JP2008245524A - 発酵食品及びその加工食品、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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弥生 大島
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Abstract

【課題】大豆などにテンペ菌を植菌し、発酵させて得る発酵食品及びこれを原料とする加工食品の酸価上昇の抑え、さらに発生するえぐみの抑制を図る。
【解決手段】蒸煮後の大豆(11)にテンペ菌(13)を植菌して発酵させた発酵食品であって、蒸煮前の大豆(11)をグルコノデルタラクトン(12)を添加した溶液に所定時間浸漬すると共に、大豆(11)の発酵後にテンペ菌(13)に含まれるリパーゼの失活のための加熱処理が施されることを特徴とする発酵食品及びその加工食品。
【選択図】図1

Description

本発明は、テンペ菌を用いた大豆の発酵食品及びこの発酵食品を真空フライ処理した加工食品、ならびにこれらの製造方法に関するものである。
テンペ菌とはRhizopus属(リゾプス属)の菌(カビ)である。
このテンペ菌を用いた大豆の発酵食品であるテンペは、インドネシアの伝統的な大豆醗酵食品で、蒸煮した脱皮大豆に前記テンペ菌を植菌し、発酵させて製造される。
このテンペは、食物繊維が多く、大豆イソフラボン、各種アミノ酸、γ−アミノ酪酸(GABA)等の有用成分を含むことで、健康によい食品として知られている。
また納豆のような強いクセが無く、淡泊な風味を持つ食品であるため、薄く切って油で揚げたり、各種料理の素材としても利用されている。
ひと手間かけて食することが多いテンペであるが、そのままスナック感覚で手軽に食べることができるよう工夫することで、健康によいテンペを消費者に供給することができる。
例えば、テンペを真空フライ処理すると、膨化によりクリスピーな食感になり、スナック感覚の乾燥品となる。この真空フライ処理されたテンペは遠心による脱油操作を経て製品となる。
一般的に「油で揚げた菓子(油分10%以上)は、製品中に含まれる油脂の酸価(AV)が3を超え、かつ過酸化物価(POV)が30を超えないこと。酸価(AV)だけでは5を超えないこと。」が菓子指導要領により規制されている。
テンペは発酵中にテンペ菌のリパーゼにより脂肪が分解され脂肪酸を生成し、その結果として酸価(AV)が高いことが知られているが、伝統食品でもあり上記の規制には縛られない。しかしながら、真空フライテンペにおいて酸価(AV)がさらに高くなることは好ましくない。
またテンペの発酵中に大豆イソフラボンがテンペ菌のβ−グルコシダーゼによりアグリコン型イソフラボンに分解され、テンペ特有のえぐみ(「えぐみ」:あくが強くて、舌やのどがひりひりとするような感じや味:大辞林 第二版(三省堂))が生じると考えられるが、水分の少ないフライテンペはアグリコン型イソフラボンが濃縮され、このテンペ特有のえぐみが強く感じられる。
一方、テンペの持つ特有の苦味等を軽減するものとして、発酵用の植菌前にテンペの原料となる豆類等をロースト処理する発酵食品の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の発酵食品の製造方法は、原料大豆等を適度にローストすることにより原料の持つ苦味成分そのものが分解されたり、また発酵中に苦味の発生を促進するような物質の働きが抑制されたり、あるいはローストにより発生する好ましい芳香によるマスキング効果などといった効果が複合して作用するものと考えられる。
得開平11−192065号公報
しかしながら、テンペ菌の植菌後にテンペ菌の酵素によって生じる、酸価の上昇やえぐみの発生は、上記特許文献1に記載の原料のロースト処理では十分な抑制を図ることができない。
本発明は、大豆などにテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品及び当該発酵食品を原料とした加工食品の酸価上昇を抑制すると共に、前記発酵食品や加工食品におけるえぐみの発生を抑制することを目的にしている。
そして、酸価の上昇が抑制され、大豆などにテンペ菌を植菌して発酵させたテンペのような発酵食品におけるテンペ特有のえぐみが抑制され、嗜好性に優れた発酵食品及び当該発酵食品を原料とした加工食品を提供することを目的にしている。
