JP2008265087A - 流体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体噴射ヘッドを取り外すことなく、ノズル開口の目詰まりの原因を調べることができる流体噴射装置を提供する。
【解決手段】プリンタは、ノズル形成面に形成されたノズル開口からインクを噴射する記録ヘッドと、ノズル形成面に対して相対移動可能に構成されたマイクロスコープ42と、マイクロスコープ42をノズル形成面に対して相対移動させるための移動機構としての駆動モータ28、リードスクリュ30及び移動部材34を備えた。
【選択図】図3
【解決手段】プリンタは、ノズル形成面に形成されたノズル開口からインクを噴射する記録ヘッドと、ノズル形成面に対して相対移動可能に構成されたマイクロスコープ42と、マイクロスコープ42をノズル形成面に対して相対移動させるための移動機構としての駆動モータ28、リードスクリュ30及び移動部材34を備えた。
【選択図】図3
Description
本発明は、ノズル開口から流体を噴射する流体噴射ヘッドを有する流体噴射装置に関する。
流体噴射ヘッドに形成された複数のノズルから流体を噴射する流体噴射装置として、例えば、インクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う)が知られている。こうしたプリンタにおいては、ノズル内のインクが増粘して生じる目詰まりを予防・修復するために、各種のメンテナンス動作を行うメンテナンスユニットが装備されているのが一般的である。
こうしたメンテナンスユニットには、その構成の一部として流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド内のインクを吸引するための吸引機構や、ノズル形成面を払拭するワイパ機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
特開2003−154672号公報
従来、このようなメンテナンスユニットを用いて各種のメンテナンス動作を行っても目詰まりが解消されない場合には、その原因を確認するために、記録ヘッドをプリンタ本体から取り外してノズル形成面を視認していた。そして、視認の結果、記録ヘッドにおける不具合が解消可能であればその原因を取り除いた後、再度記録ヘッドをプリンタ本体に取り付けるようにしていた。例えば、インクがノズル付近に固着していた場合、洗浄液を染み込ませた綿棒で固着インクを除去するようにしていた。一方、記録ヘッドを視認しても見た目で解消可能な不具合がなければ、それは記録ヘッド内部の不具合であると判断できるため、記録ヘッドを交換し、その交換した新たな記録ヘッドを、再度、プリンタ本体に取り付けていた。
しかしながら、記録ヘッドを精度良くプリンタに取り付けるには、位置の調整に非常に時間がかかってしまうので、解消可能な不具合のときに記録ヘッドを取り外すのは無駄な時間を費やすという問題があった。
なお、上記インクジェット式プリンタに限らず、ノズル開口から流体を噴射する流体噴射ヘッドを有する流体噴射装置においては、こうした実情も概ね共通したものとなっている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体噴射ヘッドを取り外すことなく、ノズル開口の目詰まりの原因を調べることができる流体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の流体噴射装置は、ノズル形成面に形成されたノズル開口から流体を噴射する流体噴射ヘッドと、前記ノズル形成面に対して相対移動可能に構成されたノズル形成面視認装置と、該ノズル形成面視認装置を前記ノズル形成面に対して相対移動させるための移動機構とを備えた。
この構成によれば、ノズル形成面視認装置を使用してノズル形成面を視認することにより、流体噴射ヘッドを流体噴射装置から取り外すことなく、簡便にノズル開口の目詰まりの原因を調べることができるため、流体噴射ヘッドの取り外し及び取り付けにかかる時間を抑制することができる。そして、ノズル形成面視認装置がノズル形成面に対して相対移動されることにより、ノズル形成面視認装置によって視認可能な視野を変化させることができる。
また、本発明の流体噴射装置において、前記移動機構によって前記ノズル形成面に沿う払拭方向へ移動される途中で前記ノズル形成面に摺接するワイパ部材を更に備え、前記ノズル形成面視認装置は、前記移動機構によって、前記ノズル形成面と対向する視認位置と、該視認位置から離間した非視認位置との間で移動される。
