JP2008239563A - 口腔咽喉用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】含嗽液や洗口液等として使用することによって、口腔内及び咽喉の乾燥の防止又は軽減を可能とする口腔咽喉用組成物を提供すること。
【解決手段】油剤、2種以上のノニオン性界面活性剤、及び水を含有する口腔咽喉用乳化組成物。前記油剤が25℃で液状のものであることが好ましく、前記2種以上のノニオン性界面活性剤が、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤と、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤との組合せであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、含嗽液、洗口液等として使用可能な口腔咽喉用組成物に関する。
近年、口腔内の唾液の分泌量が減少することによって生じる、ドライマウス(口腔乾燥症)や舌痛症といった病気が問題となっている。
これらの病状にまで進行しなくとも、特に睡眠中、唾液の分泌量が減少したり口呼吸を行うことによって口腔内及び咽喉が乾燥しやすいことが知られている。一般に口腔内及び咽喉が乾燥すると、唾液による殺菌作用が低下して細菌が繁殖しやすくなるため、虫歯や歯周病が発症し、又はそれらの症状が悪化する可能性が高くなる。また、細菌増加により口臭も発生しやすくなったり、口腔内や咽喉に痛みや炎症を惹起するといった不都合も生じる。
さらに、就寝中などは唾液の分泌量が減るため、咽喉が乾燥してウイルスが増殖しやすくなる。また、風邪などで咽喉が炎症を起こしているときには、粘膜の乾燥により痛みなどを伴い非常に不快である。
従来、口腔内や咽喉の洗浄、殺菌又は消毒、口臭の除去、口腔内への清涼感の付与等を目的として、殺菌剤や清涼剤を配合した種々の含嗽液や、洗口液等の口腔咽喉用組成物が使用されている(特許文献1〜4等を参照)。
特許文献1では、エタノール、非イオン性界面活性剤、トリ脂肪酸グリセリル、多価アルコール及び水からなるエマルジョンである液体口腔用組成物が、清涼感や口臭予防実感を付与しながら、エタノール由来の刺激を抑えることが記載されている。
特許文献2では、水、油溶性成分及び界面活性剤を含有し、口腔用製品に適用可能な透明液状組成物によって界面活性剤の含有量を低減し得ることが記載されている。
特許文献3では、多糖類であるジェランガム、非イオン性界面活性剤、及び薬効成分を配合した口腔用液体組成物によって、ジェランガムが安定に配合され、かつ薬効成分が口腔内に十分滞留することが開示されている。
特許文献4には、精製水により予め規定量に希釈され、塩化セチルピリジニウム及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有し、非イオン性界面活性剤により保存安定化を図り、pH調整を行って溶液の退色防止を図った、うがい薬が記載されている。
特開2005−179231号公報 特開2001−303020号公報 特開平8−3074号公報 特開2004−51511号公報
しかしながら、従来の口腔咽喉用組成物は口腔内や咽喉の洗浄、殺菌又は消毒、口臭の除去、口腔内への清涼感の付与等を目的としたものであり、当該組成物によって、口腔内や咽喉の乾燥を十分に防止することは不可能であった。
本発明は、上記現状に鑑み、例えば含嗽液や洗口液等として使用することによって、口腔内及び咽喉の乾燥の防止又は軽減を可能とする口腔咽喉用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、油剤、2種以上のノニオン性界面活性剤、及び水を含有する乳化物によって構成した口腔咽喉用組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、油剤、2種以上のノニオン性界面活性剤、及び水を含有することを特徴とする口腔咽喉用乳化組成物である。
本発明において、前記油剤が25℃で液状のものであることが好ましく、また、前記2種以上のノニオン性界面活性剤が、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤と、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤との組合せであることが好ましい。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物は、さらに、殺菌剤を含有することが好ましい。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物は、例えば含嗽液や洗口液等として使用することができ、それによって、口腔内及び咽喉の乾燥を防止又は軽減することができるので、乾燥による咽喉の痛みや炎症、風邪などを予防したり、ドライマウスや舌痛症を治療又は予防したりすることができる。また、使用者が水で希釈せずにそのまま使用できる処方を採用することが可能である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物は、少なくとも、油剤、2種以上のノニオン性界面活性剤、及び水を含有し、必要により薬効成分、高級アルコール、及び/又は、他の界面活性剤を含有してもよい乳化物(エマルジョン)である。具体的にはO/W型の乳化物、いわゆる親水型エマルジョンである。口腔咽喉用組成物を乳化物とすることによって、口腔内粘膜及び咽喉粘膜を油剤で効率よく被覆できるので、これによって口腔内及び咽喉の乾燥を防止することができるようになる。
