JP2008244227A - 多孔性シリコン基板およびこれを利用する発光素子並びにそれらの製造方法 - Google Patents

多孔性シリコン基板およびこれを利用する発光素子並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 多孔性シリコン層を有するシリコン基板を利用した高い発光効率と高い発光強度を有する発光素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 シリコン基板上に形成された多孔性シリコン層と、該多孔性シリコン層の上側に部分的に不純物を注入して形成したシリコン/不純物混合層とを有することを特徴とする多孔性シリコン基板および多孔質シリコン層が形成されたシリコン基板上に、基板垂直面に対し角度を持ってイオン打ち込みを行うことを特徴とする多孔性シリコン層上側に部分的にシリコン/不純物混合層を有する多孔性シリコン基板の製造方法並びに上記多孔性シリコン基板の、前記シリコン/不純物混合層の上に第一電極を、前記多孔性シリコン基板裏面に第二電極を形成してなる発光素子およびその製造方法である。
【選択図】 図5

Description

本発明は、多孔性シリコン基板およびこれを利用する発光素子並びにそれらの製造方法に関に関するものである。
単結晶シリコン基板を、フッ酸溶液中で陽極酸化することにより、図1のようなシリコン基板上に多孔性シリコン層が形成されることが知られているが、その多孔性シリコン層を有するシリコン基板が室温で強いフォトルミネッセンスを示すということが1990年に発表された(非特許文献1)。
この発光現象を利用した電界注入型発光素子としては、ショットキー接合型多孔性シリコン発光素子(Metal-Semiconductor:MS発光素子)が一般的である。この多孔性シリコンを有するシリコン基板を用いたショットキー接合型多孔性シリコン発光素子の最も簡単なものの構造を図2に示す。
この発光素子は、シリコン結晶面の下側及び多孔性シリコン層の上に電極が形成されており、多孔性シリコン層に形成した電極に正のバイアスを印加することで、順方向に電流が流れ発光するものである。しかし、従来の多孔性シリコン基板を用いた発光素子は、電流のほぼ全てがn型シリコン結晶からの電子電流であり、ショットキー電極からの少数キャリアである正孔は、ほとんど注入されないという問題があった。
そこで、このショットキー接合型多孔性シリコン発光素子のキャリアの流入が非常に少ないという欠点を補うため、図3に示すような多孔性シリコン層と電極との間に薄い絶縁体膜を導入し、トンネル現象による表面電極側からの多孔性シリコン層への正孔の注入及び再結合による発光を可能にした構造の発光素子(Metal-Insulator-Semiconductor:MIS発光素子)が開発された。
このMIS発光素子も、前記ショットキー接合型発光素子と同様、発光効率が悪く、発光強度が小さかったため、光通信システム、ディスプレイデバイス等その他の産業においては実際に用いることは出来ないという課題があった。更にMIS発光素子では、絶縁体膜が導入されたその構造に起因して、立ち上がり電圧が高く、電圧に対して電流が徐々に増加する特性を示すものであった。それゆえ、電圧上昇に伴う消費電力の増大を招き、またトンネル現象により多数キャリアである電子も同時に注入されるため、全電流に占める多数キャリアの発光への寄与分が非常に小さくなるという問題もあった。
一方、発光強度を向上させるには多孔性シリコン層の表層近傍に数多くのPN結合を形成することが効果的であり、これを目的として多孔性シリコン層の内壁に沿って不純物拡散層を形成させた発光素子が開示されている(特許文献1)。
しかし、この文献に開示の技術では、多孔性シリコン層の全面にわたってPN結合が形成されるものであり、結果として発光強度増大に寄与することができず、この素子も発光強度が不十分であるという問題を有していた。
特開2002−344012号公報 " AppliedPhysics Letters ", L. T. Canham, 1990, 57, p.1046-
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、多孔性シリコン層を有するシリコン基板およびこれを利用した高い発光効率と高い発光強度を有する発光素子並びにそれらの製造方法の提供をその課題とするものである。
