JP2008254665A - 車両用暖房装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車室空間を形成する車室内面に輻射放熱器を設定し、輻射放熱器を設定した面からの輻射熱で暖房する車両用暖房装置において、輻射放熱器を、基材に敷設した断熱材21と、断熱材21に埋め込み状態で載置された蛇行状態の暖房管20と、を有し、フロアカーペット25を熱放射面とする輻射放熱構造9とし、輻射放熱構造9を、後席側床面を構成するフロアカーペット25から3方向に連続するリアシート下側縦壁部25aとドア側縦壁部25bとセンタートンネル側縦壁部25cに設定した。
【選択図】図3
Description
前記輻射放熱器を、車室空間を形成する車室内面のうち、床面を除く縦面の位置に設定したことを特徴とする。
例えば、輻射放熱器を、床面を構成するフロアパネルから連続する床面側縦壁部に設定した場合、フロアカーペットによる熱抵抗を受けるだけで、サービスマットによる熱抵抗を受けないことになる。しかも、フロアカーペットとサービスマットの熱抵抗を比べた場合、良好なクッション性を得るために厚みを持たせたサービスマットの方が、厚みが薄く硬めの不織布によるフロアカーペットより遙かに熱抵抗が高い。このため、車室空間に放射される輻射熱量を比べると、フロアカーペットのみの場合には、従来技術のフロアカーペットとサービスマットによる場合の輻射熱量に比べ、輻射熱量が大幅に高くなる。
この結果、暖房時、暖房開始から応答良く車室内温度が上昇し、短時間にて乗員が暖房感を得ることができると共に、高い暖房感を継続して得ることができる。
図1は実施例1の車両用暖房装置が適用された自動車Aを示す概略平面図である。図2は実施例1の車両用暖房装置が適用された自動車Aを示す概略側面図である。図3は実施例1の車両用暖房装置が適用された後席側床面を示す展開平面図である。図4は実施例1の車両用暖房装置を示す図3のA−A線断面図である。図5は実施例1の車両用暖房装置を示す図3のB−B線断面図である。
つまり、前記エンジン冷却水送出管4から分岐して温水入口配管6が接続され、この温水入口配管6の途中位置に電磁弁8が設定される。また、前記エンジン冷却水返送管5から分岐して温水出口配管7が接続される。そして、車両後方に延びた温水入口配管6と温水出口配管7の端部に継ぎ手12,13を介して輻射放熱機構9が接続される。
以下、実施例1の輻射放熱機構9及びその周辺構造を、図3〜図5により説明する。
実施例1の車両用暖房装置は、輻射放熱機構9を、車室空間を形成する車室内面のうち、床面を除く縦面の位置に設定したものである。言い換えると、熱抵抗の高いサービスマット26による影響の無い位置に輻射放熱機構9を設定したものである。
そこで、サービスマット26による影響の有無による後席空間に放射される輻射熱量Qの差異について以下説明する。
Q={1/(t/λ)}×A×ΔT
t;カーペット厚、λ;熱抵抗、A;放熱面積、ΔT;表裏温度差
の式にてあらわされる。つまり、輻射熱量Qは、熱抵抗λを一定とした場合、放熱面積Aと表裏温度差ΔTに比例し、カーペット厚tに反比例する。
これに対し、図7に示すように、実施例1の車両用暖房装置と同様に、床暖パネルの上にフロアカーペットのみを載置する構成を採用した場合には、カーペット厚tが6.0mmと小さな値となるため、輻射熱量Qは大きな値となる。
上記輻射熱量Qの式を用いた場合、実施例1での輻射熱量Qは、従来に比べ、概算で4.4倍(26.5÷6=4.4)となる。
ちなみに、実車評価による熱移動量の実験結果は、図6に示す実験の場合、床暖パネルに約700Wの流入熱量を入力したところ、車室内に放出する熱量は、約33.3Wと減少した。しかも、700Wから33.3Wに到達するのに、約90分を要した。これに対し、図7に示す実験の場合、床暖パネルに約700Wの流入熱量を入力したところ、車室内に放出する熱量は、約150Wとなり、上記概算値と同等の結果が得られた。そして、700Wから150Wに到達するのに要する時間は、約20分程度と大幅に短縮された。
以下、「後席足元暖房作用」と「後席暖房協調制御作用」について説明する。
実施例1の場合、輻射放熱機構9を、後席側床面を構成するフロアカーペット25から連続する床面側縦壁部25a,25b,25cに設定している。この場合、輻射放熱機構9の放射熱面であるフロアカーペット25による熱抵抗を受けるだけで、サービスマット26による熱抵抗を受けないことになる。しかも、フロアカーペット25とサービスマット26の熱抵抗を比べた場合、良好なクッション性を得るために厚みを持たせたサービスマット26の方が、厚みが薄く硬めの不織布によるフロアカーペット25より遙かに熱抵抗が高い。このため、車室空間に放射される輻射熱量Qを比べると、上記実験結果から明らかなように、実施例1のフロアカーペット25のみの場合には、従来技術のフロアカーペットとサービスマットによる場合の輻射熱量Qに比べ、輻射熱量Qが大幅に高くなる。
実施例1のように、前席側のフロント暖房と共に、後席側へはリアダクト11を介して温風を吹き出すリア暖房を行う空調ユニット2を搭載した自動車Aが知られている。
実施例1の車両用暖房装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
図8は実施例2の車両用暖房装置における輻射放熱器のシートバック搭載例を示す側面図である。
実施例2では、輻射放熱器として、断熱材と蛇行暖房管とパネル板を有し、表面に放熱用凹凸を有するパネル板を熱放射面とする暖房パネル9’を用いている。
ここで、暖房パネル9’の具体的構成は、図6及び図7に示す床暖パネルと同様の構成である。
ここで、2つの暖房パネル9'-1,9'-2のうち、上側暖房パネル9'-1は、図8に示すように、前席シート31のシートバックの背面下部位置に、熱放射面を後席乗員の膝から脛に向けて傾斜配置している。また、下側暖房パネル9'-2は、図8に示すように、前席シート31のシートクッションの背面位置に、熱放射面を後席乗員の足元に向けて傾斜配置している。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるため、図示並びに説明を省略する。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例2の車両用暖房装置にあっては、実施例1の(1)〜(6)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
