JP2008238843A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1猶予時間設定マップM1と猶予時間をより短く設定した第2猶予時間設定マップM2が記憶されたマップ記憶手段41と、トルク変化量dTと電流変化量dImがともに各所定変化量より小さいときは第1猶予時間設定マップM1を選択し、それ以外では第2猶予時間設定マップM2を選択する猶予時間設定マップ選択手段44と、操舵トルクとモータ電流の組み合わせの点座標を、選択された猶予時間設定マップに照合して猶予時間を決定する猶予時間決定手段45と、決定された猶予時間に対応する領域に、前記点座標が該猶予時間継続して存在したときにモータ駆動停止と判断するモータ駆動停止判断手段46とからなるサブ制御システムを備え、モータ駆動停止判断手段がモータ駆動停止と判断したときは、メイン制御システムにより駆動制御されるモータの駆動を停止する電動パワーステアリング装置。
【選択図】図4
Description
以上のように、操舵トルクの方向と補助トルクの方向は、通常同じであるが、操舵切り返し時などでステアリングダンパ効果を持たせるために、操舵トルクの方向とは逆方向の補助トルクを働かせるように制御することがある。
そのため、メイン制御システムにシステム異常が生じた場合でもステアリングの不自然な挙動を防止することができる。
本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1の全体の概略後面図を図1に示す。
ステアリングギアボックス4には、ステアリングホイール(図示せず)が一体に取り付けられたステアリング軸にジョイントを介して連結される入力軸5が軸受を介して回動自在に軸支されており、図2に示すように入力軸5はステアリングギアボックス4内でトーションバー6を介して相対的なねじり可能に操舵ピニオン軸7と連結されている。
したがってステアリングホイールの回動操作により入力軸5に伝達された操舵力は、トーションバー6を介して操舵ピニオン軸7を回動して操舵ピニオン軸7のはす歯7aとラック歯3aの噛合によりラック軸3を左右軸方向に摺動させる。
なお、アシストモータ24には、その回転駆動軸の回転を直接検出するロータリエンコーダ、レゾルバなどの回転角センサ27が設けられている。
トーションバー6の捩れをコア21の軸方向の移動に変換し、コア21の移動をコイル22,23のインダクタンス変化に変えて操舵トルクTを検出している。
なお、トーションバー6の捩れを光学的に検出するトルクセンサでもよい。
まず、メインCPU30によるメイン制御システムにおいて、操舵トルクセンサ20が検出した操舵トルクTと車速センサ25が検出した車速vに基づいて操舵アシスト制御手段31がアシストベース電流Ibを演算し出力する。
例えば、操舵トルクTに対するアシストベース電流Ibの最適な関係を所定の車速毎に予め決めておき、同関係をもとに操舵トルクTと車速vからアシストベース電流Ibを演算する。
さらに、ステアリング系の慣性トルクやモータの慣性トルクを補償する演算も加えてアシストベース電流Ibを求めるようにしてもよい。
ダンパ電流演算手段32は、操舵トルクTを時間微分してトルク変化量dTを求め、車速vに応じて予め設定しておいた微分定数をトルク変化量dTに乗算して微分電流値であるダンパ電流ΔIを算出する。
なお、トルク変化量dTは、メインCPU30による演算サイクル(例えば、100ms)ごとの操舵トルクTの今回値から前回値を減算した差として求められる。
したがって、電流フィードバック制御手段34は、前記アシスト目標電流Ioとフィードバックしたモータ電流Imとの差を0にするようにPID演算し、演算結果に基づく駆動電流Idがモータ駆動回路27に出力され、モータ駆動回路27のPWM制御によってアシストモータ24が駆動される。
サブCPU40は、前記トルクセンサ20により検出された操舵トルクTと前記モータ電流検出装置28により検出されたモータ電流Imを入力して操舵トルクTとモータ電流Imに基づいてメインCPU30を監視し、アシストモータ24の駆動を停止するか否かを判断する。
猶予時間設定マップM1,M2は、操舵トルクTとモータ電流Imを2変数とした直交座標マップであり予め定めたモータ駆動停止領域内にモータ駆動を停止するための猶予時間を設定したものである。
通常、この点座標(T,Im)は、操舵トルクTの方向とモータ電流Imによる補助トルクの方向とが同じである第1象限と第3象限に存在する。
すなわち、点座標(T,Im)が第1象限と第3象限に存在することで、運転者の操舵力をアシストモータ24の補助トルクが補助することができる。
しかし、ステアリングダンパとして作用する過渡状態に存在するのであって、長時間に亘るものではなく、ここにモータ駆動を停止するための猶予時間t1,t2を設定している。
モータ駆動停止領域内で駆動禁止領域以外の領域は、猶予時間が設定された領域であり、この猶予時間設定領域は、モータ電流によって3つの領域に分けられており、モータ電流が大きい領域ほど猶予時間は短く設定されている。
駆動禁止領域は、猶予時間が0msに相当する。
なお、1ms(ミリ秒)は、0.001s(秒)のことである。
第1猶予時間設定マップM1に比べ第2猶予時間設定マップM2の方が、モータ電流が大きい領域の最小時間4msを同じくする以外、猶予時間は短い(t1≧t2)。
