JP2008246614A - 加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体ウェーハ等の基板に研削加工や研磨加工を施す加工装置において、チャックテーブルの傾き角度に応じて加工開始位置を補正することで、装置の安全な運転ならびに生産効率の向上を図る。
【解決手段】研削加工装置10に加工開始位置補正手段111を設ける。加工開始位置補正手段111は、加工開始位置hをチャックテーブル20の傾き角度に応じた適正な位置に補正する補正値を記憶している。この加工開始位置補正手段111は、チャックテーブル20を傾かせたときに、傾き角度とともに、その角度に応じた補正値を読み取り、加工開始位置データを補正することにより、加工開始位置hを基板表面に限りなく近接した位置に設定する。その結果、エアカット動作を研削ユニット30が基板1と接触する直前まで行うことができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体ウェーハ等の基板に研削加工や研磨加工を施す加工装置に係り、特に、基板を保持する保持面の角度調整が可能な加工装置に関する。
半導体や電子部品の材料となる半導体基板(以下、基板)は、例えばシリコンなどの単結晶材料からなるものや、複数の元素を有する化合物からなるものなどがある。これら基板は、インゴット状態で成形されてからワイヤソーなどによって基板状にスライスされ、さらにラッピング、両頭研削加工、平面研削加工等を施すことにより平坦かつ薄く加工されている。平面研削加工後には両面を研磨する両面研磨法を用いて、基板の両面に研磨仕上げを施している。このような基板の製造方法が例えば特許文献1で知られている。
上記特許文献1に記載の平面研削加工では、例えば、微細な砥粒からなるファインメッシュ砥石を有する環状のホイールを回転させながら、自転しているチャックテーブルに保持された基板に押圧する構成の研削加工装置が用いられる。しかしながら、このような研削加工装置を用いて基板を研削すると、加工後の基板は、ホイールの加工力不足や基板の自転に伴う中心と外周の周速差などの影響により、外周部の厚さが厚くなったり、あるいは逆に薄くなったりする傾向が生じてしまい厚さを均一とする平坦加工が難しい。
そこで、基板を平坦に研削する方法として、例えば特許文献2に記載の装置を用いて、基板を保持するチャックテーブルの回転軸を傾けて基板の研削を行う方策が考えられる。この場合、チャックテーブルの回転軸を、研削の傾向に適合した角度に傾かせることで、基板の研削量を各地点で均一にすることができるため、研削後の基板を平坦に形成することができる。
また、研削工程でファインメッシュ砥石を用いる場合では、こうした砥石は加工力が小さいため被加工物に対して毎秒0.2μm程度の加工送りしかできない。そこで、作業時間を短縮させるために砥石をできるだけ基板の被加工面直前である加工開始位置まで加工送りの10倍以上の速度で近付けるエアカット動作を行い、低速で送る距離をできるだけ少なく済むようにしている。
特開平10−308368公報 特開2002−1653公報
ところで、上記のようにチャックテーブルの回転軸を傾けると、基板の被研削領域の最高位置(最も高い位置)が変化する。図6はその状態を示しており、図6で符号20は真空吸着式のチャックテーブル、36は砥石ホイールである。このチャックテーブル20は、多孔質の吸着エリア21の周囲に枠体22が設けられた構成で、吸着エリア21の上面21aに基板1が吸着保持される。砥石ホイール36は、砥石37を有し、高速回転しながらチャックテーブル20方向に下降することにより、吸着エリア21の上面21aに保持された基板1を研削する。図6(a)は、チャックテーブル20の上面である吸着エリア21の上面21aと、枠体22の上面22aとは水平であり、砥石37の加工面も水平に設定されている。このとき、基板1の被研削面1aは水平で、高さ位置はhで均一である。上記エアカット動作は、予め高さhを示すエアカット位置データに基づいて砥石ホイール36を高速で下降させることにより行われる。ところが、図6(b)に示すようにチャックテーブル20を傾斜させると、基板1の被研削面1aの最高位置h’はhと異なってくる(図ではh’がhより高い)。この状態のまま、高さhに基づくエアカット動作を行うと、砥石が基板1に高速で衝突してしまい、基板1が損傷するといった問題が生じる。また、逆に基板1の被研削領域の最高位置がhよりも下に位置する場合もあり、このときには、hから最高位置までの間を加工送りの速度(例えば上記0.2μm/秒)で砥石を加工させることになる。これは、加工もしないのに極めて低速で砥石を下降させることになるので作業時間の大幅なロスとなる。
