JP2008239374A - 酸化物磁性材料及びノイズフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在すると共に、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることが可能な酸化物磁性材料を提供すること。
【解決手段】ノイズフィルタ1は、コア3を備えている。コア3は、酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び酸化銅(CuO)を主成分として含有するフェライト材料の焼結体からなる。この主成分の組成は、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOである。コア3は、副成分として、酸化ケイ素(SiO)単独で含有している。SiOは、主成分全量に対して0.1〜5.0wt%の範囲で含有されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物磁性材料、及び、この酸化物磁性材料からなる焼結体を備えるノイズフィルタに関する。
10MHz以上の高周波帯域の信号成分の伝送を除去するノイズフィルタとして、主成分の組成が、MgO:20〜35mol%、ZnO:10〜20mol%、MnO:3〜10mol%、及びFe23:40〜50mol%であり、副成分助剤としてCuO及びBi23を各0〜2重量%有するフェライト(ソフトフェライト)材料からなる磁性コアを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−283223号公報
フェライト材料では、磁気損失は複素透磁率の虚数成分μ’’により発生する。フェライト材料を用いたノイズフィルタでは、フェライト材料の虚数成分μ’’により、ノイズを損失として熱エネルギーに変換し、ノイズ吸収効果を生じさせている。このフェライトの虚数成分μ’’は、周波数分散特性を有しており、ノイズ吸収効果が現われる周波数帯域は、虚数成分μ’’の周波数分散に依存する。
本発明は、複素透磁率の虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在すると共に、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることが可能な酸化物磁性材料及びノイズフィルタを提供することを課題とする。
10MHz以上の高周波帯域においてノイズ吸収効果を得るためには、虚数成分μ’’が最大値となるピーク周波数を10MHz以上とする必要がある。ソフトフェライト材料におけるスヌークの限界として知られるように、100kHzでの初透磁率μと虚数成分μ’’のピーク周波数とは反比例の関係にあり、一義的に決まることになる。このため、虚数成分μ’’のピーク周波数を10MHz以上とするためには、フェライト材料の初透磁率μが150以下である組成が必要となる。
本発明者等は、まず、初透磁率μが150以下であるフェライト材料の組成を実現するにあたり、以下のことを鋭意検討した。すなわち、初透磁率μが150以下であるフェライト材料の組成を実現するためには、フェライト材料の主成分(副成分を含有しない)の初透磁率μが150〜250の範囲にある組成を実現すること、及び、添加することにより初透磁率μが150以下となる副成分の組成を実現すること、が必要となる。
かかる検討結果を踏まえ、本発明に係る酸化物磁性材料は、主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてSiOを0.1〜5.0wt%含有することを特徴とする。
また、本発明に係るノイズフィルタは、主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてSiOを0.1〜5.0wt%含有する焼結体を備えることを特徴とする。
これら、本発明に係る酸化物磁性材料及びノイズフィルタそれぞれにおいて、主成分の組成を、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOとすることにより、この主成分の初透磁率μが150〜250の範囲となる。そして、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてSiOを0.1〜5.0wt%含有することにより、初透磁率μが150以下となる。したがって、虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在することとなる。また、上述した主成分及び副成分の組成によれば、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることができる。
本発明に係る酸化物磁性材料は、主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてCoOを0.1〜4.0wt%含有することを特徴とする。
