JP2008271827A - 光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 医薬品や農薬等の中間化合物として有用な光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の効率的かつ工業的生産に適した製造方法を提供すること。
【解決手段】 ラセミのN−アリール−β−アミノ酸エステルをエステル加水分解酵素を利用して光学分割する光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医薬品や農薬等の中間体化合物として有用な光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法に関する。
光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物は、非特許文献1に示されるように医薬品の中間体化合物等として重要な化合物である。
光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法としては、例えば(R)-β-ブチロラクトン(93.7%ee)をアニリンと反応させて(S)-フェニルアミノ酪酸(94%ee)を製造する方法が特許文献1に記載されている。しかし、この方法は(R)-β-ブチロラクトンが工業的に入手困難であり、また不斉還元法で調製されている(R)-β-ブチロラクトンの光学純度は94%ee程度であるため、これ以上の光学純度を有する(S)-フェニルアミノ酪酸を製造することが難しく、満足のいく方法とは言い難い。
また、パラジウム-(R)-BINAP錯体を触媒とするアルケノイルオキサゾリジノンに対するアニリン・トリフルオロ酢酸塩の不斉マイケル付加反応が特許文献2に記載されている。しかし、この方法は、高価なPd-BINAPを2.5モル%使用する上、光学選択性を発現させるには基質にオキサゾリジノン部位が必須であり、さらに反応後にオキサゾリジノン部位を除去する必要があり、改良が望まれる。
また、光学活性β-ケト酸エステルをRu-BINAPで不斉還元し、アルコールを無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させた後、さらにアニリンと反応させることにより光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を製造する方法が特許文献3に記載されている。この方法も高価なRu-BINAPを触媒とし、また10気圧の水素圧下で反応しており、耐圧還元反応槽が必要となる。さらに低温で反応させているため低温設備が必要となり、改良が望まれる。
国際公開第2005/011643号パンフレット 国際公開第2005/016866号パンフレット 欧州特許出願第1471050号明細書 Organic Letters, 2001, 3, 2585-2586
前項記載の従来技術の背景下に、本発明の目的は、光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の効率的かつ工業的生産に適した製造方法を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アミノ基の置換基として疎水性の高いアリール基を有するN−アリール−β−アミノ酸エステルにおいて、該エステルを水溶液中でエマルジョン化した状態においても、酵素によるエステル結合の加水分解反応が進行し、ラセミ体のエステル結合を酵素により不斉加水分解することにより、高い光学純度で光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明者らはこれらの知見に基づき本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の内容を含むものである。
[1] 式(1)
[式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基または置換されていてもよい炭素原子数3〜15の芳香族複素環基を表し、Yは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を表し、Zは水素原子またはアルキル基を表す。]
で表されるN−アリール−β−アミノ酸化合物のエステル結合を、酵素で不斉加水分解することを特徴とする、式(2):
[式中、X、YおよびZは前記と同じ意味を表し、*は不斉炭素原子であることを表す。]
または式(3):
[式中、X、Yおよび*は前記と同じ意味を表す。]
で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
[2] 請求項1の方法に従って式(2)又は式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を得た後、該化合物が溶解した有機溶媒中に、塩化水素を添加することを特徴とする、式(2)又は式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の塩酸塩結晶の製造方法。
[3] 請求項1の方法に従って式(2)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を得た後、該化合物を加水分解し、式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物とし、さらに該化合物が溶解した有機溶媒中に、塩化水素を添加することを特徴とする、式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の塩酸塩結晶の製造方法。
[4] 式(2):
