JP2008248182A - ポリ乳酸組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、L−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(B)およびD−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(C)を含有し、下記要件(a)〜(f)を同時に満足する組成物(A)である。
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。
【選択図】なし
Description
ポリ乳酸のような生分解性ポリマーは透明性が高く強靭であるが、水の存在下では容易に加水分解され、さらに廃棄後には環境を汚染することなく分解するので、環境負荷の少ない環境にやさしいポリマーとしてよく知られている。中でもポリ乳酸は、原料である乳酸あるいはラクチドを天然物から製造することが可能であり、単なる生分解性ポリマーとしてではなく、地球環境に配慮した汎用性ポリマーとして利用が検討されつつある。
ポリ乳酸はL−およびまたはD−乳酸の直接脱水縮合、L−およびまたはD−ラクチドの溶融開環重合法、ポリ乳酸オリゴマーの固相重合法などにより製造される。ポリ乳酸の品質および生産効率の点からL−およびまたはD−ラクチドの溶融開環重合法、なかでも触媒を使用する方法が工業的に検討されている。
しかしポリ乳酸の融点は150〜170℃の範囲にあり、高温下で湿度により分解されやすく、所謂、耐湿熱性が悪く、例えばポリ乳酸を溶融成形する場合、成形時や熱処理時にポリ乳酸中に混在する微量の水分、不純物のため劣化する問題があり、工業的に効率よく安定的に製品を製造するには大きな問題がある。また得られた成形品は、高温高湿の条件で加水分解しやすい欠点がある。
かかるポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸の湿度に対する不安定性を解決するため、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物などのカルボキシ基封止剤を適用し、樹脂の安定化、成形品製造工程の安定化を試みる提案がされている(特許文献2)。
即ち、本発明は、L−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(B)およびD−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(C)を含有し、下記要件(a)〜(f)を同時に満足する組成物(A)である。
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。
また本発明は、該組成物からなる成形品を包含する。
<組成物(A)>
本発明の組成物(A)は、ポリ乳酸(B)およびポリ乳酸(C)を含有する。
(ポリ乳酸(B))
ポリ乳酸(B)は、L−乳酸単位を90モル%以上、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%含有する。他の単位は、D−乳酸単位、乳酸以外の単位である。他の単位の含有量は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
ポリ乳酸(B)は、結晶性を有し、その融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入る融点を有していれば、ポリ乳酸(B)を用いて、ステレオコンプレックスポリ乳酸を形成した場合に,より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し且つ結晶化度を上げることが出来る。
ポリ乳酸(B)成分は、その重量平均分子量が7万〜50万の範囲であることが好ましくい。成形品の機械的物性の点よりは重量平均分子量は高いほうが好ましいが、成形性の点からは分子量の低いほうが好ましい。機械的物性と成形性バランスの観点より適宜分子量範囲を選択することが出来るが、好ましくは8万〜30万、さらに好ましくは9万〜25万、とりわけ好ましくは10万〜20万である。かかる重量平均分子量範囲のポリ乳酸成分(B)を使用することによりステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品を工業的に効率よく製造することが可能となり、ステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品の色相、湿熱性などの向上に関し本発明の目的に合致させることが出来る。
ポリ乳酸(B)には、その結晶性を損なわない範囲で所望により、L−乳酸以外の共重合成分を含有させることができる。共重合成分としては、特に限定するものではないが、例えば、D−乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2〜30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2〜30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
ポリ乳酸(C)は、D−乳酸単位を90モル%以上、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%含有する。他の単位は、L−乳酸単位、乳酸以外の単位である。他の単位の含有量は0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
このポリ乳酸(C)成分は結晶性を有しておりその融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入る融点を有していれば、ポリ乳酸(C)よりステレオコンプレックスポリ乳酸を形成した場合に,より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し且つ結晶化度を上げることが出来る。
機械的物性と成形性バランスの観点より適宜分子量範囲を選択することが出来るが、好ましくは8万〜30万あり、さらに好ましくは9万〜25万、とりわけ好ましくは10万〜20万である。かかる重量平均分子量範囲のポリ乳酸(C)を使用することによりステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品を工業的に効率よく製造することが可能となり、ステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品の色相、湿熱性などの向上に関し本発明の目的に合致させることが出来る。
