JP2008242258A - 液晶表示装置 - Google Patents

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義明 久門
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Abstract

【課題】視野角特性が改善された新規な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一層の負の複屈折性層をからなる又は含むCプレートである第1の光学フィルム(14)、液晶セル(10)、及び少なくとも一層の正の複屈折性層からなる又は含む第2の光学フィルム(16)を有する液晶表示装置であって、前記第1の光学フィルムが、可視光域において、厚み方向のレターデーションRthが、順分散波長依存性を示すことを特徴とする液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関する。
VA(垂直)モードの液晶表示装置では、斜め方向のコントラスト比を高め、斜め方向のカラーシフト量を軽減することが課題となっている。特許文献1には、所定の式を満足し、ならびに、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加したシクロオレフィン系樹脂を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムを含む第1の光学素子と、実質的に光学的に負の一軸性を有する第2の光学素子とを有する液晶表示装置が提案され、その実施例では、VAモードの液晶表示装置を製造し、斜め方向のコントラスト比を高め、斜め方向のカラーシフト量を軽減するという効果を確認している。
特開2006−208925号公報
液晶表示装置の技術分野では、より性能を改善することが求められている。
本発明は、視野角特性が改善された(特に斜め方向のコントラスト比が高く、且つ斜め方向のカラーシフト量が軽減された)液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも一層の負の複屈折性層を含む又はからなるCプレートである第1の光学フィルム、液晶セル、及び少なくとも一層の正の複屈折性層を含む又はからなる第2の光学フィルムを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学フィルムが、可視光域において、厚み方向のレターデーションRthが、順分散波長依存性を示すことを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記第1の光学フィルムが、ポリイミド又は及び/又はポリエーテルケトンを含む複屈折層を有することを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] 前記第1の光学フィルムが、下記式(I)及び(II)を満足することを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置:
(I): −10nm ≦Re(550) ≦10nm
(II): 0nm ≦Rth(550) ≦200nm
ただし、上記式)中、Re(λ)は、波長λnmの光に対する面内レターデーション値であり、Rth(λ)は、波長λnmの光に対する厚さ方向のレターデーション値である。
[4] 前記第1の光学フィルムが、下記式(III)及び(IV)を満足することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置:
(III): −10nm ≦Re(630)−Re(450) ≦0nm
(IV): −40nm ≦Rth(630)−Rth(450) <0nm 。
[5] 前記第1の光学フィルムの最大吸収波長(λmax)が、260nm〜350nmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 前記第1の光学フィルムが、セルロースアシレートフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記第1の光学フィルムが、シクロオレフィンポリマーフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[8] 前記第1の光学フィルムが、ノルボルネン系ポリマーフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[9] 前記第1の光学フィルムが、ポリカーボネートフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[10] 前記第1の光学フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[11] 前記第1の光学フィルムが、下記式を満たすことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかの液晶表示装置:
(V): 0nm ≦Re(10%RH)−Re(80%RH) ≦10nm
(VI): 0nm ≦Rth(10%RH)−Rth(80%RH) ≦20nm
ただし、上記式(V)及び(VI)中、Re(α%RH)は、環境湿度25℃α%RH下で含水率が平衡状態に達した時の面内レターデーション値であり、Rth(α%RHλ)は、環境湿度25℃α%RH下で含水率が平衡状態に達した時の厚さ方向のレターデーション値である。
[12] 前記第2の光学フィルムが、Aプレート又は光学二軸性プレートであって、且つ可視光域において、面内レターデーションReが一定である、又は逆分散波長依存性を示すことを特徴とする[1]〜[11]のいずれかの液晶表示装置。
[13] 前記第2の光学フィルムが、下記式(VII)〜(X)の全てを満足することを特徴とする[12]の液晶表示装置:
(VII): 0nm ≦Re(550) ≦200nm
(VIII): 0nm ≦Rth(550) ≦150nm
(IX): 0nm ≦Re(630)−Re(450) ≦50nm
(X): 0nm ≦Rth(630)−Rth(450) ≦30nm 。
[14] 前記第2の光学フィルムが、シクロオレフィン系ポリマーフィルムを含む又はからなることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[15] 前記第2の光学フィルムが、変性ポリカーボネートフィルムを含む又はからなることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[16] 前記第2の光学フィルムが、セルロースアセテートフィルムを含む又はからなることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[17] VAモードであることを特徴とする[1]〜[16]のいずれかの液晶表示装置。
本発明は、視野角特性が改善された(特に斜め方向のコントラスト比が高く、且つ斜め方向のカラーシフト量が軽減された)液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008242258
式中、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚(μm)を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本明細書において、測定波長を特に付記しない場合は、波長550nmにおけるRe及びRthであるとする。
図1に本発明のVAモード液晶表示装置の一実施形態の断面模式図を示す。
図1に示すVAモードの液晶表示装置は、透過軸を直交にして配置された一対の偏光板12a、12bと、その間にVAモードの液晶セル10とを有する。さらに、液晶セル10と偏光板12aとの間には第1の光学フィルム14を、及び液晶セル10と偏光板12bとの間には第2の光学フィルム16をそれぞれ有する。第1の光学フィルム14は、少なくとも一層の負の複屈折性層を含む又はなるとともに、厚さ方向のレターデーションRthが、可視光域において、順分散波長依存性、即ち、短波長になるほど増加する性質、を有する。一方、第2の光学フィルム16は、少なくとも一層の正の複屈折性層を含む又はからなり、Aプレート又は光学二軸性の光学フィルムである。
第1の光学フィルム14は、いわゆるCプレートとして機能する光学フィルムである。VAモードの液晶セル10の光学補償の観点から、具体的には、下記式(I)及び(II)を満足しているのが好ましく、
(I): −10nm ≦Re(550) ≦10nm
(II): 0nm ≦Rth(550) ≦200nm
下記式(I)’及び(II)’を満足しているのがより好ましい。
(I)’:−5nm ≦Re(550) ≦5nm
(II)’:50nm ≦Rth(550) ≦200nm
また、第1の光学フィルム14が、環境湿度の影響によりその光学特性が変動してしまうと、環境によって表示特性を損なう場合もあるので、環境湿度の影響を受けないのが好ましい。実際に液晶表示装置が使用される環境と、目視にて認識可能な画質の変動などを考慮すると、具体的には、第1の光学フィルム14は、下記式(V)及び(VI)を満足しているのが好ましく、
(V): 0nm ≦Re(10%RH)−Re(80%RH) ≦10nm
(VI): 0nm ≦Rth(10%RH)−Rth(80%RH) ≦20nm
下記式(V)’及び(VI)’を満足しているのがより好ましい。
(V)’: 0nm ≦Re(10%RH)−Re(80%RH) ≦8nm
(VI)’: 0nm ≦Rth(10%RH)−Rth(80%RH) ≦15nm
ただし、上記式中、Re(α%RH)は、環境湿度25℃α%RH下で含水率が平衡状態に達した時の面内レターデーション値であり、Rth(α%RHλ)は、環境湿度25℃α%RH下で含水率が平衡状態に達した時の厚さ方向のレターデーション値である。
さらに、本実施形態では、第1の光学フィルム14が、Rthが順分散波長依存性を示すことによって、より斜め方向におけるカラーシフトの軽減が達成されている。具体的には、下記式(IV)を満足するのが好ましく、
(IV): −40nm ≦Rth(630)−Rth(450) <0nm、
下記式(IV)’を満足するのがより好ましい。
(IV)’: −30nm ≦Rth(630)−Rth(450) ≦−5 nm
また、第1の光学フィルム14のReについては、本発明の効果を奏する限り、順分散波長依存性であっても逆分散波長依存性であっても、及び波長依存性がなく同一であってもよいが、一般的には、Rthが順分散波長依存性を示す光学フィルムを作製すれば、Reの波長依存性も同様に順分散性になる。第1及び第2の光学フィルム14、16による光学補償を損なわないという観点から、第1の光学フィルム14のReは、下記式(III)を満足しているのが好ましく、
