JP2008254183A - 活性エネルギー線硬化型インキ印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高彩度の色再現に優れた黄、紅、藍、墨のプロセス4色からなる印刷方法に、更に緑インキを用いることによって、ISO規格のジャパンカラー準拠インキならびに従来までの活性エネルギー線硬化型インキよりも再現可能な演色領域(ガモット)に優れ、より広い演色領域を再現可能にする印刷方法を提供する。
【解決手段】黄インキ、紅インキ、藍インキ、緑インキのうちいずれか2つ、3つ又は4つ、ならびに黒インキを使用する活性エネルギー線硬化型インキの印刷において、黄、紅、藍の各濃度値を、黄が1.40〜1.44、紅が1.52〜1.56、藍が1.63〜1.67、更に緑が藍濃度として1.45〜2.15の範囲内(基準濃度値とする)で印刷した時、L*a*b*表色系(JIS Z 8729)における基準濃度値の各L*a*b*値が、特定の範囲内になる5色の活性エネルギー線硬化型インキを使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高彩度の色再現に優れた黄、紅、藍、墨のプロセス4色にからなる印刷方法に、更に緑インキを用いることによって、ISO規格のジャパンカラー準拠インキならびに従来までの活性エネルギー線硬化型インキよりも再現可能な演色領域(ガモット)に優れ、より広い演色領域を再現可能にする印刷方法に関する。
90年代より始まったIT革命は、印刷現場を取り巻く環境を著しくデジタル化の方向へと導いてきており、このデジタル化によって、従来の印刷方式のワークフロー(撮影・ポジ・スキャン・データ・デザイン・EPS・面付け・フィルム・刷版・印刷)が多段階式過程であったのに対し、デジタルカメラによる撮影・DTP・CTP・印刷とその過程を飛躍的に短縮することに成功した。それによって、入稿データの「RGB」化が標準化しつつあり、取り扱われるデータがより色再現領域の広いものへとシフトしつつあるのが現状である。
しかし、現在主流となっている黄、紅、藍、墨のプロセス4色(CMYK)からなる平版オフセット印刷では、「RGB」として入稿されたデータを、より狭い色再現領域のCMYKに色分解せざるを得ず、撮影段階の色空間の設定や,最終的な「RGB」から「CMYK」への色変換が適切に行われないと色再現がうまくいかない等の問題も発生している。その様な環境の中で、「標準化」ということが重要なポイントとなっており、「ジャパンカラー」も標準化の1つの手段として注目されている。
一方、黄、紅、藍、墨のプロセス4色からなる平版オフセット印刷では、減色混合による色相となるため、色を重ねるごとに色相に濁りが生じ、必然的に色再現領域がRGBのそれよりも狭いものとなり、デジタルデータと印刷物との間の色再現性の差異が問題となっていった。各インキの印刷濃度を上げることで多少の色再現領域の拡大は可能であったが、減色混合の限界である色相の濁りが再現できる演色領域を狭めていた。
また特に、一般的に最終色として印刷される黄インキが不透明であると黄かぶりと呼ばれる現象を起こし、二次色、三次色へ与える影響が大きく、このことも「RGB」入稿データの再現を難しくしている。したがって黄インキはできる限り透明であり、他の色と刷り重ねたときに濁りのない二次色、三次色が得られるインキであることが望ましい。
これを解決する手段として、一般の平版オフセット印刷においては、特許文献1では高彩度の印刷システムとして6〜7色のインキセットを使用する印刷方法が確立され、それぞれの特定した色相を持つインキセットを用いる印刷方法として、プロセス4色に橙、緑を加えた6色(ヘキサクロム印刷)やプロセス4色に橙、緑、紫を加えた7色(ハイファイ印刷)等が確立されている。また、ヘキサクロムインキに代表されるように、一次色のみならず、二次色、三次色の濁りを抑え、色再現領域を広げる手段として一部の色に蛍光顔料を含有させる等の手法もとられるが、印刷適性の劣化(転移不良、光沢低下等)や耐光性不足による印刷物の褪色等のデメリットもある。更に、使用するインキの色数が6色、7色となり、印刷機の胴数が6胴以上の高価な多色印刷機を必要とする事に加え、それと同数の多色分解した版数が必須条件となり、新たに始めるには巨額な設備投資と、色調管理の複雑化などで本システムを用いるには限られた範囲に止まっている。また、同様の試みは近年、紫外線硬化型インキでも検討されている。
特開2001−260516号公報