この構成によれば、ノズル形成面を払拭するワイパ部材とノズル形成面視認装置とが共通の移動機構によって移動されるため、このワイパ部材を備える流体噴射装置にノズル形成面視認装置を備える場合には、新たに移動機構を備える必要がない。また、ワイパ部材がノズル形成面に摺接する際には、移動機構によってノズル形成面視認装置を非視認位置に移動させることにより、ワイパ部材のじゃまにならない位置に退避させることができる。
また、本発明の流体噴射装置において、前記移動機構は、前記ワイパ部材を支持するとともに、駆動源から伝達される駆動力に基づいて前記払拭方向に沿って往復移動可能な第1の移動部材と、前記ノズル形成面視認装置を支持するとともに、前記駆動源から伝達される駆動力に基づいて前記払拭方向に沿って往復移動可能な第2の移動部材とを有する。
この構成によれば、ワイパ部材を支持する第1の移動部材とノズル形成面視認装置を支持する第2の移動部材とが同じ方向に沿って移動するため、ワイパ部材及びノズル形成面視認装置の移動に必要なスペースを小さく抑えることができる。また、ノズル形成面視認装置が第2の移動部材とともに移動されることにより、ノズル形成面視認装置によって視認可能な視野を変化させることができる。
また、本発明の流体噴射装置において、前記第2の移動部材は、前記第1の移動部材が前記ノズル形成面に前記ワイパ部材を摺接させて前記払拭方向へ移動しているときには、該第1の移動部材よりも前記払拭方向の後方で前記非視認位置に位置している。
この構成によれば、第1の移動部材に支持されたワイパ部材がノズル形成面を払拭しているとき、ノズル形成面視認装置はノズル形成面に撓み変形しつつ摺接して払拭動作しているワイパ部材よりも払拭方向の後方に位置している。そのため、第1の移動部材の払拭方向への移動に伴いワイパ部材がノズル形成面を払拭し終わって撓み変形した形状から元の形状に弾性復帰することにより、そのワイパ部材に付着している流体が払拭方向の前方に向けて飛び散った場合でも、そのように飛散した流体でノズル形成面視認装置が汚れることを回避できる。
また、本発明の流体噴射装置において、前記流体噴射ヘッドは前記払拭方向と交差する方向に移動可能に構成されている。
この構成によれば、流体噴射ヘッドが払拭方向と交差する方向に移動可能に構成されているため、流体噴射ヘッドを払拭方向と交差する方向へ移動させることにより、ノズル形成面視認装置によって視認可能な視野を変化させることができる。
この構成によれば、流体噴射ヘッドが払拭方向と交差する方向に移動可能に構成されているため、流体噴射ヘッドを払拭方向と交差する方向へ移動させることにより、ノズル形成面視認装置によって視認可能な視野を変化させることができる。
また、本発明の流体噴射装置において前記ノズル形成面視認装置は前記ノズル形成面を撮像して映像信号として出力するマイクロスコープを有し、前記映像信号を映像として再現するモニタを更に備えた。
この構成によれば、ノズル形成面視認装置はマイクロスコープを有するため、ノズル形成面を拡大して視認することができる。また、マイクロスコープは撮影した画像を映像信号として出力するため、例えばモニタを流体噴射装置の外面側に配置することにより、ノズル形成面を見やすい位置で簡便に視認することができる。
また、本発明の流体噴射装置は前記流体噴射ヘッドを複数備えた。
この構成によれば、複数の流体噴射ヘッドを精度よく配置する必要があり、各流体噴射ヘッドの位置の調整には特に時間がかかってしまうため、流体噴射ヘッドの取り外し及び取り付けにかかる時間を効果的に抑制することができる。
この構成によれば、複数の流体噴射ヘッドを精度よく配置する必要があり、各流体噴射ヘッドの位置の調整には特に時間がかかってしまうため、流体噴射ヘッドの取り外し及び取り付けにかかる時間を効果的に抑制することができる。
以下、本発明をインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという)に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の流体噴射装置としてのプリンタ11は、略箱状をなす本体ケース12を備えている。本体ケース12内の下部には、その長手方向(図1において左右方向となる主走査方向)に沿って延びるようにプラテン13が設けられている。プラテン13は、記録用紙Pを支持する支持台であり、紙送りモータ14の駆動力に基づいて記録用紙Pを主走査方向と直交する副走査方向(図1において前後方向)に沿って給送するようになっている。
