JP2018191517A - 包餡焼成用ジャム類、包餡生地、ベーカリー製品、包餡焼成用ジャム類の製造方法、及びベーカリー製品のしとり感の改良方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明は、該包餡焼成用ジャム類を使用した包餡生地、該包餡生地の焼成品であるベーカリー製品に関する。
また、本発明は、包餡焼成用ジャム類の製造方法に関する。
また、本発明は、ベーカリー製品のしとり感の改良方法に関する。
糖類を増やす方法では、糖分が糊化を抑制することに加え、火抜けが悪いため焼成時間を長くとる必要があり、そのため生地表面部分の水分が飛びすぎて硬い食感となってしまったり、焦げを生じてしまう問題などがあった。
ゲル化剤や増粘多糖類やゼラチンを配合する方法では、上記のような極端な食感の変化は起きないものの、ねちゃついた、歯切れの悪い食感となってしまうこともあった。
そしてやはり配合成分による食感改良方法では生地物性も変わってしまう。このため焼き上がりの形状にも変化がでてしまい、焼流れして潰れた形状となってしまったり、反対に一部分が盛り上がった形状になってしまったりして、均質な安定した形状の製品が得られなくなってしまうという問題もあった。
一方、焼菓子生地の内部に水分含量の高い焼菓子生地やフィリング材を包餡して焼成することで、内部からの水分移行により、焼菓子をしっとりさせる方法(たとえば特許文献7参照)や、あるいはいったんバッターを焼成した焼菓子を得てこれを粉砕し、ショートペースト中に分散させた後再焼成してなる焼菓子や、いったんショートペーストを焼成した焼菓子を得てこれを粉砕し、バッター中に分散させた後再焼成してなる焼菓子など、生地中の水分を偏在させることで、生地全体の水分含量を調整し、流動性を防止しつつ火抜けの向上を図る方法(たとえば特許文献8参照)についても提案されている。
ジャムはその水分含量の高さゆえ、賞味期限が短くなってしまうことに加え、ベーカリー生地に包餡して焼成すると突沸しやすく、さらには焼残り耐性も低いため、グルテンのつながりの少ないケーキ生地やクッキー生地で包餡した場合はパンクしたり、焼成品の形状が不安定になってしまう。そのためパン生地への包餡によりジャムパンとすることは行われるが、焼菓子のフィリングとして使用されることはほとんど行われない。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、油脂含量が2〜20質量%である包餡焼成用ジャム類を提供するものである。
本発明におけるジャム類とは、JAS法品質表示基準の「果実、野菜又は花弁を糖類等と共にゼリー化するようになるまで加熱したもの、またはそれらに果汁、ゲル化剤、酸味料、香料等を加えたもの」に限定されず、果実、野菜又は花弁については、濃縮果汁や抽出液、しぼり汁等を用いたものであってもよく、また、ゼリー状の他、固形状であったり、フルーツソースのような流動状のものであってもよい。
また、果実、野菜又は花弁の原形がほとんど残らない形態であっても、また、その形状が残る、いわゆるプレザーブタイプであってもよい。
中でも焼成後に透明感があり、且つ、焼残り性の高いジャム類が得られることから、バレンシアオレンジ、ネーブル、ブラッドオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ゆず、シークワーサー、ライム、カボス、日向夏、すだち、スウィーティ―、へべス、温州みかん、ぽんかん、たんかん、八朔、甘夏、夏みかん、ばんぺいゆ、河内晩柑、ざぼん、文旦、金柑、たまたま、ベルガモット、まりひめ、橘、いよかん、清見、不知火、セミノール、ミネオラ、せとか、はるみ、マーコット、メロン、ドラゴンフルーツ、スターフルーツ、パッションフルーツ、ざくろ、パイナップル、イチジク、アプリコット、チェリー、ブドウ、ラズベリー、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、アサイー、ハスカップ、プラム、プルーン、りんご、桃、ネクタリン、梨(和梨)、梅、栗、アンズ、柿、カリン、すいか、洋梨、アセロラ、キウィーフルーツ、グァバ、ココナッツ、マンゴー、マンゴスチン、バナナ、パパイア、ドリアン、ライチ、びわのうちの1種又は2種以上であることが好ましく、果皮や種がなくとも良好な風味と食感が得られ、適度の酸味を有する点でパイナップル、アプリコット、チェリー、ブドウ、りんご、桃、ネクタリン、アンズ、マンゴーのうちの1種又は2種以上であることが特に好ましい。
なお本発明におけるブリックス(Brix)値とは、糖用屈折計示度を用いて測定される値であり、いわゆる可溶性固形分濃度のことである。
2質量%未満であると本発明の効果が得られず、20質量%を超えると油分分離が発生したり、得られるベーカリー製品に油性感が感じられる問題、さらには、焼成後のジャム類が透明感がなく濁った感じになってしまうという問題が発生する。
