第1の発明は、吸込口の前面を開閉する可動パネルを有し、前記可動パネルに電装品を直に搭載した空気調和機において、前記可動パネルと前記空気調和機の室内機本体との間に、前記可動パネルの前記電装品と前記室内機本体の電装品接続部とを繋ぐリード線を保持するリード線保持部材を設け、前記可動パネルの前記電装品からのリード線を結束し、保持するための収納スペースを前記室内機本体の一部に設け、前記収納スペース部分を覆う形の保護カバーを設けて構成したリード線結束部収納構成を有することにより、可動パネルの室内機本体への組み付け及び取り外し作業を容易に行うことができ、さらに、保護カバーにより電気的接続の信頼性向上を図ることができる。
第2の発明は、特に第1の発明のリード線結束部収納構成を前記リード線保持部材の横並びの位置に設けたことにより、リード線保持部材からのリード線引き回しの作業が容易に行えるものである。
第3の発明は、特に第2の発明の前記リード線結束部収納構成を前記室内機本体の電装品の手前側の位置に設けたことにより、室内機本体側電装品からのリード線コネクタの結束作業が容易に行えるものである。
第4の発明は、特に第3の発明の前記リード線結束部収納構成において、前記リード線保持部材からの横引きリード線の位置より下側に前記室内機本体の前面枠に開口部を設けたことにより、室内機本体側電装品からのリード線コネクタの引き出し作業及び収納作業が容易に行えるものである。
第5の発明は、特に第4の発明の前記リード線結束部収納構成において、前記リード線保持部材からの横引きリード線の位置より上側に前記室内機本体の前面枠に開口部を設けたことにより、リード線の余り部分の収納が確実に行えるものである。
第6の発明は、特に第5の発明の前記リード線結束部収納構成において、前記室内機本体の電装品と、前記室内機本体の前面枠に設けた開口部との間に仕切りを設けたことによ
り、リード線が室内機本体の電装品に干渉することなく収納でき品質の安定化が図れるものである。
第7の発明は、特に第6の発明の前記リード線結束部収納構成において、前記前面枠に前記リード線保持用の切り欠き部を複数個設けたことにより、リード線を確実に固定することにより、保護カバー組み付け時のリード線の咬み込みを防止することができ安全性の確立が図れるものである。
第8の発明は、特に第7の発明の前記保護カバーにリード線保護部を一体で設けたことにより、リード線保持部材からの横引きリード線が外部から触られることがなく品質を保つことができるものである。
第9の発明は、特に第8の発明の前記保護カバーの室内機本体への固定方法を下斜め方向からネジを締め付けて着脱可能な構成にしたことにより、可動パネルを室内機本体へ組み込んだ後で可動パネルを一定角度に開けば保護カバーの室内機本体への組み付け作業が容易に行えるものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
一般家庭で使用される空気調和機は、通常、冷媒配管で互いに接続された室外機と室内機とで構成されており、図1及び図2は、本発明の実施の形態にかかる空気調和機の室内機を示している。
室内機は、部屋の壁面などに固定される室内機本体2と、本体2の前面開口部(吸込口)2aを開閉自在の合成樹脂製の可動前面パネル(以下、単に前面パネルという)(可動パネルの一例)4を有しており、空気調和機の運転停止時は、前面パネル4は本体2に密着して前面開口部2aを閉じているのに対し、空気調和機の運転開始時は、前面パネル4は本体2から離反する方向に移動して前面開口部2aを開放する。なお、図1は前面パネル4が前面開口部2aを閉じた状態を示しており、図2は前面パネル4が前面開口部2aを開放した状態を示している。
図3に示されるように、本体2の内部には、熱交換器6と、前面開口部2a及び上面開口部2bから取り入れられた室内空気を熱交換器6で熱交換して室内に吹き出すためのファン8と、熱交換した空気を室内に吹き出す吹出口10を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下羽根12と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右羽根(図示せず)とを備えており、前面開口部2aの下方の本体2には、前面開口部2aの吹出口10側で開閉する中羽根14が中羽根駆動機構16を介して揺動自在に取り付けられている。さらに、前面パネル4の上部は、その両端部にそれぞれX字状に交差して設けられた2本のアーム18,20を介して本体2の上部に開閉可能に連結されている。例えば、図26及び図27などに示すように、それぞれの2本のアーム18,20のうちの一方のアーム18の本体側の端部(図26ではアーム18の右上端部)は本体2の上部に回転可能に支持されるとともに、それぞれの他方のアーム20の本体側の端部(図26ではアーム20の右下端部)は本体2の上部に大略上下方向沿いに移動可能に支持されている。
また、それぞれの一方のアーム18の前面パネル側の端部(図26ではアーム18の左下端部)は前面パネル4の上部に回転可能に支持されるとともに、それぞれの他方のアーム20の前面パネル側の端部(図26ではアーム20の左上端部)は前面パネル4の上部に大略上下方向沿いに移動可能に支持されている。それぞれの2本のアーム18,20は、その大略中間部でピン19により互いに回転自在に連結されており、大略上下方向沿い
でかつ大略一直線状に折り畳まれた収納状態(閉状態)(図3,図18(a),図27参照)と、2本のアーム18,20の両端部が互いに離れる方向に移動した展開状態(開状態)(図18(c)〜(e),図26参照)との間で移動可能となっている。よって、一方のアーム18の端部(例えば図26ではアーム18の右上端部)に相対回転不可に連結された駆動モータ(モータ自体は図示せず。モータの回転軸18aのみ図3,図26などに示す。)を駆動制御することで、一方のアーム18の駆動モータ側の端部が回転駆動されて、2本のアーム18,20が、大略一直線状に折り畳まれた収納状態から2本のアーム18,20の両端部が互いに離れる方向に移動した展開状態に移動することにより、空気調和機の運転開始時、本体2に対して前面パネル4は、空気調和機の運転停止時の位置(前面開口部2aの閉塞位置)から前方斜め上方に向かって移動する。また、上下羽根12は、図3に示すように、その両端部に設けられた2本のアーム22,24を介して本体2の下部に連結されているが、その駆動方法については後述する。
図1(b)及び(c)及び図28に示されるように、前面パネル4の中央上部には、複数(例えば、五つ)のセンサユニット26,28,30,32,34が、前面パネル4の主平面から突出した状態で電装品の一例である人体検知装置200として、直に取り付けられている。これらのセンサユニット26,28,30,32,34は、図4に示されるように、センサホルダ36に保持されている。なお、人体検知装置200は、その前面側が図1(a)に示されるように大略弓形の合成樹脂製の表面カバー5で覆われており、図1(b)はカバー5を取り外した状態を示している。なお、電装品の他の例としては、例えば空調対象領域(人体位置判別領域で人体が位置していると判別された領域)を表示する複数のLEDが搭載された表示基板201(図28など参照)が挙げられる。
各センサユニット26,28,30,32,34を前面パネル4の上部に設けたのは、図5(a)に示されるように、各センサユニット26,28,30,32,34の視野範囲(後述する人体位置判別領域)を拡大して遠方視野を最大限確保するためである。また、図5(b)に示されるように、運転開始時に前面パネル4を停止位置より前方に移動させることで、より遠くまで視野範囲を確保することができるとともに、図5(c)に示されるように、前面パネル4を停止位置より斜め上方に移動させることで視野範囲をさらに拡大することができる。なお、各センサユニット26,28,30,32,34の位置は前面パネル4の上部に限定されるわけではない。
また、図5(d)に示されるように、各センサユニット26,28,30,32,34を前面パネル4の主平面(外郭面)から前方に突出させて設けることで、各センサユニット26,28,30,32,34をより前方に配置することができ、図5(b)〜(d)に示されるように、室内機の構成部(例えば、上下羽根12や、前面開口部2aを開放状態の前面パネル4など)による死角発生を防止して視野範囲を拡大させることができる。