また、猶予時間設定領域は、モータ電流が極めて小さい領域が除かれているが、これは猶予時間を余裕をもって設定し、安易に設定することによるモータの不安定な駆動制御を防止するためである。
サブCPU40には、トルク変化量演算手段42と電流変化量演算手段43が設けられ、トルク変化量演算手段42はトルクセンサ20が検出した操舵トルクTを時間微分してトルク変化量dTを求め、電流変化量演算手段43は前記モータ電流検出手段28が検出したモータ電流Imを時間微分して電流変化量dImを求める。
電流変化量dImは、サブCPU30による演算サイクルごとのモータ電流Imの今回値から前回値を減算した差として求められる。
モータ駆動停止係数Cは、0か1の値をとり、モータ駆動を停止するときはC=0とされ、それ以外のときは、C=1と設定される。
まず、モータ電流Imおよび操舵トルクTを読込み(ステップ1,2)、フラグFに“1”が立っているか否かを判別する(ステップ3)。
フラグFは、猶予時間設定マップ選択手段44により第1猶予時間設定マップが選択されたときは、“0”に設定され(ステップ9)、第2猶予時間設定マップが選択されたときは、“1”が立つものである(ステップ15)。
ステップ4では電流変化量演算手段43によりモータ電流Imを時間微分して電流変化量dImを算出し、次のステップ5でトルク変化量演算手段42により操舵トルクTを時間微分してトルク変化量dTを算出する。
図3を参照して、メインCPU30の電流フィードバック制御手段34から出力された前記駆動電流Idは、この乗算手段26によりモータ駆動停止係数Cが乗算されて乗算結果Id・Cが、モータ駆動回路27に出力される。
そのため、メインCPU30のメイン制御システムにシステム異常が生じた場合でもステアリングの不自然な挙動を短時間に防止することができる。
20…トルクセンサ、21…コア、22,23…コイル、24…アシストモータ、25…車速センサ、26…乗算手段、27…モータ駆動回路、28…モータ電流検出装置、
30…メインCPU、31…操舵アシスト制御手段、32…ダンパ電流演算手段、33…加算手段、34…電流フィードバック制御手段、
40…サブCPU、41…マップ記憶手段、42…トルク変化量演算手段、43…電流変化量演算手段、44…猶予時間設定マップ選択手段、45…猶予時間決定手段、46…モータ駆動停止判断手段。
Claims (3)
- 操舵トルクおよび車速に基づきアシストベース電流値を算出する操舵アシスト制御手段と、少なくとも操舵トルクの変化量に基づきダンパ電流を演算するダンパ電流演算手段とを備えて、
前記アシストベース電流に前記ダンパ電流を加算した電流に基づき求めたアシスト目標電流に従ってモータを駆動制御して人力を補助するメイン制御システムを構成した電動パワーステアリング装置において、
操舵トルクとモータ電流を2変数とした座標マップであり予め定めたモータ駆動停止領域内にモータ駆動を停止するための猶予時間を設定した猶予時間設定マップとして、第1猶予時間設定マップと猶予時間をより短く設定した第2猶予時間設定マップが記憶されたマップ記憶手段と、
前記操舵トルクを微分してトルク変化量を算出するトルク変化量演算手段と、
前記モータ電流を微分して電流変化量を算出する電流変化量演算手段と、
前記トルク変化量と前記電流変化量がともに各所定変化量より小さいときは前記第1猶予時間設定マップを選択し、それ以外では前記第2猶予時間設定マップを選択する猶予時間設定マップ選択手段と、
前記操舵トルクと前記モータ電流の組み合わせの点座標を、前記猶予時間設定マップ選択手段により選択された猶予時間設定マップに照合してモータ駆動停止領域にあれば対応する猶予時間を抽出し決定する猶予時間決定手段と、
前記決定された猶予時間に対応する領域に、前記操舵トルクと前記モータ電流の組み合わせの点座標が該猶予時間継続して存在したときにモータ駆動停止と判断するモータ駆動停止判断手段とからなるサブ制御システムを備え、
前記サブ制御システムのモータ駆動停止判断手段がモータ駆動停止と判断したときは、前記メイン制御システムにより駆動制御されるモータの駆動を停止することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記マップ記憶手段が記憶する前記第1猶予時間設定マップおよび前記第2猶予時間設定マップにおける前記モータ駆動停止領域は、前記操舵トルクの方向と前記モータの前記モータ電流により生じる補助トルクの方向とが互いに逆方向となる領域に主に存在することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記マップ記憶手段が記憶する前記第1猶予時間設定マップと前記第2猶予時間設定マップは、モータ駆動停止領域を互いに同じ領域とし、
同モータ駆動停止領域のうちの猶予時間を設定した領域をモータ電流に応じて複数の領域に分割し、各領域に対応してモータ駆動を停止するための猶予時間が設定され、
猶予時間を設定した領域の分割された各領域はモータ電流が大きい領域ほど短い猶予時間が対応することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
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