JP2008267475A - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 磁気吸引部9におけるプランジャ4との対向部に、プランジャ4側へ膨出する凸部(円弧状の球曲面)形状の磁束レンズ手段14を設け、プランジャ4と磁気吸引部9との間で発生する磁束の流れ向きを、シャフト摺動部の軸中心へ向ける。コイル3が通電されると、プランジャ4からシャフト摺動部の軸中心に向かう「内径方向磁束流γ」が生じ、この「内径方向磁束流γ」による磁気吸引力がシャフト6をシャフト摺動部の中心へと調芯させる調芯力として作用する。このため、シャフト6の摺動抵抗を小さくでき、電磁アクチュエータ1の性能および信頼性を高めることができる。また、磁束レンズ手段14は磁気吸引部9の一部であるため、部品点数の増加を招くことがない。
【選択図】 図1
Description
図6に示す電磁アクチュエータJ1は、三方弁構造を有するスプール弁(バルブ)J2を駆動するものであり、コイルJ3、プランジャ(磁気可動子)J4、磁気固定子J5で構成される。
磁気固定子J5は、コイルJ3の周囲に閉磁路を形成する部品であり、磁力によってプランジャJ4を軸方向へ吸引する磁気吸引部J6を備える第1コアステータJ7と、プランジャJ4の周囲を覆う筒形状を呈した磁気受渡部を備える第2コアステータJ8とで構成される。
第1コアステータJ7は、プランジャJ4と結合されたシャフトJ9を軸方向へ摺動自在に支持するシャフト摺動部(軸受部品)J10を備える。これによって、プランジャJ4がシャフトJ9を介して摺動自在に支持される。
(a)磁気吸引力発生部の基本構造は、図7(a)に示すように、磁気吸引部J6とプランジャJ4との対向面が平行なものである。このタイプは、構造がシンプルで製造が容易という利点がある。しかし、磁気吸引部J6にプランジャJ4が接近すると、急激にプランジャJ4の吸引力が大きくなってしまう。
(b)そこで、図7(b)に示すように、磁気吸引部J6の一部にプランジャJ4の端部が侵入可能な吸引凹部J11を形成して、吸引凹部J11の底面による第1吸引部と、吸引凹部J11の筒部による第2吸引部を設け、プランジャJ4のストローク量に対して磁気吸引力が急激に変化する不具合を緩和した技術が知られている。
(d)あるいは、図7(d)に示すように、吸引凹部J11の筒部におけるプランジャJ4に近い側の外周面に、プランジャJ4側(図示右側)に向けて小径となるテーパ部J13を設けて、プランジャJ4のストローク量に対して磁気吸引力が変化しない特性に設ける技術も知られている。
これにより、シャフトJ9がシャフト摺動部J10に強く擦れることになり、シャフトJ9の摺動抵抗が大きくなってしまう。
このように、シャフトJ9の摺動抵抗が大きくなることにより、プランジャJ4の応答性の劣化を招くとともに、ヒステリシスの増加を招いてしまう。
あるいは、長期の使用によりシャフトJ9とシャフト摺動部J10の間に摩耗が生じ、プランジャJ4の傾きや性能低下の要因になる可能性がある。
また、上記(a)で示す技術において、磁気吸引部J6の外径寸法がプランジャJ4の外径寸法と同じであれば、「外径方向磁束流β」は生じない。即ち、プランジャJ4から磁気吸引部J6に向かう「軸方向磁束流α」のみが発生することとなる。そのため、発生磁力によるシャフトJ9の調芯作用は生じず、発生磁力によってシャフトJ9の摺動抵抗を低減する作用は生じない。
具体的には、例えば「外径方向磁束流β」が生じるものであっても、発生磁力を利用してシャフトに調芯作用を生じさせることで「外径方向磁束流β」による摺動抵抗の増加を抑えることのできる電磁アクチュエータの提供にある。
請求項1の手段の電磁アクチュエータは、プランジャと磁気吸引部との軸方向の対向部分に、プランジャと磁気吸引部との間で発生する磁束の流れ向きを、シャフト摺動部側の軸中心へ向ける磁束レンズ手段を設けたものである。
シャフト摺動部の軸中心へ向かう「内径方向磁束流γ(符号、図1参照)」による磁気吸引力は、磁気吸引部側においてシャフトをシャフト摺動部側の軸中心へと調芯させる調芯力として作用する。