本発明で用いるポリ乳酸(C)にはその結晶性を損なわない範囲で所望により、D−乳酸以外の共重合成分を含有させることができる。乳酸以外の共重合成分としては、特に限定するものではないが、例えば、L−乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2〜30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2〜30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
即ち、ラクチドの溶融開環重合触媒として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属類、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンなどの脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート等がよく知られている。これらの内、スズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウムおよび稀土類元素より選択される少なくとも一種を含有する触媒であることが好ましい。
かかる金属含有触媒としては、従来公知であり以下の化合物が例示される。すなわち、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズブトキシド、酸化アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムーイミン錯体四塩化チタン、チタン酸エチル、チタン酸ブチル、チタン酸グリコール、チタンテトラブトキシド、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ジエチル亜鉛、三酸化アンチモン、三臭化アンチモン、酢酸アンチモン、酸化カルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガン、酸化マグネシウム、イットリウムアルコキシドなどが例示される。
触媒活性、副反応の少なさ、組成物(A)およびその成形品の耐湿熱性を考慮すると、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズなどのスズ含有化合物およびアルミニウムーイミン錯体四塩化チタン、チタン酸エチル、チタン酸ブチル、チタン酸グリコール、チタンテトラブトキシドなどのチタン含有化合物が好ましい物として挙げられる。
触媒の使用量は、ラクチド1Kgあたり0.42×10−4〜840×10−4モルでありさらに反応性、得られるポリラクチドの色調、安定性、組成物(A)およびその成形品の耐湿熱性を考慮すると1.68×10−4〜42.1×10−4モル、特に好ましくは2.53×10−4〜16.8×10−4モル使用される。
式(4)で表される有機リンオキソ酸化合物、イミン化合物、リンオキソ酸、リンオキソ酸エステルが例示される。
有機リンオキソ酸化合物は下記式で表される。
X1−P(=O)m(OH)n(OX2)2−n
式中mは、0または1、nは1または2、X1およびX2は各々独立に炭素数1〜20の置換基を有していても良い炭化水素基を表す。
Y−OH
(式中、Yは炭素数1〜22の置換基を有していても良い炭化水素基を表す。)
アルコールとして、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デカノール、ドデカノール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ヘキシルアルコール、フェノール、ヘキサデシルアルコールなどが挙げられる。
X(−OH)a
(式中、Xは炭素数2〜22個の置換基を有していても良い炭化水素基、aは2〜6の整数を表す。)
多価アルコールとして、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングコール、ポリプロピレングリコール、myo−イノシトール、D−,L−イノシトール、scyllo−イノシトールなどノイノシトール類、シクリトールなどが挙げられる。
組成物(A)中の、スズ原子およびチタン原子の含有量は、5〜500ppm、好ましくは10〜400ppm、さらに好ましくは15〜200pppm、とりわけ好ましくは20〜100ppmである。
組成物(A)中の、リン原子の含有量は、1〜100ppm、好ましくは2〜80ppm、さらに好ましくは5〜70ppm、とりわけ好ましくは7〜50ppmである。
かかるスズおよびまたはチタン、リン原子濃度範囲、原子数比範囲条件を満たすことが、組成物(A)、成形品の耐熱性、耐湿熱性に関し、本発明の目的を達成するために必須である。
これらのスズおよびまたはチタン化合物、リン化合物はポリ乳酸(B)、(C)または組成物(A)中、別途工程を設けて添加してもよいが、ポリ乳酸(B),(C)製造時に、触媒あるいは触媒失活剤として上記範囲を満足する様に適用するのが好適である。
組成物(A)中、分子量150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%である。成形品中の分子量150以下の化合物の含有量も、0.001〜0.2重量%であることが好ましい。
分子量150以下の化合物は、組成物(A)、成形品の製造時、外部より混入する場合もあるし樹脂分解により内部より発生する場合もある。
2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらに上記化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物なども挙げられる。
モノイソシアネート化合物としてはたとえばフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどが挙げられる。
これらのイソシアネート化合物のなかでは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニルイソシアネートなどの芳香族イソシアネートが好ましい。上記カルボキシ基封止剤は1種または2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