油剤は、医薬品や医薬部外品等において通常用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、オリーブ油、小麦胚芽油、こめ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油等の植物油、ラード、魚油、スクワラン、蜜蝋等の動物油、流動パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等の鉱物油、大豆レシチン等のレシチン誘導体、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、カロチン、レチノール等のビタミンA類、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジメチルシリコーン、環状シリコーン等のシリコーン類、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸類、エチニルエストラジオール等のホルモン類、ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油等の精油類等が挙げられる。油剤は1種類のみを使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
なかでも油剤は口腔内及び咽喉の乾燥防止のためにそれらの粘膜を被覆する必要があるので非揮発性油が好ましい。非揮発性油の中でも25℃で液状の油剤を使用することがより好ましく、植物油、動物油、鉱物油がさらに好ましい。これによって、口腔内及び咽喉の乾燥をより有効に防止することができる。また、本発明の口腔咽喉用乳化組成物でうがいをする際にうがいがより容易になるという点でも好ましい。
油剤の配合量は、その種類、さらには界面活性剤の種類及び配合量に応じて適宜設定されるべきものであり、特に限定されないが、例えば25℃で液状の油剤を使用する場合には、組成物全重量に対して0.1〜30重量%程度であればよい。口腔内及び咽喉の乾燥防止の観点から0.5〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜15重量%である。また例えば25℃で固体の油剤を使用する場合には、組成物全重量に対して0.1〜20重量%程度であればよく、好ましくは1〜5重量%である。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物には、ノニオン性界面活性剤が少なくとも2種配合される。本発明で使用可能なノニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖グリセリド脂肪酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノオリーブ油脂肪酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、テトラベヘン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、デカマカデミアナッツ油脂肪酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート85等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ラウリン酸ソルベス、ヘキサステアリン酸ソルベス、テトラステアリン酸ソルベス、テトラオレイン酸ソルベス等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノステアリン酸POE(5)グリセリル、モノステアリン酸POE(15)グリセリル、モノオレイン酸POE(5)グリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤は2種類以上を併用すればよく、2種類のみの併用であってもよいし、3種類の併用であってもよい。また、それ以上の種類の併用であってもよい。
ノニオン性界面活性剤の合計配合量は特に限定されないが、例えば25℃で液状の油剤を使用する場合には、油剤の総重量とノニオン性界面活性剤の総重量との割合が1:0.01〜1:5の範囲内となるような量が好ましい。口腔内及び咽喉の乾燥防止の観点から、1:0.1〜1:3.5がより好ましく、さらに好ましくは1:0.3〜1:1.5である。また例えば25℃で固体の油剤を使用する場合には、油剤の総重量とノニオン性界面活性剤の総重量との割合が1:0.1〜1:30の範囲内となるような量が好ましく、さらに好ましくは1:1〜1:20である。