この調芯作用により、シャフトの摺動抵抗を小さくすることができ、プランジャの応答性を向上させることができるとともに、ヒステリシスを減少させることができる。また、長期に使用されても、シャフトとシャフト摺動部の間の摩耗が抑えられることになるため、プランジャの傾きやガタツキの発生を抑えることができる。即ち、電磁アクチュエータの性能を高めることができるとともに、信頼性を高めることができる。
請求項2の手段の電磁アクチュエータにおける磁束レンズ手段は、磁気吸引部に形成され、プランジャ側へ軸心部が膨出する凸部である。
このように、磁気吸引部に凸部を設けるだけで、電磁アクチュエータの性能および信頼性を高めることができる。
請求項3の手段の電磁アクチュエータにおける磁束レンズ手段は、プランジャに形成され、磁気吸引部とは異なった側へ窪む凹部である。
このように、プランジャに凹部を設けるだけで、電磁アクチュエータの性能および信頼性を高めることができる。
請求項4の手段の電磁アクチュエータにおいて磁束レンズ手段を成す凸部または凹部は、円弧状の球曲面を呈する。
これにより、「内径方向磁束流γ」の収束位置を狭い範囲内(例えば、1点)にコントロール(設定)することができる。
そして、プランジャと磁気吸引部との軸方向の対向部分には、プランジャと磁気吸引部との間で発生する磁束の流れ向きを、シャフト摺動部側の軸中心へ向ける磁束レンズ手段が設けられている。
この実施例1に示す電磁アクチュエータ1は、例えば「VVT(バルブ可変タイミング装置)のOCV(オイルフローコントロールバルブ)」、「自動変速機の油圧制御弁」などに用いられる電磁弁の駆動手段であり、電磁弁はバルブ{図1中、バルブハウジング2(例えば、スリーブ等)のみを開示する}と電磁アクチュエータ1とを一体化して設けられる。
コイル3は、通電されると磁力を発生して、プランジャ4と磁気固定子5を通る磁束ループを形成させるものであり、樹脂製のボビンの周囲に、絶縁被覆が施された導線(エナメル線等)を多数巻回したものである。
シャフト6は、円柱棒状を呈する非磁性体金属であり、シャフト6の図1(a)左端は、弁体(例えば、スプール等:図示しない)に当接する。このため、プランジャ4の軸方向の駆動力(プランジャ4に作用する磁気吸引力)がシャフト6を介して弁体に伝達される。
一方、バルブの内部には、弁体を図1(a)右側へ押し戻すリターンスプリング(図示しない)が配置されており、弁体に伝わるリターンスプリングの付勢力によって弁体とともにプランジャ4も図1右側(プランジャ4と後述する磁気吸引部9とが離間する方向)へ付勢される。
コアステータ7は、ヨーク8の開口端と磁気的に結合された磁性体金属(例えば、鉄などの強磁性材料)であり、プランジャ4と軸方向に対向する位置に磁気吸引部9が設けられ、磁気吸引部9とプランジャ4との間に磁気吸引力発生部(メイン磁気ギャップ)が形成される。
コアステータ7の中心部には、軸方向に貫通したシャフト挿通穴11が形成されている。このシャフト挿通穴11の内部には、シャフト6を軸方向へ摺動自在に支持するシャフト摺動部が設けられている。このシャフト摺動部は、シャフト挿通穴11の内部に固定された軸受部品(メタルベアリング等の摺動性を高める部材)であっても良いし、シャフト挿通穴11の内周面であっても良い。
ヨーク8のカップ開口部には、薄肉の爪部が形成されており、ヨーク8の内部に電磁アクチュエータ1の構成部品(コアステータ7、コイル3が樹脂モールドされた部品等)を組み込んだ後、爪部をカシメることで、電磁アクチュエータ1とバルブとが強固に結合される。
磁気受渡筒13は、プランジャ4の周囲を非接触で覆い、プランジャ4との間において径方向の磁気の受け渡しを行うものである。
この磁束レンズ手段14は、磁気吸引部9の軸心部がプランジャ4側へ膨出する凸部であり、この凸部におけるプランジャ4との対向面は、円弧状の球曲面を呈する。
このように、この実施例1では、コイル3が通電されると、プランジャ4からシャフト摺動部の軸中心に向かう「内径方向磁束流γ」が生じる。
また、シャフト6の摺動抵抗を小さくできるため、シャフト6とシャフト摺動部との間の摩耗を抑えることができ、長期に亘って繰り返し作動を行っても、シャフト6のガタや傾きの発生を抑えることができる。
即ち、電磁アクチュエータ1の性能および信頼性を高め、電磁弁の性能および信頼性を高めることができる。
さらに、磁束レンズ手段14を磁気吸引部9の一部によって設けたため、部品点数の増加を招くことがなく、コストの増加を抑えることができる。
