JP2008267183A - エンジンのシリンダヘッド - Google Patents

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Norifumi Mizushima
教文 水嶋
Takashi Ogino
崇 荻野
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Abstract

【課題】各気筒の排気ポートを集合させて排気管に接続する構成のエンジンのシリンダヘッドにおいて、ラジエータの大型化やシリンダヘッドの製造性の悪化を招くことなく、シリンダヘッドの排気側端面、特に排気管の締結部及び排気管との間のシール部における温度上昇を効果的に防止する。
【解決手段】各気筒から延びる排気ポートを集合させて排気管に接続する構成のエンジンのシリンダヘッド1において、排気側端面1bに開口する排気ポート出口の周囲に所定の深さを有する溝8を設けて断熱層を形成し、この断熱層の外側に前記排気管の締結部10及び前記排気管との間のシール部9を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンのシリンダヘッドに関し、特に、各気筒の排気ポートを集合させて排気管に接続する構成のエンジンのシリンダヘッドに関する。
各気筒の排気ポートを集合させて排気管に接続するようにしたエンジンのシリンダヘッドとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。このシリンダヘッドでは、各気筒の排気ポートが集合する排気ポート集合部の上面及び下面のそれぞれを覆うようにウォータージャケットが設けられている。
特開2000−161129号公報
しかし、上記従来のシリンダヘッドでは次のような問題がある。
すなわち、上記従来のシリンダヘッドにおいて、ウォータージャケットは、排気熱が集中する排気ポート集合部の上下のみを覆う構造となっているため、ウォータージャケットから最も離れた排気ポート出口の周囲が最も高温になり、シリンダヘッドの排気側端面における温度分布に斑が生じる。
また、上記の構造で、排気ポート出口の周囲を十分に冷却しようとした場合には、排気ポート集合部の上下を覆うウォータージャケットの排気ポート出口方向へ張り出し容積が大きくなってしまうため、冷却水の受熱量が増大してラジエータの大型化を招き、シリンダヘッドの製造性(鋳造性)も悪化する。
本発明は、このような従来の問題に着目してなされたものであり、各気筒の排気ポートを集合させて排気管に接続する構成のエンジンのシリンダヘッドにおいて、ラジエータの大型化やシリンダヘッドの製造性の悪化を招くことなく、シリンダヘッドの排気側端面、特に排気管の締結部及び排気管との間のシール部における温度上昇を効果的に防止することを目的とする。
このため、本発明は、各気筒から延びる排気ポートを集合させて排気管に接続する構成のエンジンのシリンダヘッドにおいて、排気側端面に開口する排気ポート出口の周囲に空気による断熱層を形成し、この断熱層の外側に前記排気管の締結部及び前記排気管との間のシール部を設けたことを特徴とする。ここにおいて、例えば、前記排気側端面に開口する排気ポート出口の周囲に所定の深さを有する溝を設け、この溝によって前記断熱層を形成するようにしてもよいし、排気ポート出口部から筒状部材を挿入し、この筒状部材の外周面と排気ポートの内周面との間に形成される空間によって前記断熱層を形成するようにしてもよい。
本発明によれば、排気ポート出口の周囲に断熱層を形成し、この断熱層の外側に排気管の締結部及び排気管との間のシール部を設けたので、排気ポート壁面から排気管の締結部及びシール部までの温度勾配が大きくなり、当該位置における温度上昇を抑制できる。この結果、ウォータージャケットを排気ポート出口方向へと大きく張り出して形成する必要がなく、シリンダヘッドの製造性の悪化やラジエータの大型化が防止される。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るシリンダヘッドを示している。本実施形態におけるシリンダヘッド1は、例えば、V型6気筒式のエンジンに適用され、図示しないシリンダブロックの左右バンクのそれぞれに設けられる。
