JP6344676B1 - 色覚検査装置およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】色覚異常の型と程度の少なくとも一方を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査することができる技術を提供する。【解決手段】被検者に視認させる光を出力するとともに当該光の波長可変に対応可能に構成された光源部12と、前記光源部12が出力する光の波長の可変制御を行う波長制御部31と、前記被検者の操作により当該被検者の視認態様に関する情報が入力される操作部20と、前記波長制御部31による制御内容および前記操作部20での入力情報に基づいて、前記被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方を特定する測定制御部32と、を備えて色覚検査装置1を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、色覚検査装置およびプログラムに関する。
人間の眼の網膜には、それぞれが異なる波長特性に反応する3種類の錐体細胞(L錐体:Long wave length sensitive cone <L-cone>、М錐体:Middle wave length sensitive cone <M-cone>、S錐体:Short wave length sensitive cone <S-cone>)がある。これら3種類の錐体細胞のいずれか若しくは全てが欠損していること、または不完全であることを、「色覚異常」という。
色覚異常には、錐体のうち1種類が欠損している状態の「2色覚」と、錐体のうち1種類が正常に機能していない状態である「異常3色覚」とがある。2色覚と異常3色覚は、色覚異常の「程度」が異なる。
さらに、色覚異常には、2色覚と異常3色覚のいずれについても、L錐体の欠損または機能不全である「1型」と、M錐体の欠損または機能不全である「2型」と、S錐体の欠損または機能不全である「3型」とがある。1型と2型と3型は、色覚異常の「型」が異なる。
また、色覚異常は、先天色覚異常と後天色覚異常とに大別される。先天色覚異常は、遺伝による錐体細胞の異常によるもので、日本人であれば男性の4.5%、女性の0.2%の頻度で存在する。それ以外の原因、例えば眼や脳内の病気等によるものを、後天色覚異常という。
ところで、錐体細胞の発生には、L、М、S錐体のそれぞれに対して、R、G、B遺伝子が関与している。ただし、R、G遺伝子はX性染色体、B遺伝子は常染色体にある。
そのため、常染色体にある遺伝子で規定される1色覚および3型は非常に稀で、先天色覚異常といえば、X性染色体上にある遺伝子で規定される2色覚または異常3色覚、1型または2型のいずれかに該当する。つまり、先天色覚異常といえば、L錐体が欠損して他の2種類の錐体が働いている「1型2色覚(protanope、旧:赤色盲)」、M錐体が欠損して他の2種類の錐体が働いている「2型2色覚(deuteranope、旧:緑色盲)」、L錐体に異常がある「1型3色覚(protanomal、旧:赤色弱)」、M錐体に異常がある「2型3色覚(deuteranomal、旧:緑色弱)」のいずれかを指す。
先天色覚異常がある者と3種類の錐体細胞が揃っている正常色覚者との判定は、色覚異常者が判別できない混同色理論に基づく石原式色覚検査表等の仮性同色表を用いて行うことが可能である。また、このような色覚検査表での程度判定は避けるべきで、異常例について程度判定等が求められる場合には、色相配列による検査法であるパネルD−15テストを行うことがある。さらに、2色覚または異常3色覚、異常の型(1型、2型)等の確定診断には、限れた医療機関でのみ、特定の光を用いて簡便な色合わせ法(等色法)検査を行う器具であるアノマロスコープによる検査を行うこともある(例えば、非特許文献1参照)。
日本眼科医会色覚検査表等に関する調査研究班、"先天色覚異常への対応(改訂版)"、[online]、平成27年7月16日、日本眼科医会、[平成30年2月7日検索]、インターネット<URL:http://www.gankaikai.or.jp/colorvision/colorvision_5.pdf>
しかしながら、石原式色覚検査表等を用いた一般的な色覚検査では、先天色覚異常の型(1型と2型の別)と程度(2色覚と異常3色覚の別)のいずれについても定量的に判定することができない。また、パネルD−15テスト等の色相配列検査は、検査の特異度と感度が低く、色覚異常の型と程度を確実に判定できるとは限らない。アノマロスコープ検査は、検査法自体が難しく臨床現場での利用が容易でないとの問題がある。さらに、アノマロスコープ検査も混色理論に基づくために、色覚異常の型と程度を判定できない例もある。つまり、上述した従来手法による色覚検査では、いずれの手法を用いても、色覚異常の型と程度を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査できるとはいえない。
通常の社会生活において、色覚異常は、必ずしも問題とはならないが、職業選択での支障となることも少なくない。例えば、航空機乗組員、海技従事者、鉄道関係等の職業運転手、警察官、自衛官、消防士等は、公共の安全性等への考慮から、色覚異常が問題となり得る。また、印刷、塗装、繊維工業、野菜や魚の鮮度の選定等、微妙な色識別を要する職種は、色覚異常がハンディとなることもある。
上述したように、先天色覚異常がある者は、略一定の割合で存在する。先天色覚異常は、X連鎖性劣性遺伝であるため、女性(染色体がXX)が保因者である場合がある。したがって、先天色覚異常がある者は、両親が表現型として色覚正常であっても、生まれる可能性がある。
このような色覚異常がある者について、色覚異常が問題またはハンディとなり得る業務に就く場合、または就かせる場合を想定すると、現状では色覚異常の型の分類、特に程度の評価が困難なために、現実には実際の業務の現場での適正を検討するか、色弁別を必要としない業務を選択せざるを得ない。このような状況下において、色覚異常の型と程度の少なくとも一方について、定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査することができれば、検査を希望する人の切実な要望に応えることが実現可能となり、上述したような社会的問題の解決に有益なものとなる。つまり、色覚異常者の色覚特性を個別に判定し、色覚異常の型と程度の少なくとも一方を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査することができれば、社会生活や職業適性等に資することが可能となり、色覚に関するバリアフリーを推進することができる。