(III): −10nm ≦Re(630)−Re(450) ≦0nm
下記式(III)’を満足しているのがより好ましい。
(III)’: −5nm ≦Re(630)−Re(450) ≦0nm
第1の光学フィルム14は、図2に示す通り、2層の積層体であってもよい。一例としては、複屈折性のポリマーフィルム14bと、塗布法によって形成された負の複屈折性層14aとの積層体が挙げられる。かかる構成とすると、第1の光学フィルムに要求される上記光学特性を満足する光学フィルムを、簡易な方法で製造できるので好ましい。また、複屈折性ポリマーフィルム14bとして低透湿のポリマーフィルムを用いることで、要求される光学特性を満足しつつ、環境湿度の影響による光学特性の変動がない、又は軽減された光学フィルムを製造することができ、負の複屈折性層14aの材料の選択の幅が広がる等、製造上有利である。
一方、第2の光学フィルム16は、Aプレート又は光学二軸性プレートである。VAモードの液晶セル10の光学補償の観点から、具体的には、下記式(VII)及び(VIII)を満足しているのが好ましく、
(VII): 0nm ≦Re(550) ≦200nm
(VIII): 0nm ≦Rth(550) ≦150nm
下記式(VII)’及び(VIII)’を満足しているのがより好ましい。
(VII)’:50nm ≦Re(550) ≦180nm
(VIII)’:25nm ≦Rth(550) ≦100nm
さらに、斜め方向のカラーシフトをより軽減するという観点からは、第2の光学フィルム16は、斜め方向のカラーシフトをより軽減するためには、面内レターデーションReが、可視光域において、逆分散波長分散性、即ち、長波長になるほど増加する性質、を有するか、又は波長依存性を示さず一定であるのが好ましく、逆分散波長依存性を示すのがより好ましい。具体的には、下記式(IX)を満足しているのが好ましく、
(IX): 0nm ≦Re(630)−Re(450) ≦50nm
下記式(IX)’を満足しているのがより好ましく、
(IX)’: 10nm ≦Re(630)−Re(450) ≦50nm
下記式(IX)”を満足しているのがさらに好ましい。
(IX)”: 10nm ≦Re(630)−Re(450) ≦40nm
また、第2の光学フィルム16のRthについては、本発明の効果を奏する限り、順分散波長依存性であっても逆分散波長依存性であっても、及び波長依存性がなく同一であってもよいが、一般的には、Reが逆分散波長依存性を示す光学フィルムを作製すれば、Rthの波長依存性も同様に逆分散性になる。第1及び第2の光学フィルム14、16による光学補償を損なわないという観点から、第2の光学フィルム16のRthは、下記式(X)を満足しているのが好ましく、
(X): 0nm ≦Rth(630)−Rth(450) ≦30nm
下記式(X)’を満足しているのがより好ましい。
(X)’: 10nm ≦Rth(630)−Rth(450) ≦30nm
なお、図1中では、第1及び第2の光学フィルムと偏光板とを別々の部材として示したが、第1及び第2の光学フィルムは、偏光板の一部材であってもよく、例えば、偏光膜の表面に貼り合わされた保護フィルムであってもよい。
また、図1中、バックライトは偏光板12a及び12bのいずれの外側に配置されていてもよい。
以下、本発明の液晶表示装置に用いられる第1及び第2の光学フィルムの材料の例、及びその製造方法の例について、詳細に説明する。
[第1の光学フィルム]
本発明の液晶表示装置は、Cプレートである第1の光学フィルムを有する。第1の光学フィルムは、少なくとも一層の負の複屈折層からなるか、又は少なくとも一層の負の複屈折層を含む。前記第1の光学フィルムは、ポリマーフィルムと、少なくとも一層の負の複屈折層との積層体であるのが好ましく、前記負の複屈折層が、ポリマーフィルム又はその上に形成された層の表面に、負の複屈折性を発現する組成物の塗布液を塗布して形成された層であるのが好ましい。負の複屈折性を発現し得る組成物としては、下記のポリマー組成物及び液晶組成物が挙げられる。
・ポリマー組成物
負の複屈折層は、ポリマー組成物から形成することができる。該ポリマー組成物は、ポリイミド及び/又はポリエーテルケトンを含んでいるのが好ましく、主成分(固形分全質量の50質量%以上)含んでいるのが好ましい。
負の複屈折層を形成可能なポリイミドとしては、特許第3813631号公報に記載の各ポリマーの例が含まれる。具体的には、以下のポリマーが利用可能である。
ポリイミドとしては、例えば、下記構造式(1)で表される繰り返し単位を含むポリイミドが挙げられる。
Figure 2008242258
上記構造式(1)中、R1〜R4は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子もしくはC1-10アルキル基で置換されたフェニル基またはC1-10アルキル基である。
上記構造式(1)で表される繰り返し単位の中でも、前記R1およびR3がメチル基であり、前記R2およびR4が水素である場合が好ましく、具体的には、下記構造式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2008242258
その他のポリイミドとしては、例えば、特表2000-511296号公報に開示された、9,9-ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記構造式(3)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
Figure 2008242258
上記構造式(3)中、R5〜R8は、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1-10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1-10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R5〜R8は、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1-10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1-10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
上記構造式(3)中、Zは、例えば、C6-20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記構造式(4)で表される基である。
Figure 2008242258
上記構造式(4)中、Z'は、例えば、共有結合、C(R7)2基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C25)2基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1〜10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素またはC(R93である。R8は、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC6-20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基が挙げられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C1-10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基が挙げられる。
その他のポリイミドとしては、例えば、特表平8-511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記構造式(5)または(6)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記構造式(7)で示されるポリイミド等が挙げられる。なお、下記構造式(7)のポリイミドは、下記構造式(5)のホモポリマーの好ましい形態である。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
上記構造式(5)〜(7)中、GおよびG'は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH3)2基、C(CF3)2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH3)2基、および、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
前記構造式(5)および(7)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、およびC1-3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基が挙げられる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。dは、0〜2までの整数であり、eは、0〜3までの整数である。
前記構造式(5)〜(7)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基が挙げられる。fは、0〜4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0〜3および1〜3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
前記構造式(6)中、R10およびR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。その中でも、R10およびR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
前記構造式(7)中、M1およびM2は、同一であるかまたは異なり、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、C1-3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1-3アルキル基、およびC1-3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基が挙げられる。
前記構造式(5)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記一般式(8)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2008242258
その他のポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーが挙げられる。