また、本発明に係るノイズフィルタは、主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてCoOを0.1〜4.0wt%含有する焼結体を備えることを特徴とする。
これら、本発明に係る酸化物磁性材料及びノイズフィルタそれぞれにおいては、上述したように、主成分の初透磁率μが150〜250の範囲となる。そして、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてCoOを0.1〜4.0wt%含有することにより、初透磁率μが150以下となる。したがって、虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在することとなる。また、上述した主成分及び副成分の組成によれば、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることができる。
本発明に係る酸化物磁性材料は、主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、副成分として、SiO及びCoOのうち少なくとも1種と、Biとを含有しており、酸化物換算で、主成分全量に対し、SiO:0.1〜4.0wt%、CoO:0.1〜3.0wt%、Bi:0.1〜5.0wt%であることを特徴とする。
また、本発明に係るノイズフィルタは、主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、副成分として、SiO及びCoOのうち少なくとも1種と、Biとを含有しており、酸化物換算で、主成分全量に対し、SiO:0.1〜4.0wt%、CoO:0.1〜3.0wt%、Bi:0.1〜5.0wt%である焼結体を備えることを特徴とする。
これら、本発明に係る酸化物磁性材料及びノイズフィルタそれぞれにおいては、上述したように、主成分の初透磁率μが150〜250の範囲となる。そして、酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてSiOを0.1〜4.0wt%、CoOを0.1〜3.0wt%、及びBiを0.1〜5.0wt%含有することにより、初透磁率μが150以下となる。したがって、虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在することとなる。また、上述した主成分及び副成分の組成によれば、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることができる。
本発明によれば、複素透磁率の虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在すると共に、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
本実施形態に係るノイズフィルタ1は、円筒形状を呈したコア3を備えている。コア3の内側に信号ケーブル(図示せず)を挿通させることにより、ノイズフィルタ1は、信号ケーブルを伝送する10MHz〜10GHzの高周波帯域のノイズ成分を熱エネルギーに変換し、ノイズ吸収効果を生じさせる。コア3の形状は、円筒形状に限られることなく、トロイダル形状であってもよい。また、コア3は、複数に分割されていてもよい。
コア3は、酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び酸化銅(CuO)を主成分として含有するフェライト材料の焼結体からなる。この主成分の組成は、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOである。
コア3は、副成分として、酸化ケイ素(SiO)単独で含有している。SiOは、主成分全量に対して0.1〜5.0wt%の範囲で含有されている。
コア3は、副成分として、酸化ケイ素(SiO)単独で含有する代わりに、酸化コバルト(CoO)を単独で含有していてもよい。副成分としてCoOを含有する場合、CoOは、主成分全量に対して0.1〜4.0wt%の範囲で含有される。
また、コア3は、副成分として、酸化ケイ素(SiO)又は酸化コバルト(CoO)を単独で含有する代わりに、SiO及びCoOのうち少なくとも1種と、Biとを含有していてもよい。副成分としてSiO及びCoOのうち少なくとも1種とBiとを含有する場合、主成分全量に対して、SiOは0.1〜4.0wt%の範囲、CoOは0.1〜3.0wt%の範囲、Biは0.1〜5.0wt%の範囲でそれぞれ含有される。
コア3の製造方法は、フェライト材料の焼結体の製造方法として周知であるように、粉末原料調製工程、仮焼き工程、加圧成形工程、及び焼成工程を含んで構成される。
以上のように、本実施形態によれば、主成分の初透磁率μが150〜250の範囲となり、上述した組成の副成分を添加することにより、コア3の初透磁率μが150以下となる。これにより、コア3の虚数成分μ’’の最大値が10MHz以上の高周波帯域に存在することとなる。また、上述した主成分及び副成分の組成によれば、コア3の虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることができる。この結果、ノイズフィルタ1の適用周波数をより一層高精度で的確に設定することが可能となる。