図9は実施例3の車両用暖房装置における輻射放熱器のドアサイドトリム搭載例を示す側面図である。
実施例3では、輻射放熱器として、断熱材と蛇行暖房管とパネル板を有し、表面に放熱用凹凸を有するパネル板を熱放射面とする暖房パネル9’を用い、暖房パネル9’を、後席ドア32のドアサイドトリム位置に埋め込み設定している。
ここで、暖房パネル9’として、2つの暖房パネル9'-3,9'-4を用い、図9に示すように、上側暖房パネル9'-3は、後席ドア32のドアサイドトリムの上部位置に、熱放射面を後席空間の下側に向けて配置している。下側暖房パネル9'-4は、図9に示すように、後席ドア32のドアサイドトリムの下部から上部にかけた位置に、熱放射面を後席乗員の足元から下半身に向けて配置している。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるため、図示並びに説明を省略する。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例3の車両用暖房装置にあっては、実施例1の(1)〜(6)と、実施例2の(9)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
図10は実施例4の車両用暖房装置における輻射放熱器のセンターアームレスト搭載例を示す斜視図である。
実施例4では、輻射放熱器として、断熱材と蛇行暖房管とパネル板を有し、表面に放熱用凹凸を有するパネル板を熱放射面とする暖房パネル9’を用い、暖房パネル9’を、後席のセンターアームレスト33の側面位置に埋め込み設定している。
ここで、暖房パネル9’は、後席シート29のセンターアームレスト33の側面位置に、図10に示すように、乗員の下半身に向けて配置している。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるため、図示並びに説明を省略する。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例4の車両用暖房装置にあっては、実施例1の(1)〜(6)と、実施例2の(9)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
1 エンジン
2 空調ユニット
3 ヒータコア
4 エンジン冷却水送出管
5 エンジン冷却水返送管
6 温水入口配管
7 温水出口配管
8 電磁弁
9 輻射放熱機構(輻射放熱器)
9’ 暖房パネル(輻射放熱器)
10 空調コントローラ(後席暖房協調制御手段)
11 リアダクト
11a,11b リア温風吹出し口
12,13 継ぎ手
14 後席暖房スイッチ
20 暖房管
21 断熱材
22 フロアパネル
23 サイドメンバ
24 PETシート
25 フロアカーペット
26 サービスマット
27 仕切り材
28 車体ハーネス
29 リアシート
30 連結継ぎ手
31 前席シート
32 後席ドア
33 センターアームレスト
Claims (11)
- 車室空間を形成する車室内面に輻射放熱器を設定し、輻射放熱器を設定した面からの輻射熱で暖房する車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器を、車室空間を形成する車室内面のうち、床面を除く縦面の位置に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、車両の後席空間を形成する内面のうち、後席側床面と後席側天井面と後席側上部縦面を除く後席側下部縦面の位置に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、電磁弁を介して供給されるエンジン冷却水を加熱媒体とすることを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、後席側床面を構成するフロアカーペットから連続する床面側縦壁部に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項4に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、後席側床面を構成するフロアカーペットから3方向に連続するリアシート下側縦壁部とドア側縦壁部とセンタートンネル側縦壁部に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、基材に敷設した断熱材と、断熱材に埋め込み状態で載置された蛇行状態の暖房管と、を有し、フロアカーペットを熱放射面とする輻射放熱機構であることを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、前席シートのうち後席側に向いているシート背面の下部位置に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、後席ドアのドアサイドトリム位置に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、後席シートのセンターアームレストの側面位置に設定したことを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前記輻射放熱器は、断熱材と蛇行暖房管とパネル板を有し、表面に放熱用凹凸を有するパネル板を熱放射面とする暖房パネルであることを特徴とする車両用暖房装置。 - 請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載された車両用暖房装置において、
前席側のフロント暖房と共に、後席側へはリアダクトを介して温風を吹き出すリア暖房を行う空調ユニットを搭載し、
前記輻射放熱器は、前記空調ユニットに内蔵されたヒータコアからのエンジン冷却水を加熱媒体とし、
前記空調ユニットによるリア暖房時、前記輻射放熱器による輻射熱暖房を併せて行う後席暖房協調制御手段を設けたことを特徴とする車両用暖房装置。
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