JP2008265175A - 製本装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤溜へ適時的確に接着剤を補給することができる製本装置を提供する。
【解決手段】制御部65は、接着剤溜43における接着剤の残量測定操作において、T1温度センサ71による測定温度とT2温度センサ72による測定温度との温度差が所定値を超えるときに、接着剤の残量が補給の必要な量であると判断する。
【選択図】図4

Description

本発明は製本装置に関し、用紙束の一側縁に熱溶融させた固形の接着剤を塗布し、用紙束に表紙をくるみ製本する技術、および糊塗布のみを行う天のり製本に係るものである。
この種の製本装置としては、例えば以下に説明するものがある。
(全体構成)
図14〜図16において、製本装置1は、本体ケーシング2の内部に接着剤塗布手段をなす塗布ユニット3、脱臭ユニット4、表紙圧着手段をなす圧着ユニット5を配置しており、本体ケーシング2の上部に用紙束6を挟持する挟持手段をなすクランプ部7と、接着剤供給ユニット9のホッパー10とを配置しており、ホッパー10に熱可塑性樹脂からなる粒状のホットメルト接着剤を貯留する。
本体ケーシング2の前部にはクランプ部7の操作ノブ11と、用紙束6の表紙12(図22〜23参照)を配置する表紙台13と、製本操作の操作部14とを配置し、側部にメインスイッチ15を配置している。前部下方には前扉16を揺動開閉自在に配置し、前扉16の内側に製本した用紙束6を排出するシューター17(図22〜図23参照)を設けている。
操作部14には各種の情報を表示する液晶表示部18と、製本操作の開始を指示するスタートボタン19と、製本操作の終了を指示するストップ/電源切ボタン20と、天糊製本とくるみ製本を選択指示する選択ボタン21、22と、天糊製本とくるみ製本のどちらを初期設定とするかを切り替え指示する設定ボタン23を配置している。
(クランプ部)
図17〜図19に示すように、クランプ部7は前後一対の平行な前フレーム24、後フレーム25で支持して配置しており、本体ケーシング2の上部開口26から一部が外部へ突出する固定クランプ27と可動クランプ28を備え、固定クランプ27および可動クランプ28のそれぞれに用紙束保持部材29を取外し可能に設けている。
可動クランプ28を挟持開放する操作機構は、固定クランプ27に対して可動クランプ28を接近離間自在に保持するガイドシャフト30を可動クランプ28の両側位置に配置し、ガイドシャフト30の両端を前後のフレーム24、25に固定している。各ガイドシャフト30の側部にはそれぞれネジシャフト31を配置し、ネジシャフト31の両端を前後のフレーム24、25に軸心回りに回転自在に保持しており、ネジシャフト31に螺合してネジシャフト31の軸心方向に移動する保持部32を可動クランプ28に固定している。
双方のネジシャフト31には同期ベルト33を掛け渡しており、操作ノブ11のシャフト34と一方のネジシャフト31の間には伝達ベルト35を掛け渡している。操作機構は固定クランプ27と可動クランプ28の間に用紙束6を挟持した状態で固定クランプ27と可動クランプ28の相対位置(距離)に基づいて用紙束厚を検知する用紙束厚センサ36(詳細省略図21参照)を有している。
(塗布ユニット)
図19に示すように、塗布ユニット3は本体ケーシング2の前側に設けた走行ローラ38が前フレーム24のレール39を走行し、本体ケーシング2の後側に設けた案内部40が後フレーム25に設けたレールシャフト41を摺動することで、モーター等の駆動装置を有する塗布ユニット駆動装置42(詳細省略図21参照)によってレール39およびレールシャフト41に案内されながら前後フレーム24、25の軸心方向に往復駆動される。塗布ユニット3は待機位置ではクランプ部7の側端よりも外側に位置しており、最大移動位置において接着剤供給ユニット9に対応する。接着剤供給ユニット9はホッパー10に貯留する粒状の接着剤の所定量を塗布ユニット3に排出する。
塗布ユニット3は接着剤供給ユニット9から供給するホットメルト接着剤を貯留する接着剤溜43と、溶融した接着剤に一部が浸漬するように配置する塗布ローラ44と、塗布ローラ44を支持する回転軸45と、回転軸45を駆動する塗布ローラ回転モータ46と、固定部材47に装着した加熱手段としての電磁誘導コイル48とを有している。
接着剤溜43は容器本体49が熱伝導性に優れた非強磁性体であるアルミニウムからなり、底面に強磁性体の加熱板50を設けている。前フレーム24もしくは後フレーム25には接着剤溜43の各停止位置を検知する接着剤溜位置センサ51(詳細省略図21参照)を設けている。
(圧着ユニット)
図16および図20に示すように、圧着ユニット5はモーター等の駆動装置を有する圧着ユニット駆動装置52(詳細省略図21参照)によって上下、前後に移動する基部53と、基部53に固定した固定板54と、固定板54に固定配置した押え部55と、固定板54の上で押え部55に対して接近離間する可動板56と、可動板56を駆動するモーター等の駆動装置を有して表紙圧着駆動手段をなす可動板駆動装置57(詳細省略図21参照)との間に介装する圧着力制御装置58とを有しており、図23に示すように、表紙台13および可動シューター59が一体的に移動する。本体ケーシング2の内部には圧着ユニット5の各停止位置を検知する圧着ユニット位置センサ60(詳細省略図21参照)を設けている。
圧着力制御装置58は可動板56の一端に固定した固定ブロック61と、固定ブロック61で一端を支持する連結シャフト62と、連結シャフト62に軸心方向へ移動自在に装着し、固定ブロック61に対して接近離間する可動ブロック63と、固定ブロック61と可動ブロック63の間に介装して連結シャフト62に装着し、両者を離間する方向に付勢するスプリング64とを有する。脱臭ユニット4は塗布ユニット3の接着剤溜43や塗布ローラ44から揮発する接着剤を吸引してフィルターで吸着するものである。
(制御部)