また、上記油脂は、例えば、ショートニング・マーガリン・バター等の可塑性油脂組成物や、サラダ油・流動ショートニング・溶かしバター等の流動状油脂組成物、また、粉末油脂等の形態であってもよく、油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び油中水中油型や水中油中水型などの二重乳化型の何れでも構わないが油中水型又は油中水中油型であることが好ましい。
ただし、油脂組成物が乳化物である場合、その水分含有量は、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。
尚、本発明において、25℃における基準SFCとは、油脂を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(固体脂含量)をいう。
油脂の入手しやすさやジャム類への混合のしやすさ、及び口溶けの点から、本発明におけるジャム類に含まれる油脂の基準SFCは、7〜40%であることが好ましく、
7〜30%であることがより好ましい。また、本発明におけるジャム類に含まれる油脂の60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは、5〜30%であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましい。
具体的には、食用油脂に対して結晶化調整剤を添加する方法、及び/又は相溶性の低い食用油脂を組み合わせて配合した混合油脂を使用する方法によって得ることができる。
先ず、食用油脂に対して結晶化調整剤を添加する方法(以下、第1の方法という)について述べる。
上記食用油脂としては、上述の食用油脂を特に限定されず使用することができる。
上記食用油脂に対する上記結晶化調整剤の添加量は、食用油脂100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、更に好ましくは2〜5質量%である。
ここで、相溶性の低い食用油脂の組み合わせ方としては、例えば以下の(1)〜(3)の組み合わせが挙げられる。
(1)パーム系油脂と、ラウリン系油脂
(2)パーム系油脂と、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂
(3)パーム系油脂と、ランダムエステル交換油脂
上記のパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油を挙げることができる。
上記のパーム分別油としては、例えばパームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点部等を用いることができる。
パーム油を分別する方法には特に制限はなく、溶剤分別、乾式分別、乳化分別の何れの方法を用いてもよい。本発明では上記のパーム系油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。パーム系油脂はランダム交換油脂を除くものとする。
上記(1)の組み合わせにおいて、混合油脂中のパーム系油脂の含有量は好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは48〜85質量%、最も好ましくは51〜80質量%である。
また、混合油脂中のラウリン系油脂の含有量は好ましくは4〜30質量%、更に好ましくは8〜30質量%、最も好ましくは8〜20質量%である。
尚、混合油脂中のSMSで表されるトリグリセリドの含有量と構成脂肪酸組成におけるラウリン酸の含有量の質量比率は、該SMSで表されるトリグリセリドの含有量を1としたときに、該ラウリン酸の含有量が好ましくは0.2〜1.2、更に好ましくは0.3〜1.0、最も好ましくは0.3〜0.5とする。
上記のパーム系油脂としては、上記(1)の組み合わせで説明したパーム系油脂を使用することができる。
上記の豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂としては、具体的には豚脂、牛脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂を挙げることができる。
本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では特に豚脂を用いることが好ましい。
また、豚脂系油脂及び/又は牛脂系油脂の含有量は好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは40〜80質量%、最も好ましくは51〜80質量%である。
上記のパーム系油脂としては、上記(1)の組み合わせで説明したパーム系油脂を使用することができる。
また混合油脂中のランダムエステル交換油脂の含有量は好ましくは25〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%、最も好ましくは40〜50質量%である。