2種類以上のノニオン性界面活性剤の組合せは特に限定されないが、乳化組成物中で均一な大きさのミセルを形成し、油剤を口腔内粘膜及び咽喉粘膜に均一に行き渡らせることができる点から、HLB値が5未満のもの、5以上12未満のもの、及び12以上のものからなる群から2種類以上組み合わせることが好ましく、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤と、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤との組合せがより好ましい。ここで、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤としては、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘキサステアリン酸ソルベス、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール等が挙げられ、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤としては、ショ糖パルミチン酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウリン酸ソルベス、テトラステアリン酸ソルベス、モノステアリン酸POE(15)グリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤としては1種類のみを使用してもよいし、複種類を併用してもよい。また、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤としても1種類のみを使用してもよいし、複種類を併用してもよい。
具体的な組合せとしては、HLB値が5未満のソルビタン脂肪酸エステルと、HLB値が12以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとの組合せが挙げられる。
前記組合せにおいて、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤の総重量と、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤の総重量との割合は特に限定されないが、1:0.1〜1:30程度であってよく、好ましくは1:1〜1:10である。
好ましい態様では、例えば25℃で液状の油剤を使用する場合には、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤は組成物全重量に対する総配合量が0.2〜1.0重量%であり、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤は組成物全重量に対する総配合量が1.0〜5.0重量%である。
なお、本発明においてHLB値は、Daviesの式であるHLB=7+Σ(親水基の基数)−Σ(親油基の基数)によって算出した値をいう。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物には、殺菌、消毒、抗炎症、口臭除去などその目的に応じて、薬効成分を配合することもできる。特に限定されないが、例えば、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のカチオン性殺菌剤や、ポピドンヨード等の殺菌剤や、アズレンスルホン酸ナトリウム、アミノカプロン酸、アラントイン、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体等の抗炎症剤、抗生物質等を使用できる。薬効成分は1種類のみを使用してもよいし、複種類を併用してもよい。薬効成分の配合量は特に限定されないが、例えば、0.01〜5重量%程度である。
さらに、本発明の口腔咽喉用乳化組成物には、高級アルコールを配合することができる。高級アルコールとは炭素数6以上の脂肪族アルコールのことをいうが、本発明では特に炭素数12〜18程度のものを好ましく使用することができる。具体的には、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキサデシルアルコール等が挙げられる。高級アルコールは1種類のみを使用してもよいし、複種類を併用してもよい。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物においては、高級アルコールを適量配合すると粘度を高めることができ、これによって、本発明の組成物が有する口腔内及び咽喉の乾燥防止効果をより向上させることができる。さらには、うがいのしやすさについても向上する。この観点から、高級アルコールの好ましい配合量は、組成物全重量に対して0.1〜10重量%程度であり、より好ましくは0.5〜3重量%程度である。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物には、前記ノニオン性界面活性剤以外の他の界面活性剤、すなわちカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などを配合してもよい。ただし、カチオン性界面活性剤を多く配合すると苦味等の刺激を感じ含嗽液や洗口液等としての使用が困難になるので、配合量は少ないほうが好ましい。具体的な配合量としては、例えば、組成物全重量に対して1.5重量%未満である。
