JP6606805B2 - 写真風多重織物及び写真風多重織物の製織方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示の二重タオル織物は2種類の地経糸に緯糸を絡ませて平織りのガーゼ織り組織を上下に二重に積層し、一方のガーゼ織り組織の地経糸を昇降することで、2種類の経糸の交叉部で2枚のガーゼ織り組織を結合させ、昇降しない経糸を用いて織成されたガーゼ織り組織にはパイル経糸を用いてパイルを表出させている。
特許文献2に開示の三重タオル織物は、経糸と緯糸で第1層、第2層(中間層)及び第3層からなる三重ガーゼ織物を織成し、パイル表出部分では第2層と第3層の経糸でパイルを形成し、且つ第1層の経糸が交叉結合して第3層側にてガーゼ織り組織を織成し、パイル形成範囲ではガーゼ織り組織とパイルを有するタオル織り組織の二重織物に形成されている。
特許文献1又は特許文献2に開示の織物は、1枚の織物に複雑な図柄が表現されていない平織りのガーゼ織り組織にパイルを組み合わせた単純な柄のタオル織物であった。
ところで、タオル業界は商品に多様性をもたせるためパイルが表出される織物に限定せず、タオル織機を用いてパイルを有しないガーゼ織り組織や朱子織り組織等の面組織のみからなる織物を製織することが提案されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
特許文献3には、複数のガーゼ織り組織を重ねた多重ガーゼ織物であって、ガーゼ織り組織の経糸を上下に隣り合うガーゼ織り組織の経糸と交叉させ、上下に隣り合う緯糸に絡ませることで上下に隣り合うガーゼ織り組織を結合したものが提案されている。
特許文献4には、表面層、中間層及び裏面層の上下3層に積層されたガーゼ織り組織の夫々の層を製織する夫々の経糸を交叉することで3層を互いに結合し、1枚の三重ガーゼ織物を構成することが提案されている。
特許文献5には、表面層、中間層及び裏面層が積層されてなる三重ガーゼ織物に関し、表面層のガーゼ織り組織の経糸と、裏面層のガーゼ織り組織の経糸が中間層を交叉することで表面層、中間層及び裏面層を結合し、中間層には無彩色のワタ糸(嵩高糸)を配設し、表面層或は裏面層の何れにも表出しない緯糸を外部から目立たなくするために中間層のワタ糸と共に、中間層の経糸と交錯してガーゼ織り組織にした三重ガーゼ織物が提案されている。
特許文献6には、ガーゼ織り組織層が四重に積層してなる多重ガーゼ織物であって、特定の色緯糸と交錯する経糸が対となり、特定の色緯糸の昇降と共に対となる経糸も交叉結合するように構成されている。
上記特許文献1〜6に開示の何れの多重織物も、経糸が昇降して交叉することで積層する面組織を結合するので、複雑な柄の表現が困難で、表裏反転等の簡単な柄の表現しかできないという問題点があった。又、タオル用ジャガード機でガーゼ織物を製織する場合は、ジャガード機に改造を施す必要性がある。ジャガード機に改造を施した場合、ガーゼ織物の受注が無いときは、ジャガード機への改造を元に戻しタオル用ジャガード機として使用する。ジャガード機の改造作業や復元作業は専門職人の手により行われ、ジャガード機の改造及び復元に時間及びコストを要し、短納期注文や小ロット注文での生産には不向きであるという問題点があった。
そこで、本発明は、上経糸は表面側面組織の経糸としての作用を、下経糸は裏面側面組織の経糸としての作用をなすように、上経糸と下経糸に夫々役割分担させることで、タオル製織用ジャガード機を改造することがなくそのまま用いてガーゼ織りや朱子織り等のパイルを具備しない面組織を多重織成し、表面側面組織と裏面側面組織の柄表現に不必要な緯糸を表面側面組織と裏面側面組織との間に隠蔽し、表面側面組織と裏面側面組織に表現される柄に反転等の関連性のない複雑な写真風柄を表現可能にすることを目的とする。
請求項2に記載の発明は、表面側面組織の外面に表現する柄の原図案と裏面側面組織の外面に表現する柄の原図案を、夫々画像入力手段により光学的に読み取り、画像データとして解像度が使用するジャガード機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、取り込まれた表面側面組織の外面に表現する表面側面組織用画像データと裏面側面組織の外面に表現する裏面側面組織用画像データを夫々色分解し、分解された色のうち柄表現に必要な色を、使用するジャガード機の色糸限定数の範囲内で複数色を特定する工程と、分解された表面側面組織用画像に所定間隔を有して所定幅の無地ストライプと表面側面組織用画像ストライプを交互に配設して表面側面組織用画像をストライプ画像に分離する工程と、分解された裏面側面組織用画像を所定間隔を有して所定幅の無地ストライプと裏面側面組織用画像ストライプを交互