50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
上記の極度硬化油脂としては、ナタネ極度硬化油、ハイエルシンナタネ極度硬化油、大豆極度硬化油、パーム極度硬化油等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明ではハイエルシンナタネ極度硬化油、パーム極度硬化油、大豆極度硬化油の中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
上記の「その他の油脂」としては、食用に適する油脂であればよく、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、ハイオレイックべに花油、ハイオレイックひまわり油、各種食用油脂の分別軟部油等の常温で液体の油脂や、乳脂等が挙げられるが特に限定されない。
上記その他の成分としては、例えばゲル化剤や増粘安定剤、タンパク質、食物繊維、乳化剤、着色料、酸味料、香料、塩味剤、保存剤、水、酵素、高甘味度甘味料、アルコール、酒、リキュール、アミノ酸、カカオ製品、紅茶、抹茶、緑茶、コーヒー等の食品や食品添加物を挙げることができる。
上記本発明のジャム類は、最終的な油脂含量が2〜20質量%となるように油脂を加える工程を含む以外は一般的なジャムの製法で得ることができる。
具体的には(1)ジャム類に対し、最終的な油脂含量が2〜20質量%となるように液状または溶解した油脂を添加及び混合する方法か、(2)ジャム原料に対し、最終的な油脂含量が2〜20質量%となるように油脂を配合し、炊き上げる方法のいずれかであることが好ましい。ここで(1)の方法において、油脂を固体状〜ペースト状のまま添加及び混合すると、本発明のジャム類の保管中に油分が分離しやすくなってしまう問題がある。
液状または溶解した油脂とは、室温(25℃)で液状である油脂、または、室温(25℃)で固形状若しくはペースト状等の半固形状であって、加温して液状に溶解させた油脂を指す。また、ここでいう(1)の方法において、ジャム類に油脂を配合した後、又は配合と同時に更にジャム類を加熱してもよく、加熱しなくてもよい。また(2)の方法におけるジャム原料としては、上記の果実、野菜又は花弁が挙げられ、更に糖類、並びに必要に応じて上記その他の成分が含まれていてもよい。上記の果実、野菜又は花弁としては、収穫後の果実、野菜又は花弁の植物体そのものであってもよく、或いは該植物体の缶詰品、レトルト品、乾燥品をはじめ、プレザーブ、果汁、濃縮果汁、抽出液、しぼり汁、あるいはそれらの凍結及び/又は加熱等の加工物であってもよい。(2)の「炊き上げる」処理の例としては、加熱等してジャムを仕上げる処理が挙げられる。(2)の炊き上げの際の加熱には、油脂の配合後に加熱する場合と、油脂の配合及び加熱を同時に行う場合の両方が含まれる。
ここで包餡するためのベーカリー生地としては、例えば、餅生地、まんじゅう生地、乳菓生地などの和菓子生地や、クッキー生地、サブレ生地、ガレット生地、タルト生地、練りパイ生地、折パイ生地、シュー生地、サブレ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地等の焼菓子生地や、食パン生地、フランスパン生地、バラエティブレッド生地、ブリオッシュ生地、デニッシュ生地、スイートロール生地、イーストドーナツ生地、マフィン生地、ピザ生地、スコーン生地、蒸しパン生地、ワッフル生地、イングリッシュマフィン生地、バンズ生地等のパン生地が挙げられるが、本発明では、本発明の効果が高い点で焼菓子生地であることが好ましく、とりわけ、水分含量の低い焼菓子生地である点でクッキー生地、サブレ生地、ガレット生地、タルト生地、練りパイ生地のうちのいずれかであることが特に好ましい。
なお、該ベーカリー生地の製造方法は、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができ、焼菓子生地であれば、オールインミックス法、シュガーバッター法、フラワーバッター法、後粉法、別立法、後油法等、パン生地であれば中種法、ストレート法、湯種法、長時間冷蔵法等を適宜選択可能である。
本発明の包餡生地は、上記包餡焼成用ジャム類を上記ベーカリー生地で包餡したものである。
また、勿論、本発明の包餡生地は、ベーカリー生地及び/又は包餡焼成用ジャム類を2種以上使用する多重包餡生地であってもよい。
なお、包餡生地の質量は、とくに制限されないが、好ましくは1つ当たり2g〜200g、より好ましくは5g〜150gである。とくにクッキー生地、サブレ生地、ガレット生地、タルト生地、練りパイ生地を使用する場合は、好ましくは5g〜100g、さらに好ましくは10g〜60gである。