よって本発明は、チャックテーブルの回転軸を任意の角度に傾斜させた場合、その角度に応じて加工手段の加工開始位置を適正に補正し、エアカット動作を基板と接触する直前まで行うことで、基板と砥石との衝突を防ぐとともに主体の加工時間をできるだけ短縮させることができる加工装置を提供することを目的としている。
基板を吸着保持する保持面を有する回転可能な保持手段と、保持手段の回転軸の傾きを基本角度から任意の角度に調整する傾斜調整手段と、保持手段の保持面に対向配置され、基本角度の状態の保持手段の回転軸と平行な回転軸を有する加工手段と、保持手段と加工手段とを、加工手段の回転軸に沿って相対移動させて互いに接近・離間させるとともに、接近時に加工手段によって基板に所望の加工を施す送り手段と、予め記憶している加工開始位置データに基づいて、加工手段が待機位置から基板の加工開始位置まで、基板加工時の送り速度より高速で移動するように送り手段を制御する送り動作制御手段とを有する加工装置において、傾斜調整手段により調整された保持手段の回転軸の傾き角度に基づいて、送り動作制御手段が記憶している加工開始位置データを補正する加工開始位置補正手段を備えることを特徴としている。
本発明においては、加工手段の加工開始位置は、保持手段に保持された基板表面に限りなく近接した位置が好適とされる。これは、加工手段が加工開始位置から実際に基板に接触して加工が開始されるまでの距離および時間をできるだけ短縮して無駄な加工送りを抑えるためだからである。加工手段により基板を加工する際は、送り動作制御手段に記憶された加工開始位置データに基づいて、加工手段が加工開始位置まで高速で移動するエアカット動作がまず考えられる。この後、加工手段は所定の加工速度で基板方向に移動しながら、基板を加工する。さて、基板を加工するにあたっては、上記のように必要に応じてチャックテーブルを傾斜させることが行われる。そのとき、チャックテーブルとともに傾斜した基板表面の最高位置は、変化し、このまま、通常の加工開始位置データに基づいて加工手段にエアカット動作をさせると、加工手段が基板に衝突したり、逆に加工手段と基板との距離が空きすぎてしまう。そこで、本発明では、加工開始位置補正手段により、加工開始位置データがチャックテーブルの傾き角度の調整量に応じた適正なデータに自動的に補正される。これによって、エアカット動作した加工手段は、チャックテーブルの傾斜によって変位した基板表面に限りなく近接した適正な加工開始位置まで移動することができ、この後、実際の加工に移行する。このような作用により、チャックテーブルの傾き角度の調整を行ってから加工手段にエアカット動作をさせても基板への加工手段の衝突、あるいは基板と加工手段との距離が空きすぎることによる無駄な加工送りを防ぐことができる。その結果、総合的な基板加工時間を可能な限り短縮することができ、生産効率の向上が図られる。
本発明によれば、チャックテーブルの傾き角度に応じて加工手段の加工開始位置を適正な位置に補正することができ、これによって、基板への加工手段の衝突や、無駄な加工送りを抑えることができる。その結果、装置の安全な運転ならびに、生産効率の向上が図られるといった効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]研削加工装置
図2は、本発明が適用された研削加工装置を示している。この研削加工装置(加工装置)10は、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハ(以下、ウェーハと略称)の表面を研削するものである。図1は、研削加工するウェーハの一例を示しており、このウェーハ(基板)1は、原材料のインゴットをスライスして得た後、ラッピングによって厚さが調整され、次いでラッピングで形成された両面の機械的ダメージ層をエッチングによって除去した素材段階のものである。ウェーハ1の外周縁には、結晶方位を示すV字状の切欠き(ノッチ)2が形成されている。ウェーハ1の厚さは、例えば800μm程度であるが、その厚さは均一ではなく、エッチングによる2〜3μm程度の面内厚さムラがある。よってウェーハ1は研削加工装置10により、例えば10〜20μm程度の厚さが除去される。
