以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<プロジェクションの概略>
図1は、投写型表示装置の一実施形態であるプロジェクションテレビジョン装置などの液晶プロジェクタ装置1の概略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
図1(A),(B)に示すように、液晶プロジェクタ装置1はフレーム30を備え、このフレーム30にプロジェクタユニット3と、反射ミラー40と、背面投影型のスクリーン50とが設けられている。スクリーン50の左右には、スピーカ2が設けられている。
プロジェクタユニット3は、画像投影光束を出射するものである。反射ミラー40は反射面40aを有し、プロジェクタユニット3の上方かつ背面投影型のスクリーン50の後方に配置され、反射面40aによってプロジェクタユニット3から出射された画像投影光束をスクリーン50の背面に向けて反射する。
スクリーン50は、反射ミラー40によって反射された画像投影光束が背面に投射されることで前面にテレビジョン画像が表示されるものである。
スクリーン50は、たとえば、映像源側に配置されるフレネルレンズと、このフレネルレンズの後段に配置されるレンチキュラースクリーンによって構成される。また、これに加えて外光によるコントラスト劣化の減少、および、レンチキュラースクリーンの保護を目的とする別のスクリーンを設置してもよい。
フレーム30は、プロジェクタユニット3を保持するボトムキャビネット31と、ボトムキャビネット31の上部に設けられた図示を割愛した矩形枠状のスクリーン取付部と、ボトムキャビネット31の上部でスクリーン取付部の後方に設けられた逆台形状の反射ミラー取付部33などを備えている。
スクリーン50は、上下左右の図示を割愛した取付部材およびねじを介してスクリーン取付部に取り付けられ、取付部材およびスクリーン50の周囲の箇所を覆うように枠状の化粧板50aがスクリーン取付部に取り付けられている。
また、スクリーン取付部の下方のフレーム30の前面部分は、ボトムキャビネット31の前面部分が位置しており、この前面部分を覆うように化粧板50bが枠状の化粧板50aの下部に取り付けられている。
反射ミラー40は、上下左右のスクリーン取付部およびねじを介して反射ミラー取付部33に取り付けられ、スクリーン取付部および反射ミラー40を覆うように後部上カバー44がフレーム30に取り付けられている。
プロジェクタユニット3はボトムキャビネット31の前面部分の後方にベース部材28を介してフレーム30に取り付けられ、さらにプロジェクタユニット3などを覆うように後部下カバー46がフレーム30に取り付けられている。より詳細には、プロジェクタユニット3は光源側ユニット3aと画像出射側ユニット3bとを有し、光源側ユニット3aと画像出射側ユニット3bはともにベース部材28に取り付けられこのベース部材28を介してフレーム30に取り付けられている。
ベース部材28は、その前面がボトムキャビネット31(フレーム30)にねじにより締結され固定されている。ベース部材28の上面には、すなわち、フレーム30側には、投射レンズ18の光軸と合致する軸が突設され、軸の周囲の上面箇所に4つのボス部が突設され、それらボス部の上端面が、投射レンズ18の光軸と直交する平面に沿って延在する支持面として形成されている。
液晶プロジェクタ装置1の電装部については、図示を割愛するが、たとえば、受信回路、画像信号処理回路、スピーカ2を駆動する音声信号処理回路、全体を制御する制御回路、ユーザ操作を受け付ける操作スイッチなどを備える。
受信回路は、制御回路からの指令に基づいて選局を行ない、アンテナから受信したテレビジョン信号を復調して画像信号と音声信号に分離して出力する。画像信号処理回路は、画像信号に対して必要な信号処理を行い、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画像情報を生成し、これら各画像情報に対応する画像信号(駆動信号)を3つの液晶表示装置70R,70G,70Bの液晶表示部にそれぞれ供給する(詳細は後述する)。
音声信号処理回路は、音声信号に対して必要な信号処理や増幅処理を行なってオーディオ信号を生成しスピーカ2に供給する。これによりスピーカ2から音声が発生される。
操作スイッチは、液晶プロジェクタ装置1による放送の視聴に関係する種々の操作や設定を行なうためのものであり、たとえば、選局スイッチ、音量調整スイッチ、入力切替スイッチなどを含んでいる。制御回路は、操作スイッチの操作に基づいて、受信回路、画像信号処理回路、音声信号処理回路の制御を行なう。
また、図示しないが、DVDプレーヤやビデオデッキなどの外部装置から供給される画像信号および音声信号を入力するための外部入力端子と、これら外部入力端子に供給された画像信号および音声信号を画像信号処理回路および音声信号処理回路に切り替えて入力する入力切替回路が設けられている。操作スイッチの操作により外部入力端子に供給される画像信号および音声信号が入力切替回路を介して画像信号処理回路および音声信号処理回路に供給されるようになっている。
<光学系の概略;透過型>
図2は、表示装置本体の一例である液晶表示装置を利用して構成された投影型の表示装置の一例である透過型の液晶プロジェクタ装置1における光学系であるプロジェクタユニット3の概略構成を示した図である。
透過型の液晶プロジェクタ装置1は、B(青),G(緑)、R(赤)の3色の何れかを処理対象とする各色用のモノクロ液晶表示装置をB,G,Rの光路ごとに設けて構成した3板方式のカラー表示装置として構成されていて、標準的な15.6μmピッチ用の3板式透過型液晶プロジェクタ装置用に構成されている。
具体的には、透過型の液晶プロジェクタ装置1のプロジェクタユニット3は、照明光L0を出射する光源5と、図示しないスクリーン上を投写する投写光学系7と、光源5から出射された照明光L0を投写光学系7側に導く光学部材群9とを備えている。
光源5は、照明光L0を発する光源ランプを有する。光源ランプは、レジストレーションずれ防止のため(単板式の場合は混色防止も兼ねる)、高輝度の揃った白色平行光を発することが可能な、アーク長の短い光源とする。一例として、アーク長1.0mmのメタルハライドランプあるいは短アーク水銀高圧ランプ(UHP;Ultra High Performance)を使用する。プロジェクタユニット3として、インテグレータレンズや偏光変換素子などの複雑な光学系を用いる場合、これらの性能を十分引き出すためには、光源はできるだけ理想的な点光源に近いものが望ましい。この点、UHPランプは、従来使われてきたメタルハライドランプに比較しアーク長を約1/2に抑えることができ、高輝度・高性能の液晶プロジェクタ装置1のプロジェクタユニット3の高効率化を図る上で好ましい。
