JP2008248182A - ポリ乳酸組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、耐湿熱性の改善されたポリ乳酸組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、L−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(B)およびD−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(C)を含有し、下記要件(a)〜(f)を同時に満足する組成物(A)である。
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐湿性の改善されたポリ乳酸組成物に関する。さらに本発明は該組成物からなる成形品に関する。
近年、地球環境保護の目的から、自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、世界中で研究されている。生分解性ポリマーとしては、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステルおよびポリ乳酸等が知られている。これらは溶融成型が可能であり、汎用性ポリマー、繊維用ポリマーとして期待されている。
ポリ乳酸のような生分解性ポリマーは透明性が高く強靭であるが、水の存在下では容易に加水分解され、さらに廃棄後には環境を汚染することなく分解するので、環境負荷の少ない環境にやさしいポリマーとしてよく知られている。中でもポリ乳酸は、原料である乳酸あるいはラクチドを天然物から製造することが可能であり、単なる生分解性ポリマーとしてではなく、地球環境に配慮した汎用性ポリマーとして利用が検討されつつある。
ポリ乳酸はL−およびまたはD−乳酸の直接脱水縮合、L−およびまたはD−ラクチドの溶融開環重合法、ポリ乳酸オリゴマーの固相重合法などにより製造される。ポリ乳酸の品質および生産効率の点からL−およびまたはD−ラクチドの溶融開環重合法、なかでも触媒を使用する方法が工業的に検討されている。
しかしポリ乳酸の融点は150〜170℃の範囲にあり、高温下で湿度により分解されやすく、所謂、耐湿熱性が悪く、例えばポリ乳酸を溶融成形する場合、成形時や熱処理時にポリ乳酸中に混在する微量の水分、不純物のため劣化する問題があり、工業的に効率よく安定的に製品を製造するには大きな問題がある。また得られた成形品は、高温高湿の条件で加水分解しやすい欠点がある。
一方、L−乳酸単位のみからなるポリL−乳酸(以下PLLAと略称することがある。)とD−乳酸単位のみからなるポリD−乳酸(以下PDLAと略称することがある。)を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸が形成されることが知られている(特許文献1および非特許文献1)。このステレオコンプレックスポリ乳酸はPLLAやPDLAに比べて、高融点、高結晶性を示す。しかし、PLLAおよびPDLAの重量平均分子量が高いほどステレオコンプレックスポリ乳酸の形成が困難になるという欠点がある。また得られたステレオコンプレックスポリ乳酸は、成形性も悪いという欠点がある。他方、ステレオコンプレックスポリ乳酸の耐久性、機械的物性は重量平均分子量が高いほど良い。しかし、両者の両立を図る提案はいまだなされていない。
かかるポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸の湿度に対する不安定性を解決するため、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物などのカルボキシ基封止剤を適用し、樹脂の安定化、成形品製造工程の安定化を試みる提案がされている(特許文献2)。
またカルボジイミド化合物によるカルボキシ基末端の一部が封止されたポリ乳酸繊維が提案されている(特許文献3)。また、繊維中のカルボキシ末端基量、カルボキシ基封止剤であるカルボジイミド量、不純物であるラクチド量を規定することにより耐加水分解性および色調を改良する提案がなされている(特許文献4)。しかし、組成物および成形品中の特定分子量150以下の化合物の影響、スズ、チタン、およびリン化合物に関し、スズ、チタン、リンの存在濃度、存在量比との関連については未検討であり、未だ十分な解決が図られているとはいえない現状である。
特開昭63−241024号公報 特開2005−2174号公報 特開2004−332166号公報 特開2005−350829号公報 Macromolecules,24,5651(1991)
本発明の目的は、耐湿熱性の改善されたポリ乳酸組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、L−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(B)およびD−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(C)を含有し、下記要件(a)〜(f)を同時に満足する組成物(A)である。
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。
また本発明は、該組成物からなる成形品を包含する。
本発明の組成物(A)は、優れた耐湿熱性および耐熱性を有する。本発明の組成物(A)は、アイロン等の熱金属との接触に実用上耐え得る耐熱性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<組成物(A)>
本発明の組成物(A)は、ポリ乳酸(B)およびポリ乳酸(C)を含有する。
(ポリ乳酸(B))
ポリ乳酸(B)は、L−乳酸単位を90モル%以上、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%含有する。他の単位は、D−乳酸単位、乳酸以外の単位である。他の単位の含有量は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
ポリ乳酸(B)は、結晶性を有し、その融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入る融点を有していれば、ポリ乳酸(B)を用いて、ステレオコンプレックスポリ乳酸を形成した場合に,より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し且つ結晶化度を上げることが出来る。
ポリ乳酸(B)成分は、その重量平均分子量が7万〜50万の範囲であることが好ましくい。成形品の機械的物性の点よりは重量平均分子量は高いほうが好ましいが、成形性の点からは分子量の低いほうが好ましい。機械的物性と成形性バランスの観点より適宜分子量範囲を選択することが出来るが、好ましくは8万〜30万、さらに好ましくは9万〜25万、とりわけ好ましくは10万〜20万である。かかる重量平均分子量範囲のポリ乳酸成分(B)を使用することによりステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品を工業的に効率よく製造することが可能となり、ステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品の色相、湿熱性などの向上に関し本発明の目的に合致させることが出来る。
ポリ乳酸(B)には、その結晶性を損なわない範囲で所望により、L−乳酸以外の共重合成分を含有させることができる。共重合成分としては、特に限定するものではないが、例えば、D−乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2〜30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2〜30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
(ポリ乳酸(C))
ポリ乳酸(C)は、D−乳酸単位を90モル%以上、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%含有する。他の単位は、L−乳酸単位、乳酸以外の単位である。他の単位の含有量は0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
このポリ乳酸(C)成分は結晶性を有しておりその融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入る融点を有していれば、ポリ乳酸(C)よりステレオコンプレックスポリ乳酸を形成した場合に,より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し且つ結晶化度を上げることが出来る。
機械的物性と成形性バランスの観点より適宜分子量範囲を選択することが出来るが、好ましくは8万〜30万あり、さらに好ましくは9万〜25万、とりわけ好ましくは10万〜20万である。かかる重量平均分子量範囲のポリ乳酸(C)を使用することによりステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品を工業的に効率よく製造することが可能となり、ステレオコンプレックスポリ乳酸およびその成形品の色相、湿熱性などの向上に関し本発明の目的に合致させることが出来る。
