JP2008261171A - 作業装置付き杭打機 - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱いが容易な低コストの作業装置付き杭打機を提供すること。
【解決手段】本体12前方に立設されたリーダ15に対して摺動可能に装着された作業装置20を吊りワイヤ10によって吊設し、ウインチ13による吊りワイヤ10の巻上げ及び巻下げによって作業装置20に連結された作業用ロッド80に回転を与えながら昇降させて所定の作業を行うものであり、作業装置20は、その上方にあってリーダ15に対して摺動可能に装着された位置決め装置23と圧入シリンダ26によって連結され、その位置決め装置23とリーダ15との間には、位置決め装置23をリーダ15の任意高さで移動できないように停止させる位置決め機構18,22,27が設けられた作業装置付き杭打機1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、作業装置をリーダに装着した作業装置付き杭打機に関し、特に作業装置に対して位置決め装置を圧入手段を介して一体に構成し、その圧入手段によって作業装置に連結した作業ロッドに対して圧入力を与えるようにした作業装置付き杭打機。
支持杭を建てる基礎工事などでは、例えばケーシングを地盤に回転圧入させたり、スクリュウロッドで地盤を掘削作業する場合、杭打機のリーダにオーガなどの作業装置が昇降可能に装着される。そうしたオーガに取り付けられたケーシングやスクリュウロッドなどは、オーガによって回転が与えられて地盤の掘削を行い、更に回転とともにオーガがリーダに沿って下降することによって地盤に押し付けられた回転圧入が行われる。従来、こうした作業装置付の杭打機では、作業装置を介してケーシングやスクリュウロッドを強制的に押し込むため次のような構成がとられていた。
図9は、ウインチを利用した強制押込み機構を備えた従来の作業装置付杭打機を示した概念図である。作業装置付杭打機100は、本体101に2機のウインチ102,103が設けられ、一方のウインチ102から送り出された吊りワイヤ111がトップシーブ104を介してオーガ150の吊りシーブ151に掛けまわされている。もう一方のウインチ103から送り出された圧入ワイヤ112は、圧入シーブ105を介してオーガ150の絞込みシーブ152に掛けまわされている。従って、リーダ106に装着された作業装置であるオーガ150は、ウインチ102の巻下げと同時にウインチ103を巻上げることにより、ウインチ103による下方への引張り力によって圧入力が発生し、スクリュウロッド130を強制的に地盤へ圧入することができる。
また、図10は、リーダに設けたラックに従って昇降する昇降装置を備えた従来の作業装置付杭打機を示した概念図である。この杭打機200は、リーダ201の前面にラック202が固定され、オーガ250の上方に一体に設けられた昇降装置255が設けられている。昇降装置255は、ラック202に噛み合うピニオンギヤ251を有し、そのピニオンギヤ251が油圧モータ252によって回転することでリーダ201に沿った昇降を可能にしている。そのため、油圧モータ252の駆動によりピニオンギヤ251がラック202を転動し、一体のオーガ250やスクリュウロッド230が上下動する。そして、昇降装置255が下降する圧入力によってスクリュウロッド230が地盤に対して強制的に圧入することができる。
特開2001−182061号公報(第2頁、図1) 特公平6−78617号公報(第2頁、図1、図4)
しかしながら、こうした強制押込み機構の作業装置付き杭打機では、それぞれに次のような問題点があった。先ず、図9に示すウインチによる強制圧入を採用した杭打機100では、ウインチ102,103のワイヤ111,112をオーガ150の上下方向からシーブ151,152に掛けまわさなければならず、作業準備が非常に手間のかかるものであった。また、絞込みシーブ152が位置するリーダ106とスクリュウロッド130との間が狭いので、軸方向に複数のシーブを重ねることができない。そのため、圧入力を発生させるワイヤ112の掛け本数が少ないことによって、ワイヤ112の強度を考慮すると絞込み荷重を大きくできず、大きな圧入力を得ることができない。更に、ワイヤ111,112の巻上げと巻き下げを同時に行わなければならないが、特に乱巻きにならないようにする操作が非常に複雑であった。