図2は、その研削加工装置10の全体を示しており、該装置10は、上面が水平な直方体状の基台11を備えている。図2では、基台11の長手方向、幅方向および鉛直方向を、それぞれY方向、X方向およびZ方向で示している。基台11のY方向一端部には、コラム12が立設されている。基台11上には、Y方向のコラム12側にウェーハ1を研削加工する加工エリア11Aが設けられ、コラム12とは反対側には、加工エリア11Aに加工前のウェーハ1を供給し、かつ、加工後のウェーハ1を回収する着脱エリア11Bが設けられている。
以下、研削加工エリア11Aと着脱エリア11Bについて説明する。
(I)研削加工エリア
研削加工エリア11Aには、矩形状のピット14が形成されている。このピット14内には、回転軸がZ方向と平行で上面が水平とされた円盤状のターンテーブル13が回転自在に設けられている。このターンテーブル13は、図示せぬ回転駆動機構によって矢印方向に回転させられる。ターンテーブル13上の外周部には、複数(この場合は2つ)の円盤状のチャックテーブル(保持手段)20が、周方向に等間隔をおいて回転自在に配置されている。
これらチャックテーブル20は一般周知の真空チャック式であり、上面に載置されるウェーハ1を吸着、保持する。図3(b)に示すように、チャックテーブル20は、上面に多孔質のセラミックからなる円形の吸着エリア21を有しており、この吸着エリア21の上面(保持面)21aにウェーハ1は吸着して保持されるようになっている。吸着エリア21の周囲には環状の枠体22が形成されており、この枠体22の上面22aは、吸着エリア21の上面21aと連続して同一平面をなしている。各チャックテーブル20は、それぞれがターンテーブル13内に設けられた図示せぬ回転駆動機構によって、一方向、または両方向に独自に回転すなわち自転するようになっており、ターンテーブル13が回転すると公転の状態になる。図5に示すように、ターンテーブル13はフレーム14と一体に設けられている。チャックテーブル20は、円筒状のボディ24の上端部に一体に設けられている。ボディ24にはフランジ23が形成されており、さらにボディ24およびチャックテーブル20は、フレーム14上に傾斜調整手段100を介して、その回転軸20aの角度が調整可能に支持されている。
図5に示す傾斜調整手段100は、モータ101と、ボルト部材102と、調整梃子103と、調整ブロック105と、支点ブロック106とで構成されるものが用いられる(特開2002−1653公報参照)。調整梃子103は、支持ブロック106に固定される支点部103aと、調整ブロック105が固定される作用点部103bと、ボルト部材102が固定される力点部103cとを有し、力点部103cに加えられる力によって作用点部103bに力が作用する構成になっている。また、調整梃子103の支点部103a側の端部には、支点首部104が形成され、力点部103cの動きにより若干撓む構造になっている。ボルト部材102は、ターンテーブル13のフレーム14を貫通し、一端にターンテーブル13のフレーム14に固定されたモータ101が接続され、他端に調整梃子103が固定されている。ボルト部材102は、モータ101が回転することで、調整梃子103に力を伝達する。支点ブロック106は、ターンテーブル13のフレーム14に固定されており、その上面106aに支点首部104が固定されている。調整ブロック105は、一端が調整梃子103に固定され、フランジ23およびボディ24を介してチャックテーブル20を支持している。
図4に示すように、フランジ23には、固定支持部23a、可動支持部23b、23cが配設されている。固定支持部23aには、フレーム14に固定された固定軸シャフト107が貫通している。この固定軸シャフト107は、ボルト止め等によりフランジ23に固定されており、これによって、固定支持部23aはターンテーブル13のフレーム14に固定支持されている。一方、可動支持部23b、23cは、上記傾斜調整手段100の調整ブロック105で支持されている。各支持部23a、23b、23cは、図4に示すようにフランジ23の外周部の周方向等分個所に配設されている。この傾斜調整手段100によれば、モータ101が回転して調整梃子103の力点部103cが上方あるいは下方に揺動する。これにより可動支持部23b、23cが昇降し、その結果チャックテーブル20は、固定支持部23aを支点として傾動する。
