JP2008248075A - 多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性及び柔軟性を有するとともに機械的強度が高く、広範な分野で利用可能な多孔質膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマーを含み、該熱可塑性エラストマーの少なくとも一部が架橋または重合していることを特徴とする多孔質膜10。熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体上に付与する工程と、前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔が形成された多孔質膜とする工程と、前記多孔質膜に含まれている前記熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる工程と、を含むことにより、孔がハニカム状に形成された上記多孔質膜を製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質膜及びその製造方法に関し、特に、多数の孔がハニカム状に形成された多孔質膜及びその製造方法に関する。
近時、光学材料や電子材料の分野では、集積度の向上や情報量の高密度化、画像情報の高精細化などの要求が高まっている。このため、上記のような分野に用いられる膜にも微細な構造(微細パターニング、微細パターン構造)が形成されていることが求められている。また、再生医療分野の研究には、表面に微細な構造を有する膜が、細胞培養における足場となる基材として有効であることが知られている(特許文献1参照)。
前記膜の微細パターニングについては、マスクを用いた蒸着法、光化学反応、並びに重合反応を用いた光リソグラフィー技術、レーザーアブレーション技術などの種々の方法が知られており、実用化もされている。
また、光学材料である偏光板にも微細パターニングが形成されている膜が用いられている。例えば、モスアイ構造を有する反射防止機能を発現する膜がある。このような膜は、サブミクロン〜数十ミクロンサイズの規則正しい微細パターニングが形成される。この場合、光リソグラフィーを中心としたマイクロ加工技術を用いた版を作製し、その版の構造を基材に転写する方法が知られている(特許文献5参照)。
しかし、上記のように版の微細構造を基材に転写させる、いわゆるトップダウン方式の方法では、微細構造を決定する版の作製が複雑であり、いくつもの工程を必要とし、高コストを招いてしまう。また、大面積の版を作製することが困難であるという問題もある。
一方、微細な構造を自己会合的に形成することで、規則正しい微細構造を有する自己組織化を応用して、微細構造を有する自己組織化構造体を作製するボトムアップ方式が提案されている。例えば、特殊な構造を有するポリマーの希薄溶液を高湿度下でキャストすることでミクロンスケールの微細な孔が規則的に配列したハニカム構造を有する膜(ハニカム構造膜)を得る方法が知られている(特許文献2〜9参照)。このようなハニカム構造膜に機能性微粒子を含有させることで光学材料や電子材料として用いることができ、例えば、膜の細孔内に発光材料を配置させることで表示デバイスとして用いることが提案されている(特許文献10参照)。
特開2001−157574号公報 特開2003−302532号公報 特開2002−335949号公報 特開2002−347107号公報 特開2006−70254号公報 特開2007−1301号公報 特開2005−285536号公報 特開2005−152004号公報 特開2005−278711号公報 特開2003−128832号公報
前記のように自己組織化により製造することができるハニカム構造膜であれば、微細構造の版を作製して基材に転写させる場合の問題を解決することができるが、ハニカム構造膜は、多数の空孔を有する薄膜であるため、強度が弱く、破れやすく、取り扱い性が悪いなどの問題があり、広範な利用の妨げとなっている。
本発明は、上記諸問題に鑑み、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、弾性及び柔軟性を有するとともに機械的強度が高く、広範な分野で利用可能な多孔質膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では以下の多孔質膜及びその製造方法が提供される。
<1> 熱可塑性エラストマーを含み、該熱可塑性エラストマーの少なくとも一部が架橋又は重合していることを特徴とする多孔質膜。
<2> 前記多孔質膜の孔の配列が、ハニカム状であることを特徴とする<1>に記載の多孔質膜。
<3> 前記熱可塑性エラストマーの50%以上が架橋又は重合していることを特徴とする<1>又は<2>に記載の多孔質膜。
<4> 前記多孔質膜の面方向に延伸した時の引張弾性率が20MPa以上2GPa以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の多孔質膜。
<5> 前記熱可塑性エラストマーとして、ブタジエン系ポリマー、スチレン-ブタジエン系ポリマー、スチレン-イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、及びポリアミド系ポリマーから選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の多孔質膜。
<6> 前記熱可塑性エラストマーとして、スチレン-イソプレンコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を含むことを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の多孔質膜。
<7> 熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体上に付与する工程と、
前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔が形成された多孔質膜とする工程と、