図21に示すように、製本装置1は、製本操作を制御する制御部65、装置内部の雰囲気温度もしくは室内温度を測定する温度測定手段をなす温度センサ66を本体ケーシング2の内部に配置しており、制御部65に用紙束厚センサ36、接着剤溜位置センサ51、圧着ユニット位置センサ60、温度センサ66、操作部14、塗布ユニット駆動装置42、圧着ユニット駆動装置52、可動板駆動装置57、クランプ駆動装置37を接続している。
また、制御部65は用紙束6に対する接着剤の塗布を完了した後に経過時間を計測する経過時間計測手段をなすタイマー67と、タイマー67により計測した経過時間が挟持必要時間に達したときに操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」の表示を指示する信号を出力する信号出力手段をなす信号出力回路68を備えている。液晶表示部18は挟持必要時間に基づく情報を報知する報知手段をなすものであり、表示内容は種々のものが設定可能で、開放可能までの時間をカウントダウン表示した後に「取出して下さい」と表示することも可能である。また、報知手段は液晶表示部18に限らず、ブザーによって構成することも可能である。
信号出力回路68は操作ノブ11による駆動に代えてクランプ駆動装置37によって可動クランプ28を駆動する場合にはクランプ駆動装置37に用紙束6の開放操作を指示する信号を出力する。
挟持必要時間、圧着必要時間は接着剤の種類、用紙束6の厚み、接着剤の塗布量、使用環境の温度によって異なる。このため、挟持時間制御手段および圧着時間制御手段をなす制御部65は予め入力した使用接着剤毎のデータに基づいて、用紙束6の厚み、接着剤の塗布量、使用環境の温度を指標として挟持必要時間、圧着必要時間を選択設定する。
例えば、用紙束6の厚みが大きいほどに長く、接着剤の塗布量が多いほどに長く、使用環境の温度が高いほどに長くする。この挟持必要時間、圧着必要時間の選択設定に必要なデータは、用紙束の厚み6、接着剤の塗布量、使用環境の温度と挟持必要時間との相関を予め実験によって求め、得られたデータを制御部65に格納する。
温度を指標とする挟持必要時間、圧着必要時間の選択設定は製本装置1の設置初期時に温度センサ66で検知する温度を指標として固定設定するか、製本時の都度に温度センサ66で検知する温度を指標として挟持必要時間、圧着必要時間を選択設定する。
特開2004−209746号公報
以下に上記の製本装置における作用およびその課題を説明する。
(待機工程)
待機工程では、図22の(a)に示すように、初期状態において塗布ユニット3は待機位置にあり、電磁誘導コイル48の上方に接着剤溜43が対応している。次に、デフォルト値において天糊製本とくるみ製本の何れかに設定されている製本モードを、希望の製本モードに選択ボタン21、22の何れかをON操作することで切り替える。製本モードのデフォルト値は設定ボタン23の操作によって切り替える。
この状態でメインスイッチ15のON操作を受けると制御部65は、製本操作に先立って塗布ユニット3の電磁誘導コイル48に通電し、加熱板50を発熱させて接着剤溜43に貯留した接着剤を加熱して熱溶解させ、塗布ローラ回転モータ46で塗布ローラ44を回転させて待機状態となる。
(揃え工程)
次に、図22の(b)に示すように、スタートボタン19のON操作を受けると制御部65は圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5をクランプ部7の下方の上位の所定位置にまで上昇させ、圧着ユニット5の固定板54をクランプ部7の固定クランプ27および可動クランプ28の下端との間に所定間隙をあけて配置する。
この状態で、用紙束6を双方の用紙束保持部材29の間および固定クランプ27と可動クランプ28の間に挿入し、用紙束6の一側辺を固定板54で揃える。
(クランプ工程)
次に、操作ノブ11を回転操作し、シャフト34の回転力を伝達ベルト35を介してネジシャフト31に伝達し、同期ベルト33を介して双方のネジシャフト31を同期駆動し、ネジシャフト31に螺合する保持部32を移動させる。保持部32の移動に伴って可動クランプ28が固定クランプ27に接近し、用紙束6を可動クランプ28と固定クランプ27の間に挟持する。
(糊付け工程)
次に、図22の(c)に示すように、用紙束6の挟持が完了した後に、再度のスタートボタン19のON操作を受けると制御部65は圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を下位の所定位置まで降下させる。
くるみ製本を行う場合に制御部65は、表紙台13に表紙12を載置して再度のスタートボタン19のON操作を受けるまで待機して後に糊付け操作に入り、天糊製本を行う場合には再度のスタートボタン19のON操作を受けずに糊付け操作に入る。
この糊付け操作において制御部65は、塗布ユニット駆動装置42を駆動して塗布ユニット3をレール39およびレールシャフト41に沿って往復移動させながら、塗布ローラ44の回転によって接着剤溜43の接着剤を用紙束6の背に往路と復路の両方で塗布する。
このとき、用紙束厚センサ36によって検知した用紙束厚に応じて接着剤の塗布量を変更する。用紙束厚が厚い場合には塗布ローラ44を速く回転させることで塗布量を多くし、用紙束厚が薄い場合には塗布ローラ44を遅く回転させることで塗布量を少なくする。
(天糊製本工程)
天糊製本を行う場合には、制御部65は、図22の(d)に示すように塗布ユニット3が待機位置に戻った状態で、タイマー回路67で用紙束6に対する接着剤の塗布を完了した後の経過時間を計測する。このとき、図23の(c)に示すように、可動シューター59がシューター17に対応する位置まで圧着ユニット5が表紙台13および可動シューター59と一体的に後退している。
