JP2008259988A - 粉砕処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メディア攪拌型湿式粉砕機を用いる連続式粉砕処理方法において、処理物を粉砕容器の下側から抜き出す場合の、液面制御方法を提供する。
【解決手段】竪型円筒状の粉砕容器51内に回転式攪拌部材52を備えたメディア攪拌型湿式粉砕機50を用いて連続的に行われる粉砕処理方法10は、粉砕容器51における液面の制御が、攪拌部材52の攪拌動力を制御量とし、処理物の流入量又は流出量を操作量として行われる。粉粒体のスラリー化と共に行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、竪型のメディア攪拌型湿式粉砕機を用いて連続的に粉砕処理を行う粉砕方法に関し、特に、粉砕容器における液面制御に関する。
メディア攪拌型湿式粉砕機は、インク、塗料、セラミック、金属、無機物、有機物、磁性体、顔料、医薬品等の分野において、粉砕処理や分散処理に広く用いられている。湿式粉砕処理の中には、最初に粉粒体と液体とを混合するスラリー化処理から出発するものも少なくない。例えば特許文献1には、その一例が記載されている。
図4に示すように、この粉砕処理方法110は、混合機160を用いて固体粉末と液体とを混合してスラリー化するプレミキシング工程と、分散機170を用いてスラリーに剪断力及び圧力変化を与える分散工程と、竪型のメディア攪拌型湿式粉砕機150を用いて微粉砕する粉砕工程とを備えている。そして、連続的に粉砕処理された処理物は、ストックタンク180に貯蔵されている。
メディア攪拌型湿式粉砕機150は、竪型円筒状の粉砕容器151内に回転式攪拌部材152を備えている。粉砕容器151は、下部に処理物の供給口を、上部に排出口を備えており、処理物は粉砕容器151内を下から上に向かって連続的に流動することになる。粉砕容器151内の液面レベルは、排出口の位置により定まる位置において一定となる。このように、一旦スラリー化した処理物を扱う場合の連続粉砕処理は、容易に行うことができる。
また、粉砕容器151の形状は、その長さと直径との比(L/D比)を比較的大きな形状としてピストンフローに近い内部流動状態を得ることが可能であり、ショートパスの発生を起こさないで、粉砕効率の高い処理を行うことができる。
これに対して、最近では一つのメディア攪拌型湿式粉砕機で、スラリー化処理と粉砕処理とを同時に行うことにより、システムの合理化を図る処理が試みられている。この場合、粉粒体を受け入れる供給口は、必然的に粉砕容器の上部に設けることになる。したがって、粉砕容器の構造は、その上部に粉粒体及び液体の供給口を備え、下部に排出口を備えることになる。また、処理物は粉砕容器内を上から下に向かって流動することになる。
この場合、粉砕容器内の液面レベルを、一定に保持する方法が問題となる。一定な液面レベルは、安定した連続処理を行うために必要であると共に一定の粒度分布を備えた製品を得るために重要である。そして、液面レベルは、充填された粉砕メディアの上面レベルの近傍において、高い精度で制御されることが好ましい。しかしながら、粉砕メディアが攪拌されている状態で、通常のレベル計を用いることは困難である。
また、粉砕容器の形状は、上部に粉粒体を投入するための広い空間を必要とするので、L/D比をあまり大きくすることができない。このため、処理物は激しく流動することになり、粉砕容器の上部では外側から中央に向かう流れが発生すると共に、中央部では上から下に向かう強い流れが発生する。この結果、投入された粉粒体が中央部を通ってショートパスし、排出口の手前にあるスクリーンで目詰まりを起こしたり、粗粒のまま排出されたりすることが問題となる。
特開平7−51590号公報
そこで、本発明の目的とするところは、竪型円筒状の粉砕容器内に回転式攪拌部材を備えたメディア攪拌型湿式粉砕機を用いて連続的に行われる粉砕処理方法において、処理物を粉砕容器の下側から抜き出す場合に好適な、液面制御方法を提供することにある。また、粉砕容器に直接粉粒体を投入してスラリー化処理を行う場合においても、粉粒体がショートパスを起こすことのない粉砕処理方法を提供することにある。