ここで、各センサユニット26,28,30,32,34を前面パネル4に取付ける方法について、図26〜図37を基に、詳細に説明する。
前記各センサユニット26,28,30,32,34は、より具体的には、図28〜図37に示すように、前記前面パネル4の中央上部に、直線形状の上側縁部と円弧形状の下側縁部とを有する弓形の穴4pを設け、前記各センサユニット26,28,30,32,34を収納する合成樹脂製の電装品収納ケース(完成部品)51の前面をカバー5で覆い、そのカバー5を前面パネル4の内側から外向きに前面パネル4の穴4pに嵌め込み、次いで、電装品収納ケース51を前記前面パネル4の内側から、固定具の一例としての3本のネジ56などで機械的に固定するように構成している。
より詳細には、以下のような構成となっている。
図31及び図35に示すように、合成樹脂製の前記前面パネル4の穴4pの直線形状の上側縁部に、穴4pの軸方向沿いに内向きに延在した補強壁4aと補強壁4aを補強する多数の補強リブ4bとを備えるとともに、補強壁4aの中央部からさらに内向きに突出しかつ端部下面に係合爪(引掛け爪)を有する係合凸部4cを備えている。
一方、合成樹脂製の前記電装品収納ケース51には、前記前面パネル4の補強壁4aに対応する部分の下側に、内側当て壁51aが形成され、内側当て壁51aに対向して上側に外側当て壁51bが形成され、内側当て壁51aと外側当て壁51bとをそれらの内側端部において連結壁51gにより上下に連結して、前側に開口が形成された断面大略U字形状の凹部51kを形成している。この大略U字形状の凹部51k内に、前記前面パネル4の補強壁4aが挿入可能となっている。外側当て壁51bの下面でかつ内側当て壁51aに対向する面には、多数の当てリブ51fが所定間隔毎に形成されている。また、前記前面パネル4の補強リブ4bに対向する部分には、補強リブ4bが挿入可能な切欠部51hを形成するとともに、前記前面パネル4の係合凸部4cが貫通可能な穴51pが中央上部に、凹部の一例として、貫通形成され、係合凸部4cの係合爪(引掛け爪)が穴51pを貫通して穴51pの周囲の連結壁51gに係止可能としている。
また、図28及び図36などに示すように、前記電装品収納ケース51の一方の側部から横方向に、回路基板26a,28a,30a,32a,34aに接続されたリード線53を案内するリード線支持部51eを延在させている。
また、外側当て壁51bの下面でかつ内側当て壁51aに対向する面には、リブ51fと重ならないように、複数の引掛け爪51cが形成され、カバー5の上面壁部5aと上面壁部5aから大略直角に立ち上がった立ち上がり壁部5bとが、前記電装品収納ケース51の前記凹部51k内に嵌合されるとき、引掛け爪51cが立ち上がり壁部5bを係止固定されて位置決めされるようにしている。
合成樹脂製のカバー5の立ち上がり壁部5bには、切欠部51hに対応して、所定間隔毎に切り欠き部5cを形成しているとともに、穴51pに対応して、穴5pを形成している。
よって、これらの部材は、以下のようにして組付けられる。
まず、前記各センサユニット26,28,30,32,34が保持されたセンサホルダ36を前記電装品収納ケース51の前面側に収納して固定する。
次いで、前記電装品収納ケース51の前面側に、前記各センサユニット26,28,30,32,34を覆うようにカバー5を取付ける。このとき、図37及び図36に示すように、カバー5の下側の湾曲部5mを、前記電装品収納ケース51の湾曲リブ部51mに当接しながら、カバー5の上面壁部5aを内側当て壁51aに沿わせつつ、凹部51k内に立ち上がり壁部5bを挿入して、外側当て壁51bなどを弾性的に変形させ、引掛け爪51cにより立ち上がり壁部5bを係止し凹部51k内に固定する。
次いで、電装品収納ケース51の前面に係止固定されたカバー5を、前記前面パネル4の穴4pに内側から外向きに嵌め込む。このとき、補強リブ4bが切欠部51h及び切り欠き部5c内に入り込みつつ、補強壁4a及び係合凸部4cが凹部51k内に入り込み、係合凸部4cが穴51pを貫通して穴51p周囲の連結壁51gに係止固定されて位置決めされる。そして、図34、図35、及び図33に示すように、電装品収納ケース51の3箇所のネジ貫通部51dと前記前面パネル4の3箇所のネジボス4dとを位置合わせし
た状態で、それぞれ、図31及び図30に示すように、固定具の一例としての3本のネジ56で機械的に締め付けて固定するように構成している。
なお、図26において、57は吸入グリル、61は送風ケーシング、62は吹出グリルである。
前記実施の形態によれば、前面開口部(吸込口)2aの前面を開閉する前面パネル4に電装品を直に配置するようにしたので、電装品を前面パネル4に配置しても空気調和機の室内機本体2の見映えを損なうことなく、電装品の機能を十分満足させることができ、空気調和機に対する訴求の向上を図ることができる。
また、前記実施の形態によれば、電装品を前面パネル4の中央上部に配置すれば、見映えの向上をさらに図ることが出来る。そして、前面パネル4の上部に電装品を配置することにより、吹出口10からの風の影響を電装品が受けることなく、品質の向上を図ることができる。
また、前記実施の形態によれば、前記電装品を収納する電装品収納ケース51の表面カバー5を前記前面パネル4の主平面(外郭面)より前方に突出させるように配置すれば、主平面(外郭面)に対し独立した突出形状を形成することができ、表示寸法イメージを壊すことなく、見映えも保てるものとなる。
また、前記実施の形態によれば、前記前面パネル4の中央上部に弓形の穴4pを設け、前記電装品収納ケース51を前記穴4pに嵌め込んで取付けるように構成すれば、必要最低限の合わせラインでまとめることができ、見映えを保つことができる。
また、前記実施の形態によれば、前記電装品収納ケース51を前記前面パネル4の内側から固定具(一例としての3本のネジ56など)で固定すれば、前面パネル4と電装品完成部品51の組み付け状態の剛性を図ることができる。
また、前記実施の形態によれば、前記前面パネル4の穴4pの上側縁部に内向きに突出した凸部4cを設け、さらに前記前面パネル4に取付け可能な前記電装品収納ケース51に、前記凸4c部が係合可能な凹部(例えば穴51p)を設けて、前記電装品収納ケース51を前記前面パネル4に取付けるときに前記凸部4cが前記凹部に係合することにより位置決めされるように構成すれば、前面パネル4の穴の上部の剛性を図ることができる。
また、図40、図28及び図48などに示すように、前記電装品収納ケース51の一方の端部には、回路基板26a,28a,30a,32a,34a(又は、例えば空調対象領域(人体位置判別領域で人体が位置していると判別された領域)を表示する複数のLEDが搭載された表示基板201)に接続されたリード線53を室内機本体2の電装品接続部に向けて案内するリード線支持部51eを図40の横方向に延在させている。リード線支持部51eの先には、前記前面パネル4と前記空気調和機の室内機の室内機本体2との間でリード線支持部51eで案内された前記リード線53に曲げ応力が発生するのを防止するリード線たるみ部71gを設けている。よって、リード線支持部51eから延びた前記リード線53を、前記前面パネル4から、このリード線たるみ部71gを介して、前記空気調和機の室内機の室内機本体2の電装品接続部へ案内するように構成している。以下、この構成について、詳細に説明する。
前記リード線たるみ部71gは、一例として、前記前面パネル4と前記空気調和機の室内機の室内機本体2との間に配置され、かつ、前記リード線53をU字形状に引き回すように配線するリード線保持部材71により設けることができる。このようなリード線保持
部材71は、前面パネル側リード線保持体72と室内機本体側リード線保持体73とで大略構成している。
図45に示すように、前面パネル側リード線保持体72は、大略矩形の板体72rと、板体72rの一端部に配置されて前記前面パネル4に回動可能に取付けられる回動取付部72pと、板体72rの前記一端部から他端部(回動端部)に向けて一方の側縁(長手方向沿いの側縁)沿いに板体72rから起立した一対の側板72sとより構成している。一対の側板72s間の板体72rには、リード線53を引掛けるための3つの引掛け凸部72dが互い違いに形成され、一対の側板72sと3つの引掛け凸部72dと板体72rとの間で、前面パネル側リード線保持体72の一端部72f側から他端部72hである回動端部に向けて、前記板体72rの一方の側縁(長手方向沿いの側縁)沿いに前記前面パネル4の前記電装品(例えば人体検知装置200又は表示基板201など)からの前記リード線53を案内して保持する第1リード線保持部72kを構成している。この第1リード線保持部72kにより、前記リード線53は、その軸方向沿いと直交する径方向に移動不可に保持されている。
