JP2008246833A - シリコンデバイスの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

シリコンデバイスの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分割時にシリコンウェハにかかる応力のばらつきを抑え、シリコンウェハの異常な割れを防ぐことができるシリコンデバイスの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面であり、デバイス間ブレイクパターン204及びデバイス領域202と非デバイス領域203とを分割するための領域間ブレイクパターン205が設けられたシリコンウェハ200を分割する際に、少なくとも、前記領域間ブレイクパターン205上にあり且つ領域間ブレイクパターン205の屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204の端部であって、該デバイス間ブレイクパターン204の端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周までの距離が最も長いデバイス間ブレイクパターン204の端部に相対向する非デバイス領域203に溝部206を設けた後、シリコンウェハ200を分割する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン基板を分割してシリコンデバイスとするシリコンデバイスの製造方法及び液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドに代表されるシリコンデバイスは、シリコンウェハに複数一体的に形成した後、シリコンウェハをブレイクパターンに沿って分割して1つのチップ単位に形成していた(特許文献1及び2参照)。なお、シリコンウェハの分割は、シリコンウェハをエキスパンドテープ上に載置し、エキスパンドテープを放射状に拡張することで行っていた。
特開2002−313754号公報(第4〜5頁、第1〜2図等) 特開2004−181947号公報(第4〜5頁、第4図等)
しかしながら、シリコンウェハの外周から各ブレイクパターンまでの距離は通常ばらついているため、シリコンウェハを分割する際にシリコンウェハにかかる応力にばらつきが生じ、特に複数一体的に形成されたシリコンデバイス内部のブレイクパターン(デバイス間ブレイクパターン)のブレイク性が悪くなる場合があった。このような場合、シリコンデバイスとなる領域にもクラックが発生したり、シリコンウェハの破片が大量に発生する等の異常な割れが起こるという問題が生じる。なお、シリコンウェハの破片が大量に発生すると、分割したシリコンデバイスに他部材を接着する際にシリコンの破片によって接着不良が発生してしまったり、分割したシリコンデバイスに成膜する際に、シリコンの破片によって成膜不良が発生してしまい歩留まりが低下してしまう。また、例えば、シリコンデバイスとして液体噴射ヘッドを形成する場合、シリコンウェハを分割する際に発生した破片が圧力発生室などに残留し、液体の噴射不良等が発生してしまうと共に洗浄工程が必要になってしまう。
本発明はこのような事情に鑑み、分割時にシリコンウェハにかかる応力のばらつきを抑え、シリコンウェハの異常な割れを防ぐことができるシリコンデバイスの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、シリコンデバイスが中央部側に複数一体的に形成されたデバイス領域とその外周側の非デバイス領域を有し表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面であり且つ互いに隣接する前記シリコンデバイスを分割するためのデバイス間ブレイクパターン及び前記デバイス領域と前記非デバイス領域とを分割するための領域間ブレイクパターンからなるブレイクパターンが設けられたシリコンウェハを分割する際に、少なくとも、前記領域間ブレイクパターン上にあり且つ前記領域間ブレイクパターンの屈折部以外の前記デバイス間ブレイクパターンの端部であって、該デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向の前記シリコンウェハの外周までの距離が最も長い前記デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する前記非デバイス領域に、溝部を設けた後、前記シリコンウェハを分割することを特徴とするシリコンデバイスの製造方法にある。
かかる態様では、デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向、すなわち、シリコンウェハが割れやすい方向のシリコンウェハの外周までの距離が最も長い領域に溝部を設けることにより、分割する際にこの領域にかかる応力が小さくなり、外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターンのブレイク性が良好になり、シリコンウェハにかかる応力のばらつきが抑えられる。したがって、シリコンデバイスとなる領域にもクラックが発生したりシリコンウェハの破片が大量に発生したりする等のシリコンウェハの異常な割れを防ぐことができる。
そして、前記領域間ブレイクパターン上にあり且つ前記領域間ブレイクパターンの屈折部以外の前記デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する前記非デバイス領域に前記溝部が複数設けられており、該各溝部の前記シリコンウェハの外周側の端部から(111)面方向に沿った方向の前記シリコンウェハの外周までの距離が均一であるようにすることが好ましい。これによれば、デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する非デバイス領域に設けられた溝部から、(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハの外周までの距離が均一であるため、これらのデバイス間ブレイクパターンにかかる応力が均一になる。したがって、シリコンウェハにかかる応力のばらつきを抑えられるため、シリコンウェハの異常な割れを防ぐことができる。