投写光学系7は、B,G,R各色用の液晶表示装置70の何れか1枚の液晶表示部76に向けて、B,G,Rの各色成分光LB,LG,LRをB,G,Rの各色の液晶表示部76上に導き得るように、B,G,Rの各色成分光LB,LG,LRをそれぞれ取り込む入射部72B,72G,72Rと、入射部72B,72G,72Rで取り込んだ各色成分光LR,LG,LBを略同一の光路に合成して出射端79aから出射するクロスダイクロイックプリズム79と、液晶表示装置70から出射されクロスダイクロイックプリズム79で合成された各色の光を図示しないスクリーン上に投写する投写レンズ80(図1の投射レンズ18に対応する)とを備えている。出射端79aから出射された各色成分光LB,LR,LGは、投写レンズ80で集光され図示しないスクリーン上にて色合成される。
入射部72B,72G,72Rのそれぞれは、カラートリミングコートが施されたコンデンサレンズなどのフィールドレンズ74を備え、各色用の液晶表示装置70B,70G,70Rの液晶表示部76B,76G,76Rを含んで構成される。なお、図示を割愛するが、液晶表示部76の光路上の両側には、偏光板が配される。液晶表示装置70(液晶表示部76)は、詳細は後述するが、光スイッチ素子として薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor )を使用した液晶表示パネルと、液晶表示パネルを包囲する筐体(フレーム)と、液晶表示パネルを駆動する駆動素子を搭載した基板モジュールなどを備えている。
光学部材群9は、光源5から発せられた照明光L0の内の紫外線UV(UltraViolet rays)および赤外線IR(InfRared rays )を遮断し、可視光VL(Visible light )を透過させるUV/IRカットフィルタ54と、所定形状のレンズセルを配列してなる平板状光学装置(集合レンズ)の一例であるマルチレンズアレイ(MLA;Multi Lens Array;フライアイレンズともいう)56と、光源5から出射されUV/IRカットフィルタ54およびマルチレンズアレイ56を透過した可視光成分VL(LB,LR,LG)を透過させる光学部材群57とを、光路上にこの順に有している。
また光学部材群9は、光学部材群57を透過した可視光成分L1(LB,LR,LG)の内の赤色成分光LRを反射し、残りの青色成分光LBおよび緑色成分光LGを透過させるダイクロイックミラー(DM)58aと、ダイクロイックミラー58aで反射した赤色成分光LRを入射部72Rに向けて反射させることで入射部72Rの液晶表示部76Rに所定の入射光発散角にて入射させる全反射ミラー59aを備えている。
また光学部材群9は、ダイクロイックミラー58aを透過した青色成分光LBおよび緑色成分光LGの内の緑色成分光LGを入射部72Gに向けて反射させることで入射部72Gの液晶表示部76Gに所定の入射光発散角にて入射させるとともに、青色成分光LBを透過させるダイクロイックミラー(DM)58bを備えている。
また光学部材群9は、ダイクロイックミラー58bを透過した青色成分光LBを反射する全反射ミラー59bと、全反射ミラー59bで反射した青色成分光LBを入射部72Bに向けて反射させることで入射部72Bの液晶表示部76Bに所定の入射光発散角にて入射させる全反射ミラー59cとを備えている。
光学部材群57は、図示を割愛するが、所定形状のレンズセルを配列してなる平板状光学装置の一例であるマルチレンズアレイ(MLA)と、偏光を利用して液晶表示装置への入射光の偏光を揃えるPS合成素子(PS偏光変換素子)とをこの順に、光路上においてマイクロレンズアレイが光源5側となるように備えている。なお、図示しないが、PS合成素子を透過した可視光成分VLをダイクロイックミラー58aの所定位置に導くコンデンサレンズが、PS合成素子のダイクロイックミラー58a側に設けられる。
マイクロレンズアレイは、X方向にm個およびY方向にn個の凸レンズ型のレンズセルを透明基板上に有しており光合成部として機能するもので、可視光成分を集光してPS合成素子に導く。PS合成素子は、液晶表示装置への入射光の偏光を揃えることで、従来吸収されていた偏光の利用を図ることを目的に用いている。すなわち、液晶表示装置は光源からの光のうち、ある一方の偏光を変調することにより画像を出力しているが、他方の偏光は利用されず偏光板に熱として吸収されてしまう。これに対してPS合成素子を用いて液晶表示装置への入射光の偏光を揃えることで、従来吸収されていた偏光の利用を図る。
このような構成により、液晶プロジェクタ装置1のプロジェクタユニット3は、光源5から発せられた照明光L0の内の可視光成分VL(LB,LR,LG)を、UV/IRカットフィルタ54、マイクロレンズアレイ56、光学部材群57を透過させた後、2つのダイクロイックミラー58a,58bで各色成分光LB,LR,LGのそれぞれに色分解し、入射部72のフィールドレンズ74を経て、液晶表示部76の液晶表示パネル面に均一照明を得るようにしている。
各色成分光LB,LR,LGは液晶表示部76を構成する液晶表示パネル内の所定位置に集光され、液晶表示パネルの各々対応する画素位置を通過する。このとき、与えられた画素信号に応じて液晶表示パネルの図示しない画素電極への印加電圧が変化し、これに応じて図示しない液晶層中を通過する各色成分光LB,LR,LGの偏光方向が変調を受ける。
そして、液晶表示パネル内でそれぞれ焦点を結んだB,R,Gの各色成分光LB,LR,LGは、液晶表示パネルの裏面から出射し偏光板を選択的に透過して、クロスダイクロイックプリズム79に入射し、クロスダイクロイックプリズム79で合成され、その出射端79aから出射して投写レンズ80によってスクリーン上にて変調度合いに応じて色合成されつつ、拡大投影される。
なお、クロスダイクロイックプリズム79は、たとえば液晶表示部76からの出射光を、緑はP波に、赤と青はS波に設計することで、同じダイクロイック膜でも緑の透過特性と赤・青の反射特性の波長域を広げることができ、その結果、光源5のスペクトルを広く利用することができる。
<液晶表示部の構成:透過型(長辺出し)>
図3は、透過型の液晶表示装置70の概略構成を示す図である。ここでは、液晶表示パネルに注目した斜視図を示している。
図3に示すように、液晶表示部76は、基板モジュール102と、表示デバイスの一例である液晶表示パネル110と、光を通過させるための開口部である表示窓146が形成され、液晶表示パネル110を支持する支持部材の一例であるフレーム(枠体)140と、光を通過させるための開口部である表示窓156が形成された遮光板150とを備えている。
図示を割愛するが、液晶表示部76は、フレーム140側が、表示窓や固定用ネジ穴を有し、表示デバイスを支持する支持部材の他の一例である固定板(支持板)に取り付けられるようになっている。固定板およびフレーム140は、熱伝導性の良好な部材、たとえば金属製の部材や熱伝導性樹脂を使用するのがよい。
なお、“表示デバイスを支持する支持部材”とは、表示デバイスを支持する機能を持つものであり、その機能を持つ限り、フレーム140や固定板に限らず、その他のものも含まれる。
フレーム140は、液晶表示パネル110の光の出射側に配されたもので、液晶表示パネル110を支持するための枠体となるものである。このようなフレーム140としては、たとえば、熱伝導性に優れたアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ステンレス(SUS)などの金属部材、または同じく熱伝導性に優れた樹脂部材を、枠状に成形したものが挙げられる。