本発明で用いるポリ乳酸(C)にはその結晶性を損なわない範囲で所望により、D−乳酸以外の共重合成分を含有させることができる。乳酸以外の共重合成分としては、特に限定するものではないが、例えば、L−乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2〜30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2〜30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)を製造する方法は特別に限定されるものではなく、従来公知の方法が好適に使用できる。例えばL−またはD−乳酸を直接脱水縮合する方法、L−またはD−乳酸オリゴマーを固相重合する方法、L−またはD−乳酸を一度脱水環化してラクチドとした後、溶融開環重合する方法などが例示される。なかでも直接脱水縮合方法あるいはラクチド類の溶融開環重合法により得られるポリ乳酸が品質、生産効率の点より好ましく、中でもラクチド類の触媒を使用する溶融開環重合法が本発明の目的に最も合致し、好ましく選択される。
これらの製造法において使用する触媒は、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)が前述した所定の特性を有するように重合させることが出来るものであれば、如何なるものでも用いることができる。
即ち、ラクチドの溶融開環重合触媒として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属類、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンなどの脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート等がよく知られている。これらの内、スズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウムおよび稀土類元素より選択される少なくとも一種を含有する触媒であることが好ましい。
かかる金属含有触媒としては、従来公知であり以下の化合物が例示される。すなわち、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズブトキシド、酸化アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムーイミン錯体四塩化チタン、チタン酸エチル、チタン酸ブチル、チタン酸グリコール、チタンテトラブトキシド、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ジエチル亜鉛、三酸化アンチモン、三臭化アンチモン、酢酸アンチモン、酸化カルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガン、酸化マグネシウム、イットリウムアルコキシドなどが例示される。
触媒活性、副反応の少なさ、組成物(A)およびその成形品の耐湿熱性を考慮すると、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズなどのスズ含有化合物およびアルミニウムーイミン錯体四塩化チタン、チタン酸エチル、チタン酸ブチル、チタン酸グリコール、チタンテトラブトキシドなどのチタン含有化合物が好ましい物として挙げられる。
金属触媒として、さらに好ましくは以下のものが例示される。即ち、ジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、塩化スズ、チタン酸エチル、チタン酸ブチル、チタン酸グリコールなどが例示される。
触媒の使用量は、ラクチド1Kgあたり0.42×10−4〜840×10−4モルでありさらに反応性、得られるポリラクチドの色調、安定性、組成物(A)およびその成形品の耐湿熱性を考慮すると1.68×10−4〜42.1×10−4モル、特に好ましくは2.53×10−4〜16.8×10−4モル使用される。
ポリ乳酸(B)および(C)は、その重合触媒を従来公知の方法、例えば、溶媒で洗浄除去するか、触媒活性を失活、不活性化しておくのが組成物(A)および成形品の溶融安定性、耐湿熱性のために好ましい。
金属触媒の存在下、溶融開環重合されたポリ乳酸の触媒失活に使用される失活剤として
式(4)で表される有機リンオキソ酸化合物、イミン化合物、リンオキソ酸、リンオキソ酸エステルが例示される。
有機リンオキソ酸化合物は下記式で表される。
−P(=O)(OH)(OX2−n
式中mは、0または1、nは1または2、XおよびXは各々独立に炭素数1〜20の置換基を有していても良い炭化水素基を表す。
イミン化合物は、その構造中にイミノ基を有し、且つ金属系重合触媒に配位し得るフェノー四座のキレート配位子である。イミン系化合物は従来の触媒失活剤の様なブレンステッド酸や塩基ではないため、ポリ乳酸の耐加水分解性を悪化させることなく熱安定性を向上させることが可能である。かかるイミン系化合物としてはN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)プロパンジアミン、N,N−ビス(サリチリデン)−cis−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−trans−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−o−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−m−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)プロパンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)−cis−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)−trans−シクロヘキサンジアミ、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)−o−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)−m−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノベンジリデン)−p−フェニレンジアミン、N−メチルイミノメチルフェノール、N−エチルイミノメチルフェノール、N−イソプロピルイミノメチルフェノール、N−t−ブチルイミノメチルフェノール等が挙げられるが、特に好ましくはN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)プロパンジアミンである。
リンオキソ酸としては、たとえばジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)III、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式xHO・yPで表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸およびこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸、およびこれらの酸の一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテルが例示される。触媒失活能から酸あるいは酸性エステル類が好適に使用される。
リンオキソ酸エスエテルを形成するアルコール類に関しては特に制限はないが、一価アルコールとしては炭素数1〜22個の置換基を有していてもよい下記式で表されるアルコールが好ましく使用される。
Y−OH
(式中、Yは炭素数1〜22の置換基を有していても良い炭化水素基を表す。)
アルコールとして、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デカノール、ドデカノール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ヘキシルアルコール、フェノール、ヘキサデシルアルコールなどが挙げられる。
多価アルコールとしては、炭素数2〜22個の置換基を有していても良い下記式で表される多価のアルコール、糖アルコールなどが挙げられる。
X(−OH)
(式中、Xは炭素数2〜22個の置換基を有していても良い炭化水素基、aは2〜6の整数を表す。)
多価アルコールとして、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングコール、ポリプロピレングリコール、myo−イノシトール、D−,L−イノシトール、scyllo−イノシトールなどノイノシトール類、シクリトールなどが挙げられる。
特に好ましくは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスフィン酸、リン酸ジブチル、リン酸ジノニル、N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン、N、N’−ビス(サリチリデン)プロパンジアミンが例示され、なかでもリン酸、亜リン酸、ピロリン酸が特に好ましい。
これらの失活剤は単独で使用しても良いし場合によっては、複数併用使用することもできる。これらの失活剤は、金属触媒の金属元素1当量あたり0.3〜20当量、さらに好ましくは、0.5〜15当量、より好ましくは0.5〜10当量、特に好ましくは0.6〜7当量使用される。失活剤の使用量が少なすぎると触媒金属の活性を十分低下させることができないしまた過剰に使用すると失活剤がポリ乳酸の分解を引き起こす可能性があり好ましくない。
組成物(A)の重量平均分子量は、7万〜50万の範囲にある。かかる分子量範囲を採用することにより組成物(A)は優れた成形性を有する。成形品の耐熱性、機械的物性を高めるためには分子量は高いほうが好ましいが、成形性の観点からは分子量は低いほうが好ましい。機械的物性、耐熱性と成形性を両立させる観点から、重量平均分子量は好ましくは8万〜30万、より好ましくは9万〜25万、特に好ましくは10万〜20万である。