そこで、本発明は、色覚異常の型と程度の少なくとも一方を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査できる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
被検者に視認させる光を出力するとともに当該光の波長可変に対応可能に構成された光源部と、
前記光源部が出力する光の波長の可変制御を行う波長制御部と、
前記被検者の操作により当該被検者の視認態様に関する情報が入力される操作部と、
前記波長制御部による制御内容および前記操作部での入力情報に基づいて、前記被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方を特定する測定制御部と、
を備える色覚異常検査装置が提供される。
本発明によれば、被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方を特定することで、その被検者について、色覚異常の型と程度の少なくとも一方を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査することができる。
本発明の一実施形態に係る色覚検査装置の概略構成例を模式的に示す模式図である。 波長弁別閾値曲線の一具体例を示す説明図であり、1型3色覚の波長弁別閾値曲線の例を示す図である。 波長弁別閾値曲線の他の具体例を示す説明図であり、2型3色覚の波長弁別閾値曲線の例を示す図である。 比視感度曲線の一具体例を示す説明図であり、1型2色覚と2型2色覚の比視感度曲線の違いの例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)色覚異常の概要
先ず、本実施形態に係る色覚検査装置およびプログラムの説明に先立ち、色覚異常の概要について簡単に説明する。
色覚異常は、3種類の錐体細胞(L、М、S錐体)のいずれか若しくは全てが欠損していること、または不完全であることをいう。さらに詳しくは、色覚異常には、程度によって1色覚(旧:全色盲)、2色覚(旧:色盲)、異常3色覚(旧:色弱)があり、問題となる錐体の種類によって1型(L錐体の異常)、2型(M錐体の異常)、3型(S錐体の異常)がある。
また、色覚異常は、先天色覚異常と後天色覚異常とに大別されるが、先天色覚異常といえば、2色覚または異常3色覚、1型または2型のいずれかに該当する。つまり、先天色覚異常といえば、L錐体が欠損して他の2種類の錐体が働いている「1型2色覚(protanope、旧:赤色盲)」、M錐体が欠損して他の2種類の錐体が働いている「2型2色覚(deuteranope、旧:緑色盲)」、L錐体に異常がある「1型3色覚(protanomal、旧:赤色弱)」、M錐体に異常がある「2型3色覚(deuteranomal、旧:緑色弱)」のいずれかを指す。
先天色覚異常がある者と3種類の錐体細胞が揃っている正常色覚者との判定は、色覚異常者が判別できない混同色理論に基づく石原式色覚検査表等の仮性同色表を用いて行うことが可能である。また、異常例に対しては、色相配列による検査法であるパネルD−15テストを行うことがある。さらには、限れた医療機関でのみ、特定の光を用いて簡便な色合わせ法(等色法)検査を行う器具であるアノマロスコープによる検査を行うこともある。ただし、既に説明したように、これらの手法による色覚検査では、いずれの手法を用いても、色覚異常の型(1型、2型の別)と程度(2色覚、異常3色覚の別)を定量的に判定できるとはいえない。
この点を鑑み、本願発明者は、鋭意検討を重ねた。そして、色覚異常については、理論的なものとして、光の波長別感度閾値(波長弁別閾値)の違いと比視感度の違いにより、型および程度の分類が可能であることに着目した。つまり、被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは両方を特定することができれば、その被検者について、色覚異常の型と程度の少なくとも一方、好ましくは両方を定量的に分類することが可能になる、という知見を得るに至った。
ただし、波長弁別閾値または比視感度を特定することは、眼科医の臨床現場において一般的に行われていたことではない。
波長弁別閾値または比視感度を特定するためには、可視光の波長別に被検者の眼の感度を測定する必要がある。その測定にあたっては、例えば、プリズムを使用した分光により波長別の可視光を得る構成の検査装置を用いることが考えられる。しかしながら、かかる構成の検査装置は、研究室レベルの検証には問題が生じなくても、眼科医が行う臨床現場では容易かつ簡便に使用することができず、臨床現場での色覚検査に適したものであるとはいえない。
つまり、波長弁別閾値または比視感度の特定は、研究室レベルでの報告があるのみで、眼科医の臨床現場で容易に行えるものではなかった。
本実施形態に係る色覚検査装置およびプログラムは、以上のことを踏まえた上で、本願発明者が新たに案出したものである。
(2)色覚検査装置の構成
次に、本実施形態に係る色覚検査装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る色覚検査装置の概略構成例を模式的に示す模式図である。
(全体構成)
図例の色覚検査装置1は、被検者に対する色覚検査のために眼科医の臨床現場で用いられるもので、大別すると、本体部10と、操作部20と、コントロール部30と、表示部40と、通信線50と、を備えて構成されている。
(本体部)
本体部10は、内部に空間を有する筐体を備えるとともに、その筐体の一壁面に被検者が内部空間を覗くための接眼筒11が装着されて構成されている。接眼筒11は、少なくとも単眼に対応するものであればよい。また、本体部10における筐体の内部空間には、少なくとも光源部12およびシャッタ13が配置されている。なお、内部空間は、開放部分を有するオープン状のものであってもよいし、閉鎖されたボックス状のものであってもよい。
