JP2008255540A - 写真風タオル織物及び写真風タオル織物の製織方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】写真織組織部分4では、上経糸32は地緯糸7、8、9と交錯し、裏面側にて1組の色糸10、11、12、13を包み込んで裏面側に順次パイルを形成している。下経糸33は、1組の色糸10、11、12、13のうち柄表現に必要な色糸10のみを表面側に押し上げ表面を繻子織の写真風柄に形成している。隣り合う地緯糸は製織方向と逆方向に密度を高めて織成されている。
【選択図】図2
Description
しかしながら、特許文献4若しくは特許文献5に係る発明において、筬は緯糸を織前まで打ち寄せ緯糸の密度を決定可能であり、又、タオル織機自体に糸の密度を所望密度に調整する機能(高密度化機能)がある。タオル織機が具備する密度調整機能を利用して高密度でタオルを織成すると物理的にタオル織機に負担がかかり、又、超高速でタオルを織成するとタオル織機の性能が追いつかずパイルが形成されなくなるという不具合があった。このように、分解色を緯糸にした場合は、高密度、高精度に柄を織り込むことができるのに対し、タオル織機には上経糸間の距離を縮めて高密度化する機能はないため、分解色に先染めした経糸で柄を製織すると経糸間の横方向距離が長く、高精度な写真風織物を製織不可能であるという問題点があった。又、特許文献4若しくは特許文献5に記載の発明は繻子織の写真風柄表現とタオルの基本的特徴であるパイルを同時に混在させて形成することはできなかった。
又、経糸で柄部分を製織する場合、ドラムに巻き付ける糸の使用量計算と出来上がりの予測が困難であるという欠点がある。ノベに巻着する糸量は、綿糸の伸縮性や不良品の発生を考慮に入れ、余分な長さの経糸を巻着するが、必ずしも経糸の使用量計算通りのタオル枚数は仕上がらず、経糸の過不足が生じる。このことは、必要なタオルを織るためには、必ず余剰在庫を抱える結果を招くという欠点があった。
又、写真の色分解は微細な分解であり、タオル織物が完成しなければ写真精度が判らず、先ずはサンプルを顧客に提示する必要がある。ノベは直径が約30cm程度あり、タオル織機までの距離を考慮するとノベと機械の距離は約1m程度もあり、ノベの外周面に1周巻着し、タオル製織に必要な糸量はタオル1枚分に使用する経糸の長さを超過している。そのため、色分解した画像データの色分解の正確度を確認の為に1枚のサンプルを製織すると、ノベ外周に巻着していた余分な糸を廃棄処分しなければならず、人件費、糸代、電気代、時間等の無駄が生じるという欠点があった。経糸を使用した写真風タオル織物は多ロットになり、人件費がかかり、余剰在庫発生リスクが大になるという欠点を有していた。
しかし、緯糸で写真風柄を表現する場合は、主として次の3の欠点がある。第1の欠点は、緯糸の使用量を多くし縦方向の緯糸密度を高めなければ写真風柄に要求される精密さや柄の緻密さに欠けるため、緯糸の使用量を多くする必要があり、コスト高を招来するという欠点がある。第2の欠点は、写真風柄の精密度や緻密度を高めるために、超強度の圧力を緯糸にかけることが必要で、タオル織機に無理な動作を強制することになり、タオル製品の完成に時間を要し、タオル織機が短寿命化するという欠点がある。第3の欠点は、緯糸のみで写真風柄を製織すると、緯糸が横方向に長く浮く朱子織組織による柄の表現となり、パイルの無いゴワゴワした平面的織物となり、パイルが無いために織物の構造上はタオルとは言えず、又、パイルが無いために肌触りが悪く、吸水性も低下するという欠点があった。