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2'-置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6-ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6-ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6-ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6-ジクロロピロメリト酸二無水物等が挙げられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7-ナフタレン-テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレン-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロ-ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピリジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。前記2,2'-置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2'-ジブロモ-4,4',5,5'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'-ジクロロ-4,4',5,5'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4',5,5'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6-トリフルオロ-3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-2,2-ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-[4,4'-イソプロピリデン-ジ(p-フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N-(3,4-ジカルボキシフェニル)-N-メチルアミン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2'-置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2'-ビス(トリハロメチル)-4,4',5,5'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4',5,5'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンが挙げられる。
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o-、m-およびp-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノ-2-メトキシベンゼン、1,4-ジアミノ-2-フェニルベンゼンおよび1,3-ジアミノ-4-クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等が挙げられる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2'-ジアミノベンゾフェノン、および3,3'-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8-ジアミノナフタレン、および1,5-ジアミノナフタレン等が挙げられる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリジン、および2,4-ジアミノ-S-トリアジン等が挙げられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-(9-フルオレニリデン)-ジアニリン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,2'-ジクロロ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
負の複屈折層を形成可能なポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記一般式(9)で表されるポリアリールエーテルケトンが挙げられる。
Figure 2008242258
上記一般式(9)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C1-6の直鎖または分岐鎖を有する低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC1-4の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、および、tert-ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物が挙げられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C1-6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC1-4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、および、tert-ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物が挙げられる。
上記一般式(9)中、qは、0〜4までの整数である。上記一般式(9)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
また、上記一般式(9)中、R12は、下記構造式(10)で表される基であり、mは、0または1の整数である。
Figure 2008242258
上記構造式(10)中、X'は置換基を表し、例えば、上記一般式(9)におけるXと同様である。上記構造式(10)において、X'が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。q'は、前記X'の置換数を表し、0〜4までの整数であって、q'=0が好ましい。また、pは、0または1の整数である。
上記構造式(10)中、R13は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o-、m-もしくはp-フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o-、m-もしくはp-テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等が挙げられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R13としては、下記構造式(11)〜(17)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
Figure 2008242258
上記一般式(9)中、前記R12としては、下記構造式(18)で表される基が好ましく、下記構造式(18)において、R13およびpは上記構造式(10)と同義である。
Figure 2008242258
さらに、上記一般式(9)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
さらに、上記一般式(9)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p-テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(19)で表すことができる。なお、下記式において、nは上記一般式(9)と同様の重合度を表す。
Figure 2008242258
上記一般式(9)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記一般式(20)〜(23)で表されるもの等があげられ、下記各式において、nは、上記一般式(9)と同様の重合度を表す。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
前記ポリマー材料の分子量は、特に制限されないが、その重量平均分子量が、例えば、1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは、2,000〜500,000の範囲である。重量平均分子量が、これらの範囲内であれば、十分な強度が得られ、フィルム化した場合に、伸縮、歪み等によるクラックが生じにくく、またゲル化することなく、溶剤に対する良好な溶解性が得られる。
・ 液晶組成物
負の複屈折性層は、液晶組成物から形成することもできる。液晶には多様な配向形態があるので、液晶の配向を制御し、その配向状態に固定して形成した層は、複屈折性を示す。液晶組成物としては、分子の形状が円盤状であるディスコティック液晶化合物を少なくとも含有するディスコティック液晶組成物、又はコレステリック液晶組成物を用いるのが好ましい。該組成物中に含有される液晶は、低分子液晶であっても、高分子液晶であってもよい。
前記負の複屈折層の形成に用いる液晶材料として、例えば、低分子液晶性化合物を用いる場合は、重合性の円盤状液晶性化合物が好ましく、該円盤状液晶性化合物をホメトロピック配向させて形成するのが好ましい。ホメオトロピック配向では、円盤状液晶性化合物の分子を、層面に対して実質的に水平にして配向させる。ここで、実質的に水平とは、円盤状液晶性化合物の分子の円盤面と、層面との平均角度(平均傾斜角)が0°〜10°の範囲内であることを意味する。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第一0章第二節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されているものを広く採用することができる。円盤状液晶性化合物の重合については、例えば、特開平8−27284号公報に記載の方法を採用できる。