本発の組成物(A)は、示差走査熱量計(DSC)測定において190℃未満の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmh、195℃以上の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmscとする時、下記式(1)で表されるステレオ化度(S)が80%以上であり、△Hmscが30〜80J/gである結晶性を示すことが、組成物(A)およびその成形品の耐熱性を高めるに好ましい。
S=△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)×100 (1)
かかるステレオ化度、結晶性を実現するため組成物(A)には三斜晶系の無機核剤(D)およびまたはリン酸エステル金属塩(E)より選択される少なくとも1種の核剤を適用することが好ましい。
かかる無機粒子(D)としては例えば、ワラストナイト(wollasutonite)、ゾノトライト(xonotollite)、硼酸石、炭酸水素マグネシウムカリウム、メタ珪酸カルシウム(α)、メタ珪酸カルシウム(β)メタ珪酸マンガン、硫酸カルシウム、硫酸セリウム(III)、リン酸亜鉛、リン酸二水素亜鉛、リン酸二水素カルシウム、アルミノ珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸カリウムなどが例示される。これらのうち、ステレオ化度の向上、透明性向上の観点よりワラストナイト、硫酸カルシウム、メタ珪酸カルシウムが、なかでもワラストナイト、メタ珪酸カルシウム(α)などが好ましいものとして挙げられる。
芳香族有機リン酸エステル金属塩は1種類のものあるいは複数種類のものを併用することもできる。
炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル,iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、iso−ノニル、デシル、iso−デシル、tert−デシル、ウンデシル、ドデシル、tert−ドデシル基などが挙げられる。
M1は、Na、K、Liなどのアルカリ金属原子、Mg、Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、M1がアルミニウム原子のときは1または2を表す。式(2)で表されるリン酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、たとえばR1が水素原子、R2、R3がともにtert−ブチル基のものが挙げられる。
M2は、Na、K、Liなどのアルカリ金属原子、Mg、Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qは、M1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、M1がアルミニウム原子のときは1または2を表す。式(3)で表されるリン酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、例えば、たとえばR4、R6がメチル基、R5がtert−ブチル基のものが挙げられる。
かかる粒径の結晶核剤は、ボールミル、サンドミル、ハンマーククラッシャー、アトマイザーにより、市販の結晶核剤を粉砕し、各種分級機により分級することにより容易に得ることができる。結晶核剤の粒径を0.01μmより小さくすることは工業的に困難であり、また実用上それほど小さくする必要もない。しかし粒径が10μmより大きい或いは大きいものの含有割合が高いと、組成物成形品のヘーズが高まる問題が大きくなり好ましくない。
本発明の組成物(A)は、前述のポリ乳酸(B)とポリ乳酸(C)とを、好ましくは重量比で10/90〜90/10の範囲で、220〜300℃で溶融混練することにより得ることができる。組成物(A)のステレオ化度を高くするためには、ポリ乳酸(B)とポリ乳酸(C)の重量混合比は、より好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40である。溶融混練温度は、ポリ乳酸の溶融時の安定性およびステレオ化度の向上の観点より好ましくは230〜300℃、より好ましくは240〜280℃、さらに好ましくは245〜275℃である。
かかる混合比、温度で溶融混練することによりポリ乳酸(A)のステレオ化度を80%以上にすることができ好ましい。ポリ乳酸(A)のステレオ化度は好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%、さらに好ましくは97〜100%、特に好ましくは100%である。
組成物(A)に、上記添加剤を適用するには、ポリ乳酸重合開始より製膜前の間の段階で剤を配合することができる。重合開始から終了までの間に剤を添加する場合、通常の剤投入法を使用することで剤含有ポリ乳酸を製造することができる。また剤をポリ乳酸に添加するには、従来公知の各種方法を好適に使用することができる。たとえば、ポリ乳酸とリン酸エステル金属塩をタンブラー、V型ブレンンダー、スーパーミキサー、ナウタミキサーバンバリーミキサー、混練ロール、1軸または2軸の押出機等で混合する方法が適宜用いられる。
本発明は、組成物(A)からなる成形品を包含する。
本発明の成形品は、
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.0001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンであること。
を満たすことが好ましい。成形品は、繊維、フィルム、射出成形品およびブロー成形品から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、ボトル、包装用フルム、コンデンサー用フィルム(たとえば肉厚3μm以下のフィルム)、プリンターリボン用フィルム(たとえば肉厚5μm程度のフィルム)、感熱孔版印刷用フィルム、磁気記録フィルム(たとえばQICテープ用:コンピューター記録用フィルム1/4インチテープ)、モングレアフィルム、偏光板の保護フィルム、反射防止フィルムや防眩フィルム等などのフィルム、シート、不織布、繊維、捲縮糸、これらの繊維よりの布、他の材料との複合体、農業用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品またはその他の成形品が挙げられる。
これらの成形品は、射出成形、押出成形、真空圧空成形、ブロー成形など通常の方法で成形することができる。
分析法
(1)重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn):
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