一方、図10に示すラック・ピニオン昇降機を採用した杭打機200では、ピニオンギヤ251を油圧モータ252によって回転させ、噛み合ったラック202を転動して下降することで圧入力を発生させているが、こうした機構では長期間の使用によりラック202やピニオンギヤ251が摩耗し、動作に不具合が生じるようになる。そのため、比較的交換回数が多くコスト高になる。また、ラック202とピニオンギヤ251の噛み合い位置とスクリュウロッド230との距離が離れているため、スクリュウロッド230に作用する反力によってオーガ250全体にモーメントが作用する。すると、ガイドギブ253とガイドパイプ203との摺動部分に荷重がかかるため偏摩耗が生じ、長期の使用によって交換が必要になってこの点でもコストがかかってしまう。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、取り扱いが容易な低コストの作業装置付き杭打機を提供することを目的とする。
本発明の作業装置付き杭打機は、本体前方に立設されたリーダに対して摺動可能に装着された作業装置を吊りワイヤによって吊設し、ウインチによる吊りワイヤの巻上げ及び巻下げによって作業装置に連結された作業用ロッドに回転を与えながら昇降させて所定の作業を行うものであり、前記作業装置は、その上方にあってリーダに対して摺動可能に装着された位置決め装置と圧入シリンダによって連結され、その位置決め装置とリーダとの間には、当該位置決め装置をリーダの任意高さで移動できないように停止させる位置決め機構が設けられたものであることを特徴とする。
また、本発明の作業装置付き杭打機は、前記圧入シリンダが、一対の油圧シリンダであり、前記作業装置に連結される作業用ロッドをはさんだ位置に配置されたものであることが好ましい。
また、本発明の作業装置付き杭打機は、前記作業装置とリーダとの間に、当該作業装置をリーダの任意高さで移動できないように停止させる位置決め機構が設けられたものであることが好ましい。
また、本発明の作業装置付き杭打機は、前記位置決め機構が、前記リーダにはラックが形成され、前記位置決め装置又は/及び作業装置には、そのラックに対してピニオンギヤを噛み合わせ、そのピニオンギヤの回転を停止させるロック手段が設けられたものであることが好ましい。
また、本発明の作業装置付き杭打機は、前記ロック手段が、前記ピニオンギヤの回転軸に一体に設けられたロック用ディスクと、そのロック用ディスクに当接して回転を制限する回転止プレートとを有し、その回転止プレートは、ロック用ディスクに対して付勢部材の付勢力によって当接し、油圧によって前記付勢力に抗して離間するようにしたものであことが好ましい。
また、本発明の作業装置付き杭打機は、前記位置決め機構が、前記リーダにはディスクプレートが形成され、前記位置決め装置又は/及び作業装置には、そのディスクプレートを油圧式のチャックシリンダで開閉させるチャックが設けられ、そのチャックによるディスクプレートの挟み込みの摩擦力によって停止させるようにしたものであることが好ましい。
本発明の作業装置付き杭打機によれば、例えばスクリュウロッドの回転圧入時に硬い地盤に突き当たったような場合には、位置決め装置をロックしてリーダに対して位置決めし、圧入シリンダを伸ばすことによる圧入力によって作業装置とスクリュウロッドとを押し下げて地盤へ強制的に圧入する。
よって、本発明では、圧入シリンダによって作業装置と位置決め装置とが一体になって構成されているので、リーダへの装着が簡単であって取り扱いが容易であり、圧入シリンダが圧入力を発生させるため、ラック・ピニオンのように摩耗による部品交換コストなどを削減することができる。更に、圧入力や引抜き力を発生させる圧入シリンダと、圧入時などに反力を受ける作業用ロッドとが横並びになって配置されているため、作業装置にモーメントが作用しなくなり、偏芯荷重による摺動部の摩耗を抑えることができる。
