JP2008260831A - 水性接着剤および樹脂シート被覆金属板 - Google Patents

水性接着剤および樹脂シート被覆金属板 Download PDF

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Abstract

【課題】金属板と樹脂シートとの接着性に優れた低有機溶剤の水性接着剤、および、この水性接着剤を用いて形成した接着性および加工性に優れた樹脂シート被覆金属板を提供する。
【解決手段】主剤と硬化剤とを備えて構成される水性接着剤において、主剤を固形分比でカルボキシル基を親水基とする自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)60質量%以上95質量以下と、カルボキシル基を親水基とする自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)5質量%以上40質量%以下を含有してなるものとし、硬化剤をイソシアネート基を有する化合物およびオキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物の混合物を含有してなるものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性接着剤および樹脂シート被覆金属板に関し、特に、家電製品、家具製品、建築材料等の各種用途に広く使用される樹脂シート被覆金属板および該樹脂シート被覆金属板において樹脂シートと金属板とを貼りつけるために使用される水性接着剤に関する。
鋼鈑に塩化ビニル樹脂シート(以下、塩化ビニル樹脂をPVCと省略する場合がある。)やポリエステル樹脂シートをラミネートしたり、あるいは、鋼鈑に塩化ビニル樹脂のゾルをコーティングしたりして得られる、いわゆる塩ビ鋼鈑やポリエステル鋼板は、その優れた美粧性および耐久性により、従来から、家電製品、家具製品、建築材料等の各種用途に広く使用されている。
一般的に塩ビ鋼鈑、ポリエステル鋼板の製造方法としては、(1)鋼鈑に接着剤を塗布して焼き付け、これに塩化ビニル樹脂シートやポリエステル樹脂シートをラミネートする方法、(2)鋼鈑に接着剤を塗布して焼き付け、その上に塩化ビニル樹脂またはポリエステル樹脂をシート状に溶融押出ししながら加圧融着する方法等が知られている。上記製造方法(1)および(2)のいずれにおいても、鋼鈑と塩化ビニル樹脂またはポリエステル樹脂との密着性、および、樹脂シート被覆金属板の成型加工時において樹脂シートの剥離を防止して樹脂シート被覆金属板としての加工性等を確保するために、接着剤が使用されている。
このような接着剤として、特許文献1〜7には、金属材料や塩化ビニル樹脂材料に対する接着性が良好であることから、ポリエステル樹脂または変性ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂を、PVCシートやポリエステル樹脂シート被覆金属板用の接着剤として使用した例が開示されている。
特開平1−174582号公報 特開平5−70758号公報 特開平6−313162号公報 特開平9−31438号公報 特許第2525391号公報 特許第2618218号公報 特開2003−246974号公報
しかしながら、特許文献1〜6に記載されている接着剤は、いずれもポリエステル系樹脂を有機溶剤に溶解して接着剤を調製しており、近年の、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場からは、敬遠される傾向にあった。また、ポリエステル系樹脂を用いた接着剤は、耐水性、特に耐熱水性が不十分であり、厳しい接着性能の要求される屋外用途等に使用するのは困難であった。
また、特許文献7には、水性接着剤としてポリエステル樹脂を用いたものが開示されているが、加工性が悪い、耐水性に劣る等の問題があった。また、これらの水性接着剤は、PVCシートやポリエステル樹脂シートの両方に対しては初期密着性は良好であるものの、加工後および熱水試験後には良好な密着性を示すものではなかった。
そこで、本発明は、金属板と樹脂シートとの接着性に優れた低有機溶剤の水性接着剤、および、この水性接着剤を用いて形成した接着性および加工性に優れた樹脂シート被覆金属板を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、主剤と硬化剤とを備えて構成される水性接着剤であって、主剤が、固形分比でカルボキシル基を親水基とする自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)60質量%以上95質量以下と、カルボキシル基を親水基とする自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)5質量%以上40質量%以下を含有してなり、硬化剤が、イソシアネート基を有する化合物とオキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物との混合物を含有してなる、水性接着剤である。このような構成の主剤および硬化剤を備えた水性接着剤とすることで、樹脂シート被覆金属板における樹脂シートと金属板との密着性を良好にできる。また、樹脂シート被覆金属板を加工した際においても樹脂シートと金属板との密着性を良好に保つことができる(以下、この性能を「加工性」をいう場合がある。)。また、耐水性および耐熱水性に優れ、屋外用途等の厳しい接着性能が要求される環境下においても使用可能な樹脂シート被覆金属板を形成できる。また、低有機溶媒の水性接着剤であるので、環境に優しく、危険物規制、職場環境改善等の点からも好ましい。
第1の本発明において、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)を構成するポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が20℃以上90℃以下、分子量が5000以上18000以下、酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下の樹脂であることが好ましく、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)を構成するウレタン樹脂は、ガラス転移温度が−65℃以上−10℃以下の樹脂であることが好ましい。主剤のエマルジョンを構成する樹脂としてこのようなものを使用することで、樹脂シート被覆金属板の密着性、加工性、耐水性、および耐熱水性をより良好にすることができる。