GPC測定器は、以下に示す機器を用い、クロロホルム溶離液を使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minで流し、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノール含有クロロホルム)の試料10μlを注入して行なった。
検出器:示差屈折計 (株)島津製作所製 RID−6A
ポンプ:(株)島津製作所製 LC−9A
カラム:(株)東ソーTSKgelG3000HXL,TSKgelG4000HXL,TSKgelG5000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続した。
パーキンエルマー(株)製DCS7示差走査熱量計(DSC)により測定した。試料10mgを窒素雰囲気下、1st RUNにて昇温速度20℃/分で、30℃から250℃に昇温し、結晶融解温度(Tmh、Tmsc)、結晶融融解熱(△Hmh、△Hmsc)を測定した。
ステレオ化度(S)はポリL−乳酸成分およびポリD−乳酸成分よりなるポリ乳酸につき、190℃未満の結晶融解熱(△Hmh)、190℃以上の結晶融解熱(△Hmsc)より下記式(1)によりもとめた。
S=△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)×100 (1)
試料を窒素雰囲気下、260℃、10分間保持後の還元粘度の保持率を測定した。組成物(A)をフィルム化するとき、溶融安定性が80%以上であれば通常の溶融押しが問題なくでき、溶融安定性合格と判断した。
(4)還元粘度(ηsp/c):
還元粘度(ηsp/c)は、試料1.2mgを〔テトラクロロエタン/フェノール=(6/4)重量混合溶媒〕100mlに溶解、35℃でウベローデ粘度管を使用して測定した。
(5)耐湿熱性(%):
試料を80℃、90%RHで11時間保持し、還元粘度(ηsp/c)の保持率(%)を測定、湿熱安定性とし耐久性のパラメーターとした。該パラメーターが80%以上であれば、組成物(A)のフィルムを通常の湿熱条件下で安定的に使用でき耐久性合格と判定した。また90%以上であれば特別に良好と判断した。
(6)ペレット色相;
組成物(A)のペレットについて、日本電色(株)製Z−1001DP色差計により、カラーL/b値を測定した。カラーb値が大きいほど色相が悪いことを示す。カラーb値が10を超えるペレットは商業用途に不適と判断し、成形品としての評価はしなかった。
(7)成形性;
厚さ3mmのASTM測定用の成形片を住友重機(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル150秒で100ショット成形し、最終10ショットの成形品のゆがみ、黒色異物の有無を目視判定した。ゆがみ、黒色異物が認められない成形品は合格(OK)、明白なゆがみ、黒色異物の認められる成形品は不合格(NG)とした。微小な異物、微細なゆがみの見られる成形品は保留(△)とした。成形性不合格の組成物(A)は工業的使用には不適と判断した。
(8)ポリ乳酸中のスズ原子、チタン原子、リン原子含有量およびスズ、チタン、リンのg原子数測定法
ICPにより求めた。
(9)ポリ乳酸中の分子量150以下の化合物の含有量測定法
GPCにより求めた。
(10)ポリ乳酸中のCOOH末端基濃度測定法
精秤した試料をo−クレゾール調整液に加えた後、80℃を限度として加熱溶解し0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。
繊維においては、テストする繊維にて10cm角の布巾を作成し表面温度170℃に調整したアイロンで30秒アイロン掛けをおこない、布巾形状、風合いの変化より耐熱性を判定した。
合格: ○ 単糸の融着もなく処理前の布巾の形状、風合いを良好に保つ。
不合格: × 単糸の融着あるいは処理前の布巾の熱変形、ごわごわした風合いへの変化がみられた。
真空配管、窒素ガス配管、触媒添加配管、L−ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管を具備したフルゾーン翼具備縦型攪拌槽(40L)を窒素置換後、L−ラクチド30Kg、ステアリルアルコール0.90kg(0.030モル/kg)、オクチル酸スズ6.14g(5.05×10−4モル/Kg)を仕込み、窒素圧106.4kPaの雰囲気下、150℃に昇温した。内容物が溶解した時点で攪拌を開始し、内温を190℃に昇温した。内温が180℃を超えると反応が始まるので冷却を開始し、内温を185〜190℃に保持し1時間反応を継続した。さらに攪拌しつつ、窒素圧106.4kPa、内温200〜210℃で1時間反応を行なった後、リン系失活剤を添加し10分間攪拌を継続した。攪拌を停止し、さらに20分間静置して気泡除去をおこなった後、内圧を窒素圧で2から3気圧に昇圧しプレポリマーをチップカッターに押し出し重量平均分子量12万、分子量分散1.8のプレポリマーをペレット化した。
さらに、得られたペレットを押出機で溶解させ無軸籠型反応装置に15kg/時間で投入し1.03kPaに減圧し残留するラクチドを低減処理し、それを再度チップ化した後のポリL−乳酸を得た。得られたポリL−乳酸は、重量平均分子量が12万、分子量分散が1.8、末端カルボキシ基濃度は30当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量は0.05重量%であった。
(合成例1−2)実施例1用ポリD−乳酸の製造
D−ラクチドを使用した以外は合成例1−1の操作を繰り返し、重量平均分子量12万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリD−乳酸を合成した。
ラクチド低減処理の減圧度を3kPaに変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.1万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度30当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.31重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例2−2)比較例3用ポリD−乳酸の製造
ラクチド低減処理の減圧度を3kPaに変更した以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.1万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度32量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.33重量%のポリD−乳酸を得た。
