JP2008237150A - ジャム組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】べたつきが抑制され、また、フレーバーリリースに優れた保存性の高いジャム組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ジャム組成物が、固体脂、LMペクチン及びカルシウムを配合してなり、水分活性が0.85以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレーバーリリースに優れた保存性の高いジャム組成物及びその製造方法に関する。
ジャム類は、果実類を糖類と共にゼリー化するまで加熱したものであり、果実類の貯蔵食
品として作られている。これらのジャムには使用用途によって様々なタイプのものがあり、例えば、開封状態でも常温で長期の保存、使用を可能とするもの、あるいは、クッキーやチョコレート等の比較的保存期間が長い食品のフィリング材やトッピング材として用いられるものがある。このようなジャム類には、特に保存性が高く、カビ等の発生が抑制されることが必要とされる。
ジャム類において、保存性を高めるためには、糖類等の配合量を比較的高濃度に調整して水分活性を低く調節することが行われている(特許文献1、2)。
しかしながら、このように水分活性を低く調整したジャム類は、べたつく傾向があり、また、フレーバーリリースが悪くジャムの果実の風味を充分に味わうことができないという問題があった。
特開平4−51855号公報 特許3557381号
本発明の目的は、べたつきが抑制され、また、フレーバーリリースに優れた保存性の高いジャム組成物及びこれを用いた菓子類を提供することにある。
本発明者等は、水分活性を低く調整したジャム類に対し、意外にも固体脂を配合するとフレーバーリリースが向上し、また固体脂と共に特定のゲル化剤を用いると、べたつきが低減し、菓子その他の食品に塗布したジャム組成物が流れ出さないという適度な保形性も得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、固体脂、LMペクチン及びカルシウムを配合してなり、水分活性が0.85以下のジャム組成物を提供する。
また、本発明は、上述のジャム組成物の製造方法として、果実、野菜又は花弁原料、固体脂、LMペクチン及びカルシウムを加熱混合して水分活性を0.85以下とするジャム組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、水分活性が0.85以下という高糖度で保存性の高いジャム組成物において、べたつきが低減し、適度な保形性を有し、かつフレーバーリリースに優れたジャム組成物を提供できる。したがって、クッキーやチョコレート等のフィリング又はトッピング用ジャム等のように、常温で開封状態であっても長期の保存と使用を可能にするという高い保存性が求められる用途において、べたつきの低減と、適度な保形性の付与により取り扱い性を向上させることが可能となり、また、フレーバーリリースに優れることにより美味しさを向上させることが可能となる。
以下、本発明のジャム組成物及びその製造方法を詳述する。なお、特にことわらない限り、本発明において「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
本発明のジャム組成物とは、ジャム類の品質表示基準に準じて、果実、野菜又は花弁を砂糖類とともにゼリー化するようになるまで加熱し、水分活性を0.85以下に調整したものであって、その製造過程において、フレーバーリリースの向上等のために固体脂を加え、またゲル化剤としてLMペクチン及びカルシウムを加えたものをいい、また砂糖類に代えて濃縮果汁、蜂蜜等を用いたものも含む。
本発明のジャム組成物において、固体脂の添加によりフレーバーリリースが向上するのは、固体脂の添加によりジャムを食したときの口溶けがよくなり、それに伴ってフレーバーが強く感じられるためと考えられる。
ここで、固体脂としては、水分活性0.85以下という高糖度ジャム組成物において、べたつきを低減し、菓子その他の食品に塗布したジャム組成物が流れ出さないという適度な保形性を得ると共にフレーバーリリースを向上させるため、上昇融点を好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上とする。一方、上昇融点が高すぎると口どけが悪くなる傾向があることから、上昇融点を好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下とする。好ましい固体脂の具体例としては、パーム油脂及びパーム油脂の高融点部分を集めた分画油脂、並びに、菜種油、コーン油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油等の植物油脂、及び牛脂等の動物油脂を水添して得られる硬化油脂等をあげることができる。