光源部12は、接眼筒11を通じて被検者に視認させる光を出力するものである。被検者に視認させる光を出力するものであれば、光源部12は、例えば、スクリーン等に投影することで被検者に対して光を呈示するものであってもよいし、または被検者の眼に向けて光を照射するものであってもよい。
また、光源部12は、出力する光の波長可変に対応可能に構成されている。さらに詳しくは、光源部12は、被検者に視認させるための可視光域の波長である380〜750nmの範囲において、いずれかの波長の光を選択的に出力し得るとともに、出力する光の波長を例えば1〜30nmのいずれかの可変幅、好ましくは10nm程度の可変幅で変化させ得るように構成されている。ただし、光源部12は、必ずしも380〜750nmの範囲の全域をカバーしている必要はなく、例えば中性点(2色覚者の波長弁別が最も鋭敏な波長、具体的には500nm前後)を含む範囲や部分的な波長幅等における波長可変に対応したものであってもよい。
このような光源部12としては、例えば、波長可変に対応するレーザ光源、すなわち任意の波長のレーザ光を選択的に出射することができるレーザ光源を用いればよい。ただし、レーザ光源に限定されることはなく、光源部12として、例えば、波長可変に対応するLED(light emitting diode)光源、すなわち任意の波長の光を選択的に発光することができるLED光源を用いてもよい。つまり、光源部12は、出力する光の波長可変に対応可能なものであれば、レーザ光源またはLED光源のいずれであってもよい。また、光源部12としてレーザ光源とLED光源との両方を搭載しておき、状況に応じてこれらのいずれかから選択的に光を出射するようにすることも考えられる。
なお、光源部12が出力する光の輝度(出力強度)は、医療機器の安全性に関する規定(例えば、JIS規格)を満たすように設定されており、具体的には例えば50μW以下となっている。
シャッタ13は、接眼筒11と光源部12との間に配されて、被検者の眼に到達する光束を絞るように構成されたものである。このシャッタ13が被検者の眼に到達する光束を絞ることで、被検者からみると発光点が一箇所のみとなり、その発光点を観察する際に眼球運動等による修飾を受けることがなくなる。
(操作部)
操作部20は、被検者が操作するためのものである。さらに詳しくは、操作部20は、例えば被検者が操作する押しボタンスイッチによって構成されており、そのスイッチ操作により被験者が本体部10の接眼筒11を覗いた際の光の視認態様に関する情報が入力されるようになっている。光の視認態様に関する情報としては、被検者に視認させる光について、その被検者が光の波長変化(すなわち、色の違い)を認識できたか否かに関する情報が挙げられる。つまり、被検者が光の波長変化を認識した際にスイッチ操作をさせることで、操作部20からは、光の視認態様に関する情報として、その被検者が光の波長変化を認識できた旨の情報が入力されることになる。
なお、操作部20は、必ずしも押しボタンスイッチによって構成されたものである必要はなく、被験者の操作により情報入力を行い得るものであれば、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等によって構成されたものであってもよい。
(コントロール部)
コントロール部30は、色覚検査装置1の全体の動作を制御するためのもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなる演算部、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、外部インタフェース等のデータ入出力部といったハードウエア資源を備えて構成されたものである。つまり、コントロール部30は、コンピュータ装置としてのハードウエア資源を備えて構成されており、記憶装置に記憶されたプログラムを演算部が実行することにより、そのプログラム(ソフトウエア)とハードウエア資源とが協働して、色覚検査装置1の動作を制御するようになっている。
また、コントロール部30は、演算部がプログラムを実行することにより、波長制御部31、測定制御部32、記憶部33および判定制御部34として機能するようになっている。
波長制御部31は、光源部12が出力する光の波長の可変制御を行うものである。具体的には、波長制御部31は、予めのプログラミングに従いつつ、どの波長の光をどのタイミングで出力するかを光源部12に対して指示することで、その光源部12が出力する光の波長の可変制御を行うようになっている。
測定制御部32は、被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは波長弁別閾値と比視感度との両方を特定するものである。また、測定制御部32は、波長弁別閾値または比視感度の特定を、波長制御部31による光源部12に対する制御内容および操作部20での入力情報に基づいて行うようになっている。なお、波長弁別閾値および比視感度について、並びに、これらの特定手法については、詳細を後述する。
記憶部33は、波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは波長弁別閾値と比視感度との両方について、これらに関する基準データを記憶するものである。なお、記憶部33が記憶する基準データについては、具体例を挙げて詳細を後述する。
判定制御部34は、測定制御部32による特定結果を記憶部33が記憶する基準データと対比させて、被検者について色覚異常の有無を判定するとともに、色覚異常が有った場合にその色覚異常についての判別を行うものである。色覚異常についての判別には、色覚異常の型の判別または色覚異常の程度の判別の少なくとも一方、好ましくは色覚異常の型および程度の両方についての判別が含まれるものとする。なお、色覚異常についての判別手法については、詳細を後述する。
(プログラム)
以上のような機能構成のコントロール部30において、上述した各部31〜34としての機能は、演算部がプログラムを実行することによって実現される。つまり、各部31〜34としての機能を実現するプログラムは、本発明に係る「プログラム」の一実施形態に相当する。
その場合に、各機能を実現するプログラムは、コンピュータ装置としてのコントロール部30にインストール可能なものであれば、当該コンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等)に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネットや専用回線等のネットワークを通じて外部から提供されるものであってもよい。