第1の本発明において、硬化剤を構成するイソシアネート基を有する化合物およびオキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物の含有量は、主剤を構成するポリエステル樹脂およびウレタン樹脂のカルボキシル基に対して1当量以上5当量以下とすることが好ましい。このような割合で主剤と硬化剤とを配合することで、樹脂シート被覆金属板の密着性、加工性、耐水性、および耐熱水性を十分に発揮させることができる。
第2の本発明は、金属板、第1の本発明の水溶性接着剤を金属板の少なくとも片面に塗布して形成された接着剤層、および、該接着剤層を介して積層された熱可塑性樹脂シート、を備えて構成される樹脂シート被覆金属板である。第2の本発明の樹脂シート被覆金属板は、本発明の水性接着剤よりなる接着剤層を備えて構成されているので、樹脂シートと金属板との密着性、樹脂シート被覆金属板としての加工性、耐水性および耐熱水性が良好である。
第2の本発明において、熱可塑性樹脂シートとしては、PVCシートまたはポリエステル樹脂シートを用いることができる。本発明の水性接着剤を用いることで、熱可塑性樹脂シートとして、PVCシートおよびポリエステル樹脂シートのいずれも接着することができる。
本発明の水性接着剤は、樹脂シートと金属板とを接着させて、密着性が良好な樹脂シート被覆金属板を形成できる。また、樹脂シート被覆金属板を加工した際においても樹脂シートと金属板との密着性を良好に保つことができる。また、耐水性および耐熱水性に優れ、屋外用途等の厳しい接着性能が要求される環境下においても使用可能な樹脂シート被覆金属板を形成できる。また、低有機溶媒の水性接着剤であるので、環境に優しく、危険物規制、職場環境改善等の点からも好ましい。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
一般的に「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものを称する(日本工業規格JISK6900)。また、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、通常はその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品を称する。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本明細書においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとし、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとする。
[水性接着剤]
本発明の水性接着剤は、主剤と硬化剤とから構成されている。
<主剤>
本発明の水性接着剤の主剤は、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)および自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)を含有してなる。ここで、自己乳化型エマルジョンとは、分子内に親水性のカルボキシル基を有し、それ自体が単独で水溶性または水分散性を発揮するエマルジョンをいう。
(自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A))
自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)を構成するポリエステル樹脂は、多塩基酸成分(a)と多価アルコール成分(b)とから合成されるポリエステル系樹脂である。
多塩基酸成分(a)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5‐ヒドロキシイソフタル酸等が挙げられる。
また、3官能以上の多塩基酸を用いることができ、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分(b)としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAと称される2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールSと称されるビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド等のようなビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるビスフェノール構造を有するグリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、多価アルコール成分(b)としては、分岐型脂肪族グリコールを用いることもでき、例えば、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
これらの多価アルコール成分の中では、エチレングリコールとネオペンチルグリコールは工業的に量産されているので安価であり、しかも樹脂被膜の諸性能にバランスがとれており、エチレングリコールは特に樹脂被膜の耐薬品性を向上させ、ネオペンチルグリコールは特に樹脂被膜の耐候性を向上させることから好ましい。また、多価アルコール成分(b)には、3官能以上の多価アルコールとして、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が、多価アルコール成分(b)全体を基準(100モル%)として、10モル%以下の割合で含まれていてもよい。
