JP2008237492A - 人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法及び簡易測定システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】年代別、症状の進行度別などに分類された平均的観察者の分光視感度効率に基づいて、測定用の光源から照射される複数の異なる色光に対して同じ分類の平均的観察者が等輝度に感じられる色光間の光強度比を導出し、その光強度比を前記分類に対応付けた分類対応データを作成しておき、被験者に前記異なる色光で光強度比を変化させたLED光源の光を観察してもらい、等輝度と感じられるとの報告を受けると、そのときに発せられた色光の光強度比から前記分類対応データに基づいてその被験者を対応する分類に振り分け、その振り分けられた分類からその被験者の分光感度特性を推定する。
【選択図】 図1
Description
而して、加齢による水晶体の黄変に代表されるように、人間の眼の分光透過率は年齢により変化し、しかもその変化度合いは個人差が大きい。観察する人の眼の分光透過率が異なると、同じ輝度の色が表示されても、観察する人によって実際に認識する輝度、即ち実効上の輝度(実効輝度)が異なる。また、同じ輝度で前記と別の色が表示されても、観察する人によって実効輝度は異なる場合がある。
そのため、個人の眼の分光透過率を測定できれば、その分光低下率の程度に合わせて生活環境(例えば、室内の配色や照明)を調整したり、年齢の平均値より著しく悪かった場合には、その人の眼の疾病を推定したり、紫外線を浴びないように日常生活を注意したりすることでそれ以上悪化しないように予防することができる。
しかしながら、従来の人間の眼の分光透過率の測定方法は測定に時間を要し、被験者の精神的・肉体的負担が大きかった。しかも、測定システム自体も大掛かりで製造コストが嵩む上に設置場所も取り、手軽に利用できるものではなかった。
また、上記した特許文献は、各年代の平均的な人間の眼の分光透過率から、その年代の平均的な色覚特性を予測するものであり、個人の眼の分光透過率を直接測定するものではない。
以下の本明細書では、「分光感度特性」は分光透過率などの数値結果だけでなく、それらの数値結果から導出される眼年齢や疾病の種類や進行度などを含む意味で記載されている。
また、「眼年齢」は、実年齢とは別に、その人の眼の状態を示すために、同年齢平均値との比較から出された年齢を意味し、眼年齢からその人の眼の加齢度を推定することができる。
で光強度比を変化させた光を観察してもらい、等輝度と感じられるとの報告を受けると、そのときに発せられた色光の光強度比から前記分類対応データに基づいてその被験者を対応する分類に振り分け、その振り分けられた分類からその被験者の分光感度特性を推定することを特徴とする簡易推定方法である。
特性の簡易推定方法において、推定された分光感度特性と、標準比視感度または年代別分光視感度効率または既知である平均的な年代別の眼光学系分光透過率とを比較することにより個人の眼光学系の分光透過率を推定する方法である。
また、本発明の簡易測定システムは、小型で可搬性がありしかも安価で製造できる。
先ず、図1(4)に示すような分類対応データ(表)を作成する。
簡易測定システムの光源、すなわち被験者の測定に使用する光源を決定する。この実施の形態では、パルス駆動される光源として典型的なLED光源のうち、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三色発光型高輝度LEDのものを使用し、刺激光として、赤(R)、緑(G)、青(B)の単色光を照射することとする。
使用する光源を決定すると、その特定の光源から発する色光毎に分光分布デー
タ(曲線)を取得する。
具体的な分光分布データ(曲線)は図1(1)のようなものであり、横軸が波長、縦軸が分光放射輝度P(λ)になっている。
先ず、赤(R)の色光について、4096段階で0〜100%の範囲内の光強度(デューティー比)を変化させることとして、図1(2)に示す使用光源のデューティー比−輝度特性のグラフから、各デューティー比に対する輝度(相対値)を取得する。
そして、その輝度(相対値)を、図1(1)に示す赤(R)の色光のテンプレート(デューティー比=100%)の分光分布データに掛け合わせて圧縮することで、4096個のデューティー比に対応する4096個分の補正分光分布データを作成する。