また、前記シリコンウェハは円形状で、前記デバイス領域は矩形状の角部を切り欠いた十字形状であってもよい。これによれば、複数一体的に十字形状になるようにシリコンデバイスが配置された円形状のシリコンウェハを、異常な割れを発生させることなく、分割することができる。
さらに、前記溝部の壁面が(111)面方向に沿った方向であることが好ましい。(100)面又は(110)面からなるシリコンウェハは(111)面方向に沿った方向に割れやすいため、溝部の壁面を(111)面方向に沿った方向で形成すると、シリコンウェハを分割する際にシリコンウェハにかかる応力を小さくすることができる。
そして、前記溝部を前記シリコンウェハの厚さ方向に貫通して設けることが好ましい。これによれば、溝部をシリコン基板を貫通させて形成することで、シリコンウェハを分割する際にかける応力を小さくすることができる。また、深さの制御を行う必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
また、前記シリコンウェハの分割では、当該シリコンウェハをエキスパンドテープ上に載置した後、該エキスパンドテープを拡張させることで行ってもよい。これによれば、シリコンウェハを容易に且つ確実に分割することができる。
さらに本発明の他の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されると共に該圧力発生室に圧力を発生させる圧力発生手段が形成された流路形成基板が中央部側に複数一体的に形成され表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面のシリコンウェハからなり且つ前記流路形成基板毎に分割するためのブレイクパターンが設けられた流路形成基板用ウェハと、前記流路形成基板に対応して設けられる保護基板が中央部側に複数一体的に形成され表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面のシリコンウェハからなり且つ前記保護基板毎に分割するためのブレイクパターンが設けられた保護基板用ウェハとを接合した後に、前記流路形成基板用ウェハ及び前記保護基板用ウェハを分割して液体噴射ヘッドとする際に、前記流路形成基板及び前記保護基板の少なくとも一方が設けられたデバイス領域とその外周側の非デバイス領域とを分割するための領域間ブレイクパターン上にあり且つ前記領域間ブレイクパターンの屈折部以外の互いに隣接する前記流路形成基板又は前記保護基板を分割するためのデバイス間ブレイクパターンの端部であって、該デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向の前記流路形成基板用ウェハ又は前記保護基板用ウェハの外周までの距離が最も長い前記デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する非デバイス領域に、溝部を設けた後、前記流路形成基板用ウェハ及び前記保護基板用ウェハを分割することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハの外周までの距離が最も長い領域に溝部を設けることにより、流路形成基板用ウェハ及び保護基板用ウェハを分割する際にこの領域にかかる応力が小さくなり、シリコンウェハにかかる応力のばらつきを抑えられる。したがって、外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターンのブレイク性も良好になり、シリコンウェハにかかる応力のばらつきが抑えられる。これにより、シリコンデバイスとなる領域にもクラックが発生したりシリコンウェハの破片が大量に発生したりする等のシリコンウェハの異常な割れを防ぐことができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係るシリコンデバイスの製造方法を示す平面図であり、図3は、図1のA−A′断面図である。
図示するように、シリコン基板であるシリコンウェハ200は、中央側にシリコンデバイス201が複数一体的に形成されたデバイス領域202と、その外周側の非デバイス領域203とを有する。そして、デバイス領域202と非デバイス領域203との間及び互いに隣接するシリコンデバイス201の間には、ブレイクパターンが形成されている。
シリコンウェハ200としては、例えば、表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面からなるものが挙げられる。本実施形態では、シリコンウェハ200として、表面の結晶面方位が(110)面のものを用いた。なお、本実施形態のシリコンウェハ200には、表面の(110)面に垂直な方向の第1の(111)面でオリフラ(オリエンテーションフラット)250が形成されている。
各シリコンデバイス201は、本実施形態では、例えば、シリコンウェハ200の面内で矩形状に形成されたものであり、デバイス領域202は、シリコンデバイス201が複数一体的に形成され、矩形状の角部が切り欠いた形状、すなわち、十字形状となるように配置されている。そして、非デバイス領域203は、シリコンウェハ200のシリコンデバイス201が形成されていない領域である。
ブレイクパターンは、シリコンウェハ200に外力を加えて、互いに隣接するシリコンデバイス201同士及びデバイス領域202と非デバイス領域203とを分割する際にシリコンウェハ200を破断させ易くするためのものである。本実施形態では、ブレイクパターンとして、互いに隣接するシリコンデバイス201を分割するためのデバイス間ブレイクパターン204と、デバイス領域202と非デバイス領域203とを分割するための領域間ブレイクパターン205とを設けた。なお、図1において、デバイス間ブレイクパターン204を点線で、領域間ブレイクパターン205を一点鎖線で示す。ここで、上述したように、デバイス領域202は十字形状であるため、図示するように、デバイス領域202が非デバイス領域203側に凸になる角部209a〜209hと、非デバイス領域203がデバイス領域202側に凸になる角部がある。したがって、この角部では領域間ブレイクパターン205は屈折しており、この屈折している箇所を領域間ブレイクパターンの屈折部という。デバイス間ブレイクパターン204及び領域間ブレイクパターン205として、本実施形態では、厚さ方向に貫通した細溝を所定の間隔で複数配設した。なお、デバイス間ブレイクパターン204及び領域間ブレイクパターン205は、例えば、シリコンウェハ200を異方性エッチングすることにより形成することができる。このように異方性エッチングにより形成されたブレイクパターンは、壁面が(111)面で形成される。
