JP4188541B2 - 杭打機の掘削作業装置押し込み力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーダに設けた昇降装置の下部に掘削作業装置を連結し、昇降装置の下降によって掘削作業装置に押し込み力を付与する杭打機の押し込み力制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
杭打機では、ベースマシンのウインチから巻き出されるワイヤロープをリーダ上部のトップシーブに掛け回して掘削作業装置を吊り下げる一般的な杭打機と、リーダに設けたラック又はチェーンと、これらに噛合するピニオンと、ピニオンを駆動する油圧モータを搭載した上部架台とで昇降装置を構成し、上部架台の下部に掘削作業装置を連結した杭打機と、リーダに設けたエンドレスチェーンと、エンドレスチェーンを駆動する油圧モータと、エンドレスチェーンに固設された上部架台とで昇降装置を構成し、上部架台の下部に掘削作業装置を連結する杭打機とがある。一般的な杭打機は、掘削作業装置と掘削具の自重で掘削することができるが、ラック方式やエンドレスチェーン方式の杭打機では、昇降装置の下降によって掘削作業装置に押し込み力を付与して掘削する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような押し込み力により掘削する杭打機では、掘削作業装置に対して強制的に押し込み力をかけるので、もし、オペレータが昇降装置の操作レバーを下降に入れっぱなしにした場合、堅い地盤になると掘削作業装置の下降速度が遅くなるが、昇降装置は下がろうとするので、その反力がリーダへ伝わり杭打機本体を上へ持ち上げてしまう。このため、オペレータは、油圧モータの圧力計を見ながらレバーの操作で押し込み力を調整しなければならず、熟練を要するとともにオペレータの負担が大きかった。また、油圧モータのリリーフバルブを可変リリーフとし、運転席に取り付けたダイヤルを回すことにより押し込み力の最大値を調整できるようにしたものは、運転操作は容易になるが、条件によってはリリーフバルブ作動圧近辺で掘削作業装置を押し込むことが多くなり、リリーフ状態になりやすくなるため、作動油温度を上げオーバーヒートや作動油の劣化の原因となる。
【0004】
そこで本発明は、昇降装置が付与する掘削作業装置への押し込み力を自動的に制御して運転操作を容易にした杭打機の掘削作業装置押し込み力制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明は、リーダに設けた昇降装置の下部に掘削作業装置を連結し、昇降装置の下降によって掘削作業装置に押し込み力を付与する杭打機において、前記昇降装置と掘削作業装置とを両者の間隔を変更可能に連結し、該昇降装置と掘削作業装置との間に、昇降装置と掘削作業装置の間隔縮小により発生する圧力にて前記掘削作業装置に押し込み力を付与する流体圧発生装置を設け、前記昇降装置と掘削作業装置の間隔縮小により発生する流体圧発生装置の圧力と設定押し込み力とを比較して、流体圧発生装置の圧力が設定上限押し込み力に達したときに前記昇降装置の下降を停止するともに前記流体圧発生装置にて前記掘削作業装置を押し込み、前記昇降装置と掘削作業装置の間隔が拡がって前記流体圧発生装置の圧力が設定下限押し込み力以下になったときに前記昇降装置を下降させる制御機構を設けたことを特徴とし、さらに、前記昇降装置と掘削作業装置との間隔を変更可能に連結する手段は、前記昇降装置下部のブラケットに形成したピン孔と、前記掘削作業装置上部のブラケットに形成した上下方向に長いピン孔と、両ピン孔に挿通されるピンにて構成されることを特徴とている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態例に基づいて、さらに詳細に説明する。図1乃至図8は本発明をラック方式の杭打機に適用した実施形態例を示すもので、リーダ1に沿って上下方向に取り付けたラック2と、該ラック2の両側に噛合するピニオン3,3と、該ピニオン3,3を駆動する油圧モータ4,4と、該油圧モータ4,4を搭載した上部架台5とで構成される昇降装置を備えた杭打機は、ラック2の両側に設置したガイドパイプ6に上部架台5のガイドギブ7,7を係合させ、該上部架台5の下部に掘削作業装置8を連結し、該掘削作業装置8のガイドギブ9,9をガイドパイプ6に係合させて、油圧モータ4,4によるピニオン3,3の駆動で上部架台5と掘削作業装置8とをリーダ1に沿って昇降させる。