制御部65は温度センサ66で計測する温度を使用環境の温度条件として、予め格納したデータの中から挟持必要時間を選択設定し、検知した温度が基準温度より高い時は基準温度における基準挟持必要時間よりも挟持必要時間を長く設定し、検知した温度が基準温度より低い時は基準温度における基準挟持必要時間よりも挟持必要時間を短く設定する。また、挟持必要時間は用紙束6の厚みが大きいほどに長く、接着剤の塗布量が多いほどに長く設定する。
(排出工程)
制御部65は経過時間が挟持必要時間に達すると、信号出力回路68から操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」等の製本完了を通知する文言の表示を指示する信号を出力する。操作者は液晶表示部18に表示された製本完了の文言を確認後に、操作ノブ11を操作して可動クランプ28を固定クランプ27から離間させる。
この操作によって図23の(c)に示すように、製本された表紙12を伴う用紙束6がクランプ部7から落下し、可動シューター59およびシューター17を通して排出される。クランプ駆動装置37を設ける場合には、信号出力回路68の信号を受けてクランプ駆動装置37が可動クランプ28を移動させてクランプ部7を開放することで製本を排出する。
(くるみ製本工程)
くるみ製本を行う場合には、図22の(d)に示すように塗布ユニット3が待機位置に戻ると、制御部65は図22の(e)に示すように、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を上位の所定位置まで上昇させ、表紙台13に載せた表紙12を固定板54で用紙束6の背に押圧する。
次に、図22の(f)、図20の(a)、(b)に示すように、制御部65は可動板駆動装置57を駆動して可動板56を押え部55に向けて押圧し、可動板56と押え部55の間で表紙12および用紙束6を圧着して、図22の(g)に示すように製本する。
このとき、圧着ユニット駆動装置52の押圧力は可動ブロック63からスプリング64を介して固定ブロック61に伝わり、用紙束6の厚みにかかわらず可動板56の押圧力が等しくなる。
図23の(a)に示すように、制御部65は固定板54で用紙束6の背に表紙12を押圧し、可動板56と押え部55の間で表紙12および用紙束6を圧着する状態を継続し、タイマー回路67で用紙束6に対する接着剤の塗布を完了した後の経過時間を計測する。
制御部65は温度センサ66で計測する温度を使用環境の温度条件として、予め格納したデータの中から、接着剤の塗布を完了した後に表紙12の圧着状態を維持する圧着必要時間を選択設定する。この圧着必要時間はくるみ製本における表紙12の圧着時間であるが、前述した挟持必要時間を含む時間として設定し、検知した温度が基準温度より高い時は基準温度における基準圧着必要時間よりも圧着必要時間を長く設定し、検知した温度が基準温度より低い時は基準温度における基準圧着必要時間よりも圧着必要時間を短く設定する。また、圧着必要時間は用紙束6の厚みが大きいほどに長く、接着剤の塗布量が多いほどに長く設定する。
制御部65は経過時間が圧着必要時間に達すると、図23の(b)に示すように、可動板駆動装置57を駆動して可動板56を後退させて圧着状態を開放し、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を表紙台13および可動シューター59と一体的に下位の所定位置まで降下させ、続いて図23の(c)に示すように、圧着ユニット5を表紙台13および可動シューター59と一体的に所定位置まで後退させて可動シューター59をシューター17に対応させる。
(排出工程)
次に、制御部65は信号出力回路68から操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」等の製本完了を通知する文言の表示を指示する信号を出力する。
操作者は液晶表示部18に表示された製本完了の文言を確認後に、操作ノブ11を操作して可動クランプ28を固定クランプ27から離間させる。
この操作によって図23の(d)に示すように、製本された表紙12を伴う用紙束6がクランプ部7から落下し、可動シューター59およびシューター17を通して排出される。クランプ駆動装置37を設ける場合には、信号出力回路68の信号を受けてクランプ駆動装置37が可動クランプ28を移動させてクランプ部7を開放することで製本を排出する。
(待機工程の課題)
待機工程では、メインスイッチ15のON操作を受けると制御部65が、製本操作に先立って塗布ユニット3の電磁誘導コイル48に通電し、加熱板50を発熱させて接着剤溜43に貯留した接着剤を加熱して熱溶解させ、塗布ローラ回転モータ46で塗布ローラ44を回転させて待機状態となる。
ところで、接着剤溜43に貯留する接着剤(糊)の残量の計測は、接着剤という性状の制約から接着剤の液位を直接に測定することはできず、超音波やレーザ等の非接触の計測媒体を用いて行うことが求められる。しかし、超音波やレーザによる測定装置を用いるとコストが高くなり、維持管理に手間を要する問題がある。このため、安価に実施できる測定方法として接着剤溜43の複数個所において温度を測定し、その温度差によって接着剤溜43に貯留する接着剤(糊)の残量の大まかな推量を行なって接着剤を補給する必要があるか否かを判定している。
しかし、この方法では塗布ローラ44の回転や接着剤の加熱に対する応答性が鈍いことなど、ノイズとなる要素が多いので接着剤溜43に貯留する接着剤(糊)の残量を正確に計測することができなかった。