また、ポリエステル樹脂には、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高沸点のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等の高沸点のモノアルコール、ε-カプロラクトン、乳酸、β-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やそのエステル形成性誘導体が共重合されていてもよい。
(ポリエステル樹脂の酸価)
ポリエステル樹脂の酸価としては、5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下とすることが好ましい。酸価が高すぎる場合は、耐水性が劣ったり、接着性や加工性が不足する傾向がある。一方、酸価が低すぎる場合は、水性媒体中にポリエステル樹脂を分散させるのが難しくなる。
(ポリエステル樹脂の分子量)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析(ポリスチレン換算)により求められたポリエステル樹脂の数平均分子量としては、下限が好ましくは4,000以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは6,000以上、特に好ましくは7,000以上、最も好ましくは8,000以上である。数平均分子量が小さすぎると、接着性や加工性が不足する傾向がある。なお、ポリエステル樹脂に十分な酸価を付与させ易い点および水性接着剤の粘度を適正に保つ点から、数平均分子量の上限は、18,000以下とすることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂には、硬化剤との反応性を高めることを一つの目的として、加工性、基材への密着性等、ポリエステル樹脂の有する長所を損なわない範囲内で水酸基が導入されていてもよい。その場合には、水酸基価としては20mgKOH/gを上限とすることが好ましく、15mgKOH/g以下がより好ましく、10mgKOH/g以下がさらに好ましく、5mgKOH/g以下とすることが特に好ましい。
(ポリエステル樹脂のガラス転移温度)
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、ガラス転移温度をTgと略する場合がある。)は、接着性と加工性とのバランスが取り易いという点から、下限が好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、上限が好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。Tgが低すぎると耐水性が劣るなどの問題があり、逆にTgが高すぎると密着性が出ないなどの問題がある。
(自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)の製造方法)
ポリエステル樹脂は、上記した多塩基酸成分(a)の1種類以上と多価アルコール成分(b)の1種類以上とを公知の方法で重縮合させることによって製造することができる。本発明の数平均分子量と酸価の範囲を有するポリエステルを得る方法としては、重縮合反応を目標とする分子量以上の段階まで進めた後、多塩基酸成分(a)をさらに添加し、不活性雰囲気下、常圧〜加圧系で解重合を行う方法等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂の水系化の方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法によればよい。例えば、有機溶剤の存在下または非存在下で、前記多塩基酸成分(a)、多価アルコール成分(b)、水酸基2個以上とカルボキシル基1個以上を有する化合物(c)、塩形成剤(d)を必要に応じて鎖延長剤や重合停止剤等と反応させてポリエステル樹脂を作製して、塩基で中和後、必要により有機溶剤を除去することによりポリエステル樹脂エマルジョンを得る方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、水酸基2個以上とカルボキシル基1個以上を有する化合物(c)としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のジメチロールアルカン酸が挙げられる。中でも好ましいのは、ジメチロールプロピオン酸である。
また、塩形成剤(d)としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミン等のN−ジアルキルアルカノールアミン類等が挙げられる。これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。これらのうち好ましいものは、トリアルキルアミン類であり、特に好ましいものは、トリエチルアミンである。
必要により樹脂成分中に含ませる鎖延長剤の具体例としては、低分子ポリオールおよびポリアミンが挙げられる。低分子ポリオールとしては、例えば、以下のポリウレタン樹脂エマルジョン(B)の説明においてポリエステルポリオールの原料として挙げる2価アルコール、およびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)、ビスフェノールのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、およびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)等が挙げられる。
また、必要により樹脂成分中に含ませる重合停止剤としては、メタノール、ブタノール、シクロヘキサノール等の低分子モノアルコール類、モノ−およびジ−エチルアミン、モノ−およびジ−ブチルアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。
自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)の市販品としては、エリーテル(ユニチカ社製)、バイロナール(東洋紡績社)、ペスレジン(高松油脂社製)、ゴーセノール(日本合成化学社製)等が挙げられる。
(自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B))