図46に示すように、前記室内機本体側リード線保持体73は、前記前面パネル側リード線保持体72の板体72rと大略同じ大きさの大略矩形の板体73rと、板体73rの一端部(回動端部)に配置されて前記室内機本体2に回動可能に取付けられる回動取付部73pと、板体73rの一方の側縁(長手方向沿いの側縁でかつ前面パネル側リード線保持体72の板体72rの一方の側縁とは対向する側の側縁)沿いに板体73rから起立した一対の側板73sとより構成されている。一対の側板73s間の板体73rには、リード線53を引掛けるための3つの引掛け凸部73dが互い違いに形成され、一対の側板73s間と、3つの引掛け凸部73dと板体73rとの間で、室内機本体側リード線保持体73の一端部73fである回動端部側から室内機本体側リード線保持体73の他端部73hに向けて、前記板体73rの一方の側縁(長手方向沿いの側縁)沿いに前記前面パネル側リード線保持体72からの前記リード線53を案内して保持する第2リード線保持部73kを構成している。この第2リード線保持部73kにより、前記リード線53は、その軸方向沿いと直交する径方向に移動不可に保持されている。
図43、図44に示すように、前記前面パネル側リード線保持体72と前記室内機本体側リード線保持体73では、第1リード線保持部72kを有する板体72rの面と第2リード線保持部73kを有する板体73rの面とが互いに対向するように合わせてジョイント部75を構成し、このジョイント部75により、回動端部同士を相対的に回動可能に組み付けるようにしている。すなわち、前記前面パネル側リード線保持体72の前記回動端部72hと前記室内機本体側リード線保持体73の前記回動端部73fとで構成されたジョイント部75の、前記2つの回動端部72hの回動中心沿いの片側では、前記2つの回動端部72h,73fのうちの一方の回動端部(例えば73f)に設けられた支持軸73bと他方の回動端部(例えば72h)に設けられて前記支持軸73bが抜出し不自在に挿入されて回動自在に取り付けられる軸受け穴72cとより構成している。また、前記ジョイント部75の前記回動中心沿いのもう片側では、前記2つの回動端部72h,73fのうちの一方の回動端部(例えば73f)に設けられた支持爪72bと他方の回動端部(例えば72h)に設けられて前記支持爪72bが抜出し不自在に挿入されて回動自在に取り付けられる爪受け穴73cとより構成している。
さらに、前記前面パネル側リード線保持体72の板体72rの他端部の回動端部側の中央部には、リード線53を案内するための半円筒状の2つのガイド部72eを形成するとともに、回動端部側の端縁に幅方向沿いの側板72tを形成して、板体72rと2つのガイド部72eと側板72tとの間で、前記前面パネル側リード線保持体72の前記回動端部72hと前記室内機本体側リード線保持体73の前記回動端部73fとの間の前記リー
ド線53を、回動中心沿いに案内して保持する中間保持部74を構成している。なお、前面パネル側リード線保持体72の前記回動端部72hのリード線53を大略直角に折り曲げて中間保持部74に保持するとともに、中間保持部74内のリード線53を大略直角に折り曲げて室内機本体側リード線保持体73の前記回動端部73fに案内するようにしている。また、中間保持部74は、この実施の形態では、前面パネル側リード線保持体72側に配置しているが、これに限られるものではなく、室内機本体側リード線保持体73側に配置するようにしてもよい。
よって、前記第1リード線保持部72kと前記中間保持部74と前記第2リード線保持部73kとで、前記リード線53に曲げ応力が発生するのを防止する前記たるみ部71gを設けるようにしている。
図43などに示すように、この中間保持部74で保持されたリード線53の径方向沿いの断面の中心53fと、ジョイント部75の前記回動中心71aとは、大略同一となるように配置されており、リード線保持部材71の回動動作時にリード線53に発生する応力に対し、曲げ応力の発生を防ぎ、リード線53の中間保持部74で保持された部分へのねじれ応力のみにすることが可能になり、繰返し応力の低減を図ることができる。
また、図43などに示すように、前記リード線支持部51eから前面パネル側リード線保持体72の前記一端部に大略直角に折れ曲がるように導かれたリード線53の径方向沿いの断面中心53aと前記前面パネル側リード線保持体72の前記一端部の回動取付部72pでの回動中心72aとを大略同心に構成している。また、前記室内機本体側リード線保持体73の他端部から大略直角に折り曲げて室内機本体2へ案内するリード線53の径方向沿いの断面中心53bと室内機本体側リード線保持体73の他端部の回動取付部73pでの回動中心73aとを大略同心に構成している。このように構成することにより、室内機本体2に対する前面パネル4の開閉時に、前面パネル側リード線53及び室内機本体側リ一ド線53に発生する応力に対し、リード線53へのねじれ応力のみにすることで、繰返し応力の低減を図ることができる。
前記実施の形態によれば、室内機本体2の前面開口部(吸込口)2aの前面を開閉する前面パネル4に直に搭載した電装品と前記室内機本体2の電装品接続部とを繋ぐリード線53に曲げ応力が発生するのを防止するリード線たるみ部71gを設けて、前記前面パネル4の前記電装品からのリード線53を前記リード線たるみ部71gを介して前記室内機本体2へ導くように配線するように構成したので、前記前面パネル4と室内機本体2との間でリード線53に発生する繰返し応力を低減させることができて、電気的接続の信頼性を確保することができる。
また、前記実施の形態によれば、前記前面パネル4と前面パネル側リード線保持体72との組み付け部分の回動動作を自由に行えるとともに、前面パネル4の開状態での下からの見映えを良くすることができる。
また、前記実施の形態によれば、前記前面パネル4と前面パネル側リード線保持体72との組み付け部分を回動可能な構成にし、さらに前記室内機本体2と室内機本体側リード線保持体73との組み付け部分を回動可能な構成すれば、室内機本体2に対する前面パネル4の自動開閉動作時及び据付工事の手動開閉時にリード線保持部材71が自在に追従可能になり、安定した動作を確保することができる。
また、前記実施の形態によれば、前記リード線53の引き回しを前記リード線保持部材71の内部においてU字形状に配線するように構成すれば、室内機本体2に対する前面パネル4の開閉動作の繰り返しにより発生する応力の緩和を図ることができるものとなる。
また、前記実施の形態によれば、組み付け時において、回動中心線上沿いの組み付けが可能になり、作業の安定化及び回動時の安定化を図ることができる。
また、前記実施の形態によれば、前記リード線保持部材71の内部において、U字形状に引き回すように配線した前記リード線53であってかつ前記回動端部の回動中心沿いの部分のリード線53の径方向沿いの断面中心と前記リード線保持部材71の前記回動端部の回動中心を大略同心に配置するように構成すれば、リード線保持部材71の回動動作時にリード線53に発生する応力に対し、曲げ応力の発生を防ぎ、前記回動端部の回動中心沿いの部分のリード線53へのねじれ応力のみにすることが可能になり、繰返し応力の低減を図ることができる。
また、前記実施の形態によれば、前記電装品から導いた前記リード線53の径方向沿いの断面中心と前記パネル側リード線保持体72の回動中心を大略同心に配置するように構成し、さらに、前記室内機本体側リード線保持体73の回動中心と前記室内機本体2へ導く前記リード線53の径方向沿いの断面中心を大略同芯に配置するように構成すれば、室内機本体2に対する前面パネル4の開閉時に、前面パネル側リード線53及び室内機本体側リ一ド線53に発生する応力に対し、前記回動端部の回動中心沿いの部分のリード線53へのねじれ応力のみにすることで、繰返し応力の低減を図ることができる。
なお、前記リード線53の前記たるみ部71gは、前記リード線53を単に垂らすことにより設けることもできる。このような構成にすれば、極めて簡単な構成でもって、前記リード線53に曲げ応力が発生するのを防止することができる。