図2に示すように2つのチャックテーブル20がY方向に並んだ状態において、コラム12側のチャックテーブル20の直上には、研削ユニット(加工手段)30が配されている。各チャックテーブル20は、ターンテーブル13の回転によって、研削ユニット30の下方の研削位置と、着脱エリア11Bに最も近付いた着脱位置との2位置にそれぞれ位置付けられるようになっている。
研削ユニット30は、コラム12に昇降自在に取り付けられたスライダ(送り手段)40に固定されている。スライダ40は、Z方向に延びるガイドレール(送り手段)41に摺動自在に装着されており、サーボモータ(送り手段)42によって駆動されるボールねじ式の送り機構(送り手段)43によってZ方向に移動可能とされている。研削ユニット30は、送り機構43によってZ方向に昇降し、下降してチャックテーブル20に接近する送り動作により、チャックテーブル20に保持されたウェーハ1の露出面を研削する。
研削ユニット30は、図3に示すように、軸方向がZ方向に延びる円筒状のスピンドルハウジング31と、このスピンドルハウジング31内に同軸的、かつ回転自在に支持されたスピンドルシャフト32と、スピンドルハウジング31の上端部に固定されてスピンドルシャフト32を回転駆動するモータ33と、スピンドルシャフト32の下端に同軸的に固定された円盤状のフランジ34とを具備している。そしてフランジ34には、カップホイール35がねじ止め等の取付手段によって着脱自在に取り付けられる。
カップホイール35は、環状のフレーム36の下端面に、該下端面の外周部全周にわたって複数の砥石37が環状に配列されて固着されたものである。研削位置の上方に配された研削用の研削ユニット30のフランジ34には、砥石37が例えば微細な砥粒からなるファイメッシュ砥粒を含むカップホイール35が取り付けられる。フランジ34およびカップホイール35には、研削面の冷却や潤滑あるいは研削屑の排出のための研削水を供給する研削水供給機構(図示省略)が設けられ、該機構には給水ラインが接続されている。カップホイール35の研削外径、すなわち複数の砥石37の外周縁の直径は、少なくともウェーハ1の半径と同等以上で、一般的にはウェーハの直径に等しい大きさに設定されている。
上記研削ユニット30は、図6に示すように、チャックテーブル20の上方に設定される待機位置Pから加工開始位置hまで、実際にウェーハ1を研削するときの加工送り速度(例えば0.2μm/秒)の10倍以上の速度で送られる「エアカット動作」が行なわれる。このエアカット動作の後、加工送りが行われウェーハ1が研削される。このような研削ユニット30の送り動作は、送り動作制御手段110により制御される。送り動作制御手段110は、予め入力された加工開始位置データに基づいてサーボモータ42の動作を制御し、加工開始位置hまでエアカット動作を行う。加工開始位置hは、ウェーハ1の被研削領域の中で最も高い位置であり、チャックテーブル20の傾き角度に応じて高さが変化する。そこで、加工開始位置データを加工開始位置補正手段111により適正なデータへ補正させることで、加工開始位置hはチャックテーブル20の傾き角度に応じてウェーハ1の被研削面に限りなく近接した位置に設定される。加工開始位置補正手段111は、本発明に係るものであり、後で詳述する。
図2の符号50は、ウェーハの厚さを測定する厚さ測定ゲージである。図3に示すように、厚さ測定ゲージ50は、基準側ハイトゲージ51とウェーハ側ハイトゲージ52とゲージスタンド53との組み合わせで構成される。基準側ハイトゲージ51とウェーハ側ハイトゲージ52は、ゲージスタンド53の支柱53aからチャックテーブル20に対して水平に延びている板状の台53b上に配設される。図3(a)に示すように、基準側ハイトゲージ51は、揺動する基準プローブ51aの先端が、ウェーハ1で覆われないチャックテーブル20の枠体22の上面22aに接触し、該上面22aの高さ位置を検出するものである。ウェーハ側ハイトゲージ52は、揺動する変動プローブ52aの先端がチャックテーブル20に保持されたウェーハ1の上面すなわち被研削面に接触することで、ウェーハ1の上面の高さ位置を検出するものである。厚さ測定ゲージ50によれば、ウェーハ側ハイトゲージ52の測定値から基準側ハイトゲージ51の測定値を引いた値に基づいてウェーハ1の厚さが測定される。なお、本実施形態の厚さ測定ゲージ50は、基準側とウェーハ側とでハイトゲージを別個にしているが、1つのハイトゲージで基準側の測定値とウェーハ側の測定値との両方を測定することのできるものを用いても構わない。