本発明者らは、多孔性シリコン層を有する発光素子において、その発光効率および発光強度を高めるため、種々研究を行っていたところ、不純物拡散層を多孔性シリコンの表層に集中させ、ここにPN接合を形成させればその目的が達成しうることを知った。そして、そのためには、イオン注入をシリコン層に形成された多孔に対し垂直でなく、一定の角度をもって行えばよいことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、シリコン基板上に形成された多孔性シリコン層と、該多孔性シリコン層の上側に部分的に不純物を注入して形成したシリコン/不純物混合層とを有することを特徴とする多孔性シリコン基板である。
また本発明は、上記の多孔性シリコン基板の、前記シリコン/不純物混合層の上に第一電極を、前記多孔性シリコン基板裏面に第二電極を形成してなる発光素子である。
更に本発明は、多孔質シリコン層が形成されたシリコン基板上に、基板垂直面に対し角度を持ってイオン打ち込みを行うことを特徴とする多孔性シリコン層上側に部分的にシリコン/不純物混合層を有する多孔性シリコン基板の製造方法である。
更にまた本発明は、シリコン基板に多孔性シリコン層を形成する第1工程、該多孔性シリコン層に、基板垂直面に対し角度を持ってイオン打ち込みを行ない不純物導入層を形成する第2工程、該不純物導入層の上及び前記多孔性シリコン基板裏面にそれぞれ電極を形成する第3工程を包含することを特徴とする発光素子の製造方法である。
本発明に係る多孔性シリコン層を有するシリコン基板は、斜めイオン打ち込みにより多孔性シリコン層の上部の一部にのみシリコン/不純物混合層(不純物導入層)が形成され、p型多孔性シリコン層とn型多孔性シリコン層によるpnホモ接合を形成するので、単結晶p型シリコン/多孔性n型シリコンまたは単結晶n型シリコン/多孔性p型シリコンなどのpn接合を持つ発光素子と比べ、高効率で発光を得ることができるものであり、これを発光素子等の光素子用基板として用いた場合、高効率の発光素子とすることが出来る。
ゆえに従来の単結晶層/多孔性シリコン層の組み合わせによる多孔性シリコン基板を用いた発光素子と比べシリコン基板における単位面積あたりのpn接合の面積を大きくすることが出来る。
また、発光素子の発光開始電圧に係る立ち上がり電圧がMIS発光素子と比較して低くなることから、消費電力という面においても有利である。
更に、基板垂直面に対し斜めからイオン注入または電極物質の作製を行うことによってイオン注入打深さの制御が容易に行うことができ、多孔性シリコン層の不均一さによらない再現性の良い素子の作製が可能となる。
以下、本発明に係る多孔性シリコン基板及びそれを用いた発光素子並びに多孔性シリコン基板の製造方法について説明する。
本発明の多孔性シリコン基板は、シリコン基板上に多孔性シリコン層を形成させ、更にこの多孔性シリコン層の上側の一部にシリコン/不純物混合層(不純物導入層)を形成させたものである。
シリコン基板上に多孔性シリコン層を形成させるためは、シリコン基板を陽極酸化または光アシスト化学エッチング法により処理することが必要である。
このうち、陽極酸化は、例えばフッ酸を用いた電解により行うことができる。この電解に使用するフッ酸電解液は、多孔性シリコン層での希望する孔径、深さ、形状に応じてその濃度、内容物の液組成を変更することが出来る。
具体的には、安定した形状の多孔性シリコン層を得るために、フッ酸水溶液の濃度を数〜50質量%(以下、単に「%」で示す)とする必要があり、特に10〜30%とすることが望ましい。また電解液としては単にフッ酸水溶液でもよいが、エタノールの他、メタノール、2−ブタノール等のアルコール類を混合することにより、発生したガスが細孔より抜けやすくなり、均一な陽極酸化が起こり、均一な孔を形成することが出来る。
また、必要に応じてランプ等により光を照射しながら陽極酸化を行っても良い。陽極酸化時においてランプにより光照射をするのは、正孔の供給を促し、スムーズな電解および多孔性シリコン層の厚み、孔径など、多孔性シリコン層の均一性の向上させることができるからである。
上記方法により、多孔性シリコン層の厚みは数nmから数十μmまで自由に変えることが出来る。この際の陽極酸化電流は、0.1〜100mA/cmで行うことが出来るが、特に1〜50mA/cmで行うことが好ましい。また、多孔性シリコン層に形成された孔の孔径は数nm〜数μm程度である。また多孔性シリコン層の厚みは、上記の厚みであるが、これは陽極酸化処理時間により制御が可能である。しかしながら、発光素子作製時における素子内部抵抗および発光取り出し効率を考えると、多孔性シリコン層厚みは10μm以下であることが望ましい。