前記多孔質膜に含まれている前記熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる工程と、
を含むことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
<8> 前記多孔質膜の孔の配列を、ハニカム状にすることを特徴とする<7>に記載の多孔質膜の製造方法。
<9> 前記熱可塑性エラストマーの50%以上を架橋又は重合させることを特徴とする<7>又は<8>に記載の多孔質膜の製造方法。
<10> 前記熱可塑性エラストマーとして、ブタジエン系ポリマー、スチレン-ブタジエン系ポリマー、スチレン-イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、及びポリアミド系ポリマーから選択される1種又は2種以上を用いることを特徴とする<7>〜<9>のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
<11> 前記熱可塑性エラストマーとして、スチレン-イソプレンコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を用いることを特徴とする<7>〜<10>のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
<12> 前記有機溶媒溶液中に、両親媒性化合物を含むことを特徴とする<7>〜<11>のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
<13> 前記有機溶媒溶液中に、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤を含むことを特徴とする<7>〜<12>のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
<14> 前記有機溶媒溶液中に、重合性の多官能モノマーを含むことを特徴とする<7>〜<13>のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
<15> 電子線又は紫外線を照射することにより、前記熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させることを特徴とする<7>〜<14>のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
本発明によれば、弾性及び柔軟性を有するとともに機械的強度が高く、広範な分野で利用可能な多孔質膜及びその製造方法が提供される。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る多孔質膜及びその製造方法について具体的に説明する。
図1は、本発明に係る多孔質膜10の構成の一例を概略的に示している。また、図2は図1におけるa−a線概略断面図であり、図3は図1におけるb−b線概略断面図である。この多孔質膜10は、多数の孔12がハニカム状に配列された構造(ハニカム構造)を有し、膜本体14を構成する熱可塑性エラストマーの一部が架橋又は重合されていることで、本来熱可塑性エラストマーの持つ弾性及び柔軟性を活かしつつ、機械的強度も向上した多孔質膜10となっている。
なお、本発明でいうハニカム構造とは、図1に示すようにほぼ一定の形状とサイズを有する空孔12が、連続的にかつ規則的に配列している構造を意味する。このような規則的な孔12の配列は、単層の場合には二次元的であり、複層の場合は三次元的にも規則性を有するものでもよい。この規則性は、二次元的には1つの空孔12の周囲を複数(例えば、6つ)の空孔12が取り囲むように配置され、三次元的には結晶構造の面心立方や六方晶のような構造を取って、空孔12が最密充填のように配置することが多いが、製造条件によってはこれら以外の規則性を示すこともある。
本発明に係る多孔質膜は、目的に応じて孔12が配列されており、膜本体14を構成する熱可塑性エラストマーの一部が架橋又は重合されていれば、その作製方法等は特に限定されないが、例えば、図1に示したようなハニカム構造を有する多孔質膜10(本発明では、適宜、ハニカム構造膜という。)であれば、自己組織化により好適に作製することができる。
このような本発明に係るハニカム構造膜10を製造する方法としては、例えば、熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体上に付与する工程(溶液付与工程)と、前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔が形成された膜とする工程(成膜工程)と、前記膜に含まれる前記熱可塑性エラストマーを架橋または重合させる工程(架橋・重合工程)とを含む方法が好適である。これらの工程により、熱可塑性エラストマーを含み、該熱可塑性エラストマーの一部が架橋または重合していることで、熱可塑性エラストマーの弾性及び柔軟性を発揮しつつ、機械的強度も高いハニカム構造膜10を好適に製造することができる。
以下、各工程について具体的に説明する。
−溶液付与工程−
まず、多孔質膜を構成する有機化合物として熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体上に付与する。
<支持体>
前記支持体は、好ましくは透明であり、ある程度の強度を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス、金属、シリコンウエハー等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエーテルケトン、ポリフッ化エチレン等の耐有機溶剤性に優れた有機材料;水、流動パラフィン、液状ポリエーテル等の液体、などが挙げられる。
支持体の厚みとしては、前記有機溶媒溶液を付与して形成された膜を支持することができる厚さとし、支持体の構成材料、成膜方法等にもよるが、通常は、例えば、0.02〜4.0mmとすることができる。
また、支持体の形状は特に限定されず、成膜すべき多孔質膜の形状等に応じて決めればよく、例えば平板状の支持体を採用することができる。