本発明は上記した課題を解決するものであり、接着剤溜へ適時的確に接着剤を補給することができる製本装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の製本装置は、用紙束を挟持する挟持手段と、挟持手段により挟持した用紙束の背に熱溶融させた接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、接着剤塗布手段を制御する制御手段を備え、接着剤塗布手段が塗布ユニットと塗布ユニットを用紙束の背に沿って移動させる塗布ユニット駆動装置とからなり、塗布ユニットが接着剤を貯留する接着剤溜と、接着剤溜の接着剤を加熱する加熱手段と、接着剤溜の底部側における接着剤の温度を測定するT1温度測定手段と、最高液位に相当する位置での接着剤溜の内部側における温度を測定するT2温度測定手段と、接着剤に一部が浸漬するように配置する塗布ローラと、塗布ローラを回転駆動する塗布ローラ回転モータを有するものであり、制御手段は、接着剤溜における接着剤の残量測定操作において、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度との温度差が所定値を超えるときに、接着剤の残量が補給の必要な量であると判断することを特徴とする。
また、残量測定操作は、塗布ローラが停止する状態で行い、好ましくは塗布ローラが停止した後の一定時間経過後に行なうことを特徴とする。
また、残量測定操作において、制御手段は、T2温度測定手段による測定温度が設定温度を超えるときに、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度に拘らず、接着剤の残量が補給の不要な量であると判断することを特徴とする。
以上のように本発明によれば、接着剤溜の底部側には接着剤の液位の増減に拘らず常に接着剤が滞留しており、その温度は基本的に接着剤の塗布温度に維持される。一方、接着剤溜の内部側において最高液位に相当する位置での温度は、接着剤溜での液位が最高液位から離間するほどに低下する。
したがって、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度との温度差が所定値を超える状態は、接着剤溜での液位が最高液位から十分に離間した状態にあると判断できる。よって、所定値を適切に設定することで、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度との温度差から接着剤の残量が補給の必要な量となっていると判断することができる。
また、残量測定操作は、塗布ローラが停止する状態で行い、好ましくは塗布ローラが停止した後の一定時間経過後に行なう。接着剤溜内の接着剤の液位は、溶融した状態でも接着剤の粘度が高いために塗布ローラの回転の影響を受けると変化する。このため、塗布ローラの回転によって接着剤溜内の接着剤を攪拌する状態で残量測定操作の温度測定を行なうと測定誤差が生じ易くなり、接着剤(糊)が接着剤溜内に十分に残っているにも拘らず、補給を必要とするほどに残量が少ないと判断したり、あるいは逆に接着剤溜内の接着剤(糊)の残量が僅かであるにも拘らず、補給が不要であるほどに残量が多いと判断したりする。よって、好ましくは塗布ローラが停止した後に一定時間経過後に残量測定操作の温度測定を行なうことが好ましい。
また、残量測定操作において、制御手段は、T2温度測定手段による測定温度が設定上限温度を超えるときに、接着剤の残量が補給の不要な量であると判断する。接着剤の加熱はヒーター等により接着剤溜を加熱して行なうが、接着剤の加熱に対する応答性は鈍いので加熱時にオバーシュート(過剰昇温)を起こし易い。つまり、接着剤溜内に接着剤が十分に残っているにも拘らず、接着剤の温度が設定値を超えて高温となることにより、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度との温度差が大きくなり、補給を必要とするほどに残量が少ないと判断することになる。
しかし、この状態においても接着剤溜内に接着剤が十分に残っている場合には、T2温度測定手段で測定する温度、つまり最高液位に相当する位置での接着剤溜の内部側における温度が十分に高い温度を維持している。したがって、このT2温度測定手段の測定温度が設定温度を超える場合には、無条件で接着剤が十分に残っていると判断する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態に係る製本装置は、その基本構成において先に図14〜図23において説明したものを同様に有しており、図14〜図23を参照することにより同じ構成要素には同符号を付してその詳細な説明を省略する。
(全体構成)
図1において、製本装置1は、本体ケーシング2の内部に接着剤塗布手段をなす塗布ユニット3(図6参照)、表紙圧着手段をなす圧着ユニット5およびシューター17を配置しており、本体ケーシング2の上部に用紙束6を挟持する挟持手段をなすクランプ部7を配置している。本体ケーシング2の前部にはクランプ部7の操作ノブ11(図14参照)と、用紙束6の表紙12(図11〜13参照)を配置する表紙台13とを配置している。
(クランプ部)
図17に示すように、クランプ部7は前後一対の平行な前フレーム24と後フレーム25で支持して配置しており、本体ケーシング2の上部開口26から一部が外部へ突出する固定クランプ27と可動クランプ28を備え、固定クランプ27および可動クランプ28のそれぞれに用紙束保持部材29を取外し可能に設けている。可動クランプ28を挟持開放する操作機構は、図17を参照することで詳細な説明を省略する。
(塗布ユニット)
図19に示すように、塗布ユニット3はホットメルト接着剤を貯留する接着剤溜43と、溶融した接着剤に一部が浸漬するように配置する塗布ローラ44と、塗布ローラ44を支持する回転軸45と、回転軸45を駆動する塗布ローラ回転モータ46と、固定部材47に装着した加熱手段としての電磁誘導コイル48と、接着剤溜43の底部側、ここでは
底近傍位置における接着剤温度を測定するT1温度測定手段をなすT1温度センサ71(図4参照)、および最高液位に相当する位置での接着剤溜43の内部側における温度を測定するT2温度測定手段をなすT2温度センサ72(図4参照)と、接着剤溜43の外部側、ここでは接着剤溜43の外側で加熱板50の底近傍での接着剤溜43の温度を測定するT3温度センサ73(図4参照)とを有している。
接着剤溜43は容器本体49が熱伝導性に優れた非強磁性体であるアルミニウムからなり、底面に強磁性体の加熱板50を設けている。塗布ユニット3の他の構成は、図19に示したものと同様であり、詳細な説明を省略する。