固体脂の配合量は、口溶けがよくてフレーバーリリースに優れたジャム組成物を得られるようにする点から、好ましくは3%以上、更に好ましくは5%以上である。一方、配合量が多すぎても、それに見合う効果を得られず、かえって油の分離が生じ易くなる点から、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。
一方、本発明においてゲル化剤として使用するLMペクチン(ローメトキシペクチン)とは、エステル化度(DE値)が50%以下のペクチンをいう。LMペクチンにはカルシウムと反応してゼリー状のゲルを形成する性質がある。本発明ではこの性質を利用して、LMペクチンとカルシウムのゲル中に上述の固体脂が略均一に分散した状態を形成し、これにより口溶けをよくし、フレーバーリリースを優れたものとする。
LMペクチンのエステル化度は、低すぎると、LMペクチンとカルシウムを混合したときに急激に反応が進行して混合液の粘度が上がり、固体脂の分散が不十分となることにより固体脂が分離し易くなる。そこで、LMペクチンのエステル化度としては、カルシウムとの反応が比較的緩やかに進むように、好ましくは10%〜50%、より好ましくは20%〜50%、さらに好ましくは35%〜50%とする。
このようなエステル化度のLMペクチンとしては種々の原料から製造されたものを使用することができ、例えば、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘ペクチンやリンゴペクチン等が市販されているので、これらを用いればよい。
LMペクチンの配合量は、少なすぎると、ゲルが形成されず、保形性も劣ったものとなる。反対に多すぎると、LMペクチンとカルシウムを混合したときに急激に反応が進行してプリゲルが発生し、固体脂の分散が不十分となることにより固体脂が分離し易くなる。そのため、LMペクチンの配合量は、好ましくは0.5〜2%、より好ましくは0.8〜1.5%とする。
一方、ゲル化剤として、LMペクチンと共に用いるカルシウムとしては、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、醗酵L型乳酸カルシウム、合成乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、骨粉、炭酸カルシウム、貝殼粉、卵殻粉などをあげることができ、清水への溶解度が高くてカルシウム含量が多い点から、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムが好ましい。
カルシウムの配合量は、LMペクチンと反応して固体脂をジャム中に分離することなく保持する量とすればよく、具体的には、ペクチン1gあたり、カルシウムが、好ましくは20mg以上、より好ましくは30mg以上である。一方、配合量が多すぎると、LMペクチンとカルシウムを混合したときに急激に反応が進行して混合液の粘度が上がり、固体脂の分散が不十分となることにより固体脂が分離し易くなることから、ペクチン1gあたり、カルシウムが、好ましくは50mg以下、より好ましくは40mg以下である。
このように、本発明においては、ゲル化剤としてLMペクチンとカルシウムを使用するが、これに代えてエステル化度が高いHMペクチンを用いると、ジャム中に固体脂を安定的に保持することができず、固体脂がジャム中で分離する。
本発明のジャム組成物に用いる果実、野菜又は花弁としては、特に制限は無く、例えば、イチゴ、リンゴ、アンズ、ブドウ、イチジク、キウイフルーツ、ブルーベリー、ラズベリー、クランベリー、オレンジ、グレープフルーツ、なつみかん等の果実、人参、セロリ等の野菜及びバラ等の花弁が挙げられる。これらの中でも、本発明は、フレーバーリリースの良さが重要となる果実を用いたジャムにおいて大きな効果を発揮する。
本発明のジャム組成物においては、水分活性を0.85以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.75以下とする。これにより、カビ等の発生を抑制して保存性の高いジャムとすることができ、また、ジャム組成物をクッキー等の焼き菓子のフィリングやトッピングとして用いた場合に、ジャム組成物からクッキー等の焼き菓子生地に水分が移行して食感が悪化することを防止できることに加え、上述したLMペクチンとカルシウムとの反応により、固体脂をジャム組成物中に保持することが可能となる。これに対して、水分活性が大きすぎると、ゲル化剤としてLMペクチンとカルシウムを使用しても、固体脂をジャム組成物中に保持することができず、固体脂がジャム組成物中で分離してしまう。