このようなシリコンウェハ200の非デバイス領域203に、図1及び図3に示すように、(111)面方向に沿った壁面となる溝部206を形成する。本発明において、この溝部206は、少なくとも、領域間ブレイクパターン205上にあり且つ領域間ブレイクパターン205の屈折部とならないデバイス間ブレイクパターン204の端部であって、該デバイス間ブレイクパターン204の端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周までの距離が最も長いデバイス間ブレイクパターン204の端部に相対向する非デバイス領域203に設ける。具体的には、図1に示すように、少なくとも、領域間ブレイクパターン205上にあり且つ領域間ブレイクパターン205の屈折部とならないデバイス間ブレイクパターン204の端部207a〜207hのうち、デバイス間ブレイクパターン204の端部207a〜207hから(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周208a〜208hまでの距離が最も長いデバイス間ブレイクパターン204の端部、すなわち、少なくとも端部207aに相対向する非デバイス領域203に溝部206aを設ける。なお、本実施形態では、端部207aだけでなく、領域間ブレイクパターン205上にあり、領域間ブレイクパターン205の屈折部とならないデバイス間ブレイクパターン204の端部207b〜207hにそれぞれ相対向する非デバイス領域203にも溝部206b〜206hを設けた。なお、本明細書において、「距離」とは最短距離を意味し、例えば「溝部のシリコンウェハの外周側の端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハの外周までの距離」という場合は、上記の第1の(111)面方向と第2の(111)面方向の2つの距離があるが、そのうち短いものを意味する。
ここで、結晶面方位が(110)面のシリコンウェハ200は、表面の(110)面に対して垂直な第1の(111)面と、表面の(110)面に垂直で且つ第1の(111)面に対して70.53°の角度で交差する第2の(111)面とが存在し、この第1の(111)面方向(オリフラ250の方向)と第2の(111)面方向(オリフラ250に対して70.53°の方向)が割れ易い方向となっている。端部207a〜207hからそれぞれ(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周208a〜208hまでの距離が最も長い端部207aに相対向する非デバイス領域203に溝部206aを設けることにより、シリコンウェハ200の外周からブレイクパターンまでの距離が最も長いためにシリコンウェハ200を分割する際に最も応力がかかっていたこの領域にかかる応力を小さくすることができ、外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターン204のブレイク性が良好になり、シリコンウェハ200にかかる応力のばらつきが抑えられる。したがって、シリコンウェハ200の破片が大量に発生したり、シリコンデバイス201にもクラックが発生する等のシリコンウェハ200の異常な割れを防ぐことができる。
また、本実施形態では、領域間ブレイクパターン205上にあり領域間ブレイクパターン205の屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204の端部207a〜207hに相対向する非デバイス領域203全てに溝部206a〜206hを設けたので、複数のデバイス間ブレイクパターン204のブレイク性が良好になり、シリコンウェハ200を分割する際にかかる応力を周方向で小さくすることができる。
さらに本実施形態では、各溝部206a〜206hのシリコンウェハ200の外周側の端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周208a〜208hまでの距離L1〜L8が、均一となるようにしている。溝部206a〜206hから、(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周208a〜208hまでの距離が均一であるため、デバイス間ブレイクパターン204にシリコンウェハ200の分割時にかかる応力が均一になる。よって、分割時にシリコンウェハ200にかかる応力を均一にすることができるため、シリコンウェハの異常な割れを防止することができる。
なお、溝部206の壁面は(111)面方向に沿っていなくてもよいが、(111)面方向に沿ったものとするとシリコンウェハ200を分割する際のブレイク性が良好になる。特に、第1の(111)面方向と第2の(111)面方向とに沿った方向が壁面となるように、すなわち、図1に示すように、平行四辺形の開口となるように形成することが好ましい。ここで、(111)面方向に沿った方向の壁面とは、例えば、壁面がシリコンウェハ200の(110)面に対して垂直な方向に対して交差する方向、すなわち、第1の(111)面及び第2の(111)面に対して傾斜して形成されていても、シリコンウェハ200の表面の面内で(111)面方向に沿って形成されたものを含むものである。さらに、溝部206は、壁面を第1の(111)面と第2の(111)面とで形成するのが好ましい。すなわち、溝部206の短辺側の壁面を第1の(111)面及び第2の(111)面の何れか一方で形成し、長辺側を他方の(111)面で形成するのが好ましい。これにより、シリコンウェハ200の異常な割れの発生を減少させることができる。