遮光板150は、液晶表示パネル110の光の入射側に配されたもので、液晶表示パネル110の有効画素部分以外への光の入射を遮るためのものである。このような遮光板150としては、有効画素部分に応じた形状の開口を、たとえば熱伝導性に優れた金属板または樹脂板に形成したものが挙げられる。なお、光の入射方向は、逆であってもよい。
液晶表示パネル110は、透明な薄いガラス板などからなる透明のTFT基板と同様に透明な薄いガラス板などからなる支持基板としての対向基板とを有している。TFT基板には、画素を構成する画素電極であるTFTがマトリクス状に配列されている。一方、これと液晶を挟んで対向する対向基板には、対向電極またはコモン(共通)電極が配されている。これらTFT基板および対向基板の周縁には、シール材が配置され、このシール材を挟んでTFT基板と対向基板とは、所定の間隙(セルギャップ)を隔てて接着固定されている。ここで、TFT基板と対向基板との間隔であるセルギャップは、TFT基板と対向基板との間に挟まれた多数のスペーサによって規定されている。そして、TFT基板、対向基板、およびシール材で区画形成された領域内には図示しない液晶が封入される。つまり、TFT基板と対向基板との間に液晶層を挟持して液晶表示パネル110が構成されることになる。
このような構成により、液晶表示パネル110では、対向した電極間に電圧を印加した場合に、液晶分子のダイレクタ配向方向が一方向になり、一軸性の複屈折率異方性を発現するので、透過光量を制御することができ、光源5からの照射光に対して映像信号に応じた光変調を行なう。なお、液晶表示パネル110の光の入射側および出射側のそれぞれには、TFT基板および対向基板を保護するためのカバーガラスが設けられている。
ここで、本実施形態の液晶表示パネル110では、高精細化、高開口化、低コスト化などの要求に応えるべく、TFT基板および対向基板における各電極に電圧を印加してその液晶表示パネル110を駆動するための駆動回路が、その液晶表示パネルに内蔵されておらずに外付けされている。たとえば、液晶表示パネル110には、その液晶表示パネル110におけるTFT基板および対向基板の各電極と電気的に接続する複数(2層あるいはそれ以上)のベースフィルム(基材)の積層体として構成されたFPC基板などの可撓性の(フレキシブルな)フィルム基板160が取り付けられている。
液晶表示パネル110は、たとえばアスペクト比が4:3あるいは16:9のものが使用される。そして、光学系の関係から、図3に示すように、長辺側に対してフィルム基板160を接続するようになっている。このような構成を長辺出しの構成と称する。長辺出しの構成の場合、長辺(アスペクト比の4あるいは16)側に水平駆動部306が配置され水平駆動部306の選択スイッチ306Aを介して映像信号が画素容量376に入力され長辺方向に信号線が引き回される。また、短辺(アスペクト比の3あるいは9)側に垂直駆動部305が配置され垂直駆動部305の出力バッファ305Aを介して走査用の制御信号が画素トランジスタ372に入力される。なお、図示を割愛するが、透過型の液晶表示装置70の場合においても、後述する反射型の液晶表示装置70の場合と同様に短辺出しの構成とすることもできる。
積層体の一部の基材としては配線層を有する配線基板が設けられる。そして、フィルム基板160上に、液晶表示パネル110を駆動する駆動回路としての機能を有した半導体デバイスの一例である駆動用IC170が、配線層に電気的に接続されて搭載されている。フィルム基板160上に駆動用IC170やその他の部材が搭載されて図2(C)に示すような基板モジュール102が構成される。なお、基板モジュール102は、駆動用IC170をフィルム基板160に搭載しているので、半導体装置ということもできる。
たとえば、TFT基板は対向基板よりも大きいので、TFT基板はその一部が対向基板の下端縁から張り出しており、この張り出し部分の端部に形成されている端子には、異方性導電膜などを介して配線基板ベースとしてのフィルム基板160のパネル側端部(デバイス側端部)が接続される。そのパネル側端部162の端子が設けられている面(実装面160aという)とは反対側の面(不実装面160bという)で、パネル側端部162が樹脂モールドなどでTFT基板に固定されている。
ここで、パネル側端部162に設けられる端子は、たとえば、TFT基板に形成される図示しないストライプ状電極がそのまま張り出し部分においても配線(延在)形成されたものと、対向基板に形成されている図示しないストライプ状電極が図示しない導通材によって対向基板とTFT基板の両基板間での電気的接続が図られて張り出し部分において配線形成されたものとが配列されて接続に利用される。
したがって、フィルム基板160を介して外部回路から各種制御信号や電源などの駆動信号を入力すると、この駆動信号に基づいて希望する適宜のストライプ状電極に電圧を印加することができる。これにより、各画素における液晶の配向状態を制御し、液晶表示パネル110に希望の画像を表示することができるようになる。
このような駆動信号を入力するために、フィルム基板160には、電子部品としての駆動用IC170が実装されて回路基板として形成されている。フィルム基板160は、たとえば厚さが25μm程度と薄いポリイミドフィルムからなるベースフィルムの表面に、銅で形成され表面がニッケル−金などで覆われた図示しない配線パターンが形成されており、その表面には駆動用IC170が金属間接合やNCP(非導電ペースト)、あるいは異方性導電膜を介して実装される。さらに、フィルム基板160のパネル側端部162における端子との接続部分付近では、フィルム基板160と液晶パネルとがACF(異方性導電膜)で接続され、樹脂を塗布後に硬化させることで、フィルム基板160と液晶パネルとを固定(補強)している。
このように、液晶表示部76は、液晶表示パネル110とは別に駆動用IC170が設けられており、しかも駆動用IC170がフィルム基板160上に設けられている、いわゆるCOF(Chip On Film;チップ・オン・フィルム)構造の基板モジュール(半導体装置)102を使用した構造となっている。なお、図示を割愛するが、フィルム基板160上には、駆動用IC170以外にも、表面実装タイプのたとえばノイズ抑制のためのセラミックコンデンサなどの半導体以外の回路部材も実装されてもよい。
このCOF構造の実装では、たとえばプラスチックボールの表面に金などがメッキされて形成された複数の導電性粒子が樹脂中に分散したシート状あるいはペースト状の異方性導電膜をフィルム基板160と駆動用IC170との間に挟んだ状態で、圧着ヘッドで駆動用IC170を加熱しながら押圧する。