一方、水分活性は、過度に低いと口どけが悪くなる傾向があることから、好ましくは0.6以上とする。
水分活性は上述の固体脂の配合量に依存する他、ジャム組成物中の糖類濃度に依存する。そこで、水分活性を上述の範囲に調整するためには、果実、野菜又は花弁原料等のジャム原料の加熱濃縮度を調整するか、又は糖類を適宜配合する。この場合、糖類としては、特に制限は無く、グルコース、ソルビトール、シュクロース、マルトース、ラクチトール、トレハロース等の他に、澱粉を加水分解して作製したデキストリンや、その還元物である還元デキストリン等が挙げられる。ここで、デキストリンとしては、デキストリン、澱粉糖化物、澱粉分解物、澱粉加水分解物等の名称で市販されているものを用いることができ、還元デキストリンとしては、還元デキストリン、デキストリンアルコール、糖アルコール等の名称で市販されているものを用いることができる。
水分活性を上述の範囲とするための糖類の配合量は、固体脂の配合量にもよるが、製品の糖度の下限を65度、より好ましくは75度、上限を好ましくは85度とする。この糖度に対応する糖類の配合量は、果実量、果実由来の糖度、加熱濃縮率等にもよるが、通常、ジャム組成物全体の好ましくは60〜80%、より好ましくは65〜80%である。
本発明のジャム組成物は、上述した成分の他に、一般的にジャム組成物に配合される種々の原料を配合することができ、例えば、ι−カラギーナン等のゲル化剤、酸味料、pH調整剤、酸化防止剤、酒類及び香料等が挙げられる。
なお、一般的に、水性原料と油性原料を混合する場合には、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤を配合することが多いが、本発明のジャム組成物においては油性原料が固体脂であり、特定のゲル化剤を使用するため、乳化剤を配合しなくても油性原料を均一に分散することができるので、乳化剤は配合しないことが好ましい。即ち、乳化剤を配合すると、固体脂がジャム組成物中で乳化状態となって微粒子状に分散するためか、白濁して外観がジャム組成物としてふさわしくないものとなる。また、乳化剤の配合により固体脂の分散状態が変わるためか、口溶けが低下し、フレーバーリリースも悪くなる。このため、固体脂を特に多く配合する場合にその分離を補助的に抑止する等の必要により、乳化剤を配合する場合であっても、その配合量は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下とし、できる限り配合しないことが好ましい。
本発明のジャム組成物は、次のように製造することができる。
まず、果実、野菜又は花弁原料として、例えば、果肉、果汁、濃縮果汁等を用意する。また、上述したLMペクチン、カルシウム、固体脂及び必要に応じて糖類、清水、酸味料及びpH調整剤等を用意する。これら原料の配合量は、濃縮歩留まり等を考慮し、得られるジャム組成物の水分活性が0.85以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.75以下となるように調整する。
次に、上述の原料を所定の水分活性となるまで加熱濃縮することにより、本発明のジャム組成物を得ることができるが、好ましくは、LMペクチンとカルシウムのいずれか一方を除く上述の原料を、固体脂が充分に融解して分散するように、例えば、70℃以上、より好ましくは80℃以上に加熱した状態で混合処理する。なお、この加熱混合処理は、固体脂が十分に混合分散するまで行うことが好ましい。
その後、その加熱混合液中に、LMペクチンとカルシウムのうち先に配合しなかった方を除々に添加して反応させ、固体脂が略均一に分散した状態で保持されている加熱混合液を調製する。
このように加熱混合液の調製に際し、LMペクチンとカルシウムのいずれか一方を後から配合するのは、これらを同時に配合して加熱混合すると、これらが急激に反応して加熱混合液の粘度が急昇し、固体脂が十分に分散せず、分離する場合があるためである。
固体脂が十分に分散したジャム組成物をより安定に製造する点からは、固体脂とLMペクチンとを加熱状態で混合処理した後、カルシウムを加えて更に混合処理することにより、LMペクチンとカルシウムを反応させることが特に好ましい。この場合、LMペクチンとカルシウムとを混合液中で全体的に緩やかに反応させるため、カルシウムは、好ましくは濃度0.1〜3%、より好ましくは0.5〜1.5%の水溶液として、攪拌しながら除々に加えることが好ましい。