図4は、上方から見た砥石37の回転軌跡37aとチャックテーブル20の位置関係を示したものである。チャックテーブル20の吸着エリア21aは、研削ユニット30との位置関係を調整するセルフグラインドを行うことで、図6に示すように、中心を頂点とする傘状に形成される。そのため、ウェーハ1と砥石37とが接触するとともに砥石37がウェーハ1を研削する領域は、中心から外周縁までの接触域37bの範囲に限られる。
(II)着脱エリア
図2に示すように、着脱エリア11Bの中央には、上下移動する2節リンク式のピックアップロボット70が設置されている。そして、このピックアップロボット70の周囲には、上から見て反時計回りに、供給カセット71、位置合わせ台72、供給手段73、回収手段76、スピンナ式洗浄装置80、回収カセット81が、それぞれ配置されている。供給手段73は、水平な下面にウェーハ1を真空作用で吸着する吸着パッド74と、この吸着パッド74が先端に固定された水平旋回式の供給アーム75とにより構成されている。また、回収手段76は、水平な下面にウェーハ1を真空作用で吸着する吸着パッド78と、この吸着パッド78が先端に固定された水平旋回式の供給アーム79とにより構成されている。カセット71,81は、複数のウェーハ1を水平な姿勢で、かつ上下方向に一定間隔をおいて積層状態で収容するもので、基台11上の所定位置にセットされる。また、供給手段73と回収手段76との間には、着脱位置にあるチャックテーブル20に水を噴射して研削後のウェーハ1を洗浄する洗浄ノズル77が設けられている。
(III)加工開始位置補正手段の詳細
次に、本発明に係る加工開始位置補正手段111を説明する。
傾斜調整手段100にてチャックテーブル20の回転軸20aを傾けた角度の調整量は、加工開始位置補正手段111に供給される。この加工開始位置補正手段111には、予め補正値を記憶させておく。この補正値は、チャックテーブル20の傾けた角度の調整量に応じて変化する研削ユニット30の加工開始位置を補正し、加工開始位置hをウェーハ1の表面に限りなく近づいた位置に調整するものである。加工開始位置hをウェーハ1の表面に限りなく近接した位置に設定することで、無駄のないエアカット動作を行うことができる。加工開始位置hは、可動支持部23b、23cの上下動で調整されるチャックテーブル20の傾き角度に応じて変化するものである。したがって、補正値は、可動支持部23b、23cの上下動の量に反映される。可動支持部23b、23cの変化に応じた補正値は、これら可動支持部23b、23cの上下動の量に応じて傾斜するチャックテーブル20の傾き角度および傾斜方向に応じて定められる。これら補正値は、チャックテーブル20の傾き角度と、ウェーハ1の被研削領域の最も高い位置との関係を収集・分析することによって得られる。チャックテーブル20の傾き角度の調整量に応じた補正値で補正された加工開始位置データを、送り動作制御手段110に供給し、サーボモータ42を動かすことで、研削ユニット30の適正なエアカット動作および加工送りを行うことができる。
[2]研削加工装置の一連の動作
以上が本実施形態の研削加工装置10の構成であり、次に該装置10の動作を説明する。
研削加工されるウェーハ1は、はじめにピックアップロボット70によって供給カセット71内から取り出され、位置合わせ台72上に載置されて一定の位置に決められる。次いでウェーハ1は、供給アーム73によって位置合わせ台72から取り上げられ、着脱位置で待機しているチャックテーブル20上に被研削面を上に向けて載置される。
次に、各傾斜調整手段100が、傾ける角度に応じた方向および回転数で回転する。すると、2つの可動支持部23b、23cに、支点部103aを支点として揺動する調整梃子103の力点部103cの上下動が伝わり、それに伴い調整ブロック105により支持されているフランジ23が、固定軸シャフト107を支点にして傾くとともに、チャックテーブル20の回転軸20aも傾く。