例えばカチオン性界面活性剤であれば、ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、POEステアリルアミン、POEオレイルアミン、POEステアリン酸アミド、POEオレイン酸アミド等が配合される。また例えばアニオン性界面活性剤であれば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ジPOEアルキルエーテルリン酸、トリアルキルエーテルリン酸等が配合される。
また、本発明の口腔咽喉用組成物には、例えば溶解補助剤、湿潤剤、pH調整剤、増粘剤、安定剤、防腐剤、緩衝剤、矯味剤、甘味剤、香料、着色剤等を配合してもよい。
溶解補助剤としては特に制限されないが、例えば、エタノール、ジブチルヒドロキシトルエン、セバシン酸ジエチル、トリアセチン、ニコチン酸アミド、プロピオン酸、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、ヨウ化カリウム、ラウロマクロゴール、濃グリセリン等が挙げられる。
湿潤剤としては特に制限されないが、例えば、ヒアルロン酸、塩化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、グリセリン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
pH調整剤としては特に制限されないが、例えば、リン酸水素ナトリウム、塩酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、無水クエン酸、無水リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
増粘剤としては特に限定されないが、例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、ゼラチン、デキストリン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、マクロゴール400、マクロゴール6000、ロジン等が挙げられる。
安定剤としては特に制限されないが、例えば、エデト酸カルシウム二ナトリウム、ケイヒ末、サリチル酸フェニル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、フェナセチン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、塩化ナトリウム、含水二酸化ケイ素、結晶セルロール、乳糖等が挙げられる。
防腐剤としては特に制限されないが、例えば、アンソッコウチンキ、エデト酸ナトリウム、ソルビン酸、チモール、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、パラホルムアルデヒド、フェノール、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
緩衝剤としては特に制限されないが、例えば、dl−リンゴ酸、L−グルタミン酸ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
矯味剤としては特に制限されないが、例えば、l−メントール、dl−メントール、d−カンフル、d−ボルネオール、β−シクロデキストリン、オイゲノール、カンゾウエキス、グリチルリチン酸二カリウム、シンナムアルデヒド、ミルラ流エキス、リュウノウ、リンゲル液、脱脂粉乳等が挙げられる。
甘味剤としては特に制限されないが、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、アスパルテーム、キシリトール、サッカリンナトリウム、ハチミツ、ブドウ糖、還元麦芽糖水あめ、白糖等が挙げられる。
香料としては特に制限されないが、例えば、イソ吉草酸イソアミル、サリチル酸メチル、ハッカ水、バニリン、ヘスペリジン、ペパーミントエッセンス等が挙げられる。
着色剤としては特に制限されないが、例えば、リボフラビン、銅クロロフィリンナトリウム等が挙げられる。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物はO/W型の乳化物とすることが好ましいので、組成物全重量に対して、水がおよそ50重量%以上を占めることが好ましい。より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上である。水の配合量の上限は特に限定されないが、およそ99.8重量%以下であればよい。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物が示す粘度については特に限定されないが、上述のようにある程度高いほうが好ましい。しかしながら高すぎるとかえって乾燥防止効果が低下するので、2300cP以下の粘度が好ましく、1600cP以下がより好ましく、900cP以下がさらに好ましい。一方、うがいのしやすさについても併せ考慮すると、150cP以下が最も好ましい。粘度の下限については良好な乾燥防止効果を達成するために、10cP程度以上が好ましい。