また、このような溝部206は、シリコンウェハをKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより形成することができる。また、シリコンウェハ200を異方性エッチングすることにより、デバイス間ブレイクパターン204及び領域間ブレイクパターン205と溝部206とを同時に形成することができる。これにより、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。勿論、シリコンウェハ200を異方性エッチングしてデバイス間ブレイクパターン204及び領域間ブレイクパターン205や溝部206を形成する際に、デバイス領域202のシリコンデバイス201の一部を同時に形成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、結晶面方位が(110)面のシリコンウェハを用いたが、例えば、表面の結晶面方位が(100)面のシリコンウェハの場合には、表面の(100)面に垂直な方向に対して所定角度傾斜した第1の(111)面と、表面の(100)面に垂直な方向に対して所定角度(例えば、45°)で傾斜して且つ表面の面内で第1の(111)面に対して直交する第2の(111)面とが存在し、この第1の(111)面方向と第2の(111)面とが割れ易い方向となっている。このようなシリコンウェハには、溝部を第1の(111)面方向と第2の(111)面方向とに沿った方向が壁面となるように形成することが好ましい。なお、表面の結晶面方位が(100)のシリコンウェハの場合にも、上述した表面の結晶面方位が(110)のシリコンウェハ200と同様に、溝部はその壁面が第1の(111)面と第2の(111)面とで形成するのが好ましい。また、表面の結晶面方位が(100)面のシリコンウェハの場合にも、(111)面方向に沿った方向の壁面とは、例えば、壁面がシリコンウェハの(100)面に垂直な方向で形成されていても、シリコンウェハの表面の面内で(111)面方向に沿って形成されたものを含むものである。
さらに、溝部206としては、シリコンウェハ200を厚さ方向に貫通させて設けても、貫通させずに凹形状に設けてもよいが、溝部206をシリコンウェハ200を厚さ方向に貫通させて設けると、シリコンウェハを分割する際にかける応力を小さくすることができ、また、深さの制御を行う必要がなく、製造工程を簡略化することができるため好ましい。なお、溝部206をシリコンウェハ200を厚さ方向に貫通させて設ける場合、溝部206はシリコンウェハ200の外周まで開口しないように設ける。外周から溝部206の端部までの距離を短くすると、分割する際のシリコンウェハ200のブレイク性は良好になるが、分割する前のシリコンウェハ200が壊れやすくなりハンドリング性が悪くなるため、このブレイク性とハンドリング性を考慮して、溝部206の外周までの距離を設定することが好ましい。また、貫通させずに凹形状に設ける場合は、シリコンウェハ200の外周側まで延設して外周面に開口するように設けてもよい。
このようにシリコンウェハ200の非デバイス領域203に溝部206を形成した後、図1及び図3に示すように、シリコンウェハ200をエキスパンドテープ210上に載置する。
そして、エキスパンドテープ210を放射方向に拡張することで、シリコンウェハ200を分割する。詳しくは、シリコンウェハ200のデバイス領域202をデバイス間ブレイクパターン204及び領域間ブレイクパターン205によって1つのチップサイズのシリコンデバイス201に分割すると共に、デバイス領域202と非デバイス領域203とを分割する。このとき、本実施形態では、上述のように溝部206aを設けることにより、シリコンウェハ200の外周からブレイクパターンまでの距離が最も長いためにシリコンウェハ200を分割する際に最も応力がかかっていた領域にかかる応力を小さくできるので、外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターン204のブレイク性が良好になり、シリコンウェハ200にかかる応力のばらつきが抑えられる。特に本実施形態では、領域間ブレイクパターン205上にあり領域間ブレイクパターン205の屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204の端部207a〜207hに相対向する非デバイス領域203全てに溝部206a〜206hを設け、その溝部206の外周側の端部からシリコンウェハ200までの距離L1〜L8を同じ長さにしたので、シリコンデバイス201自体にクラックが発生したりシリコンウェハ200の破片が大量に発生する等のシリコンウェハ200の異常な割れを確実に防ぐことができる。
なお、本実施形態では、領域間ブレイクパターン205上にあり且つ領域間ブレイクパターン205の屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204の端部207a〜207hに相対向する非デバイス領域203全てに溝部206a〜206hを設けたが、溝部206はこれらの端部207a〜207hのうち、少なくとも、(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周までの距離が最も長い端部、すなわち、端部207aに設けられていればよい。
また、隣り合う角部を繋ぐ直線状の領域間ブレイクパターン205上にあるデバイス間ブレイクパターン204の端部であって、該デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハの外周までの距離が最も長いデバイス間ブレイクパターン204の端部に相対向する非デバイス領域203に溝部を設けるようにしてもよい。詳述すると、隣り合う角部209a〜209hを繋ぐ直線状の領域間ブレイクパターン205上にあるデバイス間ブレイクパターン204の端部、すなわち、端部207a及び207b、207c及び207d、207e及び207f、207g及び207hのそれぞれのうち、(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周までの距離が最も長いデバイス間ブレイクパターン204の端部、すなわち、端部207a、207c及び207d、207e及び207f、207g及び207hに相対向する非デバイス領域203に溝部を設けるようにしてもよい。これにより、複数の方向の外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターン204のブレイク性が良好になり、シリコンウェハ200にかかる応力のばらつきが抑えられる。なお、本実施形態においては、端部207c及び207dからシリコンウェハ200の外周208c及び208dまでの距離は、等しいため、端部207c及び207dに相対向する非デバイス領域203に、溝部を形成することになる。端部207e及び207f、207g及び207hについても同様である。