組成物(A)には、スズ化合物、チタン化合物、リン含有化合物が含有する。
組成物(A)中の、スズ原子およびチタン原子の含有量は、5〜500ppm、好ましくは10〜400ppm、さらに好ましくは15〜200pppm、とりわけ好ましくは20〜100ppmである。
組成物(A)中の、リン原子の含有量は、1〜100ppm、好ましくは2〜80ppm、さらに好ましくは5〜70ppm、とりわけ好ましくは7〜50ppmである。
かかるスズおよびまたはチタン、リン原子濃度範囲、原子数比範囲条件を満たすことが、組成物(A)、成形品の耐熱性、耐湿熱性に関し、本発明の目的を達成するために必須である。
スズおよびまたはチタン、リン原子濃度が上記範囲を外れると、組成物(A)およびその成形品の湿熱安定性に関し本発明の目的を達成できないのみならず、色調などの物性不良が発生も顕在化することがある。スズおよびまたはチタン、リン原子濃度が上記範囲未満であると、組成物(A)およびその成形品の湿熱安定性の向上に効果が見られない。他方、スズおよびまたはチタン、リン原子濃度が上記範囲を超えた場合、組成物(A)およびその成形品の製造時、樹脂の熱分解、とりわけ溶融成形時の熱分解が顕著となり、色調悪化、発泡が顕著となり商品として利用するのに問題が発生する場合が多発するようになる。
本発明の組成物(A)は、(スズ原子数+チタン原子数)/(リン原子数)が0.01〜5である。上記原子数比は、好ましくは0.1〜4、さらに好ましくは0.2〜3の範囲である。かかる共存比範囲内に存在するとき組成物(A)およびその成形品の耐湿熱性向上に好適である。存在原子比が0.01未満であると、スズおよびまたはチタン化合物とリン化合物の共存による耐湿熱性良化がほとんど認められないか実用的に有用な範囲外となってしまう。さらに加えて組成物(A)および該組成物の製造時に樹脂の熱分解が顕著となり工業的にこれらの製品を製造することが困難になることがある。
これらのスズおよびまたはチタン化合物、リン化合物はポリ乳酸(B)、(C)または組成物(A)中、別途工程を設けて添加してもよいが、ポリ乳酸(B),(C)製造時に、触媒あるいは触媒失活剤として上記範囲を満足する様に適用するのが好適である。
組成物(A)中、分子量150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%である。成形品中の分子量150以下の化合物の含有量も、0.001〜0.2重量%であることが好ましい。
ここで、分子量150以下の化合物としては、例えばD−ラクチド、L−ラクチド、L−乳酸、D−乳酸、蟻酸、ピルビン酸、ピルビンアルデヒド、酢酸、水が挙げられる。これらの化合物量が、組成物(A)の重量を基準として0.2重量%を超えると、得られる組成物(A)の耐湿熱性が劣るものとなる。また0.001重量%未満にしてもそれにより得られる効果は、それを実現するための費用に比較して大きくなく工業的意味は大きいとは言いがたい。分子量150以下の化合物の含有量は、好ましくは0.001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.002〜0.05重量%、特に好ましくは0.002〜0.01重量%である。
分子量150以下の化合物は、組成物(A)、成形品の製造時、外部より混入する場合もあるし樹脂分解により内部より発生する場合もある。
従ってこれらの分子量150以下の化合物のポリ乳酸(B)およびポリ乳酸(C)中の含有量は適宜、減少手段をとり減少させておくのが好ましい。例えば、D−ラクチド、L−ラクチド、L−乳酸、D−乳酸は、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)製造時、減少処理、例えば水或いは不活性ガスなどの助剤を使用する、或いは使用しない脱揮処理、真空脱揮処理などにより減少させることが可能であり、また減少させておくことが好ましい。また前述した、スズおよびまたはチタン原子数とリン原子数の存在比を前述範囲内に収めることは、組成物(A)および該組成物成形品の製造時これらの分子量150以下の化合物が発生するのを抑制する効果も認められ好ましい。また水は、成形加工前、通常の熱乾燥処理によって容易に減少させることができる。
本発明の組成物(A)は、カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。さらに好ましくは0.1〜20当量/トン、より好ましくは0.2〜10当量/トン、特に好ましくは0.3〜5当量/トンの範囲である。成形品はカルボキシ末端基濃度が0.1〜30当量/トンであることが好ましい。
組成物(A)およびその成形品のカルボキシ基濃度を0.1〜30当量/トンとするには、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)製造時、固相重合によりカルボキシ基濃度の減少したポリ乳酸を製造することも好ましい実施態様であるが、本発明においては、カルボキシ基封止剤を適用するのが好ましい。両者を併用することも好ましい態様のひとつである。
カルボキシ基封止剤はポリ乳酸のカルボキシ末端基を封止するのみでなく、ポリ乳酸や各種添加剤の分解反応で生成するカルボキシ基やラクチド、乳酸、ギ酸、ピルビン酸などの分子量150以下の化合物のカルボキシ基を封止し樹脂を安定化することができる利点ももたらす。さらに、分子量150以下の化合物が、ポリ乳酸を分解して生成する水酸基末端、あるいは組成物中に侵入する水分を封止できるため、組成物(A)その成形品の湿熱条件下での耐久性を向上させる効果も有する利点もまた有する。
かかるカルボキシ基封止剤としては、従来公知のカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、イソシアネート化合物から選択される少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、なかでもカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物が好ましい。
本発明で使用するカルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有し、好ましくはイソシアネート基を0.1〜5重量%含有し、カルボジイミド当量が200〜500の化合物である。カルボジイミド化合物中にイソシアネート基が少量存在すると、イソシアネート化合物併用の効果が現れるのみならず、カルボジイミド基とイソシアネート基がより緊密に存在することにより、湿熱耐久性の向上に一層効果が発揮される。
本発明で使用するカルボジイミド化合物としては、例えばカルボジイミド化合物としてはジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブイチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、オクチルデシルカルボジイミド、ジーt−ブチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジルーN’−トリルカルボジイミド、ジーo−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ビス(p−ニトロフェニル)カルボジイミド、ビス(p−アミノフェニル)カルボジイミド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)カルボジイミド、ビス(p−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−エチルフェニル)カルボジイミドビス(o−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(o−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)カルボジイミド、p−フェニレンビス(o−トルイルカルボジイミド)、p−フェニレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレンンビス(p−クロロフェニルカルボジイミド)、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、エチレンビス(フェニルカルボジイミド)、エチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2―エチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2―ブチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジーt−ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)カルボジイミド、ジβナフチルカルボシイミド、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボシイミド、N−トリル−N’−フェニルカルボシイミドなどのモノまたはポリカルボジイミド化合物が例示される。
なかでも反応性、安定性の観点からビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カーボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドが好ましい。またこれらのうち工業的に入手可能なジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドの使用も好適である。
さらに上記ポリカルボジイミド化合物として市販のポリカルボジイミド化合物は、合成する必要もなく好適に使用することができる。かかる市販のポリカルボジイミド化合物としては例えば日清紡(株)より市販されているカーボジライトの商品名で販売されているカーボジライトLA−1、あるいはHMV−8CAなどを例示することができる。
