JP2008242390A - 回折光学素子およびそれを有する光学系 - Google Patents
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Abstract
【課題】 回折格子の材料として、ガラスモールド用材料を用いても、適切なる形状の回折格子の格子部が得られ、広い波長域にわたり、高い回折効率が容易に得られる回折光学素子を得ること。
【解決手段】 回折格子と、該回折格子を構成する格子部の先端部に、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成り、位相変化を生ずる位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有すること。
【選択図】図2
【解決手段】 回折格子と、該回折格子を構成する格子部の先端部に、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成り、位相変化を生ずる位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有すること。
【選択図】図2
Description
本発明は、回折光学素子およびこれを有する光学系に関し、可視波長域において高い回折効率が得られ、ビデオカメラやデジタルカメラ、そしてテレビカメラ等の光学機器に用いる光学系に好適なものである。
光学系(レンズ系)の色収差を減じる方法として、互いに異なった硝材の組み合わせによる方法が知られている。この他、光学系の一部に回折作用を有する回折光学素子を設ける方法が知られている(非特許文献1、特許文献1)。
この回折光学素子には、色収差の補正の他、その周期的構造の周期を適宜変化させることで非球面レンズ的な効果を持たせることができることが知られている。
回折光学素子を有する光学系において、使用波長領域における光束が特定の1つの次数(以下、「特定次数」又は「設計次数」ともいう)の回折光に集中している場合は、それ以外の回折次数の回折光強度は低いものとなる。ある次数の回折光の強度が0の場合はその次数の回折光は存在しない。
設計次数以外の次数の回折光が存在し、それがある程度の強度を有する場合は、設計次数の光とは別な所に結像(集光)するため、光学系に用いたときは、これらの光はフレア光となる。
従って、回折光学素子を用いて光学系の収差を低減するためには、使用波長領域全域において設計次数の回折光の回折効率が十分高くなるようにすることが必要となる。このため回折光学素子を用いる光学系では設計次数での回折効率および設計次数以外の回折光についても十分考慮することが必要となる。
図12は、基板302とこの基板302上に形成された1つの回折格子301とからなる従来の回折光学素子(以下、「単層型DOE」と言う)の要部断面図である。図13は、この単層型DOEをある面に形成した場合の特定次数に対する回折効率の特性の説明図である。
図13において、横軸は入射光の波長を、縦軸は回折効率を示している。回折効率の値は、全透過光束の光量に対する各次数での回折光の光量の割合であり、格子境界面での反射光などは説明が複雑になるので考慮していない値になっている。
図13に示すように、図12に示した単層型DOEは、1次の回折次数(図中に太い実線で示す)において使用波長領域で最も回折効率が高くなるように設計されている。即ち、設計次数は1次である。
この設計次数で回折効率はある波長で最も高くなり(以下、この波長を「設計波長」という)、それ以外の波長では徐々に低くなる。この設計次数での回折効率の低下分は、他の次数の回折光となり、光学系に用いたときはフレア光となる。
図13には、この他の次数として設計次数1次の近傍の次数(設計次数1±1次の0次回折光と2次回折光)の回折効率も併せて併記している。
従来、このときのフレア光の影響を低減する構成が知られている(特許文献2〜6)。
図14は特許文献2に開示されている回折光学素子の要部断面図である。
特許文献2に開示されている回折光学素子は、3種類の異なる格子材料306〜308と2種類の異なる格子厚d1,d2より成る格子部とを最適に選び、複数の回折格子を等しいピッチ分布で密着配置している。
このような構成をとることによって、図15に示すように、設計次数において可視域全域にわたって高い回折効率を得ている。
図16は特許文献3に開示されている回折光学素子の要部断面図である。
特許文献3にて開示されている回折光学素子は、回折格子をそれぞれ含む素子部202,203を空気層210を介して互いに近接させた構造(以下、「積層型DOE」という)201より成っている。各回折格子を構成する材料の屈折率、分散特性(アッベ数νd)および各層の格子部の格子厚等を最適化することにより、図17に示すように、設計次数において可視領域全域にわたって高い回折効率を得ている。
また、特許文献4に開示されている回折光学素子は、回折格子の材料としてガラスモールド用材料を用いることで、簡素な構造でありながら、可視域全域にわたって高い回折効率を得ている。
ガラスモールド用材料には、樹脂材料には無い屈折率特性を持ち、回折光学素子の回折格子にガラスモールド用材料を用いると設計の自由度が増える利点がある。
