洗剤や塩分などの化学薬品で腐食されず、耐久性に優れている。
また、発熱層4は、鍋本体2の外底面全体に配置せず、ドーナツ状に配置しているため、発熱層4の構成材料である高価な銀の使用量を減らすことができるほか、渦電流による発熱が外底面の中心付近の一ヶ所へ集中することを防ぐことができる。また、渦電流が均一化されることによって発熱層4全体が均等に発熱するため、クラック、亀裂の発生を防止することができる。そのほか、非発熱部6のミクロン単位の凹凸に対応できるという効果もある。
さらに、発熱層4を形成した領域には、発熱層4の存在しない多数の非発熱部6が配置されているため、電磁調理器7を用いた加熱調理を繰り返した場合の、鍋本体2と発熱層4の熱膨張係数の違いに起因する収縮量の違いをこれらの非発熱部6が緩和することができる。このため、加熱調理を繰り返しても発熱層4にクラックや亀裂が生じたり、剥離したりすることがなく、耐久性に優れている。また、万一、発熱層4にクラックや亀裂が発生した場合でも、これらのクラックや亀裂の進行は非発熱部6で止められるため、発熱量の低下を招くようなクラックや亀裂に発展することがない。
なお、発熱層4を形成する方法については特に限定するものではないが、例えばスクリーン印刷法あるいはパッド印刷法などが好適である。このような印刷法で発熱層4を形成した場合、発熱層4がメッシュ形状であり、その結果、多数の非発熱部6が形成されることから、発熱層4の膜厚の均一性が高まるという効果も得られる。
なお、電磁調理器用鍋1においては、発熱層4および非発熱部6の配置形状を明示するため保護層5を無色透明としているが、これに限定するものではないので、例えば、保護層5に色をつけたり、保護層5の色を発熱層4の色と同じにしたりすることもできる。保護層5を発熱層4と同色にすれば、電磁調理器用鍋1の外底面部分において、発熱層4および非発熱部6の配置形状が目立たなくなるため、外観性が向上するという効果も得られる。
本発明に係る電磁調理器用鍋は、一般に使用されている電磁調理器で加熱調理を行う場合に広く利用することができるほか、ガスコンロ、電子レンジ、オーブン、ハロゲンヒータなどの加熱調理気にも利用することができ、焼く、煮る、炊く、蒸す、湯煎などの様々な加熱調理を行うことができる。
1 電磁調理器用鍋
2 鍋本体
2a 高台
3 取っ手
4 発熱層
4a 内周縁
4b 外周縁
5 保護層
6 非発熱部
7 電磁調理器
F 食材
2 鍋本体
2a 高台
3 取っ手
4 発熱層
4a 内周縁
4b 外周縁
5 保護層
6 非発熱部
7 電磁調理器
F 食材
Claims (4)
- 二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化リチウムを含有する磁気製の鍋本体と、白金、銀、パラジウム、ニッケル、炭化ケイ素、カンタルの少なくとも一つを含有し前記鍋本体の内底面、外底面の少なくとも一方に形成された発熱層と、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カリウムのいずれかを含有し前記発熱体を被覆するように形成された保護層とを備えた電磁調理器用土鍋であって、前記発熱層がメッシュ状の形状であることを特徴とする電磁調理器用土鍋。
- 前記メッシュ状の発熱層が形成された結果、形成される非発熱部の面積が0よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の電磁調理器用土鍋。
- 前記メッシュ状の発熱層が形成された結果、形成される非発熱部の形状が多角形であることを特徴とする請求項1記載の電磁調理器用土鍋。
- 多角形状の前記非発熱部の辺の数が3以上であることを特徴とする請求項3記載の電磁調理器用土鍋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004051119A JP2005237646A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 電磁調理器用土鍋 |
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JP2004051119A JP2005237646A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 電磁調理器用土鍋 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2004051119A Pending JP2005237646A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 電磁調理器用土鍋 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005237646A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008036053A (ja) * | 2006-08-04 | 2008-02-21 | Tiger Vacuum Bottle Co Ltd | 誘導加熱式炊飯器専用の内容器 |
JP2008272264A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Tiger Vacuum Bottle Co Ltd | 炊飯器用非金属製鍋とそれを用いた電気炊飯器 |
KR101304443B1 (ko) * | 2012-11-07 | 2013-09-05 | (주)젠한국 | 도자기로 이루어진 전기밥솥용 내솥 및 그 제조방법 |
JP2017185078A (ja) * | 2016-04-07 | 2017-10-12 | 株式会社フェニックス | 鍋 |
-
2004
- 2004-02-26 JP JP2004051119A patent/JP2005237646A/ja active Pending
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JP2008272264A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Tiger Vacuum Bottle Co Ltd | 炊飯器用非金属製鍋とそれを用いた電気炊飯器 |
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