本発明でカルボキシ基封止剤として用いることのできるエポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリジジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。かかる剤を配合することで、機械的特性、成型性、耐熱性、耐久性にすぐれたポリ乳酸樹脂組成物および成型品を得ることができる。
グリシジルエーテル化合物の例としては例えば、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングルコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、その他ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応で得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、などを挙げることができる。なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエステル化合物の例としては例えば安息香酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、パーサティック酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどが挙げられる。なかでも安息香酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステルが好ましい。
グリシジルアミン化合物の例としては例えば、テトラグリシジルアミンジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、などが挙げられる。
グリシジルイミド、グリシジルアミド化合物の例としては例えば、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタルイミド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3,4,5,6−テトラブロモフタルイミド、N−グリシジル−4−n−ブチル−5−ブロモフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジル−1,2,3,4−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジル−α−エチルサクシンイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジル−p−メチルベンズアミド、N−グリシジルナフトアミド、N−グリシジルステアリルアミドなどが挙げられる。なかでもN−グリシジルフタルイミドが好ましい。
脂環式エポキシ化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−シクロヘキシルカルボキシレ−ト、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペ−ト、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、などが挙げられる。
その他のエポキシ化合物としてエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油などのエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、などを用いることができる。
本発明で用いるカルボキシ基封止剤として用いることができるオキサゾリン化合物の例としては2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ステアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−ベンジルオキシー2−オキサゾリン、2−クレジルオキシ−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オレイル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−メタアリルー2−オキサゾリン、2−クロチルー2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−ベンジル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェニル−2−オキサゾリン2−m−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン2−p−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)
2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらに上記化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物なども挙げられる。
本発明で用いるカルボキシ基封止剤として用いることができるオキサジン化合物の例としては、2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−エトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−プロピルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン2−ブトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ペンチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘプチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−オクチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ノニルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロペンチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−メタアリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシー5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンなどが挙げられる。
さらに2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−メチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−プロピレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ブチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−m−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ナフチレン(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−P,P’−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、などが挙げられる。さらに上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサジン化合物などが挙げられる。
上記オキサゾリン化合物やオキサジン化合物のなかでは2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)が好ましいものとして選択される。
本発明で用いるカルボキシ基封止剤として用いることができるイソシアネート化合物の例としては例えば芳香族、脂肪族、脂環族イソシアネート化合物およびこれらの混合物を使用することができる。
モノイソシアネート化合物としてはたとえばフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンー4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニル−1,4−ジイソシアネート、などを例示することができる。
これらのイソシアネート化合物のなかでは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニルイソシアネートなどの芳香族イソシアネートが好ましい。上記カルボキシ基封止剤は1種または2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
本発明のポリ乳酸は用途に応じてカルボキシル基末端や、分子量150以下の化合物の封止を行えばよいが、具体的にはカルボキシ基末端や、分子量150以下の化合物の封止により組成物(A)中のカルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンとすることにより、組成物(A)およびその成形品の耐湿熱性を本発明の目的に合致させることができるのみでなく、組成物(A)の溶融成形加工時の安定性、耐加水分解性の観点から好ましく、0.1〜20当量/トンであることがさらに好ましく、0.2〜10当量/トン、とりわけ好ましくは0.3〜5当量/トンである。