前記目的を達成するために本発明が提案するものは、蒸煮後の大豆にテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品、すなわち、いわゆるテンペであって、グルコノデルタラクトンを添加した溶液に蒸煮前の前記大豆を所定時間浸漬すると共に、前記大豆の発酵後に前記テンペ菌に含まれるリパーゼを失活させる加熱処理が施されていることを特徴とするものである。
大豆にテンペ菌が植菌されて発酵した発酵食品、例えば、テンペは、その発酵中にテンペ菌のリパーゼにより、大豆由来の脂肪が分解され、脂肪酸を生成することから酸価が上昇する。そしてリパーゼは真空フライ処理では失活せずに残存するため、この発酵食品を真空フライ処理した加工食品でも酸価が上昇している。
本発明においては、このような酸価の上昇を抑制するため、真空フライ処理する前に、グルコノデルタラクトンを添加した溶液に所定時間浸漬してから蒸煮した大豆にテンペ菌を植菌して発酵させた後、これをリパーゼが失活する程度の温度と時間により加熱処理するものである。
また、グルコノデルタラクトンは、えぐみの発生を引き起こす原因となるβ−グルコシターゼを特異的に阻害することから、本発明においては、蒸煮前の原料大豆をグルコノデルタラクトンの溶液中に浸漬するものである。
なおグルコノデルタラクトンは、食品添加物に認可されている糖ラクトンであり、用途に応じて「酸味料」、「膨張剤」、「凝固剤」、「pH調整剤」として表示されるものである。
前記溶液中に添加するグルコノデルタラクトンは、えぐみの発生を抑制するという効果を発揮させる観点から、前記溶液中に0.3重量%以上の濃度で添加することが好ましい。そして、えぐみの発生を抑制するという効果をより一層発揮させるという観点からは、前記溶液中に0.5重量%以上の濃度で添加することがより好ましい。
次に、前記目的を達成するために本発明が提案するものは、前述した本発明の発酵食品を原料とし、真空フライ処理して得た加工食品、すなわち、いわゆる真空フライテンペである。
前述した本発明の発酵食品は、グルコノデルタラクトンの溶液中に浸漬した後に蒸煮した大豆にテンペ菌を植菌して発酵させ、これに加熱処理を加えてリパーゼを失活させたものであるので、酸価上昇が抑えられ、えぐみの発生も抑制されている。そこで、この発酵食品を真空フライ処理した加工食品も、その酸価上昇が抑えられ、えぐみの発生も抑制されたものとなる。
また、前記目的を達成するために本発明が提案する発酵食品の製造方法は、蒸煮後の大豆にテンペ菌を植菌して発酵させる発酵食品の製造方法であって、グルコノデルタラクトンを添加した溶液中に大豆を所定時間浸漬する工程と、前記溶液中に浸漬された大豆を水切りした後に蒸煮する工程と、蒸煮された大豆にテンペ菌を植菌して発酵させる工程と、前記発酵後にリパーゼを失活させる加熱処理を行う工程とを備えているものである。
更に、前記目的を達成するために本発明が提案する加工食品の製造方法は、蒸煮後の大豆にテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品を原料とする加工食品の製造方法であって、グルコノデルタラクトンを添加した溶液中に大豆を所定時間浸漬する工程と、前記溶液中に浸漬された大豆を水切りした後に蒸煮する工程と、蒸煮された大豆にテンペ菌を植菌して発酵させる工程と、前記発酵後にリパーゼを失活させる加熱処理を行う工程と、前記加熱処理後に真空フライ処理を行う工程とを備えているものである。
前記において、グルコノデルタラクトンを添加した溶液中に大豆を浸漬する所定の時間は、テンペのような発酵食品を製造する工程において、原料大豆を蒸煮する前に一般的に行われている浸漬処理と同程度の時間でよい。これによって、えぐみの発生を抑制するグルコノデルタラクトンの効果を発揮させることができる。例えば、この浸漬処理する所定の時間は、ひきわり大豆を原料とする場合、約2時間程度である。
これらの本発明の発酵食品の製造方法、加工食品の製造方法においても、前述したように、前記溶液中に添加するグルコノデルタラクトンは、えぐみの発生を抑制するという効果を発揮させる観点から、前記溶液中に0.3重量%以上の濃度で添加することが好ましく、えぐみの発生を抑制するという効果をより一層発揮させるという観点からは、前記溶液中に0.5重量%以上の濃度で添加することがより好ましい。