図1に示すように、本実施形態の流体噴射装置としてのプリンタ11は、略箱状をなす本体ケース12を備えている。本体ケース12内の下部には、その長手方向(図1において左右方向となる主走査方向)に沿って延びるようにプラテン13が設けられている。プラテン13は、記録用紙Pを支持する支持台であり、紙送りモータ14の駆動力に基づいて記録用紙Pを主走査方向と直交する副走査方向(図1において前後方向)に沿って給送するようになっている。
本体ケース12内においてプラテン13の上方には棒状のガイド軸15が架設されるとともに、ガイド軸15にはキャリッジ16がガイド軸15に沿って移動可能に支持されている。また、本体ケース12の内側面においてガイド軸15の両端部と対応する位置には、駆動プーリ17及び従動プーリ18が回転自在に支持されている。駆動プーリ17にはキャリッジ16を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモータ19が連結されるとともに、これら一対のプーリ17,18間には、キャリッジ16を固定支持したタイミングベルト20が掛装されている。したがって、キャリッジ16はガイド軸15にガイドされながら、キャリッジモータ19の駆動によりタイミングベルト20を介して主走査方向に移動可能となっている。
図2に示すように、キャリッジ16の下面側には、流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド21が複数(本実施形態では3つ)設けられている。そして、各記録ヘッド21の下面にて構成されるノズル形成面21aには、それぞれ複数のノズル開口22が形成されている。また、図1に示すように、キャリッジ16上には各記録ヘッド21に対して流体としてのインクを供給するための複数(本実施形態の場合は5つ)のインクカートリッジ23が着脱可能に装着されている。そして、各インクカートリッジ23内に収容されたインクをノズル開口22から記録用紙Pに対して噴射することにより、印刷が行われるようになっている。
本体ケース12の一端部(図1では右端部)、すなわち、記録用紙Pが至らない非印刷領域には、インクが増粘して生じる各ノズル開口22の目詰まりを予防・修復するためのメンテナンスユニット24が設けられている。
メンテナンスユニット24には、前後方向及び上下方向に移動可能に構成されたキャップ部材25と、キャップ部材25の下方に設けられた吸引ポンプ(図示略)が備えられている。そして、キャリッジ16がメンテナンスユニット24の上方域に移動された場合には、キャップ部材25がいずれか1つの記録ヘッド21に対応して前後方向に移動するとともに上方向に移動して、対象となる記録ヘッド21にそのノズル開口22を囲むようにして当接するようになっている。このようにキャップ部材25が記録ヘッド21に当接した状態において吸引ポンプが駆動されると、記録ヘッド21内にある増粘したインクや気泡などがノズル開口22から吸引排出される。
また、図3に示すように、メンテナンスユニット24においてキャップ部材25の後方には後側フレーム26が、キャップ部材25の前方には前側フレーム27が、それぞれブラケット(図示略)を介して本体ケース12に支持されている。後側フレーム26には、正逆回転可能な駆動源としての駆動モータ28が取り付けられている。そして、駆動モータ28の出力軸29の前端には、歯付きプーリ(図示略)が動力伝達可能に接続されている。
また、キャップ部材25の上方域には、後側フレーム26から前側フレーム27へ向けて略水平方向に延設されたリードスクリュ30が2本、左右方向に離間して平行をなすように配置されている。移動機構を構成する両リードスクリュ30の各後端部には歯付きプーリ31が各々装着され、各歯付きプーリ31と駆動モータ28の出力軸29に接続された歯付きプーリとの間には無端状のピニオンベルト32が掛装されている。また、両リードスクリュ30の各前端部は前側フレーム27に回転自在に支持されている。したがって、駆動モータ28が回転することによる駆動力の発生に伴い、両リードスクリュ30は各々の軸線Sを中心に同じ方向へ同期回転する構成とされている。
両リードスクリュ30には、その軸線S方向(前後方向)に沿って直列配置された第1の移動部材としての移動部材33と第2の移動部材としての移動部材34とが左右のリードスクリュ30に1つずつ螺合されている。