(その他)
表示部40は、例えば液晶ディスプレイからなるもので、必要に応じてコントロール部30による処理情報(例えば、測定制御部32による特定結果や判定制御部34による判定結果等)を出力するものである。
通信線50は、本体部10(特に光源部12)、操作部20、コントロール部30および表示部40の間を互いに接続するもので、これらの間での情報通信やデータ授受等を可能にするものである。
(3)波長弁別閾値および比視感度
次に、上述した構成の色覚検査装置1において特定される波長弁別閾値および比視感度について説明する。
(波長弁別閾値)
人間の眼は、微細な色の変化を感じることができる。人間の眼に色を感じさせる刺激が変化したときに、その変化を知覚できる最小の変化幅を「弁別閾」という。特に、人間の眼に色を感じさせる波長の光に対してそれと色の違いを感じられる最小の波長差のこと、すなわち二つの単色光(スペクトル光)の色を弁別するために必要な最小の波長差のことを「波長弁別閾」という。また、波長弁別閾となる波長差を「nm」等の具体的な物理量で表した値を「波長弁別閾値」という。
このような波長弁別閾値を種々の単波長光に対して求めたものが「波長弁別閾値曲線」である。
図2は、波長弁別閾値曲線の一具体例を示す説明図であり、1型3色覚の波長弁別閾値曲線の例を示す図である。
図例のように、波長弁別閾値曲線に関しては、色覚正常者(図中の「正常」参照)と、1型2色覚の色覚異常がある者(図中の「1型2色覚」参照)と、1型3色覚の色覚異常がある者(図中の「観察者A.」〜「観察者K.」参照)とで、それぞれが異なる態様の曲線を表す。
したがって、被検者の眼の波長弁別閾値曲線を特定することができれば、以下のような判別を行うことが可能となる。すなわち、特定した波長弁別閾値曲線を色覚正常者または1型2色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線と対比させることで、その被検者が色覚正常者か、1型2色覚の色覚異常がある者か、またはこれら以外の1型3色覚の色覚異常がある者かを判別することができる。このことは、1型の色覚異常について、その程度(2色覚であるか、または異常3色覚であるか)を判別できることを意味する。
図3は、波長弁別閾値曲線の他の具体例を示す説明図であり、2型3色覚の波長弁別閾値曲線の例を示す図である。
図例においても同様に、波長弁別閾値曲線に関しては、色覚正常者(図中の「正常」参照)と、2型2色覚の色覚異常がある者(図中の「2型2色覚」参照)と、2型3色覚の色覚異常がある者(図中の「観察者A.」〜「観察者F.」参照)とで、それぞれが異なる態様の曲線を表す。
したがって、被検者の眼の波長弁別閾値曲線を特定することができれば、以下のような判別を行うことが可能となる。すなわち、特定した波長弁別閾値曲線を色覚正常者または2型2色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線と対比させることで、その被検者が色覚正常者か、2型2色覚の色覚異常がある者か、またはこれら以外の2型3色覚の色覚異常がある者かを判別することができる。このことは、2型の色覚異常について、その程度(2色覚であるか、または異常3色覚であるか)を判別できることを意味する。
さらには、被検者の眼の波長弁別閾値曲線を特定することができれば、以下のような判別を行うことが考えられる。例えば、1型3色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例および2型3色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例を予め用意しておく。そして、特定した波長弁別閾値曲線を色覚正常者または2型2色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線と対比させて、どの波長弁別閾値曲線の例との一致度が最も高いかを判断する。このことは、異常3色覚の色覚異常について、その型(1型であるか、または2型であるか)を判別できることを意味する。
(比視感度)
比視感度とは、人間の眼が光の各波長別に明るさを感じる強さを数値で表したものである。さらに詳しくは、人間の眼が最大感度となる波長での感じる強さを「1」として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数値で表したものである。
このような比視感度を種々の単波長光に対して求めたものが「比視感度曲線」である。
図4は、比視感度曲線の一具体例を示す説明図であり、1型2色覚と2型2色覚の比視感度曲線の違いの例を示す図である。
図例のように、比視感度曲線に関しては、色覚正常者(図中の「正常」参照)と、1型2色覚の色覚異常がある者(図中の「1型2色覚」参照)とで、それぞれが異なる態様の曲線を表す。ところが、2型2色覚の色覚異常がある者(図中の「2型2色覚」参照)については、色覚正常者の場合に近い態様の曲線を表す。さらに詳しくは、例えば、色覚正常者であれば、波長が555nm付近の光を最も強く感じるので、その波長にピークを有する比視感度曲線となる。これに対して、1型2色覚の色覚異常がある者については色覚正常者の場合と大きく異なる比視感度曲線となり、また2型2色覚の色覚異常がある者については色覚正常者の場合と僅かに異なる比視感度曲線となる。
したがって、被検者の眼の比視感度曲線を特定することができれば、以下のような判別を行うことが可能となる。すなわち、特定した比視感度曲線における特定の波長(例えば、各曲線間の相違が顕著となる600〜640nmの間のいずれかの波長)に着目した上で、その波長における比視感度を認識して、色覚正常者の場合との乖離度を把握することで、その被検者が色覚異常者である場合に、その色覚異常が1型であるか、または2型であるかを判別することができる。このことは、色覚異常について、その型(1型であるか、または2型であるか)を判別できることを意味する。
このような比視感度曲線による1型と2型との違いは、2色覚の場合のみならず、異常3色覚についても全く同様である。