上記の実施例1では、コアステータ7の磁気吸引部9に磁束レンズ手段14を設ける例を示した。
これに対し、この実施例2は、プランジャ4側に磁束レンズ手段14を設けたものである。
この実施例2に示すようにプランジャ4側に磁束レンズ手段14を設ける場合、プランジャ4と磁気吸引部9との間で発生する磁束の流れ向きを、磁気吸引部9側におけるシャフト6の軸中心(シャフト摺動部の軸中心と同じ)へ向けるものであり、磁束レンズ手段14は磁気吸引部9とは異なった側へ窪む凹部として設けられる。具体的にこの実施例2の凹部における磁気吸引部9との対向面は、円弧状の球曲面に設けられる。
この「内径方向磁束流γ」による磁気吸引力は、シャフト6をシャフト摺動部の中心へと調芯させる調芯力として作用するため、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、この実施例2では、磁束レンズ手段14をプランジャ4の一部によって設けたため、実施例1と同様、部品点数の増加を招くことがなく、コストの増加を抑えることができる。
上記の実施例1、2では、[発明の背景]の項において説明した(a)のタイプの磁気吸引力発生部に本発明を適用する例を示したが、(b)〜(d)のタイプの磁気吸引力発生部に本発明を適用しても良い。
具体的に、(b)のタイプに本発明を適用した一例を図3に示し、(c)のタイプに本発明を適用した一例を図4に示し、(d)のタイプに本発明を適用した一例を図5に示す。この図3〜図5に示すものは、前述したように「外径方向磁束流β」によってシャフト6に対して軸方向の直角方向の力が作用するが、磁束レンズ手段14を設けたことで、「内径方向磁束流γ」によってシャフト6に調芯作用が加わることになり、「外径方向磁束流β」による摺動抵抗の増加を抑えることができる。
上記の実施例では、磁束レンズ手段14を磁気吸引部9またはプランジャ4に形成する例を示したが、磁束レンズ手段14を別体に設けて、磁気吸引部9とプランジャ4の間に介在させても良い。このように磁束レンズ手段14を別体に設けることで、既存の電磁アクチュエータ1に対して本発明を適用することが可能になる。
磁束レンズ手段14は、軸方向から見て全周に亘って形成されるものであっても良いし、部分的に設けられるものであっても良い。ただし、磁束レンズ手段14が軸方向から見て部分的に設けられる場合、磁束レンズ手段14による磁束中心が軸心に向くように、軸心に対し軸対称に設けられるものである。
上記の実施例では、バルブを駆動する電磁アクチュエータ1に本発明を適用する例を示したが、バルブ以外の被駆動体をシャフト6を介して駆動する電磁アクチュエータ1に本発明を適用しても良い。
4 プランジャ
6 シャフト
7 コアステータ
9 磁気吸引部
14 磁束レンズ手段
Claims (4)
- 棒状を呈する非磁性体製のシャフトと、
このシャフトに結合された磁性体製のプランジャと、
前記シャフトを軸方向へ摺動自在に支持するシャフト摺動部を備えるとともに、磁力により前記プランジャを軸方向へ磁気吸引する磁気吸引部を備える磁性体製のコアステータと、
を具備する電磁アクチュエータにおいて、
前記プランジャと前記磁気吸引部との軸方向の対向部分には、前記プランジャと前記磁気吸引部との間で発生する磁束の流れ向きを、前記シャフト摺動部側の軸中心へ向ける磁束レンズ手段が設けられていることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記磁束レンズ手段は、前記磁気吸引部に形成され、前記プランジャ側へ軸心部が膨出する凸部であることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記磁束レンズ手段は、前記プランジャに形成され、前記磁気吸引部とは異なった側へ窪む凹部であることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項2または請求項3に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記凸部または前記凹部は、円弧状の球曲面を呈することを特徴とする電磁アクチュエータ。
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