本発明は、このような従来の技術における問題点を解決する為になされたものであり、その課題とするところは、ISO規格のジャパンカラー準拠インキよりも再現可能な演色領域(ガモット)に優れる黄、紅、藍、墨のプロセス4色に、更に緑インキを追加し、5色印刷を行うことで、「RGB」の色再現領域により近い色領域を再現可能にする活性エネルギー線硬化型インキを用いた印刷方法を提供することである。
一般的に、色再現領域を広げるためには、各色の理想的な分光反射率曲線に近づける必要がある。
すなわち、人が色を認識する波長領域は400nm〜700nmの光(この波長を可視光線という)において、各インキの反射スペクトルは、黄インキでは、500nm〜700nmの波長領域での反射率が100%、400nm〜500nmの波長領域での反射率が0%であり、紅インキでは、400nm〜500nm、600nm〜700nmの波長領域での反射率が100%、500nm〜600nmの波長領域での反射率が0%であり、藍インキでは、400nm〜600nmの波長領域での反射率が100%、600nm〜700nmの波長領域での反射率が0%であることが理想であると言われている(理想の分光反射率曲線を図3に示す)。
しかし、現状使用されているプロセス4色からなる、黄、紅、藍、墨の印刷用インキ組成物の反射スペクトルは理想の反射スペクトルとはかけ離れている。完全反射しなければならない部分での不必要吸収があるためにインキの濁り成分が存在し、色再現性を狭めている。
すなわち本発明は、黄インキ、紅インキ、藍インキ、緑インキのうちいずれか2つ・3つ又は4つ、ならびに黒インキを使用する活性エネルギー線硬化型インキの印刷において、黄、紅、藍の各濃度値を、黄が1.40〜1.44、紅が1.52〜1.56、藍が1.63〜1.67、更に緑が藍濃度として1.60〜2.70の範囲内(基準濃度値とする)で印刷した時、L*a*b*表色系(JIS Z 8729)における基準濃度値の各L*a*b*値が、
黄インキで、L*:84〜92、a*:−3〜−11、b*:90〜100
紅インキで、L*:48〜55、a*:77〜85、b*:−14〜−20
藍インキで、L*:52〜58、a*:−38〜−43、b*:−46〜−54
緑インキで、L*:50〜65、a*:−70〜−85、b*:−3〜5
の範囲内にあり、上記インキの2色の刷り重ねの各L*a*b*値が、
紅インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:50〜55、a*:69〜74、b*:54〜59
藍インキ×紅インキの刷り重ねで、L*:17〜23、a*:51〜46、b*:−71〜−76
藍インキ×緑インキの刷り重ねで、L*:33〜43、a*:−58〜−73、b*:−15〜−30
黄インキ×緑インキの刷り重ねで、L*:46〜60、a*:−73〜−85、b*:40〜57
の範囲内になることを特徴とする色再現性に優れた活性エネルギー線硬化型インキ印刷方法に関するものである。
さらに、これら(a)黄、(b)紅、(c)藍のそれぞれで単色100%ベタ刷り部分の分光反射曲線の反射スペクトルが、下記範囲条件をみたすインキを使用する上記印刷方法に関するものである。
(a)黄が、400nm〜700nmの波長領域において、全反射を100%としたときの相対反射強度が、400nm〜480nmの波長領域で0〜10%、550nm〜700nmの波長領域で80〜100%の反射スペクトルを有することを特徴とする黄インキ。
(b)紅が、400nm〜700nmの波長領域において、全反射を100%としたときに、400nm〜500nmの波長領域での最大反射率が35%〜100%、500nm〜560nmの波長領域での反射率が0〜10%、630nm〜700nmの反射率が70%〜100%の反射スペクトルを有することを特徴とする紅インキ。
(c)藍が、400nm〜700nmの波長領域において、全反射を100%としたときに、400nm〜530nmの波長領域の最大反射率が50〜100%、600nm〜700nmの反射率が0〜10%の反射スペクトルを有することを特徴とする藍インキ。
本発明が提供する活性エネルギー線硬化型インキ印刷方法を用いることにより、従来の黄、紅、藍、墨プロセス4色に加えて、橙、緑、紫等を加えた6色、7色印刷でしか表現できなかったRGBの色再現領域を、黄、紅、藍、墨、緑の5色で再現することが可能になる。また、本発明では、印刷物の色再現領域を向上させる手段として蛍光顔料を使用していないため、印刷適性、印刷物の経時での褪色等を劣化させることなく、高彩度の印刷物を得ることができる。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