次に、本発明に係る作業装置付き杭打機の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の作業装置付き杭打機を概念的に示した側面図である。そして、図2は、作業装置付き杭打機の前面を異なる形態で示した図である。
作業装置付き杭打機1は、クローラを備えた走行部11上に旋回可能な本体12が設けられたベースマシンによって構成されている。本体12は、メインフレーム上に運転台や油圧ポンプなどを備える動力部などが配置され、そうした本体12の前部にはリーダ15が支持されている。そして、この作業装置付き杭打機1は、そのリーダ15に対して作業装置であるオーガ20が装着されたものであって、本実施形態では作業に合わせてオーガ20の回転軸にスクリュウロッド80が連結されている。
リーダ15は、機体の左右側面側にガイドパイプ16がほぼ全長にわたって設けられ、オーガ20には、そのガイドパイプ16を左右から把持して摺動するガイドギブ21が設けられている。また、作業装置付き杭打機1は、リーダ15の前面にラック18が設けられ、オーガ20は、このラック18に噛合するピニオンギヤ22を有する位置決め装置23が一体に設けられている。この位置決め装置23もガイドパイプ16を左右から把持するガイドギブ24が設けられており、オーガ20と位置決め装置23とは、共にガイドギブ21,24によってガイドパイプ16を摺動し、リーダ15に沿って昇降可能に装着されている。
作業装置付き杭打機1は、その本体12に設けられたウインチ13から吊りワイヤ10が送り出され、リーダ15の先端にあるトップシーブ17を介して位置決め装置23の吊りシーブ25に掛けまわされている。本実施形態の作業装置付き杭打機1は、オーガ20及び位置決め装置23が吊りワイヤ10によって吊り下げられ、ウインチ13の巻上げによってオーガ20及び位置決め装置23が引き上げられるように構成されたものである。つまり、ラック18やピニオンギヤ22などは前記従来例のように昇降手段として設けたのではなく、ピニオンギヤ22の回転をロックユニット27によって止め、所定の高さで位置決めするための位置決め機構として構成したものである。
一方、オーガ20にはスクリュウロッド80が連結され、それを強制圧入することができる構成がとられている。具体的には、リーダ15に沿って上下に配置されたオーガ20と位置決め装置23が左右一対の圧入シリンダ26によって連結され、その上下方向の間隔が変位するように構成されている。つまり、リーダ15の所定高さに位置決めされた位置決め装置23に対して圧入シリンダ26が伸縮することで、オーガ20を介してスクリュウロッド80に圧入力或いは引抜き力を与えるように構成されている。こうした圧入シリンダ26は、復動の油圧シリンダであり、スクリュウロッド80を挟んだ位置に平行に取り付けられている。
また、位置決め装置23は、一対のピニオンギヤ22を有し、リーダ15に固定された両歯のラック18に噛み合っている。そして、そのピニオンギヤ22,22は、それぞれにロックユニット27に軸支されている。ここで、図3は、ロックユニット27とウインチ13を一つの操作レバーで操作を可能にした油圧回路を示した図である。
先ず、ロックユニット27は、ピニオンギヤ22の回転軸31にロック用ディスク32が固定され、そのロック用ディスク32に対して回転止プレート33が設けられている。回転止プレート33は、スプリング34の付勢力によってロック用ディスク32が押し当てられて回転を止め、反対側からの圧力によってスプリング34の付勢に抗してロック用ディスク32から離れ、ロックが解除されるようになっている。
本実施形態では、こうした位置決め機構のロック動作とウインチ13による送り動作とを連動させる必要があるが、図3に示す油圧回路では一つの操作レバー42によって同時に操作できるようになっている。