カルボキシル基を親水基とする自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)は、例えば、高分子ポリオール(e)、水酸基2個以上とカルボキシル基1個以上を有する化合物(c)、有機ポリイソシアネート(f)、および、必要により鎖延長剤、重合停止剤から合成されるウレタン樹脂を、さらに、塩形成剤(d)によって水中に乳化させてなるアニオン性自己乳化型ウレタン系樹脂エマルジョンを意味する。
高分子ポリオール(e)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリオレフィンポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシドを重合、または共重合させて得られたものが挙げられる。その具体例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(ブロック共重合またはランダム共重合)グリコール、ポリオキシエチレン−ポリテトラメチレンエーテルグリコール(ブロック共重合またはランダム共重合)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールの具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、グルタル酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および/または、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等の2価アルコールとを、重縮合させたものが挙げられる。その具体例として、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオール等が挙げられる。ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどが挙げられる。ポリオレフィンポリオールの具体例として、ポリブタジエングリコール、ポリイソブチレングリコール、これらの水素化物等が挙げられる。以上、例示した高分子ポリオール(e)は、単独でも2種以上の併用であってもよい。これら高分子ポリオール(e)のうち好ましいものは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオールおよびポリカーボネートポリオールである。
水酸基2個以上とカルボキシル基1個以上を有する化合物(c)は、上記ポリエステル樹脂エマルジョン(A)において使用したものと同様である。
有機ポリイソシアネート(f)は、分子中にNCO基を有する有機化合物であって、;炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同じ)が2以上12以下の脂肪族ジイソシアネート;炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート;炭素数8以上12以下の芳香脂肪族ジイソシアネート;炭素数6以上20以下の芳香族ジイソシアネート;該脂肪族ジイソシアネートまたは該脂環式ジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレートおよびピーレット変性ポリイシシアネート等をいう。
脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ジイソシアネートの具体例としては、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α、α、α’、α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これら例示した有機ポリイソシアネート(f)は、単独でも2種以上の併用であってもよい。
塩形成剤(d)、必要により樹脂成分中に含ませる鎖伸長剤および重合停止剤は、上記ポリエステル樹脂エマルジョン(A)において使用したものと同様である。
なお、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)の市販品としては、例えば、エバファノール(日華化学社製)、ユーコート(三洋化成工業社製)、パーマリン(三洋化成工業社製)、スーパーフレックス(第一工業製薬社製)、ボンディック(大日本インキ社製)、タケラック(三井化学ポリウレタン社製)等が挙げられる。
自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)を構成するウレタン樹脂は、ガラス転移温度が−65℃以上−10℃以下であることが好ましい。Tgが低すぎるウレタン樹脂は、そのものの作製が難しく、耐熱性、耐水性が劣る等の問題がある。逆に、Tgが高すぎる場合は、樹脂シートの密着性が低下する傾向がある。
(配合比)
上記した主剤を構成する自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)と自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)との配合比は、固形分比で、これら全体の質量を基準(100質量%)として、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)を60質量%以上95質量%以下、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)を5質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。