(圧着ユニット)
図1に示すように、圧着ユニット5はモーター等の駆動装置を有する圧着ユニット駆動装置52によって上下、前後に移動する基部53と、基部53に固定した固定板54と、固定板54に固定配置した押え部55と、固定板54の上で押え部55に対して接近離間する可動板56と、可動板56を駆動するボールネジ機構の可動板駆動装置57と、可動板56と可動板駆動装置57の間に介装する圧着力制御装置58(図20を参照)を有しており、表紙台13および可動シューター59が一体的に移動する。本体ケーシング2の内部には圧着ユニット5の各停止位置を検知する圧着ユニット位置センサ60(詳細省略図21参照)を設けている。圧着力制御装置58は図20を参照することで詳細な説明を省略する。
(制御部)
図4に示すように、製本装置1は、製本操作を制御する制御部65、装置内部の雰囲気温度もしくは室内温度を測定する温度測定手段をなす温度センサ66を本体ケーシング2の内部に配置しており、制御部65に用紙束厚センサ36、接着剤溜位置センサ51、圧着ユニット位置センサ60、温度センサ66、操作部14、塗布ユニット駆動装置42、圧着ユニット駆動装置52、可動板駆動装置57、クランプ駆動装置37、T1温度センサ71、T2温度センサ72およびT3温度センサ73を接続している。
また、制御部65は用紙束6に対する接着剤の塗布を完了した後に経過時間を計測する経過時間計測手段をなすタイマー67と、タイマー67により計測した経過時間が挟持必要時間に達したときに操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」の表示を指示する信号を出力する信号出力手段をなす信号出力回路68を備えている。
信号出力回路68は操作ノブ11による駆動に代えてクランプ駆動装置37によって可動クランプ28を駆動する場合にはクランプ駆動装置37に用紙束6の開放操作を指示する信号を出力する。
以下に上記の製本装置における作用を説明する。
(待機工程)
待機工程では、図1および図11の(a)に示すように、初期状態において塗布ユニット3は待機位置にあり、電磁誘導コイル48の上方に接着剤溜43が対応している。図2および図3に示すように、制御部65はメインスイッチ15のON操作を受けると、製本操作に先立ってウォームアップ処理(S1)を行う。
このウォームアップ処理(S1)では、塗布ユニット3の電磁誘導コイル48に通電し、加熱板50を発熱させて接着剤溜43に貯留した接着剤を加熱して熱溶解させ、接着剤溜43の接着剤を塗布に適する所定の塗布温度、ここでは175℃に昇温させる。
このウォームアップ処理(S1)では、はじめに接着剤溜43における接着剤(糊)の残量の検知を糊残量測定操作により行い(S2)、接着剤(糊)の補給が必要か否かを判断する(S3)。
この糊残量測定操作(S2)は、T1温度センサ71による測定温度とT2温度センサ72による測定温度との温度差が所定値、ここでは30℃を超えるときに、接着剤の残量が補給の必要な量であると判断する。
接着剤溜43の底部側には接着剤の液位の増減に拘らず常に接着剤が滞留しており、その温度は基本的に接着剤の塗布温度に維持される。一方、接着剤溜43の内部側において最高液位に相当する位置での温度は、接着剤溜43での液位が最高液位から離間するほどに低下する。したがって、T1温度センサ71による測定温度とT2温度センサ72による測定温度との温度差が所定値30℃を超える状態は、接着剤溜43での液位が最高液位から十分に離間した状態にあると判断できる。よって、温度差の所定値を適切に設定することで、T1温度センサ71による測定温度とT2温度センサ72による測定温度との温度差から接着剤の残量が補給の必要な量となっていると判断することができる。
また、残量測定操作(S2)は、塗布ローラ44が停止する状態で行い、好ましくは塗布ローラ44が停止した後の一定時間経過後、ここでは3秒経過した後に行なう。接着剤溜43の内部の接着剤の液位は、溶融した状態でも接着剤の粘度が高いために塗布ローラ44の回転の影響を受けると変化する。このため、塗布ローラ44の回転によって接着剤溜43の内部の接着剤を攪拌する状態で残量測定操作(S2)の温度測定を行なうと測定誤差が生じ易くなり、接着剤(糊)が接着剤溜内に十分に残っているにも拘らず、補給を必要とするほどに残量が少ないと判断したり、あるいは逆に接着剤溜内の接着剤(糊)の残量が僅かであるにも拘らず、補給が不要であるほどに残量が多いと判断したりする。よって、好ましくは塗布ローラ44が停止した後の一定時間経過後に残量測定操作の温度測定を行なうことが好ましい。
ただし、制御部65は、T2温度センサ72による測定温度が設定温度、ここでは160℃を超えるときに、前述の温度差の如何に拘らず、接着剤の残量が補給の不要な量であると判断する。接着剤の加熱に対する応答性は鈍いので加熱時にオバーシュート(過剰昇温)を起こし易い。つまり、接着剤溜43の内部に接着剤が十分に残っているにも拘らず、接着剤の温度が設定値(175〜180℃)を超えて高温となることにより、T1温度センサ71による測定温度とT2温度センサ72による測定温度との温度差が大きくなり、補給を必要とするほどに残量が少ないと判断することになる。
しかし、この状態においても接着剤溜43の内部に接着剤が十分に残っている場合には、T2温度センサ72で測定する温度、つまり最高液位に相当する位置での接着剤溜43の内部側における温度が十分に高い温度を維持している。したがって、このT2温度センサ72の測定温度が設定温度160℃を超える場合には、無条件で接着剤が十分に残っていると判断する。
そして、図3に示すように、接着剤の補給が必要であるか否かを判断し(S3)、補給しない場合はT1温度センサ71で測定した接着剤の温度が塗布温度175℃以上であるか否かを判断し(S4)、接着剤の温度が塗布温度175℃以上である場合には、T3温度センサ73で測定する接着剤溜43の温度を175℃に維持する制御を行ない、接着剤の温度が175℃未満である場合は現在の接着剤の温度がどのウォームアップ温度域にあるかを判断する。