また、LMペクチンとカルシウムを反応させる前の加熱混合液の調製時及び/又は反応させた後の加熱混合液の調製時に、好ましくは、LMペクチンとカルシウムを反応させる前の加熱混合液の調製時に、必要により濃縮処理を行う。この濃縮処理は、濃縮率が目標とする糖度になるように常法により行うことができる。
一方、LMペクチンとカルシウムを反応させ、固体脂を分散させた加熱混合液は、急速冷却等により、室温(20℃)程度まで冷却することが好ましい。
こうして本発明のジャム組成物が得られる。このジャム組成物は、べたつきが低減し、フレーバーリリースに優れ、適度な保形性を有し、高い保存性をそなえたものとなる。また、こうして得られたジャム組成物は、必要に応じて、瓶やパウチ等の容器に詰め、常温で流通させることができる。
本発明のジャム組成物の用途としては、特に制限はないが、常法により、クッキー等の焼き菓子やチョコレート等の菓子類のフィリング又はトッピングとして使用することができ、また、キャンディーや和菓子へも同様に使用することができる。特に、耐熱性が必要とされない菓子類において好適である。また、目的に応じ、本発明のジャム組成物にナッツ等の種実類やそのペースト、カカオバターなどの食品を適宜混合することも出来る。
本発明のジャム組成物を菓子類のフィリングやトッピングとして用いると、水分活性が0.85以下であることによりカビ等の発生が抑制されるので菓子類の保存性の点から好ましいだけでなく、ジャム組成物から菓子類の生地へ水分が不要に移行して食感を悪化させることを防止することができる。さらに、口溶けがよく、フレーバーリリースに優れ、菓子類の美味しさを、より向上させることができる。
実施例、比較例及び試験例について以下で説明する。
[実施例1]イチゴジャム組成物
次の表1の配合原料からイチゴジャム組成物を次のように製造した。
(*1)菜種硬化油:上昇融点55℃
(*2)LMペクチン:アップルペクチン、エステル化度40%
まず、脱気装置付きの二重釜に、麦芽糖、ソルビトール及び砂糖を投入して90℃になるまで加熱しながら攪拌混合して糖類を溶解させた。
次に、予め10%濃度となるように清水に加温融解したLMペクチン、予め60℃に加温して融解した菜種硬化油、イチゴ濃縮果汁及びイチゴ果肉を二重釜に投入した後、加熱しながら90℃になるまで充分に攪拌混合し、更に、脱気処理をしながら濃縮率が83%程度となるまで煮詰めた。
続いて、この品温90℃の混合液に、乳酸カルシウム濃度が10%となるように清水に加温溶解した乳酸カルシウム溶液を除々に投入して充分に混合した後、クエン酸を投入して充分混合し、容器に充填し、室温に冷却して、本発明のイチゴジャム組成物を得た。
得られたイチゴジャム組成物の水分活性は0.66、糖度は80度であり、油脂の分離はなかった。
図1に、このイチゴジャム組成物の光学顕微鏡写真(倍率100)を示す。同図から固体脂が粒状の状態でジャム組成物中に分散していることがわかる。
なお、実施例1において、上昇融点55℃の菜種硬化油に代えて、上昇融点33℃の菜種硬化油を使用した他は同様に製造したイチゴジャム組成物も、油脂の分離はなく、フレーバーリリースも良好であった(水分活性0.66、糖度80度)。
[比較例1]
実施例1において、菜種硬化油に代えて菜種油を使用した他は同様にイチゴジャム組成物を製造した。その結果、菜種油が分離した。
図2に、このイチゴジャム組成物の写真を示す。同図から、菜種油が分散せず、塊状となっていることがわかる。
[比較例2]
実施例1において、菜種硬化油を配合しない他は、同様にしてイチゴジャムを製造した。得られたイチゴジャムの水分活性は0.66、糖度は80度であった。
[比較例3]
実施例1において、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(HLB6.0)0.1部を配合した他は、同様にしてイチゴジャム組成物を製造した。なお、ショ糖脂肪酸エステルは、予め菜種硬化油と混合してから配合した。得られたジャム組成物は、菜種硬化油が分離してはいなかったが、実施例1で得られたジャム組成物に比べて透明感がなく、白濁しており、外観の劣るものであった。
[実施例2]リンゴジャム
実施例1において、表2の配合原料を用いた他は同様にしてリンゴジャム組成物を製造した。得られたリンゴジャム組成物の水分活性は0.66、糖度は80度であった。







(*1)菜種硬化油:上昇融点55℃
(*2)LMペクチン:アップルペクチン、エステル化度40%
[評価試験1]