リモコンバルブ41は、それぞれ操作レバー42の傾きによって各一対の切換弁43,44の切り換え操作を行うようにしたものである。切換弁43,44は、パイロット圧を供給する不図示のパイロット圧用油圧ポンプとタンク45とに接続され、コントロールバルブ46の切り換えを行うようにしたものである。切換弁43,44は、コントロールバルブ46の上昇側又は下降側パイロット室に接続されている。更に切換弁43,44は、シャトル弁47を介してロックユニット27の加圧室35に接続されている。
コントロールバルブ46は、巻上げライン51及び巻下げライン52及びカウンタバランスバルブ55を介してウインチ13の油圧モータ53に接続されている。また、コントロールバルブ46には、油圧ポンプ48とタンク45とを接続するセンターバイパスライン56が設けられ、リリーフ弁49の設けられたタンクライン57が接続されている。
続いて、本実施形態では、この作業装置付き杭打機1によって、次のようにスクリュウロッド80を利用した地盤の掘削が行われる。作業開始時は、ウインチ13の巻上げによってオーガ20と位置決め装置23とがリーダ15に沿って引き上げられ、スクリュウロッド80がオーガ20の回転軸に連結される。そして、オーガ20と位置決め装置23は、圧入シリンダ26が収縮状態にあって両者が接近した状態で掘削が行われる。スクリュウロッド80による掘削は、ウインチ13によって吊りワイヤ10が巻下げられ、オーガ20からの出力よってスクリュウロッド80が回転することで、オーガ20や位置決め装置23の重さと地盤に入り込む螺旋羽の推進力によって掘削が行われる。
スムーズに掘削が進行している場合の位置決め装置23は、図3に示すように、油圧によって回転止プレート33がロックユニット27から離れ、ピニオンギヤ22の回転がフリーの状態になっている。従って、掘削に伴ってオーガ20がリーダ15に沿って下降すると位置決め装置23も下降するため、フリーのピニオンギヤ22はラック18を転動することになる。
一方、スクリュウロッド80が硬い地盤に突き当たり、それ以上入っていかないような場合に強制圧入が行われる。そこで、強制圧入を行う場合には位置決め装置23から油圧が抜かれ、スプリング34の付勢力によって回転止プレート33がロック用ディスク32へと押し当てられて回転がロックされる。ピニオンギヤ22の回転が制限されるため、ラック18に噛み合った状態で位置決め装置23がリーダ15に対して所定の高さで位置決めされる。そして、その状態で図2(a)に示す収縮状態の圧入シリンダ26に作動油が供給され、図2(b)に示すように上下方向に伸ばされる。
圧入シリンダ26が伸びると、その伸び方向に作用する力が位置決め装置23に支えられてオーガ20を介してスクリュウロッド80に伝えられ、硬い地盤への強制圧入が行われる。本実施形態では、こうした油圧によって伸縮する圧入シリンダ26からの出力によって強制圧入が行われる。圧入シリンダ26では、そのストローク以上に圧入できないため、更に圧入が必要な場合には、位置決め装置23のロックを解除して圧入シリンダ26を収縮させ、図2(a)に示すようにオーガ20と接近した状態で再びロックして圧入シリンダ26を伸ばしてスクリュウロッド80の強制圧入を行う。こうして位置決め装置23のロックとその解除、そして圧入シリンダ26の伸縮を繰り返すことで複数回に分けて段階的に圧入が行われる。
一方、スクリュウロッド80を引き抜く場合には、位置決め装置23のロックを解除した状態でウインチ13を巻上げし、吊りワイヤ10によってオーガ20及び位置決め装置23を引き上げる。引抜き時には、ウインチ13の巻上げ力によってスクリュウロッド80を引き上げることになるが、それでは十分でない場合には、圧入シリンダ26を伸ばした状態でロックユニット27によってピニオンギヤ22の回転を制限して位置決め装置23を位置決めし、圧入シリンダ26を収縮させてオーガ20及びスクリュウロッド80を強制的に引き上げるようにする。
本実施形態では、位置決め装置23のロックユニット27とウインチ13とが連動し、操作レバー42によって同時に操作することができる。図3に示すように、操作レバー42を中立状態にした場合は、油圧ポンプ48からの作動油がコントロールバルブ46を通ってタンク45へと流れる。一方、操作レバー42を巻上げ方向に倒すと切換弁43が切り換えられ、パイロット圧がコントロールバルブ46をAポートブロックに切り換える。そのため、油圧ポンプ48からの作動油は、巻上ライン51を流れて油圧モータ53を回転させる。
