JP2008239356A - 高強度無収縮グラウト用混和材及び高強度無収縮グラウト材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒径が2μm以下であると共に、円形度が0.90以上の球状である石灰石微粉末からなる。これを高強度無収縮グラウト材に用いることで、粒子形状が球状に近い状態の石灰石微粉末によって従来のシリカフュームを使用した高強度グラウト材に劣らない流動性を有し、しかも初期強度において、従来の高強度グラウト材を超えた高い発現性を得ることも可能である。
【選択図】 図1
Description
例えば、特許文献1には、セメント、石灰系膨張材、活性シリカ質微粉末、分散材を含有する無収縮グラウト材が記載されている。
さらに、特許文献3には、シリカフューム、微粉高炉スラグ、石灰石微粉を分離低減材(混和材)として用いた高強度無収縮グラウト材が提案されている。
すなわち、特許文献1に記載の技術では、活性シリカ質微粉末の混和材として非晶質シリカ粉末、フライアッシュ、高炉スラグが例示されているが、得られる圧縮強度が60N/mm2で、近年要望されている100N/mm2を超える高強度化に対応することができない。
また、特許文献2及び3に記載の技術では、グラウト材の高強度化、流動性の安定化及び適度の粘性を得るためにシリカフュームが混和材(分離低減材)として使用されているが、シリカフュームは高価で、副産物であるため良質なものの入手が困難であるというデメリットがある。グラウト材は、セメント、珪砂、膨張材、高性能減水材、界面活性剤等の各種材料を調合するため、シリカフュームの品質によっては、グラウト材の流動性不足や強度発現性の低下等が生じるおそれがある。
すなわち、本発明に係る高強度無収縮グラウト用混和材によれば、平均粒径が2μm以下であると共に、円形度が0.90以上の球状である石灰石微粉末からなるので、高強度無収縮グラウト材に用いることで、球状に近い石灰石微粉末によって従来のシリカフュームを使用した高強度グラウト材に劣らない流動性を有し、しかも初期強度の高い特性を得ることができる。したがって、本発明の高強度無収縮グラウト用混和材を用いた高強度無収縮グラウト材によれば、低コストで高い流動性及び強度発現性を有し、品質の安定したグラウト材が得られる。
また、上記高強度無収縮グラウト用混和材を用いた高強度無収縮グラウト材は、上記高強度無収縮グラウト用混和材がポルトランドセメントに対して1〜15重量部で混合されている。なお、上記高強度無収縮グラウト材に、必要に応じて消泡剤を添加しても構わない。
上記珪砂は、主に石英からなる鉱物や岩石である珪石の砂状物であり、本発明の珪砂は、化学成分(SiO2)が80%から100%のものを用いる。珪砂は、グラウト材に添加することで、減水効果、硬化安定性(硬化体の収縮、ひび割れなどを緩和する)を発揮する。
上記膨張材としては、水和反応によりエトリンガイトを生成するカルシウムサルファアルミネート(CSA)系の膨張材又は生石灰(CaO)系の膨張材を採用することができる。この膨張材は、グラウト材に添加することで、この材料が無収縮材となるように、硬化する際に収縮調整を行う。
上記消泡剤は、混練時に含んだ大径気泡の破泡、抑泡及び脱泡といった効果により、硬化体の組成を緻密化して均質にするために用いるものである。消泡剤としては、エーテル類、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石けん、高級アルコール、高重合グリコール類、有機リン酸塩、シリコーン類等が挙げられる。
円形度=(粒子の投影した面積に等しい円の周長)/(粒子の投影の輪郭長) …(1)
なお、比較例として、石灰石を乾式粉砕したままの石灰石微粉砕物(比較例1)と、さらに分級を進めて本実施形態の高強度無収縮グラウト用混和材と同等の平均粒径とした石灰石微粉砕物(比較例2)を、走査型電子顕微鏡で粒子形状を観察し、同様に求めた円形度を併せて表1に示す。また、図2に、比較例1における走査型電子顕微鏡写真の一例を示す。
