JP2011230950A - 重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、比較的小さな容量のモータを備えた循環型湿式メディア撹拌ミルを用いて、効率よく、かつ製品の粒度の細かい設定が可能な重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、重質炭酸カルシウムの粒子を分散媒体に分散してなる原料スラリ中の重質炭酸カルシウム粒子を循環型湿式メディア撹拌ミルによって粉砕する重質炭酸カルシウムの粉砕方法において、メディア撹拌ミルの撹拌部材を回転駆動するモータの回転数を調節して、該メディア撹拌ミルのモータの動力が一定になるようにしたことを特徴とする重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法に関し、更に詳細には、製紙用填料の原料として用いられる重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法に関する。
製紙用填料である重質炭酸カルシウムは、天然の石灰岩を粉砕して製造されている。石灰岩は太古の昔にサンゴや有孔虫などの遺骸が沈澱し堆積したものが起源で、地殻変動による変形作用をうけて隆起し、石灰岩の鉱床を形成した。石灰岩の鉱床は、日本全国に広く分布している。日本で産出する天然資源としては他の鉱産資源に比べてとても豊富であり、国内で唯一自給可能な資源である。
重質炭酸カルシウムは、現状、粒度d50 2μmおよび1μmクラスが主力である。
ところで、トップコート(製紙用コーティングカラー)の原料には、カオリンが多用されているが、輸入鉱物であり、供給の不安定性とコスト高から、代用品が望まれている。重質炭酸カルシウムの粒度をさらに細かくすることで代用が可能となることが判明した。目標粒度は、0.3μmまたは0.8μmであり、粉砕コストを試算すると十分に採算が取れる。
従来、重質炭酸カルシウムの粉砕には、例えば、特公昭63−27479号公報、特公平1−15640号公報、特公平3−46597号公報、特公平4−33731号公報等に記載されているように、通常、竪型メディア撹拌ミル(サンドミル)が使用されていたが、パス方式のため粒度の細かいコントロールが困難であり、流量も少ないため発熱により投入動力に制限を受け、能率向上は望めない状況である。
上記の問題は、例えば、特公平1−50450号公報に示されているように、大量循環型のメディア撹拌ミルを使用することで、ある程度解決できるが、現状の撹拌部材回転数一定の運動方法では粉砕初期に大きな動力を消費し、より大きな容量のモータが必要となる。また、粉砕が進行するとともに入力電力の低下があり、初期以降は、半分程度の電力負荷率となるため効率低下を招く。
特公昭63−27479号公報 特公平1−15640号公報 特公平3−46597号公報 特公平4−33731号公報 特公平1−50450号公報
そこで本発明は、比較的小さな容量のモータを備えた循環型湿式メディア撹拌ミルを用いて、効率よく、かつ製品の粒度の細かい設定が可能な重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の(1)〜(4)の構成の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法によって達成される。
(1)
重質炭酸カルシウムの粒子を分散溶媒に分散してなる原料スラリ中の重質炭酸カルシウム粒子を循環型湿式メディア撹拌ミルによって粉砕する重質炭酸カルシウムの粉砕方法において、メディア撹拌ミルの撹拌部材を回転駆動するモータの回転数を調節して、該メディア撹拌ミルのモータの動力が一定になるようにしたことを特徴とする重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
(2)
原料スラリにおける重質炭酸カルシウムの重量割合が60〜78%である上記(1)に記載の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
(3)
重質炭酸カルシウムの原料粒度がd50=8〜40μmであり、製品粒度がd50=0.3〜3μmである上記(1)〜(2)のいずれかに記載の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
(4)
製品となった重質炭酸カルシウムが製紙用コーティングカラー又は填料として用いられる(1)〜(3)のいずれかに記載の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
循環型湿式メディア撹拌ミルの粉砕の初期から処理終了までほぼ動力が一定になるように回転数(周速)を制御し、安定運転を行う。モータは、負荷のピークが出ないので小さくてよく、モータ容量の高効率域で使用するため効率がよい。また、能率向上が望めるなどの利点を有する。
更には、メディア撹拌ミルが循環型なので、製品の粒度を細かく調整できるとともに、粒度分布が狭くなり、良い性能のものとなる。
本発明のフローシートを示す図である。 本発明と従来の運転での動力比較を示す図である。 本発明と従来の運転での粒度(d50)と時間の比較を示す図である。 モータ負荷率と効率比較を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法に使用される循環型湿式メディア撹拌ミルについて説明する。
図1中、符号1は循環型湿式メディア撹拌ミルを示し、この循環型湿式メディア撹拌ミル1は、粉砕容器2を備えている。この粉砕容器2は、内部に円柱状の粉砕室2aを備えており、この粉砕室2a内にスラリー状の原料を導入するための原料スラリー供給口3を有している。