また、ガラスモールド用材料は温度・湿度等の環境変化に強いという特徴もあるので、耐環境性に優れた回折光学素子が得られる。
ガラスは加熱して軟化した状態でも高い粘性を持っている。このため、ガラスモールド法のような成型型を用いて回折格子を作製する場合、型への充填性が悪いために、転写性が悪くなり、一般には鋸歯形状より成る格子部の先端部が丸くなる傾向がある。
格子部の先端が平面(直線)とならず丸くなるなどの形状変形が生じた場合は、所望の回折効率が得られずこれを光学系に用いるとフレア光が多く生じてくる。
これに対して特許文献5や特許文献6には、回折格子としてガラスモールド用材料を用いたときの回折格子パターン(凹凸パターン)を、段階的に成型することでパターンの転写性を向上させた技術を開示している。
SPIE Vol.1354 International Lens Design Conference(1990) 特開平4−213421号公報
特開平9−127322号公報
特開2000−98118号公報
特開2005−107299号公報
特開2004−151377号公報
特開2004−271583号公報
SPIE Vol.1354 International Lens Design Conference(1990)
回折格子の材料として、ガラスモールド用材料を用いると、簡素な構造でありながら、比較的高い回折効率を持った回折光学素子が容易に得られるという特長がある。
しかしながら、回折格子の材料としてガラスモールド用材料を用いて成型を行う方法は、型からの転写性が悪くなる。
特許文献5、6では、ガラスモールド用材料に対して、段階的に回折格子を成型することで転写性を向上させているがガラスモールド用材料を複数回成型すると、型の耐久性が悪くなり、生産性が下がってくる。
本発明は、型を用いて回折格子を製造するとき、回折格子の材料として、ガラスモールド用材料を用いても、適切なる形状の回折格子の格子部が得られ、広い波長域にわたり、高い回折効率が容易に得られる回折光学素子及びそれを有する光学系の提供を目的とする。
この他本発明は、回折格子の材料、及び格子部の形状を適切に設定することにより、回折効率が高く更に格子部の形状安定性に優れた回折光学素子及びそれを有する光学系の提供を目的とする。
本発明の回折光学素子は、回折格子と、
該回折格子を構成する格子部の先端部に、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成り、
位相変化を生ずる位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有することを特徴としている。
該回折格子を構成する格子部の先端部に、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成り、
位相変化を生ずる位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有することを特徴としている。
この他本発明の回折光学素子は、回折格子と、
該回折格子を構成する格子部の先端部に、該回折格子の成型において生じた該格子部の鋸歯形状からの変化を改善する、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有することを特徴としている。
該回折格子を構成する格子部の先端部に、該回折格子の成型において生じた該格子部の鋸歯形状からの変化を改善する、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有することを特徴としている。
本発明の回折光学素子の製造方法は、ガラスモールド用材料Gを加熱軟化させた後に、成型用型を押圧して鋸歯形状の格子部より成る回折格子を形成する工程と、
該回折格子の格子部の鋸歯形状からの変形による位相変化を補填するための該材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部を該回折格子の格子部の先端部に補償用型を用いて成型する工程とを用いて回折光学素子を製造することを特徴としている。
該回折格子の格子部の鋸歯形状からの変形による位相変化を補填するための該材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部を該回折格子の格子部の先端部に補償用型を用いて成型する工程とを用いて回折光学素子を製造することを特徴としている。
本発明によれば、回折格子の材料として、ガラスモールド用材料を用いても、適切なる形状の回折格子の格子部が得られ、広い波長域にわたり、高い回折効率が容易に得られる回折光学素子及びそれを有する光学系の提供を目的とする。
この他本発明は、回折格子の材料、及び格子部の形状を適切に設定することにより、回折効率が高く更に格子部の形状安定性に優れた回折光学素子が得られる。
本発明の回折光学素子は、回折格子の成型によって生じた格子部の先端、もしくは谷部の鋸歯形状からの変形を、格子部の形成材料Gとは異なる材料Aで補填した位相補償部を用いて格子部による光路長差を補正している。
この他、本発明の回折光学素子では回折格子の少なくとも一つ以上の格子部の先端部、もしくは谷部に格子部の設計値からの位相変化を伴う形状変形に対して格子部の先端部、もしくは谷部の上に、位相補償部を設けている。具体的には、格子部を形成する材料Gとは異なる材料Aからなり、格子部の設計値(鋸歯形状)からの変形による位相変化を補償する位相補償部を設けている。