続いて、本発明について、実施例を示して更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(酸化物磁性材料の主成分の組成)
まず、酸化物磁性材料の主成分の原料(出発材料)として、市販のFe、ZnO、MgO、及びCuOを準備し、これらを焼結後の組成が図2に示す組成比になるように秤量配合した。次に、これらの原料を、ボールミルにより16時間湿式混合して原料混合物を得た。この原料混合物中には、Mn、Ca、Na、K、Cl、S、N、C等の元素が不可避な不純物としてわずかに含まれていた。
次に、得られた原料混合物を脱水乾燥し、乳鉢、乳棒を用いて粉体にした。更に、アルミナこう鉢にこの粉体を入れ、800〜1000℃で2時間仮焼成した。次に、この仮焼成体を鋼鉄製ボールミルとZrビーズにより湿式粉砕したのち脱水乾燥し、フェライト材料粉を得た。このフェライト材料粉に有機バインダ等を加え、乳鉢、乳棒で顆粒に造粒した後、外径20mm、内径12mm、厚さ6〜7mmのトロイダル形状に加圧成形した。
次に、大気中で950〜1250℃で2時間の本焼成を行うことにより、焼結体としてのコア(試料1〜11)を得た。
次に、試料1〜11の各コアを、LCRメーター(ヒューレットパッカード社製4285A)を用い、100kHzでの初透磁率μを測定した。測定結果を、酸化物磁性材料の主成分の組成と共に図2に示した。
試料1〜4の結果を見ると、Feは49mol%以下で初透磁率μが250以下となり、Feが少ないほど初透磁率μが低くなる。例えば、Feを42.3mol%とした試料4では、初透磁率μが160となっている。Feは40.0mol%より少なくなると、焼結体の焼結性が著しく悪化するため、Feの下限は、40.0mol%となる。
試料5〜8の結果を見ると、ZnOが6.0〜23.0mol%の範囲にあるときに、初透磁率μが150〜250の範囲となる。好ましくは、ZnOは、7.0〜21.0mol%の範囲である。
試料5、6、8、10、及び11の結果を見ると、MgOが23.0〜39.0mol%の範囲にあるときに、初透磁率μが150〜250の範囲となる。好ましくは、MgOは、24.6〜38.6mol%の範囲である。
CuOは、Fe、ZnO、及びMgOに比べ初透磁率μに与える影響が小さいので、Fe、ZnO、及びMgOの残部とする。しかしながら、CuOは、少ないと焼結体の焼結性が低下し、多いと過剰焼結を誘発するため、1.0〜15.0mol%の範囲内であることが好ましい。
これらのことから、初透磁率μを150〜250の範囲とするための、主成分の組成を、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOとした。
(酸化物磁性材料の副成分の組成)
次に、酸化物磁性材料の主成分及び副成分の原料(出発材料)として、市販のFe、ZnO、MgO、CuO、SiO、CoO、及びBiを準備し、これらを焼結後の組成が図3に示す組成比になるように秤量配合した。以下、主成分組成の選定の際の試料1〜11の製造方法と同じ製造方法にて、コア(試料12〜33)を作製した。
次に、試料12〜32の各コアを、LCRメーター(ヒューレットパッカード社製4285A)を用い、100kHzでの初透磁率μを測定した。測定結果を、酸化物磁性材料の主成分及び副成分の組成と共に図3に示した。試料12〜24は、試料1に副成分を含有させた組成であり、試料25〜33は、試料5に副成分を含有させた組成である。
副成分としてSiOを単独で含有する場合、試料12〜13及び25〜28の結果を見ると、0.1wt%以上で初透磁率μが150以下となり、SiOが多いほど初透磁率μが低くなる。例えば、SiOを4.9wt%とした試料13では、初透磁率μが87となっている。SiOが5.0wt%より多くなると、焼結体の焼結性が低下するため、SiOの上限は、5.0wt%となる。
副成分としてCoOを単独で含有する場合、試料14〜15及び29〜31の結果を見ると、0.1wt%以上で初透磁率μが150以下となり、CoOが多いほど初透磁率μが低くなる。例えば、CoOを3.7wt%とした試料16では、初透磁率μが22となっている。CoOが4.0wt%より多くなると、焼結体の焼結性が著しく低下するため、CoOの上限は、4.0wt%となる。