に配設して裏面側面組織用画像をストライプ画像に分離する工程と、前記表面側面組織用のストライプ画像と前記裏面側面組織用のストライプ画像を、夫々の無地ストライプが重合しないように重合し、表面側面組織用画像のストライプ画像と裏面側面組織用画像のストライプ画像を交互に配設する工程とにより作成された織成データに従ってジャガード機を駆動させ、上経糸と交錯し表面側面組織を織成する部分においては、表面側面組織外面に表現する原図案を色分解し特定された複数種類の色緯糸を1組として射出配設され、射出された1組の色緯糸のうち表面側面組織外面に表現する柄に必要な色緯糸を上経糸の外面側に押し上げて表面側面組織外面に表出し、下経糸と交錯し裏面側面組織を織成する部分においては、裏面側面組織外面に表現する原図案を色分解し特定された複数種類の色緯糸を1組として射出配設され、射出された1組の色緯糸のうち裏面側面組織外面に表現する柄に必要な色緯糸を下経糸の外面側に押し下げて裏面側面組織外面に表出し、射出された2組の色緯糸のうち表面側面組織外面又は裏面側面組織外面の何れにも配設されない色緯糸は表面側面組織と裏面側面組織との間に配設されて隠蔽し、織成方向に沿って所定間隔を有して下経糸を上経糸に絡ませ、表面側面組織と裏面側面組織を結合し、表面側面組織外面と裏面側面組織外面には夫々関連性のない柄が表現可能にしたことを特徴とする。
ジャがード機の緯糸射出モーターの数の範囲内で特定した複数種類の色緯糸を表面側面組織用緯糸と裏面側面組織用緯糸に振り分けることで、表面側面組織外面に表現する柄のと裏面側面組織外面表面に表現する柄に表裏反転関係等がなく独立した柄を表現できるという効果がある。
裏面側面組織7は、裏面側面組織7の外面に表出される柄に必要な特定された色に染色された色緯糸8、9を1組とし、この1組の色緯糸8、9のうち、その部分の柄の表現に必要な色緯糸8を選択して下経糸10と交錯し、下経糸10は選択された色緯糸8を外面側に押し下げて裏面側面組織7の外面に柄を表現した平織りのガーゼ織り組織に形成されている
表面側面組織1と裏面側面組織7との間には、表面側面組織1の外面と裏面側面組織7の外面に表出されない色緯糸が織物の厚み方向に沿って重合して配設され隠蔽されている。例えば、図1中において裏面側面組織7に色緯糸8が表出され上経糸6の外面に色緯糸2が表出されている部分では表面側面組織1と裏面側面組織7との間に色緯糸3、4、5、9が隠蔽され、色緯糸が表出されていない部分では表面側面組織1と裏面側面組織7との間に色緯糸5、3、4、2、9が隠蔽され、色緯糸3が表出されている部分で表面側面組織1と裏面側面組織7との間には2、4、5、9が隠蔽されている。
下経糸10は、経糸6、10の長さ方向(織成方向)に沿って所定間隔を有して上昇し、上経糸6に引っ掛けられて絡まって、表面側面組織1に裏面側面組織7を結合している。
実施例1では、表面側面組織1が上経糸6と色緯糸2、3、4、5のうち柄の表現に必要な選択された色緯糸と交錯した平織りのガーゼ織り組織で、裏面側面組織7が下経糸10と色緯糸8、9のうち柄表現に必要な選択された色緯糸と交錯した平織りのガーゼ織り組織によるジャガード織りの二重ガーゼ織物を例に説明した。上経糸6と下経糸10が交錯する色緯糸を複数種類を2組として夫々1組ずつ上経糸用と下経糸用に特定し、夫々に割り当てられた1組の複数種類の色緯糸と上経糸6と下経糸10と交錯するので、上経糸6も下経糸10も交叉することがなく表面と裏面に反転等の関連性を有しない独立した緻密な柄を表現することができる。
裏面側面組織17は、裏面側面組織17の外面に表出される柄に必要な特定された色に染色された色緯糸18、19のうち、その部分の外面に表現される柄等に必要な色緯糸18を選択し、色緯糸18を下経糸20の外面に押し下げて裏面側面組織17の外面に柄を表現した平織りのガーゼ織り組織に織成されている。
表面側面組織11と裏面側面組織17との間には織物の厚み方向に沿って、表面側面組織11の外面と裏面側面組織17の外面に表出していない色緯糸が重合配設して隠蔽されている。例えば、図2において上経糸16の外面に色緯糸12が表出し、下経糸20の外面に色緯糸18が表出している部分では、表面側面組織11と裏面側面組織17との間に色緯糸13、14、15、19が織物の厚み方向に沿って重合配設されて外部から視認不可能に隠蔽されている。
下経糸20は、経糸16、20の長さ方向(織成方向)に沿って所定間隔を有して上昇し、上経糸16に引っ掛かり絡まって、表面側面組織11に裏面側面組織17を結合している。