具体的には、例えばベーカリー生地を薄いシート状に成形したのち、中央部に、包餡焼成用ジャム類を積置した後に四方より折り畳み、巾着包みをする方法でもよいし、ベーカリー生地で包餡焼成用ジャム類を完全に包む方法でもよい。その際、生地の内面側及び/又は内部のジャム類が一部露出するような成形をおこなってもよい。
上記包餡生地は勿論冷凍することが可能である。
本発明のベーカリー製品は、上記包餡生地の焼成品であり、具体的には上記包餡生地を、必要に応じ圧延、成形、ホイロ、ラックタイム、レストタイム等をとった後、焼成することによって得られるベーカリー製品である。
焼成方法は、通常のベーカリー製品同様、160℃〜250℃、好ましくは170℃〜220℃で行なうのが好ましい。160℃未満であると火どおりが悪く、また、250℃を超えると焦げを生じ、食味が悪くなる。
以上のようにして得られたベーカリー製品は焼成直後から、ソフトでしっとりし、且つ、歯切れのよい食感を有する。また、火抜けが良好であるため、保存性が高いものである。
本発明のしとり感の改良方法は、油脂含量が2〜20質量%であるジャム類をベーカリー生地で包餡し、焼成することを特徴とするものである。
油脂の種類、ジャム類への油脂の添加方法やベーカリー生地の種類、焼成方法については前述のとおりである。
実施例1〜14並びに比較例1及び2は、本発明及び比較用の包餡焼成用ジャム類の製造例であり、得られた包餡焼成用ジャム類は下記のベーカリー試験に供した。
〔製造例1〕
構成脂肪酸組成において炭素数14(以下、「C14」と表す)以下の飽和脂肪酸含量が68%、炭素数16(以下、「C16」と表す)以上の飽和脂肪酸含量が11%であるパーム核油75%に、構成脂肪酸組成においてC14以下の飽和脂肪酸含量が0%、C16以上の飽和脂肪酸含量が99%であるパーム極度硬化油25%を配合し、構成脂肪酸組成においてC14以下の飽和脂肪酸含量が51%、C16以上の飽和脂肪酸含量が33%である油脂配合物を得た。この油脂配合物100部に対し、触媒として0.1部のナトリウムメチラートを添加し、80℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して、融点が32℃であるエステル交換油脂Aを得た。
ヨウ素価60のパーム分別軟部油100部に対し、触媒として0.1部のナトリウムメチラートを添加し、80℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して、融点が34℃であるエステル交換油脂Bを得た。
〔製造例3〕
ヨウ素価51のパーム油60%、ヤシ油10.3%、ナタネ液状油29%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油0.7%を混合溶解し、混合油脂Aを得た。
得られた混合油脂AのSMSで表されるトリグリセリド(1,3位がS、2位がMであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)(以後SMSという)の含有量(油相基準)は15.0%、構成脂肪酸組成におけるラウリン酸の含有量は5.3%、トランス酸の含有量は1.2%、該SMSの含有量を1としたときの該ラウリン酸の含有量(油相基準)は0.35であった。
また得られた混合油脂Aを60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は10%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは7.4%であり、25℃における基準SFCの74%であった。
ヨウ素価51のパーム油43%、豚脂55%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油2%を混合溶解し、混合油脂Bを得た。
得られた混合油脂BのSMSの含有量は13%、MSMで表されるトリグリセリド(1,3位がM、2位がSであるトリグリセリド。但し、S=炭素数16〜24の飽和脂肪酸、M=炭素数16〜24のモノ不飽和脂肪酸)(以後MSMという)の含有量は13%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は1.5%であった。
また得られた混合油脂Bを60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は14.5%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは9.5%であり、25℃における基準SFCの66%であった。
ヨウ素価51のパーム油35%、ヨウ素価35のパーム中融点部20%、エステル交換油脂A18%、エステル交換油脂B25%、及び大豆極度硬化油2%を混合溶解し、混合油脂Cを得た。
得られた混合油脂Cにおいて、SMSの含有量(油相基準)は24%、MSMの含有量は2.9%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は0.8%であった。