図47は、据付工事中の前面パネル4を室内機本体2から手動で開けた状態の説明図である。据付工事の手動開閉時には、前面パネル4を室内機本体2から作業者が手81で開けて、前面パネル4を図47の2点鎖線で示す最大開き位置に位置させた状態で、作業者は、ドライバー82などで据付工事を適宜行なうようにしている。83は作業者の目である。このとき、前面パネル4が室内機本体2に対して最大開き位置に位置したとしても、リード線保持部材71の前面パネル側リード線保持体72の他端部(回動端部)72hと室内機本体側リード線保持体73の一端部(回動端部)73fとがそれぞれ回動自在に取付けられているとともに、前面パネル側リード線保持体72の一端部の回動取付部72pが前面パネル4に対して回動自在に取付けられており、かつ、室内機本体側リード線保持体73の他端部の回動取付部73pが室内機本体2に対して回動自在に取付けられているため、リード線保持部材71が自在に追従可能になり、安定した開閉動作を行なうことができる。
ここで更に、電装品から室内機本体側へ導かれるリード線を収納・保護する方法について、図48〜図56を基に、詳細に説明する。
図48は、本発明の実施の形態による空気調和機の室内機の正面図、図49は、図48のA部の詳細図、図50は、図48のB−Bによる断面図を示すものである。
図51〜図53は、本発明の実施の形態による空気調和機の前面パネルを上方に手動で開いた状態における図面である。
図51は、該状態での図48のA部に該当する部位の詳細図、即ち図49のリード線保持部材71が上方に移動した図で、図52のEからの矢視図、図52は、図51のF−Fによる断面図を示すものである。
図53(a)は、図51の保護カバーを取り外した正面図、(b)は、図52の保護カバーを下方へ取り外した断面図を示すものである。
図54(a)は、図53(a)の詳細図、(b)は、図53(b)の詳細図、図55(a)は、保護カバーの正面図、(b)は、保護カバーの断面図、図56は図48のC−Cによる断面図を示すものである。また、図26は図48のD−Dによる断面図でもある。
図48〜図50において、前面パネル4の中央上部に配置された回路基板26a,28a,30a,32a,34a(又は、例えば空調対象領域(人体位置判別領域で人体が位置していると判別された領域)を表示する複数のLEDが搭載された表示基板201)に接続されたリード線53は、リード線支持部51eによって図48の横方向に延在され、リード線保持部材71によってU字形状に引き回すように配線されたリード線たるみ部71gを介して前面パネル4と空気調和機の室内機の室内機本体2との間に配置され、室内機本体2の電装品接続部65aへ案内されるように構成されている。
図49、図54において、室内機本体2の電装品接続部側のリード線53は、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bを介して室内機側電装品55の電装品接続部65aに接続している。
前記実施の形態によれば、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bは一体となっていて、リード線保持部材71の室内機本体側リード線保持体73と、室内機側電装品55の電装品接続部65aの中間位置に配設されている。より具体的には、室内機本体側リード線保持体73の回動取付部73pと垂直方向に略同一面上で、室内機本体2に取り付けた前面枠3上にあり、室内機側電装品55の電装品接続部65aの手前側に配設されている。
ここで、リード線53の、前面パネル4側の前面パネル側コネクタ54aまでの部分を前面パネル側リード線53c、室内機本体側コネクタ54bから室内機側電装品55の電装品接続部65aまでの部分を本体側リード線53eとし、前面パネル側リード線53c、本体側リード線53eは夫々、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bによって結束されている。
この前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bの収納スペース2cを室内機本体2の手前側に設け、さらにコネクタ収納スペース2cを保護カバー64で覆う構成にしたもので、前面パネル4を室内機本体2へ組み付けた後で、前面パネル側リード線53cと本体側リード線53eの結束及び収納が可能になり、室内機本体2への収納を容易に行うことができる。また、保護カバー64の組み付けにより、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54b部分の信頼性向上を図ることができるものである。
また、図49、50、54において、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bの収納スペース2cをリード線保持部材71の横並びの位置に設けて構成したもので、リード線保持部材71から前面パネル側コネクタ54aまでの前面パネル側リード線53cの引き回し作業が容易に行えるものである。
更に、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bの結束部収納構成である収納スペース2cを室内機側電装品55の手前側の位置に設けて構成したもので、本体側リード線53の、前面パネル側コネクタ54a及び室内機本体側コネクタ54bによる結束作業が容易に行えるものである。
図54では、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bの結束部収納構成において、室内機本体2の前面枠3の、リード線保持部材71からの横引きリード線の位置より下側に開口部3aを、上側に開口部3bを設けて構成したものである。また、室内機側電装品55と、室内機本体2の前面枠3の下側に設けた開口部3a及び上側に設けた開口部3bとの間に仕切り65bを設け、前面枠3に前面パネル側リード線53cの保持用切り欠き部3cを複数個設けて構成したもので、より詳細には以下のような構成になっている。
前面パネル4の中央上部に配置された回路基板26a,28a,30a,32a,34a(又は、例えば空調対象領域(人体位置判別領域で人体が位置していると判別された領域)を表示する複数のLEDが搭載された表示基板201)に接続されたリード線53は、リード線支持部51eによって図48の横方向に延在され、夫々の回動端部72h、73fとで回動自在に取付けられた前面パネル側リード線保持体72と室内機本体側リード線保持体73によってU字形状に引き回すように配線されたリード線たるみ部71gを介して、室内機本体2側へ延伸される。
図43に示されたように、前面パネル側リード線の径方向沿いの断面中心53aと、室内機本体側リード線の径方向沿いの断面中心53bは略同軸上にあり、室内機本体側リード線保持体73から前面パネル側コネクタ54aまで引き回される前面パネル側リード線53cは、リード線支持部51eによって横方向に延在されたリード線53と略同軸上で一旦横引きされた後、引き回されて前面パネル側コネクタ54aに接続される。前面パネル側コネクタ54aと一体となっている室内機本体側コネクタ54bを介して、本体側リード線53eは、室内機側電装品55の電装品接続部65aに接続される。
ところで、前面パネル4は図27から図26のように、或いは図52のように可動することから、リード線53は、前面パネル4が可動しても断線等しないよう、余り部分53dをもたせている。この余り部分53dを、室内機本体側リード線保持体73から一旦横引きされた後、前面パネル側コネクタ54aと接続される間に設けている。
室内機本体2の前面枠3の、リード線保持部材71からの横引きリード線の位置より上側で、この余り部分53dの背後側に開口部3bを設けることで、前面パネル4の可動に伴って応動する余り部分53dを、開口部3bの奥で、他部品と引っかけたりせず安全に収納でき、また、余り部分53dを開口部3bの奥に収納することで、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54bの結束作業を室内機本体19手前の空間で容易にすることができる。
室内機本体2の前面枠3のリード線53の引き廻される経路上に複数の切り欠き部3cを設けて、リード線53を保持するように構成している。具体的には、図54に示すように、余り部分53dの両端を保持する位置に切り欠き部3cが設けられ、室内機本体側リード線保持体73から前面パネル側コネクタ54aまで引き回される前面パネル側リード線53c、余り部分53d及び余り部分53dから前面パネル側コネクタ54aに結束される部分のリード線を確実に固定することにより、保護カバー64組み付け時のリード線53の咬み込みを防止することができ、安全性の確立が図れる。