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係る粉砕処理方法は、竪型円筒状の粉砕容器内に回転式攪拌部材を備えたメディア攪拌型湿式粉砕機を用いて連続的に行われる粉砕処理方法において、前記粉砕容器の上部に処理物の供給口が、下部に排出口が設けられ、前記粉砕容器における液面の制御が、前記攪拌部材の攪拌動力を制御量とし、前記処理物の流入量又は流出量を操作量として、行われる手段を採用している。
また、本発明の請求項2に係る粉砕処理方法は、請求項1に記載の粉砕処理方法において、前記処理物が前記粉砕容器からポンプを用いて抜き出され、前記操作量が前記ポンプの流出量である手段を採用している。また、本発明の請求項3に係る粉砕処理方法は、請求項1又は2に記載の粉砕処理方法において、前記攪拌部材が、駆動軸に複数の攪拌要素を備えて形成され、前記粉砕容器の内径Dと前記駆動軸の外径dとの間に式1の関係がある手段を採用している。
0.3D < d < 0.7D ………… (式1)
また、本発明の請求項4に係る粉砕処理方法は、請求項1乃至3の何れかに記載の粉砕処理方法において、前記粉砕処理が、粉粒体のスラリー化と共に行われる手段を採用している。
本発明の粉砕処理方法は、前記のような構成としたことにより、竪型円筒状の粉砕容器内に回転式攪拌部材を備えたメディア攪拌型湿式粉砕機を用いて連続的に行われる粉砕処理方法において、処理物を粉砕容器の下側から抜き出す場合においても、精度の高い液面制御を行うことができる。また、粉砕容器に直接粉粒体を投入してスラリー化処理を行う場合においても、粉粒体のショートパスを起こさないで、粉砕効率の高い処理を行うことができる。
本発明者らは、メディア攪拌型湿式粉砕機を用いた粉砕処理において、上記の液面制御に関して鋭意研究の結果、攪拌部材の攪拌動力と液面レベルとの間に意外な関係が発生する事実を発見した。すなわち、図3に示すように、液面レベルを上昇させていくと、あるレベル以上では攪拌動力が低下するのである。
この現象は、常に発生するとは限らない。研究の結果、粉砕メディアの比重が比較的小さい場合に顕著に発生し、また、処理物が高濃度で高粘度である場合に顕著に発生することが分かった。また、この動力低下が発生する時の液面レベルは、粉砕メディアの充填高さにほぼ等しいことが分かった。すなわち、この現象は、粉砕メディアが処理物によって浮力を受ける結果と考えられる。
したがって、上記の動力低下が発生する変化領域を利用することにより、粉砕動力を制御することが可能であり、これを用いて液面の制御をする本発明に到達した。粉砕動力が大きいときほど粉砕効率も高くなるので、変化領域の中でも、比較的大きな動力範囲を目標値として設定することが好ましい。
図3において、動力低下が発生する直前の攪拌動力をW1、動力低下後に最小となる攪拌動力をW2、運転時の攪拌動力をWとすると、下記の式2で定義されるKの値は、1>K>0.5の範囲が好ましく、1>K>0.8の範囲がより好ましい。Kが1以上では、スラリー液面レベルは低く、メディア攪拌に大きな動力を費やし、粉砕効率が低下する。Kが0.5以下では、処理物によって粉砕メディアが受ける浮力の影響が顕著となり、攪拌動力及び粉砕能力が低下する。
K=(W−W2)/(W1−W2) ………… (式2)
以下、本発明の実施の形態について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の粉砕処理方法の一例を示す流れ図であり、図2は、本発明で用いるメディア攪拌型湿式粉砕機の一例を示す概略構造図である。
図1に示す本発明の粉砕処理方法10は、メディア攪拌型湿式粉砕機50を用いて連続的に行われる処理方法であって、粉粒体のスラリー化と共に粉砕処理を行うことが可能である。粉砕機50は、竪型円筒状の粉砕容器51内に回転式の攪拌部材52を備えており、粉砕容器51の上部には、粉粒体及び液体の供給口を備えている。粉粒体は定量供給機20から定量的に供給され、液体も流量計等を備えた配管21により定量的に供給される。