前記負の複屈折層の形成に用いるコレステリック液晶組成物として、コレステリック液晶を含有する組成物を用いることができるのは勿論のこと、液晶組成物全体としてコレステリック液晶状態となり得るものであれば、含有される液晶自体がコレステリック液晶である必要はない。例えば、ネマチック液晶とともに光学活性化合物を含有する液晶組成物、及び不斉炭素原子を導入したネマチック液晶を含有する液晶組成物等も、コレステリック液晶状態となり得るものであれば、負の複屈折層の形成に用いることができる。本発明に使用可能なコレステリック液晶組成物の例には、重合性液晶モノマーを含有し、三次元架橋可能なカイラルネマチック(コレステリック)液晶組成物を利用するのが好ましく、特に、反射波長が紫外線領域にあるツイスト配向カイラルネマチック(コレステリック)液晶層を形成可能な液晶組成物を利用するのが好ましい。例えば、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報で開示されているような液晶性モノマーとキラル化合物の混合物を利用することができる。
前記液晶組成物は、硬化性の組成物であるのが好ましく、重合反応により硬化して層となるために、重合性成分を含有しているのが好ましい。液晶化合物そのものが重合性であっても、別途重合性モノマーを添加してもよいが、液晶化合物そのものが重合性であるのが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物は、所望により、重合開始剤、配向制御剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。前記負の複屈折層は、硬化性液晶組成物を塗布液として調製し、ポリマーフィルム等からなる支持体の表面又は配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物の分子、好ましくは円盤状分子、を所望の配向状態にした後、光照射及び/又は加熱により、重合を開始させて、かかる配向状態に分子を固定して形成することができる。
前記負の複屈折層は、ポリマー組成物又は液晶組成物を、塗布液として調製し、該塗布液を、ポリマーフィルムの表面もしくはポリマーフィルムの表面に形成した配向膜の表面に塗布し、乾燥することで形成することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記負の複屈折層の形成に利用される塗布方法について特に制限されず、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)を利用できる。中でも、ワイヤーバーコーティング法を利用して塗布するのが好ましい。また、前記負の複屈折層の形成にはダイコーティング法も好ましく用いられ、特に、スライドコーター又はスロットダイコーターを利用した塗布方法も好ましく用いることができる。
上記ポリマー組成物及び液晶組成物から塗布法によって形成された複屈折層の中には、用いられる材料が、可視光域に近い波長に最大吸収があるため、若干着色する場合がある。特に、ポリイミド及びポリエーテルケトンは、可視光域に近い波長に最大吸収波長(λmax)があるので、材料を選択する際は、最大吸収波長(λmax)の位置を考慮するのが好ましい。光学フィルムが画質に影響する着色となってしまうのを避けるためには、第1の光学フィルム全体として、350nmを超える範囲にλmaxがないのが好ましい。一方、260nm未満の範囲に吸収極大がある場合も、目標の光学性能、特にRthを満たすためにはポリイミド層の膜厚を厚くする必要があり、他の弊害を招きやすく、コスト面で不利になる。かかる観点から、第1の光学フィルムの紫外から可視光波長域におけるλmaxは、260nm〜350nmであるのが好ましく、300nm〜350nmであるのがより好ましい。ポリイミド及びポリエーテルケトンは、上記範囲近傍に吸収極大があるので、第1の光学フィルムの製造には、前記範囲にλmaxを有するポリイミド及びポリエーテルケトンから選択したポリマーを用いるのが好ましい。
前記負の複屈折層の厚みについては特に制限はないが、液晶表示装置の薄型化を図ることができ、且つ複屈折性が均一になることから、層厚は、1.0〜3.5μmであるのが好ましく、1.0〜3.0μmであるのがより好ましい。
本発明では、前記第1の光学フィルムは、前記負の複屈折層を支持するポリマーフィルムを有しているのが好ましい。該ポリマーフィルムは、自己支持性があり、前記負の複屈折層との積層体が、Cプレートとしての光学特性を満足し、且つRthが可視光域において順分散波長依存性を示していれば、特に材料については制限されるものではない。中でも、セルロースアシレートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(好ましくはノルボルネン系ポリマーフィルム)、ポリカーボネートフィルム、及びポリエチレンテレフタレートフィルムから選択されるのが好ましい。以下、それぞれのポリマーフィルムの好ましい例を説明する。
・セルロースアシレートフィルム
セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート類を主原料(全固形分中に占める割合が50質量%以上)とする組成物からなるフィルムである。また、セルロースアシレートとは、セルロースの脂肪酸エステルのことである。特にセルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)、又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。
セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロースなどが挙げられる。
また、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
前記セルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(1)及び(2)を満足するものが、溶解性の点で好ましい。
ここで、下記式(1)において、「SA’」は、セルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度を表し、下記式(2)において、「SB’」は、セルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。
なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。SBは炭素原子数3〜6のアシル基が特に好ましい。
(式1): 2.3≦SA’+SB’≦3.0
(式2): 0≦SA’≦3.0
また、一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は、全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて同程度、若しくは、多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下のアシル基で置換されていることが好ましく、31%以上のアシル基で置換されていることがさらに好ましく、32%以上のアシル基で置換されていることが特に好ましい。また、6位の水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。なお、各位置の置換度の測定は、NMR法などによって求めることができる。
前記セルロースアシレートは、アセチル基置換度が2.0〜3.0のセルローストリアセテート、または、全アシル基置換度が2.0〜2.7、アセチル基置換度が1.0〜2.0、プロピオニル基置換度が0.5〜1.5のセルロースアセテートプロピオネートの何れかがが好ましい。
また、セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、前記セルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される多分散性指数(Mw/Mn)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。なお、Mwは質量平均分子量を示し、Mnは数平均分子量を示す。
具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.7であることがよりさらに好ましい。
上記した通り、前記第1の光学フィルムは、環境湿度の変化に対するRe、Rthの変動が低減されているのが好ましく、具体的には、上記式(V)及び(VI)を満足しているのが好ましい。かかる性質のセルロースアシレートフィルムを製造するためには、組成物中に、一分子中に少なくとも複数の水酸基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、から選ばれる官能基を有する添加剤を添加するのが好ましい。該添加剤は、一分子内に複数の異なる官能基を有することがより好ましく、水酸基とカルボン酸基を有することが特に好ましい。また、母核として1〜2個の芳香族環を含有することが好ましく、一分子中に含有する前記の官能基の数を添加剤の分子量で割った値を1000倍した値が10以上が好ましい。これらの特徴は、セルロースアシレートと水分子とが相互作用(水素結合)する部位に上記特定の添加剤が結合(水素結合)し、水分子の脱着による電荷分布の変化を抑制するように作用するためと推定されるが、詳細は不明である。
前記機能を有する添加剤の例には、下記化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
セルロースアシレートフィルムの製造工程において、比較的高温(120℃〜140℃程度)で長時間(数分〜60分程度)加熱する工程を含む場合があり、その際には添加剤が揮散してしまうと工程を汚染してしまう。そのような場合には、2個の芳香族環を含有することで分子量を大きくすることができ、揮散性が改良され、好ましい。また、1個の芳香族環に1個以下の水酸機を含有し、1個の芳香族環に3個以下のカルボン酸基を含有し、水酸基とカルボン酸基の合計が2個〜6個とすることで、湿度変化に対するRe、Rthの変動低減効果が確保され、好ましい。
また、2個の芳香族環の連結の態様としては、下記の一般式(10)〜(16)の構造が好ましい。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
式中、R1〜R6はそれぞれ、水素原子、芳香族環を除くアルキル基、水酸基、アミノ基、チオール基、又はカルボン酸基の何れかを表す。
更に、前記添加物の分子量は、180〜500であることが好ましい。前記範囲であると、製造工程において添加剤が揮散し難くなり、またセルロースアシレートとの相溶性も良好であるので好ましい。
具体的な化合物の例には、下記の化合物が含まれるが、これらに限定するものではない。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