移動部材33,34は、図4に示すように、リードスクリュ30に対する螺合部位となる筒状部35の一部にそれぞれ孔36が径方向に貫通形成され、その孔36内にピン37が嵌入されている。そして、各筒状部35内において、各ピン37の先端はリードスクリュ30の第1送りねじ部30a及び第2送りねじ部30b間に亘って螺旋状に連続形成されたねじ溝38に係合されている。したがって、このピン37がリードスクリュ30の回転時にねじ溝38に係合案内されることにより、移動部材33,34は左右一対となって、駆動モータ28から伝達される駆動力に基づいて両リードスクリュ30の軸線S方向(前後方向)に沿って往復移動する構成とされている。
具体的には、ピン37を係合案内するねじ溝38のピッチの大きさがリードスクリュ30の軸線S方向の途中で変化しているため、リードスクリュ30の回転速度は一定でも、移動部材33,34はねじ溝38のピッチの大きさの変化に伴い移動速度が変わる構成とされている。すなわち、移動部材33,34は、ピッチの大きさが比較的小さい第1送りねじ部30aでは移動速度が遅く、ピッチの大きさが比較的大きい第2送りねじ部30bでは移動速度が速くなる。
また、移動部材33,34は、いずれも同時に第2送りねじ部30bに係合することはなく、いずれかの移動部材のみが第2送りねじ部30bに係合するように、リードスクリュ30の軸線S方向に離間配置されている。すなわち、リードスクリュ30の軸線S方向において移動部材33,34の各ピン37の間に存在するピッチ数は、第2送りねじ部30bのピッチ数以上に設定されている。そのため、リードスクリュ30の回転時には、一方の移動部材が第2送りねじ部30bに係合しているときに、他方の移動部材が第2送りねじ部30bに同時に係合することはなく、その時点で第2送りねじ部30bに係合している1つの移動部材のみが速い速度で移動することになる。
なお、本実施形態では、駆動モータ28が正転駆動した場合に、両リードスクリュ30が正転方向へ回転し、移動部材33,34は後側フレーム26側から前側フレーム27側へと前進移動(往動)するように構成されている。その一方、駆動モータ28が逆転駆動した場合には、両リードスクリュ30が逆転方向へ回転し、移動部材33,34は前側フレーム27側から後側フレーム26側へと後退移動(復動)するように構成されている。
左右の移動部材33の筒状部35の内側には、ワイパホルダ39が設けられている。ワイパホルダ39の上面側には、ワイパ部材40の基端が支持されている。そして、ワイパ部材40は、移動部材33がノズル形成面21aに沿う払拭方向、すなわち図5(a)〜(c)の場合は後側から前側に向かう方向へ移動する途中でその先端(上端)が記録ヘッド21のノズル形成面21aに摺接することで、ノズル形成面21aを払拭清掃するようになっている。
また、左右の移動部材34の筒状部35の内側には、ホルダ部材41が設けられている。ホルダ部材41には、ノズル形成面視認装置を構成するマイクロスコープ42が支持されている。そして、マイクロスコープ42は、移動部材34が前後方向(払拭方向)へ移動する途中で記録ヘッド21のノズル形成面21aを撮像して映像信号として出力するようになっている。
具体的には、移動部材34が第2送りねじ部30bに螺合しているときに、マイクロスコープ42はノズル形成面21aと対向する視認位置に配置され、ノズル形成面21aを撮像可能となる。一方、移動部材34が第1送りねじ部30aに螺合しているときには、マイクロスコープ42は視認位置から離間した非視認位置に配置される。すなわち、マイクロスコープ42は、移動部材34の移動に伴ってノズル形成面21aと対向する視認位置と、視認位置から離間した非視認位置との間で移動されることにより、ノズル形成面21aに対して相対移動可能に構成されている。なお、マイクロスコープ42によって出力された映像信号は、本体ケース12の外面側に設けられたモニタ(図示略)に映像として再現されるようになっている。
なお、移動部材33,34の前後方向に沿う移動に伴って、ワイパ部材40による払拭清掃やマイクロスコープ42による撮像が行われる際には、キャリッジ16がメンテナンスユニット24の上方域に移動されて停止される。すなわち、各記録ヘッド21は、キャリッジ16が主走査方向(図1において左右方向)に移動することにより、払拭方向(図1において前後方向)と交差する方向に移動可能に構成されている。
次に、以上のように構成されたメンテナンスユニット24の作用について説明する。
例えば、印刷時にノズル内のインクが増粘して、目詰まりによる吐出不良が生じた場合などには、メンテナンス動作として、キャップ部材25及び吸引ポンプを用いて記録ヘッド21内のインクを吸引排出させる吸引クリーニングが行われる。