上記粉砕容器2の粉砕室2aの内部には、攪拌部材4が回転自在に配置されている。上記撹拌部材4には、一端がこの撹拌部材4のハブに取り付けられ、そこから粉砕容器2を軸方向に貫通して延びる撹拌部材駆動軸である回転駆動軸5が固定されている。この回転駆動軸5は、その粉砕容器から突出した端部が、図示しない周知の駆動機構を介してモータ6に接続されており、回転駆動される。この回転駆動軸5の回転軸(回転軸線)は粉砕室2aの中心軸を通っていることが好ましい。なお、上記回転駆動軸5には、図示はしていないが、軸封(メカニカルシール等)が設けられている。
メディア攪拌ミルにおいて周知のように、粉砕容器2の内部には、ビーズ状の粉砕メディア7(なお、図においては極めて拡大して示した)が収納されている。
この粉砕メディアの総容積が、粉砕室の容積の70%〜90%である。
上記粉砕容器2の粉砕室2aの内部であって上記撹拌部材4の内部に一部が挿入されて配置され、原料スラリ内に分散したメディア7を該原料から分離するためのメディア分離部材8が設けられている。このメディア分離部材8としては、スクリーン状のものや、遠心力を利用したものが用いられる。
粉砕容器12の外周には、冷媒体または熱媒体(通常は冷媒体であって、冷却水)を通すためのジャケット9が設けられており、粉砕室2a内を温調可能にしている。このジャケット9には、下方部分に冷却水を導入するための冷却水入口10、上方部分に冷却水を排出するための冷却水出口11が設けられている。
上記モータ6には、インバータ12を介してPID制御回路13が接続されている。PID制御回路13は、モータ6動力を一定にするため、PID制御を行い、設定電力になるようにインバータ12の出力周波数を変動する。
メディア攪拌ミル1の原料スラリ出口8は、パイプ14の一端に接続され、該パイプ14の他端は、原料スラリを冷却するための冷却器15を介してスラリータンク16の上部に開放されている。タンク16の底部はバルブ17付きパイプ18によりポンプ19を介してメディア攪拌ミル1の原料スラリ供給口3に接続されている。スラリータンク16内には、電動モータ20により回転駆動される撹拌羽根21が配置されている。この配置により、原料スラリは被粉砕粒子が所望の微細粒に分散されるまで、繰り返しメディア攪拌ミル1に通される。
粉砕容器7の容積を1.6リットル、原料スラリの供給量を360リットル/h(680kg/h)とし、実施例としては、モータの設定電力を15kWとしたものを、比較例としては、モータ6の周速を14m/sと一定にしたものを用い、実際に重質炭酸カルシウムの粉砕を行った。原料スラリ中の重質炭酸カルシウム重量割合は75重量%、原料重質炭酸カルシウムのd50は8μmとし、スラリ20kg(10.5リットル)として実験を行った。モータの設定電力を15kWとしたのは、モータの負荷率と効率比較の実験を行ったところ、図4に示したように、15kWが最も効率が良かったからである。
実施例および比較例ともに、重質炭酸カルシウムのd50が1μmなるまで、原料スラリを繰り返しメディア攪拌ミルに通した。
その結果である「実施例および比較例の運転での動力と時間の比較」、「実施例および比較例の運転での粒度d50時間の比較」を図2,図3にそれぞれ示した。」
図2から分かるように、比較例では、実施例の設定電力より約7kw大きい約22kwの最大電力となるとともに、重質炭酸カルシウムのd50が1μmなるまでの時間が、比較例の方が実施例より、約0.05時間ながかった(図3にも示した)。また、スラリーの処理量は実施例で67kg/h、比較例で57kg/hであった。
以上より、本発明の効果が明確である。
1 メディア攪拌ミル
2 粉砕容器
2a 粉砕室
3 原料スラリ供給口
4 攪拌部材
5 回転駆動軸
6 モータ
7 粉砕メディア
8 メディア分離部材
9 ジャケット
10 冷却水入口
11 冷却水出口
12 インバータ
13 PID制御回路
14 パイプ
15 冷却器
16 タンク
17 バルブ
18 パイプ
19 ポンプ
20 電動モータ
21 撹拌羽根

Claims (4)

  1. 重質炭酸カルシウムの粒子を分散溶媒に分散してなる原料スラリ中の重質炭酸カルシウム粒子を循環型湿式メディア撹拌ミルによって粉砕する重質炭酸カルシウムの粉砕方法において、メディア撹拌ミルの撹拌部材を回転駆動するモータの回転数を調節して、該メディア撹拌ミルのモータの動力が一定になるようにしたことを特徴とする重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
  2. 原料スラリにおける重質炭酸カルシウムの重量割合が60〜78%である請求項1に記載の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
  3. 重質炭酸カルシウムの原料粒度がd50=8〜40μmであり、製品粒度がd50=0.3〜3μmである請求項1〜2のいずれかに記載の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
  4. 製品となった重質炭酸カルシウムが製紙用填料又はコーティングカラーとして用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の重質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法。
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