自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)は、被覆する樹脂シートの密着性を向上させるように機能するが、加工性は自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)より劣る傾向にある。従って、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョンのみで主剤を構成した場合は、樹脂シート被覆金属板は、せん断加工や打ち抜き加工する際に、樹脂シートが剥離し易いという欠点がある。これに対して、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)は、加工性を向上させるように機能するが、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)より密着性が劣る傾向にある。
このような観点から、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)と自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)とを上記範囲で混合すると、相互の長所を生かし欠点を補うことができる。よって、混合物に占める自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)の割合が多すぎると、該接着剤を使用した樹脂シート被覆金属板の加工性が劣る場合がある。また、逆に少なすぎると、樹脂シートと金属板との密着性が劣る場合がある。
<硬化剤>
本発明の水性接着剤を構成する硬化剤は、イソシアネート基を有する化合物、および、オキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物の混合物を含有してなるものである。
(イソシアネート基を有する化合物)
本発明におけるイソシアネート基を有する化合物(以下、「イソシアネート化合物」と省略する場合がある。)とは、イソシアネート基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するものである。このようなイソシアネート化合物を用いることで、さらに樹脂シート被覆金属板の接着性、加工性等を向上させることができる。
イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、4,4´−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ぺルヒドロ−2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ぺルヒドロ−4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、あるいはそれらの改変生成物、あるいは上記ジイソシアネート、あるいはそれらの改変生成物のイソシアネート基の一部あるいは全てがカプロラクタム、フェノール、オキシム、有機アミン等、公知のブロック剤で安定化された、いわゆるブロックイソシアネートが挙げられる。
ここで、改変生成物とは、イソシアネート化合物を公知の方法で変性することによって得られるものであり、例えば、アロファネート基、ビューレット基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基等を有するイソシアネート化合物、さらにはトリメチロールプロパン等の多官能アルコールで変性したアダクト型のイソシアネート化合物を挙げることができる。
イソネシアート化合物としては、上記した主剤であるエマルジョンとの混合が容易であることから、親水性成分を導入する、乳化剤を使用する等により、水性媒体中への分散が容易であるものを使用することが好ましい。また、イソシアネート化合物の中でも、本発明の水性接着剤の可使時間が長くできることからブロックイソシアネートを使用することが好ましい。
イソネシアート化合物としては、例えば、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール3100、デスモジュールN3400、デスモジュールDN等;三井武田ケミカル社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730等;旭化成工業社製のデュラネートWB40-100、デュラネートWB40-80D、デュラネートWX-1741等が入手できる。
ブロックイソシアネートとしては、例えば、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235等;第一工業製薬社製のエラストロンBN−69、エラストロンBN−77、エラストロンBN−27、エラストロンBN−04等;三井武田ケミカル社製のタケネートWB−700、タケネートWB−720、タケネートWB−730、タケネートWB−920等が入手できる。
(オキサゾリン基を有する化合物)
オキサゾリン基を有する化合物(以下、「オキサゾリン化合物」と省略する場合がある。)は、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)や自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)に含まれる樹脂が含有するカルボキシル基と反応して、接着剤組成物が硬化する際に樹脂の間に架橋構造を形成し得る化合物であって、一分子中に2個以上のオキサゾリン基を有する化合物をいう。
オキサゾリン化合物としては、水溶性オキサゾリン樹脂の水溶液またはエマルジョン型のオキサゾリン樹脂(従って、オキサゾリン樹脂のエマルジョン)が、日本触媒社製のエポクロスWS700、WS500およびK1020Eとして、日華化学社製のNKアシストOXとして市販されている。
(カルボジイミド基を有する化合物)
本発明におけるカルボジイミド基を有する化合物(以下、「カルボジイミド化合物」と省略する場合がある。)は、自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)や自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)に含まれる樹脂が含有するカルボキシル基と反応して、接着剤組成物が硬化する際に樹脂の間に架橋構造を形成し得る化合物であって、一分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する化合物であって、水溶性または水分散性を有するポリカルボジイミドであれば特に制限されない。このようなカルボジイミド化合物であれば、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択することができる。