[式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基または置換されていてもよい炭素原子数3〜15の芳香族複素環基を表し、Yは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を表し、Zは水素原子またはアルキル基を表す。]
で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の塩酸塩結晶。
[5] 3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩結晶。
[6] (S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルの塩酸塩結晶。
本発明の方法によれば、医薬品や農薬等の中間化合物として有用な光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を高い光学純度で効率的に得ることができ、工業的生産に適した光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における式中、Yは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
本発明における式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数4〜15の芳香族複素環基を表わす。炭素原子数6〜15のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数3〜15の芳香族複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基等が挙げられる。
置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合はそれぞれ同一の置換基であってもよく、各々異なる置換基であってもよい。Xにおける置換基の例としては、Yにおける置換基と同じ例を挙げることができる。
式(2)および式(3)中、*は光学活性炭素であることを表し、立体配置はRまたはSである。
式(1)で表されるN−アリール−β−アミノ酸化合物(以下、化合物(1)と称することがある)のラセミ体は、「モレキュールス」2005年第10巻2号第407〜416頁(Molecules (2005), 10(2), 407-416)記載の公知の方法に従って製造することができる。化合物(1)は塩酸塩として得るのが好ましい。公知方法では、精製にシリカゲルカラムクロマトグラフィーが必要であり、目的物もオイル状で得られる。塩酸塩とすることで、化合物(1)を晶析により、取り扱い性に優れた結晶として得ることができる。
本発明の方法において、化合物(1)は、該化合物のエステル結合を不斉加水分解する能力を有する酵素を作用させることによって、不斉加水分解される。ここで、「不斉加水分解」とは、化合物(1)の光学異性体の一方のエステルを選択的または優先的に加水分解することを意味する。その結果、化合物(1)の一方の光学活性体は選択的または優先的に加水分解されて、光学活性カルボン酸化合物[化合物(3)]が得られる。また、他方の光学活性体は反応せず、光学活性エステル化合物[化合物(2)]として回収することができる。どちらの光学活性体が選択的または優先的に加水分解されるかは、酵素の種類に依存する。
不斉加水分解工程は、例えば溶媒中、化合物(1)と酵素を混合することにより行う。試薬の添加順序は特に制限されない。
不斉加水分解工程に使用する酵素は、化合物(1)のエステル結合を不斉加水分解する能力を有するものであれば特に限定されず、微生物、動物または植物由来のいずれの酵素をも採用することができる。酵素の使用形態も不斉加水分解能が維持されるかぎり特に限定はされず、精製酵素、粗酵素、酵素を含有する微生物培養液、酵素を含有する微生物培養物、酵素を含有する菌体、またはそれらの処理物(例えば、凍結乾燥品、アセトン乾燥菌体、磨砕物、超音波破砕物、菌体の自己消化物、抽出物、アルカリ処理物等)、あるいはそれ自体公知の方法(例えば、吸着法、ポリアクリルアミド法、含硫多糖ゲル法等)によって、有機または無機の高分子に固定化した形態で使用してもよい。
かかる酵素としては、ブタ肝臓エステラーゼ、プロテアーゼ(例えば、アスペルギルス属由来プロテアーゼ、バチルス属由来プロテアーゼ、サブチリシン・カールスベルグ等)、リパーゼ(例えば、カンジダ・ルゴサ由来リパーゼ、アスペルギルス属由来リパーゼ、カンジダ・アンタルクチカ“A”リパーゼ、カンジダ・アンタルクチカ“B”リパーゼ、ChiroCLEC(固体)、ChiroCLEC(スラリー)、ブルクホリデリア・セパシア等)等が挙げられ、これらは2種以上を混合して使用してもよい。これら酵素は相当する市販品から適宜選択して使用することができる。これらの中でも、立体選択性に優れ、入手も容易であるため、カンジダ・アンタルクチカ“A”リパーゼ、カンジダ・アンタルクチカ“B”リパーゼあるいはブルクホリデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)由来のプロテアーゼが好ましい。
酵素の使用量は、目的とする効果を発揮する量(有効量)であればよく、この有効量は当業者であれば簡単な予備試験により容易に求められるが、例えば市販の酵素の場合は、基質となる化合物(1)1gに対して、通常酵素量で0.01g〜1g、好ましくは0.02g〜0.1gである。
溶媒としては、水または有機溶媒を酵素活性が損なわれない範囲で混合して用いることができ、加水分解反応であれば水のみを用いるのが工業的観点から好ましい。Zがメチル基である態様が、化合物(1)の水溶性が高く水のみで行い得るので好ましい。有機溶媒を併用する場合は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、THF、アセトン、トルエン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)等の1種または2種以上を用いることができる。溶媒の使用量は、化合物(1)に対して、通常5倍重量〜200倍重量であり、好ましくは10倍重量〜100倍重量である。