比視感度曲線での1型と2型の違い(両型内では2色覚と異常3色覚とが同じ曲線)は、従来の色覚検査(表現型の検査)では説明がつかないものであった。ところが、遺伝子学的研究により、1型では2色覚および異常3色覚ともにR遺伝子に異常があり、G遺伝子の状態により2つの色覚異常が生じ、また、2型では2色覚および異常3色覚ともにR遺伝子が正常色覚のR遺伝子と同じで、G遺伝子の異常により2つの色覚異常が生じていることが解明された。すなわち、比視感度は、R遺伝子の正常または異常により規定されていると考えることができる。
したがって、従来は、臨床現場で混色の程度(実際はアオノマロスコープで黄色と認識される赤と緑の割合で判定)での判別が難しいことがあったが、本実施形態のように比視感度曲線を検査することで1型、2型の判別が明確に行えることになる。
(4)色覚検査の手順
次に、上述した構成の色覚検査装置1を用いて被験者に対する色覚検査を行う場合の手順について説明する。
色覚検査にあたっては、先ず、被検者に接眼筒11を覗かせる。このとき、検査すべき色覚異常は、主に先天色覚異常である。先天色覚異常についての検査であれば、左右眼での色覚認知度が同じであることから、被検者に両眼で接眼筒11を覗かせればよい。ただし、後天色覚異常について検査することも可能である。その場合、通常は左右眼で色覚の認知能力が異なることから、片眼ずつの測定で検査が可能となる。
被検者に接眼筒11を覗くと、色覚検査装置1では、当該被検者に視認させる光を光源部12が出力する。このとき、コントロール部30の波長制御部31は、光源部12が出力する光の波長の可変制御を行う。具体的には、波長制御部31は、予めのプログラミングに従いつつ、どの波長の光をどのタイミングで出力するかを光源部12に対して指示する。これにより、光源部12は、時間経過に伴って、例えば380〜750nmの波長範囲の光を、1〜30nmのいずれかの可変幅、好ましくは10nm程度の可変幅で変化させながら、被検者に視認させる光を出力することになる。ただし、光源部12は、必ずしも380〜750nmの範囲の全域をカバーしている必要はなく、例えば中性点(500nm前後)を含む範囲や部分的な波長幅等における波長可変に対応しつつ、光の出力を行うようにしてもよい。
そして、被検者に視認させる光について、その被検者が光の波長変化(すなわち、色の違い)を認識できた場合には、その被検者に操作部20での所定操作(例えば、押しボタンスイッチの押下)を行わせる。これにより、操作部20からは、光の波長の可変制御に応じて、被検者の光の視認態様に関する情報として、その被検者が光の波長変化を認識できた旨の情報が入力されることになる。
操作部20からの情報の入力があると、コントロール部30の測定制御部32は、その入力情報を波長制御部31による光源部12に対する制御内容に対応付けることで、被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは両方を特定する。
具体的には、波長弁別閾値についてであれば、測定制御部32は、操作部20からの入力情報を基にそれぞれの波長の光に対する被検者の波長弁別閾値を把握した上で、その把握結果を光の波長と波長弁別閾値との関係を規定する座標空間上にプロットすることで、波長弁別閾値曲線を特定する。このようにして、測定制御部32は、波長制御部31による制御内容と操作部20での入力情報とに基づいて、被検者の波長弁別閾値を特定することができる。
また、比視感度についてであれば、測定制御部32は、操作部20からの入力情報を基にそれぞれの波長の光に対する被検者の感度を把握した上で、その把握結果を光の波長と感度との関係を規定する座標空間上にプロットすることで、比視感度曲線を特定する。このようにして、測定制御部32は、波長制御部31による制御内容と操作部20での入力情報とに基づいて、被検者の比視感度を特定することができる。
波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは両方を特定したら、色覚検査装置1では、続いて、判定制御部34が被検者についての色覚異常の有無を判定する。
色覚異常有無の判定にあたっては、これに先立ち、波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは両方について、これらに関する基準データを記憶部33が記憶しているものとする。
波長弁別閾値についての基準データは、波長弁別閾値を利用して色覚異常の有無を判定したり、色覚異常があった場合に当該色覚異常の型を判別したり当該色覚異常の程度を判別したりする際に必要となるデータである。このような基準データとしては、例えば、色覚正常者の波長弁別閾値曲線の例を示すデータ、2色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例を示すデータ等が挙げられる。また、異常3色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例を示すデータを基準データとして記憶するようにしてもよい(図2および3参照)。
また、比視感度についての基準データは、比視感度を利用して色覚異常の型を判別するために必要となるデータである。このような基準データとしては、例えば、色覚正常者の比視感度曲線の例を示すデータが挙げられる。また、色覚正常者の場合と同様の態様を表す2型の色覚異常がある者の比視感度曲線の例を示すデータを基準データとして記憶するようにしてもよい(図4参照)。
記憶部33が記憶する基準データは、色覚異常有無の判定に先立って準備できるものであれば、実測等を重ねて得られた経験則に基づくものであってもよいし、文献等に開示されたもの用いるようにしてもよい。
色覚異常有無の判定は、例えば以下に説明する手法で行うことが考えられる。色覚異常有無の判定にあたり、コントロール部30の判定制御部34は、測定制御部32による特定結果を、記憶部33が記憶する基準データと対比させる。具体的には、以下に説明するような対比を行う。
例えば、測定制御部32が被検者の波長弁別閾値曲線を特定した場合、判定制御部34は、その波長弁別閾値曲線を、色覚正常者の波長弁別閾値曲線の例を示す基準データと対比させる。その結果、両者が一致する場合または一致すると見做せる場合に、判定制御部34は、被検者に色覚異常が無いと判定する。一方、両者が一致しなければ、判定制御部34は、被検者に色覚異常が有ると判定する。なお、波長弁別閾値曲線の一致に関する判断手法については、公知技術を利用して行えばよく、ここではその具体的な説明を省略する。