さらに、デバイス領域202の突出した各角部209a〜209hに相対向する非デバイス領域203にも、溝部206を設けるようにしてもよい。これにより、領域間ブレイクパターン205のブレイク性を良好にすることができ、また、非デバイス領域203を分割した際に発生するシリコンの破片を減少させることができる。なお、角部209a〜209hに相対向する非デバイス領域203に設ける溝部206の方向に特に制限はないが、上記デバイス間ブレイクパターン204と同様に、第1の(111)面方向や第2の(111)面方向にすることが好ましく、非デバイス領域203に空き領域がある場合には、両方向に沿って溝部206を設けるようにしてもよい。このように溝部206の数を増やすことによって、さらにシリコンの破片が発生するのを減少させることができると共に、シリコンウェハ200に印加される応力をさらに減少させてもシリコンウェハ200を分割することができる。
また、角部209又は角部209に相対向する非デバイス領域203に設けた溝部206のシリコンウェハ200の外周側の端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周までの距離を、上述したデバイス間ブレイクパターン204の端部の相対向する領域に設けられた溝部206のシリコンウェハ200の外周側の端部から(111)面方向に沿った方向のシリコンウェハ200の外周までの距離と、均一にしてもよい。これにより、全てのブレイクパターンにかかる応力が均一になるので、異常な割れを確実に抑制できる。
また、本実施形態では、デバイス領域202を矩形状の角部を切り欠いた十字形状としたが、デバイス領域の形状は十字形状に限定されず、例えば、矩形状としてもよい。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る製造方法によって製造される液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図5は、インクジェット式記録ヘッドの平面図及びそのB−B′断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では板厚方向の結晶面方位が(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、流路形成基板10には、複数の隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。そして、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きく圧力発生室12と同等の断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約0.5〜2μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.3〜0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。また、絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.1〜0.5μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とからなる圧電素子300が形成されている。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、本実施形態では、下電極膜60を複数の圧電素子300の並設方向に亘って設け、下電極膜60の圧力発生室12の長手方向の端部を、圧力発生室12に相対向する位置となるように設けた。また、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
そして、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部31を有する保護基板30が、接着剤35によって接合されている。なお、圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、連通部13に対向する領域にリザーバ部32が設けられており、このリザーバ部32は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これらの先端部に図示しない導電性ワイヤを介して圧電素子300を駆動するための駆動回路が電気的に接続されている。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料、すなわち、表面の結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板を用いた。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、インクジェット式記録ヘッドIの製造方法について、図6〜図11を参照して説明する。なお、図6〜図9は、圧力発生室の長手方向の断面図であり、図10及び図11は、平面図である。まず、図6(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、表面の結晶面方位が(110)面で、且つ膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次に、図6(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。