本発明は、顔料と、合成樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー、エチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマーとを必要に応じて、アルミキレート等の顔料分散剤、耐摩擦剤等の補助剤を加え混合することで得られる黄、紅、藍、墨の4色からなる活性エネルギー線硬化型インキである。
本発明において、「濃度値」とは、ISO規格のジャパンカラー標準用紙、例えば三菱製紙(株)製「特菱アート両面四六半/110kg」に印刷し、黄、紅、藍の各色をグレタグマクベスD196濃度計にて測定した際の濃度値をいう。
色再現領域の表現方法としては、XYZ表色系(CIE1931表色系)、X10Y10Z10表色系(CIE1964表色系)、L*a*b*表色系(CIE1976)、ハンターLab表色系、マンセル表色系、L*u*v*表色系(CIE1976)等が挙げられる。L*a*b*表色系では、色相に関係なく比較できる明るさの度合いとして「明度」をL*で表現し、L*が大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。また、各色によって異なる「色相」をa*、b*の値で示し、a*は赤(+)から緑(−)方向、そしてb*は黄(+)から青(−)方向を示し、各方向とも絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、0に近づくに従ってくすんだ色になることを示している。これによって一つの色を、L*、a*、b*を用いて数値化することが可能となる。
また「明度」「色相」とは別に、鮮やかさの度合いを数値化する方法として「彩度(C)」があり、以下の計算式にて求めることができる。
Cに関しても同様に、絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、値が小さくなるにつれてくすんだ色になることを示している。
一つの印刷物(印刷物以外のカラースペースも含む)で表現できる全ての色再現領域を演色領域(ガモット)と呼ぶが、ガモットを表す最も簡便な方法として、a*を横軸、b*縦軸とした2次元空間に、単色ベタ部(黄、紅、藍)、及び、単色ベタ刷り重ね部(黄×紅、紅×藍、藍×黄)計6色のa*対b*の値を、プロットした六角形の面積で表現することが可能である。ガモットの面積が広い程、色再現領域が広いことを示している。
ジャパンカラーとは、ISO/TC130国内委員会が策定した印刷に関する標準色のことで、オフセット枚葉ジャパンカラー2001では、ISO12642パターン(928色、IT8とも言う)の測色値(L*a*b*値)をデータで示している。印刷条件は、商業オフセット印刷に関する国際規格ISO12647−2の標準条件をもとに、日本国内で普通に使われているインキ、印刷用紙(ジャパンカラー2001では4種類の用紙について決められている)を使用することで定義されている。一般的なジャパンカラー準拠のインキを、ジャパンカラー標準用紙、例えば三菱製紙(株)製「特菱アート両面四六半/110kg」に印刷した場合の黄、紅、藍、単色ベタ部のL*a*b*値、及びそれより計算したC値は、黄インキで、L*:86、a*:−7、b*:92、C:92、紅インキで、L*:45、a*:72、b*:−5、C:72、藍インキで、L*:54、a*:−36、b*:−49、C:61程度になるといわれている。
本発明のインキは、黄が1.40〜1.44、紅が1.52〜1.56、藍が1.63〜1.67、更に緑が藍濃度として1.60〜2.70の濃度範囲内(基準濃度値)であるときに単色及び各単色の刷り重ねのL*a*b*表色系による色度、及びC値が、黄インキで、L*:84〜92、好ましくは85〜90、a*:−3〜−11、好ましくは−4〜−9、b*:90〜100、好ましくは93〜99、C:92〜100、紅インキで、L*:48〜55、好ましくは49〜54、a*:77〜85、好ましくは78〜83、b*:−14〜−20好ましくは−16〜−20、C:80〜86、藍インキで、L*:52〜58、好ましくは52〜57、a*:−38〜−43、好ましくは−39〜−42、b*:−46〜−54、好ましくは−47〜−52、C:61〜66、緑インキでL*:50〜65、好ましくは50〜62、a*:−70〜−85、好ましくは−70〜−82、b*:−3〜5、好ましくは−3〜−3、C:70〜82、更には、紅インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:50〜55、a*:69〜74、b*:54〜59、C:87〜94、藍インキ×紅インキの刷り重ねで、L*:17〜23、a*:51〜46、b*:−71〜−76、C:85〜91、藍インキ×緑インキの刷り重ねで、L*:33〜43、a*:−58〜−73、b*:−15〜−30、C:67〜73、黄インキ×緑インキの刷り重ねで、L*:46〜60、a*:−73〜−85、b*:40〜57、C:90〜95の範囲の表現可能色数を誇る。