このようなカルボジイミド化合物としては、末端に親水性基を有するものを挙げることができる。このようなカルボジイミド化合物は、例えば、有機ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを形成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性セグメントを付加することにより製造することができる。
このようなカルボジイミド化合物としては、水溶性カルボジイミド樹脂の水溶液やエマルジョン型のものが、日清紡社製のカルボジライトE02、E04、V02、V04として、日華化学社製のNKアシストCIとして市販されている。
上記した硬化剤を構成するイソシアネート化合物とオキサゾリン化合物またはカルボジイミド化合物とは混合して使用される。これらの配合比は、特に限定されないが、硬化剤全体を基準(100質量%)として、イソシアネート化合物を20質量%以上80質量%以下、オキサゾリン化合物またはカルボジイミド化合物を20質量%以上80質量%以下とすることが好ましい。
(主剤と硬化剤との配合比)
本発明の水性接着剤において、主剤と硬化剤との配合比は特に限定されないが、樹脂シート被覆金属板において、十分な接着性、加工性を得る観点から、主剤のカルボキシル基に対して1当量以上5当量以下のイソシアネート化合物およびオキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物を配合することが好ましい。
主剤のカルボキシル基に対して、X当量の化合物を配合するとは、主剤を構成する樹脂の質量と酸化とから算出されるカルボキシル基のモル数に対して、配合する化合物の全モル数が、主剤のカルボキシル基のモル数に対してX倍であるという意味である。
また、主剤と硬化剤との合計量(固形分量)が、水溶性接着剤全体に占める割合は、目的とする接着剤被膜の厚さや性能等により適宜選択される。接着剤の粘性を適度に保ち、かつ良好な接着剤被膜を形成させる観点からすると、主剤と硬化剤の全体の割合(固形分の割合)は、水溶性接着剤全体を基準(100質量%)として、下限が好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、上限が好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
(添加成分)
本発明の水性接着剤には、必要に応じて、硬化触媒が配合されてもよい。好ましい硬化触媒としては、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、テトラ−n−ブチル錫、テトラメチルブタンジアミン等、錫系の硬化触媒が挙げられる。また、さらなる性能の向上のため、シランカップリング剤やチタンカップリング剤が配合されていても良い。
<樹脂シート被覆金属板>
本発明の樹脂シート被覆金属板は、金属板、上記した水性接着剤を金属板の少なくとも片面に塗布して形成した接着剤層、および、該接着剤層を介して積層された熱可塑性樹脂シートを備えて構成されている。
(金属板)
本発明の樹脂シート被覆金属板を構成する金属板としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、ニッケルメッキ鋼板、ブリキ、ティンフリースチール、黄銅、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼板等が挙げられる。これらはその表面が、めっき処理、クロメート処理、リン酸クロメート処理、ジンクロメート処理、アルマイト処理、プライマー塗布処理等の電気化学的処理、無機化学的処理、有機化学的処理が施されたものであってもよい。金属板の厚みは、0.1mm以上1mm以下程度が好ましい。
金属板の表面に施されていてもよいめっき処理としては、単層めっき、複層めっきまたは合金めっきが挙げられる。また、金属板の表面には、接着剤層と金属板との密着性を向上させる目的で、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等によるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理等の化学処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理等の放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理等の電磁波照射処理、その他火炎処理等の表面処理やプライマー処理等の各種表面処理が施されていてもよい。
(熱可塑性樹脂シート)
金属板上に本発明の水性接着剤を介して貼り付けられる熱可塑性樹脂シートとしては、PVCシートまたはポリエステル樹脂シートが挙げられる。本発明の水性接着剤を用いることによって、これらの熱可塑性樹脂シートを良好な接着性で貼り付けることができる。また、貼り付けた後の樹脂シート被覆金属板の加工性も良好となる。
PVCシートは、硬質、半硬質または軟質のPVC樹脂組成物より製造されるものであって、可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)、ジベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフマレート等が配合されたシートである。
また、ポリエステル樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(PETI)、ポリブチレンテレフタレートイソフタレート共重合体(PBTI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−コ−エチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンナフタレート(PBN)からなるシート、およびこれら樹脂を2種以上混合したブレンド樹脂シートが挙げられる。