前記セルロースアシレートフィルムは、その他、溶液の紫外線吸収スペクトルの吸収極大を与える波長(λmax)が400nmより短波長にある紫外線を吸収する化合物をレターデーション調整剤として含有していてもよい。可塑剤を含有していてもよい。該化合物によって、セルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整することで、負の複屈折層との積層体全体として、第1の光学フィルムに要求される光学特性を満足するように調整することができる。
このような化合物の例としては、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
また、少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物、トリフェニレン化合物、円盤状化合物(1,3,5−トリアジン骨格、ポルフィリン骨格を分子に含有の化合物等)等が好ましい。前記芳香族化合物としては、特開2002−363343号公報の段落番号[0011]〜[0031]に記載されたものと、実質的に同一の、直線的な分子構造を有する棒状化合物、特開2000−111914号公報の段落番号[0011]〜[0085]に記載されたものと、実質的に同一の、立体障害しない立体配座となっている2つの芳香族環を含有する化合物、少なくとも1つの芳香族環を置換基として含有する1,3,5−トリアジン化合物、及び、特開2001−166144号公報に記載された、ポルフィリン骨格を有する化合物が挙げられる。
特に、少なくとも一つの芳香族環を置換基として含有する1,3,5−トリアジン化合物が好ましい。この場合、該トリアジン環がもう一つの芳香環となる。
具体的には、特開2001−166144号公報の段落番号[0016]に記載の一般式(I)記載の1,3,5−トリアジン化合物が挙げられる。
前記芳香族化合物の含有量は、所望のレターデーションに調整するためにレターデーション調整剤用化合物の種類及び使用量を選択して用いる。
また、セルロースアシレートフィルム作製用の組成物中での溶解性、製膜時での不溶化や析出等の問題を生じさせないことから、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜25質量部の範囲で使用することがより好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムは、フィルムとしての機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、従来公知の可塑剤を含有していてもよい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル類、カルボン酸エステル類等が挙げられ、例えば、発明協会公開技報公技番号公技01−1745号のp.16に記載の化合物等が挙げられる。 なお、前記カルボン酸エステル類を構成するカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸、オキシカルボン酸(クエン酸、リンゴ酸等)、芳香族カルボン酸(フタル酸等)等が挙げられる。また、前記可塑剤に適用する他の化合物としては、特開平11−124445号公報、及び特開2001−247717号公報に記載された、アルカンポリオールとカルボン酸とのエステル化化合物も好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。
また、上記特定の添加剤との併用によって添加剤の効果を低減させてしまう場合には、可塑剤の添加量を低減することで調整することが好ましい。上記特定の添加剤が可塑剤の機能を有する場合も多く、必ずしも上記特定の添加剤と別に可塑剤を添加する必要はない。
フィルムのカール抑制、搬送性、或は耐傷性を良好に保持するために、セルロースアシレート組成物に微粒子を添加するのが好ましい。添加する微粒子は、前述の機能を呈する素材であれば特に限定はなく、微粒子のモース硬度が2〜10であるものが好ましい。微粒子として無機化合物、有機化合物のいずれを用いてもよく、好ましい具体例として、無機化合物の微粒子としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びリン酸カルシウム等が好ましく、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムがさらに好ましく、透明支持体の濁度を低減できるので二酸化ケイ素が特に好ましい。
また、添加する無機化合物の微粒子として、表面処理された無機微粒子を採用することも、セルロースアシレート中への分散性が良好となり好ましい。
前記無機化合物の微粒子の表面処理の方法としては、例えば、特開昭54−57562号公報に記載の方法が挙げられる。また、前記無機化合物の微粒子としては、例えば、特開2001−151936号公報に記載の無機化合物の微粒子が挙げられる。
有機化合物の微粒子としては、例えば、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。さらに、シリコーン樹脂の中でも、特に、三次元の網状構造を有するシリコーン樹脂が好ましい。
以上の微粒子の1次平均粒子径(以下、粒径とも称する)としては、0.001〜1μmが好ましく、0.005〜0.4μmがより好ましく、0.005〜0.1μmが特に好ましい。これらの範囲であれば、フィルムとしての機械的な物性を損なうことなく、ヘイズを低く抑え、かつ製膜後のフィルム表面の凹凸を小さくすることができる。
セルロースアシレートに対する微粒子の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対して、微粒子は0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部がさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムには、さらに、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
前記セルロースアシレートフィルムの製造方法については特に制限されないは、ソルベントキャスト法により製造するのが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、 米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等に記載の例を参考にすることができる。
また、ソルベントキャスト法にて製造したセルロースアシレートフィルムに、延伸処理を施した後、前記第1の光学フィルムの作製に用いてもよい。延伸処理の条件については特に制限されず、一軸縦・横延伸、二軸延伸等、いずれの条件で行なってもよい。
一軸延伸であっても
上記セルロースアシレートフィルムは、市販のポリマーフィルムをそのまま用いることもできる。また、市販のポリマーフィルムに延伸処理/または緩和処理などの2次加工を施してから用いてもよい。第1の光学フィルムの製造に利用可能な、セルロースアシレートを主成分とする市販のポリマーフィルムの例としては、富士フイルム社製商品名「TAC−TD80U」などが挙げられる。
・シクロオレフィン系ポリマーフィルム
シクロオレフィン系ポリマーフィルムは、シクロオレフィン系ポリマー類を主原料(全固形分中に占める割合が50質量%以上)とする組成物からなるフィルムである。前記シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加したシクロオレフィン系ポリマーであるのが好ましい。具体的には、特開2006−208925号公報の[0069]〜[0074]に記載のシクロオレフィン系ポリマー等が好ましいが、これに限定されるものではない。
シクロオレフィン系ポリマーフィルムは、いずれの方法で製造されてもよい。例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、およびソルベントキャスティング法等から適宜、適切なものが選択され得る。成形方法については、特開2006−208925号公報の[0075]〜[0077]の記載を参考にすることができる。
上記シクロオレフィン系ポリマーを主成分とするポリマーフィルムには、任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤の具体例としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、および増粘剤等が挙げられる。使用される添加剤の種類および量は、目的に応じて適宜設定され得る。例えば、上記添加剤の含有量は、ポリマーフィルムの全固形分100に対して、好ましくは10(重量比)〜0.01(重量比)であり、さらに好ましくは8(重量比)〜0.05(重量比)であり、最も好ましくは5(重量比)〜0.1(重量比)である。
上記シクロオレフィン系ポリマーを主成分とするポリマーフィルムは、市販のポリマーフィルムをそのまま用いることもできる。また、市販のポリマーフィルムに延伸処理/または緩和処理などの2次加工を施してから用いてもよい。第1の光学フィルムの製造に利用可能な、シクロオレフィン系ポリマーを主成分とする市販のポリマーフィルムの例としては、日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオネックスシリーズ」(480、480R等)、同社製 商品名「ゼオノアシリーズ」(ZF14、ZF16等)、JSR(株)製 商品名「アートンシリーズ」(ARTON G、ARTON F等)などが挙げられる。
前記シクロオレフィン系ポリマーを主成分とするポリマーフィルムの両面に収縮性フィルムを貼り合せて、ロール延伸機にて縦一軸延伸法で、加熱延伸を施したフィルムを用いてもよい。当該収縮性フィルムは、加熱延伸時に延伸方向と直交する方向の収縮力を付与し、厚み方向の屈折率(nz)を高めるために用いられる。上記ポリマーフィルムの両面に収縮性フィルムを貼り合せる方法としては、特に制限はないが、上記ポリマーフィルムと上記収縮性フィルムとの間に、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤層を設けて接着する方法が、作業性、経済性に優れる点から好ましい。
・ポリカーボネートフィルム
ポリカーボネートフィルムは、ポリカーボネート類を主成分として含有する(固形分全質量中50質量%以上)組成物からなるポリマーフィルムである。フィルの製造に使用可能なポリカーボネートの例には、「パンライトC1400」(帝人化成製)がある。
上記ポリカーボネートフィルムは、延伸処理を施した後、前記第1の光学フィルムの作製に用いることができる。ポリカーボネートフィルムフィルムに施す延伸処理としては、二軸延伸処理が好ましい。
上記ポリカーボネートフィルムは、市販のポリマーフィルムをそのまま用いることもできる。また、市販のポリマーフィルムに延伸処理/または緩和処理などの2次加工を施してから用いてもよい。第1の光学フィルムの製造に利用可能な、ポリカーボネートを主成分とする市販のポリマーフィルムの例としては、「パンライトC1400」(帝人化成製)などが挙げられる。