逆に、操作レバー42を巻下げ方向に倒すと切換弁44が切り換えられ、パイロット圧がコントロールバルブ46をBポートブロックに切り換える。そのため、油圧ポンプ48からの作動油は、巻下ライン52を流れて油圧モータ53を逆回転させる。このとき、巻下ライン52を流れる油圧によってカウンタバランスバルブ55が開弁し、戻りの作動油がこのカウンタバランスバルブ55を通って巻上ライン51を流れる。
このようしてウインチ13を正転或いは逆転させ、吊りワイヤ5を巻き上げ或いは巻き下げしてオーガ20や位置決め装置23をリーダに沿って昇降させる場合、いずれの場合もパイロット圧がシャトル弁47を介してロックユニット27の加圧室35へ供給され、ロック用ディスク32から回転止プレート33を離してロックが解除される。そして、図3に示すように操作レバー42が中立の状態では、切換弁43,44がいずれもタンク45側へポートが切り換えられるため、加圧室35の圧力が下がってロックユニット27はスプリング34に付勢されてロック状態になる。
よって、本実施形態の作業装置付き杭打機1によれば、圧入シリンダ26によってオーガ20と位置決め装置23を一体にした構成であるため、リーダ15への装着が簡単である。また、図3に示す油圧回路によって、操作レバー42による一つの操作で吊りワイヤ10のウインチ13とロックユニット27とを同時に動作させるようにしたので、操作が極めて容易になった。また、圧入シリンダ26によってスクリュウロッド80を地盤に圧入し、ラック18やピニオンギヤ22を位置決め機構として用いるものであるため、摩耗による部品交換のコストを大幅に削減することが可能になった。更に、圧入力や引抜き力を発生させる圧入シリンダ26と、圧入時などに反力を受けるスクリュウロッド80とが同じ位置に横並びになって配置されているため、オーガ20や位置決め装置23にモーメントが作用しなくなり、偏芯荷重による摺動部の摩耗を抑えることができる。
次に、作業装置付き杭打機の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態の作業装置付き杭打機を示す概念図であり、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明する。この作業装置付き杭打機2は、作業装置であるオーガ20内にロックユニット27が設けられ、位置決め装置23と同様にピニオンギヤ22がラック18に噛み合っている。従って、本実施形態では、圧入シリンダ26によって上下に連結されたオーガ20と位置決め装置23とにロック機構がそれぞれ設けられ、一方をリーダ15に対して位置決めしておいて圧入シリンダ26の伸縮によって尺取り虫のように移動させることが可能になっている。
そこで、オーガ20の回転軸に連結したスクリュウロッド80によって地盤を掘削する場合は、前記第1実施形態と同様に、例えば硬い地盤のところで位置決め装置23をロックさせ、圧入シリンダ26を伸ばしてスクリュウロッド80を押し込む。圧入シリンダ26の伸縮を繰り返して圧入を行うには、圧入シリンダ26を収縮させてロックを外した位置決め装置23を下降させ、その位置で再び位置決め装置23をロック状態にして圧入を行う。
一方、こうした作業とは別に、例えば地盤改良の場合には次のような操作が行われる。先ず、位置決め装置23をロック状態にして圧入シリンダ26を伸ばし、オーガ20を下げてスクリュウロッド80によって掘削穴の中を攪拌する。そして次に、圧入シリンダ80を収縮させ、オーガ20を上昇させた位置で位置決めさせる。つまり、オーガ20に設けられたロックユニット27(図3参照)が、そのスプリング34の付勢力によって回転止プレート33をロック用ディスク32へと押し当て、ピニオンギヤ22の回転を制限する。これによって、オーガ20がリーダ15に対して位置決めされる。