図1(a)は、本発明の実施例1の回折光学素子の要部正面図である。図1(b)は
図1(a)の回折光学素子の要部側面図である。図2は、図1の回折光学素子をA−A’線で切断したときの断面形状の一部を拡大して示した説明図である。
図1(a)の回折光学素子の要部側面図である。図2は、図1の回折光学素子をA−A’線で切断したときの断面形状の一部を拡大して示した説明図である。
但し、図2の断面形状は格子部を格子深さ方向にかなりデフォルメされた図として示している。
回折光学素子1は、第1の素子部2と第2の素子部3とを有している。そして、それぞれの素子部2、3に形成された第1の回折格子8と第2の回折格子9とが回折光学面(格子面、回折面)8a、9aを挟んで互いに密着するように重ね合わせた構成となっている。
第1、第2の回折格子8、9の格子部8b、9bはいずれも設計値(理想形状)は鋸歯形状である。格子面8a、9aのうち格子部8b、9bの先端側(頂部、山部)は成型の際の形状変化により平面とならず丸みをおびた形状となっている。
図2に示すように、第1の素子部2は、第1の透明基板4と、格子ベース部6およびこの格子ベース部6に一体形成された第1の回折格子8からなる第1格子形成層と、回折格子8の格子部8bの先端部に設けられた位相補償部10を有している。
第1の回折格子8の格子部8bは、型による成型の際に設計形状の鋸歯形状から変形しており、その形状変形を補填するように格子部8bの頂部(山部)の一部に位相補償部10を積層させた構造となっている。
第2の素子部3も第1の素子部2と同様に、第2の透明基板5と、この第2の透明
基板5上に設けられた格子ベース部7およびこの格子ベース部7に一体形成された第2の
回折格子9からなる第2格子形成層とを有している。
基板5上に設けられた格子ベース部7およびこの格子ベース部7に一体形成された第2の
回折格子9からなる第2格子形成層とを有している。
そして第1の回折格子8の格子部8bの格子面8aと、第2の回折格子9の格子部9bの格子面9aとが密着接合して回折光学素子1を構成している。
このように本実施例の回折光学素子1は、回折格子と、回折格子を構成する格子部の先端部に、格子部の材料Gとは異なる材料Aより成り、位相変化を生ずる位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有している。
このときの位相補償部は、格子部の鋸歯形状からの変化による位相変化を補償する形状より成っている。
これら第1,第2の素子部2,3の全体で1つの回折光学素子1として作用する。
第1および第2の回折格子8,9は同心円状の格子形状からなり、径方向における格子部8b、9bの格子ピッチが変化することで、レンズ作用を有する。
本実施例において、回折光学素子1に入射させる光の波長領域、すなわち使用波長領域は可視領域(波長400nm〜700nm)である。第1および第2の回折格子8,9を構成する材料および格子部8b、9bの格子厚さは、可視領域全体で1次の回折光の回折効率を高くするように選択されている。
位相補償部10の材料は、第1の回折格子8を構成する材料の屈折率に近い材料を選択している。これにより格子部8bの鋸歯形状からの形状変形の影響を減少させており、形状変形の領域の大きさによって、位相補償部10を構成する材料の屈折率を適切に選択している。
次に、本実施例の回折光学素子1の回折効率について説明する。
図12に示す通常の単層型DOEにおいて、設計波長がλ0の場合に、ある次数の回折光の回折効率が最大となる条件を考える。
光束が回折格子303のベース面(図2では点線で示す面8c)304に対して垂直に入射する場合は、格子部301の山と谷の光学光路長差(つまりは、山と谷のそれぞれを通過する光線間における光路長差)が光束の波長の整数倍になることである。これを式で表わすと、
(n01−1)d=mλ0 ・・・(4)
となる。
(n01−1)d=mλ0 ・・・(4)
となる。
ここで、n01は波長λ0の光に対する回折格子(格子部301)303の材料の屈折率である。また、dは格子部301の格子厚、mは回折次数である。
上記(4)式は波長の項を含むため、同一次数では設計波長でしか等号は成り立たず、設計波長以外の波長では回折効率は最大値から低下してしまう。
また、任意の波長λでの回折効率η(λ)は、
η(λ)=sinc2〔π{M−(n1(λ)−1)d/λ}〕 ・・・(5)
で表すことができる。
η(λ)=sinc2〔π{M−(n1(λ)−1)d/λ}〕 ・・・(5)
で表すことができる。
上記(5)式において、Mは評価すべき回折光の次数、n1(λ)は波長λの光に対する回折格子の材料の屈折率である。また、
sinc2(x)は、={sin(x)/x}2
で表わされる関数である。
sinc2(x)は、={sin(x)/x}2
で表わされる関数である。
本実施例のように、2層以上の積層構造を持つ回折光学素子でも、回折効率に対する考え方の基本は同様である。
全層を通して1つの回折光学素子として作用させるためには、各層を構成する材料(空気等も含む)の境界に形成された回折格子の山と谷とでの光学光路長差を求める。そして、この光学光路長差を全回折格子にわたって加え合わせたものが波長の整数倍になるように格子形状その他の寸法を決定すれば良い。