なお、以上に説明した本発明の発酵食品の製造方法、加工食品の製造方法において、大豆以外に、他の豆類、穀類、ナッツ類を原料として用い、テンペ菌により発酵させた発酵食品及びその加工食品を得ることもできる。
本発明によれば、大豆などにテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品及び当該発酵食品を原料とした加工食品の酸価上昇を抑制すると共に、前記発酵食品や加工食品におけるえぐみの発生を抑制することができる。
そして、本発明によれば、酸価の上昇が抑制され、大豆などにテンペ菌を植菌して発酵させたテンペのような発酵食品におけるテンペ特有のえぐみが抑制され、嗜好性に優れた発酵食品及び当該発酵食品を原料とした加工食品を提供することができる。
図1は、本発明の発酵食品及びこの発酵食品を真空フライ処理した本発明の加工食品の製造工程を概説する工程図である。
以下、図1を参照して、本発明の発酵食品及び加工食品をその製造方法と共に説明する。なお適宜、本発明の発酵食品をテンペ、これを真空フライ処理した本発明の加工食品を真空フライテンペということがある。
図1に示すように、まず原料となる大豆をグルコノデルタラクトンの溶液中に浸漬する(S11)。
使用する原料大豆は、丸大豆、脱皮した半割れ大豆、あるいはひきわり大豆等、大豆の種類を問わないが、好ましくは脱皮したひきわり大豆を使用する。隙間が小さく密着性のある原料大豆を使用したテンペの方が、加熱処理によりしっかりと結着し、最終の脱油工程での破砕が少なく、歩留まりよく製品化できるからである。
また原料大豆をグルコノデルタラクトンを含む浸漬水(溶液)に浸漬するのは、グルコノデルタラクトンはβ−グルコシダーゼを特異的に阻害することからである。
発明者等の実験によれば、グルコノデルタラクトンの濃度が、0.5重量%でえぐみを感じないテンペ及び真空フライテンペを製造できたが、0.3重量%ではえぐみを微かに感じ、また0.1重量%では多少の効果はあるもののえぐみの効果的な抑制はできなかった。なお通常の浸漬操作を行うことによりグルコノデルタラクトンの効果を発揮させることができ、例えばひきわり大豆の場合では2時間程度の浸漬でよい。
浸漬後、水切りした原料大豆を蒸煮工程におき、蒸煮する(S12)。
その後、冷却してから、蒸煮後の原料大豆にテンペ菌(リゾプス属のカビ)を植菌する(S13)。
植菌後は、発酵に適した温度(29℃程度)におき発酵を促進させる(S14)。この発酵中にテンペ菌のリパーゼにより、大豆由来の脂肪が分解され、脂肪酸を生成し酸価が上昇することが知られている。リパーゼは後述する真空フライ処理では失活せず残存し、テンペ菌のその他の酵素類も残存していると考えられる。
そこで発酵工程を経たものに対して、リパーゼを失活させる程度の温度での加熱処理を加えるものである(S15)。
加熱の処理条件としては、テンペ菌のリパーゼが失活する程度の条件でよいが、孔をあけたプラスチックフィルム袋に入れて290×430×10mm程度の大きさにした発酵工程を経たものの場合、105℃での蒸気加熱を10分程度ではリパーゼの失活は不十分であり、20分以上の加熱によりリパーゼが失活した。
この加熱処理を施すことにより、リパーゼが失活し、β−グルコシターゼをはじめとする他の酵素類の活性も低下するため、酸価の上昇を抑え、テンペ特有のえぐみも低く抑えることができる。
この加熱処理の効果を有効にするために、加熱処理は発酵終了後速やかに行うことが望ましく、遅くとも約9時間程度までに行うことが望ましい。
この加熱処理工程を経たものが、食材のテンペとして出荷される。また真空フライテンペの原料ともなるものである。
加熱処理をした後に、所定形状に切断する成型工程に移行される(S16)。加熱処理後の切断はどのような形状に切断してもよいが、短冊状などよりは立方体に近い方が好ましく、サイズも15mm程度の方が後述する真空フライ処理後の脱油工程での破砕が少なく、歩留まりも良いものである。
成型工程により所定形状に切断されたテンペは、真空フライ工程に移行される(S17)。真空フライ処理は、真空フライヤーと呼ばれる装置を使用して行われるもので、減圧下にて食用油脂中で原料をフライにすることで、原料中の水分を低沸点で蒸発させ、脱水乾燥させる技術である。スナック菓子の製造で広く使用されている技術であり、原料の色彩、香味、形状が維持され、原料にサクサク感を与える効果がある。