次に、図6(c)に示すように、圧電素子300を形成する。具体的には、例えば、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。その後、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、白金(Pt)又はイリジウム(Ir)等からなる上電極膜80とを流路形成基板10の全面に形成後、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
なお、圧電体層70と上電極膜80とのパターニングでは、例えば、ドライエッチングにより一括して行うことができる。
次に、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングする。
次に、図7(b)及び図10に示すように、表面の結晶面方位が(110)面からなるシリコンウェハからなる保護基板用ウェハ130に、複数の保護基板30、デバイス間ブレイクパターン204Aと領域間ブレイクパターン205Aからなるブレイクパターン及び溝部206Aを形成する。すなわち、保護基板用ウェハ130をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、保護基板用ウェハ130の各保護基板30となる領域に圧電素子保持部31、リザーバ部32及び貫通孔33を形成する。また、互いに隣接する保護基板30の間にデバイス間ブレイクパターン204Aを、保護基板30となる領域(デバイス領域202A)と保護基板30が形成されていない領域(非デバイス領域203A)との間に領域間ブレイクパターン205Aを形成する。このデバイス間ブレイクパターン204A及び領域間ブレイクパターン205Aは、保護基板用ウェハ130に外力を加えて、互いに隣接する保護基板30同士及びデバイス領域202Aと非デバイス領域203Aとを分割する際に保護基板用ウェハ130を破断させ易くするためのものである。デバイス間ブレイクパターン204A及び領域間ブレイクパターン205Aとしては、例えば、本実施形態では、厚さ方向に貫通した細溝を所定の間隔で複数配設したものを設けた。なお、デバイス間ブレイクパターン204A及び領域間ブレイクパターン205Aは、例えば、保護基板用ウェハ130を異方性エッチングすることにより形成することができる。このように異方性エッチングにより形成されたブレイクパターンは、壁面が(111)面で形成される。
また、図10に示すように、保護基板用ウェハ130の非デバイス領域に、(111)面方向に沿った壁面となる溝部206Aを形成する。本実施形態は、実施形態1と同様の溝部206Aを設けたが、本発明においては、この溝部206Aは、少なくとも、領域間ブレイクパターン205A上にあり且つ領域間ブレイクパターン205Aの屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204Aの端部であって、該デバイス間ブレイクパターン204Aの端部から(111)面方向に沿った方向の保護基板用ウェハ130の外周までの距離が最も長いデバイス間ブレイクパターン204Aの端部に相対向する非デバイス領域203Aに、溝部206Aを設けていればよい。
このように、端部から結晶面方位が(110)面の保護基板用ウェハ130が割れやすい方向である(111)面方向に沿った方向の保護基板用ウェハ130の外周までの距離が最も長い端部に相対向する非デバイス領域203Aに溝部206Aを設けることにより、保護基板用ウェハ130の外周からブレイクパターンまでの距離が最も長いために保護基板用ウェハ130を分割する際に最も応力がかかっていたこの領域にかかる応力を小さくすることができ、外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターン204Aのブレイク性が良好になり、保護基板用ウェハ130にかかる応力のばらつきを抑えられる。したがって、保護基板用ウェハ130の破片が大量に発生したり、保護基板30にもクラックが発生する等の保護基板用ウェハ130の異常な割れを防ぐことができる。
また、本実施形態では、領域間ブレイクパターン205A上にあり領域間ブレイクパターン205Aの屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204Aの端部全てに相対向する非デバイス領域203Aに溝部206Aを設けたので、複数のデバイス間ブレイクパターン204Aのブレイク性が良好になり、保護基板用ウェハ130を分割する際にかかる応力を特に小さくすることができる。
さらに本実施形態では、各溝部206Aの保護基板用ウェハ130の外周側の端部から(111)面方向に沿った方向の保護基板用ウェハ130の外周までの距離が、均一となるようにしている。溝部206Aから、(111)面方向に沿った方向の保護基板用ウェハ130の外周までの距離が均一であるため、これらのデバイス間ブレイクパターン204Aに保護基板用ウェハ130の分割時にかかる応力が均一になる。よって、分割時に保護基板用ウェハ130にかかる応力のばらつきを低減することができるため、保護基板用の異常な割れを確実に防ぐことができる。
また、このような溝部206Aは、実施形態1と同様に、保護基板用ウェハ130をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより形成することができる。このような溝部206A及びブレイクパターンは、保護基板用ウェハ130を異方性エッチングしてリザーバ部32等の保護基板30を形成する際に、同時に形成することができる。これにより、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
次に、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、保護基板用ウェハ130を接着剤35を介して接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次に、図8(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によって異方性エッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工した。