粘度の測定は、B型粘度計であるデジタル粘度計(型名:DV−II+、ブルックフィールド社製)を用いて行った。スピンドルとしてはULAを用い、回転速度3rpmで20℃における粘度を測定した。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することが可能である。まず薬効成分や矯味剤等の水溶性成分を水に溶解し60〜80℃程度に加熱したものと、別途、油剤、界面活性剤、高級アルコール等を混合して60〜80℃程度に加熱したものとを混合し、室温〜40℃程度に冷却する。得られた混合物に、溶解補助剤や、香料等をさらに添加し、必要に応じて水を追加した後、周知の方法により乳化を行うことによって本発明の乳化物を得る。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物は、油剤に由来する油膜が口腔内粘膜及び咽喉粘膜を被覆することによってそれらの乾燥を防止するものと考えられる。したがって、乳化物を口腔内粘膜及び/又は咽喉粘膜に適用することができる形態であればその剤型は特に限定されず、具体的には、含嗽液、洗口液、歯磨き剤、口腔内粘膜又は咽喉内粘膜への塗り薬、マウススプレー剤、口腔咽喉用スプレー剤等、種々の剤型を採用することが可能である。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物は、使用直前に水を用いて規定量に希釈することを前提とした濃縮液タイプの製剤として調剤することもできるが、予め規定量で調剤され使用時に希釈を必要としないタイプの製剤として処方することもできる。後者のほうが乾燥防止という効果の点では優れており、かつ使用者にとって便宜がよく、また、希釈時に計量の誤りが生じることがないので好ましい。
本発明の口腔咽喉用乳化組成物は、従来の含嗽液や洗口液と同様の、口腔内や咽喉の洗浄、殺菌又は消毒、口臭の除去、口腔内への清涼感の付与等に加えて、口腔内及び咽喉の乾燥の防止又は軽減を効能としたものであってもよいし、口腔内及び咽喉の乾燥の防止又は軽減のみを効能としたものであってもよい。特に就寝前に使用する形態の場合、口腔内及び咽喉を睡眠中潤し続けることになるので、唾液分泌量の減少や口呼吸に起因する乾燥から口腔内及び咽喉を保護することができ、好ましい。また、口腔内及び咽喉の乾燥と密接に関連する、風邪、咽喉痛、扁桃炎、虫歯、歯周病、口臭、ドライマウス(口腔乾燥症)、舌痛症等の治療や予防にも有用である。
以下に実施例を掲げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各表中の配合量は最終組成物100mL中の配合量(g)である。
実施例1〜31及び比較例1〜22
表1〜4に記載の処方に従い、増粘剤を配合する場合には水の一部に増粘剤を溶解し80℃に加熱して水系組成物(増粘剤を配合しない場合は水のみを水系組成物とする)を得た。別途油剤および界面活性剤の一部を混合して80℃に加熱して油系組成物を得た。この水系組成物と油系組成物を80℃の状態で混合し、120rpmの回転で撹拌しながら40℃まで冷却させた。残りの界面活性剤を水に溶解し、得られた混合物に添加した後、撹拌して、白濁した組成物を得た。
なお、各ノニオン性界面活性剤のHLBは以下のとおりである。
セスキオレイン酸ソルビタン 3.7
モノステアリン酸ソルビタン 4.7
モノパルミチン酸ソルビタン 6.7
ポリソルベート60 14.9
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 14.0
カチオン性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(HLB=14.0)を使用し、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム(HLB=17.0)を使用した。
官能試験は、就寝前に前記乳液10mLをそのままコップに入れて口に含み、通常通りうがいをし、うがいのしやすさについて満足又は不満足によって評価した。この後、喉の乾燥防止効果については、翌朝の起床時に喉の乾燥防止度合いの満足または不満足を評価した。
ドライマウスの改善効果については、就寝前に前記乳液10mLを口に含み、口内をすすいで行き渡らせた後、乳液を吐き出して、翌朝の口の乾燥度合いの満足又は不満足を評価した。
この官能試験はそれぞれ20名の被験者が行い、満足と評価した人数によって下記のように分類した。結果を表1〜4に示す。
◎◎:15名以上が満足と評価
◎ :10〜14名が満足と評価
○ :6〜9名が満足と評価
× :5名以下が満足と評価
Figure 2008239563
Figure 2008239563
Figure 2008239563
Figure 2008239563
表1及び表2から明らかなように、油剤とノニオン性界面活性剤2種以上を含有するO/W型乳液である実施例1〜31に関しては、うがいのしやすさ、喉の乾燥防止、及びドライマウスの改善効果すべての点において良好な結果が得られた。特に、油剤が25℃で液状のもので、ノニオン性界面活性がHLB5未満のものと12以上のものとの組合せであり、かつ油剤とノニオン性界面活性剤との重量比が1:0.3〜1:1.5の範囲内にある実施例1〜11において、きわめて優れた結果を得ることができた。