真空フライ工程を経てから、脱油工程に移されて遠心操作による脱油が行われ(S18)、真空フライテンペとして生成される。
次に、前記の図1の工程にしたがって製造されるテンペと、このテンペを真空フライ処理して製造される真空フライテンペの実施例を説明する。なお実施例中において適宜、比較例と対比して説明する。
ひきわり大豆をグルコノデルタラクトン0.5重量%を添加した溶液の浸漬水(発酵乳酸2重量%、グルコノデルタラクトン0.5重量%、水97.5重量%、pHは3以下とする。)に2時間浸漬させた。
これを蒸煮し冷却後、テンペ菌を接種した。
これを1kg孔の空いたプラスチックフィルム袋に量り込み、平にならして290×430×10mm程度の大きさとして、29℃、36時間発酵させ、発酵終了後、袋ごと105℃で加熱処理を施した。
そして袋から取り出し15mm角に切断してテンペにすると共に、これを一定の温度と時間(100℃、30分)で真空フライし、脱油工程後、真空フライテンペとした。
このとき加熱処理時間を0、10、20、30分に設定し、それぞれのリパーゼ活性、酸価等を比較した。
その結果を表1に示す。
Figure 2008245524
表1に示すように、テンペでは加熱処理時間0、10分でリパーゼ活性の値がそれぞれ240.5mIU/g、57.9mIU/gであり、20、30分ではリパーゼ活性は検出感度以下であった。酸価は加熱時間0、10分でそれぞれ117.0、65.0であり、20、30分ではそれぞれ55.1、53.0であった。
表1では、上段にテンペ、下段に上段のテンペをそれぞれ真空フライ処理して得た真空フライテンペをそれぞれ実施例として表示したものである。ただし加熱処理時間が0分、すなわち加熱処理していないものは、実施例でないので、比較例としてそれぞれ提示してある。
真空フライテンペでは加熱処理時間0、10分でリパーゼ活性の値がそれぞれ559mIU/g、465mIU/gであり、20、30分ではリパーゼ活性は検出感度以下であった。酸価は加熱時間0、10分でそれぞれ38.9、41.6であり、20、30分ではそれぞれ22.3、21.8であった。
真空フライテンペの官能評価としては酸価臭は全てで感じなかったものの、加熱時間0分のではテンペ特有のえぐみは感じ、加熱時間10分のものではえぐみをやや感じた。一方、加熱時間20分、30分のものはテンペ特有のえぐみは感じられなかった。
表1に結果より、酸価の低下やえぐみの抑制のために、発酵後の加熱処理(105℃)に必要な時間は、テンペとしても、またこのテンペを使用する真空フライテンペの場合でも、少なくとも20分以上必要であることがわかった。
(比較例1)
次にグルコノデルタラクトン0.5重量%を添加した溶液の浸漬水(発酵乳酸2重量%、グルコノデルタラクトン0.5重量%、水97.5重量%、pHは3以下とする。)に2時間浸漬した大豆の実施例(実施例1−1−2、実施例1−2−2)と、グルコノデルタラクトンを添加しない浸漬水(発酵乳酸2重量%、水98重量%、pHは3以下とする。)に2時間浸漬した大豆の比較例(比較例1−3、1−4)とのリパーゼ活性、酸価等を比較したものを表2に示す。
比較例1−3、1−4は次のようにして調製したものである。
ひきわり大豆を浸漬水(発酵乳酸2%、水98%、pHは3以下とする。)に2時間浸漬させ、これを蒸煮し冷却後、テンペ菌を接種した。この1kgを孔の空いたプラスチックフィルム袋に量り込み、平にならして290×430×10mm程度の大きさとし29℃、36時間発酵させ、発酵終了後この袋ごと105℃、20分の加熱処理を施した。その後袋から取り出し15mm角に切断してテンペにすると共に、これを一定の温度と時間(100℃、約30分)で真空フライし、脱油工程後、真空フライテンペとした。
Figure 2008245524
比較例1−4の真空フライテンペのリパーゼ活性は検出感度以下、酸価(AV)は16.4、過酸化物価(POV)は2.3であり、官能評価は酸化臭は感じないものの、テンペ特有のえぐみを感じるものであった。
実施例2では発酵終了後から加熱処理までの時間をそれぞれ変えて行った。