請求項2に係る発明は、地経糸と緯糸を交錯させてタオル地組織を織成し、該タオル地組織内に上経糸又は/及び下経糸でパイルを形成するタオル織物に写真風柄表現部分を設けた写真風タオル織物であって、前記写真風柄表現部分は、タオル織物に表現する写真風柄の原図柄を色分解して特定した夫々の色に染色された色糸を複数本で1組とし、パイル形成部分に於ける上経糸と下経糸との間に緯糸として配設され、前記上経糸で裏面側にパイルを形成し、前記1組の色糸のうち図柄表現のために必要な色糸のみを下経糸上に配設し表面側に表出させて写真風柄を表現し、写真風柄の表現に不必要な残りの色糸は下経糸と裏面側に形成した上経糸よりなるパイルとの間に隠蔽して写真織組織部分を形成し、写真風柄表現部分の周囲は無写真織組織部分に形成し、該無写真織組織部分は、上経糸と下経糸との間に前記1組の色糸を隠蔽して表面又は/及び裏面にパイルを形成し、写真風柄表現部分を全体として精密な写真風柄に表現可能にするために、表面側に表出される色糸と無写真織組織部分のパイルを夫々縦方向に高密度に配設したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機で写真風柄表現部分を設けたタオル織物を製織する写真風タオル織物の製織方法であって、写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれた画像データを色分解し、分解された色のうち写真風柄の表現に必要な色を、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内で複数色を特定する工程と、前記分解された画像を、所定縦幅を有し横方向に延設された写真織組織部分と、所定縦幅を有し横方向に延設された無写真織組織部分を、交互に縦方向に沿って横縞状に区分けする工程と、使用するタオル織機の色糸情報と、色分解された画像データを写真織組織部分と無写真織組織部分に区分けした縦方向織り組織情報をコンピュータに入力し、前記色糸情報と前記縦方向織り組織情報に基づいて前記画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、写真風柄表現部分に於いて上経糸又は/及び下経糸よりなるパイル部分が跨る位置には、前記画像データを色分解し特定された複数本の色糸を1組として射出配設され、写真風柄表現部分の写真織組織部分では、前記1組の色糸のうち写真風柄表現のために必要な色糸は、下経糸で押し上げ下経糸上に配設してタオル織物の表面側に表出し、前記1組の色糸のうち表面側に押し上げられた色糸を除く他の色糸は、裏面側に上経糸でパイルを形成し、該上経糸よりなるパイルと前記下経糸との間に配設して隠蔽し、無写真織組織部分では、前記上経糸と下経糸との間に前記1組の色糸を配設して隠蔽し、地緯糸が射出されている間は、前記タオル織機の製織進行を停止させるか、或いは地緯糸を縦方向に高密度に製織するようにしたことを特徴とする。
地緯糸を縦方向に高密度に詰めて織成しているので、写真織組織部分では表面に浮き出た色糸が縦方向に高密度に配設されて緻密な柄を呈し、又、写真風柄表現部分内の無写真織組織部分では縦方向にパイルが高密度に形成され無写真織組織部分の縦幅が細くなり、写真風柄表現部分全体として無写真織組織部分の存在を理由として写真風柄がぼやけることがなく精密な柄を表現可能であるという効果がある。
上経糸で写真風柄を製織する場合の製織開始準備期間が約1週間という長期間が必要であったのに比較して、本願発明は表現に必要な色糸をアキュムレータに夫々連結すれば足りるため、製織開始準備時間に5分程度の短時間しか要せず、製織準備に要する時間が著しく短縮可能となり、又、小ロット注文に即座に対応可能であるという効果がある。
又、製織開始後に色糸特定の誤りに気付いた場合は、数十秒程度でアキュムレータへの色糸付け替え作業による修正が可能で、従来の上経糸による写真風タオル織物の製織では不可能であった色糸の付け替え修正作業を、僅か数十秒という短時間で行い得るという効果がある。そのため、顧客へ提示するサンプルも極めて容易に短時間で製織完成可能であるという効果がある。
図4に示すように、先ずはタオル織物のどの部分に写真風柄表現部分を設けるか等のタオル織物全体のデザインデータを作成する。