色覚異常が有ると判定した場合、判定制御部34は、さらに、被検者の波長弁別閾値曲線を、1型2色覚または2型2色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例を示す基準データと対比させる。このとき、2色覚はL錐体またはM錐体のいずれかが欠損しているため、2色覚についての基準データは、典型的な波長弁別閾値曲線を示す。したがって、被検者の波長弁別閾値曲線を基準データと対比させた結果、両者が一致する場合または一致すると見做せる場合に、判定制御部34は、被検者に1型2色覚または2型2色覚の色覚異常が有ると判別する。
一方、両者が一致しなければ、判定制御部34は、被検者に異常3色覚の色覚異常が有ると判別する。異常3色覚は錐体細胞の不完全な機能であるために、その不完全度により、色覚正常者の波長弁別閾値曲線および2色覚の色覚異常がある者波長弁別閾値曲線のいずれにもフィットしない。したがって、これらのいずれにも一致しなければ、判定制御部34は、被検者に異常3色覚の色覚異常が有ると判別する。
つまり、判定制御部34は、被検者の波長弁別閾値曲線に基づいて、その被検者について色覚異常有無の判定のみならず、色覚異常が有った場合にその程度(2色覚であるか、または異常3色覚であるか)についても判別することができる。
なお、異常3色覚と判別した場合には、フィットしない結果からどの波長の部分での色の見分けが難しいかにより異常の程度がわかるので、その結果として、被検者の日常生活、職業での色認識の特性がわかることにもなる。
記憶部33が1型3色覚または2型3色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例を基準データとして記憶している場合であれば、判定制御部34は、被検者の波長弁別閾値曲線をこれらの基準データと対比させるようにしてもよい。その場合に、判定制御部34は、被検者の波長弁別閾値曲線と最も一致度が高い基準データを抽出する。そして、抽出した基準データを参照しつつ、被検者の色覚異常が1型3色覚であるか、または2型3色覚であるかを判別する。
つまり、判定制御部34は、被検者の波長弁別閾値曲線に基づいて、その被検者の色覚異常の程度のみならず、その色覚異常の型(1型であるか、または2型であるか)についても判別することができる。
また、例えば、被検者に色覚異常が有ると判定した場合に、測定制御部32が被検者の比視感度曲線を特定すると、判定制御部34は、その比視感度曲線を、色覚正常者(2型の色覚異常が有るものであってもよい。)の比視感度曲線の例を示す基準データと対比させる。
ここで、判定制御部34は、被検者の比視感度曲線における特定の波長(例えば600〜640nmの間のいずれかの波長)に着目した上で、その波長における比視感度を認識する。そして、色覚正常者の比視感度曲線の例を示す基準データとの対比を通じて、認識した比視感度について色覚正常者の場合との乖離度を把握する。その結果、把握した乖離度が予め設定されている閾値(以下「第1閾値」という。)を超えていれば、色覚正常者の場合との乖離度が大きいことから、被検者に1型の色覚異常が有ると判別する。一方、乖離度が第1閾値を超えていなければ、色覚正常者の場合との乖離度が小さいことから、被検者に2型の色覚異常が有ると判別する。
つまり、判定制御部34は、被検者に色覚異常が有った場合に、その被検者の比視感度曲線に基づいて、色覚異常の型(1型であるか、または2型であるか)を判別することができる。
以上のように、判定制御部34は、被検者の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方、好ましくは両方に基づいて、その被検者についての色覚異常の有無の判定に加えて、色覚異常が有った場合に、その色覚異常の型の判別または程度の判別の少なくとも一方、好ましくは両方についての判別を行う。
ところで、被検者について色覚異常の型および程度の両方を判別する場合には、例えば、以下に説明する手順で、その判別を行うことが考えられる。ここでは、色覚異常がある被検者に対して、その色覚異常の型および程度の両方を判別する場合を例に挙げる。なお、色覚異常があるか否かの判定は、上述した構成の色覚検査装置1を用いて行っても、ま例えば石原検査表や仮性同色表等といった従来手法を用いて行ったものでもよい。
具体的には、先ず、色覚異常がある被検者に対して、光源部12としてのLED光源から光を出力する。そして、これに応じた操作部20での入力情報に基づき、コントロール部30の測定制御部32が、その被検者の眼の比視感度曲線を特定する。比視感度の特定には、少なくとも特定の波長(例えば600〜640nmの間のいずれかの波長)での感度の差が重要である。つまり、特定の波長に着目することで、色覚異常の型の判別を行う。したがって、比視感度の特定にあたっては、レーザ光源に比べると波長可変精度が低いが、レーザ光源よりも廉価に構成することが可能なLED光源を、光源部12として用いることが好ましい。
比視感度曲線の特定後、続いて、判定制御部34は、測定制御部32が特定した被検者の比視感度曲線を、色覚正常者の比視感度曲線の例を示す基準データと対比させて、特定の波長(例えば600〜640nmの間のいずれかの波長)における比視感度について、色覚正常者の場合との乖離度を把握する。その結果、乖離度が第1閾値を超えていれば、色覚正常者の場合との乖離度が大きいことから、被検者に1型の色覚異常が有ると判別する。一方、乖離度が第1閾値を超えていなければ、色覚正常者の場合との乖離度が小さいことから、被検者に2型の色覚異常が有ると判別する。
このようにして、判定制御部34は、被検者の色覚異常の型(1型であるか、または2型であるか)を判別する。
被検者の色覚異常の型を判別した後、またはその判別に先立ち、色覚異常がある被検者に対して、光源部12としてのレーザ光源から光を出力する。そして、これに応じた操作部20での入力情報に基づき、コントロール部30の測定制御部32が、その被検者の眼の波長弁別閾値曲線を特定する。波長弁別閾値曲線の特定には、波長の可変精度が重要である。つまり、レーザ光源であれば、10〜20nm程度の可変幅で波長を高精度に可変させることができる。したがって、波長弁別閾値曲線の特定にあたっては、LED光源に比べると高精度な波長可変制御を行うことが容易であるレーザ光源を、光源部12として用いることが好ましい。