<熱可塑性エラストマー>
本発明でいう熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を有する熱可塑性樹脂のことであり、例として、ブタジエン系ポリマー、スチレン-ブタジエン系ポリマー、スチレン-イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、ポリアミド系ポリマーなどが挙げられる。これらは、溶解性、光学的物性、電気的物性、膜強度、弾性等の観点から、必要に応じてホモポリマーとしてもよいし、コポリマーやポリマーブレンドの形態をとってもよい。これらのポリマーは必要に応じて2種以上のポリマーの混合物として用いてもよい。本発明で使用する熱可塑性エラストマーとしては、特に、スチレン-イソプレンコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。
<両親媒性化合物>
本発明に係る多孔質膜10を構成する有機化合物としては、上記のような熱可塑性エラストマーだけでも膜を形成することができるが、熱可塑性エラストマーと共に両親媒性化合物を用いることが好ましい。
前記両親媒性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、両親媒性ポリマーを使用することができる。
前記両親媒性ポリマーとしては、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、ポリアクリルアミドを主鎖骨格とし、疎水性側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてカルボキシル基を併せ持つ両親媒性ポリマー、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマーなどが挙げられる。
前記疎水性側鎖は、アルキレン基、フェニレン基等の非極性直鎖状基であり、エステル基、アミド基等の連結基を除いて、末端まで極性基やイオン性解離基などの親水性基を分岐しない構造であることが好ましい。該疎水性側鎖としては、例えば、アルキレン基を用いる場合には4つ以上のメチレンユニットからなることが好ましい。
前記親水性側鎖は、アルキレン基等の連結部分を介して末端に極性基やイオン性解離基、又はオキシエチレン基などの親水性部分を有する構造であることが好ましい。
前記両親媒性化合物としては、前記両親媒性ポリマー以外のものも使用することができる。前記両親媒性ポリマー以外の両親媒性化合物としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、界面活性剤などが好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、一般式(I)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2008248075
ただし、前記一般式(I)中、Rは脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、及びヘテロ環のいずれかを表し、Rは脂肪族基、脂環式化合物基、芳香族基、ヘテロ環、及び−L−Zのいずれかを表す。Q、Q、及びQはそれぞれ単結合、酸素原子、硫黄原子、及び−N(R)−のいずれかを表し、Rは水素原子及びRのいずれかを表し、Lは2価の連結基を表し、Zはイオン性の基を表す。なお、単結合とは、元素が存在しないことをいう。
前記一般式(I)中、Rで表される脂肪族基としては、例えば、直鎖又は分枝の炭素数1〜40の無置換アルキル基、直鎖又は分枝の炭素数1〜40の置換アルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の無置換アルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の置換アルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の無置換アルキニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜40の置換アルキニル基等が好ましい。
前記一般式(I)中、Rで表される脂環式化合物基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数3〜40のシクロアルキル基、置換又は無置換の炭素数4〜40のシクロアルケニル基等が好ましい。
前記芳香族基としては、例えば、置換又は無置換の炭素数6〜50のアリール基等が好ましい。
前記一般式(I)中、ヘテロ環としては、例えば、置換又は無置換の炭素数4〜40の環状エーテル、置換又は無置換の炭素数4〜40の含窒素環等が好ましい。
これらの中でも、炭素数1〜24の、直鎖、環状、又は分枝の無置換アルキル基、置換基の炭素数を除いた炭素数が1〜24の、直鎖、環状、又は分枝の置換アルキル基、炭素数2〜24の、直鎖、環状、又は分枝の無置換アルケニル基、炭素数2〜24の、直鎖、環状、又は分枝の置換アルケニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基が特に好ましい。
前記一般式(I)中、Q、Q、及びQとしては、単結合、酸素原子、又は−N(R)−が好ましく、Q、Q、及びQの内の少なくとも2つ以上が酸素原子であることが特に好ましい。
前記一般式(I)中、Lとしては、下記一般式(II)で表される基が好ましい。
Figure 2008248075
ただし、前記一般式(II)中、Y、Y、及びYは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜40の置換又は無置換のアルキレン基、及び炭素数6〜40の置換又は無置換のアリーレン基のいずれかを表す。J、J、及びJは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい2価の結合ユニットを表す。p、q、及びrは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。sは、1〜10の整数を表す。a及びbは、それぞれ独立に、0〜50の整数を表す。