熱可塑性樹脂シートは、接着剤層に接する側がPVCシートまたはポリエステル樹脂シートであればよく、他の組成のシートをさらに積層した積層シートであってもよい。また、熱可塑性樹脂シートは、表面にエンボス加工等が施されたり、着色剤を配合することで色みが付与されていたり、印刷が施されていたりする意匠性シートであってもよい。
熱可塑性樹脂シートの厚みは、好ましくは20μm以上800μm以下である。
(接着剤層)
接着剤層は、本発明の水性接着剤を、金属板側あるいは熱可塑性樹脂シート側に塗布することにより形成される。接着層の厚さは、下限が好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、上限が好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。接着剤層が厚すぎると加工性が悪くなるという問題が生じる場合があり、薄すぎると接着強度が劣る場合がある。
(樹脂シート被覆金属板の製造方法)
本発明の樹脂シート被覆金属板は、例えば、金属板の片面に水性接着剤を塗布し、該金属板を加熱し、ニップロール等で該接着剤側に熱可塑性樹脂シートを圧着するようにして製造できる。また、熱可塑性樹脂シートの片面に接着剤を塗布し、この接着剤側に、加熱した金属板を圧着するようにして製造してもよい。
いずれの方法おいても、接着剤の塗布方法については、公知の方法を採用することができ、例えば、エアーレス法、スプレーコート、浸漬法、グラビアコート、ロールコート法、バーコート、刷毛塗り法、その他の公知の方法を適宜採用することができる。また、接着剤の塗布量は、乾燥後の厚みが上記した接着剤層の好ましい厚みとなるように塗布するのが好ましい。
さらに、金属板は、150℃以上300℃以下の温度範囲に加熱するのが好ましい。加熱温度が低すぎると、密着強度が弱過ぎて熱可塑性樹脂シートが剥離する可能性がある。逆に、加熱温度が高すぎると、接着剤が熱劣化して密着強度が低下し、加工時の衝撃等により樹脂シートが割れたり剥離したりする原因となる。
<PVCシートの調製>
重合度が1000のポリ塩化ビニル(PVC)100質量部に対して、DOP換算で可塑剤30質量部、安定剤、顔料を添加して、カレンダー法によりシート化して、厚さが150μmの軟質PVCシートを調製した。
<ポリエステル樹脂シートの調整>
下記の組成よりなる樹脂100質量部に対して、着色顔料としてチタン白およびチタン黄を合計16質量部添加したものをTダイ法により厚さ200μmのシートに作製した。このとき、最大高さ(Ry)で85μmである抽象柄のエンボス版が刻印されたキャスティングロールを用いて、Tダイより押し出されると同時に該キャスティングロールで引き取りを行うことにより、樹脂シート表面にエンボス柄の転写を行った。
樹脂組成は、ホモポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5020S)60質量%と、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分の約30モル%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約70モル%がエチレングリコールである実質的に非晶性である共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(イーストマンケミカル・カンパニー社製、イースターPET−G・6763)40質量%である。
<水性接着剤の測定方法>
(ガラス転移温度)
樹脂10mgをサンプルとし、JIS K7121に準じて、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線よりガラス転移温度を求めた。
<樹脂シート被覆金属板の評価方法>
(1)初期密着性
以下の実施例等において製造した樹脂シート被覆金属板から、30mm×120mmの大きさの試験片を切取り、この試験片の樹脂シート部を20mm幅で、剥離速度50mm/分の条件下で、金属板表面から180度方向に剥離した。剥離した際の最大荷重を剥離強度とした。
(PVCシートの場合)
剥離強度が50N/20mm幅以上で材料破断するものを「◎」、40N/20mm幅以上で50N/20mm幅未満を「○」、30N/20mm幅以上で40N/20mm幅未満を「△」、30N/20mm幅未満を「×」として評価した。
(ポリエステル系シートの場合)
剥離強度が80N/20mm幅以上で材料破断するものを「◎」、60N/20mm幅以上で80N/20mm幅未満を「○」、50N/20mm幅以上で60N/20mm幅未満を「△」、50N/20mm幅未満を「×」として評価した。
(2)加工後密着性
以下の実施例等において製造した樹脂シート被覆金属板から、30mm×120mmの大きさの試験片に切り取り、この試験片に50mmの間隔で二本の横線を描き、横線の間隔が60mmになるまで一軸方向に延伸した。これを試験片として、上記(1)と同様の方法で、金属板と樹脂シートとの密着性を評価した。
(PVCシートの場合)
剥離強度が50N/20mm幅以上のものを「◎」、40N/20mm幅以上で50N/20mm幅未満を「○」、30N/20mm幅以上で40N/20mm幅未満を「△」、30N/20mm幅未満を「×」として評価した。
(ポリエステル系シートの場合)
剥離強度が50N/20mm幅以上を「◎」、40N/20mm幅以上で50N/20mm幅未満を「○」、30N/20mm幅以上で40N/20mm幅未満を「△」、30N/20mm幅未満を「×」として評価した。
(3)熱水試験後密着性
以下の実施例等において製造した樹脂シート被覆金属板から、30mm×120mmの大きさの試験片を切取り、この試験片を沸騰水中に5時間浸漬して引き上げ、この試験片について上記(1)におけると同様の方法で、樹脂シートの密着性を評価した。なお、この熱水試験後密着性に優れていることは、同時に耐水性も優れていることを意味する。
(PVCシートの場合)
剥離強度が50N/20mm幅以上のものを「◎」、40N/20mm幅以上で50N/20mm幅未満を「○」、30N/20mm幅以上で40N/20mm幅未満を「△」、30N/20mm幅未満を「×」として評価した。