次いで、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜51を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図8(c)及び図11に示すように、流路形成基板用ウェハ110をマスク膜51を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14、連通路15等の流路形成基板10と、互いに隣接する流路形成基板10の間にデバイス間ブレイクパターン204Bを、流路形成基板10となる領域(デバイス領域202B)と流路形成基板10が形成されていない領域(非デバイス領域203B)との間に領域間ブレイクパターン205Bを形成する。また、流路形成基板用ウェハ110の非デバイス領域203Bに(111)面方向に沿った壁面となる溝部206Bを形成する。このデバイス間ブレイクパターン204B、領域間ブレイクパターン205B及び溝部206Bは、上述した保護基板用ウェハ130のデバイス間ブレイクパターン204A、領域間ブレイクパターン205A及び溝部206Aと実質的に同一のものである。
次に、図9(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130をエキスパンドテープ210上に載置し、図9(b)に示すように、エキスパンドテープ210を放射状に拡張することで、図4に示すような1つのチップサイズの流路形成基板10と保護基板30との接合体に分割すると共に、デバイス領域202A、202Bと非デバイス領域203A、203Bとを分割する。このとき、本実施形態では、上述のような、溝部206A及び206Bを設けることにより、流路形成基板用ウェハ110又は保護基板用ウェハ130の外周からブレイクパターンまでの距離が最も長いために流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130を分割する際に最も応力がかかっていた領域にかかる応力を小さくできるので、外周までの距離が長いデバイス間ブレイクパターン204A及び204Bのブレイク性が良好になり、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130にかかる応力のばらつきを抑えられる。特に本実施形態では、領域間ブレイクパターン205A又は205B上にあり領域間ブレイクパターン205A又は205Bの屈折部以外のデバイス間ブレイクパターン204A及び204Bの端部に相対向する非デバイス領域203全てに溝部206A及び206Bを設け、その溝部206A又は206Bの外周側の端部から流路形成基板用ウェハ110又は保護基板用ウェハ130までの距離を同じ長さにしたので、流路形成基板用ウェハ110や保護基板用ウェハ130自体にクラックが発生したり流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の破片が大量に発生する等の異常な割れを確実に防ぐことができる。
その後は、流路形成基板10の保護基板30とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板30にコンプライアンス基板40を接合することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
このようにして製造された本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、応力のばらつきを抑え、異常な割れを確実に防ぐことができるので、歩留りを向上でき、また、流路形成基板10の圧力発生室12内や保護基板30のリザーバ部32内などにシリコンの破片が入り込むのを防止してインク滴の吐出不良を防止することができると共に、シリコンの破片を除去する作業を簡略化することができる。また、分割時に発生するシリコンの破片を減少させることで、流路形成基板10と保護基板30との接合体にノズルプレート20やコンプライアンス基板40を接合する際に、シリコンの破片による接合不良を防止することができる。これにより信頼性を向上することができる。
なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110と保護基板用ウェハ130とを接合した後、これら接合体を分割するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板用ウェハ110と保護基板用ウェハ130とを接合する前に、上述した実施形態1と同様に各基板を分割した後、分割した流路形成基板10と保護基板30とを接合するようにしてもよい。また、流路形成基板用ウェハ110と保護基板用ウェハ130とを接合し、さらにノズルプレート20及びコンプライアンス基板40を接合した後、これら接合体を分割してもよい。その際には、ノズルプレート20及びコンプライアンス基板40にもブレイクパターンをレーザ等で形成しておく。
また、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130として、表面の結晶面方位が(110)のシリコンウェハを用いたが、特にこれに限定されず、例えば、上述した実施形態1と同様に、表面の結晶面方位が(100)のシリコンウェハを用いるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110の非デバイス領域203B及び保護基板用ウェハ130の非デバイス領域203Aの両方に溝部206A、206Bを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、溝部は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の少なくとも何れか一方に設けるようにすればよいが、溝部を両者に設けることによって、より応力のばらつきを抑制することができ、異常な割れを防止できる。また、両者を接着後に流路形成基板用ウェハ110のデバイス間ブレイクパターン204B、領域間ブレイクパターン205B及び非デバイス領域の溝部206Bを部分的ではなく、全体的にエッチングし、デバイスを個々に分割させることにより、後の分割の際に保護基板用ウェハ130のみに応力が掛かるため、流路形成基板用ウェハ110のデバイス領域にクラックが発生するのを防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、成膜及びリソグラフィ法を応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