組成物(A)中のカルボキシ基濃度は、組成物(A)を適当な溶媒に溶かしカルボキシ基炭素とメチン炭素またはメチル基炭素の13CNMRを測定することにより測定することができる。
カルボキシ基封止剤の使用量は、組成物(A)100重量部あたり、0.01〜10重量部が好ましく、0.03〜5重量部がさらに好ましく、特に、0.005〜2.0重量部であるのがよい。この範囲を超えて多量に適用するとカルボキシ濃度を低下させる効果は大きいが樹脂組成物および該組成物成形品の色相を悪化させる懸念が大きくなり好ましくない。また0.01重量部未満の使用量であるとその効果はほとんど認められず工業的な意義は小さい。
本発明においてはさらに封止反応触媒を使用してもよい。封止反応触媒とは、カルボキシ基封止剤とポリマー末端や、酸性分子量150以下の化合物のカルボキシ基との反応を促進する効果のある化合物であり、少量の添加で反応を促進する能力のある化合物が好ましい。
このような化合物としてはたとえばアルカリ(土類)金属化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、第4級アンモニウム塩、ホスフィン化合物、ホスホニウム化合物、リン酸エステル、有機酸、ルイス酸、などが挙げられる。これらは1種または2種以上併用することもできる。なかでもアルカリ金属化合物、アルカル土類金属化合物、リン酸エステルを使用するのが好ましい。例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸メグネシウムが好ましいものとして例示される。反応触媒の添加量は特に限定されてものではないが、組成物(A)100重量部あたり0.001〜1重量部が好ましく、0.005〜0.5重量部がさらに好ましく、0.01〜0.1重量部がさらに好ましい。
(組成物(A))
本発の組成物(A)は、示差走査熱量計(DSC)測定において190℃未満の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmh、195℃以上の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmscとする時、下記式(1)で表されるステレオ化度(S)が80%以上であり、△Hmscが30〜80J/gである結晶性を示すことが、組成物(A)およびその成形品の耐熱性を高めるに好ましい。
S=△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)×100 (1)
本発明においてステレオ化度(S)は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは、実質的に190℃未満の結晶融解ピークが観測されないステレオ化度100%の時である。かかる高いステレオ化度(S)を有し、ステレオコンプレックスポリ乳酸が生成し、△Hmscが30〜80J/gを示す高いステレオコンプレックス結晶化度を有することにより、高い耐熱性を発揮することができる。
かかるステレオ化度、結晶性を実現するため組成物(A)には三斜晶系の無機核剤(D)およびまたはリン酸エステル金属塩(E)より選択される少なくとも1種の核剤を適用することが好ましい。
かかる無機粒子(D)としては例えば、ワラストナイト(wollasutonite)、ゾノトライト(xonotollite)、硼酸石、炭酸水素マグネシウムカリウム、メタ珪酸カルシウム(α)、メタ珪酸カルシウム(β)メタ珪酸マンガン、硫酸カルシウム、硫酸セリウム(III)、リン酸亜鉛、リン酸二水素亜鉛、リン酸二水素カルシウム、アルミノ珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸カリウムなどが例示される。これらのうち、ステレオ化度の向上、透明性向上の観点よりワラストナイト、硫酸カルシウム、メタ珪酸カルシウムが、なかでもワラストナイト、メタ珪酸カルシウム(α)などが好ましいものとして挙げられる。
本発明で使用するリン酸エステル金属塩(E)として好ましいものとして、下記式(2)、(3)で表される芳香族有機リン酸エステル金属塩が挙げられる。芳香族有機リン酸エステル金属塩は1種類のものあるいは複数種類のもの或いは各種剤を含有するものを併用することもできる。
Figure 2008248182
(式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を表し、qはMがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子の時は1または2を表す。)
Figure 2008248182
(式中R、RおよびRは各々独立に、水素原子または炭素原子数1〜12のアルキル基を表しMはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を表し、qはMがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子の時は1または2を表す。)
芳香族有機リン酸エステル金属塩は1種類のものあるいは複数種類のものを併用することもできる。
式(2)においてRは水素原子、または炭素数1〜4個のアルキル基を表す。Rで表される炭素原子数1〜4個のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル,iso−ブチル、などが例示される。R、Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜12個のアルキル基を表す。
炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル,iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、iso−ノニル、デシル、iso−デシル、tert−デシル、ウンデシル、ドデシル、tert−ドデシル基などが挙げられる。
は、Na、K、Liなどのアルカリ金属原子、Mg、Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qはMがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、Mがアルミニウム原子のときは1または2を表す。式(2)で表されるリン酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、たとえばRが水素原子、R、Rがともにtert−ブチル基のものが挙げられる。
式(3)においてR、R、Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜12個のアルキル基を表す。R、R、Rで表される炭素数1〜12のアルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル,iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、iso−ノニル、デシル、iso−デシル、tert−デシル、ウンデシル、ドデシル、tert−ドデシルなどが挙げられる。
は、Na、K、Liなどのアルカリ金属原子、Mg、Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qは、Mがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、Mがアルミニウム原子のときは1または2を表す。式(3)で表されるリン酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、例えば、たとえばR、Rがメチル基、Rがtert−ブチル基のものが挙げられる。
リン酸エステル金属塩のうち市販されているもの、たとえば旭電化(株)製の商品名、アデカスタブNA−10、NA−11、Na−21、NA−30、NA−35なども本発明のリン酸エステル金属塩として所望の目的に有効に使用できる。これらのうち、リン酸エステルアルミニウム塩と有機助剤を含有するNa−21がフィルム透明性の点から好ましい物として例示される。中でも粉砕、分級して得た平均粒径5μm以下の微細粒子状のNa−21が好適である。
かかる結晶核剤(D)、(E)の使用量は組成物(A)100重量部あたり0.01〜5重量部の範囲である。0.01重量部より少量であると所望の効果がほとんど認められないか、実用に供するにはあまりに小さいものでしかない。また5重量部より多量に使用すると成形品形成時、熱分解を起こしたり、劣化着色が起きたりする場合があり好ましくない。従って好ましくは0.05〜4重量部の範囲が、特に好ましくは0.1〜3重量部の範囲が選択される。かかる量比の結晶核剤を使用することにより、本発明の組成物(A)のステレオ化度を80%以上、さらには実質的に100%にすることが出来る。
また本発明に使用される結晶核剤は粒径ができるだけ小さいもの、特に10μm超の大型粒子の含有割合の少ないものがポリ乳酸組成物成形品の透明性の観点から好ましいが、実用上は0.01〜10μmのものが好適に使用される。さらに好ましくは0.05〜7μmのものが選択される。10μm超の大型粒子の含有割合が20%を超えるとポリ乳酸組成物成形品のヘーズが高まり好ましくない。
かかる粒径の結晶核剤は、ボールミル、サンドミル、ハンマーククラッシャー、アトマイザーにより、市販の結晶核剤を粉砕し、各種分級機により分級することにより容易に得ることができる。結晶核剤の粒径を0.01μmより小さくすることは工業的に困難であり、また実用上それほど小さくする必要もない。しかし粒径が10μmより大きい或いは大きいものの含有割合が高いと、組成物成形品のヘーズが高まる問題が大きくなり好ましくない。
(組成物(A)の製造)