当該溶媒は、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素カリウム、酢酸ナトリウムリン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の緩衝成分によって、酵素に至適なpH(例えばpH7.0〜7.2程度)に調整するのが好ましい。緩衝成分の溶媒中における濃度は、酵素反応を阻害しない範囲であれば特に限定はないが、0.01M〜10M程度である。また、反応中、適宜塩基を添加する等して、pH調整してもよい。
不斉加水分解により光学分割された化合物(3)と化合物(2)の混合物が得られ、これらは常法(例えば、抽出、水洗、濃縮、再結晶等)によりそれぞれ分離・精製することができるが、これら化合物の水溶性の差を利用して、水と有機溶媒の分配によりそれぞれを分離する方法が、工業的実施が容易であるため好ましい。すなわち、加水分解された化合物(3)は、加水分解されていない化合物(2)に比べ水溶性が高いので、適切な有機溶媒と適切なpHを選択して水と分配することにより、化合物(2)は有機層に移行し、化合物(3)は水層に移行させることができる。
所望の立体異性体が化合物(2)の場合、有機層には化合物(2)のみが効率的に移行し、さらなる精製を要することなく使用することができる。所望の立体異性体が化合物(3)の場合、水層を弱酸性にすることにより有機溶媒に抽出することができる。具体的には反応終了後、必要により有機溶媒を留去し、水および/または有機溶媒を加えて撹拌し、得られた混合物を分層する。
使用する有機溶媒は、化合物の水溶性等を考慮して適宜選択すればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロリル、トルエン、MTBE、MIBKなどまたはこれらの混合溶媒が挙げられ、これらの中でも酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、MTBEが好ましい。当該有機溶媒と水の使用比は、得られる化合物の水溶性を考慮して適宜決定すればよく、通常有機溶媒:水(容量比)=1:5〜5:1の範囲である。
有機層を必要により水洗した後、濃縮することにより、高純度の化合物(2)を液体状で得ることができる。一方、水層を弱酸性にし、有機溶媒に抽出することにより、化合物(3)を液体状で採取することができる。
また、有機層を必要により水洗した後、ある程度濃縮し、塩化水素あるいは塩化水素の溶解した溶液を添加することにより、化合物(2)の塩酸塩結晶を得ることができる。一方、水層は水層を弱酸性にすることにより有機溶媒に抽出することができ、同様に有機層を必要により水洗した後、ある程度濃縮し、塩化水素あるいは塩化水素の溶解した溶液を添加することにより、化合物(3)の塩酸塩結晶を得ることができる。液体状では精製が煩雑であるが、塩酸塩結晶として得ることで純度の高い目的物を容易に得ることができる。また取り扱い性も優れ輸送等の面で液体よりも有利となる。
使用する有機溶媒は、化合物の水溶性等を考慮して適宜選択すればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロリル、トルエン、MTBE、MIBKなどまたはこれらの混合溶媒が挙げられ、これらの中でも酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、MTBEが好ましい。
塩化水素は直接ガスを系中に吹き込んでも良いが、塩化水素の溶解した溶液を使用しても良い。その時の有機溶媒としてはメタノール、エタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、MTBE、MIBK、1,4-ジオキサンなどが挙げられ、Zがメチル基の場合はメタノール、酢酸メチル、Zがエチル基の場合はエタノール、酢酸エチルが好ましい。
不斉加水分解によって光学分割された化合物(2)はエステル結合を加水分解することにより、光学活性カルボン酸化合物である化合物(3)を得ることができる。また加水分解後の反応液のpHを弱酸性に調製し、有機溶媒に抽出し、上記と同様に有機溶剤中に塩化水素あるいは塩化水素の溶解した溶液を添加することにより化合物(3)の塩酸塩を得ることができる。
具体的には溶媒中で光学活性な化合物(2)あるいはその塩酸塩とアルカリを混合することにより行われる。試薬の添加順序は特に制限されない。
使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化セシウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等が挙げられ、水酸化ナトリウム水溶液が好ましく、6〜8M水酸化ナトリウム水溶液を使用するのが好ましい。水酸化ナトリウムの使用量は、光学活性化合物(2)1モルに対して、通常1〜3モル、好ましくは1.1〜2.0モルであり、光学活性化合物(2)の塩酸塩の場合は1モルに対して、通常2〜4モル、好ましくは2.1〜3.0モルである。
溶媒としては、水だけでも良いが、親水性溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン(THF)、DMSO、DMF、DMAなどが好ましい。これらは2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
溶媒の使用量は、光学活性化合物(2)に対して1〜10重量倍、好ましくは2〜5重量倍である。