前記Y、Y、及びYにおける置換基としては、例えば、前記一般式(I)におけるRで例示した基が挙げられる。具体的には、例えば、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メトキシ−1,3−プロピレン基等が好ましく、アリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、3−クロロ−1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基等が好ましい。これらの中でも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基が特に好ましい。
前記J、J、及びJにおける2価の結合ユニットとしては、例えば、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R)−、−N(R)CO−、−CON(R)CO−、−N(R)CON(R)−、−OCON(R4)−、−N(R)COO−、−SO−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−N(COR)−、−OP(=O)(OR)O−等が好ましい。なお、これらにおいて、Rは前記一般式(I)におけるのと同じ意を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6の無置換アルキル基、及び置換基の炭素数を除いた炭素数が1〜6の置換アルキル基のいずれかを表し、RはRと同じ意を表すがそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記R及びRにおける置換基としては、アリール基、アルコキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
これらの中では、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CON(R)−(Rは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。)、−N(R)CO−、−SON(R)−、−N(R)SO−等が特に好ましい。
前記p、q、及びrとしては、それぞれ独立に、0〜3の整数が好ましく、0又は1の整数が特に好ましい。前記sとしては、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数が特に好ましい。前記a及びbとしては、それぞれ独立に、0〜20の整数が好ましく、0〜10の整数が特に好ましい。
前記一般式(I)中、Zとしては、親水性のアニオン性又はカチオン性のイオン性基が好ましく、アニオン性基が特に好ましい。
前記アニオン性基としては、−COOM、−SOM、−OSOM、−PO(OM)−OPO(OM)が特に好ましい。なお、前記Mは、対カチオンを表し、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、及びアンモニウムイオンのいずれかが好ましい。これらの中でも、ナトリウムイオン、カリウムイオンが特に好ましい。
前記カチオン性基としては、例えば、−NH ・X、−NH(R)、−NH(R) ・X、−N(R) ・Xが挙げられる。
前記Rとしては、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等)を表し、メチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
前記Xとしては、対アニオンを表し、例えば、ハロゲンイオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等)、複合無機アニオン(例えば、水酸化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン等)、及び有機化合物アニオン(例えば、シュウ酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等)が好ましく、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオンが特に好ましい。
前記一般式(I)中、Rとしては、例えば、上記Rで例示した基、上記−L−Zで例示した基の中から選ばれる一価の基が挙げられる。Rで例示した基から選択される場合は、同一分子内に存在するRと同一構造であっても異なった構造であってもよい。また、−L−Zで例示した基から選択される場合も、同一分子内に存在する−L−Zと同一構造であっても異なった構造であってもよい。これらの中でも、Rで例示した基から選択される場合が特に好ましい。更に、RとRとの炭素数の合計が6以上80以下になることが好ましく、8以上50以下になる場合が特に好ましい。
また、前記疎水性側鎖と前記親水性側鎖との比率は、その大きさや非極性、極性の強さ、疎水性有機溶媒の疎水性の強さなどに応じて異なり一概には規定できないが、ユニット比(疎水性側鎖/親水性側鎖)は9.9/0.1〜5.0/5.0が好ましい。また、コポリマーの場合、疎水性側鎖の親水性側鎖の交互重合体よりも、疎水性溶媒への溶解性に影響しない範囲で疎水性側鎖と親水性側鎖がブロックを形成するブロックコポリマーであることが好ましい。
前記熱可塑性エラストマー及び前記両親媒性化合物の数平均分子量(Mn)は、5,000〜10,000,000が好ましく、8,000〜1,000,000がより好ましい。
前記熱可塑性エラストマーと前記両親媒性化合物との組成比率(質量比率)は、前記両親媒性化合物が両親媒性ポリマーである場合は、99.9:0.1〜25:75が好ましく、95:5〜50:50がより好ましい。特に、両親媒性化合物の比率を0.1質量%以上とすれば、均一なハニカム構造をより確実に得ることができる。一方、両親媒性化合物の比率が50質量%を超えないようにすることで、膜の安定性、特に力学的な安定性を十分に得ることができる。