つまり、複数のバンプを介してフィルム基板160上にフリップチップ接続されるとともに、接続された駆動用IC170とフィルム基板160の間に非導電ペースト(NCP;Non Conductive Paste)、異方性導電接続用フィルム(Anisotropic Conductive Film;ACF)、あるいは異方性導電接続用ペースト(Anisotropic Conductive Paste ;ACP)などといったアンダーフィル剤が充填される。すると、駆動用IC170の端子とフィルム基板160の配線パターンとの間で、溶融した樹脂が押し退けられて樹脂封止部となり、それととともに、駆動用IC170の端子とフィルム基板の配線パターンとの間で導電性粒子が押圧され、駆動用IC170の端子とフィルム基板160の配線パターンとが電気的に接続される。このような実装方法は、配線パターンや端子のファインピッチ化に対応でき、かつ、多数の端子を一括して電気的に接続できるという利点がある。
また、このCOF構造によれば、駆動用IC170が液晶表示パネル110とは別体のため、その液晶表示パネル110における有効画素エリアの増大化や同一基板から取得できる液晶表示パネル110部分の数を増加させることなどが容易に実現でき、これにより液晶表示装置の高精細化、高開口化、低コスト化などが実現できるようになる。しかも、駆動用IC170がフィルム基板160上に配されることで、液晶表示パネル110を構成するTFT基板および対向基板の小型化が容易となり、またそのレイアウトの自由度を高く確保することもできるようになる。
また、フィルム基板160の液晶表示パネル110側のパネル側端部162とは反対側の端部(特にコネクタ差込端子部164という)の実装面160a側には、図示しないが、液晶表示部76を搭載して機器本体の回路基板と電気的接続するための端子が配線パターン(特に接触端子ともいう)によって形成され配列されている。このコネクタ差込端子部164が、機器本体に設けられるコネクタのコネクタ差込部に挿入されるようになる。このフィルム基板160のコネクタ差込端子部164における実装面160aとは反対側の不実装面160bの接触端子が形成された近傍の所定領域には接触端子を補強するための補強板180が貼られている。
なお、駆動用IC170は、フィルム基板160における光の出射側の面に配設されていることが望ましい。出射側の面に配設されていれば、光が駆動用IC170に直接入射することがなく、また光の入射側の面に配設されている場合に比べて駆動用IC170への光(回折光など)の入射の可能性が低くなるからである。つまり、フィルム基板160によって光強度が減衰させられ、フィルム基板160の実装面160aに光が侵入することは殆どなくなると考えられるので、駆動用IC170への光の入射を抑えることができ、その光の入射が駆動用IC170の温度上昇の要因となったり、また光電流リークによる駆動用IC170の性能低下、すなわち入射光によってキャリアが発生してTFTが誤動作したりするのを防止することができる。
駆動用IC170は、液晶表示パネル110の支持部材の外縁よりもさらに外方に位置するのが好ましい。特に、図3(C)に示すように、コネクタ差込端子部164の近傍に駆動用IC170を配置するのが好ましい。駆動用IC170で生じた熱の液晶表示パネル110への影響を緩和したり駆動用IC170に対する冷却を可能としたりするためである。
<光学系の概略;反射型>
図4〜図7は、表示装置本体の一例である液晶表示装置を利用して構成された投影型の表示装置の一例である反射型の液晶プロジェクタ装置1における光学系であるプロジェクタユニット3の概略構成を示した図である。
ここで、図4は、プロジェクタユニット3の光学系の構成を示す説明図である。図5は、プロジェクタユニット3の正面図である。図6および図7は画像出射側ユニット3bの斜視図である。
反射型の液晶プロジェクタ装置1も、B(青),G(緑)、R(赤)の3色の何れかを処理対象とする各色用のモノクロ液晶表示装置をB,G,Rの光路ごとに設けて構成した3板方式のカラー表示装置として構成されていて、標準的な15.6μmピッチ用の3板式反射型液晶プロジェクタ装置用に構成されている。
反射型のプロジェクタユニット3は、照明手段212と、画像形成手段214と、反射ミラー216と、入射レンズ217と、投射レンズ218(図1の投射レンズ18に対応する)とを備えている。
照明手段212は画像形成手段214に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光束を照射し、画像形成手段214は、3色の光束を、3色のそれぞれに対応する画像情報に基づいて変調した後1つの画像投影光束として合成する。画像投影光束は、反射ミラー216、投射レンズ218を介して反射ミラー240に照射され、反射ミラー240によりスクリーン50の背面に投射されスクリーン50の前面にカラー画像が投影される。
図4に示すように、照明手段212は、白色光を出射する光源222と、照明光学系224と、色分離光学系226とを有し、それら光源222と、照明光学系224と、色分離光学系226は第1のハウジング202Aに収容保持されている。
照明光学系224は光源222の前方に直線状に配置された凹レンズ、UVカットフィルター、コンデンサレンズなどを含んで構成され、光源222からの白色光がこれらを通過し、色分離光学系226に入射されるように構成されている。色分離光学系226は、照明光学系224から導かれた光束(白色光)を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光束に分離するものである。
色分離光学系226は、たとえば、クロスダイクロイックミラー230、第1および第2のミラー232,234、ダイクロイックミラー236で構成されている。クロスダイクロイックミラー230は照明光学系224から導かれた光束のうち、赤色(R)および緑色(G)の光束を透過し、かつ、青色(B)の光束を反射するダイクロイックミラー230Aと、照明光学系224から導かれた光束のうち、赤色(R)および緑色(G)の光束を反射し、かつ、青色(B)の光束を透過するダイクロイックミラー230Bとが90度の角度で交差した状態で結合されたものである。ダイクロイックミラー236は、赤色(R)の光束を透過し、緑色(G)の光束を反射するように構成されている。したがって、照明光学系224からクロスダイクロイックミラー230に導かれた光束は、クロスダイクロイックミラー230により、赤色(R)および緑色(G)の光束と、青色(B)の光束との2つの光束に分離される。
クロスダイクロイックミラー230によって分離された赤色(R)および緑色(G)の光束は、第1のミラー232を介してダイクロイックミラー236に導かれ、このダイクロイックミラー236で赤色(R)の光束が透過されるとともに緑色(G)の光束が反射される。また、クロスダイクロイックミラー230によって分離された青色(B)の光束は、第2のミラー234によって反射される。
このようにして色分離光学系226で分離された赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光束が照明手段212から画像形成手段214に向けてそれぞれ出射される。