本発明の組成物(A)は、前述のポリ乳酸(B)とポリ乳酸(C)とを、好ましくは重量比で10/90〜90/10の範囲で、220〜300℃で溶融混練することにより得ることができる。組成物(A)のステレオ化度を高くするためには、ポリ乳酸(B)とポリ乳酸(C)の重量混合比は、より好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40である。溶融混練温度は、ポリ乳酸の溶融時の安定性およびステレオ化度の向上の観点より好ましくは230〜300℃、より好ましくは240〜280℃、さらに好ましくは245〜275℃である。
かかる混合比、温度で溶融混練することによりポリ乳酸(A)のステレオ化度を80%以上にすることができ好ましい。ポリ乳酸(A)のステレオ化度は好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%、さらに好ましくは97〜100%、特に好ましくは100%である。
溶融混練は、従来公知のバッチ式或いは連続式の溶融混合装置を用いて行なうことができる。たとえば、溶融攪拌槽、一軸、二軸の押出し機、ニーダー、無軸籠型攪拌槽(フィニッシャー)、住友重機製バイボラック、三菱重工業製N−SCR,日立製作所製めがね翼、格子翼あるいはケニックス式攪拌機、あるいはズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合装置などを使用できるが、生産性、ポリ乳酸の品質とりわけ色調の点でセルフクリーニング式の重合装置である無軸籠型攪拌槽、N−SCR、2軸押し出しルーダーなどが好適に使用される。
組成物(A)の製造において、カルボキシ基封止剤を使用することが好ましい。ポリ乳酸(B)および(C)中の分子量150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%であることが好ましい。ポリ乳酸(B)および(C)の重量平均分子量は、7万〜50万であることが好ましい。ポリ乳酸(B)および(C)のカルボキシ基濃度は0.1〜30当量/トンであることが好ましい。
組成物(A)はそのまま溶融成形することも可能であるが、一度固化しペレット化した後、成形加工することも好ましい。ペレットの形状は、ペレットを各種成形方法で成形するに好適な形状を有するもの、具体的にはペレット長は1〜7mm程度、長径3〜5mm程度、短径1〜4mm程度のものが好ましい。またかかるペレット形状は、ばらつきの少ないものが好ましい。
組成物(A)には所望により、本発明の趣旨に反しない範囲においてポリ乳酸以外の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、軟質熱可塑性樹脂、耐衝撃改良剤、結晶化促進剤、結晶化核剤、静電密着法による製膜性改良剤、可塑剤、潤滑剤、有機、無機の滑剤、有機、無機充填剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤,熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、抗菌抗カビ剤、有機、無機系の染料、顔料を含む着色剤などの、1種あるいは2種以上を含有させることができる。
組成物(A)に、上記添加剤を適用するには、ポリ乳酸重合開始より製膜前の間の段階で剤を配合することができる。重合開始から終了までの間に剤を添加する場合、通常の剤投入法を使用することで剤含有ポリ乳酸を製造することができる。また剤をポリ乳酸に添加するには、従来公知の各種方法を好適に使用することができる。たとえば、ポリ乳酸とリン酸エステル金属塩をタンブラー、V型ブレンンダー、スーパーミキサー、ナウタミキサーバンバリーミキサー、混練ロール、1軸または2軸の押出機等で混合する方法が適宜用いられる。
<成形品>
本発明は、組成物(A)からなる成形品を包含する。
本発明の成形品は、
(a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
(b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
(c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
(d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
(e)分子量150以下の化合物の含有量が0.0001〜0.2重量%であること。
(f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンであること。
を満たすことが好ましい。成形品は、繊維、フィルム、射出成形品およびブロー成形品から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
成形品として、パソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プリンター等のOA機器のハウジングおよびシャーシ、CD−ROMのトレー、ターンテーブル、ピックアップシャーシ、各種ギア等のOA内部部品、テレビ、ビデオ、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機等の家庭電器製品のハウジングや部品、電気鋸、電動ドリル等の電動工具、望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラボディ、カメラハウジング、カメラ鏡筒等の光学機器部品、ドアーハンドル、ピラー、バンパー、計器パネル等の自動車用部品などが挙げられる。
本発明の組成物(A)は、特に、機械的強度、耐薬品性、湿熱疲労性などが要求される自動車部品(アウタードアハンドル、インナードアハンドルなど)や機械部品(電動工具カバーなど)などに有用である。
また、ボトル、包装用フルム、コンデンサー用フィルム(たとえば肉厚3μm以下のフィルム)、プリンターリボン用フィルム(たとえば肉厚5μm程度のフィルム)、感熱孔版印刷用フィルム、磁気記録フィルム(たとえばQICテープ用:コンピューター記録用フィルム1/4インチテープ)、モングレアフィルム、偏光板の保護フィルム、反射防止フィルムや防眩フィルム等などのフィルム、シート、不織布、繊維、捲縮糸、これらの繊維よりの布、他の材料との複合体、農業用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品またはその他の成形品が挙げられる。
これらの成形品は、射出成形、押出成形、真空圧空成形、ブロー成形など通常の方法で成形することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法により求めた。
分析法
(1)重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn):
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
GPC測定器は、以下に示す機器を用い、クロロホルム溶離液を使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minで流し、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノール含有クロロホルム)の試料10μlを注入して行なった。
検出器:示差屈折計 (株)島津製作所製 RID−6A
ポンプ:(株)島津製作所製 LC−9A
カラム:(株)東ソーTSKgelG3000HXL,TSKgelG4000HXL,TSKgelG5000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続した。
(2)結晶融点、結晶融解熱(△Hmh、△Hmsc)およびステレオ化度(S):
パーキンエルマー(株)製DCS7示差走査熱量計(DSC)により測定した。試料10mgを窒素雰囲気下、1st RUNにて昇温速度20℃/分で、30℃から250℃に昇温し、結晶融解温度(Tmh、Tmsc)、結晶融融解熱(△Hmh、△Hmsc)を測定した。
ステレオ化度(S)はポリL−乳酸成分およびポリD−乳酸成分よりなるポリ乳酸につき、190℃未満の結晶融解熱(△Hmh)、190℃以上の結晶融解熱(△Hmsc)より下記式(1)によりもとめた。
S=△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)×100 (1)
(3)溶融安定性(%):
試料を窒素雰囲気下、260℃、10分間保持後の還元粘度の保持率を測定した。組成物(A)をフィルム化するとき、溶融安定性が80%以上であれば通常の溶融押しが問題なくでき、溶融安定性合格と判断した。
(4)還元粘度(ηsp/c):
還元粘度(ηsp/c)は、試料1.2mgを〔テトラクロロエタン/フェノール=(6/4)重量混合溶媒〕100mlに溶解、35℃でウベローデ粘度管を使用して測定した。
(5)耐湿熱性(%):
試料を80℃、90%RHで11時間保持し、還元粘度(ηsp/c)の保持率(%)を測定、湿熱安定性とし耐久性のパラメーターとした。該パラメーターが80%以上であれば、組成物(A)のフィルムを通常の湿熱条件下で安定的に使用でき耐久性合格と判定した。また90%以上であれば特別に良好と判断した。
(6)ペレット色相;
組成物(A)のペレットについて、日本電色(株)製Z−1001DP色差計により、カラーL/b値を測定した。カラーb値が大きいほど色相が悪いことを示す。カラーb値が10を超えるペレットは商業用途に不適と判断し、成形品としての評価はしなかった。
(7)成形性;