前面パネル側リード線53cは、前面パネル側コネクタ54aに結束、接続されて、前面パネル側コネクタ54aと一体となっている室内機本体側コネクタ54bに接続された本体側リード線53eとして、室内機側電装品55の電装品接続部65aに接続される。
図54(b)に示されているように、前面パネル側コネクタ54a、室内機本体側コネクタ54b及び室内機本体側コネクタ54bに接続されている本体側リード線53eの一
端は、室内機本体2の前面枠3上にあり、一方、室内機側電装品55及び電装品接続部65aは、室内機本体2内部に収納されている。そこで、室内機本体2の前面枠3の、リード線保持部材71からの横引きリード線の位置より下側、より具体的には、室内機本体側コネクタ54bと室内機側電装品55の電装品接続部65aとの間に開口部3aを設けて、室内機本体側コネクタ54bに接続されている本体側リード線53eを通し、その他端を室内機側電装品55及び電装品接続部65aに接続する。これにより、室内機本体側電装品55からの本体側リード線53eの室内機本体側コネクタ54bの引き出し作業及び収納作業が容易に行える。
また、室内機側電装品55と、室内機本体2の前面枠3の下側に設けた開口部3a及び上側に設けた開口部3bとの間に仕切り65bを設けることで、開口部3bの奥に収納されるリード線53の余り部分53d、前面パネル側コネクタ54aに結束、接続される前面パネル側リード線53c、室内機本体側コネクタ54bに接続されて開口部3aを通じて電装品接続部65aに接続している本体側リード線53eとが、電源板65の外郭より中へ入り室内機側電装品55に干渉して品質を損なう恐れを未然に防止することができる。
図51、53(a)において、保護カバー64に筒状のリード線保護部64aを一体で設け、この中に、室内機本体側リード線保持体73から横引きされて前面パネル側コネクタ54aまで引き回される前面パネル側リード線53cを通すことで、横引きされる前面パネル側リード線53cが外部から触られることがなく品質を保つことができるものである。また、リード線保護部64aを樹脂等すべりのよいものとすることで、前面パネル4の可動に伴って応動する余り部分53dがスムースに動くことができる。
図52、53(b)において、保護カバー64は、室内機本体2へ組み付け、下斜め方向からのネジ66によって取り付ける構成とする。より具体的には、組み付け作業手順としては、前面パネル4を室内機本体2へ組み込んだ後、前面パネル4を一定角度に開いて、保護カバー64の先端凸部64bを前面枠3に設けた受け部3dに差込み、ネジ66で固定するものである。この構成により、下斜めからのドライバー82の使用が可能になり、作業が容易に行えるものである。
一方、本実施の形態では、前記したように、各センサユニット26,28,30,32,34は前面パネル4に設けられているので、前面パネル4が前面開口部2aを開放状態としたときには前面パネル4に付随して移動することとなり、更に前方に突出することとなる。
また、センサユニット26は、回路基板26aと、回路基板26aに取り付けられたレンズ26bと、レンズ26bの内部に実装された人体検知センサ(図示せず)とで構成されており、この構成は、他のセンサユニット28,30,32,34についても同様である。すなわち、他のセンサユニット28,30,32,34も、それぞれ、回路基板28a,30a,32a,34aと、回路基板28a,30a,32a,34aに取り付けられたレンズ28b,30b,32b,34bと、レンズ28b,30b,32b,34bの内部に実装された人体検知センサ(図示せず)とで構成されている。さらに、人体検知センサは、例えば人体から放射される赤外線を検知することにより人の在否を検知する赤外線センサにより構成されており、赤外線センサが検知する赤外線量の変化に応じて出力されるパルス信号に基づいて回路基板26a,28a,30a,32a,34aにより人の在否が判定される。すなわち、回路基板26a,28a,30a,32a,34aは人の在否判定を行う在否判定手段として作用する。以下、互いに対をなすセンサとレンズをセンサ・レンズ対という。
ここで、前後左右方向の検知領域を得るために、図6の側面図に示されるように任意の球Zの表面上にセンサユニット26,28,30,32,34を配置することが考えられる。この場合、各センサユニット26,28,30,32,34のセンサ・レンズ対の光軸は球Zの中心Pで交差し、ねじれの位置にない。室内機から見れば、球Zの表面上にセンサユニット26,28,30,32,34が前後方向に飛び出した配置となるため、人体検知装置の小型化は困難である。
また、前記のようなセンサユニットの飛び出しを抑制するため、図7のように任意の球Zを任意の平面Xで切り取り、平面Xと各センサユニット26,28,30,32,34の光軸(ねじれの位置でない)との交点に各センサユニット26,28,30,32,34を配置することも考えられる。この場合、センサユニット26,28,30,32,34の配置は図8の正面視に示されるように前後方向への飛び出しは少なくなるが、センサユニット26と30のように検知領域と室内機との距離の異なるセンサユニットの配置が縦横方向に分散してしまい、人体検知装置の小型化に限界がある。
そこで、本実施の形態においては、センサユニット26,28のセンサ・レンズ対の光軸は同一平面上にあり、センサユニット30,32,34のセンサ・レンズ対の光軸は別の同一平面上にあるものの、センサユニット26,28のセンサ・レンズ対の光軸と、センサユニット30,32,34のセンサ・レンズ対の光軸とは同一平面上にはなく、ねじれの位置となるようにそれぞれの回路基板26a,28a,30a,32a,34aを所定の角度に傾斜させてセンサホルダ36に取り付けている。
このように検知領域と室内機との距離の異なるセンサユニットのセンサ・レンズ対の光軸をねじれの位置とすることで、図1および図2に示されるようにセンサユニット26,28,30,32,34は横方向に略直線状に配置でき、人体検知装置の小型化が可能となる。
なお、室内機からセンサユニットの検知領域までの距離の異なるセンサユニットを横方向に略直線状に配置した例について説明したが、左右方向の異なるセンサユニットを室内機の高さ方向に略直線状に配置する場合も同様のことが言える。
以上のように本実施の形態によれば、室内機に設けられた複数のセンサユニット26,28,30,32,34のうち、該センサユニットの視野エリアと空気調和機との距離が異なるセンサユニットのセンサ・レンズ対の光軸が互いにねじれの位置となるようにしたので、センサユニット26,28,30,32,34が室内機の前面パネル4から飛び出さないように設置できるようになり、人体検知装置の小型化が可能となる。
また、センサユニット26,28,30,32,34を略直線状に配置することで、センサユニット26,28,30,32,34が縦横方向に分散することがなく、センサユニット26,28,30,32,34の小型化が可能となる。
また、このようにセンサ・レンズ対の光軸がねじれの位置にある複数のセンサユニット26,28,30,32,34を人体検知装置として設け、各センサ・レンズ対の光軸が視野方向に向くように配設したので、人体検知装置から見て距離方向に複数の検知領域と、左右方向に複数の検知領域を形成することができるとともに、集光効率が向上することでレンズの小型化が可能になる。
図9は、センサユニット26,28,30,32,34で検知される人体位置判別領域を示しており、センサユニット26,28,30,32,34は、それぞれ次の領域に人がいるかどうかを検知することができる。
センサユニット26:領域A+C+D
センサユニット28:領域B+E+F
センサユニット30:領域C+G
センサユニット32:領域D+E+H
センサユニット34:領域F+I
すなわち、本発明の前記実施の形態にかかる空気調和機の室内機においては、センサユニット26,28で検知できる領域と、センサユニット30,32,34で検知できる領域が一部重なっており、領域A〜Iの数よりも少ない数のセンサユニットを使用して各領域A〜Iにおける人の在否を検知するようにしている。
また、少なくとも三つの人体検知センサを室内機の上部に取り付けることで、室内における人体の位置を室内機に対して遠近方向と左右方向、すなわち室内フロアのどこにいるのかを二次元的に把握することができる。図10は三つの人体検知センサを設けた場合の検知される領域を示しており、図10の例では、室内機の近傍の領域における人の在否が一つの人体検知センサで検知され、室内機から遠い領域における人の在否が二つの人体検知センサで検知される。
