JP2008236367A - 圧電薄膜振動子の製造方法及び圧電薄膜振動子 - Google Patents

圧電薄膜振動子の製造方法及び圧電薄膜振動子 Download PDF

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Abstract

【課題】犠牲層の耐熱性、耐薬品性が高く、犠牲層の除去の容易な圧電薄膜振動子の製造方法及び圧電薄膜振動子を提供する。
【解決手段】圧電薄膜振動子1は、タングステン等の材料群から選択された材料により基板11の表面に犠牲層を形成し、次いで犠牲層の一部を露出部として残しながら、この犠牲層の上に下部電極14、圧電薄膜15、上部電極16からなる積層体10を積層し、次いで積層体10により覆われていない露出部を介して犠牲層を過酸化水素水で除去することにより、基板11の上面と分離層13との間に空隙部18を形成することにより製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に形成された圧電薄膜振動子の製造方法及び圧電薄膜振動子に関する。
携帯電話等の移動体通信端末に組み込まれる各種フィルタ回路には、例えばLCフィルタやSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ等が用いられるが、移動通信端末の更なる小型化に伴ってこれらのフィルタと比較して小型化や加工の容易な圧電薄膜振動子(圧電薄膜共振子)と呼ばれる素子が注目されている。
圧電薄膜振動子は、その構造や製造方法によって例えばFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)やSMR(Solidly Mounted Resonator)等のいくつかのタイプに分類されているが、なかでもAGR(Air-Gap type Resonator)と呼ばれるタイプの圧電薄膜振動子は比較的簡素な工程により製造することができる。例えば図11に示したAGR100は、スパッタリングやフォトリソグラフィにより平坦な基板101の表面に犠牲層を形成し、この犠牲層の上に下部電極102、圧電体からなる圧電薄膜103及び上部電極104(以下、これらをまとめて積層体105という)を積層した後、薬液等により犠牲層を側方から除去し、空隙部106を形成することによって製造される。
このようにして製造されたAGR100の各電極102、104に電力を印加すると、圧電薄膜103にて電気エネルギーが機械エネルギーに変換され、圧電薄膜103上に厚み方向の縦振動を得ることができる。ここで空隙部106は、基板101に拘束されない自由な振動を得られるようにする役割を果たすが、空隙部106を形成するための犠牲層は、既述のように製造工程の最初に基板101上に形成され、最後に除去されるため、犠牲層の材料やエッチング用の薬液の選択はAGR100の品質等に影響を与える重要な要素となる。
例えば犠牲層にBPSG(Boro-phospho silicate glass)やアルミニウムを選択すると、BPSGをエッチングする薬液は例えばフッ酸(HF)やバッファードフッ酸(BHS)、アルミニウムでは、塩酸、リン酸、硝酸の混合溶液等であるため、これらの強酸は犠牲層の上の積層体105等、他の部材までも侵してしまうおそれがある。こうした他部材へのダメージを避けるには、これらの強酸の希釈液を薬液とすることも考えられるが、この場合には犠牲層を除去しきれずに、その一部が空隙部106内に残ってしまい、設計通りの周波数を得られなくなってしまうおそれがある。また犠牲層に樹脂等の有機材料を選択すれば有機溶剤により容易に除去することもできるが、有機材料は熱に弱く、その後の製造工程で高温のプロセスを採用できなくなってしまい、積層体105の材料選択等に際して大きな制約となる。
このようにAGR100の製造工程においては、耐熱性を備え且つ簡単に除去することの可能な犠牲層材料と、エッチング時に他の部材に与える影響の少ない薬液との組み合わせが必要とされている。このような要求を満たす組み合わせの候補として、既述した塩酸等の混合溶液やフッ酸よりも酸性度の低い過酸化水素水をエッチング用の薬剤とし、これに溶解する金属を犠牲層材料とする選択が考えられる。