上記のように陽極酸化した後、多孔性シリコン層が形成されたシリコン基板はエタノールまたは2−ブタノール等の親水性アルコール、親水性炭化水素および水との混合物を用い、多孔性シリコン層内部に残る電解液の洗浄を行う。すなわち、電解直後のシリコン基板表面は水素終端化により撥水性となっているため、親水性アルコールや親水性炭化水素を用いて、ぬれ性を上げることで多孔性シリコン層内部に残る電解液を十分にすすぐことが出来るのである。
このような洗浄、すすぎの後、ブロワーまたはスピン乾燥によりシリコン基板上に残る液滴を除去し、次いで真空乾燥を行ない、次工程の不純物導入層形成工程に移る。
この不純物導入工程は、多孔性シリコン層を有する多孔性シリコン基板に対し、不純物となるリン元素(P)などをイオン注入によって埋め込み、所定の温度により熱処理を行い、不純物導入層を形成する工程である。この工程において、シリコン基板としてn型シリコン基板を用いた場合、イオン注入に用いる元素としてはP、Sb、As、Biが用いられ、p型シリコン基板を用いた場合はB、Inなどが用いられる。このような選択をすることにより、不純物導入層形成時において、作製された不純物導入層と残存する多孔質シリコン層とでpn接合が形成されるのである。
また、本発明の多孔性シリコン基板の製造においては、不純物元素のイオン注入時において、イオン源からのイオンビームの照射方向を、シリコン基板面に対し傾け、シリコン面に対し斜めからイオン注入を行うことが必要である。この照射方向の角度は特に制約はないが、5から85°が好ましく、より好ましくは30〜85°、特に好ましくは45〜85°である。この際、シリコン基板を回転させ、均一にイオン注入を行っても良い。
このようにイオン注入を行う際に、イオンビームの照射方向を斜めとし、その角度を変化させることによって多孔性シリコン層の特定の深さまでのイオン注入が可能であり、それに伴い、不純物導入層の深さ制御が可能となる。
すなわち、イオン注入においては電場で加速されたイオンはターゲット物質と衝突しながらエネルギーを失って停止する。従ってイオンの進入深さ、すなわち飛程は、加速エネルギーにほぼ比例するが、例えば、図4(a)に示すように多孔性シリコン層の多孔方位に沿って垂直にイオン注入を行った場合、多孔性シリコン層の多孔の多くは完全な垂直孔ではなく、繊維状の入り組んだ形になっているため、孔部分を通って底部あるいは基板に到達するものも存在することになる。
従って、イオンは、多孔性シリコン層の上部にドープされるものと、多孔の底部にドープされるものが存在することになり、所望の部分のみに不純物導入層を形成させ、高品質のpn接合を再現性よく形成させることは現実的に不可能となる。
これに対し、図4(b)のように、斜めからのイオン注入を行うと、イオン注入は多孔性シリコン層の上部でのみ行われるため、多孔性シリコン層の上部のみに不純物導入層を作製することが可能となるのである。
すなわち、目的物質の多孔度をα、ターゲット基板にイオンを注入する入射角をθ、完全な単結晶に対するイオンの飛程距離をLとすると斜めイオン注入によって多孔性シリコン層内に侵入するイオンの表面からの距離dは次の式で表されることになる。
d=(L/(1−α))cosθ (1)
例えば、Pイオンを多孔質度α=0.5の多孔性シリコン層に、加速エネルギー400keVでθ=45°の斜めイオン注入すると、Lは約0.2μmであるからd=√2L≒0.3μmとなる。
この計算結果からは、基板面に対し斜めよりイオン注入をすることで多孔性シリコン層ターゲットの斜め断面からイオンが注入されるため飛程深さが容易に制御でき、所望の深さにpn接合が形成されることが理解できるであろう。
このようにして、多孔質シリコン層の所定の上部にのみ、イオン注入をすることが可能となるのである。なお、イオン注入時の多孔性シリコン層が形成された基板は、固定し、一定方向からのイオン注入を受けても良いが、基板を平面上で回転させることにより、均一にイオン注入を受けることもできる。
上記のように、イオン注入により特定深さまで不純物を打ち込んだ多孔性シリコン基板は、次いで所定の温度により熱処理を行い、不純物導入層を形成させる。この時の温度は、300〜900℃程度であることが好ましい。
このように熱処理を行う理由は次の通りである。すなわち、イオン注入法によりシリコン格子中に生じた欠陥を回復させる目的と、該ドーパントイオンをシリコン基板中のドナーあるいはアクセプタとなるキャリアとして活性化させるために熱処理を行う必要があるのである。