従って、図1に示した回折光学素子1において、設計波長がλ0の場合に、回折次数mの回折光の回折効率が最大となる条件は、
±(n01−n02)d1=mλ0 ・・・(6)
となる。
±(n01−n02)d1=mλ0 ・・・(6)
となる。
ここで、上記(6)式において、n01は第1の素子部2における第1の回折格子8を形成する格子部8bの材料の波長λ0の光に対する屈折率である。n02は第2の素子部3における第2の回折格子9を形成する格子部9bの材料の波長λ0の光に対する屈折率である。また、d1は第1の回折格子8の格子部8b及び第2の回折格子9の格子部9bの格子厚である。
図2において、0次回折光から下向きに回折する光の回折次数を正の回折次数、0次回折光から上向きに回折する光の回折次数を負の回折次数とする。
上記(6)式での加減の符号は、図中上から下に格子厚が増加する格子形状を持つ回折格子の場合、正となる。
さらに、本実施例のように、第1の回折格子8が成型時の転写不良によって格子部8bの形状として所望の形状が得られなかった場合、その位相変化は形状変形部位の面積の割合に応じて大きくなる。
上記の回折格子において、補填する材料Aは格子部を形成する材料Gよりも成型時の粘性が低いことが望ましい。例えば格子部を形成する材料Gがガラスモールド成型用材料の場合は、補填材料Aに樹脂材料を含む材料を使用するとパターンの良好な転写性が得られる。
その際、格子部の形成材料Gと材料Aの代表波長(例えばd線)における屈折率差ΔNは、以下の条件式(1)を満足するように選択することが、高い回折効率を得る事が容易となる。
ΔN < 0.05 ・・・(1)
図18は格子部8bと位相補償部10の拡大説明図である。図18においてPは格子部8bの格子ピッチ、dは格子部8bの格子高さである。
図18は格子部8bと位相補償部10の拡大説明図である。図18においてPは格子部8bの格子ピッチ、dは格子部8bの格子高さである。
hとwは格子部8bの鋸歯形状からの形状変形部位の格子部の垂直方向の最大高さと幅である。
格子部の格子高さをd、格子ピッチをP、格子部の形状変形部位の格子部の垂直方向の最大高さと幅をそれぞれh、w、とする。このとき、以下の条件式を満たすのが良い。これによればさらに良好な回折特性を得ることができる。
(h/d)×(w/P)×ΔN < 1.0×10−3 ・・・(2)
その際、材料Aからなる層(回折格子)の格子部の垂直方向の最小厚さをdmin、d線の波長をλとするとき、以下の条件式(3)を満足すると、さらに良好な回折特性を得ることができる。
その際、材料Aからなる層(回折格子)の格子部の垂直方向の最小厚さをdmin、d線の波長をλとするとき、以下の条件式(3)を満足すると、さらに良好な回折特性を得ることができる。
dmin/λ < 12 ・・・(3)
つまり本実施例のような2層構造の場合、格子部8bによるその位相差は、下記の値に応じて大きくなる。
つまり本実施例のような2層構造の場合、格子部8bによるその位相差は、下記の値に応じて大きくなる。
(h/d)×(w/P)×(n01−n02) ・・・(7)
ここで、形状変形部位に、回折格子8の格子部8bを構成する材料の屈折率に近い材料を用いることで、式(7)は以下のようになる。
ここで、形状変形部位に、回折格子8の格子部8bを構成する材料の屈折率に近い材料を用いることで、式(7)は以下のようになる。
(h/d)×(w/P)×(n01−(n01+ΔN)) ・・・(7a)
これを変形すると、
(h/d)×(w/P)×(ΔN) ・・・(7b)
となり、格子部8bの位相差が小さくなり、回折効率の劣化を減少させることができる。
これを変形すると、
(h/d)×(w/P)×(ΔN) ・・・(7b)
となり、格子部8bの位相差が小さくなり、回折効率の劣化を減少させることができる。
図2に示した回折光学素子1において、第1の回折格子8に、スミタ光学ガラス(株)製ガラスモールド材料VC80(Nd=1.694、νd=53.1)を用いた。また、回折格子8の格子部8bの格子厚は7.65μm、回折ピッチは150μmである。
ここでガラスモールド材料とは屈状点温度が600℃以下のガラス材料である。
このとき、第1の回折格子8には、格子部8bに成型時における鋸歯形状からの変形が生じており、格子部8bの先端部(頂部)が丸みを帯びた形状となっている。その大きさは、半径5.5μm程度の円弧状になっている。
さらに、第1の回折格子8を成型する際に生じた格子部8bの形状変形を補填する位相補償部10の材料として、ポリビニルカルバゾール(Nd=1.696、νd=17.7)を用いた。
一方、第2の回折格子9には、プラスチック材料ポリカーボネイト(以下PC、Nd=1.58、νd=30.5、帝人化成)をベース材として、ITO微粒子を体積比率で13.5%混合した材料(Nd=1.617、νd=18.9)を用いた。
図3(a)には、この回折光学素子1の設計次数である1次での回折効率特性を示している。また、比較例として図3(b)に、本実施例のように位相補償部10を設けない場合の回折効率特性を示す。