画像形成手段214は、第1〜第3のビームスプリッタ242R,242G,242Bと、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の画像情報をそれぞれ表示する3つの反射型の液晶表示装置(液晶パネル)70(70R,70G,70B)と、各液晶表示装置70で反射され3色の画像情報で変調された光束を合成して1つの画像投影光束を生成するクロスダイクロイックプリズム279を有している。第1〜第3のビームスプリッタ242R,242G,242Bと、3つの液晶表示装置70R,70G,70Bと、クロスダイクロイックプリズム279は一体的に結合されている。第1〜第3のビームスプリッタ242R,242G,242Bは光の偏光方向によって光を反射あるいは透過する機能を有するものである。
また、画像形成手段214の第1〜第3のビームスプリッタ242R,242G,242Bと、それら第1〜第3のビームスプリッタ242R,242G,242Bが照明手段212に臨む箇所との間には、それぞれ隙間S1,S2,S3が確保されており、照明手段212に対して画像形成手段214が若干量移動しても互いに干渉しないように構成されている。
図4に示すように、照明手段212から画像形成手段214に出射された赤色(R)の光束は、第1のビームスプリッタ242Rを透過して赤色の液晶表示装置70Rに照射されこの赤色の液晶表示装置70Rで反射されることで画像情報に基づいて変調された後、第1のビームスプリッタ242Rで反射されクロスダイクロイックプリズム279に導かれる。
照明手段212から画像形成手段214に出射された緑色(G)の光束は、第2のビームスプリッタ242Gを透過して緑色の液晶表示装置70Gに照射されこの緑色の液晶表示装置70Gで反射されることで画像情報に基づいて変調された後、第2のビームスプリッタ242Gで反射されクロスダイクロイックプリズム279に導かれる。
照明手段212から画像形成手段214に出射された青色(B)の光束は、第3のビームスプリッタ242Bを透過して青色の液晶表示装置70Bに照射されこの青色の液晶表示装置70Bで反射されることで画像情報に基づいて変調された後、第3のビームスプリッタ242Bで反射されクロスダイクロイックプリズム279に導かれる。
クロスダイクロイックプリズム279に導かれた3色の光束は、クロスダイクロイックプリズム279によって1つの画像投影光束として合成される。
なお、本実施の形態では、第1〜第3のビームスプリッタ242R,242G,242Bと、3つの反射型の液晶表示装置70R,70G,70Bと、クロスダイクロイックプリズム279で画像形成手段214を構成した場合について説明したが、画像形成手段214は本構成に限定されるものではなく、公知の様々な構成を適用できる。
図5に示すように、反射ミラー216と、入射レンズ217と、投射レンズ218とは第2のハウジング202Bに組み付けられている。第2のハウジング202Bは、画像形成手段214とともに支持ブロック204に一体的に結合されている。
これら反射ミラー216と、入射レンズ217と、投射レンズ218と、第2のハウジング202Bと、画像形成手段214とにより画像出射側ユニット3bが構成され、画像出射側ユニット3bと光源側ユニット3aとは別体であり、画像出射側ユニット3bは光源側ユニット3aから切り離されている。
換言すると、画像形成手段214から投射レンズ218に至る部分は、それら画像形成手段214から投射レンズ218に至る部分を除く残りのプロジェクタユニット3の残存部部分である光源側ユニット3aに対して切り離され、かつ、画像形成手段214から投射レンズ218に至る部分は一体的に結合されて画像出射側ユニット3bが構成されている。
入射レンズ217は、クロスダイクロイックプリズム279から導かれる画像投影光束が入射されるものである。反射ミラー216は、その反射面216aが入射レンズ217の光軸に対して上方に45度傾斜するように配置されている。投射レンズ218は、その光軸が反射面216aに対して45度をなすように反射ミラー216の上方に配置されている。
すなわち、画像形成手段214から投射レンズ218に至る画像投影光束の光路は、画像形成手段214から直線状に延在する第1の光路L1と、投射レンズ218の光軸と合致する第2の光路L2と、それら光路L1、L2の交差する箇所に配置されそれら光路L1,L2を屈曲させる反射面216aとで構成されており、第1の光路L1と第2の光路L2がなす角度が90度となっている。
したがって、クロスダイクロイックプリズム279から導かれる画像投影光束は、入射レンズ217を介して反射面216aで上方に90度屈曲され、投射レンズ218を介して反射ミラー240に照射され、反射ミラー240によってスクリーン50の背面に投射され結像されることによりスクリーン50の前面にカラー画像が形成される。
図6および図7に示すように、支持ブロック204は、画像形成手段214から投射レンズ218に到る長さを有し、画像形成手段214と第2のハウンジング22は支持ブロック204の上面204Aに取り付けられている。支持ブロック204の上面204Bには、軸受け孔250が設けられ、また、軸受け孔250の周囲の上面204Bの4箇所には取付け座256が膨出形成され、取付け座256の下面がフレーム30で支持される被支持面256Aとして形成されている。各取付け座256には、軸受け孔250を中心とする円周上を延在する長孔258が形成されている。軸受け孔250から離れた支持ブロック204の箇所に偏心ピン260用の偏心ピン挿通孔262が形成されている。偏心ピン260を支持ブロック204の偏心ピン挿通孔262とベース部材28の偏心ピン挿通孔とにわたり挿通する。
<液晶表示部の構成:反射型(短辺出し)>
図8は、反射型の液晶表示装置70の概略構成を示す図である。ここでは、液晶表示パネルに注目した斜視図を示している。
図8に示すように、液晶表示装置70R,70G,70Bは、矩形板状を呈しその厚さ方向の一方の面に画像が表示される矩形状の液晶表示パネル110が形成され、液晶表示パネル110に表示させるための画像信号(駆動信号)や電源を供給するフィルム基板160(フレキシブル基板)が設けられている。フレーム140や遮光板150やフィルム基板160が設けられる点や、好ましくはフィルム基板160上に駆動用IC170が設けられる点、あるいはその製造方法に関しては、図3に示した透過型の液晶表示装置70の場合と概ね同様である。
液晶表示パネル110は、たとえばアスペクト比が4:3あるいは16:9のものが使用される。そして、光学系の関係から、図8に示すように、短辺側に対してフィルム基板160を接続するようになっている。このような構成を短辺出しの構成と称する。短辺出しの構成の場合、短辺(アスペクト比の3あるいは9)側に水平駆動部306が配置され水平駆動部306の選択スイッチ306Aを介して映像信号が画素容量376に入力され短辺方向に信号線が引き回される。また、長辺(アスペクト比の4あるいは16)側に垂直駆動部305が配置され垂直駆動部305の出力バッファ305Aを介して走査用の制御信号が画素トランジスタ372に入力される。この点においては、図3に示した透過型の液晶表示装置70の場合と異なる。なお、図示を割愛するが、反射型の液晶表示装置70の場合においても、前述の透過型の液晶表示装置70の場合と同様に長辺出しの構成とすることもできる。