前記両親媒性化合物が両親媒性ポリマーでない場合は、前記熱可塑性エラストマーと前記両親媒性化合物との組成比率(質量比率)は、99.9:0.1〜80:20が好ましい。前記両親媒性化合物の比率を0.1質量%以上とすれば、均一なハニカム構造をより確実に得ることができる。一方、前記両親媒性化合物の比率を20質量%以下とすれば、膜強度の低下を招くことをより確実に防ぐことができる。
有機溶媒溶液中の熱可塑性エラストマーと両親媒性ポリマーの両者を合わせたポリマー濃度は0.02〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。前記ポリマー濃度が0.02質量%以上であれば、得られる多孔質膜10の力学強度の不足や、細孔12のサイズや配列の乱れなどの不具合が生じることを確実に防ぐことができ、また、20質量%以下とすることで、十分なハニカム構造を容易に得ることができる。
<多官能モノマー>
本発明に係る多孔質膜10を構成する材料として、前記熱可塑性エラストマー及び/又は前記両親媒性ポリマーと併用される多官能モノマーを添加してもよい。
上記多官能モノマーとしては、反応性の点から多官能(メタ)アクリレートが好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物へキサアクリレート又はこれらの変性物、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマ−、N−ビニル−2−ピロリドン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、又はこれらの変性物などを使用することができる。また、これらの多官能モノマーは耐擦傷性と柔軟性のバランスから、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記両親媒性ポリマーが分子内に重合性基を有する重合性(架橋性)ポリマーである場合には、前記熱可塑性エラストマー及び前記両親媒性ポリマーの重合性基と反応しうる重合性の多官能モノマーを併用することも好ましい。
前記エチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、例えば、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱によって確実に行うことができる。
<光ラジカル重合開始剤>
前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限がなく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−アルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。
前記アセトフェノン類としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンなどが挙げられる。
前記ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており、ここに記載されているものを使用してもよい。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア(登録商標)(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
前記光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましい。
なお、前記光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン、チオキサントン、などが挙げられる。
<熱ラジカル開始剤>
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物、有機ジアゾ化合物、などを用いることができる。
具体的には、有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシドなどが挙げられる。前記無機過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。前記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。前記ジアゾ化合物としては、例えば、ジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
<溶媒>
上記のような熱可塑性エラストマー等を含む有機化合物を溶解した有機溶媒溶液を支持体上に付与し、このポリマー溶液に微小な水滴粒子を形成させて成膜することで、図1に示したようなハニカム構造膜を好適に作製することができる。
上記のような水滴粒子を形成させるため、溶媒は非水溶性であることが好ましい。該非水溶性溶媒としては、例えば、パーフルオロベンゼン、テトラクロロジフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系有機溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系有機溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン類;ジエチルエーテル等のエーテル類;二硫化炭素、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、又はこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒として使用しても構わない。
上記有機溶媒溶液を支持体上に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スライド法、エクストリュージョン法、バー法、グラビア法、などが挙げられる。また、支持体を前記有機溶媒溶液中に浸漬させて支持体表面上に有機溶媒溶液を付与することもできる。
−成膜工程−