アルカリ加水分解工程は、通常20℃から用いる溶媒のリフラックス温度(好ましくは25℃〜50℃)の範囲内で行う。反応時間は、上記温度範囲内で、通常0.5時間〜4時間(好ましくは0.5時間〜2時間)である。
以下に本発明の内容を実施例により具体的に説明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例中、光学純度は光学活性高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
参考例1
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルの合成
クロトン酸(1.72g、20mmol)のMTBE溶液(5.0mL)にアニリン(1.8mL、20mmol)を加え、50℃で16時間撹拌し、メタノール(2.5mL)と塩化チオニル(2.19mL、30mmol)を加え、60℃で3時間撹拌した。その後、0℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液でpH=8に中和して、MTBE(5mL)を加え抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル(2.16g)をオイル状で得た。
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩の合成
クロトン酸(8.60g、100mmol)のトルエン溶液(5.0mL)にアニリン(9.0mL、100mmol)を加え、100℃で4時間撹拌し、メタノール(2.5mL)と塩化チオニル(2.19mL、30mmol)を加え、60℃で3時間撹拌した。その後、室温に冷却して、結晶を析出させ、アセトニトリル(5.0mL)を加えて、ろ過した。ろ過した結晶を真空乾燥し、3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩結晶(12.0g)を得た。融点152〜157℃。1H NMR(400MHz, MeOH-d4); 1.41 (d, 3H, J=0.4 Hz), 2.76 (m, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.05(m, 1H), 7.50-7.61(m, 5H) 13C NMR(400MHz, MeOH-d4);172.2, 135.3, 132.0, 131.7, 125.1, 57.5, 53.2, 37.9, 17.4
(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルの合成
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル(100mg,0.52mmol)のリン酸カリウム緩衝溶液(pH=7.2,2.0mL)にNovozyme435(2wt%,2.0mg,ノボザイムス社製、カンジタ属由来)を加え、50℃で24時間攪拌した。その後、トルエン(2.0mL)を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを8.2に調整し、分層し、有機層を食塩水(1mL)で洗浄し、濃縮し、真空乾燥して36mgの(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルを得た。光学純度は98%eeであった。1H NMRおよび13C NMRを測定し、「シンセシス」2000年第6号第789〜800頁(Synthesis, 2000, 6, 789-800)記載のデータ値から目的物であることを確認した。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製 CHIRALPAK OD-H、溶離液:ヘキサン:イソプロパノール=99:1、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:8分(S)、10分(R)。
(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩の合成
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル(1.0 g,5.2mmol)のリン酸カリウム緩衝溶液(pH=7.2,20 mL)にNovozyme435(2wt%,20mg,ノボザイムス社製、カンジタ属由来)を加え、50℃で24時間攪拌した。その後、トルエン(5.0mL)を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを8.2に調整し、分層し、有機層を濃縮し、4M塩化水素-酢酸エチル溶液(0.9mL)を加え、撹拌した。再度濃縮して、MTBE(3.4mL)を加え、析出した白色結晶をろ過・真空乾燥して328mgの(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩結晶を得た。光学純度は96%eeであった。融点109〜113℃。1H NMR(400MHz, MeOH-d4); 1.41 (d, 3H, J=0.4 Hz), 2.81 (m, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.04(m, 1H), 7.53-7.61(m, 5H)
13C NMR(400MHz, MeOH-d4);172.2, 135.1, 131.9, 131.7, 125.2, 57.6, 53.1, 37.9, 17.3
(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸の合成