さらに、いわゆる対向衝突湿式粉砕法によって石灰石粉砕原料を超微粉末化するので、図3に示すように、均一でシャープな粒度分布かつ高い円形度を有した石灰石微粉末が得られ、優れた流動性及び初期強度の発現性を得ることができる。
<実施例1>
上述した対向衝突湿式粉砕法で、粉砕時間を変化させて平均粒径及び円形度の異なる石灰石微粉末を作製し、本実施例(試験例1〜3)の混和材とした。これらの混和材をそれぞれ添加したグラウト材100重量部に対して、水を22重量部加えて、ハンドミキサーにより2分間練り混ぜてモルタルを作製した。
・セメント:早強ポルトランドセメント(三菱マテリアル社製)
・珪砂:3号、4号、5号、6号珪砂混合品(日窒工業社製)
・減水材:ポリカルボン酸系減水剤・ポリティ(登録商標)335S(ライオン社製)
・膨張材:カルシウムサルフォアルミネート系膨張材・デンカ(登録商標)CSA#20(電気化学工業社製)
・消泡剤:非イオン系界面活性剤・SNデフォマー14HP(サンノプコ社製)
・混和材:シリカフューム(市販品)
・水:水道水(水温20℃)
・流動性:J14ロートによる流下時間の測定。
JSCE−F531−1999「PCグラウトの流動性試験方法」に準拠。
・フロー値:JASS15M−103「セルフレベリング材の品質基準」に準拠。
・材料の分離性:セメントペーストと砂との分離について、フロー試験後の状況を目視して判断した。
・圧縮強度:JSCE−G521−1999「プレパックドコンクリートの注入モルタルの圧縮強度試験方法」に準拠。材齢は、3日、7日、28日とした。
・膨張率:JSCE−F542−1999に準拠
上記材料配合および混合の条件で、本実施例1の試験例3で用いた石灰石微粉末をセメントに対して0重量部(比較例6)、1重量部(試験例4)、2.5重量部(試験例5)、5重量部(試験例3)、10重量部(試験例6)、15重量部(試験例7)、17.5重量部(比較例7)、20重量部(比較例8)でそれぞれ添加したグラウト材を作製した。これらのグラウト材100重量部に対して、水を22重量部ずつ加えて、ハンドミキサーにより2分間練り混ぜ、各モルタルを得た。これらを本実施例1と同様の性能評価方法に従い、それぞれを評価した結果を表3に示す。
また、石灰石微粉末をセメントに対して17.5重量部及び20重量部で添加した比較例7,8では、J14ロート流下時間が18秒以上となり、極めて流動性が低いことがわかる。特に、比較例8では、石灰石微粉末の添加が多すぎるために粘性が上昇して、フロー値等の測定ができず、グラウト材の効果を示さない。
(1)J14ロート流下時間:6〜10秒前後(さらには、8秒前後が好ましい。)
(2)フロー値(流動性):150〜180mm
(3)無収縮性(膨張収縮率):0〜±0.2%
(4)強度(圧縮強度 N/mm2):材齢3日=40〜50、材齢7日=60〜80、材齢28日=80〜100
したがって、上記実施例の評価結果から、石灰石微粉末をセメントに対して2.5〜5重量部添加したものが、J14ロート流下時間が8秒前後となり、より好適である。
Claims (3)
- 水、ポルトランドセメント、珪砂、膨張材、減水剤、発泡剤及び混和材で構成される高強度無収縮グラウト材に用いられる前記混和材であって、
平均粒径が2μm以下であると共に、円形度が0.90以上の球状である石灰石微粉末からなることを特徴とする高強度無収縮グラウト用混和材。 - 水、ポルトランドセメント、珪砂、膨張材、減水剤、発泡剤及び請求項1に記載の高強度無収縮グラウト用混和材で構成されることを特徴とする高強度無収縮グラウト材。
- 請求項2に記載の高強度無収縮グラウト材において、
前記混和材が、前記ポルトランドセメントに対して1〜15重量部で混合されていることを特徴とする高強度無収縮グラウト材。
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