そして、この状態で位置決め装置23のロックを解除して圧入シリンダ26を伸ばせば、オーガ20に支えられて位置決め装置23を上昇させることができる。仮に、オーガ20がフリーな状態で位置決め装置23を上昇させようとしてもスクリュウロッド80が緩い地盤の上に載っているのであれば、オーガ20、位置決め装置23及びスクリュウロッド80の重さによって沈んでしまい、オーガ20などの正確な位置が把握できなくなってしまう。よって、本実施形態によれば、第1実施形態の作業装置付き杭打機1と同様の効果を奏するとともに、更に上昇する方向に尺取り虫のような作業が可能になる。
次に、作業装置付き杭打機の第3実施形態について説明する。図5は、第3実施形態の作業装置付き杭打機を示す概念図であり、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明する。また、図6は、第3実施形態の作業装置付き杭打機を構成する位置決め装置を概念的に示した平面図である。
この作業装置付き杭打機3は、第1実施形態とは異なる位置決め装置60によって構成されている。位置決め装置60は、一対の屈曲した把持爪61a,61aが軸支されたチャック61が設けられ、それが油圧シリンダ(チャックシリンダ)62によって開閉するようになっている。一方、リーダ15には、その全面にラックではなくディスクプレート65が取り付けられており、位置決め装置60は、そのチャック61先端がこのディスクプレート65を挟み込むように配置されている。
この作業装置付き杭打機3では、オーガ20と位置決め装置60が圧入シリンダ26によって連結され、その圧入シリンダ26が収縮した状態で掘削が行われる。その際、ウインチ13によって吊りワイヤ10は巻き出される。スムーズに掘削が進行している場合の位置決め装置60は、チャックシリンダ62が収縮してチャック61の先端が開き、ディスクプレート65とは非接触状態になっている。一方、強制圧入を行う場合には位置決め装置60のチャックシリンダ62が伸び、チャック61先端が閉じてディスクプレート65を両側から強く把持し、その摩擦力によってロックする。
そこで、収縮状態の圧入シリンダ26に作動油が供給されて上下方向に伸ばされると(図2参照)、リーダ15に位置決めされた位置決め装置60に支持され、圧入シリンダ26の力がオーガ20を介してスクリュウロッド80に伝えられ、硬い地盤への強制圧入が行われる。こうした油圧によって伸縮する圧入シリンダ26からの出力によって強制圧入が行われる。圧入シリンダ26では、そのストローク以上に圧入できないため、更に圧入が必要な場合には、位置決め装置60のロックを解除して圧入シリンダ26を収縮させ、オーガ20と接近した状態で再びロックして圧入シリンダ26を伸ばしてスクリュウロッド80の強制圧入を行う。こうして位置決め装置60のロック及びその解除と、圧入シリンダ26の伸縮を繰り返すことで複数回に分けて段階的に圧入が行われる。
一方、スクリュウロッド80を引き抜く場合には、位置決め装置60のロックを解除した状態でウインチ13を巻上げ、吊りワイヤ10によってオーガ20及び位置決め装置60を引き上げる。引抜き時には、ウインチ13の巻上げ力によってスクリュウロッド80を引き上げることになるが、それでは十分でない場合には、圧入シリンダ26を伸ばした状態でチャック61によってディスクプレート65を把持して位置決め装置60を固定し、圧入シリンダ26を収縮させてオーガ20及びスクリュウロッド80を強制的に引き上げる。
よって、本実施形態の作業装置付き杭打機3によれば、圧入シリンダ26によってオーガ20と位置決め装置60を一体にした構成であるため、リーダ15への装着が簡単である。また、詳しく図示しないが、図3に示すロックユニット27に換えてチャックシリンダ62を接続した油圧回路とすれば、操作レバー42による一つの操作で吊りワイヤ10のウインチ13とチャック61の開閉とを同時に動作させるようにしたので、操作が極めて容易になる。また、圧入シリンダ26によってスクリュウロッド80を地盤に圧入し、チャック61やディスクプレート65を位置決め機構として用いるものであるため、構造が容易である。更に、圧入力や引抜き力を発生させる圧入シリンダ26と、圧入時などに反力を受けるスクリュウロッド80とが同じ位置に横並びになって配置されているため、オーガ20や位置決め装置23にモーメントが作用しなくなり、偏芯荷重による摺動部の摩耗を抑えることができる。