シリンダヘッド1は、アルミニウム合金等を用いて鋳造により一体形成されており、その下端面(図示しないシリンダブロックに対向する面)には、気筒列方向に三つの燃焼室2が設けられている。また、シリンダヘッド1の内部には、各燃焼室2、すなわち、各気筒に対応して吸気ポート3a、3b、3c及び排気ポート4a、4b、4cが形成されている。
各気筒の吸気ポート3a、3b、3cは、その一端が燃焼室2付近で分岐壁5a、5b、5cによってそれぞれ二つに分岐されて燃焼室2に開口しており、他端はシリンダヘッド1の吸気側端面1aにそれぞれ開口している。そして、このシリンダヘッド1の吸気側端面1aの開口部(すなわち、吸気ポート3a、3b、3cの吸気上流側)には、図示しない吸気マニホールドが接続される。
一方、各気筒の排気ポート4a、4b、4cは、その一端が燃焼室2付近で分岐壁6a、6b、6cによってそれぞれ二つに分岐されて燃焼室2に開口しており、他端はシリンダヘッド1内の気筒列方向のほぼ中央で集合(合流)した後にシリンダヘッド1の排気側端面1bに開口している。すなわち、気筒列方向の両端の排気ポート4a、4cが気筒列方向の中央の排気ポート4bに向かって形成されており、これら三つの排気ポート4a、4b、4cが排気ポート集合部7で集合して一つの排気ポート(以下、「出口側排気ポート」という)となってシリンダヘッド1の排気側端面1bに開口している。このシリンダヘッド1の排気側端面1bに排気管(図示省略)がガスケット(図示省略)等のシール部材を介してボルト締結によって接続される。なお、排気ポート集合部7から排気ポート出口が開口する排気側端面1bまでの部分は、シリンダヘッド(本体)側面1cから張り出して形成されている。
ここで、このような張り出し部分も排気熱を受けて高温となるから、基本的には、冷却水を流通させるウォータージャケットもこの張り出し部分に合わせて張り出すように形成する必要がある。
しかし、そのようにウォータージャケットを張り出させると、既述したように、ラジエータの大型化やシリンダヘッドの生産性の悪化を招いてしまうことになる。
そこで、本実施形態では、ラジエータの大型化やシリンダヘッドの生産性の悪化を招くことなく、上記張り出し部分、特に、ウォータージャケットから最も離れることになる排気側端面1b(排気ポート出口側)の温度上昇を抑制するため、以下のような特徴的な構成を採用する。
図2は図1のA部拡大図であり、図3は図2のB−B断面図である。
図2、3に示すように、本実施形態では、シリンダヘッド1の排気側端面1bに開口する排気ポート出口(開口部)の周囲に所定の深さdを有する溝8を設けて空気による断熱層を形成し、この溝8(すなわち、断熱層)の外側にガスケットを取り付けて排気管との間をシールするガスケットシール部9及び排気管を締結する(取り付ける)ボルトのメネジ部(すなわち、排気管の締結部)10を設けるようにする。
このように排気ポート出口に周囲に溝8を設けることにより、出口側排気ポートの壁面からガスケットシール部9及びメネジ部10までの温度勾配が大きくなって、ガスケットシール部9及びメネジ部10の温度を低減できる(温度上昇を抑制できる)。この結果、ガスケット9のへたりやボルト締結のゆるみ等が防止される。
そして、このように排気ポート出口の周囲に溝8を設けた上で、排気ポートを挟んで上下に二つのウォータージャケット11、12を形成し、この二つのウォータージャケット11、12がブランチ部の上下のみを覆うようにして、その張り出し量を最小限に抑えるようにする。これは、溝8を設けることによって、出口側排気ポートの壁面との間に空気による断熱層が形成されてガスケットシール部9やメネジ部(すなわち、排気管接続部)10の温度上昇を抑制できるからである。
以上のような構成を有する第1実施形態に係るシリンダヘッドによれば、次のような効果を有する。
すなわち、シリンダヘッド1の排気側端面1bに開口する排気ポート出口の周囲に溝8を設け、この溝8によって空気の断熱層を形成し、この断熱層の外側に排気管の締結(取付)部であるメネジ部10及び排気管との間のシール部であるガスケットシール部9を設けるようにしたので、シリンダヘッド1の排気側端面1b及びその近傍において、出口側排気ポートの壁面からメネジ部10及びガスケットシール部9までの温度勾配が大きくなり、メネジ部10及びガスケットシール部9の温度上昇を抑制することができる。なお、図4は、排気ポート出口近傍の等温線による温度分布の概略を示している。この図4に示すように、排気ポート出口の周囲に溝8を設けた場合(a)、溝8を設けない場合(b)に比べて、排気ポート出口近傍における温度が低くなる(温度上昇が抑制できる)ことが分かる。