波長弁別閾値曲線の特定後、判定制御部34は、測定制御部32が特定した被検者の波長弁別閾値曲線を、2色覚の色覚異常がある者の波長弁別閾値曲線の例を示す基準データと対比させる。そして、その対比結果に基づき、被検者の色覚異常が2色覚であるか、または異常3色覚であるかを判別する。すなわち、基準データと一致する場合または一致すると見做せる場合には、色覚異常が2色覚であると判別し、それ以外の場合には、色覚異常が異常3色覚であると判別する。
このようにして、判定制御部34は、被検者の色覚異常の程度(2色覚であるか、または異常3色覚であるか)を判別する。
このような手順を経ることで、判定制御部34は、被検者の眼について色覚異常が有る場合には、その色覚異常が1型2色覚、2型2色覚、1型3色覚または2型3色覚のいずれであるかを判別し得る。つまり、判定制御部34は、色覚異常の型および程度の両方を判別することができる。
以上のように、色覚異常の型および程度の判別にあたり、判定制御部34は、型の判別を比視感度に基づいて行い、程度の判別を波長弁別閾値に基づいて行うことが好ましい。なぜならば、色覚異常の型については比視感度を用いれば容易かつ適切に判別することができるとともに、色覚異常の程度については波長弁別閾値を用いれば容易かつ適切に判別することができるからである。つまり、色覚異常の型および程度の判別にあたり、その判別に用いる波長弁別閾値および比視感度を適材適所で使い分けることで、判定制御部34は、その判別を容易かつ適切に行うことができる。
また、色覚異常の型および程度の判別にあたり、その判別に用いる波長弁別閾値および比視感度を使い分けることで、判別処理のための処理負荷が過大なってしまうのを抑制することができる。しかも、判別処理のために必要となる基準データについても、必要十分な基準データだけを用意しておけばよく、そのデータ量の増大を抑制することができる。つまり、上述した手順で判別処理を行えば、その判別処理を行うコントロール部30が高い処理能力を必要とすることを抑制でき、このことによる色覚検査装置1の低コスト化が実現可能となる。
判定制御部34が被検者の眼について識別異常の有無を判定し、色覚異常が有る場合にその色覚異常の型または程度の少なくとも一方、好ましくは両方を判別したら、その後、コントロール部30では、その判定結果および判別結果について、判定制御部34が通信線50を通じて表示部40に送信して、その表示部40で表示出力させる。これにより、色覚検査装置1の操作者(例えば、眼科医)および被験者は、表示部40での表示出力内容を参照することで、その色覚検査装置1による判定結果および判別結果を認識することが可能となる。
以上に説明した色覚検査の検査時間は、色覚検査装置1のハードウエア構成の能力にもよるが、臨床現場での状況を踏まえ、例えば、1回の色覚検査あたり10分程度とすることが想定される。ただし、必ずしもこれに限定されることはなく、例えば、1人の被験者に対して反復検査を行って、それぞれの検査結果の平均を求めて出力する要にしても構わない。
(5)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、光の波長可変に対応可能に構成された光源部12に対する波長制御部31の制御内容と、操作部20で入力された被検者の視認態様に関する情報とに基づいて、測定制御部32が被検者の眼の波長弁別閾値または比視感度の少なくとも一方を特定する。つまり、眼科医の臨床現場においては一般的ではなかった波長弁別閾値または比視感度の特定を実現可能にしている。したがって、特定した波長弁別閾値または比視感度を用いることで、被検者の眼に色覚異常が有る場合に、その色覚異常の型と程度の少なくとも一方、好ましくは両方を定量的に分類することが可能になる。
しかも、波長弁別閾値または比視感度の特定にあたり、本実施形態では、光の波長可変に対応可能に構成された光源部12と、その光源部12に対して予めのプログラミングに従いつつどの波長の光をどのタイミングで出力するかを指示する波長制御部31と、を利用する。したがって、眼科医が行う臨床現場においても容易かつ簡便に使用することができ、臨床現場での色覚検査に非常に適したものとなる。
したがって、本実施形態によれば、色覚異常の型と程度の少なくとも一方を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査することができる。
このように、色覚異常者の色覚特性を個別に判定し、色覚異常の型と程度の少なくとも一方を定量的に、かつ、臨床現場で容易に検査することができれば、検査を希望する人の切実な要望に応えることができ、社会生活や職業適性等に資することが可能となる。したがって、色覚に関する社会的問題の解決に有益なものとなり、その結果として色覚に関するバリアフリーを推進することができる。
(b)本実施形態で説明したように、色覚検査にあたって、波長弁別閾値と比視感度との両方を特定すれば、これにより色覚異常の型と程度の両方について、これらを確実かつ容易に判別することが可能となる。したがって、色覚異常の型と程度の両方の判別を通じて、色覚に関するバリアフリーを推進する上で非常に好適なものとなる。
(c)本実施形態では、測定制御部32による波長弁別閾値または比視感度の特定結果を、記憶部33が記憶する基準データと対比させることで、被検者の色覚異常についての判別を行う。つまり、予め用意された基準データとの対比を通じて、判定制御部34が色覚異常の型または程度の少なくとも一方、好ましくは両方についての判別を行う。このように、本実施形態では、基準データを予め用意しておくことで、眼科医の臨床現場においては一般的ではなかった波長弁別閾値または比視感度に基づく色覚異常の型または程度の判別を実現可能にしている。しかも、基準データとの対比を利用することで、色覚異常の型または程度の判別処理が煩雑になってしまうのを抑制することができる。これらのことは、臨床現場での容易な検査の実現に寄与することであり、この点によっても色覚に関するバリアフリーを推進する上で非常に好適なものとなる。