・ポリエチレンテレフタレートフィルム
ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレート類を主成分として含有する(固形分全質量中50質量%以上)組成物からなるポリマーフィルムである。フィルの製造に使用可能なポリエチレンテレフタレートの例には、
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、延伸処理を施した後、前記第1の光学フィルムの作製に用いることができる。ポリエチレンテレフタレートフィルムに施す延伸処理としては、二軸延伸処理が好ましい。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、市販のポリマーフィルムをそのまま用いることもできる。また、市販のポリマーフィルムに延伸処理/または緩和処理などの2次加工を施してから用いてもよい。第1の光学フィルムの製造に利用可能な、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする市販のポリマーフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製 商品名「S−27E」などが挙げられる。
前記第1の光学フィルムの製造に用いられる種々のポリマーフィルムの厚みは、特に制限されないが、一般的には、40〜120μmであるのが好ましく、60〜100μmであるのがより好ましい。
また、負の複屈折層とポリマーフィルムとの積層体として、前記第1の光学フィルムの厚みは、42〜130μmであるのが好ましく、62〜110μmであるのがより好ましい。
前記第1の光学フィルムは、前記種々のポリマーフィルムから一種のポリマーフィルムを選択し、その表面に、負の複屈折性を発現し得る前記ポリマー組成物又は前記液晶組成物を塗布して、塗膜を乾燥し、負の複屈折層を形成することにより製造してもよい。前記負の複屈折層の形成に液晶組成物を用いる場合は、所望の配向状態を固定するために、液晶組成物を重合させて硬化させるのが好ましく、紫外線を照射して光重合により硬化させるのがより好ましい。また、前記負の複屈折層を液晶組成物により形成する場合は、所望の配向状態を得るために配向膜を利用するのが好ましい。配向膜は、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールから形成するのが好ましい。配向膜は、前記ポリマーフィルムの表面に、ポリビニルアルコール等の配向膜用ポリマーを含む塗布液を塗布して、乾燥することで形成することができる。
[第2の光学フィルム]
第2の光学フィルムは、正の複屈折層の少なくとも一層からなる、または正の複屈折層を含む光学フィルムである。VAモードの液晶表示装置の態様では、第2の光学フィルムは、Aプレートであるか、又は光学二軸性プレートであるのが好ましい。また、可視光域において、面内レターデーションReが、逆分散波長依存性、即ち、長波長になるほどReの値が大きくなる性質、を有するのが好ましい。逆分散波長依存性の正のAプレート又は光学二軸性プレートとしては、シクロオレフィン系ポリマーフィルム、変性ポリカーボネートフィルム及びセルロースアセテートフィルムが好ましい。
以下、各々のポリマーフィルムについて説明する。
・ シクロオレフィン系ポリマーフィルム
第2の光学フィルムとして、所定のシクロオレフィン系ポリマーフィルムを用いると、光学特性として、Reが逆波長分散性のAプレート又は二軸プレートに容易になるので好ましい。該シクロオレフィン系ポリマーとしては、特開2006−188671号公報に記載のノルボルネン系ポリマーが好ましい。なお、シクロオレフィン系ポリマーフィルムとは、シクロオレフィン系ポリマーフィルムとは、シクロオレフィン系ポリマーを主成分(固形分全質量の50質量%以上)として含むポリマーフィルムをいう。
・ 変性ポリカーボネートフィルム
第2の光学フィルムとして、所定の変性ポリカーボネートフィルムを用いると、光学特性として、Reが逆波長分散性のAプレート又は二軸プレートに容易になるので好ましい。該変性ポリカーボネートとしては、特開2002−48919号公報の[0048]〜[0061]に記載の所定の式(I)で示される繰り返し単位aを5〜95モル%と、所定の式(II)で示される繰り返し単位bが全体の95〜5モル%を占めるポリカーボネート共重合体及び/またはブレンド体が好ましい。なお、変性ポリカーボネートフィルムとは、変性ポリカーボネートを主成分(固形分全質量の50質量%以上)として含むポリマーフィルムをいう。
上記変性ポリカーボネートフィルムは、市販のポリマーフィルムをそのまま用いることもできる。また、市販のポリマーフィルムに延伸処理/または緩和処理などの2次加工を施してから用いてもよい。第2の光学フィルムに利用可能な、変性ポリカーボネートを主成分とする市販のポリマーフィルムの例としては、商品名WRF;帝人社製などが挙げられる。
・ セルロースアセテートフィルム
第2の光学フィルムとして、所定のセルロースアセテートフィルムを用いると、光学特性として、Reが逆波長分散性のAプレート又は二軸プレートに容易になるので好ましい。該セルロースアセテートフィルムとしては、特開2000−137116号公報の[0021]〜[0030]に記載のセルロースアセテート及びそれを用いて製造したフィルムが好ましい。なお、セルロースアセテートフィルムとは、セルロースアセテートフィルムを主成分(固形分全質量の50質量%以上)として含むポリマーフィルムをいう。
また、Reが逆分散波長依存性を示すセルロースアセテートフィルムは、下記化合物をセルロースアセテートドープ中に添加して、ソルベントキャスト法を利用する製造することもできる。
Figure 2008242258
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、Re発現剤としては、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008242258
一般式(II)中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す。)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に置換基を表す。nは0〜2の整数を表す。
一般式(I)又は(II)において、L1及びL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 2008242258
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(I)又は(II)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例が挙げられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例が挙げられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)又はS−である。
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
以下に、一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を示すが、前記Re発現剤の例は以下の具体例に限定されるものではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 2008242258
前記スキーム中、化合物(1−A)〜化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515−526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
また、前記一般式(I)で表される化合物とともに、もしくは代えて、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を用いてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
前記第2の光学フィルムは、例示した種々のポリマーフィルム等からのみなっていてもよいし、又ポリマーフィルムを2層以上積層したものであってもよい。また、ポリマーフィルムの表面に、液晶組成物からなる層を形成した積層体であってもよい。積層体の態様では、全体として、第2の光学フィルムに要求される光学特性を満足するように、各層の光学特性を調整する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
<第1の光学フィルムの作製>
・光学フィルムA1の作製
セルロースアシレートフィルム(TAC−TD80U 富士フイルム(株)製)を準備した。
別途、下記構造のポリイミド(λmax:260〜350nmの範囲;重量平均分子量(Mw)120,000)をシクロヘキサノンに溶解し、9.5%のシクロヘキサノン溶液を調製した。
この溶液を、セルロースアシレートフィルムの表面に塗布し、100℃で5分乾燥して、ポリイミド層を形成した。ポリイミド層の厚さは1.6μmであった。
Figure 2008242258
・光学フィルムA2の作製
下表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート組成物を調製した。これを真空排気付き2軸混練押出し機を用い、スクリュー回転数300rpm、混練時間40秒間、押出し量200kg/hrでダイから押出し60℃の水中で固化した後、裁断し、直径2mm、長さ3mmの円柱状のペレットを得た。その後、前記ペレットを用い、特開2007−2216号公報の実施例1と同様の手法で溶融製膜し、80μmのフィルムを得た。このフィルムを150℃で二軸延伸することでセルロースアシレートフィルム2を得た。TAC−TD80Uの代わりに、このセルロースアシレートフィルム2を用いた以外は、同様にしてポリイミド層を形成し、光学フィルムA2を製造した。ポリイミド層の厚さは1.6μmであった。
Figure 2008242258
・光学フィルムA3の作製
下記表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート溶液を調製した。このセルロースアシレート溶液を、金属支持体上に流延し、得られたウェブから剥離し、セルロースアシレートフィルム3を得た。得られたセルロースアシレートフィルム3の膜厚は93μmであった。TAC−TD80Uの代わりにこのセルロースアシレートフィルム3を用いた以外は、光学フィルムA1と同様にして、ポリイミド層を形成し、光学フィルムA3を製造した。形成したポリイミド層の厚さは1.6μmであった。