また、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係るシリコンデバイスの製造方法を示す平面図である。 実施形態1に係るシリコンデバイスの製造方法を示す平面図である。 実施形態1に係るシリコンデバイスの製造方法を示す断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの要部平面図及び断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す平面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す平面図である。
符号の説明
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド) 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 保護基板用ウェハ、 200 シリコンウェハ、 201 シリコンデバイス、 202 デバイス領域、 203 非デバイス領域、 204 デバイス間ブレイクパターン、 205 領域間ブレイクパターン、 206 溝部、 300 圧電素子

Claims (7)

  1. シリコンデバイスが中央部側に複数一体的に形成されたデバイス領域とその外周側の非デバイス領域を有し表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面であり且つ互いに隣接する前記シリコンデバイスを分割するためのデバイス間ブレイクパターン及び前記デバイス領域と前記非デバイス領域とを分割するための領域間ブレイクパターンからなるブレイクパターンが設けられたシリコンウェハを分割する際に、
    少なくとも、前記領域間ブレイクパターン上にあり且つ前記領域間ブレイクパターンの屈折部以外の前記デバイス間ブレイクパターンの端部であって、該デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向の前記シリコンウェハの外周までの距離が最も長い前記デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する前記非デバイス領域に、溝部を設けた後、前記シリコンウェハを分割することを特徴とするシリコンデバイスの製造方法。
  2. 前記領域間ブレイクパターン上にあり且つ前記領域間ブレイクパターンの屈折部以外の前記デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する前記非デバイス領域に前記溝部が複数設けられており、該各溝部の前記シリコンウェハの外周側の端部から(111)面方向に沿った方向の前記シリコンウェハの外周までの距離が均一であることを特徴とする請求項1に記載のシリコンデバイスの製造方法。
  3. 前記シリコンウェハは円形状で、前記デバイス領域は矩形状の角部を切り欠いた十字形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンデバイスの製造方法。
  4. 前記溝部の壁面が(111)面方向に沿った方向であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のシリコンデバイスの製造方法。
  5. 前記溝部を前記シリコンウェハの厚さ方向に貫通して設けることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のシリコンデバイスの製造方法。
  6. 前記シリコンウェハの分割では、当該シリコンウェハをエキスパンドテープ上に載置した後、該エキスパンドテープを拡張させることで行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のシリコンデバイスの製造方法。
  7. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されると共に該圧力発生室に圧力を発生させる圧力発生手段が形成された流路形成基板が中央部側に複数一体的に形成され表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面のシリコンウェハからなり且つ前記流路形成基板毎に分割するためのブレイクパターンが設けられた流路形成基板用ウェハと、前記流路形成基板に対応して設けられる保護基板が中央部側に複数一体的に形成され表面の結晶面方位が(100)面又は(110)面のシリコンウェハからなり且つ前記保護基板毎に分割するためのブレイクパターンが設けられた保護基板用ウェハとを接合した後に、前記流路形成基板用ウェハ及び前記保護基板用ウェハを分割して液体噴射ヘッドとする際に、
    前記流路形成基板及び前記保護基板の少なくとも一方が設けられたデバイス領域とその外周側の非デバイス領域とを分割するための領域間ブレイクパターン上にあり且つ前記領域間ブレイクパターンの屈折部以外の互いに隣接する前記流路形成基板又は前記保護基板を分割するためのデバイス間ブレイクパターンの端部であって、該デバイス間ブレイクパターンの端部から(111)面方向に沿った方向の前記流路形成基板用ウェハ又は前記保護基板用ウェハの外周までの距離が最も長い前記デバイス間ブレイクパターンの端部に相対向する非デバイス領域に、溝部を設けた後、前記流路形成基板用ウェハ及び前記保護基板用ウェハを分割することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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