JP2008254024A - 円周溶接用内治具装置及びこれを用いた円周溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 円筒状の胴体Waと皿状の蓋体Wb又は同一径の二つの筒体同士を突き合せてその突合せ部を外方から円周溶接する際に、胴体Waと蓋体Wb又は筒体の突合せ部を内方から保持する円周溶接用内治具装置1であって、前記円周溶接用内治具装置1は、胴体Waと蓋体Wb又は筒体同士の突合せ部の内方に挿入される円盤状のベース12と、ベース12の外周縁部に配置され、胴体Waと蓋体Wb又は筒体同士の突合せ部の内周面に面接触状態で圧接し得ると共に、胴体Waと蓋体Wb又は筒体同士の突合せ部の内周面側にシールドガスを流す縮拡径自在な環状の裏当て治具13と、ベース12と裏当て治具13との間に設けられ、裏当て治具13を縮拡径させる駆動部14とを備える。
【選択図】 図18
Description
又、ドラム缶やタンク等を作製する際には、胴体と蓋体とを突合せ溶接しているため、胴体や蓋体の寸法精度や加工精度を高めなければならないうえ、精度の高いクランプ装置が必要であり、設備費が高く付くと云う問題があった。
即ち、円周溶接用内治具装置1は、図2乃至図6に示す如く、支持筒10の先端部に固定され、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内方に挿入される円盤状のベース12と、ベース12の外周縁部に配置され、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面に面接触状態で圧接し得ると共に、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面側にアルゴンガス等のシールドガスを流す縮拡径自在な環状の裏当て治具13と、ベース12と裏当て治具13との間に設けられ、裏当て治具13を縮拡径させる駆動部14とを備えており、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部を外方から円周溶接する際に、環状の裏当て治具13を駆動部14により真円状に拡径させて胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面に面接触状態で圧接させ、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部を内方から保持するようにしたものである。
又、ベースプレート12Aの小径部12aには、小径部12aの中心部から小径部12aの外周面へ向って放射状の圧縮エアー供給通路12cが形成されている。この実施の形態では、圧縮エアー供給通路12cは、小径部12aの中心から小径部12aの外周面へ向って六方向に分かれており、圧縮エアー供給通路12cの入口(小径部12aの中心に形成した開口)に接続した圧縮エアー供給ホース22を介して圧縮エアー供給源(図示省略)に接続されている。
更に、ベースプレート12Aの大径部12bの外周縁部には、アルゴンガス等のシールドガスのガス供給口12dが等角度毎に形成されている。この実施の形態では、ガス供給口12dは、ベースプレート12Aの大径部12bの外周縁部に六つ形成されており、シールドガス供給ホース16を介してシールドガス供給源(図示省略)に接続されている。
各裏当て治具片13′は、図9及び図10に示す如く、円弧形状に形成された厚肉板状のアルミ合金製の本体13Aと、本体13Aの円弧状外周面に本体13Aの厚み方向に一定の隙間を空けて設けられ、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面側へシールドガスを流すガス溝13aを形成すると共に、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部近傍の内周面に面接触する二枚の円弧状のバックバー13Bとから成る。
又、本体13Aの中央部分には、ベース12の径方向に沿う先端が閉塞されたピストン穴13bと、ベースプレート12Aに形成したガス供給口12dに連通してガス溝13aにアルゴンガス等のシールドガスを供給するガス通路13cとが夫々形成されている。
更に、二枚のバックバー13Bは、熱伝導性に優れた銅材(無酸素銅)により細幅板状の円弧状に形成されており、本体13Aに円弧状外周面に複数本の皿ビス19により着脱自在に取り付けられ、長期間の使用によりバックバー13Bのエッジ部分に溶融や腐食が発生した場合に交換できるようになっている。
又、スプリング17は、各裏当て治具片13′がベース12の中心方向へスムースに移動できるように各裏当て治具片13′の両側位置に配設されており、各裏当て治具片13′の本体13Aの両端部に螺着したボルト(又はピン)とベースプレート12Aの大径部12bに螺着したボルト(又はピン)とに係止されている。
更に、ピストン18は、その軸心位置にベース12の圧縮エアー供給通路12cと裏当て治具片13′のピストン穴13bとを連通させる貫通状のエアー通過穴18aが形成されており、ベース12の小径部12aの外周面に形成された圧縮エアー供給通路12cの出口に螺着されている。