得られた混合油脂Cを60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は27.8%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは19.5%であり、25℃における基準SFCの70%であった。
〔製造例6〕
ヨウ素価51のパーム油43%、豚脂55%、及びハイエルシンナタネ極度硬化油2%からなる混合油脂80部、レシチン0.5部、グリセリンモノ脂肪酸エステル0.5部からなる油相81部を溶解し、水19部からなる水相を、添加、混合及び急冷可塑化して、可塑性油脂組成物Aを得た。
得られた可塑性油脂組成物Aにおいて、SMSの含有量(油相基準)は13%、MSMの含有量(油相基準)は13%であり、構成脂肪酸組成におけるトランス酸の含有量は1.5%であった。
また得られた可塑性油脂組成物Aの油相を60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は14.5%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは9.5%であり、25℃における基準SFCの66%であった。
〔実施例1〕
缶詰の桃ダイスカット品700gをシロップ切りし、グラニュー糖280gとペクチン3gと共に鍋に投入し、ブリックス値68%になるまで炊き上げた。ここに製造例3で得られた混合油脂Aを60℃で溶解してから最終的に3%になるように添加し、十分に混合し、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類1を得た。
実施例1における油脂の添加量を3%から8.5%に変更した以外は実施例1と同様にして、ブリックス値68%である本発明の包餡焼成用ジャム類2を得た。
実施例1における油脂の添加量を3%から15%に変更した以外は実施例1と同様にして、ブリックス値68%である本発明の包餡焼成用ジャム類3を得た。
缶詰の桃ダイスカット品700gをシロップ切りし、グラニュー糖280g、ペクチン3gとさらに上記製造例3で得られた混合油脂A50gを共に鍋に投入し、ブリックス値68%になるまで炊き上げ、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類4を得た。
実施例4で使用した混合油脂Aに代えて上記製造例4で得られた混合油脂Bを使用した以外は実施例4と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類5を得た。
実施例4で使用した混合油脂Aに代えて上記製造例5で得られた混合油脂Cを使用した以外は実施例4と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類6を得た。
実施例4で使用した混合油脂Aに代えて菜種液状油を使用した以外は実施例4と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類7を得た。なお、使用した菜種液状油は、60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は0%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは0%であり、25℃における基準SFCは計算不能であった。
実施例2における炊き上げ時間を延長しブリックス値を73%とした以外は実施例2と同様にして、油脂含量8.5%の本発明の包餡焼成用ジャム類8を得た。
実施例2における炊き上げ時間を短縮しブリックス値を60%とした以外は実施例2と同様にして、油脂含量8.5%の本発明の包餡焼成用ジャム類9を得た。
缶詰の桃ダイスカット品700gをシロップ切りし、グラニュー糖280gとペクチン3gと共に鍋に投入し、ブリックス値68%になるまで炊き上げた。ここに上記製造例6で得られた可塑性油脂組成物Aを油脂含量が8.5%になるように添加し、十分に混合し、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類10を得た。
実施例10で使用した可塑性油脂組成物Aに代えて無塩バターを使用した以外は実施例10と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類11を得た。なお、使用したバターは、60℃で融解した後、0℃で30分、25℃で30分保持後のSFC(25℃における基準SFC)は11.2%であるのに対し、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFCは、9.1%であり、25℃における基準SFCの81%であった。