実施例1、2及び比較例1〜3で得られたジャム組成物の(a)付着性、(b)口溶け、(c)フレーバーリリースを、それぞれ次の方法で評価した。
これらの結果を表3に示す。
(a)付着性
次の測定機器を次の条件で用いて付着性を測定した。この測定値は、負の数値が大きいほどべたつきやすいことを示している。
測定機器 :CR-500DX(株式会社サン科学)
測定ソフト :Rheo Data Analyzer
プランジャー:直径20mm、高さ40mmの円筒プランジャー
プランジャー進入速度:600mm/分
クリアランス:5mm
カップサイズ:内径35mm、高さ12mmの容器使用
(b)口溶け、(c)フレーバーリリース
ジャムの専門パネラー(5人)が評価者となり、実施例1,2及び比較例1〜3の各ジャム組成物をクラッカーにトッピングして食し、次の評価基準で、口溶けとフレーバーリリースを評価した。
口溶けの評価基準
A:口溶けが大変よい
B:口溶けがよい
C:口溶けがやや悪い
D:口溶けが悪い
フレーバーリリースの評価基準
A:果実フレーバーが大変強い
B:果実フレーバーが強い
C:果実フレーバーがやや弱い
D:果実フレーバーが大変弱い

表3から、食用油脂を使用しないと付着性が大きく、べたつきがあり、口溶けやフレーバーリリースも劣り(比較例2)、食用油脂として常温で液状のものを使用しても、口溶けやフレーバーリリースが劣ることがわかる(比較例1)。なお、比較例1で付着性が小さいのは、ジャム組成物表面に油が浮くので測定値が小さくなっていることによる。また、食用油脂として常温で固体のものを使用しても、乳化剤を併用すると、べたつきが強くなり、口溶けやフレーバーリリースも劣ることがわかる(比較例3)。これに対し、食用油脂として常温で固体のものを使用するとべたつきが低減し、口溶けもフレーバーリリースも向上することがわかる(実施例1、2)。
[評価試験2]
実施例1において、ペクチンとして、表4に示すエステル化度のペクチンを用いた他は、同様にしてジャム組成物を製造し、得られたジャム組成物の油分離の状態を次の評価基準により評価した。更に油分離の状態の評価結果がA〜Cであったジャムについては、それぞれ評価試験1と同様にクラッカーにトッピングして食し、口溶けとフレーバーリリースを評価した。
結果を表4に示す。表4から、ペクチンのエステル化度が高すぎると固体脂が分散せず、反対に低すぎても固体脂が分散しにくいことがわかる。
油分離の状態の評価基準
A:油の分離が見られない
B:油の分離がわずかに見られる
C:油の分離やや見られる
D:油の分離が激しくジャムが得られない







[評価試験3]
実施例1において、ソルビトールの配合量の一部を清水に置き換えて、表5に示す水分活性となるようにした他は、同様にしてジャム組成物を製造し、その際の油分離の状態を評価試験2と同様に評価した。
更に油分離の状態の評価結果がA〜Cであったジャム組成物については、それぞれ評価試験1と同様に口溶けとフレーバーリリースを評価した。
結果を表5に示す。表5から、水分活性が大きすぎると、保形性が劣り、塗布形状を保てずソース状となり、ゲルが弱いために固体脂をジャム組成物中に保持することができず、固体脂がジャム組成物中で分離することがわかる。
本発明は、ジャム組成物を利用する、菓子類を初めとする種々の食品分野で有用である。
実施例1のジャム組成物の顕微鏡写真(図面代用写真)である。 比較例1のジャム組成物の顕微鏡写真(図面代用写真)である。

Claims (8)

  1. 固体脂、LMペクチン及びカルシウムを配合してなり、水分活性が0.85以下であることを特徴とするジャム組成物。
  2. 糖度が65度以上である請求項1記載のジャム組成物。
  3. LMペクチンのエステル化度が10%以上である請求項1又は2記載のジャム組成物。
  4. 固体脂の上昇融点が20℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載のジャム組成物。
  5. 菓子用フィリング又はトッピングである請求項1〜4のいずれかに記載のジャム組成物。
  6. 果実、野菜又は花弁原料、固体脂、LMペクチン及びカルシウムを加熱混合して水分活性を0.85以下とするジャム組成物の製造方法。
  7. 少なくとも果実、野菜又は花弁原料、及び固体脂と、LMペクチン又はカルシウムのいずれか一方とを加熱混合処理した後、LMペクチン又はカルシウムの他方を加えて更に加熱混合処理し、それを冷却する請求項6記載のジャム組成物の製造方法。
  8. 加熱混合処理を70℃以上で行う請求項6又は7記載のジャム組成物の製造方法。
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