つまり、本発明のインキの組み合わせにより、ジャパンカラー準拠インキよりC値が大きく、高彩度の色再現性を誇る。
本発明で使用する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられる。しかし、これに限定される必要はない。
本発明に用いられる黄顔料としては、ジスアゾイエロー系化合物、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー176等であり、更には、補色としてC.I.ピグメントイエロー83を上記黄顔料の0.5〜10%、好ましくは2〜5%加えて使用することも可能である。
紅顔料としては、ローダミン系染料のモリブデン、タングステン金属レーキ化合物、例えばC.I.ピグメントレッド81、ベーシックレッド12、C.I.ピグメントバイオレット1等であり、更には補色としてC.I.ピグメントレッド48:1を上記紅顔料の0.01〜0.10%、好ましくは0.01〜0.05%加えて使用することも可能である。
藍顔料としては、フタロシアニン系化合物、例えばC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4等が挙げられる。更には、補色としてC.I.ピグメントグリーン7を上記藍顔料の5〜15%、好ましくは8〜11%加えて使用することも可能である。
本発明で使用する藍顔料である銅フタロシアニン系化合物は、結晶多型(同質異晶)を示す物質であり、その結晶構造の違いによってα、β、γ、ε、π、τ、ρ、χ、R型などに分類されるが、結晶安定性、分散性が優れているβ型を使用することが好ましく、更には比表面積が74m2/g以上の微細なβ型銅フタロシアニンであることが好ましい。
墨顔料としては、カーボンブラック、例えばC.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
緑顔料としては、ハロゲン化されたフタロシアニン系化合物が挙げられる。最も多く使われているものは塩素化銅フタロシアニンであり、他に、塩素の代わりに臭素化したものや塩素と臭素を含むもの、また、銅を含まないものなどがある。具体的にはC.I.ピグメントグリーン7またはC.I.ピグメントグリーン36をインキの全重量に対して15〜30%好ましくは16〜25%含有することが好ましい。更に、これらの顔料は単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂、尿素樹脂、ブタジエンーアクリルニトリル共重合体のような合成ゴム等が挙げられる。これらの樹脂は、その中の1種または2種以上を用いることができる。何れもエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー可溶である樹脂が用いられる。
本発明において、モノマーとは単官能または多官能の(メタ)アクリレート類をいい、これらを適宜用いることでインキ組成物の粘度を調節することが出来る。
本発明において使用されている オリゴマーとしてはアルキッドアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン変性アクリレート等が使用されている
活性エネルギー線硬化型インキにはその硬化作用を促す成分として1種もしくは2種以上の光重合開始剤を適宜添加することができる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。光重合開始剤と併用して、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ペンチル4−ジメチルアミノベンゾエート等の光促進剤を使用してもよい。
補助剤としては、例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックスなどの合成ワックス、シリコーン添加剤、レベリング剤、体質等を適宜使用することができる。
本発明におけるインキ組成としては、エチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマーもしくはエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー:5〜60重量%、合成樹脂:1〜30重量%、顔料:1〜30重量%、光重合開始剤 0〜20重量%、その他補助剤:0〜15重量%を含有する活性エネルギー線硬化型インキである。