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中に記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を0.75時間に変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.3万、分子量分散1.9、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.031重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例3−2)比較例4用ポリD−乳酸の製造
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中に記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を0.75時間に変更した以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.5万、分子量分散1.9、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を3時間に変更した以外は合成例1−1の操作を繰り返し、重量平均分子量7万、分子量分散1.3、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.031重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例4−2)比較例5用ポリD−乳酸の製造
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を3時間に変更した以外は合成例1−2の操作を繰り返し、重量平均分子量6.5万、分子量分散1.4、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.033重量%のポリD−乳酸を得た。
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量11.6万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度34当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.31重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例5−2)比較例6用ポリD−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更しする以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量11.5万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.33重量%のポリD−乳酸を得た。
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.3万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度34当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例6−2)比較例7用ポリD−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.5万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリD−乳酸を得た。
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.6万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例7−2)比較例8用ポリD−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.5万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.1万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例8−2)比較例9ポリD−乳酸の製造
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.2万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量10.5万、分子量分散1.6、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例9−2)比較例10用ポリD−乳酸の製造
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−2+と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量10.2万、分子量分散1.6、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
合成例1−1で製造したポリL−乳酸、合成例1−2で製造したポリD−乳酸の1/1(重量比)混合物を120℃で5時間乾燥後、カルボキシ基封止剤として、日清紡(株)製カーボジライトLA−1をポリL−乳酸、ポリD−乳酸混合物に対し、0.3重量%添加し、二軸混練機でシリンダー温度260℃、滞留時間5分で溶融混練し、チップカッターでペレット化し、組成物(A)のペレットを得た。得られた組成物(A)の特性の測定結果を表1中に示す。組成物(A)の耐湿熱性は91%、耐熱性、成形性、色相とも良好であった。
合成例1−1で製造したポリL−乳酸、合成例1−2で製造したポリD−乳酸の1/1(重量比)混合物を120℃で5時間乾燥後、カルボキシ基封止剤にかえ無水ピロメリット酸をポリL−乳酸、ポリD−乳酸混合物に対し、0.2重量%添加し、二軸混練機でシリンダー温度260℃、滞留時間5分で溶融混練し、チップカッターでペレット化しペレットを得た。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。ペレットは、末端カルボキシ基濃度が65当量/トンであり、耐湿熱性が不良であった。
(比較例2)