これらの特性図、図3(a)、(b)からも分かるように、従来の格子部の形状変形の位相補償を行っていない回折光学素子の回折効率は、可視領域において全域で98%以下である。これに対し、本実施例においては、ほぼ全域で98%以上得られており、これに伴い不要次数のフレア光が発生しにくくなっている。
尚、各実施例において、更に好ましくは条件式(1)〜(3)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
ΔN < 0.045 ・・・(1a)
(h/d)×(w/P)×ΔN < 0.6×10−3 ・・・(2a)
dmin/λ < 10 ・・・(3a)
本実施例の回折光学素子は、回折格子と、回折格子を構成する格子部の先端部に、回折格子の成型において生じた格子部の鋸歯形状からの変化を改善する、格子部の材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有している。
(h/d)×(w/P)×ΔN < 0.6×10−3 ・・・(2a)
dmin/λ < 10 ・・・(3a)
本実施例の回折光学素子は、回折格子と、回折格子を構成する格子部の先端部に、回折格子の成型において生じた格子部の鋸歯形状からの変化を改善する、格子部の材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有している。
このような構成をとることにより、粘性が悪い材料を回折格子の格子材料に選択しながらも、十分使用可能な高い回折効率を実現し、かつ耐環境性に優れた回折光学素子を得ている。
次に本発明の実施例2の回折光学素子について説明する。
本発明の実施例2の回折光学素子は、実施例1と同様の素子構成より成っている。
本実施例は図2に示した回折光学素子1において、第1の回折格子8に、スミタ光学ガラス(株)製ガラスモールド材料K−FK5(Nd=1.488、νd=70.5)を用いた。また、第1の回折格子8の格子部8bの格子厚は9.3μm、回折ピッチは150μmである。
このとき、第1の回折格子8には、格子部8bに成型時における鋸歯形状からの形状変形が生じており、格子部8bの先端部が直線(平面)とならず丸みを帯びた形状となっている。その大きさは、半径7μm程度の円弧状になっている。
さらに、第1の回折格子8を成型する際に生じた格子部8bの形状変形を補填する材料として、ポリメタクリル酸メチル(以下PMMAと記述、Nd=1.492、νd=57.4)を用いた。
一方第2の回折格子9には、フッ素樹脂サイトップ(旭硝子製Nd=1.34、νd=94)をベース材として、ITO微粒子を体積比率で15.3%混合した材料(Nd=1.425、νd=17.8)を用いた。
図4には、この回折光学素子1の設計次数である1次での回折効率特性を示している。これらの特性図からも分かるように、可視領域全域において回折効率が99%以上得られており、これに伴い不要次数のフレア光が発生しにくくなっている。
次に本発明の実施例3の回折光学素子について説明する。
実施例1、2においては、格子材料の選択を、ガラスモールド用材料と樹脂材料としたが、本発明の回折光学素子の回折格子の材料はこれに限定されるものではない。
実施例3においては、密着した2層の回折格子の格子材料の選択を、両方ともガラスモールド用材料とし、かつ、両方の格子部に位相補償部を設けている。
ここでガラスモールド用材料とは、屈状点温度が600℃以下のガラス材料である。
図5は本発明の実施例の回折光学素子の断面図を示している。図5は実施例1と同様、図1の回折光学素子をA−A’線で切断したときと同様の断面形状の一部を拡大して示している。
本実施例の回折光学素子1は、第1の素子部2と第2の素子部3とを有している。そして素子部2、3に形成された第1の回折格子8と第2の回折格子9とが回折光学面(格子面)8a、9aを挟んで互いに密着するように重ね合わせた構成となっている。
図5に示すように、第1の素子部2は、第1の透明基板4と、格子ベース部6およびこの格子ベース部6に一体形成された第1の回折格子8からなる第1格子形成層と、回折格子8の格子部8bの先端部に設けられた位相補償部10を有している。
第1の回折格子8の格子部8bは、型による成型の際に設計形状の鋸歯形状より変形しており、その形状変形を補填するように格子部8bの頂部の一部に位相補償部10を積層させた構造となっている。
一方、第2の素子部3も第1の素子部2と同様である。即ち、第2の透明基板5と、この第2の透明基板5上に設けられた格子ベース部7およびこの格子ベース部7に一体形成された第2の回折格子9からなる第2格子形成層と、回折格子9の格子部9bの先端部に設けられた位相補償部11を有している。
尚、格子部9bの先端部は格子部8bの谷部に相当する。従って格子部8bの谷部を位相補償部11で補填した構成として取り扱うことができる。
第1の回折格子8の格子面8aと、第2の回折格子9の格子面9aとが密着接合されている。
これら第1,第2の素子部2,3の全体で1つの回折光学素子1として作用する。
図5に示した回折光学素子1において、第1の回折格子8の材料に、スミタ光学ガラス(株)製ガラスモールド材料VC80(Nd=1.694、νd=53.1)を用いた。また、第1の回折格子8の格子部8bの格子厚は16.55μm、回折ピッチは150μmである。