ウェーハ1はターンテーブル13の回転によって研削位置に移送される。ウェーハ1が研削位置に配置されたら、送り動作制御手段110により制御されたサーボモータ42を動かし、研削ユニット30を待機位置Pから加工開始位置hまで加工送りの10倍以上の速度で送る。このとき加工開始位置補正手段111は、予め加工開始位置データをチャックテーブル20の傾き角度の調整量の応じた補正値に基づいて補正させる。これにより、安全かつ無駄のないエアカット動作を行う。エアカット動作終了後、研削ユニット30により加工開始位置hから加工送りの速度でウェーハ1の表面が研削される。ウェーハ1の研削にあたっては、厚さ測定ゲージ50により、ウェーハ1の厚さを逐一測定しながら研削量が制御される。研削が終了したウェーハ1は、ターンテーブル13が回転することにより着脱位置に戻される。
着脱位置に戻ったチャックテーブル20上のウェーハ1は、洗浄ノズル77により洗浄される。次いで、回収アーム76によって取り上げられ、スピンナ式洗浄装置80に移されて水洗、乾燥される。そして、スピンナ式洗浄装置80で洗浄処理されたウェーハ1は、ピックアップロボット70によって回収カセット81内に移送、収容される。以上が本実施形態の研削加工装置10の全体動作であり、この動作が繰り返し行われて多数のウェーハ1が連続的に研削加工される。
本実施形態によれば、傾斜調整手段100によりチャックテーブル20の傾き角度が変化しても、その傾き角度に応じ加工開始位置データが補正される。そのため、加工開始位置hをチャックテーブルの傾斜によって変位したウェーハの表面に限りなく近接した位置まで適正に調整することができる。これにより、チャックテーブル20の傾き角度の調整を行ってから研削ユニット30にエアカット動作をさせてもウェーハ1への研削ユニット30の衝突、あるいはウェーハ1と研削ユニット30との距離が空きすぎることによる余分な加工送りを防ぐことができる。その結果、本発明の加工装置は、基板を損傷させることなく安全に運転することができ、かつ加工時間を可能な限り短縮することができるため、生産効率の向上が図られる
本発明の一実施形態で研削加工が施されるウェーハの(a)斜視図、(b)側面図である。 本発明の加工開始位置補正手段を備える研削加工装置の斜視図である。 図2に示した研削加工装置が備える研削ユニットによってウェーハ表面を研削している状態を示す(a)斜視図、(b)側面図である。 研削加工装置の砥石の回転軌跡とチャックテーブルの位置関係を示した平面図である。 傾斜調整手段を備えるチャックテーブルの側面図である。 チャックテーブルを傾斜させた際に生じる加工開始位置の変化を説明する図である。
符号の説明
1…ウェーハ(基板)
10…研削加工装置(加工装置)
20…チャックテーブル(保持手段)
20a…回転軸
21a…吸着エリアの上面(保持面)
30…研削ユニット(加工手段)
40…スライダ(送り手段)
41…ガイドレール(送り手段)
42…サーボモータ(送り手段)
43…送り機構(送り手段)
110…送り動作制御手段
111…加工開始位置補正手段
P…待機位置
h…加工開始位置

Claims (1)

  1. 基板を吸着保持する保持面を有する回転可能な保持手段と、
    該保持手段の回転軸の傾きを基本角度から任意の角度に調整する傾斜調整手段と、
    該保持手段の前記保持面に対向配置され、前記基本角度の状態の前記保持手段の前記回転軸と平行な回転軸を有する加工手段と、
    前記保持手段と前記加工手段とを、加工手段の前記回転軸に沿って相対移動させて互いに接近・離間させるとともに、接近時に加工手段によって前記基板に所望の加工を施す送り手段と、
    予め記憶している加工開始位置データに基づいて、前記加工手段が待機位置から基板の加工開始位置まで、基板加工時の送り速度より高速で移動するように前記送り手段を制御する送り動作制御手段とを有する加工装置において、
    前記傾斜調整手段により調整された前記保持手段の回転軸の傾き角度に基づいて、前記送り動作制御手段が記憶している前記加工開始位置データを補正する加工開始位置補正手段を備えることを特徴とする加工装置。
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