例えば、印刷時にノズル内のインクが増粘して、目詰まりによる吐出不良が生じた場合などには、メンテナンス動作として、キャップ部材25及び吸引ポンプを用いて記録ヘッド21内のインクを吸引排出させる吸引クリーニングが行われる。
この場合には、図5(a)に示す初期状態において、キャリッジ16がメンテナンスユニット24の上方域に移動されて停止させられる。続いて、キャップ部材25がメンテナンス対象となる記録ヘッド21に対応して前後方向に移動するとともに上方向に移動する。そして、キャップ部材25が対象となる記録ヘッド21にそのノズル開口22を囲むように当接した後に吸引ポンプが駆動されると、記録ヘッド21内にある増粘したインクがノズル開口22から吸引排出される。
以上のように吸引クリーニングが終了すると、キャップ部材25は下方向に移動して記録ヘッド21から離間し、キャリッジ16は非印刷領域から印刷領域に移動される。
また、印刷時に記録ヘッド21のノズル開口22から記録用紙Pに対して噴射されたインク滴が記録用紙Pからの跳ね返りなどでノズル形成面21aに付着するなど、ノズル形成面21aにはインクが無用に付着することがある。こうした付着インクは、ノズル開口22からのインクの噴射方向に影響を与えたりして印刷不良を招くおそれがあるため、払拭除去することが必要となる。そこで、そのような場合には以下のようなメンテナンス動作がなされる。
また、印刷時に記録ヘッド21のノズル開口22から記録用紙Pに対して噴射されたインク滴が記録用紙Pからの跳ね返りなどでノズル形成面21aに付着するなど、ノズル形成面21aにはインクが無用に付着することがある。こうした付着インクは、ノズル開口22からのインクの噴射方向に影響を与えたりして印刷不良を招くおそれがあるため、払拭除去することが必要となる。そこで、そのような場合には以下のようなメンテナンス動作がなされる。
まず、図5(a)に示す初期状態において、キャリッジ16がメンテナンスユニット24の上方域まで移動されて停止させられる。なお、その際には、払拭対象とされる1つの記録ヘッド21のノズル形成面21aとワイパ部材40の前後方向に沿う移動経路とが位置的に対応するように、キャリッジ16を移動調節する。そして、駆動モータ28が正転駆動されると、リードスクリュ30の正転方向への回転に伴って、各移動部材33,34がそれぞれ前進移動を開始する。
図5(a)に示す時点において、リードスクリュ30の第1送りねじ部30aに螺合している各移動部材33,34は比較的ゆっくりと前進移動する。そして、移動部材33が第2送りねじ部30bに螺合すると、図5(b)に示す位置に至るまでの前進移動の途中に、ワイパ部材40が記録ヘッド21の払拭対象とされたノズル形成面21aと摺接して付着インクを払拭除去する。
なお、このワイパ部材40によるノズル形成面21aの払拭動作時において、マイクロスコープ42を支持した移動部材34は、未だ後側の第1送りねじ部30aに螺合している。すなわち、マイクロスコープ42は、ワイパ部材40(及び、移動部材33)よりも払拭方向の後方であってノズル形成面21aと対向する視認位置から離間した非視認位置にある。そのため、移動部材33が第2送りねじ部30aから前側の第1送りねじ部30aに移動し、ワイパ部材40がノズル形成面21aを払拭し終わって撓み変形した形状から元の形状に弾性復帰することにより、そのワイパ部材40から付着インクが払拭方向の前方に向けて飛び散った場合でも、その飛散インクでマイクロスコープ42が汚れることはない。
以上のようにワイパ部材40によるノズル形成面21aの払拭清掃が終了すると、キャリッジ16は非印刷領域から印刷領域に移動される。その後、駆動モータ28が逆転駆動されると、リードスクリュ30の逆転方向への回転に伴って、各移動部材33,34が後退移動し、図5(a)に示す初期位置に戻る。
そして、このような各種メンテナンス動作によってもノズル開口22の目詰まりが解消されない場合には、マイクロスコープ42を用いてノズル形成面21aを視認することによって、ノズル開口22の目詰まりの原因が調査される。
この場合には、キャリッジ16がメンテナンスユニット24の上方域まで移動される前段階で、各移動部材33,34を図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置まで移動させておく。そして、その後、キャリッジ16をメンテナンスユニット24の上方域まで移動させて停止させる。なお、その際には、撮影対象とされる記録ヘッド21のノズル形成面21aの一部分とマイクロスコープ42の前後方向に沿う移動経路とが位置的に対応するように、キャリッジ16を移動調節する。