【0007】
上部架台5と掘削作業装置8とは、上部架台5下部のブラケット5aに形成したピン孔と、掘削作業装置8上部のブラケット8aに形成した上下方向に長いピン孔8bとに挿通されるピン10にて連結されており、これにより、上部架台5と掘削作業装置8とは、両者の間隔を変更可能に連結されている。
【0008】
上部架台5と掘削作業装置8との間には、上部架台5の下降による両者の間隔縮小により発生する圧力にて掘削作業装置8に押し込み力を付与する流体圧発生装置としてシリンダ11が設けられている。このシリンダ11は、単動型で、シリンダボディ11aを上部架台5の底壁に、ピストンロッド11b先端のプレートを掘削作業装置8の上壁にそれぞれ当接し、ピストン11c上部の伸び側液圧室11dのポートに、液圧室11dの圧力を蓄積するアキュムレータ12と、液圧室11dの圧力を検出する圧力センサ13とを連結し、液圧室11dに作動油を充満させたものである。なお、復動型シリンダを用いる場合には、ピストン11c下部の縮み側室をタンクラインに接続するかエアブリーザを取り付ける。
【0009】
ピニオン3,3を駆動する油圧モータ4,4の駆動回路14は、操作レバー15を備えたリモコンバルブ16と、油圧ポンプ17と、操作レバー15の操作で油圧ポンプ17から油圧モータ5,5へ供給される圧油の方向を切り換えるコントロールバルブ18とを有している。リモコンバルブ16の下降側からコントロールバルブ18の下降側に接続される下降側回路19にはソレノイドバルブ20が設けられている。
【0010】
杭打機の運転席には、前記リモコンバルブ16と、上部架台5から掘削作業装置8へ付与される押し込み力を制御するコントローラ21とが設置されている。該コントローラ21には、前記圧力センサ13が電気回線22にて、前記ソレノイドバルブ20が電気回線23にてそれぞれ接続されている。このコントローラ21と圧力センサ13及びソレノイドバルブ20は、油圧モータ4,4の制御機構として機能する。コントローラ21は、オペレータがダイヤル24を回転することによって、上部架台5から掘削作業装置8へ付与される押し込み力の上限f1を設定することができる。また、コントローラ21は、設定された上限押し込み力f1からコントローラ21に予め入力された所定の重量値、例えば一定重量、又は設定上限押し込み力f1の10%等の数値をマイナスすることによって下限押し込み力f2を決定するようにプログラムされている。なお、これとは逆に、オペレータが下限押し込み力f2を設定することにより上限押し込み力f1を決定するようプログラムすることもできる。
【0011】
次に、このように構成された杭打機の掘削運転操作を説明する。オペレータは、コントローラ21のダイヤル24を回転して上限押し込み力f1を設定してから、掘削作業装置8を駆動して掘削具25を回転させ、操作レバー15を下降側へ入れて掘削作業を開始する。これにより、上部架台5が下降し、これに伴う押し込み力で掘削作業装置8も下降する。上部架台5の下降速度と掘削具25の地中への食い込み速度が対応していればそのまま掘削作業は進行するが、上部架台5の下降速度よりも掘削具25の地中への食い込み速度が遅いと、上部架台5の下降速度が掘削作業装置8の下降速度がよりも速くなり、上部架台5と掘削作業装置8の間隔が縮小し、シリンダ11の液圧室11dに圧力Fが発生する。
【0012】
この圧力Fは、圧力センサ13により検出されてコントローラ21へ送られる。コントローラ21は、設定押し込み力f1,f2と圧力Fとを比較し、圧力Fが設定上限押し込み力f1に達したら、ソレノイドバルブ20を励磁して上部架台5の下降を停止する。この際に、シリンダ11の液圧室11dに発生した圧力Fがアキュムレータ12に蓄積され、ピストン11cを下方へ押して掘削作業装置8に押し込み力を付与する。
【0013】
この押し込み力付与により、掘削作業装置8が下がって上部架台5との間隔が拡がると、シリンダ11の液圧室11dの圧力Fが低下する。圧力Fが設定下限押し込み力f2以下になると、コントローラ21はソレノイドバルブ20を消磁して上部架台5を下降させる。これの繰り返しにより掘削作業が進行する。
【0014】