上記のようにして得られた多孔性シリコン基板を用いて発光素子を製造するには、当該多孔性シリコン基板に設けられたシリコン/不純物混合層の上に第一電極を、その裏面に第二電極を形成すれば良い。
このうち、シリコン/不純物混合層(不純物導入層)上に設けられる第一電極としては、発光を妨害しないものが好ましく、例えば、半透明のAuなどの金属電極や、透明電極であるITO(InとSnの複合酸化物)電極が好ましく用いられる。
一方、裏面側(基板側)の第二電極としては、Au、Al、Inなどのシリコンに対しオーミック性コンタクトとなる金属を用いることが好ましい。
これらの電極の作製は、真空蒸着装置やスパッタ製膜装置などを用いておこなうことができるが、第一電極の形成にあたっては、真空蒸着やスパッタによるによる電極作製時の金属の飛行方向を、イオン注入と同様シリコン基板面に対し傾けることが必要である。
すなわち、真空蒸着等により金属電極等を作製する場合、通常は基板面に対し垂直に蒸着を行うが、その場合、金属蒸気が多孔性シリコン層の内部深くまで入り、イオン注入あるいは不純物拡散により作製したpn接合を電気的に短絡してしまう恐れがある。ゆえに必要に応じて基板面に対し斜めより真空蒸着等を行うことにより、金属蒸気の多孔性シリコン層深部への進入が阻止され、短絡等を防ぐことができるのである。
この説明から明らかなように、蒸着等の時の角度は、不純物導入層と多孔質シリコン層の界面と同じかこれよりも浅い部分に電極が形成されるように、イオン注入時と同じ角度またはそれよりも浅い角度で真空蒸着を行うのが好ましい。
なお、電極作製のため、常法に従って電極パッド用のパターンをフォトレジストによりパターニングを行なっても良く、この時電極パターニングには簡易的には耐熱性テープやマスキングテープなどによりパターン形成のためのマスキングを行っても良い。
本発明の多孔性シリコン基板は、シリコン基板上に形成された多孔性シリコン層に、斜めよりイオン注入を行い、特定深さの不純物導入層を形成したものである。そしてこの基板は、イオン注入により不純物が導入された多孔性シリコン層と、不純物の入っていない多孔性シリコン層を有し、これらはp型多孔性シリコン層とn型多孔性シリコン層としてpn接合を形成するものである。このように多孔性シリコン層中にpn接合を作ることが本発明の特徴である。
そしてこのものは、通常の単結晶p型シリコン/多孔性n型シリコンや、単結晶n型シリコン/多孔性p型シリコンなどのpn接合を持つ発光素子と比べ、発光素子等の光素子用基板をして用いた場合、高効率の発光素子となるものである。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
発光素子の製造:
(1)シリコン基板材料として比抵抗約20Ω・cmの(100)面方位p−Si単結晶を用いた。まず、このシリコン基板材料を、陽極酸化し、表面に多孔性シリコン層を形成する。この時、陽極酸化には、フッ酸とエタノールを主とする電解液(濃度50%フッ酸水溶液:水:エタノール=23:17:10)を用いた(フッ酸溶液としてみた場合の濃度は、26.0%となる)。
また、陽極酸化時においての対向電極としては、白金(55メッシュ)を用い、電解は、シリコン基板に対し3mA/cmの電流を用いて行った。
この陽極酸化により、シリコン基板表層部に微細な多孔性シリコン層が形成された。形成された多孔性シリコン層の厚みは約10μmであった。
陽極酸化終了後、取り出したシリコン基板を水と2−ブタノールを1:1で混合した溶媒ですすいだ。その後、ブロワーにより液滴を除去し、真空乾燥を行った。
(2)上記(1)で得た多孔性シリコン基板に、イオン注入装置によりイオン注入を行った。ここで注入したイオンはリン元素(P)イオンで、加速エネルギー40keV、注入ドーズ量1×10−12cm−2の室温注入で行った。また、基板は、イオンビーム照射方向に対し60°の角度に傾けてイオン注入を行なった。
イオン注入後、抵抗加熱炉を用い、イオン導入層の形成のため950℃で30分間の熱処理を行った。
(3)その後、電極作製のため、電極パッド用のパターンを耐熱性テープにより形成し、マスキングを行った。マスキング後、基板を60°の角度に傾けて真空蒸着を行い、電極の作製を行った。電極金属にはAuを用いた。次いで裏面電極としてシリコンに対しオーミック性接合となるInを真空蒸着装置により蒸着を行い裏面電極とした。
(4)以上により得られた発光素子の構成を模式的に図5に示す。また、この発光素子の発光スペクトルを図6に示す。この発光素子は、多孔性シリコン層に形成した電極側から正のバイアスを印加することで、順方向に電流が流れ発光する。この時、印加電圧は約2V付近より発光が観察される。図6に示すように約600nmを中心として400nm〜800nmの範囲で発光ピークが得られていることが分かった。特に500nm〜700nmの範囲で強い発光ピークが得られているた。