この状態でリードスクリュ30を正転方向へ回転させると、移動部材34が図5(c)に示す位置に至るまでの前進移動の途中に、マイクロスコープ42が撮像対象とされたノズル形成面21aを撮影する。
また、引き続きノズル形成面21aの他の部分や他の記録ヘッド21のノズル形成面21aを撮影する場合には、再度キャリッジ16を移動調節する。すなわち、マイクロスコープ42によって視認可能な視野を左右方向に沿って変化させる。その後、移動部材34を後退移動させて、マイクロスコープ42によって視認可能な視野を前後方向に沿って変化させながら、マイクロスコープ42の視野内にあるノズル形成面21aを撮影する。
以上のように、キャリッジ16を移動調節するとともに、移動部材34を往復移動させることにより、左右方向及び前後方向に沿って視野を変化させながら、マイクロスコープ42によってノズル形成面21aを撮影する。すると、マイクロスコープ42によって出力された映像信号がモニタに映像として再現されるため、ノズル形成面21aを視認してノズル開口22の目詰まりの原因を調べる。
そして、視認の結果、例えばノズル形成面21aに付着した異物や固まったインク等が確認された場合には、モニタに撮影したノズル形成面21aの一時停止画面を再現した状態で、ノズル形成面21aの清掃等のメンテナンスを行う。また、ノズル形成面21aに筋状にインクが付着している場合はワイパ部材40に亀裂が入っているので、ワイパ部材40を交換する。
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、マイクロスコープ42を使用してノズル形成面21aを視認することにより、記録ヘッド21をプリンタ11から取り外すことなく、簡便にノズル開口22の目詰まりの原因を調べることができるため、記録ヘッド21の取り外し及び取り付けにかかる時間を抑制することができる。そして、マイクロスコープ42がノズル形成面21aに対して相対移動されることにより、マイクロスコープ42によって視認可能な視野を変化させることができる。
(1)上記実施形態では、マイクロスコープ42を使用してノズル形成面21aを視認することにより、記録ヘッド21をプリンタ11から取り外すことなく、簡便にノズル開口22の目詰まりの原因を調べることができるため、記録ヘッド21の取り外し及び取り付けにかかる時間を抑制することができる。そして、マイクロスコープ42がノズル形成面21aに対して相対移動されることにより、マイクロスコープ42によって視認可能な視野を変化させることができる。
(2)上記実施形態では、ノズル形成面21aを払拭するワイパ部材40とマイクロスコープ42とが共通の駆動モータ28及びリードスクリュ30によって移動されるため、ワイパ部材40を備えるプリンタ11にマイクロスコープ42を備える場合には、新たに移動機構を備える必要がない。また、ワイパ部材40がノズル形成面21aに摺接する際やキャップ部材25が記録ヘッド21に当接する際には、マイクロスコープ42を非視認位置に移動させることにより、ワイパ部材40やキャップ部材25のじゃまにならない位置に退避させることができる。
(3)上記実施形態では、ワイパ部材40を支持する移動部材33とマイクロスコープ42を支持する移動部材34とが同じ方向に沿って移動するため、ワイパ部材40及びマイクロスコープ42の移動に必要なスペースを小さく抑えることができる。また、マイクロスコープ42が移動部材34とともに移動されることにより、マイクロスコープ42によって視認可能な視野を変化させることができる。
(4)上記実施形態では、記録ヘッド21が払拭方向と交差する方向に移動可能に構成されているため、記録ヘッド21を払拭方向と交差する方向へ移動させることにより、マイクロスコープ42によって視認可能な視野を変化させることができる。
(5)上記実施形態では、マイクロスコープ42によってノズル形成面21aを拡大して視認することができるため、微小なノズル開口22や付着物を視認することができる。また、マイクロスコープ42は撮影した画像を映像信号として出力するため、映像信号を映像として再現するモニタを本体ケース12の外面側に配置することにより、本体ケース12を開くことなく、ノズル形成面21aを見やすい位置で簡便に視認することができる。また、モニタに撮影したノズル形成面21aの一時停止画面を再現することで、ノズル形成面21aの状態を適宜視認しながら、清掃等のメンテナンスを行うことができる。