短辺出しの構成の場合、長辺側にフィルム基板160を接続する図3に示した構成に比べ、走査線のスキャン方向をフィルム基板160の接続に合わせて90度回転させた場合、アスペクト比4:3の表示装置においては、水平ブランキング期間H_blkの回数が4/3倍に増加し、ドットクロックも4/3倍になってしまうし、アスペクト比16:9の表示装置においては、水平ブランキング期間H_blkの回数が16/9倍に増加し、ドットクロックも16/9倍になってしまい、システムコストがさらに上昇してしまう。詳細は後述するが、本実施形態の駆動回路においては、この点を考慮した高速駆動の仕組みを採る。なお、本実施形態の高速駆動の仕組みは、短辺出しの構成の場合に限らず長辺出しの構成にも適用できる。
ここで、反射型の液晶表示装置70(液晶表示パネル110)としては、たとえば単結晶シリコン基板上にフルHDTV(1920H×1080V)解像度の画素を配列し、高コントラスト比(たとえば3000:1を超える)を実現したプロジェクタ用液晶ディスプレイデバイスであるSXRD(Silicon X-tal Reflective Display)を使用するのが好ましい。
SXRDは、アルミニウムミラーが配列された単結晶シリコンを駆動素子とする反射型液晶ディスプレイデバイスであり、たとえば、200万画素フルHDTV映像などの高精細な画質、高温ポリシリコン液晶やLCOS(Liquid Crystal 0n Silicon)よりも薄い2μm以下の液晶セル厚にした高コントラストと高速応答、無機配向膜の採用による耐久性の向上(高信頼性)などの特徴を有する。
<液晶表示装置の回路構成>
図9および図9Aは、電気光学素子として液晶セルを用いてなる液晶表示装置の一実施形態の回路構成の概略を示す図である。ここで、図9は回路構成の全体の概略を示し、図9Aは長辺出しの構成と短辺出しの構成の相違を説明する図である。
図9に示すように、液晶表示装置70は、基板302の上に、画素アレイ部303、第1の駆動制御部(行駆動部)である垂直駆動部305、第2の駆動制御部(列駆動部)である水平駆動部306、レベルシフタ部(L/S)307、外部接続用の端子部(パッド部)8などが集積形成されている。すなわち、垂直駆動部305、水平駆動部306、およびレベルシフタ部307などの周辺駆動回路が、画素アレイ部303と同一の基板302上に形成された構成となっている。
画素アレイ部303は、左右両側から垂直駆動部305で駆動されるようになっている。端子部308には、液晶表示装置70の外部に配された駆動ICから、種々のパルス信号が供給されるようになっている。
一例としては、シフトスタートパルスINの他に、クロックパルスCKおよびクロックパルスxCK(CKを論理反転したもの)、スタンバイ信号STB(あるいはSTBを論理反転したxSTB)、イネーブルパルスENなど必要なパルス信号が供給される。
端子部308の各端子は、配線309を介し、垂直駆動部305や水平駆動部306に接続されるようになっている。たとえば、端子部308に供給された各パルスは、レベルシフタ部307で電圧レベルを内部的に調整した後、バッファを介して垂直駆動部305や水平駆動部306に供給される。
なお、図示した例では、垂直駆動部305のみがレベルシフタ部307を介するようにしている。垂直駆動部305は線順次で画素アレイ部303を走査するとともに、これに同期して水平駆動部306が画像信号を画素アレイ部303に書き込む。
画素アレイ部303は、図示を割愛するが、1対の基板302と両者の間に保持された液晶とを備えたパネル構造を有する。たとえば、画素トランジスタなどを含む画素が、透明絶縁基板、たとえば第1のガラス基板(駆動側基板)上に行列状に2次元配置され、この画素配列に対して行ごとに走査線が配線されるとともに、列ごとに信号線が配線された構成となっている。第1のガラス基板は、第2のガラス基板(対向側基板)と所定の間隙を持って対向配置されるとともに、図示しないシール剤を介して貼り合わされている。そして、そのシール剤の位置よりも内側の領域に液晶材料が封入されることになる。
画素アレイ部303には、走査線(ゲート線)312と信号線(データ線)314が形成されている。両者の交差部には画素電極とこれを駆動する薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)が形成される。なお、図示を割愛するが、画素セル330の構成によっては、さらにプリチャージ線が形成されることもある。
画素電極と薄膜トランジスタの組み合わせで画素セル330を構成する。画素セル330は、一例として、セル数比であるアスペクト比が4(1024H):3(768V)あるいは16(1920H):9(1080V)の横長サイズとなっている。長辺出しの構成の場合、図9A(A)に示すように、アスペクト比が3あるいは9の側に垂直駆動部305が配置され、アスペクト比が4あるいは16の側に水平駆動部306が配置されるのに対して、短辺出しの構成の場合、図9A(B)に示すように、アスペクト比が4あるいは16の側に垂直駆動部305が配置され、アスペクト比が3あるいは9の側に水平駆動部306が配置される。
垂直駆動部305は、走査線(走査配線)312を介して各画素セル330を順次選択する。水平駆動部306は、選択された画素セル330に対し信号線(信号配線)314を介して画像信号を書き込む。水平駆動部306は、シフトレジスタやサンプリングスイッチ(水平スイッチ)などによって構成され、垂直駆動部305によって選択された行の各画素セル330に対して画素単位で映像信号を書き込む。
たとえば、垂直駆動部305は、論理ゲートの組合せ(ラッチも含む)によって構成され、画素アレイ部303の各画素セル330を行単位で選択する。これに応じて、水平駆動部306から映像信号を画素セル330の表示機能に関わる組成物を具備する記憶素子(画素容量)に書き込む。
なお、図9では、画素アレイ部303の一方側にのみ垂直駆動部305を配置する構成を示しているが、画素アレイ部303を挟んで左右両側に垂直駆動部305を配置する構成を採ることも可能である。
なお、ここでは、選択行の各画素セル330に対して映像信号を画素単位で書き込む点順次駆動を例に挙げたが、選択行の各画素セル330に対して映像信号を行単位で書き込む線順次駆動を採ることも可能である。
<駆動回路と駆動方法:長辺出し>
図10は、1つの画素セル330の詳細を示す図である。図11〜図12は、長辺出しの構成に適合した高速駆動対応の本実施形態の駆動回路を説明する図である。ここで、図11および図11Aは本実施形態の駆動回路の構成を説明する図である。図12は長辺出しの構成に適合した本実施形態の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。図13および図14は、長辺出しの構成に適合した比較例の駆動回路を説明する図である。ここで、図13は比較例の回路図である。図14は比較例の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。タイミングチャートはアスペクト比4(1024H):3(768V)の例で示している。図11および図11A並びに図13では、画素アレイ部303を構成する各画素セル330(画素回路)の回路構成のマトリクス構成が示されている。