副成分として、SiO及びCoOのうち少なくとも1種とBiとを含有する場合、試料16〜24及び32〜33の結果を見ると、SiOは0.1wt%以上、CoOは0.1wt%以上、Biは0.1wt%以上で初透磁率μが150以下となり、SiO及びCoOはそれぞれが多いほど初透磁率μが低くなる。例えば、SiOを3.9wt%とした試料19では、初透磁率μが41となり、同じく試料24では、初透磁率μが26となっている。例えば、CoOを2.9wt%とした試料20では、初透磁率μが35となっている。また、SiOを3.9wt%とし且つCoOを1.0wt%とした試料24では、初透磁率μが26となっている。Biは、試料21、22、及び24を見ると、4.9wt%として、初透磁率μが150以下となっている。SiOが4.0wt%より多くなる、CoOが3.0wt%より多くなる、及び、Biが5.0wt%より多くなると、焼結体の焼結性が悪化するため、SiOの上限は4.0wt%となり、CoOの上限は3.0wt%となり、Biの上限は5.0wt%となる。
これらのことから、上述した範囲の主成分の組成において初透磁率μを150以下とするための、副成分の組成を、SiO及びCoOのうち少なくとも1種と、Biとし、酸化物換算で、主成分全量に対し、SiO:0.1〜4.0wt%、CoO:0.1〜3.0wt%、Bi:0.1〜5.0wt%とした。
次に、試料32を基にして、MgOの一部をNiOで置換した組成のコア(図3中、試料34)を上述した製造方法にて作製し、同じく、LCRメーター(ヒューレットパッカード社製4285A)を用い、100kHzでの初透磁率μを測定した。
測定結果から分かるように、MgOの14.6mol%をNiOで置換した場合でも、初透磁率μは85.9となり、150以下となっている。したがって、MgOの14.6mol%以下(但し、0を含まず)をNiOで置換してもよい。
次に、副成分として、SiOを添加する代わりに、タルク(3MgO・4SiO・HO)を添加することによる効果を確認した。試料12、13、及び26を基にして、それぞれSiOの代わりに、当該SiOと同量のタルクを添加した組成のコア(試料35〜37)を上述した製造方法にて作製し、同じく、LCRメーター(ヒューレットパッカード社製4285A)を用い、100kHzでの初透磁率μを測定した。測定結果を図4に示す。
測定結果から分かるように、SiOの添加をタルクで代用することにより、初透磁率μが低下させることができる。SiOの添加をタルクで代用することにより初透磁率μが低下する理由は、タルクは、SiOよりも比重が小さいため、同重量では不純物体積がより大きくなり、添加による効果が高くなるためである。
続いて、上述した主成分及び副成分の組成により初透磁率μを150以下とされた酸化物磁性材料において、従来のNi−Cu−Zn系フェライト組成の酸化物磁性材料よりも、虚数成分μ’’の周波数分散が狭く、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を得ることができるという効果を確認した。
まず、酸化物磁性材料の主成分及び副成分の原料(出発材料)として、市販のFe、ZnO、MgO、CuO、SiO、CoO、Bi、及びNiOを準備し、これらを焼結後の組成が図5に示す組成比になるように秤量配合した。以下、主成分及び副成分組成の選定の際の製造方法と同じ製造方法にて、コア(試料41〜51)を作製した。ここで、試料41〜46及び50は、本発明による実施例に相当する。試料47〜49及び51は、従来のNi−Cu−Zn系フェライト組成の酸化物磁性材料であって、本発明による実施例に対する比較例に相当する。
次に、試料41〜51の各コアを、LCRメーター(ヒューレットパッカード社製4285A)を用い、100kHzでの初透磁率μを測定した。また、インピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー社製E4991A)を用い、複素透磁率の絶対値|μ|、実数成分μ’、及び虚数成分μ’’の周波数特性を測定した。測定結果を図5〜7に示す。
図5から分かるように、比較例である試料47〜49及び51を含め、試料41〜51において、100kHzでの初透磁率μとすることにより、虚数成分μ’’が最大値となるピーク周波数は10MHz以上となっている。
そして、虚数成分μ’’の半値幅は、本発明の実施例である試料41〜46では0.98〜1.03の範囲にあり、これに対して比較例である試料47〜49では1.25〜1.37の範囲にある。このように、試料41〜46は、初透磁率μが同程度の比較例(試料47〜49)に対し、虚数成分μ’’の半値幅が20%以上も小さく、虚数成分μ’’の周波数分散が狭くなっている。すなわち、試料41〜46は、虚数成分μ’’の周波数特性におけるピーク形状が鋭敏であり、挟帯域な周波数範囲においてノイズ吸収特性を有している。
MgOの14.6mol%をNiOで置換した試料50は、虚数成分μ’’の半値幅が1.05となり、比較例である試料47〜49に対し、虚数成分μ’’の半値幅が20%以上も小さく、虚数成分μ’’の周波数分散が狭くなっている。これに対し、MgOの20.6mol%をNiOで置換した試料51は、虚数成分μ’’の半値幅が1.15であり、比較例である試料47〜49に対し、虚数成分μ’’の半値幅は小さくなっているものの、その差異が20%未満であり、虚数成分μ’’の周波数分散が狭くなる度合いが抑制されている。
ここで、虚数成分μ’’の半値幅は、横軸を対数周波数とし、縦軸を虚数成分μ’’として表示したときの、虚数成分μ’’の周波数分散における、虚数成分μ’’のピーク周波数での高さの2分の1の高さにおける広がり幅としている。