次に、作業装置付き杭打機の第4実施形態について説明する。図7は、第4実施形態の作業装置付き杭打機に関し、ロックユニット周辺部の油圧回路を示した図であり、図8は、圧入シリンダを操作するための油圧回路を示した図である。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明する。ロックユニット27は、図1に示すように位置決め装置23に設けられ、第1実施形態と同様に構成されている。
ロックユニット27は、その加圧室35には、ロック用ソレノイド弁72を介して油圧ポンプ71が接続されている。また、油圧ポンプ71は、リリーフ弁73を介してタンク74に接続されている。ロック用ソレノイド弁72は、図示するAポートブロックとBポートブロックとが構成され、ソレノイドへの通電によってAポートブロックからBポートブロックへ切り換えられ、油圧ポンプ71と加圧室75が連通するようになっている。また、そのロック用ソレノイド弁72には、継手75を介して制御線76が接続され、その制御線76には、油圧によって開くB接点のプレッシャースイッチ77が設けられている。
本実施形態では、こうした位置決め機構のロック動作と圧入シリンダ26の動作とを連動させている。図8に示すように、リモコンバルブ81は、それぞれ操作レバー82の傾きによって各一対の切換弁83,84の切り換え操作を行うようにしたものである。切換弁83,84は、パイロット圧を供給する不図示のパイロット圧用油圧ポンプとタンク85とに接続され、コントロールバルブ86の切り換えを行うようにしたものである。切換弁83,84は、コントロールバルブ86の伸長側又は収縮側パイロット室に接続され、そのコントロールバルブ86は、収縮ライン91及び伸長ライン92を介して圧入シリンダ26に接続されている。また、油圧ポンプ87とタンク85とを接続するセンターバイパスライン93が形成され、タンクライン95にはリリーフ弁94が設けられている。更に、本実施形態では、切換弁83,84がシャトル弁88を介してプレッシャースイッチ77に接続されている。
そこで、スクリュウロッド80を圧入シリンダ26を使用して強制圧入や引抜きが行われる場合には、操作レバー82が伸長或いは収縮方向に倒される。伸長側に倒されると切換弁83が切り換えられ、パイロット圧がコントロールバルブ86をAポートブロックに切り換える。そのため、油圧ポンプ87からの作動油は、伸長ライン92を流れて圧入シリンダ26を伸長作動させる。また、逆に操作レバー82を収縮方向に倒されると切換弁84が切り換えられ、パイロット圧がコントロールバルブ86をBポートブロックに切り換える。そのため、油圧ポンプ87からの作動油は、収縮ライン91を流れて圧入シリンダ26を収縮作動させる。
このようして圧入シリンダ26が伸縮する場合、パイロット圧がシャトル弁88を介してプレッシャースイッチ77にかかり、図7に示すB接点のプレッシャースイッチ77がOFF状態になり、ロック用ソレノイド弁72は、非通電となってBポートブロックから図示するAポートブロックに切り換えられる。すると、ロックユニット27の加圧室35がタンク74と連通し、スプリング34の付勢力によって回転止プレート33がロック用ディスク32に押し付けられる。そのため、ラック18を転動するピニオンギヤ22の回転が制限される。よって、本実施形態では、圧入シリンダ26を伸縮させる操作レバー82によって、ロックユニット27を同時に動作させるようにしたので、操作が極めて容易になった。
以上、本発明に係る作業装置付き杭打機の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では、位置決め機構としてラック18とピニオンギヤ22や、チャック61とディスクプレート65による構成としたが、それ以外の構成によるものであってもよい。