厚さ3mmのASTM測定用の成形片を住友重機(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル150秒で100ショット成形し、最終10ショットの成形品のゆがみ、黒色異物の有無を目視判定した。ゆがみ、黒色異物が認められない成形品は合格(OK)、明白なゆがみ、黒色異物の認められる成形品は不合格(NG)とした。微小な異物、微細なゆがみの見られる成形品は保留(△)とした。成形性不合格の組成物(A)は工業的使用には不適と判断した。
(8)ポリ乳酸中のスズ原子、チタン原子、リン原子含有量およびスズ、チタン、リンのg原子数測定法
ICPにより求めた。
(9)ポリ乳酸中の分子量150以下の化合物の含有量測定法
GPCにより求めた。
(10)ポリ乳酸中のCOOH末端基濃度測定法
精秤した試料をo−クレゾール調整液に加えた後、80℃を限度として加熱溶解し0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。
(11)熱金属接触耐熱性(耐アイロン性)評価
繊維においては、テストする繊維にて10cm角の布巾を作成し表面温度170℃に調整したアイロンで30秒アイロン掛けをおこない、布巾形状、風合いの変化より耐熱性を判定した。
合格: ○ 単糸の融着もなく処理前の布巾の形状、風合いを良好に保つ。
不合格: × 単糸の融着あるいは処理前の布巾の熱変形、ごわごわした風合いへの変化がみられた。
(合成例1−1)実施例1用ポリL−乳酸の製造
真空配管、窒素ガス配管、触媒添加配管、L−ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管を具備したフルゾーン翼具備縦型攪拌槽(40L)を窒素置換後、L−ラクチド30Kg、ステアリルアルコール0.90kg(0.030モル/kg)、オクチル酸スズ6.14g(5.05×10−4モル/Kg)を仕込み、窒素圧106.4kPaの雰囲気下、150℃に昇温した。内容物が溶解した時点で攪拌を開始し、内温を190℃に昇温した。内温が180℃を超えると反応が始まるので冷却を開始し、内温を185〜190℃に保持し1時間反応を継続した。さらに攪拌しつつ、窒素圧106.4kPa、内温200〜210℃で1時間反応を行なった後、リン系失活剤を添加し10分間攪拌を継続した。攪拌を停止し、さらに20分間静置して気泡除去をおこなった後、内圧を窒素圧で2から3気圧に昇圧しプレポリマーをチップカッターに押し出し重量平均分子量12万、分子量分散1.8のプレポリマーをペレット化した。
さらに、得られたペレットを押出機で溶解させ無軸籠型反応装置に15kg/時間で投入し1.03kPaに減圧し残留するラクチドを低減処理し、それを再度チップ化した後のポリL−乳酸を得た。得られたポリL−乳酸は、重量平均分子量が12万、分子量分散が1.8、末端カルボキシ基濃度は30当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量は0.05重量%であった。
(合成例1−2)実施例1用ポリD−乳酸の製造
D−ラクチドを使用した以外は合成例1−1の操作を繰り返し、重量平均分子量12万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリD−乳酸を合成した。
(合成例2−1)比較例3用ポリL−乳酸の製造
ラクチド低減処理の減圧度を3kPaに変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.1万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度30当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.31重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例2−2)比較例3用ポリD−乳酸の製造
ラクチド低減処理の減圧度を3kPaに変更した以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.1万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度32量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.33重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例3−1)比較例4用ポリL−乳酸の製造
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中に記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を0.75時間に変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.3万、分子量分散1.9、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.031重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例3−2)比較例4用ポリD−乳酸の製造
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中に記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を0.75時間に変更した以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.5万、分子量分散1.9、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例4−1)比較例5用ポリL−乳酸の製造
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を3時間に変更した以外は合成例1−1の操作を繰り返し、重量平均分子量7万、分子量分散1.3、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.031重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例4−2)比較例5用ポリD−乳酸の製造
開始剤のステアリルアルコール、オクチル酸スズの使用量を各々表1中記載の量にし、内温200〜210℃での反応時間を3時間に変更した以外は合成例1−2の操作を繰り返し、重量平均分子量6.5万、分子量分散1.4、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.033重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例5−1)比較例6用ポリL−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量11.6万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度34当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.31重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例5−2)比較例6用ポリD−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更しする以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量11.5万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.33重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例6−1)比較例7用ポリL−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.3万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度34当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例6−2)比較例7用ポリD−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.5万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例7−1)比較例8用ポリL−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.6万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例7−2)比較例8用ポリD−乳酸の製造
リン系失活剤のみを表1中の値に変更する以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量12.5万、分子量分散1.7、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例8−1)比較例9ポリL−乳酸の製造
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.1万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例8−2)比較例9ポリD−乳酸の製造
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−2と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量13.2万、分子量分散1.8、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
(合成例9−1)比較例10用ポリL−乳酸の製造