また得られた発光素子について、MS発光素子およびMIS発光素子と電流−電圧特性について比較をした結果を図7に示す。この結果、MS発光素子では立ち上がり電圧が1V程度であるが、発光は観察されなかった。一方、MIS発光素子の場合、電圧印加に伴って発光は観察されるが、発光開始に係る立ち上がり電圧は3V以上であり、発光強度を高めるため多孔質シリコン層を厚くすると更に立ち上がり電圧は上昇してしまった。
これに対し、本発明の発光素子は立ち上がり電圧が約2Vと、MIS発光素子と比較して低い電圧での発光が確認された。
本発明の多孔性シリコン基板は、発光素子として好適に用いられるものである。しかも、通常のLEDなどと異なり、GaNやGaAsのように他の元素で構成される基板を必要とせず、素子の発光に係る部位がシリコンのみから形成されているため、シリコン基板上に直接発光素子を作製することが可能であり、配線に光を用いるシリコンフォトニクスデバイスの発光体として用いることが期待されるものである。
多孔質シリコンの断面の走査型電子顕微鏡写真 MS発光素子の構造を示す図面 MIS発光素子の構造を示す図面 垂直イオン注入(a)と斜めイオン注入(b)を模式的に示した図面 本発明発光素子の構造を模式的に示した図面 本発明発光素子の発光スペクトルを示す図面 本発明発光素子の電流−電圧特性をMS発光素子およびMIS発光素子と比較した図面
符号の説明
1……シリコン基板
2……多孔質シリコン層
3……第一電極
4……第二電極
5……酸化膜
6……不純物導入層

Claims (13)

  1. シリコン基板上に形成された多孔性シリコン層と、該多孔性シリコン層の上側に部分的に不純物を注入して形成したシリコン/不純物混合層とを有することを特徴とする多孔性シリコン基板。
  2. 前記シリコン基板がp型シリコン基板であり、部分的に注入する不純物がシリコンに対し自由電子を与え、n型シリコンとしての性質を与えることの出来る元素である請求項1に記載の多孔性シリコン基板。
  3. 部分的に注入される不純物が、リン(P)、アンチモン(Sb)、ヒ素(As)またはビスマス(Bi)である請求項1または2記載の多孔性シリコン基板。
  4. 前記シリコン基板がn型シリコン基板であり、部分的に注入される不純物がシリコンに対しホールを与えp型シリコンとしての性質を与えることの出来る元素である請求項1に記載の多孔性シリコン基板。
  5. 部分的に注入される不純物が、ボロン(B)またはインジウム(In)である請求項1または4記載の多孔性シリコン基板。
  6. シリコン/不純物混合層中で、PN接合が形成されているものである請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性シリコン基板。
  7. 形成された前記シリコン/不純物混合層の厚みが、多孔性シリコン層全体の厚みの90%以下である請求項1〜6の何れかの項記載の多孔性シリコン基板。
  8. 請求項1〜7のいずれかの項に記載の多孔性シリコン基板の、前記シリコン/不純物混合層の上に第一電極を、前記多孔性シリコン基板裏面に第二電極を形成してなる発光素子。
  9. 前記第一電極が光透過性電極である請求項8に記載の発光素子。
  10. 多孔質シリコン層が形成されたシリコン基板上に、基板垂直面に対し角度を持ってイオン打ち込みを行うことを特徴とする多孔性シリコン層上側に部分的にシリコン/不純物混合層を有する多孔性シリコン基板の製造方法。
  11. イオン打ち込みを行う角度が、5〜85°である請求項第10項記載の多孔性シリコン層上側に部分的にシリコン/不純物混合層を有する多孔性シリコン基板の製造方法。
  12. シリコン基板に多孔性シリコン層を形成する第1工程、該多孔性シリコン層に、基板垂直面に対し角度を持ってイオン打ち込みを行ない不純物導入層を形成する第2工程、該不純物導入層の上及び前記多孔性シリコン基板裏面にそれぞれ電極を形成する第3工程を包含することを特徴とする発光素子の製造方法。
  13. 前記第3工程においてシリコン基板垂直面に対し垂直又は所定の角度を持って電極金属の蒸着により電極を形成することを特徴とする請求項12に記載の発光素子の製造方法。
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