(d)本実施形態で説明したように、色覚異常の型の判別を比視感度に基づいて行い、色覚異常の程度の判別を波長弁別閾値に基づいて行うようにすれば、色覚異常の型および程度の判別を容易かつ適切に行うことができる。つまり、色覚異常の型については比視感度を用いれば容易かつ適切に判別することができ、色覚異常の程度については波長弁別閾値を用いれば容易かつ適切に判別することができることから、判別に用いる波長弁別閾値および比視感度を使い分けることで、その判別の容易化および適切化が図れるようになる。また、色覚異常の型および程度の判別にあたり、その判別に用いる波長弁別閾値および比視感度を使い分けることで、判別処理のための処理負荷が過大なってしまうのを抑制することができる。しかも、判別処理のために必要となる基準データについても、必要十分な基準データだけを用意しておけばよく、そのデータ量の増大を抑制することができる。つまり、本実施形態説明したように、色覚異常の型および程度の判別にあたり、その判別に用いる波長弁別閾値および比視感度を使い分ければ、その判別処理を行うコントロール部30が高い処理能力を必要とすることを抑制でき、このことによる色覚検査装置1の低コスト化が実現可能となる。
(e)本実施形態にて一例として説明したように、光源部12が波長可変に対応するレーザ光源を有して構成されている場合には、波長弁別閾値または比視感度の特定に必要となる光の波長可変を精緻かつ円滑に行うことができる。したがって、波長弁別閾値または比視感度の特定の高精度化や迅速化等を図る上で非常に好適なものとなる。また、特に、光源部12としてレーザ光源を用いれば、光の波長可変を精緻かつ円滑に行えることから、波長弁別閾値を特定するために用いて非常に好適なものとなる。
(f)本実施形態にて他の例として説明したように、光源部12が波長可変に対応するLED光源を有して構成されている場合には、レーザ光源を有して構成されている場合に比べて、光源部12の小型化および低コスト化が実現可能となる。したがって、光源部12を備えて構成される色覚検査装置1についても、小型化および低コスト化が実現可能となり、その結果として眼科医による臨床現場において使用する上で非常に好適なものとなる。また、特に、光源部12としてLED光源を用いれば、必要十分な波長可変に対応しつつ廉価に構成できることから、比視感度を特定するために用いて非常に好適なものとなる。
(6)変形例等
以上に、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、色覚異常の型および程度の判別にあたり、主な先天色覚異常である1型2色覚、2型2色覚、1型3色覚または2型3色覚のいずれであるかを判別する場合を例に挙げたが、本発明がこれらに限定されることはない。例えば、1色覚、3型の色覚異常、後天色覚異常についても、上述の実施形態の場合と同様の思想に基づいて、検査を行うことが可能である。
また、上述の実施形態では、主として、色覚異常の型および程度の両方を判別する場合について説明したが、本発明がこれらに限定されることはない。色覚異常の型と程度のいずれか一方のみについて判別する場合であっても、これらのいずれについても定量的に判別し得ない従来手法に比べると、眼科医や被検者等にとって有益なものとなる。つまり、本発明は、色覚異常の型と程度の少なくとも一方を判別する場合に適用することが可能である。また、判別に用いる波長弁別閾値と比視感度についても同様であり、本発明は、波長弁別閾値と比視感度の少なくとも一方を特定するものであればよい。
1…色覚検査装置、10…本体部、11…接眼筒、12…光源部、13…シャッタ、20…操作部、30…コントロール部、31…波長制御部、32…測定制御部、33…記憶部、34…判定制御部、40…表示部、50…通信線

Claims (10)

  1. 被検者に視認させる光を出力するとともに当該光の波長可変に対応可能に構成された光源部と、
    前記光源部が出力する光の波長の可変制御を行う波長制御部と、
    前記被検者の操作により当該被検者の視認態様に関する情報が入力される操作部と、
    前記波長制御部による制御内容および前記操作部での入力情報に基づいて、前記被検者の眼に色を感じさせる波長の光に対してそれと色の違いを感じられる最小の波長差の値である波長弁別閾値と、前記被検者の眼が光の各波長別に明るさを感じる強さの値である比視感度と、の両方を特定する測定制御部と、
    を備える色覚検査装置。
  2. 前記波長弁別閾値前記比視感度との両方についての基準データを記憶する記憶部と、
    前記測定制御部による特定結果を前記記憶部が記憶する基準データと対比させて、前記被検者の色覚異常についての判別を行う判定制御部と、
    を備える請求項に記載の色覚検査装置。
  3. 前記判定制御部での判別内容には、前記色覚異常の型の判別が含まれる
    請求項に記載の色覚検査装置。
  4. 前記色覚異常の型の判別を、前記比視感度に基づいて行う
    請求項に記載の色覚検査装置。
  5. 前記判定制御部での判別内容には、前記色覚異常の程度の判別が含まれる
    請求項2または3に記載の色覚検査装置。
  6. 前記色覚異常の程度の判別を、前記波長弁別閾値に基づいて行う
    請求項に記載の色覚検査装置。
  7. 前記判定制御部は、前記比視感度に基づいて前記色覚異常の型の判別を行うとともに、前記波長弁別閾値に基づいて前記色覚異常の程度の判別を行う
    請求項2に記載の色覚検査装置。
  8. 前記光源部は、波長可変に対応するレーザ光源を有して構成されている
    請求項1から7のいずれか1項に記載の色覚検査装置。
  9. 前記光源部は、波長可変に対応するLED光源を有して構成されている
    請求項1から7のいずれか1項に記載の色覚検査装置。
  10. 被検者に視認させる光を出力するとともに当該光の波長可変に対応可能に構成された光源部と、前記被検者の操作により当該被検者の視認態様に関する情報が入力される操作部と、を備える色覚検査装置に搭載されたコンピュータ、または前記色覚検査装置に接続されて用いられるコンピュータに、
    前記光源部が出力する光の波長の可変制御を行う波長制御ステップと、
    前記波長制御ステップによる制御内容および前記操作部での入力情報に基づいて、前記被検者の眼に色を感じさせる波長の光に対してそれと色の違いを感じられる最小の波長差の値である波長弁別閾値と、前記被検者の眼が光の各波長別に明るさを感じる強さの値である比視感度と、の両方を特定する測定制御ステップと、
    を実行させるプログラム。
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