又、芯金12Cの外周面には、作動流体である圧縮エアーの供給により膨張する環状のチューブ21を収納保持する環状の収納溝12fが形成されていると共に、芯金12Cの一部分には、チューブ21の両端部を収納するための矩形状の切欠12gが形成されている(図15参照)。
更に、内板12Dの外周縁部には、アルゴンガス等のシールドガスのガス供給口12dが等角度毎に形成されている。この実施の形態では、ガス供給口12dは、内板12Dの外周縁部に八つ形成されており、シールドガス供給ホース16を介してシールドガス供給源(図示省略)に接続されている。
尚、連結ボルト20は、ベース12の外周縁部に等角度毎に配置されており、後述する裏当て治具13の各裏当て治具片13′に挿通されて各裏当て治具片13′をベース12の径方向へ往復移動自在に案内する役目もする。この実施の形態では、連結ボルト20は、ベース12の外周縁部に等角度で八本配置されている。
各裏当て治具片13′は、図16及び図17に示す如く、円弧形状に形成された厚肉板状のアルミ合金製の本体13Aと、本体13Aの円弧状外周面に本体13Aの厚み方向に一定の隙間の空けて設けられ、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面側へシールドガスを流すガス溝13aを形成すると共に、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部近傍の内周面に面接触する二枚の円弧状のバックバー13Bとから成る。
又、本体13Aの中央部分には、ベース12の径方向に延びて連結ボルト20が挿通される長穴13dと、内板12Dに形成したガス供給口12dに連通してガス溝13aにアルゴンガス等のシールドガスを供給するガス通路13cとが夫々形成されている。
更に、二枚のバックバー13Bは、熱伝導性に優れた銅材(無酸素銅)により細幅板状の円弧状に形成されており、本体13Aに円弧状外周面に複数本の皿ビス19により着脱自在に取り付けられ、長期間の使用によりバックバー13Bのエッジ部分に溶融や腐食が発生した場合に交換できるようになっている。
又、スプリング17は、各裏当て治具片13′がベース12の中心方向へスムースに移動できるように各裏当て治具片13′の両側位置に配設されており、各裏当て治具片13′の本体13Aの両端部に螺着したボルト(又はピン)とベースプレートAの大径部12bに螺着したボルト(又はピン)とに係止されている。
更に、チューブ21は、ベース12の芯金12Cの収納溝12eに環状に巻き回されており、チューブ21の両端部に接続した圧縮エアー供給ホース22を介して圧縮エアー供給源(図示省略)に接続されている。
尚、胴体Wa及び蓋体Wbには、厚みが0.8mm〜1.5mm程度のステンレスや鋼板等が使用されている。又、溶接電流、アーク長さ、胴体Wa及び蓋体Wbの回転速度、シールドガスの供給量、タングステン電極棒の先端形状等の溶接条件は、胴体Wa及び蓋体Wbの材質、板厚等に応じて最適の条件下に設定されていることは勿論である。
このとき、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部を内方から保持するようにしているため、胴体Waと蓋体Wbは正確に突き合された状態で確実に保持される。
即ち、TIG溶接装置の溶接用トーチ11が下降してアークを発生させると共に、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面側に環状の裏当て治具13によりシールドガスを供給しつつ、左回転テーブル4及び右回転テーブル9により胴体Waと蓋体Wbが一定の速度で同期的に同じ方向へ回転する。これによって、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部が外方から円周溶接される(図18及び図19参照)。
このとき、裏当て治具13を駆動部14により真円状に拡径させて胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面に面接触状態で圧接させているため、円周溶接するときに裏当て治具13により溶接部が冷却され、溶接部の熱歪が大幅に抑制されると共に、ビードの溶け落ちや穴あきが防止されることになる。然も、胴体Waと蓋体Wbの突合せ部を内方から保持するようにしているため、溶接部の熱歪による収縮をより確実に抑制することができる。更に、裏当て治具13から胴体Waと蓋体Wbの突合せ部の内周面側へシールドガスを流しているため、溶接部の酸化を防止することができる。
Claims (5)