前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔12が形成された膜とする。
図4A〜図4Cは、成膜工程をモデル的に示している。
熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体46上に塗布した後、有機溶媒溶液の膜40に液滴を形成させるための結露ゾーンに送り込む。ここで、支持体46上の液膜40の表面温度は、塗布後、液膜40上又は液膜40中に形成される水滴44が凝固することを防ぐため、0℃以上に制御することが好ましい。
図4Aに示すように、結露ゾーンでは、風中の水分42が液膜40上で結露して液滴44となる。このように液膜40の表面に液滴44を形成して成膜を行う環境としては、相対湿度が40〜95%の範囲にあることが好ましい。前記相対湿度を40%以上とすれば、液滴44の凝結を確実に行うことができ、また、95%以下であれば、環境のコントロールが容易であり、均一に成膜することができる。
また、前記成膜を行う環境として、相対湿度のほかに風量が一定の定常風を当てることが好ましい。風速は0.05〜20m/sが好ましい。前記風速が0.05m/s以上であれば、環境のコントロールが容易であり、また、20m/s以下であれば、支持体46上に付与した溶液の表面の乱れが発生することを防ぎ、均一な膜を得やすい。
また、定常風を当てる方向は、支持体面に対して0〜90°のいずれの方向であっても製造可能だが、ハニカム構造の均一性を高めるためには0〜60°が好ましい。
成膜の際に液膜40上に送り込む気体としては、例えば、空気のほか、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いることができるが、事前にフィルターを通過させるなどの除塵処置を施すことが好ましい。雰囲気中の塵は水蒸気の凝結核となって成膜に影響を及ぼすため、製造現場(周囲)にも除塵設備等を設置することが好ましい。
成膜を行う環境は、市販の定露点湿度発生装置等を用いるなどして厳密に管理することが好ましい。風量は送風装置等で一定に制御し、外気による影響を防ぐために閉鎖された空間を用いることが好ましい。また、室内は気体が層流にて置換されるよう気体の導入出路及び成膜環境を設定しておくことが好ましい。更に、膜の品質を管理するために温度、湿度、流量等の計測器によるモニターを行うことが好ましい。これらのパラメータ(特に湿度、流量)を管理することで、孔径及び膜厚を高精度に制御することができる。
図4Bに示すように、乾燥ゾーンで乾燥風が高分子膜40に送られると、有機溶媒48が高分子膜40より揮発する。このとき、液滴44からも水分が揮発するが、有機溶媒48の揮発速度の方が速い。そのため、液滴44は、有機溶媒48の揮発に伴い表面張力により略均一の形態となる。
更に乾燥が進行すると、図4Cに示すように高分子膜40中の液滴44が水蒸気50として揮発する。高分子膜40中から液滴44が蒸発すると、液滴44が蒸発した部分に孔12が形成され、図1〜図3に示したようなハニカム構造の多孔質膜10が得られる。
なお、本発明に係るハニカム構造膜10の形態は特に限定されるものではないが、上記のように結露によって液滴を形成した後、液滴等を蒸発させる方法によれば、結露や乾燥の条件を制御することにより、隣接する孔12の距離を、例えばそれらの中心間距離Lで0.05μm以上100μm以下に制御することができる。
また、ハニカム構造膜10の厚みTも特に限定されず、多孔質膜10の目的等に応じて決めればよいが、強度、取り扱い性等の点から、通常は0.1μm〜1.0mmが好ましい。
さらに、膜本体14に形成される孔12の開口径Dも特に限定されず、使用目的等に応じて調製すればよい。
上記のような方法によれば、図1〜図3に示したように、孔12が膜10の厚み方向に規則正しく貫通し、さらに、隣接する貫通孔12同士が膜10の面内方向にも貫通したハニカム構造膜10とすることができる。
なお、本発明に係る多孔質膜の構造はこのような構造に限定されず、例えば各孔12が膜の片面のみで開口している構造とすることもできる。例えば、膜の材料となるポリマー濃度を高めることにより、例えば膜の片面(支持体側)では、各孔12が貫通していない肉厚の層を設けることもできる。この場合、膜の片面側に形成される肉厚の層の厚みは例えば500μm以下とすることができる。
−架橋・重合工程−
上記のように多数の孔12を有する多孔質膜10を形成した後、膜10に含まれている熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる。
前記のような工程により成膜したハニカム構造膜10に対し、例えば電子線、紫外線等を照射することにより、膜本体14を構成している熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させることができる。
電子線又は紫外線の線量は、10〜3000mJ/cmの範囲が好ましい。電子線又は紫外線の線量が、10mJ/cm以上であれば、熱可塑性エラストマーを確実に架橋又は重合させることができ、また、3000mJ/cm以下であれば、ポリマーを分解するおそれがなく、強度の高い多孔質膜とすることができる。
ここで、多孔質膜10に含まれている熱可塑性エラストマーは50%以上を架橋又は重合させることが好ましい。多孔質膜10に含まれる熱可塑性エラストマーの架橋度が50%を超えると急激に破断強度が上昇し、架橋又は重合していないものに比べ、延伸したときの伸び率を保ったまま、破断時の強度を1.5倍以上にすることができる。そのため、多孔質膜10中の熱可塑性エラストマーの架橋度は、50%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。なお、本発明における熱可塑性エラストマーの架橋度とは、架橋前熱可塑性エラストマーの良溶媒に対し、架橋後の溶解しない部分の重量百分率のことをいう。多孔質膜10に含まれている熱可塑性エラストマーの架橋又は重合の度合いは、例えば照射する電子線又は紫外線の線量等により制御することができる。