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−1と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量10.5万、分子量分散1.6、末端カルボキシ基濃度33当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.03重量%のポリL−乳酸を得た。
(合成例9−2)比較例10用ポリD−乳酸の製造
重合開始剤、触媒、リン系失活剤の量を各々表1中の値に変更した以外は合成例1−2+と同じ操作を繰り返し、重量平均分子量10.2万、分子量分散1.6、末端カルボキシ基濃度32当量/トン、分子量150以下の化合物の含有量0.032重量%のポリD−乳酸を得た。
(実施例1)
合成例1−1で製造したポリL−乳酸、合成例1−2で製造したポリD−乳酸の1/1(重量比)混合物を120℃で5時間乾燥後、カルボキシ基封止剤として、日清紡(株)製カーボジライトLA−1をポリL−乳酸、ポリD−乳酸混合物に対し、0.3重量%添加し、二軸混練機でシリンダー温度260℃、滞留時間5分で溶融混練し、チップカッターでペレット化し、組成物(A)のペレットを得た。得られた組成物(A)の特性の測定結果を表1中に示す。組成物(A)の耐湿熱性は91%、耐熱性、成形性、色相とも良好であった。
(比較例1)
合成例1−1で製造したポリL−乳酸、合成例1−2で製造したポリD−乳酸の1/1(重量比)混合物を120℃で5時間乾燥後、カルボキシ基封止剤にかえ無水ピロメリット酸をポリL−乳酸、ポリD−乳酸混合物に対し、0.2重量%添加し、二軸混練機でシリンダー温度260℃、滞留時間5分で溶融混練し、チップカッターでペレット化しペレットを得た。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。ペレットは、末端カルボキシ基濃度が65当量/トンであり、耐湿熱性が不良であった。
(比較例2)
実施例1において、カルボキシ基封止剤の使用量を7重量%にアップしたところ、末端カルボキシ基濃度は0.1当量/トン以下に減少したが、ペレットの色相、カラーb値が12ときわめて不良であり商品化は無理と判断した。
(比較例3)
合成例2−1で製造したポリL−乳酸および合成例2−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレット中の分子量150以下の化合物の含有量は0.3重量%であった。耐湿熱性は77%であった。またカラーb値は8と黄色味が強く、商品化限界レベルであった。
(比較例4)
合成例3−1で製造したポリL−乳酸および合成例3−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレットのスズ原子含有濃度は590ppmであった。耐湿熱性は75%であった。また溶融安定性は65%と不良で溶融成形不可のレベルであった。またカラーb値は9と黄色味が強かった。
(比較例5)
合成例4−1で製造したポリL−乳酸および合成例4−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレットのスズ原子含有濃度は4ppm、重量平均分子量は6.5万であり成形性不可のレベルであり、生計品の製造は不可能で商品化不能と判断した。
(比較例6)
合成例5−1で製造したポリL−乳酸および合成例5−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの特性の測定結果を表1に示す。得られたペレットのリン原子含有濃度は150ppm、重量平均分子量は11.3万であり、耐湿熱性は75で、不可レベルであった。
(比較例7)
合成例6−1で製造したポリL−乳酸および合成例6−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットのリン原子含有濃度は0.5ppm、スズ/リン原子数比は30であった。重量平均分子量は12万であり、耐湿熱性は66、溶融安定性71で、不可レベルであった。
(比較例8)
合成例7−1で製造したポリL−乳酸および合成例7−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットのリン原子含有濃度は0ppm、スズ/リン原子数比は無限大と本発明範囲外であった。耐湿熱性は61、溶融安定性は69、成形性は不良であった。
(比較例9)
合成例8−1で製造したポリL−乳酸および合成例8−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの重量平均分子量は13.1、スズ原子含有濃度は118ppm、リン原子濃度は3ppm、スズ/リン原子数比は10であった。耐湿熱性は63、溶融安定性は69、成形性は不良であった。
(比較例10)
合成例9−1で製造したポリL−乳酸および合成例9−2で製造したポリD−乳酸を使用し、実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットの重量平均分子量は10.1、スズ原子含有濃度は11ppm、リン原子濃度は62ppm、スズ/リン原子数比は0.02であった。耐湿性は78、溶融安定性は76、成形性は不良であった。
(実施例2)
実施例1で製造したステレオ化度93%の組成物(A)のペレットを120℃で5時間減圧乾燥した。このチップを、1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い240℃で溶融し、0.25Φの吐出孔を36ホールもつ口金から40g/分で吐出させた。吐出直後のパック下の温度は180℃、紡糸筒により冷却した後、集束し、油剤を付加して500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱セットを行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示しステレオ化度100%、融点が224℃、結晶融解熱は48J/gであった。繊維の強度は4.6cN/dtex、伸度35%であり、耐湿熱性は92%であり実用上十分な強度、耐湿熱性を保有していた。
また熱金属接触性(耐アイロン性)は良好で合格であった。
(実施例3)
実施例1で製造した組成物(A)のペレットを120℃で5時間乾燥し、組成物(A)100重量部に対し、結晶核剤として旭電化(株)製NA21、0.1重量部を混合後、2軸押出機で溶融混練し、ダイ温度260℃で、キャステキング速度40m/分で210μmのフィルム状に溶融押し出し、白金コート線状電極を用い、静電キャスト法によって鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させた。未延伸フィルムをさらに120℃で、縦方向に3.6倍、横方向に3.9倍延伸し、140℃で熱固定を行い厚さ15μmの2軸延伸フィルムとした。得られた2軸延伸フィルムの耐湿熱性、溶融安定性はいずれも80%以上で合格であった。
Figure 2008248182
Figure 2008248182

Claims (5)

  1. L−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(B)およびD−乳酸単位を90モル%以上含有するポリ乳酸(C)を含有し、下記要件(a)〜(f)を同時に満足する組成物(A)。
    (a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
    (b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
    (c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
    (d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
    (e)分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%であること。
    (f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンである。
  2. 示差走査熱量計による測定で、190℃未満の融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmh、190℃以上の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーを△Hmscとするとき、△Hmscが35〜80J/gであり、且つ下記式(1)で規定されるステレオ化度(S)が80%以上である請求項1記載の組成物(A)。
    S=△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)×100 (1)
  3. 請求項1または2記載の組成物からなる成形品。
  4. (a)重量平均分子量が7万〜50万であること。
    (b)スズ原子および/またはチタン原子を5〜500ppm含有すること。
    (c)リン原子を1〜100ppm含有すること。
    (d)(スズおよび/またはチタンのg原子数)/(リンのg原子数)が0.01〜5であること。
    (e)分子量150以下の化合物の含有量が0.0001〜0.2重量%であること。
    (f)カルボキシ基濃度が0.1〜30当量/トンであること。
    をみたす請求項3記載の成形品。
  5. 成形品が、繊維、フィルム、射出成形品およびブロー成形品から選択される少なくとも一種である請求項3または4記載の成形品。
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