実施例1において、カルボキシ基封止剤の使用量を7重量%にアップしたところ、末端カルボキシ基濃度は0.1当量/トン以下に減少したが、ペレットの色相、カラーb値が12ときわめて不良であり商品化は無理と判断した。
(比較例3)
合成例2−1で製造したポリL−乳酸および合成例2−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレット中の分子量150以下の化合物の含有量は0.3重量%であった。耐湿熱性は77%であった。またカラーb値は8と黄色味が強く、商品化限界レベルであった。
(比較例4)
合成例3−1で製造したポリL−乳酸および合成例3−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレットのスズ原子含有濃度は590ppmであった。耐湿熱性は75%であった。また溶融安定性は65%と不良で溶融成形不可のレベルであった。またカラーb値は9と黄色味が強かった。
(比較例5)
合成例4−1で製造したポリL−乳酸および合成例4−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレットのスズ原子含有濃度は4ppm、重量平均分子量は6.5万であり成形性不可のレベルであり、生計品の製造は不可能で商品化不能と判断した。
(比較例6)
合成例5−1で製造したポリL−乳酸および合成例5−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレットのリン原子含有濃度は150ppm、重量平均分子量は11.3万であり、耐湿熱性は75で、不可レベルであった。
(比較例7)
合成例6−1で製造したポリL−乳酸および合成例6−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットのリン原子含有濃度は0.5ppm、スズ/リン原子数比は30であった。重量平均分子量は12万であり、耐湿熱性は66、溶融安定性71で、不可レベルであった。
(比較例8)
合成例7−1で製造したポリL−乳酸および合成例7−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットのリン原子含有濃度は0ppm、スズ/リン原子数比は無限大と本発明範囲外であった。耐湿熱性は61、溶融安定性は69、成形性は不良であった。
(比較例9)
合成例8−1で製造したポリL−乳酸および合成例8−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの重量平均分子量は13.1、スズ原子含有濃度は118ppm、リン原子濃度は3ppm、スズ/リン原子数比は10であった。耐湿熱性は63、溶融安定性は69、成形性は不良であった。
(比較例10)
合成例9−1で製造したポリL−乳酸および合成例9−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの重量平均分子量は10.1、スズ原子含有濃度は11ppm、リン原子濃度は62ppm、スズ/リン原子数比は0.02であった。耐湿性は78、溶融安定性は76、成形性は不良であった。
実施例1で製造したステレオ化度93%の組成物(A)のペレットを120℃で5時間減圧乾燥した。このチップを、1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い240℃で溶融し、0.25Φの吐出孔を36ホールもつ口金から40g/分で吐出させた。吐出直後のパック下の温度は180℃、紡糸筒により冷却した後、集束し、油剤を付加して500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱セットを行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示しステレオ化度100%、融点が224℃、結晶融解熱は48J/gであった。繊維の強度は4.6cN/dtex、伸度35%であり、耐湿熱性は92%であり実用上十分な強度、耐湿熱性を保有していた。
また熱金属接触性(耐アイロン性)は良好で合格であった。
実施例1で製造した組成物(A)のペレットを120℃で5時間乾燥し、組成物(A)100重量部に対し、結晶核剤として旭電化(株)製NA21、0.1重量部を混合後、2軸押出機で溶融混練し、ダイ温度260℃で、キャステキング速度40m/分で210μmのフィルム状に溶融押し出し、白金コート線状電極を用い、静電キャスト法によって鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させた。未延伸フィルムをさらに120℃で、縦方向に3.6倍、横方向に3.9倍延伸し、140℃で熱固定を行い厚さ15μmの2軸延伸フィルムとした。得られた2軸延伸フィルムの耐湿熱性、溶融安定性はいずれも80%以上で合格であった。
Claims (5)
- L−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(B)およびD−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(C)を含有し、下記要件(a)〜(f)を同時に満足する組成物(A)。
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。 - 示差走査熱量計による測定で、190℃未満の融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmh、190℃以上の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmscとするとき、△Hmscが35〜80J/gであり、且つ下記式(1)で規定されるステレオ化度(S)が80%以上である請求項1記載の組成物(A)。
S=△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)×100 (1) - 請求項1または2記載の組成物からなる成形品。
- (a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.0001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンであること。
をみたす請求項3記載の成形品。 - 成形品が、繊維、フィルム、射出成形品およびブロー成形品から選択される少なくとも一種である請求項3または4記載の成形品。
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