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩(230mg,1.0mmol)のエタノール溶液(2.0mL)に8M水酸化ナトリウム水溶液(375μL)を加え、40℃で2時間攪拌した。その後、塩酸でpHを7.0に調製し、ろ過して濃縮した。トルエン(1.0mL)と水(1.0mL)を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを8.0に調製し分層した。水層を塩酸でpHを4.0に調製し、酢酸エチル(2.0mL)で3回抽出した。有機層を濃縮、真空乾燥して143mgの(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸を得た。光学純度は96%eeであった。1H NMRおよび13C NMRを測定し、「オルガニック・レターズ」2004年第6号第1861〜1864頁(Organic Letters, 2004, 6, 1861-1864)のSupporting information記載のデータ値から目的物であることを確認した。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:(株)住化分析センター製 SUMICHIRAL OA-3200、溶離液:0.03M酢酸アンモニウム-メタノール溶液:水=80:20、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:10分(R)、12分(S)。
(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸塩酸塩の合成
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル(133mg,0.74mmol)のトルエン溶液(1.0mL)に4M塩化水素-酢酸エチル溶液(400μL)を加え、室温で15分攪拌し、濃縮した。その後、MTBE(2.0mL)を加え、結晶を洗浄し、ろ過して得られた結晶を真空乾燥して141mgの(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸塩酸塩結晶を得た。光学純度は96%eeであった。キラルHPLC条件は実施例5と同じである。融点151〜156℃。
(R)−3−(フェニルアニリノ)酪酸の合成
3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル(100mg,0.52mmol)のメチルイソブチルケトン(1.0mL)に水(36μL)とNovozyme435(2wt%,2.0mg,ノボザイムス社製、カンジタ属由来)を加え、50℃で24時間攪拌した。その後、酢酸エチル(2.0mL)を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを8.2に調整し、分層した。水層を6M塩酸でpH=4.0に調整した後、酢酸エチル(2.0mL)で3回抽出した。有機層を濃縮し、真空乾燥して10mgの(R)−3−(フェニルアニリノ)酪酸を得た。光学純度は90%eeであった。キラルHPLC条件は実施例5と同じである。

Claims (6)

  1. 式(1)
    [式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基または置換されていてもよい炭素原子数3〜15の芳香族複素環基を表し、Yは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を表し、Zは水素原子またはアルキル基を表す。]
    で表されるN−アリール−β−アミノ酸化合物のエステル結合を、酵素で不斉加水分解することを特徴とする、式(2):
    [式中、X、YおよびZは前記と同じ意味を表し、*は不斉炭素原子であることを表す。]
    または式(3):
    [式中、X、Yおよび*は前記と同じ意味を表す。]
    で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
  2. 請求項1の方法に従って式(2)又は式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を得た後、該化合物が溶解した有機溶媒中に、塩化水素を添加することを特徴とする、式(2)又は式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の塩酸塩結晶の製造方法。
  3. 請求項1の方法に従って式(2)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を得た後、該化合物を加水分解し、式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物とし、さらに該化合物が溶解した有機溶媒中に、塩化水素を添加することを特徴とする、式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の塩酸塩結晶の製造方法。
  4. 式(2):
    [式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基または置換されていてもよい炭素原子数3〜15の芳香族複素環基を表し、Yは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を表し、Zは水素原子またはアルキル基を表す。]
    で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の塩酸塩結晶。
  5. 3−(フェニルアニリノ)酪酸メチル塩酸塩結晶。
  6. (S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルの塩酸塩結晶。
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