例えば特許文献1には、AGR100と半導体回路とを同一の基板101上にモノリシックに作り込む際に、既述の犠牲層のエッチング工程において、既に基板101上に形成された半導体回路にダメージを与えないため、ゲルマニウム(Ge)を犠牲層材料とし、これを過酸化水素水で除去する技術が記載されている。また、特許文献2には、モリブデン(Mo)を犠牲層材料とし、過酸化水素水(50%、70℃)によってAGR100の空隙部106を形成する技術が記載されている。
特開2004−282514号公報:請求項4、第0003段落、第0012段落 特開2002−140075号公報:第0032段落〜第0034段落
特許文献1や特許文献2に記載されているように、犠牲層を除去する薬液を過酸化水素水とすれば、積層体105等の他部材に与えるダメージを小さく抑えながら犠牲層を除去することが可能となる。ところが、特許文献1に記載の技術にて採用されているGeは、融点が937.4℃と比較的低く、例えば数百度の高温な雰囲気に晒されると犠牲層の表面に凹凸が形成されて、この上に積層される圧電薄膜にも凹凸が形成されてしまい、その周波数に悪影響を与えるおそれがある。このため、Geを犠牲層に用いた場合には、処理雰囲気が数百度にもなるCVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜プロセス等を用いることができなくなってしまう。
また、Geは酸(リン酸、フッ酸)、クロム(Cr)エッチャント等の薬液に対して変質しやすく、変質したGeは過酸化水素水では除去しにくくなってしまう。このため、背景技術にて既述のように、除去されなかった犠牲層材料の一部が空隙部106に残存して設計通りの周波数を得られなくなってしまうおそれもある。
他方、特許文献2に記載の技術にて採用されているMoは、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸やアルカリに溶解するという欠点がある。例えば既述のようにAGR100の製造工程においては、フォトリソグラフィ技術が用いられているが、ここで用いられるレジスト膜の剥離には一般に有機溶剤や硝酸が用いられている。既述のようにMoは硝酸に溶解するため、レジスト膜の剥離には有機溶剤を選択する必要がある。しかしながら犠牲層は、例えば0.1〜0.3μm程度の上部、下部電極102、104の膜厚と比べて、1〜2μm程度と比較的厚い膜厚を有しており、このように厚い膜をエッチングする際にはレジストの厚みも相応な厚さにする必要がある。ところが、レジストは厚くなると有機溶剤による剥離が難しく、また既述のようにMoを犠牲層材料とした場合には硝酸を用いることもできないため、レジストが犠牲層表面に残存してしまい、その上に積層体105を積み重ねていく上での障害となってしまうといった問題がある。
また圧電薄膜をAlNとした場合には、例えばAlNのエッチング液として70℃の熱リン酸を使うため、Moを犠牲層とした場合には、圧電薄膜と共に犠牲層が溶けてしまうおそれもある。
本発明はこのような事情に基づいて行われたものであり、その目的は、犠牲層の耐熱性、耐薬品性が高く、犠牲層の除去の容易な圧電薄膜振動子の製造方法及び圧電薄膜振動子を提供することにある。
本発明に係わる圧電薄膜振動子の製造方法は、基板と、この基板上に形成された下部電極、圧電薄膜及び上部電極の積層体と、当該基板の上面と下部電極との間に形成された空隙部と、を備えた圧電薄膜振動子の製造方法において、
タングステン、クロム、マンガン、コバルト及びこれらの金属のシリサイドからなる材料群より選択された材料によって前記空隙部に対応する犠牲層を形成する工程と、
次いで、前記犠牲層の一部を露出部として残しながら当該犠牲層の上面を覆う下部電極を形成する工程と、
次いで前記下部電極の上面に圧電薄膜を形成する工程と、
次いで前記圧電薄膜の上面に上部電極を形成する工程と、