したがって、オペレータは、地盤に合わせた上限押し込み力f1又は下限押し込み力f2を設定し、リモコンバルブ16の操作レバー15を下降側へ入れるだけで自動的に設定上限押し込み力f1と設定下限押し込み力f2の範囲内の押し込み力で掘削することができるから、運転操作が容易になる。また、設定上限押し込み力f1に達したときに上部架台5は停止するものの、シリンダ11の液圧室11dにはアキュムレータ12の蓄圧効果により圧力が発生しているので、掘削作業装置8に押し込み力が作用している状態となり、従来の油圧モータのリリーフ状態と同様になるが、本発明では、上部架台5が停止しているので、油圧モータ作動油温度のオーバーヒートや劣化の心配はなく省エネルギーにもつながる。
【0015】
なお、本発明は、図9に示されるリーダ1にチェーン26を上下方向に固設し、該チェーン26に噛合するスプロケット27を駆動する油圧モータを上部架台5に搭載した杭打機や、図10に示されるリーダ1の上部と下部に設けられたスプロケット28,28間にエンドレスチェーン29を張設し、下部のスプロケット28を回転する油圧モータ4の駆動により、エンドレスチェーン29に固設された上部架台5を昇降する杭打機にも適用可能であり、また、掘削作業装置8に押し込み力を作用させずに掘削作業装置8と掘削具25の自重のみで掘削したい場合は、押し込み力を0に設定すれば自重掘削も可能である。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、リーダに設けた昇降装置の下部に間隔を変更可能に掘削作業装置を連結し、昇降装置の下降速度が掘削作業装置の下降速度より速くなって、両者の間隔縮小により、両者間に設けた流体圧発生装置に発生する圧力が設定上限押し込み力に達したときに昇降装置の下降を停止し、流体圧発生装置の圧力が設定下限押し込み力以下になったときに昇降装置を下降させるので、オペレータは、地盤に合わせた上限押し込み力又は下限押し込み力を設定し、昇降装置の操作レバーを下降側へ入れるだけで自動的に設定上限押し込み力と設定下限押し込み力の範囲内の押し込み力で掘削することができるから、運転操作が容易になる。また、昇降装置の油圧モータのリリーフバルブを開放することなく掘削作業が行えるから、油圧モータ作動油温度のオーバーヒートや劣化の心配はなく省エネルギーにもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 昇降装置、掘削作業装置、流体圧発生装置及び制御機構の概略図
【図2】 油圧モータの駆動回路図
【図3】 制御機構のフローチャート図
【図4】 ラック方式の杭打機の要部拡大側面図
【図5】 昇降装置と掘削作業装置の連結部分の拡大図
【図6】 昇降装置と掘削作業装置の正面図
【図7】 シリンダ部分の平面図
【図8】 図7のVIII−VIII断面図
【図9】 固定チェーン方式の杭打機の要部拡大側面図
【図10】 エンドレスチェーン方式の杭打機の要部拡大側面図
【符号の説明】
1…リーダ、2…ラック、3…ピニオン、4…油圧モータ、5…上部架台、8…掘削作業装置、8b…ピン孔、10…ピン、11…シリンダ、11b…ピストンロッド、11d…液圧室、12…アキュムレータ、13…圧力センサ、14…油圧モータ4の駆動回路、20…ソレノイドバルブ、21…コントローラ

Claims (2)

  1. リーダに設けた昇降装置の下部に掘削作業装置を連結し、昇降装置の下降によって掘削作業装置に押し込み力を付与する杭打機において、前記昇降装置と掘削作業装置とを両者の間隔を変更可能に連結し、該昇降装置と掘削作業装置との間に、昇降装置と掘削作業装置の間隔縮小により発生する圧力にて前記掘削作業装置に押し込み力を付与する流体圧発生装置を設け、前記昇降装置と掘削作業装置の間隔縮小により発生する流体圧発生装置の圧力と設定押し込み力とを比較して、流体圧発生装置の圧力が設定上限押し込み力に達したときに前記昇降装置の下降を停止するともに前記流体圧発生装置にて前記掘削作業装置を押し込み、前記昇降装置と掘削作業装置の間隔が拡がって前記流体圧発生装置の圧力が設定下限押し込み力以下になったときに前記昇降装置を下降させる制御機構を設けたことを特徴とする杭打機の押し込み力制御装置
  2. 前記昇降装置と掘削作業装置との間隔を変更可能に連結する手段は、前記昇降装置下部のブラケットに形成したピン孔と、前記掘削作業装置上部のブラケットに形成した上下方向に長いピン孔と、両ピン孔に挿通されるピンにて構成されることを特徴とする請求項1記載の杭打機の押し込み力制御装置。
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