実施例2では、表面側面組織11が上経糸16と色緯糸12、13、14、15のうち柄の表現に必要な選択された色緯糸と交錯した朱子織り組織で、裏面側面組織17が下経糸20と色緯糸18、19のうち柄表現に必要な選択された色緯糸と交錯した平織りのガーゼ織り組織が結合したジャガード織りの二重織物を例に説明した。上経糸16と下経糸20が交錯する色緯糸を夫々複数種類を1組として割り当てられ、割り当てられた組の複数種類の色緯糸と上経糸16と下経糸20と交錯するので、上経糸16も下経糸20も交叉することがなく表面と裏面に反転等の関連性を有しない独立した柄を表現することができる。
ジャガード機は、色緯糸を射出するモーター数に限定があるので、モーター数の範囲内において減色する必要がある。例えば、モーター数が4個の場合は、図4に示すように4色で分解する。
減色により色を特定することは、表面側面組織の外面に表現する柄の画像データと、裏面側面組織の外面に表現する柄の画像データの両方の画像データについて行う。表面側の画像データにより特定された色に染色された色緯糸は表面側面組織の柄に複数種類を1組とし、又、裏面側の画像データ特定された色に染色された色緯糸は裏面側面組織の柄に複数種類を1組とする。
2、3、4、5、8、9、12、13、14、15、18、19 色緯糸
6、16 上経糸
7、17 裏面側面組織
10、20 下経糸
21 表面側面組織用のストライプ
22 裏面側面組織用のストライプ
Claims (2)
- 上経糸と緯糸を交錯させて織成された面組織の外面に表出した上経糸又は/及び緯糸で写真風柄表現部分を設けた表面側面組織と、下経糸と緯糸を交錯させて織成された裏面側面組織を結合させた写真風多重織物であって、
表面側面組織の外面に表現する原図柄を色分解して特定し夫々の色に染色された複数種類の色緯糸を1組とし、
裏面側面組織の外面に表現する原図柄を色分解して特定し夫々の色に染色された複数種類の色緯糸を1組とし、
表面側面組織の複数種類1組の色緯糸のうち柄表現に必要な色緯糸のみを上経糸と交錯して外面に所望の柄を表出した表面側面組織と、下経糸と裏面側面組織の複数種類1組の色緯糸のうち柄表現に必要な緯糸のみを交錯して外面に所望の柄を表出した裏面側面組織が略平行に積層され、
表面側面組織又は裏面側面組織の何れの外面にも表出していない複数種類の色緯糸を、表面側面組織と裏面側面組織との間に設けられた空間部に配設して隠蔽し、
表面側面組織の上経糸に裏面側面組織の下経糸を絡め、表面側面組織と裏面側面組織を結合させたことを特徴とする写真風多重織物。 - 表面側面組織の外面に表現する柄の原図案と裏面側面組織の外面に表現する柄の原図案を、夫々画像入力手段により光学的に読み取り、画像データとして解像度が使用するジャガード機のデータに対応してピクセル調整されたコンピュータに取り込む工程と、
取り込まれた表面側面組織の外面に表現する表面側面組織用画像データと裏面側面組織の外面に表現する裏面側面組織用画像データを夫々色分解し、分解された色のうち柄表現に必要な色を、使用するジャガード機の色糸限定数の範囲内で複数色を特定する工程と、
分解された表面側面組織用画像に所定間隔を有して所定幅の無地ストライプと表面側面組織用画像ストライプを交互に配設して表面側面組織用画像をストライプ画像に分離する工程と、
分解された裏面側面組織用画像を所定間隔を有して所定幅の無地ストライプと裏面側面組織用画像ストライプを交互に配設して裏面側面組織用画像をストライプ画像に分離する工程と、
前記表面側面組織用のストライプ画像と前記裏面側面組織用のストライプ画像を、夫々の無地ストライプが重合しないように重合し、表面側面組織用画像のストライプ画像と裏面側面組織用画像のストライプ画像を交互に配設する工程とにより作成された織成データに従ってジャガード機を駆動させ、
上経糸と交錯し表面側面組織を織成する部分においては、表面側面組織外面に表現する原図案を色分解し特定された複数種類の色緯糸を1組として射出配設され、射出された1組の色緯糸のうち表面側面組織外面に表現する柄に必要な色緯糸を上経糸の外面側に押し上げて表面側面組織外面に表出し、
下経糸と交錯し裏面側面組織を織成する部分においては、裏面側面組織外面に表現する原図案を色分解し特定された複数種類の色緯糸を1組として射出配設され、射出された1組の色緯糸のうち裏面側面組織外面に表現する柄に必要な色緯糸を下経糸の外面側に押し下げて裏面側面組織外面に表出し、
射出された2組の色緯糸のうち表面側面組織外面又は裏面側面組織外面の何れにも配設されない色緯糸は表面側面組織と裏面側面組織との間に配設されて隠蔽し、
織成方向に沿って所定間隔を有して下経糸を上経糸に絡ませ、表面側面組織と裏面側面組織を結合し、
表面側面組織外面と裏面側面組織外面には夫々関連性のない柄が表現可能にしたことを特徴とする写真風多重織物の製織方法。
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