この結果、ウォータージャケット11、12の排気側端面1b方向への張り出し量を最小限に抑制することが可能となり、冷却水受熱量の増加によるラジエータの大型化やシリンダヘッドの製造性(鋳造性)の悪化(中子挿入(組立)性、ガス抜け性及び砂残り等の悪化)を防止できる。
ここで、以上では、出口側排気ポートの軸方向においてウォータージャケット11、12と溝8とがオーバーラップしないようになっているが、図5(図3に対応する図である)に示すように、ウォータージャケット11、12のそれぞれと、溝8とを出口側排気ポートの軸方向と直交する上下方向にずらして形成し、出口側排気ポートの軸方向においてオーバーラップするようにしてもよいことはもちろんである。
また、以上では、排気ポート出口を取り囲むようにその周囲全体にわたって溝8が形成されているが、図6(図2に対応する図である)に示すように、溝8にリブ81等を設けて、シリンダヘッド1の排気側端面1bにおいて、溝8の内側の部分と外側の部分とが部分的に接続される構成としてもよい。このようにすれば、溝8を設けることによる剛性の低下を抑制し、排気ポート壁の薄肉化を図ることも可能となる。この結果、溝8による断熱層の効果をより向上できる。なお、この場合において、溝8は、少なくとも排気ポート出口から排気管の締結(取付)部であるメネジ部10までを最短で結ぶ直線L1〜L4と交差するように形成される。言い換えれば、溝8の内側と外側とを接続するリブ81を直線L1〜L4上に位置しないように設ける。これは、出口側排気ポート壁面からメネジ部10までの最短直線上に断熱層を確実に形成して、その間に温度勾配を効果的に持たせるためである。
さらに、以上では、溝8の深さdを一定にしているが、図7(図3に対応する図である)に示すように、シリンダヘッドの製造(鋳造)時に、排気ポートを形成するための中子の挿入性等にほとんど影響を与えないない位置にあるウォータージャケット(ここでは、下側ウォータージャケット12)を、影響を与える位置にあるウォータージャケット(ここでは、上側ウォータージャケット11)よりも排気側端面1b側に張り出させるようにして、これと対応する部分の溝8の深さを小さく(浅く)してもよい。このようにすれば、冷却水のよる冷却効果を最大限に発揮させることができる。なお、この場合においても、ラジエータの大型化を招くことのない範囲で下側ウォータージャケット12を張り出させるようにするのが好ましい。
次に、本発明の第2実施形態に係るシリンダヘッドを説明する。本実施形態に係るシリンダヘッドは、シリンダヘッドの排気側端面に接続される排気管の接続側端面に筒状部1が形成され、排気管を接続した際に、この筒状部の外周面と出口側排気ポートの内周面との間に形成される空間を断熱層とする点が上記第1実施形態と相違する。
図8(図3に対応する図である)は、第2実施形態に係るシリンダヘッドを示している。図8に示すように、本実施形態において、出口側排気ポートが、排気ポート出口(すなわち、シリンダヘッド1の排気側端面1b)から所定の深さDだけ他の部分よりも径方向寸法が大きい大径部を有する。一方、排気管15のシリンダヘッド1の排気側端面1bとの接続側端面には、その外径が出口側排気ポートの大径部の内径よりも小さい筒状部15aが形成される。そして、排気ポート出口から排気管15の筒状部15aを挿入して排気管15をシリンダヘッド1の排気側端面1bに接続した際に、筒状部15aの外周面と出口側排気ポートの内周面との間に形成される空間16を断熱層とする。なお、その他の構成については上記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
このようにすれば、シリンダヘッド1側では、出口側排気ポートを段付き孔状に形成すればよく、シリンダヘッド1の構造がより単純化できるため、シリンダヘッドの製造コストを低減しつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