- 円筒状の胴体(Wa)と皿状の蓋体(Wb)又は同一径の二つの筒体同士を突き合せてその突合せ部を外方から円周方向に溶接する際に、前記胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部又は二つの筒体の突合せ部を内方から保持する円周溶接用内治具装置(1)であって、前記円周溶接用内治具装置(1)は、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内方又は筒体同士の突合せ部の内方に挿入される円盤状のベース(12)と、ベース(12)の外周縁部に配置され、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面又は筒体同士の突合せ部の内周面に面接触状態で圧接し得ると共に、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面側又は筒体同士の突合せ部の内周面側にシールドガスを流す複数の円弧形状の裏当て治具片(13′)から成る縮拡径自在な環状の裏当て治具(13)と、ベース(12)と裏当て治具(13)との間に設けられ、裏当て治具(13)を縮拡径させる駆動部(14)とを備えており、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部又は筒体同士の突合せ部を円周溶接する際に、裏当て治具(13)を駆動部により拡径させて胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面又は筒体同士の突合せ部の内周面に面接触状態で圧接させるようにしたことを特徴とする円周溶接用内治具装置。
- 裏当て治具(13)は、ベース(12)の外周縁部に円周方向に等間隔毎に配置された複数の円弧形状の裏当て治具片(13′)から構成されており、各裏当て治具片(13′)は、円弧形状の本体(13A)と、本体(13A)の円弧状外周面に本体(13A)の厚み方向に一定の隙間を空けて設けられ、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面側又は筒体同士の突合せ部の内周面側へシールドガスを流すガス溝(13a)を形成すると共に、前記突合せ部近傍の内周面に面接触する銅材により形成された二枚の円弧状のバックバー(13B)とから成り、前記二枚のバックバー(13B)を本体(13A)に交換可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の円周溶接用内治具装置。
- 駆動部(14)は、ベース(12)と裏当て治具との間に介設され、裏当て治具(13)を構成する各裏当て治具片(13′)をベース(12)の中心方向へ附勢して裏当て治具(13)を縮径させる複数のスプリング(17)と、ベース(12)に放射状に取り付けられ、各裏当て治具片(13′)に形成したベース(12)の径方向に沿うピストン穴(13b)に摺動自在に挿入されて前記ピストン穴(13b)に作動流体を供給し得る複数のピストン(18)とから成り、各ピストン(18)を通して各裏当て治具片(13′)のピストン穴(13b)に作動流体を供給することによって、各裏当て治具片(13′)を環状に押し拡げて裏当て治具(13)を拡径させ、当該裏当て治具(13)を胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面又は筒体同士の突合せ部の内周面に面接触状態で圧接させるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円周溶接用内治具装置。
- 駆動部(14)は、ベース(12)と裏当て治具(13)との間に介設され、裏当て治具(13)を構成する各裏当て治具片(13′)をベース(12)の中心方向へ附勢して裏当て治具(13)を縮径させる複数のスプリング(17)と、ベース(12)と各裏当て治具片(13′)との間に環状に配設され、作動流体の供給により膨張するチューブ(21)とから成り、環状のチューブ(21)に作動流体を供給してチューブ(21)を膨張させることによって、各裏当て治具片(13′)を環状に押し拡げて裏当て治具(13)を拡径させ、当該裏当て治具(13)を胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面又は筒体同士の突合せ部の内周面に面接触状態で圧接させるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円周溶接用内治具装置。
- 円筒状の胴体(Wa)と皿状の蓋体(Wb)又は同一径の二つの筒体同士を突き合せてその突合せ部を外方から円周方向に溶接する際に、前記突合せ部の内方に請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の円周溶接用内治具装置(1)をセットした後、当該円周溶接用内治具装置(1)の環状の裏当て治具(13)を駆動部(14)により拡径させてその外周面を胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面又は筒体同士の突合せ部の内周面に圧接させ、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部又は筒体同士の突合せ部を円周溶接用内治具(1)により内方から保持した状態で胴体(Wa)と蓋体(Wb)又は筒体同士を円周溶接用内治具装置(1)と一緒に回転させながら、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部の内周面側又は筒体同士の突合せ部の内周面側にシールドガスを流しつつ、胴体(Wa)と蓋体(Wb)の突合せ部又は筒体同士の突合せ部を溶接装置により外方から円周方向に溶接するようにしたことを特徴とする円周溶接用内治具装置を用いた円周溶接方法。
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