画素セル330は、たとえば走査配線を介して駆動されるスイッチ手段としての薄膜トランジスタ(TFT)などで構成されたNMOS型の画素トランジスタ372と、この画素トランジスタ372のソース電極372Sに画素電極374aが接続された液晶セル374と、画素トランジスタ372のソース電極372Sに一方の電極376aが接続された画素容量(保持容量)376とを有する構成となっている。要するに、液晶セル374の他に、画素スイッチとしての1つの画素トランジスタ372と画素容量376とを備えて構成されている。
画素トランジスタ372は、ゲート電極372Gが走査線(ゲート線)312に接続され、ドレイン電極372Dが信号線(データ線)314に接続されている。走査線312には、垂直駆動部305内の出力バッファ305Aからゲート駆動信号Vg372 が供給され、信号線314には水平駆動部306内の選択スイッチ306Aを介して入力映像信号Video に対応する画素信号Vsig が供給されるようになっている。
また、たとえば、液晶セル374の対向電極374bが、図示しないコモン線に対して各画素セル330に共通に接続される。そして、液晶セル374の対向電極374bには、コモン線を介して固定駆動もしくは反転(交流)駆動するコモン電圧(対向電極電圧)が各画素セル330共通に与えられる。
また、画素容量376の他方の電極376bが、容量線318に対して各画素セル330に共通に接続される。電極376bには、容量線318を介して固定駆動する基準電圧(対向電極電圧)が各画素セル330共通に与えられる。この基準電圧は、液晶セル374の対向電極374bと同様にコモン電圧であってもよいし、接地(GND)電圧としてもよい。
画素信号Vsig としては、たとえば、液晶層に印加する電圧の極性を周期的に反転させる交流化駆動を行なうべく、基準電極としての対向電極374bに一定のコモン電圧(対向電極電圧)Vcom を印加し、画素電極374aに正極性と負極性の信号電圧を印加するべく、コモン電圧Vcom に対して、大きさがVaの正負の電圧(全体で2Vaの大きさ)を供給する。すなわち、画素セル330内でデータ反転ができないため、画素信号Vsig を外部のドライバでコモン電圧Vcom に対してデータ反転して入力することが必要である。交流化駆動を行なう目的は、直流電圧が液晶に印加されることによる劣化を防止するためである。
ここで、画素スイッチ1つと画素容量1つの計2素子で構成されている画素セル330を駆動する場合、典型的には、画素トランジスタ372のゲート電極372Gは、走査線312に供給されるゲート駆動信号Vg372 により制御される。
具体的には、ゲート駆動信号Vg372 がH(ハイ)レベルとなると、画素トランジスタ372は導通状態となり、画素トランジスタ372を介して、信号線314に供給される画素信号Vsig の電位が画素容量376にサンプリングされ、画素トランジスタ372のソース電極372Sの電位Vs372 が画素信号Vsig の電位と略同じにされる。すなわち、書き込まれた画素信号は液晶セル374や画素容量376に電荷として蓄積され、電荷が蓄積された液晶によって画素電極の表面で反射される投射光が変調され、表示が行なわれる。この表示は次に書き換えられるまで保持される。
なお、同様の回路構成を採りつつ、画素容量376の他方の電極376bに、この電極376bを交流駆動する画素電位制御信号Vcsを容量線318を介して供給することで、画素電極374aの電圧を変動させるようにしてもよい。このように、画素容量376に画素電位制御信号を供給して画素電極374aの電圧を変動させることにより、低耐圧の駆動回路で交流化駆動を可能とし、画素サイズおよび駆動回路の回路規模を小さくし高速駆動を可能にすることができる。
ここで、図11および図11Aに示す高速駆動対応の本実施形態の駆動回路では、先ず、垂直駆動部305の1つの出力バッファ305Aが複数ライン(図示した例では2ライン分)の画素セル330を同時に駆動するようにしている点に特徴を有する。その際の出力バッファ305Aからの配線の引回しとしては、図11に示すように、1つの出力バッファ305Aに対してライン別に走査線312a,312bを用意する横方向配線の形態を採ってもよい。
あるいは、図11Aに示すように、1つの出力バッファ305Aに対して1本の走査線312を用意し、同列の2つの画素トランジスタ372のゲート電極372G同士を縦方向配線で接続する形態を採ることで、複数ライン(図示した例では2ライン分)の画素セル330を同時に駆動するようにしてもよい。図11Aに示す構成でも、事実上、複数ライン分の走査線312を同時に駆動する構成となる。
このような1つの出力バッファ305Aが複数ラインの画素セル330を同時に駆動する構成に対応して、水平駆動部306側は、信号線314に関して画素信号Vsig を選択する選択スイッチ306Aを設けた回路構成を採りつつ、1つの出力バッファ305Aに対して、複数本(図示した例では2画素分)の信号線314a,314bを設けるようにしている点に特徴を有する。
つまり、複数行の画素セル330を同時に駆動する出力バッファ305Aを具備した垂直駆動部305と、出力バッファ305Aで同時に駆動される複数行の画素セル330に時系列で選択的に映像信号を伝達する選択スイッチ306Aを具備した水平駆動部306を備え、画素アレイ部303にはそれに対応した信号線314を複数本設け、複数(複数行)の画素セル330を同時駆動するとともに、複数本の信号線314を選択スイッチ306Aで切り替えることで、映像信号を時系列で画素セル330の画素容量376に書き込む構成となっている。
これに対して、図13に示す比較例の駆動回路においては、信号線314に関して画素信号Vsig を選択する選択スイッチ306Aを設けた回路構成を採りつつ、1つの出力バッファ305Aに対して、1本の信号線314を設けるようにしている。
図11および図11Aと図13との比較から分かるように、本実施形態の駆動回路においては、複数ライン(図示した例では2ライン分)の画素セル330を同時に駆動する構成とし、信号線314を比較例の2倍設け、各信号線314a,314bには、画素信号Vsig を選択する選択スイッチ306Aを設けた回路構成となっている。
画素信号Vsig を選択する選択スイッチ306Aを設けた回路構成との組合せにより、全体としては、2水平走査期間当たり1つの水平ブランキング期間H_blkを設けつつ、横方向(水平方向)に2画素分かつ縦方向(垂直方向)に2画素分を順次書き込むことができる。水平ブランキング期間を削減するため、複数本の信号線(314a,314b)を設け、それに対応した複数ライン分の走査線312を事実上同時に駆動し、水平ブランキング期間を削減することで、ドットクロックを低減し、システムコストを下げることができる。
画像表示装置の多画素数化並びに高フレームレート化とともに、ドットクロックが上昇し、システムコストが高くなってきている。特に、多画素化においては、水平期間に占める水平ブランキング期間の割合が高くなり、水平ブランキング期間の設定次第でドットクロックが大きく変わってしまう。