同様にして、緑(G)と青(B)の色光についても、それぞれ4096個分の補正分光分布データを作成する。
具体的な分光視感度効率データは図1(3)のようなものであり、横軸が波長、縦軸が分光視感度D(λ)になっている。
を用いて積算する。
そして、得られた積算値(E)を、当該光源からその色光が当該補正分光分布データに従って発せられたときに、10代の平均的観察者が感じられる輝度、即ち実効輝度とする。
上記実効輝度値(E)を求める作業を、4096個の補正分光分布データについて行う。
上記した実効輝度値(E)の算出作業を、残りの20代から80代についてもそれぞれの年代の平均的観察者の分光視感度効率データを使って行う。
この実施の形態では、測定システムの能力を考慮して、青(B)−緑(G)比較では緑(G)を参照光とし、基準デューティー比を10%に設定し、青(B)−赤(R)比較では赤(R)を参照光とし、基準デューティー比を22%に設定していることから、参照光はその基準デューティー比で照射し、相方のテスト光はその参照光の実効輝度値(E)となるべく近い実効輝度値(E)を有するもの
を抽出することになる。
上記導出された光強度比を、分類の年代別に対応付ければ、分類対応データとなる。
以上で、分類対応データの作成作業を終了する。この作業の一部または全部を、コンピュータを利用して行うことも可能である。
図2中、符号1は全体の測定システムを示す。符号3はLED光源を示し、このLED光源3からの照射光は、積分球5内で拡散されて光が空間的に均一化され、被験者は刺激提示窓7からその放射光を観察する。LED光源3はPARALIGHT社製のEP204K-35RGB(最大順電流35mA)であり、LED光源3の青(B)、緑(G)、赤(R)の各端子に定電流駆動回路9から駆動電流を印加してLEDの各色発光素子を発光させる。
LED光源3に引加する駆動電流は、図3に示すような矩形パルス波形であり、周波数は1.56MHzであり、そのデューティー比は上記したように0〜100%の範囲内で4096段階にわたって変化可能である。
LED光源3は室温に自然空冷されている。
ュータ、略してパソコンを示し、このパソコン11は記憶部を内蔵している。
このパソコン11からマイコンボード13に信号を送り、マイコンボード13からPWM信号を送ることで、駆動回路9を駆動させる構成になっている。
符号15はスイッチを示し、このスイッチ15はマイコンボード13に接続されている。スイッチ15は、押上げ、押下げできるようになっており、その操作によりテスト光のデューティー比が変化して、被験者が観察する実効輝度が変化する。押上げするとテスト光の輝度が上がり、押下げするとテスト光の輝度が下げる。
被験者にスイッチ15を手に持ってもらい、スイッチ15の押上げ、押下げによりテスト光の輝度を自分で調整してもらい、チラツキを感じなくなった時点(即ち、フリッカー最小時)でスイッチ15から指を離してもらうように指示しておく。
そして、光の照射を開始する。この測定システム1では交照法を採用しているので、参照光を基準デューティー比に固定し、被験者のスイッチ操作により相方のテスト光の輝度を変化させながら、テスト光と参照光を交互に照射する。
被験者がスイッチ15の押上げ・押下げを止めると、マイコンボード13を介してパソコン11が被験者から参照光とテスト光の実効輝度が等しいと感じられるとの報告信号を受けとり、その時点で発せられていたテスト光のデューティー比を等輝度デューティー比として参照光の基準デューティー比と関連付けて、光強度比としてパソコン11の記憶部に記録する。
図4は、ある被験者(39歳、色覚正常者)の測定結果と年代別の平均的観察者の等輝度デューティー比を表示したものであるが、この図から、この被験者の等輝度デューティー比は青(B)−緑(G)比較と青(B)−赤(R)比較では
60歳代の等輝度デューティー比に近いことがわかる。
青(B)−緑(G)比較結果から、その被験者の眼年齢はおおよそ62歳に相当し、青(B)−赤(R)比較結果からその被験者の眼年齢はおおよそ56歳に相当すると推定される。両方の比較結果に基づいて、その被験者の眼年齢はおおよそ59歳と推定した。