(ポリエステル系シートの場合)
剥離強度が60N/20mm幅以上のものを「◎」、40N/20mm幅以上で60N/20mm幅未満を「○」、30N/20mm幅以上で40N/20mm幅未満を「△」、30N/20mm幅未満を「×」として評価した。
表3および表4において、以上の密着性の評価の横に、実際に測定された剥離強度(N/20mm幅)を示した。
また、総合評価においては、一つでも×があるものを「×」とし、すべてが○あるいは◎のものを「○」とし、それ以外を「△」として評価した。総合評価が「○」のものは、樹脂シート被覆金属板として密着性、加工性、耐水性、耐熱水性が優れたものであり、「△」のものは、若干評価は劣るが実用上問題のないレベルである。
<実施例1〜11、比較例1〜5>
表1に示すポリエステル樹脂エマルジョンおよび表2に示すウレタン樹脂エマルジョンを、表3および表4に示した配合条件で硬化剤と配合して水性接着剤を調製した。そして、溶融亜鉛メッキ鋼板(厚み0.45mm)上に、乾燥後塗布厚みが3μmとなるように水性接着剤を塗布し、80℃で乾燥させた後、200℃(PVCシート被覆時)、240℃(ポリエステル樹脂シート被覆時)に鋼板を加熱して、1対のラミネートロールによりPVCシートおよびポリエステル樹脂シートを各々鋼板上にラミネートして、PVCシート被覆金属板ならびにポリエステル樹脂シート被覆金属板を得た。
Figure 2008260831
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Figure 2008260831
Figure 2008260831
表3および表4において、イソシアネート化合物としては、NKアシストNY(日華化学社製)を用いた。オキサゾリン化合物としては、エポクロスWS500(日本触媒社製)を用いた。カルボジイミド化合物としては、カルボジライトE02(日清紡績社製)を用いた。シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランTSL8350(GE東芝シリコーン社製)を用いた。
表3および4中の配合比は、それぞれ固形分比で表されており、ポリエステル樹脂エマルジョンおよびウレタン樹脂エマルジョンについては、これら樹脂エマルジョンの合計量を100質量%とする、質量%で表されている。また、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、シランカップリング剤については、上記樹脂エマルジョン全体を100質量部とした場合の、それぞれの質量部で表されている。
表3および表4より以下のことが明らかになった。
好ましい形態のポリエステル樹脂エマルジョン1にイソシアネート化合物またはカルボジイミド化合物を配合した接着剤は、加工後および熱水試験後の密着性に劣るものであった(比較例1、2)。ウレタン樹脂エマルジョン(B)の配合量が少ないものは、加工後の密着性が劣っていた(比較例3)。
ウレタン樹脂エマルジョン(B)の含有量が多すぎる場合は、ポリエステル樹脂シートに対する密着性が劣っていた(比較例4、5)。
ウレタン樹脂エマルジョン(B)を本発明の好ましい形態以外のもの(ウレタン樹脂エマルジョン3)にした場合は、実用上問題のないレベルではあるものの評価はやや劣るものであった(実施例9)。
ポリエステル樹脂エマルジョンを本発明の好ましい形態以外のもの(ポリエステル樹脂エマルジョン3、ポリエステル樹脂5)にした場合は、実用上問題のないレベルではあるものの評価はやや劣るものであった(実施例10、実施例11)。
ポリエステル樹脂エマルジョンをスルホン酸塩基を親水性基とするもの(ポリエステル樹脂エマルジョン4)にした場合は、評価は劣るものであった(比較例6)。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う水性接着剤、樹脂シート被覆金属板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (5)

  1. 主剤と硬化剤とを備えて構成される水性接着剤であって、
    前記主剤が、固形分比でカルボキシル基を親水基とする自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)60質量%以上95質量以下と、カルボキシル基を親水基とする自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)5質量%以上40質量%以下を含有してなり、
    前記硬化剤が、イソシアネート基を有する化合物とオキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物との混合物を含有してなる、水性接着剤。
  2. 前記自己乳化型ポリエステル樹脂エマルジョン(A)を構成するポリエステル樹脂が、ガラス転移温度が20℃以上90℃以下、分子量が5000以上18000以下、酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下の樹脂であり、
    前記自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(B)を構成するウレタン樹脂が、ガラス転移温度が−65℃以上−10℃以下の樹脂である、請求項1に記載の水性接着剤。
  3. 前記硬化剤を構成するイソシアネート基を有する化合物およびオキサゾリン基またはカルボジイミド基のいずれかを有する化合物の含有量が、前記主剤を構成するポリエステル樹脂およびウレタン樹脂のカルボキシル基に対して1当量以上5当量以下である、請求項1または2に記載の水性接着剤。
  4. 金属板、請求項1〜3のいずれか記載の水溶性接着剤を金属板の少なくとも片面に塗布して形成された接着剤層、および、該接着剤層を介して積層された熱可塑性樹脂シート、を備えて構成される樹脂シート被覆金属板。
  5. 前記熱可塑性樹脂シートが、PVCシートまたはポリエステル樹脂シートである、請求項4に記載の樹脂シート被覆金属板。
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