表3及び4の比較例1〜4、17及び18はノニオン界面活性剤の代わりにカチオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤を使用したものであり、比較例5〜16はノニオン性界面活性剤を1種類のみ使用しているものであり、比較例19〜22は油剤の代わりに各種増粘剤を使用したものである。比較例11、12、17及び18においては、1.5〜3.0重量%のカチオン性界面活性剤が配合されており、その苦味などの刺激を感じ、好適にうがい又は口内のすすぎをすることができなかった。比較例13、14、15及び16においては、アニオン性界面活性剤が配合されており、あわ立ちやすく乳液の接触面積が少なくなったため均一に塗布することができず喉の乾燥防止効果及びドライマウスの改善効果の評価が悪かった。比較例19、20、21及び22においては、増粘剤が配合されており使用直後の乾燥防止効果はよいが、経時的に増粘剤が被膜を形成し、より乾燥感を感じてしまい、喉の乾燥防止効果及びドライマウスの改善効果の評価が悪かった。
実施例32〜44
表5記載の処方に従い、水の一部に有効成分又は増粘剤を溶解し80℃に加熱して水系組成物を得た。別途、油剤、界面活性剤の一部、高級アルコールを混合して80℃に加熱して油系組成物を得た。この水系組成物と油系組成物を80℃の状態で混合し、120rpmの回転で撹拌しながら40℃まで冷却させた。残りの界面活性剤を水に溶解し、得られた混合物に添加した後、撹拌して、白濁した組成物を得た。得られた組成物について、前述のとおり、官能試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 2008239563
表5から明らかなとおり、有効成分として殺菌剤や、増粘剤又は高級アルコールを追加配合しても、うがいのしやすさ、喉の乾燥防止、及びドライマウスの改善効果に関して良好な結果が得られた。特に高級アルコールの配合によって、うがいのしやすさ、及び喉の乾燥防止が大きく改善された。例えば、実施例4と実施例38とを対比すると、実施例4では喉の乾燥防止に関して満足と評価した被験者は15名だったのに対し、実施例38では19名であった。これはセタノールの配合によって、乳液の粘度が14.5cPから40cPに増加したためと考えられる。同様に実施例15と実施例37とを対比すると、実施例15(粘度650cP)では満足と評価した被験者が10名だったのに対し、実施例37(粘度820cP)では14名であった。
実施例45〜53
実施例1〜9と同じ組成で同様の手順により白濁組成物を製造し、同様の官能試験を行った。ただし、前記組成物そのものでうがい又は口内のすすぎをするのではなく、前記組成物1mLを、水で50倍に希釈したもの(50mL)を用いてうがい又は口内のすすぎをした。結果を表6に示す。
Figure 2008239563
表6で示したとおり、水で希釈したものを使用しても喉の乾燥防止、及びドライマウスの改善効果に関して良好な結果が得られた。
以下に、本発明の口腔咽喉用乳化組成物を含嗽液又は洗口液として処方した場合の例を示す。
処方例1 <含嗽液>
実施例1等と同様に水系組成物と油系組成物を調製し、その後、両者を混合して乳化組成物を調製した。
以下の数値は乳化組成物100mL中の配合量(g)である。
塩化セチルピリジニウム 0.005
l−メントール 0.05
モノステアリン酸ソルビタン 0.6
ポリソルベート60 2.0
セタノール70 1.0
流動パラフィン 3.0
キシリトール 5.0
エタノール 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
香料 0.1
水 残部
使用方法:1回につき10mLを使用して、1日数回うがいをする。
処方例2〜24
処方例1と同様に、表7及び8記載の処方に従って含嗽液を調製した。
Figure 2008239563
Figure 2008239563
処方例25 <洗口液>
実施例1等と同様に水系組成物と油系組成物を調製し、その後、両者を混合して乳化組成物を調製した。
以下の数値は乳液100mLの配合量(g)である。
ヒアルロン酸 0.001
モノステアリン酸ソルビタン 0.4
ポリソルベート60 1.6
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
セタノール 1.0
流動パラフィン 3.5
ソルビトール 7.0
濃グリセリン 5.0
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
水 残部
使用方法:1回につき10mLを使用して、1日数回洗口する。
処方例26〜48
処方例25と同様に、表9及び10記載の処方に従って洗口液を調製した。
Figure 2008239563
Figure 2008239563

Claims (4)

  1. 油剤、2種以上のノニオン性界面活性剤、及び水を含有することを特徴とする口腔咽喉用乳化組成物。
  2. 前記油剤が25℃で液状のものである、請求項1記載の口腔咽喉用乳化組成物。
  3. 前記2種以上のノニオン性界面活性剤が、HLB値が5未満のノニオン性界面活性剤と、HLB値が12以上のノニオン性界面活性剤との組合せである、請求項1又は2記載の口腔咽喉用乳化組成物。
  4. さらに、殺菌剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに口腔咽喉用乳化組成物。
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