ここで、図8に示す構成では、第1実施形態と同様、断熱層の外側にガスケットシール部9を設けているが、これに代えて、図9に示すように、排気管15の筒状部15aの先端面と出口側排気ポートの大径部の底面との間にシール部を設けるようにしてもよい。この場合には、例えば、筒状部15aの先端面と出口側排気ポートの大径部の底面との間にリング状シール部材17を配設する。このようにすれば、シリンダヘッド1とこれに接続される排気管15との間のシール部をウォータージャケット11、12に近づけることができ、シール部(及びシール部材)のへたりをより効果的に防止できる。また、排気管15を接続するためのシリンダヘッド1側のフランジ部と排気管15のフランジ部との間にシール部を設けなくてもよいため、両フランジ部をより小さくできる。これは、シリンダヘッド全体の小型化に寄与する。
また、以上では、排気管15に筒状部15aを一体形成した例を説明しているが、筒状部を独立に形成し、シリンダヘッド1の排気側端面1bと排気管15とを接続するための接続管としてもよい。このようにすれば、接続管の材料を任意に選択することができ、例えばスチール製とすることで耐熱性を向上させることができる。その結果、筒状部をより薄肉化して小型化を図ることも可能となる。
本発明の第1実施形態に係るシリンダヘッドを示す図である。 図1のA部拡大図である。 図2のB−B断面図である。 排気ポート出口近傍の等温線による温度分布の概略を示し、上記第1実施形態の効果を説明するための図である。 第1実施形態の変形例を示す図である。 第1実施形態の他の変形例を示す図である。 第1実施形態のさらに他の変形例を示す図である。 第2実施形態に係るシリンダヘッドを示す図である。 第2実施形態の変形例を示す図である。
符号の説明
1…シリンダヘッド、2…燃焼室、3a,b,c…吸気ポート、4a,b,c…排気ポート、7…排気ポート集合部、8…溝(断熱層)、9…ガスケットシール部、10…メネジ部、11…上側ウォータージャケット、12…下側ウォータージャケット、15…排気管、15a…筒状部、16…空間(断熱層)

Claims (6)

  1. 各気筒から延びる排気ポートを集合させて排気管に接続する構成のエンジンのシリンダヘッドにおいて、
    排気側端面に開口する排気ポート出口の周囲に空気による断熱層を形成し、この断熱層の外側に前記排気管の締結部及び前記排気管との間のシール部を設けたことを特徴とするエンジンのシリンダヘッド。
  2. 前記排気ポート出口の周囲に所定の深さを有する溝を設け、この溝によって前記断熱層を形成することを特徴とする請求項1記載のエンジンのシリンダヘッド。
  3. 前記排気ポート出口から筒状部材を挿入し、この筒状部材の外周面と前記排気ポートの内周面との間に形成される空間によって前記断熱層を形成することを特徴とする請求項1記載のエンジンのシリンダヘッド。
  4. 前記筒状部材は、前記接続管の端面に形成されていることを特徴とする請求項3記載のエンジンのシリンダヘッド。
  5. 前記排気ポートは、前記排気ポート出口から所定の深さだけその径が大きい大径部を有し、前記筒状部材の外周面と前記大径部の内周面との間に形成される空間により前記断熱層を形成するとともに、前記筒状部材の先端面と前記大径部と底面との間に前記シール部を設けたことを特徴とする請求項4記載のエンジンのシリンダヘッド。
  6. 前記断熱層は、少なくとも前記排気ポート出口から前記排気管の締結部までを最短で結ぶ直線と交差するように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のエンジンのシリンダヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015007373A (ja) * 2013-06-24 2015-01-15 トヨタ自動車株式会社 シリンダヘッド
JP2015117631A (ja) * 2013-12-18 2015-06-25 三菱自動車工業株式会社 シリンダヘッド構造
JP2015117660A (ja) * 2013-12-19 2015-06-25 三菱自動車工業株式会社 エンジンのシリンダヘッド
CN107100711A (zh) * 2017-04-14 2017-08-29 重庆长安汽车股份有限公司 一种发动机排气密封结构及发动机

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