作業装置付き杭打機の第1実施形態を概念的に示した側面図である。 作業装置付き杭打機の正面部分を異なる形態で示した図である。 ロックユニットとウインチを一つの操作レバーで操作を可能にした油圧回路を示した図である。 作業装置付き杭打機の第2実施形態を概念的に示した側面図である。 作業装置付き杭打機の第3実施形態を概念的に示した側面図である。 第3実施形態の作業装置付き杭打機を構成する位置決め装置を概念的に示した平面図である。 作業装置付き杭打機の第4実施形態に関し、ロックユニット周辺部の油圧回路を示した図である。 圧入シリンダを操作するための油圧回路を示した図である。 ウインチを利用した強制押込み機構を備えた従来の作業装置付杭打機を示した概念図である。 リーダに設けたラックに従って昇降する昇降装置を備えた従来の作業装置付杭打機を示した概念図である。
符号の説明
1 作業装置付き杭打機
10 吊りワイヤ
11 走行部
12 本体
13 ウインチ
15 リーダ
18 ラック
20 オーガ
22 ピニオンギヤ
23 位置決め装置
26 圧入シリンダ
27 ロックユニット
32 ロック用ディスク
33 回転止プレート
34 スプリング
41 リモコンバルブ
42 操作レバー
43,44 切換弁
46 コントロールバルブ
47 シャトル弁
53 油圧モータ
80 スクリュウロッド

Claims (6)

  1. 本体前方に立設されたリーダに対して摺動可能に装着された作業装置を吊りワイヤによって吊設し、ウインチによる吊りワイヤの巻上げ及び巻下げによって作業装置に連結された作業用ロッドに回転を与えながら昇降させて所定の作業を行う作業装置付き杭打機において、
    前記作業装置は、その上方にあってリーダに対して摺動可能に装着された位置決め装置と圧入シリンダによって連結され、
    その位置決め装置とリーダとの間には、当該位置決め装置をリーダの任意高さで移動できないように停止させる位置決め機構が設けられたものであることを特徴とする作業装置付き杭打機。
  2. 請求項1に記載する作業装置付き杭打機において、
    前記圧入シリンダは、一対の油圧シリンダであり、前記作業装置に連結される作業用ロッドをはさんだ位置に配置されたものであることを特徴とする作業装置付き杭打機。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する作業装置付き杭打機において、
    前記作業装置とリーダとの間に、当該作業装置をリーダの任意高さで移動できないように停止させる位置決め機構が設けられたものであることを特徴とする作業装置付き杭打機。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する作業装置付き杭打機において、
    前記位置決め機構は、前記リーダにラックが形成され、前記位置決め装置又は/及び作業装置には、そのラックに対してピニオンギヤを噛み合わせ、そのピニオンギヤの回転を停止させるロック手段が設けられたものであることを特徴とする作業装置付き杭打機。
  5. 請求項4に記載する作業装置付き杭打機において、
    前記ロック手段は、前記ピニオンギヤの回転軸に一体に設けられたロック用ディスクと、そのロック用ディスクに当接して回転を制限する回転止プレートとを有し、その回転止プレートは、ロック用ディスクに対して付勢部材の付勢力によって当接し、油圧によって前記付勢力に抗して離間するようにしたものであことを特徴とする作業装置付き杭打機。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する作業装置付き杭打機において、
    前記位置決め機構は、前記リーダにディスクプレートが形成され、前記位置決め装置又は/及び作業装置には、そのディスクプレートを油圧式のチャックシリンダで開閉させるチャックが設けられ、そのチャックによるディスクプレートの挟み込みの摩擦力によって停止させるようにしたものであることを特徴とする作業装置付き杭打機。
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