図9に戻って本実施の形態をさらに説明するが、以下の説明ではセンサユニット26,28,30,32,34を第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30、第4のセンサ32、第5のセンサ34という。また、領域C,D,E,Fは二つのセンサで検知されるので、重なり領域というのに対し、重なり領域以外の領域(領域A,B,G,H,I)は一つのセンサで検知されるので、通常領域という。また、重なり領域は、左の重なり領域C,Dと右の重なり領域E,Fに分けられる。
図11は、第1〜第5のセンサ26,28,30,32,34を使用して、領域A〜Iの各々に後述する領域特性を設定するためのフローチャートで、図12は、第1〜第5のセンサ26,28,30,32,34を使用して、領域A〜Iのどの領域に人がいるか否かを判定するフローチャートであり、これらのフローチャートを参照しながら人の位置判定方法について以下説明する。
ステップS1において、所定の周期T1(例えば、5秒)で左の重なり領域における人の在否がまず判定され、ステップS2において、所定の条件で所定のセンサ出力をクリアする。
表1は、左の重なり領域の判定方法を示しており、表1に示される三つの反応結果のいずれかに該当する場合は、第1のセンサ26及び第3のセンサ30の出力をクリアする。ここで、1は反応有り、0は反応無し、クリアは1→0にすることと定義する。
ステップS3では、上述した所定の周期T1で右の重なり領域における人の在否がさらに判定され、ステップS4において、所定の条件で所定のセンサ出力をクリアする。
表2は、右の重なり領域の判定方法を示しており、表2に示される三つの反応結果のいずれかに該当する場合は、第2のセンサ28及び第5のセンサ34の出力をクリアする。
また、表1及び表2に示される六つの反応結果のいずれかに該当する場合は、第4のセンサ32の出力もクリアし、ステップS5に移行する。ステップS5においては、上述した所定の周期T1で通常領域における人の在否が表3に基づいて判定され、ステップS6において、全てのセンサ出力をクリアする。
さらに、図13を参照して第1〜第3のセンサ26,28,30からの出力のみを使用して領域A,B,Cにおける人の在否を判定する場合について説明する。
図13に示されるように、時間t1の直前の周期T1において第1〜第3のセンサ26,28,30がいずれもOFF(パルス無し)の場合、時間t1において領域A,B,Cに人はいないと判定する(A=0,B=0,C=0)。次に、時間t1から周期T1後の時間t2までの間に第1のセンサ26のみON信号を出力し(パルス有り)、第2及び第3のセンサ28,30がOFFの場合、時間t2において領域Aに人がいて、領域B,Cには人がいないと判定する(A=1,B=0,C=0)。さらに、時間t2から周期T1後の時間t3までの間に第1及び第3のセンサ26,30がON信号を出力し、第2のセンサ28がOFFの場合、時間t3において領域Cに人がいて、領域A、Bには人がいないと判定する(A=0,B=0,C=1)。以下、同様に周期T1毎に各領域A,B,Cにおける人の在否が判定される。
実際には、第1〜第5のセンサ26,28,30,32,34を使用して、領域A〜Iのどの領域に人が存在するかどうかの判定が行われるが、この判定結果に基づいて各領域A〜Iを、人が良くいる第1の領域(良くいる場所)、人のいる時間が短い第2の領域(人が単に通過する領域、滞在時間の短い領域等の通過領域)、人のいる時間が非常に短い第3の領域(壁、窓等人が殆ど行かない非生活領域)とに判別する。以下、第1の領域、第2の領域、第3の領域をそれぞれ、生活区分I、生活区分II、生活区分IIIといい、生活区分I、生活区分II、生活区分IIIはそれぞれ、領域特性Iの領域、領域特性IIの領域、領域特性IIIの領域ということもできる。また、生活区分I(領域特性I)、生活区分II(領域特性II)を併せて生活領域(人が生活する領域)とし、これに
対し、生活区分III(領域特性III)を非生活領域(人が生活しない領域)とし、人の在否の頻度により生活の領域を大きく分類してもよい。
この判別は、図11のフローチャートにおけるステップS7以降で行われ、この判別方法について図14及び図15を参照しながら説明する。
図14は、一つの和室とLD(居間兼食事室)と台所とからなる1LDKのLDに本発明の前記実施の形態にかかる空気調和機の室内機を設置した場合を示しており、図14における楕円で示される領域は被験者が申告した良くいる場所を示している。
上述したように、周期T1毎に各領域A〜Iにおける人の在否が判定されるが、周期T1の反応結果(判定)として1(反応有り)あるいは0(反応無し)を出力し、これを複数回繰り返した後、ステップS7において、所定の空気調和機の累積運転時間が経過したかどうかを判定する。ステップS7において所定時間が経過していないと判定されると、ステップS1に戻る一方、所定時間が経過したと判定されると、各領域A〜Iにおける当該所定時間に累積した反応結果を二つの閾値と比較することにより各領域A〜Iをそれぞれ生活区分I〜IIIのいずれかに判別する。
長期累積結果を示す図15を参照して、さらに詳述すると、第1の閾値及び第1の閾値より小さい第2の閾値を設定して、ステップS8において、各領域A〜Iの長期累積結果が第1の閾値より多いかどうかを判定し、多いと判定された領域はステップS9において生活区分Iと判別する。また、ステップS8において、各領域A〜Iの長期累積結果が第1の閾値より少ないと判定されると、ステップS10において、各領域A〜Iの長期累積結果が第2の閾値より多いかどうかを判定し、多いと判定された領域は、ステップS11において生活区分IIと判別する一方、少ないと判定された領域は、ステップS12において生活区分IIIと判別する。
図15の例では、領域E,F,Iが生活区分Iとして判別され、領域B,Hが生活区分IIとして判別され、領域A,C,D,Gが生活区分IIIとして判別される。
また、図16は別の1LDKのLDに本発明の前記実施の形態にかかる空気調和機の室内機を設置した場合を示しており、図17はこの場合の長期累積結果を元に各領域A〜Iを判別した結果を示している。図16の例では、領域C,E,Gが生活区分Iとして判別され、領域A,B,D,Hが生活区分IIとして判別され、領域F,Iが生活区分IIIとして判別される。
なお、上述した領域特性(生活区分)の判別は所定時間毎に繰り返されるが、判別すべき室内に配置されたソファー、食卓等を移動することがない限り、判別結果が変わることは殆どない。
次に、図12のフローチャートを参照しながら、各領域A〜Iにおける人の在否の最終判定について説明する。
ステップS21〜S26は、上述した図11のフローチャートにおけるステップS1〜S6と同じなので、その説明は省略する。ステップS27において、所定数M(例えば、15回)の周期T1の反応結果が得られたかどうかが判定され、周期T1は所定数Mに達していないと判定されると、ステップS21に戻る一方、周期T1が所定数Mに達したと判定されると、ステップS28において、周期T1×Mにおける反応結果の合計を累積反応期間回数として、1回分の累積反応期間回数を算出する。この累積反応期間回数の算出を複数回繰り返し、ステップS29において、所定回数分(例えば、N=4)の累積反応
期間回数の算出結果が得られたかどうかが判定され、所定回数に達していないと判定されると、ステップS21に戻る一方、所定回数に達したと判定されると、ステップS30において、既に判別した領域特性と所定回数分の累積反応期間回数を元に各領域A〜Iにおける人の在否を推定する。
なお、ステップS31において累積反応期間回数の算出回数(N)から1を減算してステップS21に戻ることで、所定回数分の累積反応期間回数の算出が繰り返し行われることになる。
表4は最新の1回分(時間T1×M)の反応結果の履歴を示しており、表4中、例えばΣA0は領域Aにおける1回分の累積反応期間回数を意味している。
ここで、ΣA0の直前の1回分の累積反応期間回数をΣA1、さらにその前の1回分の累積反応期間回数をΣA2・・・とし、領域における過去の数回分の履歴(例えば、4回分)と生活区分と累積反応期間回数から人の在否を推定する。