ひきわり大豆2kgをグルコノデルタラクトン0.5重量%を添加した浸漬水4.5リットル(発酵乳酸2重量%、グルコノデルタラクトン0.5重量%、水97.5重量%、pHは3以下とする。)に2時間浸漬させた。これを蒸煮し冷却後、テンペ菌を接種した。これを孔の空いたプラスチックフィルム袋に1.2kgずつ量り込み、平にならし290×430×12mm程度の大きさとし29℃36時間発酵させた。発酵終了0、9、24、48時間後に袋ごと105℃、20分の加熱処理を行い、15mm角に切断してテンペにすると共に、これを真空フライし、脱油工程後に真空フライテンペを得た。
結果を表3(発酵直後に加熱、発酵から9時間後に加熱)、表4(発酵から24時間後に加熱、発酵から48時間後に加熱)に示す。
Figure 2008245524
Figure 2008245524
発酵終了直後に加熱処理を施した真空フライテンペの酸価は12.0で、えぐみも感じなかった。また9時間後に加熱処理した真空フライテンペも酸価12.9で、えぐみを感じなかった。しかし、24時間後に加熱処理のものは酸価25.6、えぐみ少々有り、48時間後に加熱処理のものは酸価23.4、えぐみ有りとなった。
また、アルミ蒸着の包材に包装し、40℃、蛍光灯照射下での150日間の保存試験を行ったところ、酸価は保存期間中上昇することはなく、保存試験開始から終了までほぼ一定に保たれ、発酵終了直後、9時間後加熱処理のものの酸価は20以下、24、48時間後加熱処理のものは酸価が20〜30の値であった。また、過酸化物価(POV)は全ての検体で10以下にとどまった。
上記結果から、本発明の特徴の一つである発酵後の加熱処理は、その効果をより有効にするために、発酵終了直後に行うか、あるいは遅くとも発酵終了直後約9時間以内に行うことが望ましいことが判明した。
(比較例2)
比較例2では、グルコノデルタラクトンを添加しない浸漬水に2時間浸漬した大豆を、上記した実施例2のように発酵終了後から加熱処理までの時間をそれぞれ変えて行った。
すなわち、ひきわり大豆を浸漬水(発酵乳酸2重量%、水98重量%、pHは3以下とする。)に2時間浸漬させた。これを蒸煮し冷却後、テンペ菌を接種した。
そしてこれを孔の空いたプラスチックフィルム袋に1.2kgずつ量り込み、平にならして290×430×12mm程度の大きさとし29℃、36時間発酵させた。
発酵終了後、袋ごと105℃、20分の加熱処理を施した。その後15mm角に切断してテンペにすると共に、これを一定の温度と時間(100℃、30分)で真空フライして真空フライテンペとした。
このとき加熱処理を発酵終了後、0、9、24、48時間後に設定し、酸価、食味等を比較した。
結果を表5(発酵直後に加熱、発酵から9時間後に加熱)、表6(発酵から24時間後に加熱、発酵から48時間後に加熱)に示す。
Figure 2008245524
Figure 2008245524
発酵終了直後に加熱処理を施した真空フライテンペの酸価は12.3で、えぐみを少々感じる程度であった。また9時間後に加熱処理した真空フライテンペも酸価14.7で、えぐみを少々感じる程度であった。しかし、24時間後に加熱処理のものは酸価23.7、えぐみ有り、48時間後に加熱処理のものは酸価22.4、えぐみを強く感じるものであった。
発酵終了後9時間以内に加熱処理した場合、酸価の上昇は抑えられ、テンペ特有のえぐみも少々感じる程度に抑えられることが分かった。しかし、真空フライすることによりえぐみ成分が濃縮され感じやすくなるため、えぐみを感じない程度まで抑えるには、発酵中のえぐみの発生を抑えることが必要であった。
また、アルミ蒸着の包材に包装し、40℃、蛍光灯照射下での150日間の保存試験を行ったところ、酸価は保存期間中上昇することはなく、保存試験開始から終了までほぼ一定に保たれ、発酵終了直後、9時間後加熱処理のものの酸価は20以下、24、48時間後加熱処理のものは酸価が20〜30の値であった。また、過酸化物価(POV)はほぼ全ての検体で10以下にとどまった。
これより、発酵終了後9時間以内に加熱処理した場合、酸価の上昇は抑えられるが、えぐみの発生については、真空フライすることによりえぐみ成分が濃縮され感じやすくなるため、えぐみを感じない程度まで抑えるには、発酵中のえぐみの発生を抑えることが必要であり、グルコノデルタラクトンを添加した溶液の浸漬水に浸漬して、グルコノデルタラクトンによるβ−グルコシターゼによる作用を阻害させる必要があることが判明した。
(比較例3)
比較例3では、グルコノデルタラクトンの濃度を異にした溶液の浸漬水に浸漬したときのリパーゼ活性、酸価等を比較したものである。なおグルコノデルタラクトンを添加しないものも比較のため提示した。