本発明における活性エネルギー線硬化型インキは、通常の印刷インキと同様に公知の印刷方法、例えばオフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷にて印刷することができる。
次に具体例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら記載実施例に限定されるものではない。なお、以下の記述の部は重量部、%は重量%を表す。
(ワニス製造例)
ダップトートDT170(東都化成(株)製)30部を90℃〜100℃に加熱したDPHA(日本化薬(株)製)70部に投入し90℃〜100℃で1時間加熱溶解させ、ワニスを得た。
(黄インキ実施例)
顔料としてC.I.ピグメントイエロー176(Permanent Yellow GRX86 Clariant社製)を用い、表1の配合比率で分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで3本ロールを用いて練肉し、黄インキ1を得た。
顔料としてC.I.ピグメントイエロー13(ZAY−452 大日精化工業(株)製)を用い、表1の配合比率で分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで3本ロールを用いて練肉し、黄インキ2を得た。
(紅インキ実施例)
顔料としてC.I.ピグメントレッド81/C.I.ピグメントホワイト21(ファーナルローズトーナー170 有本化学工業(株)製)、C.I.ピグメントレッド81/C.I.ベーシックレッド12(Pink MP−617 有本化学工業(株)製)、C.I.ピグメントレッド48:1(LIONOL RED 2BFG3300 東洋インキ製造(株)製)を用い、表1の配合比率で分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで3本ロールを用いて練肉し、紅インキ1を得た。
(藍インキ実施例)
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3(LIONOL BLUE FG7351 東洋インキ製造(株)製)を用い、表1の配合比率で分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで3本ロールを用いて練肉し、藍インキ1を得た。
(緑インキ実施例)
顔料としてC.I.ピグメントグリーン7(LIONOL GREEN YS−2A 東洋インキ製造(株)製)を用い、表1の配合比率で分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで3本ロールを用いて練肉し、緑インキ1を得た。
(比較例)
比較インキとしてここでは最も一般的な当社紫外線硬化型インキであるFDカルトンACE各色を用いた。

黄インキの透明性の評価については、以下の試験法で評価した。
L*値6.0〜8.0の範囲内で印刷した墨インキ上に、濃度1.50〜2.00の範囲で黄インキを刷り重ねし、L*を測定した。結果を表3に示す。
実施例の黄インキ1ならびに2は、濃度値を2.00まで上げてもL*が12.0を越えず、下刷りの墨インキに影響を与え難く、透明性に優れているといえる(L*は値が小さいほど黒く、大きくなるほど白くなることを示している)。
一方、比較例はL*が高く、上刷りの黄インキが不透明であるために下刷りの墨インキの黒さを阻害してしまっていることがわかる。
(印刷評価試験)
上記実施例及び比較例のインキについて、下記印刷条件の下、黄、紅、藍、緑の各ベタ濃度値を、黄:1.40〜1.44、紅:1.52〜1.56、藍:1.63〜1.67、緑:1.90〜1.94(藍濃度として)の範囲内で印刷し、印刷物の評価を実施した。尚、墨インキは、高濃度タイプの紫外線硬化型印刷インキを使用し、濃度値1.45〜2.15の範囲内で印刷した。
印刷条件
印刷機 :ハイデルベルグスピードマスター 菊全4色機(ハイデルベルグジャパン(株))
用紙 :特菱アート両面 110Kg(三菱製紙(株))
湿し水 :アストロマーク3((株)日研化学研究所)2.0%水道水溶液
印刷速度:10000枚/時
濃度 :グレタグマクベスD196にて印刷物の単色(黄、紅、藍、墨、緑)ベタ部の濃度値を測定。
印刷物評価結果を図1および図2に表す。また、単色ベタ部及び重ね刷り部のL*a*b*測定値を表2に表す。