Figure 2008242258
・光学フィルムA4の作製
ARTON(JSR製)を特定の温度で二軸延伸することでポリマーフィルム4を得た。TAC−TD80Uの代わりにこのポリマーフィルムAを用いた以外は、光学フィルムA1と同様にして、ポリイミド層を形成し、光学フィルムA4を製造した。形成したポリイミド層の厚さは1.0μmであった。
・光学フィルムA5の作製
(環状ポリオレフィン重合体の合成)
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー)及びトルエンに溶解したトリエチルアリミニウム0.25mol%(対モノマー)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。
得られた重合体をテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーエミションクロマトグラフによる分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は79,000、重量平均分子量は205,000であった。得られた重合体をアッベの屈折計で測定した屈折率は1.52であった。
下記表に記載の各成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、環状ポリオレフィンドープを調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し巻き取っって、ポリマーフィルム5を得た。ポリマーフィルム5の厚みは80μmであった。TAC−TD80Uの代わりにこのポリマーフィルム5を用いた以外は、光学フィルムA1と同様にして、ポリイミド層を形成し、光学フィルムA5を製造した。形成したポリイミド層の厚さは1.2μmであった。
Figure 2008242258
・光学フィルムA6の作製
市販のポリカーボネートフィルム(厚さ80μm)を、150℃で二軸延伸することでポリマーフィルム6を得た。TAC−TD80Uの代わりにこのポリマーフィルム6を用いた以外は、光学フィルムA1と同様にしてポリイミド層を形成し、光学フィルムA6を製造した。形成したポリイミド層の厚さは1.0μmであった。
・光学フィルムA7の作製
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ80μm)を、150℃で二軸延伸することでポリマーフィルム7を得た。TAC−TD80Uの代わりにこのポリマーフィルム7を用いた以外は、光学フィルムA1と同様にしてポリイミド層を形成し、光学フィルムA7を製造した。形成したポリイミド層の厚さは、1.0μmであった。
・光学フィルムA8の作製
光学フィルムA4で用いたポリマーフィルム4を準備した。
下記構造のポリイミド(λmax:260nm未満;重量平均分子量(Mw)120,000)を、メチルエチルケトンに溶解して、15%のポリイミド溶液を調製した。この溶液を、ポリマーフィルム4の表面に塗布し、50℃で4分乾燥し、ポリイミド層を形成した。形成したポリイミド層の厚さは2.5μmであった。
Figure 2008242258
・光学フィルムA9の作製
イソブテンとN−メチルマレイミドからなる共重合体(N−メチルマレイミドの含有量50モル%、ガラス転移温度157℃)65重量部、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)(アクリロニトリルの含有量27モル%)35重量部、及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(紫外線吸収剤)1重量部を押出機にてペレットにしたものを、100℃で5時間乾燥後、40nmφ単軸押出機と400mm幅のTダイを用いて270℃で押出し、シート状の溶融樹脂を冷却ドラムで冷却して幅約600mm、厚み40μmのポリマーフィルム9(平均屈折率=1.51)を作製した。
2、2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2、2’−ビス(トリフルオロメチル)−4、4’−ジアミノビフェニルとからポリイミドを合成した。このポリイミドの重量平均分子量(Mw)は110,000であり、λmaxは260nm未満であった。このポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して15%のポリイミド溶液を調製した。
ポリマーフィルム9の表面に、この溶液を塗布し、100℃で10分乾燥させて、ポリイミド層を形成し、光学フィルム9を製造した。形成したポリイミド層の厚さは5.2μmであった。
・光学フィルムA10の作製
セルロースアシレートフィルム(TAC−TD80U 富士フイルム(株)製)を準備した。セルロースアシレートフィルム9に代えて、このセルロースアシレートフィルムを用いた以外は、光学フィルムA9と同様にして、ポリイミド層を形成し、光学フィルムA10を製造した。形成したポリイミド層の厚さは4.0μmであった。
・光学フィルムA11の作製
光学フィルムA9の作製に用いたポリマーフィルム9を準備した。
下記構造のポリイミド(λmax:350nmを超える)をシクロヘキサノンに溶解し、15%のシクロヘキサノン溶液を調製した。この塗布液を、ポリマーフィルム9の表面に塗布とした後に、100℃で5分乾燥することでポリイミド層を形成し、光学フィルム10を製造した。形成したポリイミド層の厚さは4.0μmであった。
製造した光学フィルム10は、茶色に着色しており、位相差フィルムとして使用できなかった。
Figure 2008242258
<第2の光学フィルムの作製>
・光学フィルムB1の作製
ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加したシクロオレフィン系樹脂を主成分とするポリマーフィルム[日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノアZF14−100」(平均屈折率=1.51、Re[590]=2.0nm、Rth[590]=8.0nm);厚み100μm]の両側に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム[東レ(株)製 商品名「トレファンE60−高収縮タイプ」(厚み60μm)]をアクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合せた。その後、ロール延伸機でフィルムの長手方向を保持して、148℃±1℃の空気循環式乾燥オーブン内(フィルム裏面から3cmの距離の温度を測定)で、1.40倍に延伸した。その後、フィルムを切り出し、四辺を把持しロール延伸機の延伸方向とは直交する方向に1.25倍延伸することで光学フィルムB1を作製した。
なお、光学フィルムB1の作製に用いた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、140℃における収縮率が、MD方向に6.4%、TD方向に12.8%であった。アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして、溶液重合により合成されたイソノニルアクリレート(重量平均分子量=550,000)を用い、該ポリマー100重量部に対して、ポリイソシアネート化合物の架橋剤[日本ポリウレタン(株)製 商品名「コロネートL」]3重量部、触媒[東京ファインケミカル(株)製 商品名「OL−1」]10重量部を混合したものを用いた。
・光学フィルムB2の作製
特開2006−188671号公報の実施例に記載の方法を参考にして、該公報の記載の樹脂P2を製造した。
この樹脂P2を塩化メチレンキャスト法により製膜し、厚さ100μm、残留溶剤量0.2%以下の無色透明なキャストフィルムを得た。このフィルムを195℃に加熱し、延伸速度220%/分で2.0倍に延伸した後、冷却して取り出し、光学フィルムB2を作製した。
・光学フィルムB3の作製
変性ポリカーボネート商品名「WRF」(帝人社製)を二軸延伸して、光学フィルムB3を作製した。
・光学フィルムB4の作製
光学フィルムA2の作製に用いたポリマーフィルム2を、125℃で1.6倍、自由端延伸することで光学フィルムB4を作製した。
以下の表に、光学フィルムA1〜A11、光学フィルムB1〜B4の光学特性を示す。
Figure 2008242258
*1: ポリイミドのλmaxが260〜350nmのものについては「○」を、260nm未満又は350nmを超えるものについては「×」を付した。
なお、表中、膜厚の単位はμmであり、その他の光学物性の単位はいずれもnmである。
(実施例1)
<偏光板の作製>
まず、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
その後、光学フィルムA1の透明支持体上および光学フィルムB1上を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の一方の面に貼り付け、前記偏光膜の他方の面には、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、鹸化処理を行った市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を貼り付けた。作製した偏光板をそれぞれAH1、BH1とした。
<VAモード液晶表示装置の作製>
市販の37インチVAモード液晶テレビ(シャープ製)に設けられている一対の偏光板(上側偏光板、及び下側偏光板)を剥がし、代わりに作製した偏光板AH1を、光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、バックライト側に貼り付け、偏光板BH1を光学補償フィルムが液晶セル側となるように観察者側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、バックライト側の偏光板(上側偏光板)の透過軸と、観察者側の偏光板(下側偏光板)の透過軸とが直交するように各偏光板を配置した。
偏光板AH2〜AH17、BH2〜BH17を以下の表に示した光学補償フィルムを用いて作製し、偏光板AH1、BH1と同様にVAモード液晶セルに実装した。
Figure 2008242258
<表示性能評価>
次に、常温常湿(25℃60%RH)の部屋で1週間放置した前記液晶表示装置を測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で色味、コントラスト比(白表示時の透過率/黒表示時の透過率)を評価した。
なお、下記表において、ΔCu’v’ (u’v’:CIELAB空間における色座標)は、画面表面の法線方向を基準に極角60°、液晶表示画面の方位角方向0〜360°において、黒表示時に正面に対してu’v’空間で最も距離の離れた地点のu’v’からu’v’(正面)を差し引いた値の絶対値を示す。