次に、上述した人の在否判定から時間T1×M後には、同様に過去の4回分の履歴と生活区分と累積反応期間回数から人の在否の推定が行われる。
すなわち、本発明の前記実施の形態にかかる空気調和機の室内機においては、判別領域A〜Iの数よりも少ない数のセンサを使用して人の在否を推定することから、所定周期毎の推定では人の位置を誤る可能性があるので、重なり領域かどうかに関わらず単独の所定周期では人の位置推定を行うことを避け、所定周期毎の領域判定結果を長期累積した領域特性と、所定周期毎の領域判定結果をN回分累積し、求めた各領域の累積反応期間回数の過去の履歴から人の所在地を推定することで、確率の高い人の位置推定結果を得るようにしている。
表5は、このようにして人の在否を判定し、T1=5秒、M=12回に設定した場合の在推定に要する時間、不在推定に要する時間を示している。
このようにして、本発明の前記実施の形態にかかる空気調和機の室内機により空調すべ
き領域を、第1〜第5のセンサ26,28,30,32,34により、複数の領域A〜Iに区分した後、各領域A〜Iの領域特性(生活区分I〜III)を決定し、さらに各領域A〜Iの領域特性に応じて、在推定に要する時間及び不在推定に要する時間をそれぞれ変更するようにしている。
すなわち、空調設定を変更した後、風が届くまでには1分程度要することから、短時間(例えば、数秒)で空調設定を変更しても、快適性を損なうのみならず、人がすぐいなくなるような場所に対しては、省エネの観点からあまり空調を行わないほうが好ましい。そこで、各領域A〜Iにおける人の在否をまず検知し、特に、人がいる領域の空調設定を最適化している。
詳述すると、生活区分IIと判別された領域の在否推定に要する時間を標準として、生活区分Iと判別された領域では、生活区分IIと判別された領域より短い時間間隔で人の存在が推定されるのに対し、その領域から人がいなくなった場合には、生活区分IIと判別された領域より長い時間間隔で人の不存在を推定することにより、在推定に要する時間を短く、不在推定に要する時間は長く設定されることになる。逆に、生活区分IIIと判別された領域では、生活区分IIと判別された領域より長い時間間隔で人の存在が推定されるのに対し、その領域から人がいなくなった場合には、生活区分IIと判別された領域より短い時間間隔で人の不存在を推定することにより、在推定に要する時間を長く、不在推定に要する時間は短く設定されることになる。さらに、前述のように長期累積結果によりそれぞれの領域の生活区分は変わり、それに応じて、在推定に要する時間や不在推定に要する時間も可変設定されることになる。
また、各領域A〜Iにおける空調設定に応じて、ファン8の回転数制御及び上下羽根12と左右羽根の風向制御が行われるが、これらの制御について以下説明する。
暖房時の風向制御は、人がいると判定された領域における人の足元手前に風向きを制御することで足元近傍に温風を到達させ、冷房時の風向制御は、人の頭上上方に風向きを制御することで頭上上方に冷風を到達させる。風向きはファン8の回転数と、上下羽根12あるいは左右羽根の角度により調節する。
図18は、上下羽根12の回転制御を示しており、空気調和機の運転停止時には、図18(a)に示されるように、前面パネル4と上下羽根12と中羽根14は全て閉塞した状態にある。
冷房時は、吹き出し空気(冷風)を人の頭上上方に到達させるため(冷房天井気流)、前面パネル4と上下羽根12と中羽根14は、図18(a)に示される状態から図18(b)に示される状態を経て図18(c)に示される状態に至る。まず、アーム18,20が駆動制御されて前面パネル4が前面開口部2aから離反するとともに、アーム22,24が駆動制御されて上下羽根12が吹出口10から離反する。
図18(c)の状態では、吹出口10から吹き出される空気は、上下羽根12により水平方向に導かれるが、上下羽根12の下流側端部が上方へ湾曲しているため、部屋の遠方まで空気を送ることができる。この時、吹出口10の上方、すなわち前面パネル4の下方は中羽根14により閉塞されており、吹出口10から吹き出した空気の一部が前面開口部2aに導かれることはない。
一方、暖房時は、吹き出し空気(温風)を人の足元近傍に到達させるため(暖房足元気流)、図18(a)に示される状態から図18(b)に示される状態を経て図18(d)に示される状態に至る。図18(d)の状態では、吹出口10から吹き出される空気は、
上下羽根12により斜め下方に導かれるが、上下羽根12の下流側端部が本体側へ湾曲しているため、部屋の上方に溜まりやすい暖かい空気を部屋の下方に送ることができる。
なお、図18(e)は、安定前の冷房時に利用され、吹き出し空気は人体に向けられる(人体向け気流)。
図19は、各領域A〜Iの空調を行う場合のファン8の設定回転数を示しており、A1,A2,A3は室内機からそれぞれ近距離、中距離、長距離にある領域の基準回転数で、A4は距離が同じ場合の領域の違いによる回転数差分であり、例えばそれぞれ次のように設定される。
A1: 800rpm(暖房時)、 700rpm(冷房時)
A2:1000rpm(暖房時)、 900rpm(冷房時)
A3:1200rpm(暖房時)、1100rpm(冷房時)
A4: 100rpm(冷暖共通)
ここで、各領域における室内機からの距離、室内機正面からの角度、高低差等、室内機との位置関係を表す表現として、相対位置という表現を導入する。
また、各領域において空調がし易い、空調がし難い度合いを空調要求度という表現により表し、空調要求度が高いほど空調がよりし難い、空調要求度が低いほど空調がよりし易いとする。例えば、室内機からの距離が遠いほど吹き出し空気が届き難く空調がし難いので空調要求度が高くなる。即ち、空調要求度と室内機からの相対位置には密接な関連性があり、本実施の形態では、室内機からの相対位置に応じて空調要求度を定める。
したがって、各領域A〜Iの空調を行う場合のファン8の設定回転数は、空調要求度が高いほど高く設定されることを意味している。すなわち、空調すべき領域の位置が室内機より遠いほどファン8の設定回転数は高く設定されるとともに、室内機からの距離が同じ場合には室内機の正面より左右にずれた領域ほどファン8の設定回転数は高く設定される。また、空調すべき領域が一つの場合、その領域の設定回転数(風量)に設定され、空調すべき領域が複数の場合、空調要求度が高い領域の設定回転数に設定される。
また、図20は、暖房時の上下羽根12と左右羽根の設定角度を示しており、B1,B2,B3は室内機からそれぞれ近距離、中距離、長距離にある領域の基準上下羽根角度で、B4は距離が同じ場合の領域の違いによる上下羽根の角度差分であるのに対し、C1及びC2は左右領域の基準左右羽根角度(左回りが正方向)で、C3及びC4は領域の違いによる左右羽根の角度差分であり、例えばそれぞれ次のように設定される。なお、上下羽根12の角度とは、羽根が上に凸の状態で羽根の前後端を結んだ線が水平の場合を0°とし、この位置を基準にして反時計方向に計測した場合の角度のことである。
B1:70°
B2:55°
B3:45°
B4:10°
C1: 0°
C2:15°
C3:30°
C4:45°
すなわち、室内機に近い領域AあるいはBの暖房を行う場合、上下羽根12は、第1の角度(例えば、70°)に設定されるとともに、ファン8の回転数は第1の回転数(例えば、800rpm)に設定され、領域AあるいはBにおける室内機側の縁部(人の足元手
前)に風向を制御し、足元近傍に温風を到達させるようにしている。また、室内機から中距離にある領域C,D,EあるいはFの暖房を行う場合、上下羽根12は、第1の角度より小さい第2の角度(例えば、55°)に設定されるとともに、ファン8の回転数は第1の回転数より高い第2の回転数(例えば、1000rpm)に設定され、領域C,D,EあるいはFにおける室内機側の縁部(人の足元手前)に風向を制御し、足元近傍に温風を到達させるようにしている。さらに、室内機から最も遠い領域G,HあるいはIの暖房を行う場合、上下羽根12は、第2の角度より小さい第3の角度(例えば、45°)に設定されるとともに、ファン8の回転数は第2の回転数より高い第3の回転数(例えば、1200rpm)に設定され、領域G,HあるいはIにおける室内機側の縁部(人の足元手前)に風向を制御し、足元近傍に温風を到達させるようにしている。