この結果より、ISO規格のジャパンカラー標準用紙、例えば三菱製紙(株)製「特菱アート両面四六半/110kg」に、黄、紅、藍、緑の各濃度値を、黄が1.40〜1.44、紅が1.52〜1.56、藍が1.63〜1.67、緑:1.90〜1.94(藍濃度として)の範囲内で印刷した場合に、本発明のインキを用いて得られた印刷物の演色領域(ガモット)は、一般的なISO規格のジャパンカラー準拠インキならびに一般的な紫外線硬化型インキを用いて得られた演色領域(ガモット)を包含するかたちで、より広い面積を有することから、より広い色再現領域を有することがわかる。
また、得られた分光反射率曲線を図4に示す。比較例の従来インキに比べ、実施例のインキの方が理想の分光反射率曲線に近くなっており、完全反射しなければならない部分の不必要吸収が少なくなっている。そのため、インキの濁り成分が減少し、色彩度を表すC値が高くなっている(表2)。
したがって、本発明により、ジャパンカラーの色域を包含すると共に、従来の紫外線硬化型インキでは再現できなかった色再現領域を再現することを可能にし、より広範囲の演色領域を表現することが可能な活性エネルギー線硬化型インキを用いた印刷方法を提供することができる。
「印刷物評価結果(実施例1)を示した図である。」 「印刷物評価結果(実施例2)を示した図である。」 「理想の分光反射曲線(黄、紅、藍)を示した図である。」 「実施例および比較例で得られた分光反射曲線(黄、紅、藍)を示した図である。」

Claims (2)

  1. 黄インキ、紅インキ、藍インキ、緑インキのうちいずれか2つ、3つ又は4つ、ならびに黒インキを使用する活性エネルギー線硬化型インキの印刷において、黄、紅、藍の各濃度値を、黄が1.40〜1.44、紅が1.52〜1.56、藍が1.63〜1.67、更に緑が藍濃度として1.45〜2.15の範囲内(基準濃度値とする)で印刷した時、L*a*b*表色系(JIS Z 8729)における基準濃度値の各L*a*b*値が、
    黄インキで、L*:84〜92、a*:−3〜−11、b*:90〜100
    紅インキで、L*:48〜55、a*:77〜85、b*:−14〜−20
    藍インキで、L*:52〜58、a*:−38〜−43、b*:−46〜−54
    緑インキで、L*:50〜65、a*:−70〜−85、b*:−3〜5
    の範囲内にあり、上記インキの2色の刷り重ねの各L*a*b*値が、
    紅インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:50〜55、a*:69〜74、b*:54〜59
    藍インキ×紅インキの刷り重ねで、L*:17〜23、a*:51〜46、b*:−71〜−76
    藍インキ×緑インキの刷り重ねで、L*:33〜43、a*:−58〜−73、b*:−15〜−30
    黄インキ×緑インキの刷り重ねで、L*:46〜60、a*:−73〜−85、b*:40〜57
    の範囲内になる5色の活性エネルギー線硬化型インキを使用することを特徴とする印刷方法。
  2. (a)黄、(b)紅、(c)藍のそれぞれで単色100%ベタ刷り部分の分光反射曲線の反射スペクトルにおいて、
    (a)黄が、400nm〜700nmの波長領域において、全反射を100%としたときの相対反射強度が、400nm〜480nmの波長領域で0〜10%、550nm〜700nmの波長領域で80〜100%の反射スペクトルを有し、
    (b)紅が、400nm〜700nmの波長領域において、全反射を100%としたときに、400nm〜500nmの波長領域での最大反射率が35%〜100%、500nm〜560nmの波長領域での反射率が0〜10%、630nm〜700nmの反射率が70%〜100%の反射スペクトルを有し、
    (c)藍が、400nm〜700nmの波長領域において、全反射を100%としたときに、400nm〜530nmの波長領域の最大反射率が50〜100%、600nm〜700nmの反射率が0〜10%の反射スペクトル
    を有する各インキを使用することを特徴とする請求項1の印刷方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012035437A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 Dic Graphics Corp 紫外線硬化型印刷物の製造方法及びそれを用いた紫外線硬化型印刷物

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