実施例2における缶詰の桃ダイスカット品700gを缶詰のリンゴスライスカット品700gに変更した以外は、実施例2と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類12を得た。
実施例2における缶詰の桃ダイスカット品700gをブルーベリー700gに変更した以外は、実施例2と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値60%の本発明の包餡焼成用ジャム類13を得た。
実施例2における缶詰の桃ダイスカット品700gを缶詰のパイナップルスライスカット品700gに変更した以外は、実施例2と同様にして、油脂含量8.5%、ブリックス値68%の本発明の包餡焼成用ジャム類14を得た。
実施例1における油脂の添加量を3%から0%、すなわち油脂無添加に変更した以外は実施例1と同様にして、ブリックス値68%である比較例の包餡焼成用ジャム類15を得た。
実施例1における油脂の添加量を3%から30%に変更した以外は実施例1と同様にして、ブリックス値68%である比較例の包餡焼成用ジャム類16を得た。
上記実施例1〜14及び比較例1、2で得られた包餡焼成用ジャム類1〜16を使用し、下記の配合及び製法で包餡生地1〜16、及び、ベーカリー製品1〜16を得た。得られたベーカリー製品1〜16は、室温放冷後袋詰めし、25℃で10日間保管後に試食し、下記の評価基準に従ってクッキー生地部分の食感(ソフト性、しとり感、歯切れ、油性感)、並びに、ジャム部分の食感(ソフト性、しとり感、歯切れ)及び外観(透明感、油分分離)を評価し、結果を表1に記載した。
バターリッチナチュラル(株式会社ADEKA製)40部及び無塩バター35部をミキサーボウルに投入し、さらに粉糖40部、食塩0.5部を投入し、ビーターを使用し、比重0.85になるまでクリーミングした。ここに卵黄15部を添加し、十分に混合した。さらに薄力粉100部及びアーモンドプードル30部をあらかじめ混合して篩っておいたものを添加し、軽く混合し、本発明で使用するベーカリー生地であるクッキー生地を得た。
得られたクッキー生地は2℃の冷蔵庫で30分寝かせた後、このクッキー生地を外包材、包餡焼成用ジャム類を内包材として、質量比が外包材:内包材=50:50、総質量30gで包餡成形し包餡生地とした。この包餡生地を40mm×40mm×深さ30mmの角型天板に入れ、固定オーブンで170℃25分焼成し、ベーカリー製品(フルーツクッキー)を得た。
・ソフト性
◎:良好。
○:やや良好。
△:やや硬い食感である。
×:硬い食感である。
◎:極めて良好。
○:良好。
△:ややぱさついている。
×:ぽろぽろした脆い食感である。
○:良好。
△:ややねちゃつきが感じられる。
×:ねちゃつきが強く、不良である。
◎:油性感が感じられず良好。
○:やや油性感が感じられるが良好。
△:油性感がやや強く感じられる
×:油性感が強く、不良である。
・ソフト性
◎:ソフト感があり良好である。
○:ややソフトである。
△:やや硬い物性であり、ソフト感に乏しい。
×:硬い食感であり、不良である。
◎:極めて良好。
○:良好。
△:ややパサつき感がある。
×:パサつき感が感じられ不良である。
○:良好。
△:ガム感があり、不良である。
×:べたつき、不良である。
◎:つやのある透明感があり、極めて良好。
○:つやがないが透明感があり、良好。
△:やや濁っており、やや不良である。
×:白く濁っており、不良である。
◎:油分分離が見られず良好。
○:わずかに油分分離が見られる。
△:油分分離がやや多い。
×:油分分離が激しく、不良である。
Claims (10)
- 油脂含量が2〜20質量%である、包餡焼成用ジャム類。
- ブリックス値が60%超である、請求項1記載の包餡焼成用ジャム類。
- 上記油脂が、60℃で融解した後、25℃で100分保持後のSFC(固体脂含量)が、25℃における基準SFCの80%以下である油脂である、請求項1又は2記載の包餡焼成用ジャム類。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の包餡焼成用ジャム類をベーカリー生地で包餡した包餡生地。
- 上記ベーカリー生地が焼菓子生地である、請求項4記載の包餡生地。
- 請求項4又は5記載の包餡生地の焼成品であるベーカリー製品。
- ジャム類に対し、最終的な油脂含量が2〜20質量%となるように液状又は溶解した油脂を添加混合する、包餡焼成用ジャム類の製造方法。
- ジャム原料に対し、最終的な油脂含量が2〜20質量%となるように油脂を配合し、炊き上げる、包餡焼成用ジャム類の製造方法。
- 油脂含量が2〜20質量%であるジャム類をベーカリー生地で包餡し、焼成する、ベーカリー製品の製造方法。
- 油脂含量が2〜20質量%であるジャム類をベーカリー生地で包餡し、焼成する、ベーカリー製品のしとり感の改良方法。
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