一方、第2の回折格子9の材料に、スミタ光学ガラス(株)製ガラスモールド材料K−PG395(Nd=1.658、νd=36.9)を用いた。
このとき、第1の回折格子8、第2の回折格子9の格子部8b、9bには、成型時における形状変形が生じており、格子部8b、9bの先端部が丸みを帯びた形状となっている。その大きさは、共に半径5μm程度の円弧状になっている。
さらに、第1の回折格子8、第2の回折格子9を成型する際に生じた格子部8b、9bの形状変形を補填する位相補償部10、11の材料として、紫外線硬化樹脂(Nd=1.650、νd=23.0)を用いた。
図6には、この回折光学素子1の設計次数である1次での回折効率特性を示している。これらの特性図からも分かるように、可視領域において回折効率がほぼ全域で96%以上得られており、これに伴い不要次数のフレア光が発生しにくくなっている。
また、実施例3においては、2つの格子材料を共にガラスモールド用材料とすることで、より環境変化に対する特性変化が少ない回折光学素子を実現している。
次に本発明の実施例4の回折光学素子について説明する。
実施例1〜3においては、位相補償部を、型成型による格子部の形状変化分と同一とした。本発明はこれに限定されるものではない。実施例4においては、位相補償部が厚みを持った形状より成り、これを回折光学素子の一部としている。
図7は本発明の実施例3の回折光学素子の断面図である。
実施例4の回折光学素子の構成は実施例1と同様に、第1の素子部2と第2の素子部3とを、それぞれの素子部2、3に形成された第1の回折格子8と第2の回折格子9とが回折光学面8a、9aを挟んで互いに密着するように重ね合わせた構成となっている。
また、図7に示すように、第1の素子部2は、第1の透明基板4と、格子ベース部6およびこの格子ベース部6に一体形成された第1の回折格子8からなる第1格子形成層と、回折格子8の格子部8bの先端部を含む周囲に設けられた位相補償部10からなる。
このとき、位相補償部10は格子部8bの格子厚方向にdmin(μm)の厚みが有り、かつ、径方向にt(μm)の厚みを有している。
本実施例においては、dminは3μm、tは2μmである。
一方、第2の素子部3は、第2の透明基板5と、この第2の透明基板5上に設けられた格子ベース部7およびこの格子ベース部7に一体形成された第2の回折格子9からなる第2格子形成層とを有している。
さらに第1の回折格子8の格子面8aと、第2の回折格子9の格子面9aとが密着接合されている。
本実施例のように位相補償部に厚みが生じている場合、格子部8bの格子厚方向の厚さdminは回折効率に対する敏感度は低い。但しdminが厚くなっていくと、第1の回折格子8と第2の回折格子9の間で得られる位相差がずれていくので、好ましくない。
この厚さdminは一般に使用する波長の10倍以内がよいとされており、可視領域においては、前述の(3)式と同様な以下の式を満たすことが好ましい。即ち
dmin/λ < 12 ・・・(8)
ここで、λ(μm)は使用する波長の代表波長であり、例えばd線の587.6μmである。
dmin/λ < 12 ・・・(8)
ここで、λ(μm)は使用する波長の代表波長であり、例えばd線の587.6μmである。
また、格子部8bの径方向の厚さtに関しては、回折効率に対する敏感度はdminに対して高く、極力少なくすることが望ましい。
このため格子ピッチをPとするとき、以下の式を満たすように構成すると良好な回折効率特性が得られる。
t/P < 0.03 ・・・(9)
である。
である。
次に実施例1〜4における条件式(1)〜(3)の対応値を以下の表1に示す。
実施例1〜4においては、2つの回折格子が互いに密着するように積層した構造のものを示したが、本発明の回折光学素子の構成はこれに限るものではない。
例えば、位相補償部を設けた回折格子を、空気層を介して他の回折格子と積層するような構造にしても同様の効果が得られる。
本発明の回折光学素子を作製する製法としては、例えば、次の各工程を用いている。
まず材料Gからなる格子部を成型用型を用いて作製する。そして、材料Gからなる格子部の先端部、もしくは谷部に形状変形が生じるような格子部を作製する工程を用いる。
次に、材料Gとは異なる材料Aを材料Gからなる格子部の上に成型し、格子部の形状変形を材料Aで補填する位相補償部を作製する工程とを用いる。これによって回折格子を作製することで、比較的簡易な製法で回折光学素子を作製している。
その際に、材料Gからなる格子部を成型する際の成型用型と、材料Aからなる材料を位相補償部を成型する際の型を同一としても良い。これによれば本発明の回折光学素子の生産性を高めることができる。
次に、本発明の回折光学素子を作製する、具体的な製法方法について説明する。ここでは、図7に示した実施例4の回折光学素子1の製法を例にとって説明する。
図8は本発明の回折光学素子に係る製造方法の概略図である。図8において、51は第1の回折格子8の表面の回折面8aを形成するための型(成型用型)、52は第1の回折格子8を形成する、ガラスモールド用材料、53は基板(透明基板)である。
54は格子部8bの先端の位相補償部10を形成するための補償用型、55は位相補償部10を形成するための光エネルギー硬化型樹脂である。56は紫外線である。57は位相補償部10と第1の回折格子8である。