図21は、立ち上がりあるいは不安定領域の冷房時の上下羽根12と左右羽根の設定角度を示しており、E1,E2,E3は室内機からそれぞれ近距離、中距離、長距離にある領域の基準上下羽根角度で、E4は距離が同じ場合の領域の違いによる上下羽根の角度差分であるのに対し、F1及びF2は左右領域の基準左右羽根角度(左回りが正方向)で、F3及びF4は領域の違いによる左右羽根の角度差分であり、例えばそれぞれ次のように設定される。なお、立ち上がりとは、空気調和機の運転開始時のことで、不安定領域とは、現在の室内の空調状態が、設定した条件(例えば設定温度)になっていない状態のことである。
E1:50°
E2:35°
E3:25°
E4:10°
F1: 0°
F2:15°
F3:25°
F4:35°
また、図22は、安定領域の冷房時の上下羽根12と左右羽根の設定角度を示しており、H1は天井気流の場合の基準上下羽根角度で、H2はにがし気流の場合の基準上下羽根角度で、H3は距離の違いによる上限羽根角度差分であるのに対し、I1及びI2は左右領域の基準左右羽根角度(左回りが正方向)で、I3及びI4は領域の違いによる左右羽根の角度差分であり、例えばそれぞれ次のように設定される。なお、安定領域とは、現在の室内の空調状態が、設定した条件(例えば設定温度)になっている状態のことである。
H1:180°
H2:190°
H3: 5°
I1: 0°
I2: 15°
I3: 25°
I4: 35°
ここで、天井気流とは、図18(c)に示されるように、上下羽根12を吹出口10の下部に位置させて吹き出し風を全て羽根の凹面で受けて風を送り出した場合の気流のことであり、にがし気流とは、上下羽根12を天井気流時の位置より多少上部に位置させて、吹き出し風の一部(微量)を羽根の凸面側(羽根の下方)にも流し羽根凸面に結露が発生しにくい状態にして風を送り出した場合の気流のことである。
室内機に近い領域AあるいはBの冷房を行う場合、上下羽根12は、水平より所定角度(例えば、5°)だけ下方に設定され、ファン8の回転数は第1の回転数(暖房時の第1
の回転数より少ない回転数で、例えば、700rpm)に設定され、領域AあるいはBの頭上上方に冷風を到達させ、冷気がシャワー状に落ちてくるように設定されている。また、室内機から中距離にある領域C,D,EあるいはFの冷房を行う場合、上下羽根12は、略水平に設定され、ファン8の回転数は第1の回転数より高い第2の回転数(暖房時の第2の回転数より少ない回転数で、例えば、900rpm)に設定され、領域C,D,EあるいはFの頭上上方に冷風を到達させるように設定されている。さらに、室内機から最も遠い領域G,HあるいはIの冷房を行う場合、上下羽根12は、水平より所定角度(例えば、5°)だけ上方に設定され、ファン8の回転数は第2の回転数より高い第3の回転数(暖房時の第3の回転数より少ない回転数で、例えば、1100rpm)に設定され、領域G,HあるいはIの頭上上方に冷風を到達させるように設定されている。
次に、空調すべき領域の数に応じて行われる風向制御について図23のフローチャートを参照しながら説明する。
空気調和機の運転開始後、ステップS41において、領域A〜Iにおける人の在否判定がまず行われ、ステップS42において、人がいると判定された領域が一つ、すなわち空調すべき領域が一つの場合、ステップS43において、その領域に応じて設定された風量、風向に基づいて空調が行われる。ステップS42において、空調すべき領域が一つではないと判定されると、ステップS44において、空調すべき領域が二つかどうかを判定し、空調すべき領域が二つの場合、ステップS45に移行する。
ステップS45においては、風量は空調要求度の高い領域の設定風量に設定され、二つの領域の配置モードを図24に示されるように五つのモードのいずれかに識別し、次のステップS46において、識別されたモードに応じて表6のように制御する。
ここで、モード1は中距離であり、かつ室内機正面をはさんで隣接する2領域の場合を表し、モード2は室内機との角度が略一致し、前後関係に隣接する2領域の場合を表している。また、モード3は室内機との角度が略一致し、前後関係に離間する2領域の場合を表し、モード4は室内機との距離が略一致し、角度が異なる2領域の場合を表し、モード5は離間する2領域、換言すれば室内機との距離も角度も異なる2領域の場合を表している。
モード1〜4の上下風向は、暖房時は要求度の低い領域に固定される一方、冷房時は要求度の高い領域に固定される。また、モード5の上下風向は、上下羽根12の動作を制御して、二つの領域(第1及び第2の領域)のうち、第1の領域に所定時間停留(角度固定)した後、第2の領域に向かって風向を変え、第2の領域に所定時間停留した後、第1の
領域向かって風向を変える動作を繰り返す。なお、各領域の停留時間は、例えば室内機からの距離に応じてそれぞれ設定され、室内機からの距離が遠いほど停留時間を長くするのが好ましい。
また、モード1の左右風向は、隣接した二つの領域の中央に固定され、モード2及び3の場合、二つの領域が室内機から見て距離の異なる略同一方向にあると見なして、その左右風向は、要求度の高い領域に固定される。さらに、モード4及び離間する二つの領域の配置からなるモード5の左右風向は、上下羽根12の制御と同様に左右羽根の動作を制御して、第1の領域に所定時間停留した後、第2の領域に向かって風向を変え、第2の領域に所定時間停留した後、第1の領域に向かって風向を変える動作を繰り返す。なお、各領域の停留時間は、各領域に対する室内機からの相対位置、例えば室内機正面からの角度に応じてそれぞれ設定され、室内機正面からの角度が大きいほど停留時間を長くするのが好ましい。
また、ステップS44において空調すべき領域が二つではないと判定されると、ステップS47において、空調すべき三つ以上の領域をその配置に応じて通常モードと特殊モードの二つのモードのいずれかに判定する。ここで、特殊モードは、中距離であり、かつ室内機正面をはさんで隣接する2領域と、遠距離であり、かつ室内機正面に位置する1領域、計3領域の場合を表し、それを除く三つ以上の領域の場合を通常モードと表す。空調すべき領域が三つ以上の場合、風量は空調要求度の最も高い領域の設定風量に設定され、ステップS47において、図25(a)に示される特殊モード(中央隣接)と判定されると、ステップS48において、風向は図24のモード1と同様に設定される。
一方、ステップS47において、特殊モードではないと判定されると、ステップS49において、図25(b)あるいは(c)に示される通常モードの制御が行われ、上下風向は、室内機に最も近い領域の上下羽根12の設定角度と、室内機に最も遠い領域の上下羽根12の設定角度との間で上下羽根12の角度を変更する。
また、通常モードの場合の左右風向は、両端の領域(図25(b)では領域CとI、図25(c)では領域CとH)における左右羽根の設定角度を左端角度及び右端角度に設定して、左端角度に所定時間停留した後、右端側の領域に向かって風向を変え(スイング)、右端角度に所定時間停留した後、左端側の領域に向かって風向を変える動作(スイング)を繰り返す。なお、スイング時の左右羽根の作動速度は、上述したモード4及び5における左右羽根の作動速度より遅く設定される。また、左端角度あるいは右端角度における停留時間は、例えば室内機正面からの角度に応じてそれぞれ設定され、室内機正面からの角度が大きいほど停留時間を長くするのが好ましい。
なお、ステップS43,S46,S48あるいはS49においてそれぞれの空調制御が行われた後、ステップS41に戻る。
また、室内機が図14に示されるように配置された場合、第1〜第5のセンサ26,28,30,32,34を使用して室内機が左側壁の近傍に設置されたと判定し、左側壁より右側に位置する領域のみ左右羽根の作動制御を行うこともできる。この場合、第1〜第5のセンサ26,28,30,32,34で構成される人体検知装置は室内機の設置位置自動認識手段として作用する。
なお、室内機の設置位置自動認識手段としてのセンサは少なくとも二つ設ければよく、図4において光軸が同一平面上にある第1及び第2のセンサ26,28を設けた場合を例に取り、さらに説明する。
二つのセンサ26,28を設けた場合、二つのセンサ26,28からの周期T1毎の出力を所定時間(例えば、3〜4時間)累積し、この累積した反応結果を一つの閾値と比較することにより二つの領域は生活領域と非生活領域あるいは二つの生活領域に区分される。なお、比較される閾値は、例えば上述した第2の閾値であってもよい。
前記実施の形態では、前記人体検知センサを5つ設けているが、これに限られるものではなく、例えば1つでもよい。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。