また、本発明に係る多孔質膜10は、その面方向に延伸した時の引張弾性率が20MPa以上2GPa以下であることが好ましく、100MPa以上2GPa以下であることがより好ましく、200MPa以上1.5GPa以下であることがさらに好ましい。上記引張弾性率が20MPa以上であれば、延伸後、ハニカム構造が崩れることを効果的に防ぐことができる。また、上記引張弾性率が2GPa以下であれば、柔軟性が良く、延伸時の伸び率が著しく低下することを確実に防ぐことができる。
上記のような引張弾性率については、例えば、前記した熱可塑性エラストマーの架橋又は重合の割合により制御することができる。一般的に、多孔質膜10中の熱可塑性エラストマーの架橋度を高くすれば引張弾性率も高くなり、架橋度を低くすれば引張弾性率も低くなる。なお、上記引張弾性率は、面方向での引張荷重を、膜厚測定機(MITUTOYO社製、DIGIMATIC MICROMETER)で測定した膜厚から算出される、見かけの断面積で割ることにより導出することができる。
以上のような工程を経て製造されたハニカム構造膜10は、膜本体14を構成している熱可塑性エラストマーの一部が架橋または重合されており、高い弾性及び柔軟性を保持するとともに、機械的強度も高い多孔質膜10となる。また、上記のような方法によれば、特別な装置や手段を用いることなく、高品質なハニカム構造膜10を低コストで効率よく製造することができる。
このような本発明に係る多孔質膜10は、取り扱い性に優れ、広範な分野で使用可能なものとなり、例えば、血液濾過フィルタ、位相差膜、偏光膜、スクリーン、カラーフィルタ、ディスプレイ用部材、細胞培養用部材、傷口保護膜、経皮吸収薬膜、音響振動材料、吸音材料、制振材料等として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
スチレン-イソプレンコポリマー(SIS5200P、JSR社製)と下記(A)に示す両親媒性ポリマーを質量比で36:1の割合で混合した塩化メチレン溶液(ポリマー濃度として、0.28質量%)5.5mLを調製した。
Figure 2008248075
次いで、外気の影響を受けない閉鎖空間にて4℃に保温したガラス基板上に全量展開し、相対湿度73%の恒湿空気を定常流量で基板面に吹きつけ、塩化メチレンを蒸発させることにより、ハニカム構造膜を得た。このハニカム構造膜に、UV照射を100mJ/cmで行うことにより、前記熱可塑性エラストマー(スチレン-イソプレンコポリマー)を架橋させた。これにより、孔径3.5μm、膜厚5.2μm、架橋度61%のハニカム構造膜が得られ、これを試料1とする。なお、熱可塑性エラストマーの架橋度は、塩化メチレンを溶媒に用いて熱可塑性エラストマーの不溶解分から下記式(1)より算出した。
熱可塑性エラストマーの架橋度(%)
= [乾燥残渣重量(熱可塑性エラストマー分)]/[理論熱可塑性エラストマー分]×100・・・・・(1)
また、テンシロン引張試験機(ORIENTEC RTC−1210A)により、破断時の荷重、伸度、及び引張弾性率を求めた。
破断時の荷重は70gfであった。この時の伸度は700%であり、引張弾性率は900MPaであった。
<実施例2>
実施例1で調製した溶液中に、イルガキュア(登録商標)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量%加え、実施例1と同様にしてハニカム構造膜を得た。これにより、孔径3.3μm、膜厚5.1μm、架橋度83%のハニカム構造膜が得られ、これを試料2とする。
得られたハニカム構造膜について、引張試験により破断時の荷重を求めると、80gfであった。また、この時の伸度は660%であり、引張弾性率は1120MPaであった。
<実施例3>
実施例1の溶液中に、多官能モノマーであるDPHA(ジベンタエリスリトールヘキサアクリレート)を5.0質量%、イルガキュア(登録商標)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量%加え、実施例1と同様にしてハニカム構造膜を得た。これにより、孔径3.1μm、膜厚4.8μm、架橋度94%のハニカム構造膜が得られ、これを試料3とする。
得られたハニカム構造膜について、引張試験により破断時の荷重を求めると、85gfであった。また、この時の伸度は640%であり、引張弾性率は990MPaであった。
<実施例4>
実施例2において、スチレン-イソプレンコポリマーをスチレン-ブタジエンコポリマー(TR2827、JSR社製)に代えて、実施例1と同様にしてハニカム構造膜を得た。これにより、孔径2.7μm、膜厚4.1μm、架橋度88%のハニカム構造膜が得られ、これを試料4とする。
得られたハニカム構造膜について、引張試験により破断時の荷重を求めると、60gfであった。また、この時の伸度は580%であり、引張弾性率は1160MPaであった。
<実施例5>
スチレン-ブタジエンコポリマーの塩化メチレン溶液(ポリマー濃度として、0.35質量%)6.5mL中に、イルガキュア(登録商標)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量%加え、実施例1と同様にしてハニカム構造膜を得た。これにより、孔径2.9μm、膜厚4.2μm、架橋度81%のハニカム構造膜が得られ、これを試料5とする。
得られたハニカム構造膜について、引張試験により破断時の荷重を求めると、85gfであった。また、この時の伸度は520%であり、引張弾性率は770MPaであった。
<比較例1〜5>
上記試料1〜5の作製におけるUV照射を行わない以外は全て同条件でハニカム構造膜を作製し、それぞれ試料6〜10とした。
<比較例6>
ポリスチレンと前記(A)に示す両親媒性ポリマーを質量比で36:1の割合で混合した塩化メチレン溶液(ポリマー濃度として、0.28質量%)5.5mLを調整し、実施例1と同様にしてハニカム構造膜を得た。この時のハニカム構造膜の孔径は2.3μmであり、膜厚は3.8μmであった。こうして得られたハニカム構造膜を試料11とする。
<評価>
試料1〜11を用いて、以下の評価を行った。