ウォームアップ処理(S1)では、塗布温度に達するまでの中間温度域に複数のウォームアップ温度域を設定している。ここでは、第1のウォームアップ温度域が15℃未満、第2のウォームアップ温度域が15℃以上100℃未満、第3のウォームアップ温度域が100℃以上165℃未満、第4のウォームアップ温度域が165℃以上175℃未満である。
また、各ウォームアップ温度域毎に接着剤溜43の目標温度を設定している。第1のウォームアップ温度域は製本装置の周囲の環境が低温環境である場合を想定するものであって目標温度が255℃である。第2のウォームアップ温度域は電源投入直後を想定するものであって目標温度が245℃である。第3のウォームアップ温度域はかなり温まっている状態を想定するものであって目標温度が225℃である。第4のウォームアップ温度域は製本操作において接着剤溜43が電磁誘導コイル48から離れたことで僅かに温度が低下した場合を想定するものであって目標温度が195℃である。また、固形の接着剤を補給した後の操作のために、第5のウォームアップ温度域として接着剤の温度に拘らず目標温度として225℃を設定する。
そして、図3に示すように、接着剤の温度が175℃未満である場合は現在の接着剤の温度がどのウォームアップ温度域にあるかを判断するとともに、相当するウォームアップ温度域の目標温度を接着剤溜43の目標温度として設定し、T3温度センサ73で測定する接着剤溜43の温度が目標温度を維持するように電磁誘導コイル48を制御する。
具体的には、第1のウォームアップ温度域であればT3温度センサ73で測定する接着剤溜43の温度が255℃となるまで電磁誘導コイル48で過熱し、以降接着剤溜43がこの温度を保つように電磁誘導コイル48を制御し、T1温度センサ71で測定する接着剤の温度が塗布温度175℃になるのを待つ。
第2のウォームアップ温度域であればT3温度センサ73で測定する接着剤溜43の温度が245℃となるまで電磁誘導コイル48で過熱し、以降接着剤溜43がこの温度を保つように電磁誘導コイル48を制御し、T1温度センサ71で測定する接着剤の温度が塗布温度175℃になるのを待つ。
第3のウォームアップ温度域であればT3温度センサ73で測定する接着剤溜43の温度が225℃となるまで電磁誘導コイル48で過熱し、以降接着剤溜43がこの温度を保つように電磁誘導コイル48を制御し、T1温度センサ71で測定する接着剤の温度が塗布温度175℃になるのを待つ。
第4のウォームアップ温度域であればT3温度センサ73で測定する接着剤溜43の温度が195℃となるまで電磁誘導コイル48で過熱し、以降接着剤溜43がこの温度を保つように電磁誘導コイル48を制御し、T1温度センサ71で測定する接着剤の温度が塗布温度175℃になるのを待つ。
T1温度センサ71で測定した接着剤の温度が塗布温度175℃以上であるか否かを判断し(S6)、接着剤の温度が塗布温度175℃以上となった時点で接着剤溜43の温度を175℃に維持する制御を行なう(S7)。この制御では、T1温度センサ71の温度とT3温度センサ73の温度が175℃を下回った時に電磁誘導コイル48で加熱し、T1温度センサ71の温度とT3温度センサ73の温度の何れか一方が180℃を上回った時に電磁誘導コイル48による加熱を停止する。この制御を行なって15秒の待ち時間が経過(S8)した後に待機状態となる。
以上のように、加熱に対する応答性が敏感な接着剤溜43の温度を指標として電磁誘導コイル48を制御することにより、加熱に対する応答性が鈍い接着剤の過熱による劣化を抑制しつつ、塗布温度にまで昇温させることができる。しかも、接着剤の温度に応じて接着剤溜43の目標温度を設定し、接着剤の温度が高いほどに接着剤溜43の目標温度を低い値に設定することで、接着剤の温度が低い場合には加熱量を多くして昇温に必要な時間を短縮し、接着剤の温度が高い場合には加熱量を少なくして過熱を防止して接着剤の劣化を抑制する。
次に、制御部65は、接着剤溜43に接着剤を補給したときに(S9)、無条件で塗布ローラ44の回転による攪拌操作を行う。これは固形の接着剤を補給すると、固形の接着剤が溶融するまでの挙動は非常に不安定となり易いためであり、接着剤を補給した後は、第5のウォームアップ温度域として接着剤の温度に拘らず接着剤溜43の温度が225℃となるまで電磁誘導コイル48で加熱し(S10)、以降接着剤溜43がこの温度を保つように電磁誘導コイル48を制御し、T1温度センサ71で測定する接着剤の温度が塗布温度175℃になるのを待つ。
接着剤の温度が塗布温度175℃以上となった時点で接着剤溜43の温度を175℃に維持する制御を行なう(S11)。この制御では、T1温度センサ71の温度とT3温度センサ73の温度が175℃を下回った時に電磁誘導コイル48で加熱し、T1温度センサ71の温度とT3温度センサ73の温度の何れか一方が180℃を上回った時に電磁誘導コイル48による加熱を停止する。この制御を行なって30秒の待ち時間が経過(S12)した後に待機状態となる。
この待機状態において、塗布ローラ44は、例えば10秒間回転し、10秒間停止する動作を繰返しながら、無操作時間が設定値の10分を経過するか否かを計測する(S13)。そして、無操作時間が設定値の10分を経過しない間にスタートボタン19のON操作(S14)を受けると制御部65は製本操作(S15)に入る。
無操作時間が設定値の10分を経過すると、接着剤溜43の温度を150℃に維持する制御を行なう(S16)。そして、この状態が設定値の20分を経過するか否かを計測し(S17)(S18)、20分を経過した場合はヒータOFF状態とするために電磁誘導コイル48への通電を停止し、脱臭ファンON継続状態とするために脱臭ユニット4の脱臭ファンの運転を継続する(S19)。
この状態が設定値の20分を経過するか否かを計測し(S20)(S21)、この状態が設定値の20分を経過した場合は自動電源OFFの状態(S22)となり、制御を終了する。