コントラストはコントラスト比(白表示時の透過率/黒表示時の透過率)から算出した値である。
<評価基準>
[ΔCu’v’の評価基準]
◎ ΔCu’v’が、0.02未満
〇 ΔCu’v’が、0.02以上0.04未満
△ ΔCu’v’が、0.04以上0.06未満
× ΔCu’v’が、0.06以上
[コントラスト視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない極角範囲)の評価基準]
◎ 上下左右で極角80°以上
〇 上下左右の内、3方向で極角80°以上
△ 上下左右の内、2方向で極角80°以上
× 上下左右の内、3方向で極角80°以上
以下に、第1の光学フィルムとして光学フィルムA1〜A8のいずれかを用い、第2の光学フィルムとして光学フィルムB1を用いた実施例1〜8の評価結果、並びに第1の光学フィルムとして光学フィルムA9及び10を用い、第2の光学フィルムとして光学フィルムB1を用いた比較例1及び2の評価結果をそれぞれ示す。
Figure 2008242258
実施例1〜8は、いずれも、第1の光学フィルムとして、負の複屈折層としてポリイミド層を有するRthが順分散波長依存性のCプレートを用いているので、斜め方向における色味付きの指標であるΔCu’v’が0.06未満であり、又コントラスト視野角特性も良好であった。
比較例2では、第1の光学フィルムとして、Rthが逆分散波長依存性のCプレートを用いているので、ΔCu’v’が0.06以上で大きく、視野角特性が劣っていた。
比較例1は、第1の光学フィルムとして、Rthが波長450nm及び630nmにおいて等しいCプレートを用いているので、実施例1等と同等の視野角特性を示した。しかし、実施例では、第1の光学フィルム中のポリイミド層の厚みが、2μm以下であったのに対して、比較例1では、ポリイミド層の厚みが5.2μmであって、はじめて同等の特性を示したことを考慮すると、実施例のほうが安価に作製でき、製造適性があることが理解できる。
以下に、第1の光学フィルムとして光学フィルムA1を用い、第2の光学フィルムとして光学フィルムB1〜B4のいずれかを用いた実施例1及び9〜11の評価結果、並びに第1の光学フィルムとして光学フィルムA2を用い、第2の光学フィルムとして光学フィルムB1〜B4のいずれかを用いた実施例2及び12〜14の評価結果をそれぞれ示す。
Figure 2008242258
上記表に示す結果から、第2の光学フィルムとして、Reが逆分散波長依存性を示す光学フィルムB2〜B4を用いたほうが、Reが可視光域のいずれの波長においてもほぼ同一の光学フィルムB1を用いるより、より視野角特性が改善されることが理解できる。
また、実施例の液晶表示装置を、常温常湿(25℃10%RH)の部屋で1週間放置した後に、同様にコントラスト視野角を測定したところ、第1の光学フィルムとして光学フィルムA1を用いた実施例の液晶表示装置では、第1の光学フィルムとして、他の光学フィルム(A2〜A8)を用いた液晶表示装置と比較して、コントラスト視野角特性が劣っていた。なお、表1に示す通り、光学フィルムA1は、式(V)及び(VI)を満足していなかったのに対して、光学フィルムA2〜A8はいずれも満足していた。この結果から、式(V)及び(VI)を満足する光学フィルムを用いることにより、環境湿度によって表示特性が変動しない液晶表示装置となることが理解できる。
(実施例15)
<第1の光学フィルムの作製>
・光学フィルムA15の作製
市販のセルロースアシレートフィルム(TAC-TD80U 富士フイルム(株)製)を準備した。
このセルロースアシレートフィルムの表面に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
前記配向膜上に、下記の組成のディスコティック液晶を含む塗布液を#2.4のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されているフィルムの配向膜面に連続的に塗布した。
Figure 2008242258
Figure 2008242258
Figure 2008242258
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンでディスコティック液晶化合物層の膜面風速が、2.5m/secとなるように、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、フィルムの表面温度が約130℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力120W/cm)により、紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定、負の複屈折層を形成した。このようにして、光学フィルムA15を作製した。前記複屈折層の厚さは1.0μmであった。
なお、ディスコティック液晶化合物の円盤面と、支持体のフィルム面との角度は、0度であった。
光学フィルムA15を第1の光学フィルムとして用い、上記で作製した光学フィルムB1〜B4のそれぞれと組み合わせて、実施例1、及び9〜11と同様にして、VAモード液晶表示装置を製造し、上記と同様にして評価した。製造した液晶表示装置は、実施例1、9〜11の液晶表示装置と同様に良好な表示特性を示した。
本発明の液晶表示装置の一例の断面概略図である。 本発明の液晶表示装置に使用可能な第1の光学フィルムの一例の断面外略図である。
符号の説明
10 液晶セル
12a、12b 偏光板
14 第1の光学フィルム
16 第2の光学フィルム

Claims (17)

  1. 少なくとも一層の負の複屈折性層を含む又はからなるCプレートである第1の光学フィルム、液晶セル、及び少なくとも一層の正の複屈折性層を含む又はからなる第2の光学フィルムを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学フィルムが、可視光域において、厚み方向のレターデーションRthが、順分散波長依存性を示すことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記第1の光学フィルムが、ポリイミド又は及び/又はポリエーテルケトンを含む複屈折層を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第1の光学フィルムが、下記式(I)及び(II)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置:
    (I): −10nm ≦Re(550) ≦10nm
    (II): 0nm ≦Rth(550) ≦200nm
    ただし、上記式)中、Re(λ)は、波長λnmの光に対する面内レターデーション値であり、Rth(λ)は、波長λnmの光に対する厚さ方向のレターデーション値である。
  4. 前記第1の光学フィルムが、下記式(III)及び(IV)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (III): −10nm ≦Re(630)−Re(450) ≦0nm
    (IV): −40nm ≦Rth(630)−Rth(450) <0nm 。
  5. 前記第1の光学フィルムの最大吸収波長(λmax)が、260nm〜350nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1の光学フィルムが、セルロースアシレートフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1の光学フィルムが、シクロオレフィンポリマーフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記第1の光学フィルムが、ノルボルネン系ポリマーフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  9. 前記第1の光学フィルムが、ポリカーボネートフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記第1の光学フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる層を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記第1の光学フィルムが、下記式を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    (V): 0nm ≦Re(10%RH)−Re(80%RH) ≦10nm
    (VI): 0nm ≦Rth(10%RH)−Rth(80%RH) ≦20nm
    ただし、上記式(V)及び(VI)中、Re(α%RH)は、環境湿度25℃α%RH下で含水率が平衡状態に達した時の面内レターデーション値であり、Rth(α%RHλ)は、環境湿度25℃α%RH下で含水率が平衡状態に達した時の厚さ方向のレターデーション値である。
  12. 前記第2の光学フィルムが、Aプレート又は光学二軸性プレートであって、且つ可視光域において、面内レターデーションReが一定である、又は逆分散波長依存性を示すことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 前記第2の光学フィルムが、下記式(VII)〜(X)の全てを満足することを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置:
    (VII): 0nm ≦Re(550) ≦200nm
    (VIII): 0nm ≦Rth(550) ≦150nm
    (IX): 0nm ≦Re(630)−Re(450) ≦50nm
    (X): 0nm ≦Rth(630)−Rth(450) ≦30nm 。
  14. 前記第2の光学フィルムが、シクロオレフィン系ポリマーフィルムを含む又はからなることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  15. 前記第2の光学フィルムが、変性ポリカーボネートフィルムを含む又はからなることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  16. 前記第2の光学フィルムが、セルロースアセテートフィルムを含む又はからなることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  17. VAモードであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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