例えば、上記の実施の形態では、被験者に照射する色光を、赤(R)、緑(G)、青(B)という単色光になっているが、複数の光を合成して白色光のような複合光としてもよい。なお、合成した場合には、実効輝度値(E)は、複合色を構成する色光の輝度値(E)の総和となるので、白色光の場合には赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの輝度値(E)の総和となる。
なお、各LEDの単色の比較に限定されるわけではなく、RGBの2つや3つのLEDを同時に点灯してできる刺激光をテスト光や参照光として採用してもよい。
間内に異なる色光を交互に、即ち照射時間を変えながら照射して被験者にチラツキの見え方の変化を観察してもらっているが、MDB(Minimally Distinct Border)法に基づいて異なる色光を同時に一つの空間内で隣り合うように照射して被験者にその境界の見え方の変化を観察してもらってもよい。
3‥‥LED光源 5‥‥積分球
7‥‥刺激提示窓 9‥‥駆動回路
11‥‥パソコン 13‥‥マイコンボード
15‥‥スイッチ
Claims (7)
- 人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において、
年代別、症状の進行度別などの種別に対応して分類された平均的観察者の分光視感度効率に基づいて、測定用の光源から照射される複数の異なる色光に対して同じ分類の平均的観察者が等輝度に感じられる色光間の光強度比を導出し、その光強度比を前記分類に対応付けた分類対応データを作成しておき、
被験者に前記異なる色光で光強度比を変化させた光を観察してもらい、等輝度と感じられるとの報告を受けると、そのときに発せられた色光の光強度比から前記分類対応データに基づいてその被験者を対応する分類に振り分け、その振り分けられた分類からその被験者の分光感度特性を推定することを特徴とする簡易推定方法。 - 請求項1に記載した人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において、
分光感度特性として個人の眼の加齢度を推定することを特徴とする簡易推定方法。 - 請求項1または2に記載した人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において、
測定用の光源から発される色光の分光分布データの所定間隔Δλ毎の波長λにおける分光放射輝度P(λ)[W/(sr・m3)]と、前記波長における年代別平均的観察者の分光視感度D(λ)を以下の式
- 請求項1から3のいずれかに記載した人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において、
色光を時空間的に変化させながら、少なくとも2種類の色光を呈示し、被験者にそれらの色光を観察してもらい、等輝度と感じられるか否かを判定してもらうことを特徴とする簡易推定方法。 - 請求項1から4のいずれかに記載した人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において、
刺激光として半導体光源を使用することを特徴とする簡易推定方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載した人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において、推定された分光感度特性と、標準比視感度または年代別分光視感度効率または既知である平均的な年代別の眼光学系分光透過率とを比較することにより個人の眼光学系の分光透過率を推定する方法。
- 請求項1に記載した人間の眼の分光感度特性の簡易推定方法において被験者に異なる色光との比較で等輝度と感じられるか否かの報告をもらう段階で使用する簡易測定システムであって、
パルス駆動可能な光源と、前記光源に可変デューティー比でパルス電流を供給する駆動回路と、
前記駆動回路を制御して色の異なるテスト光と参照光を前記光源から時空間的に変化しながら、しかも前記テスト光のデューティー比を変化させて輝度を変えながら光を発せさせる制御部と、
被験者から実効輝度が等しいと感じられるとの報告を受けとると、その時点で発せられていた前記テスト光の光強度を参照光の光強度と関連付けて記録する記憶部とを有することを特徴とする簡易測定システム。
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