製本操作(S15)に入ると、制御部65は圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5をクランプ部7の下方の上位の所定位置にまで上昇させ、圧着ユニット5の固定板54をクランプ部7の固定クランプ27および可動クランプ28の下端との間に所定間隙をあけて配置するとともに、圧着ユニット5の押え部55を固定クランプ27よりも1mm程度後退した位置に配置する。
(揃え工程)
次に、図5および図11の(b)に示すように、用紙束6を双方の用紙束保持部材29の間および固定クランプ27と可動クランプ28の間に挿入し、用紙束6の一側辺を固定板54で揃える。
(クランプ工程)
次に、操作ノブ11を回転操作し、シャフト34の回転力を伝達ベルト35介してネジシャフト31に伝達し、同期ベルト33を介して双方のネジシャフト31を同期駆動し、ネジシャフト31に螺合する保持部32を移動させる。保持部32の移動に伴って可動クランプ28が固定クランプ27に接近し、用紙束6を可動クランプ28と固定クランプ27の間に挟持する。
このとき、固定クランプ27と可動クランプ28が相対向する側に湾曲しており、固定クランプ27と可動クランプ28との距離が双方の中央位置Pで最も狭くなるように反り量が設定されているので、ネジシャフト31に螺合する保持部32で可動クランプ28の両端を押圧することで、可動クランプ28および固定クランプ27の中央部に十分な押圧力が作用し、用紙束6を揃えた状に乱れることなく保持できる。
用紙束厚センサ36は、固定クランプ27と可動クランプ28の間に用紙束6を挟持した状態で、固定クランプ27と可動クランプ28の相対位置(距離)に基づいて用紙束厚を検知する。
(糊付け工程)
次に、図6に示すように、用紙束6の挟持が完了した後に、再度のスタートボタン19のON操作を受けると制御部65は圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を下位の所定位置まで降下させる。
くるみ製本を行う場合に制御部65は、表紙台13に表紙12を載置して再度のスタートボタン19のON操作を受けるまで待機して後に糊付け操作に入り、天糊製本を行う場合には再度のスタートボタン19のON操作を受けずに糊付け操作に入る。
(天糊製本の糊付け工程)
天糊製本において糊付けを行なう場合に、制御部65は、塗布ユニット駆動装置42を駆動して塗布ユニット3をレール39およびレールシャフト41に沿って往復移動させながら、塗布ローラ44の回転によって接着剤溜43の接着剤を用紙束6の背に往路と復路の両方で塗布する。天糊製本における排出工程は先に説明したものと同様であり、詳細な説明は省略する。
(くるみ製本の糊付け工程)
くるみ製本において糊付けを行なう場合に、制御部65は、表紙台13に表紙12を載置して再度のスタートボタン19のON操作を受けると、図7および図11の(c)に示すように、糊付け操作に入る。
この糊付け操作において制御部65は、塗布ユニット駆動装置42を駆動して塗布ユニット3をレール39およびレールシャフト41に沿って往復移動させながら、塗布ローラ44の回転によって接着剤溜43の接着剤を用紙束6の背に往路と復路の両方で塗布する。
(くるみ製本工程)
図11の(d)に示すように塗布ユニット3が待機位置に戻ると、図12の(a)に示すように、制御部65は、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を上昇させる。このとき、押え部55と可動板56とを用紙束6と当接しないセット位置に配置した状態で、接着剤Sを塗布した用紙束6の背に固定板54を接近させる。
さらに、制御部65は、図8および図12の(b)に示すように、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を上位の所定位置まで上昇させて接着剤Sを塗布した用紙束6の背に対して固定板54を対向配置し、表紙台13に載せた表紙12を固定板54で用紙束6の背に押圧する。
この操作において、セット位置にある押え部55と可動板56は用紙束6の両側のノドの部分からは離間した状態にあり、表紙12が用紙束6の両側のノドの部分から離れているので、接着剤Sを塗布した用紙束6の背に対して固定板54を対向配置する際に、表紙12を介して固定板54に押圧される接着剤Sはその広がりを阻害されることなく、用紙束6の両側において表紙12の上に広がる。
上述の操作において、制御部65は、用紙束厚検出手段をなす用紙束厚センサ36で検出した用紙束6の厚みに応じて用紙束6の背に対する固定板54の位置を変更調整する。この用紙束6の厚みの識別は、少なくとも2段階以上の多段階的に区分範囲を設定して行うが、設定する区分範囲の幅を微小にすれば、実質的に連続した厚みの識別が可能であり、用紙束厚センサ36の検出値を直接に利用すれば全く連続した厚みの識別が可能である。
例えば、用紙束6の厚みに2段階の区分範囲を設定し、初期設定において圧着ユニット5の上位の所定位置における固定板54の上昇位置(基準位置)が用紙束6の厚みが中間値より大きい区分範囲に対応するように設定されている場合に、用紙束厚センサ36で検出した用紙束6の厚みが中間値より小さい区分範囲であると識別した場合には、固定板54の上昇位置を基準位置よりも低くい位置に変更調整することで、用紙束6の背および接着剤Sに対する押圧力を弱め、用紙束6の撓みを防止する。
次に、制御部65は押え部55と可動板56とを用紙束6および表紙12を介して対向するセット位置から相互に接近させる。押え部55の接近は圧着ユニット駆動装置52による圧着ユニット5の移動によって行い、可動板56の接近は可動板駆動装置57による可動板56の移動によって行なう。