攪拌部材52は、円柱状の駆動軸53に、ピン型の攪拌要素54を複数備えて形成されている。駆動軸53は、電動機56の動力が減速機57を介して伝達され、適当な回転数で回転されるようになっている。また、粉砕容器51内には粉砕メディアが充填されている(図示せず)。したがって、電動機56を回転することにより攪拌部材52が回転し、粉砕メディアと共に処理物が攪拌されるので、スラリー化及び粉砕処理が進行することになる。
粉砕容器51内において、処理物が上下に激しく流動することを防止するために、駆動軸53の直径は、従来の場合よりも太めに形成されることが好ましい。具体的には、粉砕容器51の内径をDとし、駆動軸53の外径をdとするとき、0.3D<d<0.7Dの関係とすることが好ましく、0.4D<d<0.6Dの関係とすることがより好ましい。これによって、処理物の激しい流動を抑制し、ショートパスの発生を防止することができる。
粉砕容器51の下部には、セパレータ55を備えた排出口が設けられており、処理物と粉砕メディアとを分離し、処理物のみを排出できるようになっている。処理物の排出は、ポンプ30を用いて所定の範囲で可変的に行われ、これにより液面の制御が行われるようになっている。
制御装置40は、電動機56の消費電力を攪拌部材52の攪拌動力として検出することができ、図3に示すような変化領域における攪拌動力を目標値として設定することができる。また、ポンプ30の流出量を変えるように操作することができる。そして、攪拌部材52の攪拌動力を制御量とし、ポンプ30の流出量を操作量として、フィードバック制御を行うようになっている。
この場合、粉砕容器51における処理物の流出量を操作量としたが、処理物の流入量を操作量とすることも可能である。しかしながらこの場合には、粉粒体と液体の両方を操作量とすることになるので、複雑となってあまり好ましくない。流出量を操作する方法は、特に限定されるものではない。例えば、遠心ポンプを用いて流量調整弁を操作する方法もある。しかしながら、ダイヤフラムポンプ等の定量ポンプを用いて、ストロークを操作する方法が簡単であり、より好ましい。
本発明の粉砕処理方法の一例を示す流れ図である。 本発明で用いるメディア攪拌型湿式粉砕機の一例を示す概略構造図である。 液面レベルと攪拌動力との関係を示すグラフである。 従来の粉砕処理方法の一例を示す流れ図である。
符号の説明
10、110 粉砕処理方法
20 定量供給機
21 配管
30 ポンプ
40 制御装置
50、150 メディア攪拌型湿式粉砕機
51、151 粉砕容器
52、152 攪拌部材
53 駆動軸
54 攪拌要素
55 セパレータ
56 電動機
57 減速機
160 混合機
170 分散機
180 ストックタンク

Claims (4)

  1. 竪型円筒状の粉砕容器内に回転式攪拌部材を備えたメディア攪拌型湿式粉砕機を用いて連続的に行われる粉砕処理方法において、
    前記粉砕容器の上部に処理物の供給口が、下部に排出口が設けられ、
    前記粉砕容器における液面の制御が、前記攪拌部材の攪拌動力を制御量とし、前記処理物の流入量又は流出量を操作量として、行われることを特徴とする粉砕処理方法。
  2. 前記処理物が前記粉砕容器からポンプを用いて抜き出され、前記操作量が前記ポンプの流出量であることを特徴とする請求項1に記載の粉砕処理方法。
  3. 前記攪拌部材が、駆動軸に複数の攪拌要素を備えて形成され、前記粉砕容器の内径Dと前記駆動軸の外径dとの間に式1の関係があることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉砕処理方法。
    0.3D < d < 0.7D ………… (式1)
  4. 前記粉砕処理が、粉粒体のスラリー化と共に行われることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の粉砕処理方法。
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