例えば、R、G、Bを夫々1ビット=8色(2(R)×2(G)×2(B))まで減色する。つまり、人間の目に明瞭に認識しにくい高周波成分を削除する。この削除方法の具体例として、ランレングス符号、予測符号化(DPCM)、ハフマン符号化等が考えられる。グラフィックVRAMは画素当り4ビットの容量の場合、24=16種類のパレットを使用でき、16色の濃淡情報を割り当て可能である。又、R、G、Bの夫々が24=16色表示となる。減色の場合、特定の色を表現する場合は色の選択に幅を持たせるためにR、G、Bを2ビット以上、つまり22×22×22=64色以上で減色することも考えられる。
例えば6色しか使用できないタオル織機の場合、毛中のパイル部分に緯糸1色を使用するとすると、ボーダー部の緯糸には残り5色が割り当てられる。グラフィックの初期状態では、パレット各色は0:黒、1:薄青、2:薄赤、3:薄黄、4:薄緑、5:薄水色、6:薄黄色、7:明るい灰色、8:暗い灰色、9:青、10:赤、11:紫、12:緑、13:水色、14:黄色、15:白に設定されている。この段階で写真風織物を作成するのに不必要な色を除去する。白黒写真を使用する場合を例にとると、濃淡情報は1色目は写真の最も暗い影部分として使用する黒色、パレット0:R(0)G(0)B(0)、2色目は光の当たっている最も明るい部分として使用する白色、パレット15:R(15)G(15)B(15)、3色目は1色目と2色目のグラディエーションとなる濃灰色、パレット3:R(3)G(3)B(3)、4色目は中間灰色、パレット7:R(7)G(7)B(7)、5色目は薄灰色、パレット12:R(12)G(12)B(12)と設定し、パレット番号とR、G、Bを割り当てることで擬似色に5色の写真風織物が作成可能となる。モノトーン写真風織物を作成する場合は上記パレット番号+R、G、Bに最も近い色を色糸に使用する。又、カラー写真風織物を作成する場合は、インデックスカラー変換したものを最も近い色の集合体を選び、目測によりグラディエーションの違和感を感じないように不要な色を削除、若しくは置換して選定した色で表現する。選定された色は彩度と明度が近いものであり、カラーパレットの上の彩度と明度が同系統であるものであると、グラディエーションにより写真風に表現しやすい。
実施例3では、モノトーンの写真風柄を製織する場合であって、高周波成分の削除を行って目立たない色を削除し減色後、残った色の中から例えば薄灰色、中間灰色、濃灰色、黒色の4色を特定した4色分解を例に説明する。
画像データは、縦横のピクセル数と織機データであるCGSの紋丈、紋口が、横ピクセル数=紋口、縦のピクセル数=紋丈の関係にあり、画像データを紋口数と紋丈数を織成する織物のサイズに合わせる。画像データの縦方向に区分けした写真織組織部分4と無写真織組織部分5の夫々のデータも鑑みて製織データ(ジャガードデータ)を作成する。
縦方向の色糸やパイルの密度を高める方法は、地緯糸射出中は、製織進行を停止する方法に限定しない。地緯糸が1本射出毎に地緯糸を製織進行と反対方向に力を作用して隣り合う地緯糸を高密度に製織する方法も本願発明に含まれる。
又、図1、図7及び図8では1針並み組織を例に説明したが、本願発明は隣り合う地緯糸が詰められて高密度に製織されていれば、織組織は如何なる組織であってもよい。
4 写真織組織部分
5 無写真織組織部分
7、8、9、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26,27、28、29、30 地緯糸
10、11、12、13 色糸
32 上経糸
33 下経糸
Claims (3)
- 地経糸と地緯糸を交錯させてタオル地組織を織成し、該タオル地組織内に上経糸又は/及び下経糸でパイルを形成するタオル織物に写真風柄表現部分を設けた写真風タオル織物であって、