たとえば、図13に示す比較例の駆動回路を駆動する図14に示すタイミングチャートでは、1水平期間は、有効表示期間と水平ブランキング期間で構成されている。水平ブランキング期間は、走査線の立上りと立下りに必要な時間、信号線314から画素セル330に書き込む時間の他、必要に応じて、ユニフォーミティ向上のためにプリチャージ信号を書き込む時間で構成される。
この水平ブランキング期間を除いた有効表示時間に画素信号Vsig (映像信号)を書き込む必要があるので、水平ブランキング期間が長くなると、画素信号Vsig の転送速度すなわちドットクロックを早める必要がある。1水平期間から水平ブランキング期間を差し引いた有効期間内に、1走査線分の画素信号Vsig を書き込むことからドットクロックが決まる。このため、水平ブランキング期間が短い方がドットクロックを小さくできる。
一方、図11および図11Aに示す本実施形態の駆動回路を駆動する図12に示すタイミングチャートでは、2水平期間が、有効表示期間と水平ブランキング期間で構成されている。図11および図11Aに示す本実施形態の構成、すなわち走査線312を同時駆動するとともに、それに対応した信号線314を複数本設けることで、複数水平ライン(図示した例では2水平ライン)に1水平ブランキング期間でよい。2水平期間から水平ブランキング期間を差し引いた有効期間内に、2走査線分の画素信号Vsig を書き込むことからドットクロックが決まる。このため、比較例との対比においては水平ブランキング期間が間引かれたことになりドットクロックを低減できる。
走査線312の電位の立下げと立上げに伴うブランキング時間を低減できるので、有効表示期間が長く取れ、画素信号Vsig の転送速度すなわちドットクロックを低減することができる。その駆動手法も選択スイッチ306Aによる複数本の信号線(図示した例では314a,314b)の選択動作を比較例に対して変更するだけでよく、液晶表示基板としてだけではなく、装置全体の低コスト化に大きな効果をもたらすことができ、システムコストを低減することができる。
このような本実施形態の仕組みは、透過型の液晶プロジェクタ装置1では、複数本の信号線(図示した例では314a,314b)の引回しのため開口率を下げてしまうが、反射型の液晶プロジェクタ装置1では全く問題にならない。そういった点においては、本実施形態の仕組みは反射型の液晶プロジェクタ装置に適用するのが効果的であると言える。
信号線を複数に分けるという点に関しては、一見すると特許文献2に記載の仕組みと似通っているが、特許文献2に記載の仕組みでは、インターレス駆動タイミング時のフリッカ発生を防止することを目的として、画素を空間的にずらした上で、2本の信号線で、走査線を奇数ラインと偶数ラインとでずらして駆動する必要がある。本実施形態の仕組みでは、同時駆動対応の複数ラインの走査線と対応するように複数本の信号線を用意することで出力バッファ305Aをその分だけ低減できる。たとえば2ライン同時駆動にする際には2本の信号線を用意することで、出力バッファ305Aを半分にできる。
また、特開2003−76346号公報や特開2004−240192号公報に記載の仕組みでは、簡易な構成のデータ線選択駆動が提案されているが、本実施形態と異なり、走査線ではなく信号線を共有しているため、ドットクロックを低減することができず、システムコストも低減しない。
また、特開2005−208085号公報に記載の仕組みでは、補助信号線を使う仕組みが提案されているが、ダミー信号(補助信号)を使うのでコストアップになるが、本実施形態の仕組みではダミー信号を使わないので、そのようなコストアップは生じない。
<駆動回路と駆動方法:短辺出し>
図15〜図16は、短辺出しの構成に適合した高速駆動対応の本実施形態の駆動回路を説明する図である。ここで、図15および図15Aは本実施形態の駆動回路の構成を説明する図であり、図15は図11に対応し図15Aは図11Aに対応する。図16は短辺出しの構成に適合した本実施形態の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。図17および図18は、短辺出しの構成に適合した比較例の駆動回路を説明する図である。ここで、図17は比較例の回路図である。図18は比較例の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。タイミングチャートはアスペクト比4(1024H):3(768V)の例で示している。
図15と図11との対比、図15Aと図11Aとの対比、図17と図13との対比から分かるように、回路構成的には、フィルム基板160の接続(長辺出しか短辺出しかの相違)に合わせて紙面を90度回転させただけの違いである。
プロジェクタで用いられる反射型の液晶表示装置70に代表されるLCOS(Liquid Crystal On Silicon )では、光学系の関係から、図17に示す比較例のように、短辺方向にフィルム基板160を接続することが多く、長辺方向にフィルム基板160を接続する図13の場合に比べて、走査線のスキャン方向をフィルム基板160の接続に合わせて90度回転させた場合、水平ブランキング期間の回数がたとえば4/3倍や16/9倍に増加し、ドットクロックも4/3倍や16/9倍になってしまい、システムコストがさらに上昇してしまう。
このような短辺出しの構成においては、本実施形態の仕組みを適用したとしても、短辺方向にフィルム基板160を接続するので、駆動タイミングとしては、長辺方向にフレキフィルム基板160を接続する図12に示した場合に比べて、図16に示すように、アスペクト比4:3のときには水平ブランキング期間の回数が384回から512回へと増加する。
しかしながら、本実施形態の仕組みを適用すれば、たとえば2ライン同時駆動にする際には2本の信号線を用意することで出力バッファ305Aを半分にでき、図17に示す比較例との対比においては水平ブランキング期間が間引かれたことになりドットクロックを低減することができるので、システムコストを低減することができる。
そういった点においては、本実施形態の仕組みは、水平ブランキング期間の回数が大幅に増加してしまうことになる短辺出しの液晶表示装置70を具備する液晶プロジェクタ装置に適用するのが効果的であると言える。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、前述の実施形態では、垂直駆動部305の1つの出力バッファ305Aが2ライン分の画素セル330を同時に駆動するように事実上走査線を2本同時に駆動する例で説明したが、これに限らず、3本、4本とさらに同時に駆動する走査線の数を増加させてもよい。
1…液晶プロジェクタ装置、110…液晶表示パネル、140…フレーム、150…遮光板、160…フィルム基板、170…駆動用IC、3…プロジェクタユニット、305…垂直駆動部、305A…出力バッファ、306…水平駆動部、306A…選択スイッチ、307…レベルシフタ部、308…端子部、312…走査線、314…信号線、330…画素セル、372…画素トランジスタ、374…液晶セル、376…画素容量、5…光源、50…スクリーン、7…投写光学系、70…液晶表示装置、9…光学部材群