試料1〜11において、指で表面をこすった時の変化について観察した。評価基準としては、目視により評価し、100往復しても変化ない場合は○、1往復以上、100往復未満で変化があった場合は△、1往復するだけで変化があった場合は×とした。なお、比較例で作製した試料6〜11のハニカム構造膜についても実施例と同様に引張弾性率を測定した。
評価結果を、架橋度及び引張弾性率とともに表1に示した。
Figure 2008248075
表1に示したように、実施例で作製したハニカム構造膜では、適度な引張弾性率を有し、指で表面を擦っても変化は見られなかった。これにより、実施例の膜は、柔軟性が高く、機械的強度も高いことがわかった。
本発明に係る多孔質膜は、熱可塑性エラストマーを含み、該熱可塑性エラストマーの少なくとも一部が架橋又は重合されている。このような多孔質膜は、熱可塑性エラストマー特有の弾性及び柔軟性を保持するとともに機械的強度が大きく向上し、取り扱い性が向上したものとなる。従って、本発明に係る多孔質膜は、例えば、血液濾過フィルタ、位相差膜、偏光膜、スクリーン、カラーフィルタ、ディスプレイ用部材、細胞培養用部材、傷口保護膜、経皮吸収薬膜、音響振動材料、吸音材料、制振材料など、幅広く好適に用いられる。
以上本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る多孔質膜における孔は、ハニカム構造のように必ずしも規則的に配列されている必要はなく、多数の孔が不規則に配置されているものでもよい。
本発明に係る多孔質膜の構成の一例を示す概略平面図である。 図1のa−a線概略断面図である。 図1のb−b線概略断面図である。 支持体上に熱可塑性エラストマーを含む溶液の膜が形成された状態を示す概略図である。 膜中の有機溶媒が揮発する状態を示す概略図である。 膜中の液滴から水分が揮発する状態を示す概略図である。
符号の説明
10 多孔質膜
12 孔
14 膜本体
40 液膜(高分子膜)
46 支持体

Claims (15)

  1. 熱可塑性エラストマーを含み、該熱可塑性エラストマーの少なくとも一部が架橋又は重合していることを特徴とする多孔質膜。
  2. 前記多孔質膜の孔の配列が、ハニカム状であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 前記熱可塑性エラストマーの50%以上が架橋又は重合していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多孔質膜。
  4. 前記多孔質膜の面方向に延伸した時の引張弾性率が20MPa以上2GPa以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
  5. 前記熱可塑性エラストマーとして、ブタジエン系ポリマー、スチレン-ブタジエン系ポリマー、スチレン-イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、及びポリアミド系ポリマーから選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の多孔質膜。
  6. 前記熱可塑性エラストマーとして、スチレン-イソプレンコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の多孔質膜。
  7. 熱可塑性エラストマーを含む有機溶媒溶液を支持体上に付与する工程と、
    前記支持体上に付与した有機溶媒溶液の膜に液滴を形成させた後、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記液滴が蒸発した部分に孔が形成された多孔質膜とする工程と、
    前記多孔質膜に含まれている前記熱可塑性エラストマーを架橋又は重合させる工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  8. 前記多孔質膜の孔の配列を、ハニカム状にすることを特徴とする請求項7に記載の多孔質膜の製造方法。
  9. 前記熱可塑性エラストマーの50%以上を架橋又は重合させることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の多孔質膜の製造方法。
  10. 前記熱可塑性エラストマーとして、ブタジエン系ポリマー、スチレン-ブタジエン系ポリマー、スチレン-イソプレン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、及びポリアミド系ポリマーから選択される1種又は2種以上を用いることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
  11. 前記熱可塑性エラストマーとして、スチレン-イソプレンコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーの少なくとも一方を用いることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
  12. 前記有機溶媒溶液中に、両親媒性化合物を含むことを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
  13. 前記有機溶媒溶液中に、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤を含むことを特徴とする請求項7〜請求項12のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
  14. 前記有機溶媒溶液中に、重合性の多官能モノマーを含むことを特徴とする請求項7〜請求項13のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
  15. 前記熱可塑性エラストマーを、電子線又は紫外線を照射して架橋又は重合させることを特徴とする請求項7〜請求項14のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
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