ひきわり大豆2kgをグルコノデルタラクトン0.1重量%及び0.3重量%を添加した浸漬水4.5リットル(発酵乳酸2重量%、グルコノデルタラクトン重量0.1%及び0.3重量%、残部は水、pHは3以下とする。)に2時間浸漬させた。
これを蒸煮し冷却後、テンペ菌を接種した。そしてこれを孔の空いたプラスチックフィルム袋に1.2kgずつ量り込み、平にならし290×430×12mm程度の大きさとし29℃36時間発酵させた。発酵終了後速やかに105℃、20分の加熱処理を行い15mm角に切断してテンペにすると共に、これを一定の温度と時間(100℃、30分)で真空フライして真空フライテンペとした。その結果を表7に示す。
Figure 2008245524
0.1重量%グルコノデルタラクトンの浸漬水で浸漬して得られた真空フライテンペはテンペ特有のえぐみが若干感じられ、グルコノデルタラクトン0.5重量%を含む浸漬水に浸漬した場合に比べ食味が劣るものであった。
0.3重量%グルコノデルタラクトンの浸漬水に浸漬して得られた真空フライテンペはテンペ特有のえぐみは微かに感じられるものの、グルコノデルタラクトン0.5重量%を含む浸漬水に浸漬した場合に近い食味のものであった。
上記よりグルコノデルタラクトンを含む浸漬水に浸漬するには、その効果をより有効にするためにも、グルコノデルタラクトンを0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上にすることが望ましいと判明した。
本発明の発酵食品及びこれを真空フライ処理した本発明の加工食品の製造工程を概説する工程図。
符号の説明
11 大豆
12 テンペ菌
13 グルコノデルタラクトン

Claims (5)

  1. 蒸煮後の大豆にテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品であって、グルコノデルタラクトンを添加した溶液に蒸煮前の前記大豆を所定時間浸漬すると共に、前記大豆の発酵後に前記テンペ菌に含まれるリパーゼを失活させる加熱処理が施されることを特徴とする発酵食品。
  2. 前記溶液中に添加されるグルコノデルタラクトンの濃度が0.3重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の発酵食品。
  3. 請求項1又は2記載の発酵食品を原料とし、真空フライ処理した加工食品。
  4. 蒸煮後の大豆にテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品の製造方法であって、
    グルコノデルタラクトンを添加した溶液中に大豆を所定時間浸漬する工程と、
    前記溶液中に浸漬された大豆を水切りした後に蒸煮する工程と、
    蒸煮された大豆にテンペ菌を植菌して発酵させる工程と、
    前記発酵後にリパーゼを失活させる加熱処理を行う工程と
    を備えている発酵食品の製造方法。
  5. 蒸煮後の大豆にテンペ菌を植菌して発酵させた発酵食品を原料とする加工食品の製造方法であって、
    グルコノデルタラクトンを添加した溶液中に大豆を所定時間浸漬する工程と、
    前記溶液中に浸漬された大豆を水切りした後に蒸煮する工程と、
    蒸煮された大豆にテンペ菌を植菌して発酵させる工程と、
    前記発酵後にリパーゼを失活させる加熱処理を行う工程と、
    前記加熱処理後に真空フライ処理を行う工程と
    を備えている加工食品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017038793A1 (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 池田食研株式会社 大豆発酵物及び大豆発酵物の製造方法

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WO2017038793A1 (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 池田食研株式会社 大豆発酵物及び大豆発酵物の製造方法

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