58は第2の回折格子9を形成するための光エネルギー硬化型樹脂である。
60は硬化した第1、第2の樹脂52、58とガラス基板53が一体化した複合型の回折光学素子である。
先ず、ガラスモールド用材料52を加熱し軟化させた後、成型用型51を押し当てて第1の回折格子8を形成する(図8(a))。型51は表面に所望の回折条件を達成するため微細な鋸歯状の格子部が同心円状に形成されている。
作製された第1の回折格子8は、ガラスモールド用材料の高い粘性のため、格子部8bの先端部に丸みを帯びた形状変化を有している(図8(b))。
次に、作製した第1の回折格子8上に、格子部8bの先端部の鋸歯形状からの変化による位相変化を補償するための光エネルギー硬化型樹脂55を所要量滴下し、補償用型(成型用型)54を位置決めを行った後押し当てる(図8(c))。
この際に使用する補償用型54は、場合によっては図8(a)にて使用した成型用型51と同一のもの又は同一形状のものを使用することもできる。同一の型を用いると生産性の高い製造プロセスを得ることができる。
次に基板53側から紫外線56を照射することにより、樹脂55を硬化させる(図8(d))。
このとき、樹脂55からなる位相補償層10は格子部8bの格子厚方向に数μmの厚みを持っている。
このようにして格子部8bの先端形状の位相補償を行った第1の回折格子8と位相補償部10を有する素子部57を型から離型する。その後、素子部57上に、第2の回折格子を形成する光エネルギー硬化型樹脂58を所要量滴下し、基板53を押し当てて成型する(図8(f))。
その基板53上から紫外線56を照射することにより、樹脂58を硬化させる(図8(g))。
これによって第2の回折格子9を成型している。
そして、型成型時の格子部8bの鋸歯形状からの変形による位相変化を補償し、高い回折効率を持った回折光学素子60を作製している(図8(h))。
以上のように本実施例においては、ガラスモールド用材料Gを加熱軟化させた後に、成型用型を押圧して鋸歯形状の格子部より成る回折格子を形成する工程を用いる。
次に回折格子の格子部の鋸歯形状からの変形による位相変化を補填するための該材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部を該回折格子の格子部の先端部に補償用型を用いて成型する工程とを用いている。
このような各工程を用いることにより、広い波長域にわたり高い回折効率を有する回折光学素子を製造している。
図9は、本発明の回折光学素子を用いた、カメラ(スチルカメラやビデオカメラ等)の撮影(結像)用の光学系の要部断面図である。
図9において、101は屈折光学素子(例えば通常のレンズ素子)と回折光学素子を有する光学系(撮影レンズ)である。撮影レンズ101は内部に開口絞り102と前述した実施例のうちの1つの回折光学素子1を有する。
103は結像面に配置されたフィルム又はCCD等の撮影媒体である。回折光学素子1はレンズ機能を有する素子であり、撮影レンズ101中の屈折光学素子で発生する色収差を補正している。
そして、回折光学素子1は、各実施例にて説明したように、回折効率特性が従来のものに比べて大幅に改善されている。
このため、フレア光が少なく低周波数での解像力も高く、高い光学性能を有した光学系を実現している。
なお、本実施例では、開口絞り102の近傍に平板ガラス面に回折格子を設けた回折光学素子1を開示しているが、本発明はこれに限定するものではない。前述したように、回折光学素子1をレンズの凹面又は凸面上に回折格子を設けた構成としてもよい。さらに、撮影レンズ101内に回折光学素子1を複数個配置してもよい。
図10には、本発明の回折光学素子を用いた双眼鏡の光学系(観察光学系)の要部断面図である。
図10において、104は対物レンズ、105は倒立像を正立させるためのプリズム、106は接眼レンズ、107は評価面(瞳面)である。1は前述した実施例のうちの1つの回折光学素子であり、対物レンズ104の結像面103での色収差等を補正する目的で設けられている。
この観察光学系は、各実施例にて説明したように、回折効率特性が従来のものに比べて大幅に改善されている。このため、フレア光が少なく低周波数での解像力も高く、高い光学性能を有した光学系を実現している。
なお、本実施例では、平板ガラス面に回折格子を設けた回折光学素子1を開示した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。回折光学素子1をレンズの凹面又は凸面上に回折格子を設けた構成としてもよい。さらに、観察光学系内に回折光学素子1を複数個配置してもよい。
また、本実施例では、対物レンズ104に回折光学素子1を設けた場合を示したが、これに限らず、プリズム105の表面や接眼レンズ106内の位置に設けることもでき、この場合も先に説明したのと同様の効果が得られる。
但し、回折光学素子1を結像面103より物体側に設けることで対物レンズ104のみでの色収差低減効果があるため、肉眼の観察系の場合、少なくとも対物レンズ104に設けることが望ましい。
また、本実施例では、双眼鏡の観察光学系について説明したが、本発明の回折光学素子は、地上望遠鏡や天体観測用望遠鏡等の観察光学系にも適用することができる。さらにはレンズシャッターカメラやビデオカメラなどの光学式ファインダーにも適用することができる。これによっても先に説明したのと同様の効果が得られる。