(6)上記実施形態では、複数の記録ヘッド21を精度よく配置する必要があり、各記録ヘッド21の位置の調整には特に時間がかかってしまうため、記録ヘッド21の取り外し及び取り付けにかかる時間を効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、マイクロスコープ42を移動させるための移動機構は、ワイパ部材40の移動に用いられるリードスクリュ30等に限らない。例えば、ワイパ部材40の移動機構とは別にラック及びピニオンや、ピストン、X−Yテーブル等を備えて、マイクロスコープ42を移動させるようにしてもよい。
・上記実施形態において、マイクロスコープ42を移動させるための移動機構は、ワイパ部材40の移動に用いられるリードスクリュ30等に限らない。例えば、ワイパ部材40の移動機構とは別にラック及びピニオンや、ピストン、X−Yテーブル等を備えて、マイクロスコープ42を移動させるようにしてもよい。
・上記実施形態において、移動部材33及びワイパ部材40を備えず、駆動モータ28やリードスクリュ30によってマイクロスコープ42を支持した移動部材34のみを移動させるようにしてもよい。この場合には、リードスクリュ30にピッチの異なる2種の送りねじ部(第1送りねじ部30a及び第2送りねじ部30b)を備えなくてもよい。
・上記実施形態において、ノズル形成面視認装置をメンテナンスユニット24とは別途備えるようにしてもよい。例えば、本体ケース12の他端部(図1では左端部)における非印刷領域にノズル形成面視認装置を単独で備えるようにしてもよい。この場合には、マイクロスコープ42が視認位置から非視認位置に退避する必要がないので、マイクロスコープ42をノズル形成面21aと対向する位置において、その視野を変化させるためだけに移動させればよい。
・上記実施形態において、マイクロスコープ42を移動させるための移動機構によって、フラッシングボックスやキャップ部材など、ワイパ部材40以外の部材を移動させるようにしてもよい。
・上記実施形態において、ノズル形成面視認装置がマイクロスコープ42ではなく、鏡やカメラ等を備えるようにしてもよい。なお、鏡によってノズル形成面21aを映す場合には、例えば本体ケース12の前面に開閉可能な蓋部を設け、この蓋部を開けて鏡に映されたノズル形成面21aを視認するようにすればよい。また、カメラによってノズル形成面21aを写す場合には、撮影した画像をプリンタ11で印刷するようにしてもよい。このように、鏡やカメラを用いてノズル形成面21aを視認する場合には、映像を再現するためのモニタを備える必要がない。
・上記実施形態において、マイクロスコープ42によって撮影した画像を、プリンタ11に接続されたコンピュータ等のモニタに再現するようにしてもよい。
・上記実施形態において、マイクロスコープ42によって撮影した画像を録画するための録画装置を備えるようにしてもよい。
・上記実施形態において、マイクロスコープ42によって撮影した画像を録画するための録画装置を備えるようにしてもよい。
・上記実施形態において、ノズル形成面視認装置又はプリンタ11がノズル形成面21aを照らすための照明装置を備えるようにしてもよい。
・上記実施形態において、記録ヘッド21の数は3つに限らず、1つのみ備えるようにしてもよいし、3つ以外の複数の記録ヘッド21を備えるようにしてもよい。なお、複数の記録ヘッド21を備える場合には、上記実施形態のような千鳥配置に限らず、任意の配置形態としてもよい。
・上記実施形態において、記録ヘッド21の数は3つに限らず、1つのみ備えるようにしてもよいし、3つ以外の複数の記録ヘッド21を備えるようにしてもよい。なお、複数の記録ヘッド21を備える場合には、上記実施形態のような千鳥配置に限らず、任意の配置形態としてもよい。
・上記実施形態において、記録ヘッド21が払拭方向と交差する方向に移動されない構成としてもよい。この場合には、マイクロスコープ42によって払拭方向と交差する方向におけるノズル形成面21aの幅全体を撮影するようにすればよい。あるいは、マイクロスコープ42を複数備えて、撮影範囲を広くするようにしてもよい。なお、マイクロスコープ42を複数備える場合には、各マイクロスコープ42を1つの移動部材で移動させるようにしてもよいし、複数の移動部材で個別に移動させるようにしてもよい。
・上記実施形態において、流体噴射装置を、記録用紙Pの搬送方向(前後方向)と交差する方向において記録ヘッドが記録用紙Pの幅方向(左右方向)の長さに対応した全体形状をなす、いわゆるラインヘッド方式のプリンタに具体化してもよい。この場合には、主走査方向(払拭方向と交差する方向)に沿って移動するキャリッジを備える必要がないため、ノズル形成面視認装置が移動機構によって上下方向、左右方向、前後方向の各方向に移動されるように構成してもよい。