試料41〜51では、ソフトフェライト材料におけるスヌークの限界として知られるように、100kHzでの初透磁率μと虚数成分μ’’のピーク周波数との間に、反比例関係が存在している。図6に、初透磁率μが同程度である試料41と試料47における、複素透磁率の絶対値|μ|、実数成分μ’、及び虚数成分μ’’の周波数特性を示す。
図6に示されているように、従来のNi−Cu−Zn系フェライト組成である試料47は、本発明の実施例である試料41よりも、限界線が高周波側にシフトしている。また、試料41と試料47との虚数成分μ’’の半値幅の差異が示すとおり、試料47に比して試料41は、虚数成分μ’’の周波数特性におけるピーク形状がより鋭敏である。
図7に、試料41、43、44、47、及び48における虚数成分μ’’の周波数特性を示す。図7からも分かるように、従来のNi−Cu−Zn系フェライト組成である試料47及び48では、虚数成分μ’’の周波数特性のピークが比較的なだらかである。これに対して、本発明の実施例である試料41、43、44では、虚数成分μ’’の周波数特性の低周波側からの立ち上がりが急峻であり、虚数成分μ’’の最大値が同程度の試料47及び48と比較して、虚数成分μ’’の周波数特性におけるピーク形状が鋭敏である。図7に示された破線は、虚数成分μ’’の各周波数特性が最大となる箇所を結んだ直線である。
本実施形態に係るノイズフィルタを示す斜視図である。 試料の組成、及び、100kHzでの初透磁率μの測定結果を示す図表である。 試料の組成、及び、100kHzでの初透磁率μの測定結果を示す図表である。 試料の組成、及び、100kHzでの初透磁率μの測定結果を示す図表である。 試料の組成、並びに、100kHzでの初透磁率μ、複素透磁率の虚数成分μ’’が最大値となるピーク周波数、及び虚数成分μ’’の半値幅の測定結果を示す図表である。 複素透磁率の絶対値|μ|、実数成分μ’、及び虚数成分μ’’の周波数特性を示す線図である。 複素透磁率の虚数成分μ’’の周波数特性を示す線図である。
符号の説明
1…ノイズフィルタ、3…コア。

Claims (8)

  1. 主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、
    酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてSiOを0.1〜5.0wt%含有することを特徴とする酸化物磁性材料。
  2. 主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、
    酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてCoOを0.1〜4.0wt%含有することを特徴とする酸化物磁性材料。
  3. 主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、
    副成分として、SiO及びCoOのうち少なくとも1種と、Biとを含有しており、酸化物換算で、主成分全量に対し、SiO:0.1〜4.0wt%、CoO:0.1〜3.0wt%、Bi:0.1〜5.0wt%であることを特徴とする酸化物磁性材料。
  4. MgOの14.6mol%以下(但し、0を含まず)をNiOで置換したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物磁性材料。
  5. 主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、
    酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてSiOを0.1〜5.0wt%含有する焼結体を備えることを特徴とするノイズフィルタ。
  6. 主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、
    酸化物換算で、主成分全量に対し、副成分としてCoOを0.1〜4.0wt%含有する焼結体を備えることを特徴とするノイズフィルタ。
  7. 主成分の組成が、酸化物換算で、Fe:40.0〜49.0mol%、ZnO:6.0〜23.0mol%、MgO:23.0〜39.0mol%、残部:CuOであり、
    副成分として、SiO及びCoOのうち少なくとも1種と、Biとを含有しており、酸化物換算で、主成分全量に対し、SiO:0.1〜4.0wt%、CoO:0.1〜3.0wt%、Bi:0.1〜5.0wt%である焼結体を備えることを特徴とするノイズフィルタ。
  8. MgOの14.6mol%以下(但し、0を含まず)をNiOで置換したことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。
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