前記写真風柄表現部分は、タオル織物に表現する写真風柄の原図柄を色分解して特定した夫々の色に染色された色糸を複数本で1組とし、パイル形成部分に於ける上経糸と下経糸との間に緯糸として配設され、
前記写真風柄表現部分は写真織組織部分と無写真織組織部分とを縦方向に交互に配設してなり、
前記写真織組織部分は、前記上経糸で裏面側にパイルを形成し、前記1組の色糸のうち図柄表現のために必要な色糸のみを、下経糸上に配設し表面側に表出させて写真風柄を表現し、写真風柄の表現に不必要な残りの色糸は下経糸と上経糸との間に隠蔽し、
前記無写真織組織部分は、上経糸と下経糸との間に前記1組の色糸を隠蔽して表面又は/及び裏面にパイルを形成し、
写真風柄表現部分を全体として精密な写真風柄に表現可能にするために、表面側に表出される色糸と無写真織組織部分のパイルを夫々縦方向に高密度に配設したことを特徴とする写真風タオル織物。 - 地経糸と緯糸を交錯させてタオル地組織を織成し、該タオル地組織内に上経糸又は/及び下経糸でパイルを形成するタオル織物に写真風柄表現部分を設けた写真風タオル織物であって、
前記写真風柄表現部分は、タオル織物に表現する写真風柄の原図柄を色分解して特定した夫々の色に染色された色糸を複数本で1組とし、パイル形成部分に於ける上経糸と下経糸との間に緯糸として配設され、
前記上経糸で裏面側にパイルを形成し、前記1組の色糸のうち図柄表現のために必要な色糸のみを下経糸上に配設し表面側に表出させて写真風柄を表現し、写真風柄の表現に不必要な残りの色糸は下経糸と裏面側に形成した上経糸よりなるパイルとの間に隠蔽して写真織組織部分を形成し、
写真風柄表現部分の周囲は無写真織組織部分に形成し、該無写真織組織部分は、上経糸と下経糸との間に前記1組の色糸を隠蔽して表面又は/及び裏面にパイルを形成し、
写真風柄表現部分を全体として精密な写真風柄に表現可能にするために、表面側に表出される色糸と無写真織組織部分のパイルを夫々縦方向に高密度に配設したことを特徴とする写真風タオル織物。 - コンピュータ処理されたデータにより、タオル織機で写真風柄表現部分を設けたタオル織物を製織する写真風タオル織物の製織方法であって、
写真、絵画等を画像入力手段により光学的に読み取り、画像データとして、解像度が使用するタオル織機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれた画像データを色分解し、分解された色のうち写真風柄の表現に必要な色を、使用するタオル織機の色糸限定数の範囲内で複数色を特定する工程と、
前記分解された画像を、所定縦幅を有し横方向に延設された写真織組織部分と、所定縦幅を有し横方向に延設された無写真織組織部分を、交互に縦方向に沿って横縞状に区分けする工程と、
使用するタオル織機の色糸情報と、色分解された画像データを写真織組織部分と無写真織組織部分に区分けした縦方向織り組織情報をコンピュータに入力し、前記色糸情報と前記縦方向織り組織情報に基づいて前記画像データを変換する工程とにより作成された織成データに従ってタオル織機を駆動させ、
写真風柄表現部分に於いて上経糸又は/及び下経糸よりなるパイル部分が跨る位置には、前記画像データを色分解し特定された複数本の色糸を1組として射出配設され、
写真風柄表現部分の写真織組織部分では、前記1組の色糸のうち写真風柄表現のために必要な色糸は、下経糸で押し上げ下経糸上に配設してタオル織物の表面側に表出し、
前記1組の色糸のうち表面側に押し上げられた色糸を除く他の色糸は、裏面側に上経糸でパイルを形成し、該上経糸よりなるパイルと前記下経糸との間に配設して隠蔽し、
無写真織組織部分では、前記上経糸と下経糸との間に前記1組の色糸を配設して隠蔽し、地緯糸が射出されている間は、前記タオル織機の製織進行を停止させるか、或いは地緯糸を縦方向に高密度に製織するようにしたことを特徴とする写真風タオル織物の製織方法。
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