・上記実施形態においては、流体噴射装置をインクジェット式記録装置に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の流体(流体や、機能材料の粒子が流体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体を含む)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。更に、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体(粉流体)を例とする固体を噴射する粉流体噴射装置(例えばトナージェット式記録装置)であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば流体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体、粉流体(粒体、粉体を含む)などが含まれる。
11…流体噴射装置としてのプリンタ、21…流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、21a…ノズル形成面、22…ノズル開口、28…駆動源としての駆動モータ、30…移動機構を構成するリードスクリュ、33…第1の移動部材としての移動部材、34…第2の移動部材としての移動部材、40…ワイパ部材、42…ノズル形成面視認装置を構成するマイクロスコープ。
Claims (7)
- ノズル形成面に形成されたノズル開口から流体を噴射する流体噴射ヘッドと、
前記ノズル形成面に対して相対移動可能に構成されたノズル形成面視認装置と、
該ノズル形成面視認装置を前記ノズル形成面に対して相対移動させるための移動機構とを備えたことを特徴とする流体噴射装置。 - 前記移動機構によって前記ノズル形成面に沿う払拭方向へ移動される途中で前記ノズル形成面に摺接するワイパ部材を更に備え、
前記ノズル形成面視認装置は、前記移動機構によって、前記ノズル形成面と対向する視認位置と、該視認位置から離間した非視認位置との間で移動されることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。 - 前記移動機構は、
前記ワイパ部材を支持するとともに、駆動源から伝達される駆動力に基づいて前記払拭方向に沿って往復移動可能な第1の移動部材と、
前記ノズル形成面視認装置を支持するとともに、前記駆動源から伝達される駆動力に基づいて前記払拭方向に沿って往復移動可能な第2の移動部材とを有することを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置。 - 前記第2の移動部材は、前記第1の移動部材が前記ノズル形成面に前記ワイパ部材を摺接させて前記払拭方向へ移動しているときには、該第1の移動部材よりも前記払拭方向の後方で前記非視認位置に位置していることを特徴とする請求項3に記載の流体噴射装置。
- 前記流体噴射ヘッドは前記払拭方向と交差する方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
- 前記ノズル形成面視認装置は前記ノズル形成面を撮像して映像信号として出力するマイクロスコープを有し、
前記映像信号を映像として再現するモニタを更に備えたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。 - 前記流体噴射ヘッドを複数備えたことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
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JP2011240680A (ja) * | 2010-05-21 | 2011-12-01 | Seiko Epson Corp | 液滴吐出装置 |
CN107596606A (zh) * | 2017-11-08 | 2018-01-19 | 诸暨市海王消防设备有限公司 | 一种智能消防洒水喷头电机启闭动作结构 |
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2007
- 2007-04-18 JP JP2007109208A patent/JP2008265087A/ja active Pending
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