この際に、図13の(a)に示すように、制御部65は、押え部55の移動開始前に可動板駆動装置57を駆動して可動板56を押え部55に向けて移動させ、可動板56を圧着開始位置に配置する。その後、図9および図13の(b)に示すように、押え部55と可動板56とを固定クランプ27および可動クランプ28と面一となる位置まで同時に相互に接近させ、押え部55と可動板56とで用紙束6の両側のノドに表紙12を圧着することで、表紙12の上に広がった接着剤Sおよび先に糊付け工程で用紙束6のノドに塗布した接着剤Sが用紙束6のノドに押し広げられて表紙12がノドに確実に接着される。
次に、制御部65は、可動板56と押え部55の間で表紙12および用紙束6を圧着する状態を継続しつつ、タイマー回路67で用紙束6に対する接着剤の塗布を完了した後の経過時間を計測し、経過時間が圧着必要時間に達すると、図10に示すように、可動板駆動装置57を駆動して可動板56を後退させて圧着状態を開放し、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を表紙台13および可動シューター59と一体的に下位の所定位置まで降下させ、続いて圧着ユニット5を表紙台13および可動シューター59と一体的に所定位置まで後退させて可動シューター59をシューター17に対応させる。
(排出工程)
次に、制御部65は信号出力回路68から操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」等の製本完了を通知する文言の表示を指示する信号を出力する。排出操作は先に図23において説明したものと同様であり、詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態における製本装置を示す断面図 同塗布ユニットの待機工程の制御手順を示すフローチャート図 同塗布ユニットの待機工程の制御手順を示すフローチャート図 同製本装置の構成を示すブロック図 同製本装置の揃え工程を示す断面図 同製本装置の糊付け工程を示す断面図 同製本装置の糊付け工程を示す断面図 同製本装置のくるみ製本工程を示す断面図 同製本装置のくるみ製本工程を示す断面図 同製本装置のくるみ製本工程を示す断面図 同製本装置の製本動作を説明する模式図 同製本装置の製本動作を説明する模式図 同製本装置の製本動作を説明する模式図 従来の製本装置を示す斜視図 同製本装置の正面図 同製本装置の側面図 同製本装置のクランプ部を示す平面図 同製本装置のクランプ部を示す正面図 同製本装置の塗布ユニットを示す側面図 同製本装置の圧着ユニットの側面図 同製本装置の構成を示すブロック図 同製本装置の製本動作を説明する模式図 同製本装置の製本を排出する動作を説明する模式図
符号の説明
1 製本装置
2 本体ケーシング
3 塗布ユニット
4 脱臭ユニット
5 圧着ユニット
6 用紙束
7 クランプ部
8 ホットメルト接着剤
9 接着剤供給ユニット
10 ホッパー
11 操作ノブ
12 表紙
13 表紙台
14 操作部
15 メインスイッチ
16 前扉
17 シューター
18 液晶表示部
19 スタートボタン
20 ストップ/電源切ボタン
21、22 選択ボタン
23 設定ボタン
24 前フレーム
25 後フレーム
26 上部開口
27 固定クランプ
28 可動クランプ
29 用紙束保持部材
30 ガイドシャフト
31 ネジシャフト
32 保持部
33 同期ベルト
34 シャフト
35 伝達ベルト
36 用紙束厚センサ
37 クランプ駆動装置
38 走行ローラ
39 レール
40 案内部
41 レールシャフト
42 塗布ユニット駆動装置
43 接着剤溜
44 塗布ローラ
45 回転軸
46 塗布ローラ回転モータ
47 固定部材
48 電磁誘導コイル
49 容器本体
50 加熱板
51 接着剤溜位置センサ
52 圧着ユニット駆動装置
53 基部
54 固定板
57 可動板駆動装置
58 圧着力制御装置
59 可動シューター
60 圧着ユニット位置センサ
61 固定ブロック
62 連結シャフト
63 可動ブロック
64 スプリング
65 制御部
66 温度センサ
67 タイマー回路
68 信号出力回路
71 T1温度センサ
72 T2温度センサ
73 T3温度センサ

Claims (3)

  1. 用紙束を挟持する挟持手段と、挟持手段により挟持した用紙束の背に熱溶融させた接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、接着剤塗布手段を制御する制御手段を備え、接着剤塗布手段が塗布ユニットと塗布ユニットを用紙束の背に沿って移動させる塗布ユニット駆動装置とからなり、塗布ユニットが接着剤を貯留する接着剤溜と、接着剤溜の接着剤を加熱する加熱手段と、接着剤溜の底部側における接着剤の温度を測定するT1温度測定手段と、最高液位に相当する位置での接着剤溜の内部側における温度を測定するT2温度測定手段と、接着剤に一部が浸漬するように配置する塗布ローラと、塗布ローラを回転駆動する塗布ローラ回転モータを有するものであり、制御手段は、接着剤溜における接着剤の残量測定操作において、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度との温度差が所定値を超えるときに、接着剤の残量が補給の必要な量であると判断することを特徴とする製本装置。
  2. 残量測定操作は、塗布ローラが停止する状態で行い、好ましくは塗布ローラが停止した後の一定時間経過後に行なうことを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
  3. 残量測定操作において、制御手段は、T2温度測定手段による測定温度が設定温度を超えるときに、T1温度測定手段による測定温度とT2温度測定手段による測定温度に拘らず、接着剤の残量が補給の不要な量であると判断することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
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