図11は、本発明の回折光学素子を有した光学系を撮影光学系としてもちいたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
図11において、21は本発明の回折光学素子を有する光学系によって構成された撮影光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
23は撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダーである。
このように本発明の光学系をデジタルスチルカメラやビデオカメラ等の固体撮像素子を備える撮像装置(光学機器)に適用すると、フレアが少なく、十分な透明性を持ち、高い光学性能を有する撮像装置が得られる。
1 回折光学素子
2 第1の素子部
3 第2の素子部
4 第1の基板
5 第2の基板
6 第1の格子ベース部
7 第2の回折ベース部
8 第1の回折格子
9 第2の回折格子
10 第1の格子先端の位相補償部
11 第2の格子先端の位相補償部
101 撮影レンズ(光学系)
102 開口絞り
103 結像面
104 対物レンズ
105 プリズム
106 接眼レンズ
107 評価面(瞳面)
2 第1の素子部
3 第2の素子部
4 第1の基板
5 第2の基板
6 第1の格子ベース部
7 第2の回折ベース部
8 第1の回折格子
9 第2の回折格子
10 第1の格子先端の位相補償部
11 第2の格子先端の位相補償部
101 撮影レンズ(光学系)
102 開口絞り
103 結像面
104 対物レンズ
105 プリズム
106 接眼レンズ
107 評価面(瞳面)
Claims (14)
- 回折格子と、
該回折格子を構成する格子部の先端部に、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成り、
位相変化を生ずる位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有することを特徴とする回折光学素子。 - 前記位相補償部は、前記格子部の鋸歯形状からの変化による位相変化を補償する形状より成ることを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
- 回折格子と、
該回折格子を構成する格子部の先端部に、該回折格子の成型において生じた該格子部の鋸歯形状からの変化を改善する、該格子部の材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部が設けられている素子部を少なくとも1つ有することを特徴とする回折光学素子。 - 前記材料Gと前記材料Aのd線における屈折率差をΔNとするとき、
ΔN < 0.05
なる条件を満足することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の回折光学素子。 - 前記格子部の格子高さをd、格子ピッチをP、該格子部の鋸歯形状からの形状変形部位の格子部の垂直方向の最大高さと幅をそれぞれh、wとするとき、
(h/d)×(w/P)×ΔN < 1.0×10−3
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の回折光学素子。 - 前記材料Aからなる回折格子の格子部の垂直方向の最小厚さをdmin、d線の波長をλとするとき、
dmin/λ < 12
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の回折光学素子。 - 前記材料Aは、前記材料Gよりも成型時の粘性が低いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の回折光学素子。
- 前記材料Gは、ガラスモールド成型用材料からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の回折光学素子。
- 前記材料Aは、樹脂材料を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の回折光学素子。
- ガラスモールド用材料Gを加熱軟化させた後に、成型用型を押圧して鋸歯形状の格子部より成る回折格子を形成する工程と、
該回折格子の格子部の鋸歯形状からの変形による位相変化を補填するための該材料Gとは異なる材料Aより成る位相補償部を該回折格子の格子部の先端部に補償用型を用いて成型する工程とを用いて回折光学素子を製造することを特徴とする回折光学素子の製造方法。 - 前記成型用型と前記補償用型は同一又は同一形状であることを特徴とする請求項10に記載の回折光学素子の製造方法。
- 屈折光学素子と、請求項1から11のいずれかに記載の回折光学素子を有することを特徴とする光学系。
- 前記光学系は、固体撮像素子に像を形成することを特徴とする請求項12に記載の光学系。
- 請求項12又は13に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する固体撮像素子とを備えることを特徴とする光学機器。
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