次いで前記露出部を介して前記犠牲層を過酸化水素水により除去し、空隙部を形成する工程と、を含むことを特徴とすることを特徴とする。
ここで前記下部電極と前記犠牲層を構成する材料とを互いに分離して、これら下部電極及び犠牲層の材料間の反応を防止するための、例えばSiO、Si、Al等の酸化物や窒化物からなる分離層を、当該犠牲層と下部電極との間に形成する工程を更に含むことが好ましい。また、前記上部電極を形成する工程と、前記犠牲層を除去して空隙部を形成する工程との間に、上部電極の上面に、圧電薄膜振動子の周波数を調整するための、例えば酸化シリコンからなる周波数調整層を形成する工程を更に含んでもよい。
また、本発明に係る圧電薄膜振動子は、上記の各製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、融点や薬品に対する安定性の比較的高いタングステン、クロム、マンガン、コバルト及びこれらの金属のシリサイドを犠牲層の材料として選択しているので、圧電薄膜振動子の製造工程において製造プロセスの温度や使用する薬品に関する制約が少ない。これらの結果、圧電薄膜振動子の製造工程におけるプロセス選択の自由度を向上させることができる。
また、犠牲層の薬品に対する安定性が高いことにより、圧電薄膜振動子の製造中における犠牲層の変質も少なく、過酸化水素水により容易に除去することができる。更に、エッチングの薬液として過酸化水素水を用いることにより、製造工程の最後に犠牲層のエッチングを行っても他部材へのダメージを小さく抑えることができる。これらの結果、本発明を用いて製造された圧電薄膜振動子の信頼性を向上させることができる。
本発明に係る製造方法により製造される圧電薄膜振動子(AGR1)の一例を、図1を参照しながら説明する。図1(a)は本実施の形態に係るAGR1を模式的に示した斜視図であり、図1(b)はこの断面図である。図1(b)の断面図は、図1(a)の斜視図中に一点鎖線で示した位置にてAGR1を切断した状態を示してある。
図1(a)、図1(b)に示すようにAGR1は、例えば直径3インチ、厚さ0.38mmのシリコン製の基板11表面を酸化して、酸化シリコン(SiO)からる絶縁層12を形成し、この基板11(絶縁層12)上面のほぼ中央部に、例えば窒化アルミニウム(AlN)等の圧電体よりなり、例えば縦150μm×横100μm×厚さ1.5μmの矩形状の圧電薄膜15を含む積層体10を積み上げた構造となっている。積層体10は、圧電薄膜15の上面側と下面側とを例えばチタン(Ti)からなる上部電極16、下部電極14にて挟まれた積層構造となっている。
積層体10の下面側は、空隙部18を介して絶縁層12に対向し、基板11より浮いた状態となっており、圧電薄膜15にて基板11に拘束されない自由な圧電振動を得られるようになっている。この空隙部18は、例えば下部電極14と圧電薄膜15とが夫々積層体10の左右両端部より階段状に延伸されて絶縁層12上面に固定されることにより形成され、これらの部材14、15は積層体10全体を浮かせた状態で支えている。また空隙部18の図1(a)、図1(b)に向かって手前側、奥側の両面は、下部電極14等によって覆われていない露出部18aとなっている。なお13は、後述するAGR1の製造工程にて使用する分離層である。
また積層体10を支える下部電極14は、図1(a)に示すように基板11上を左側に延伸されて例えば金/クロム(Au/Cr)からなる矩形状の電極パッド19と接続されている。また、上部電極16も同様に圧電薄膜15の上面から基板11上にかけて下部電極14とは反対方向に延伸され、別の電極パッド19と接続されている。また、積層体10(上部電極16)の上面には、AGR1の周波数を調整するための周波数調整層17が更に積層されている。以下、本実施の形態に係るAGR1の製造方法について説明する。
図2〜図5は本実施の形態におけるAGR1の製造工程における断面図であり、図6〜図9ははこれらの工程を斜視図により示したフロー図である。当該製造方法によれば、初めにSi製基板11を熱酸化処理し、図2(a)、図6(a)に示すように基板11の両面に夫々SiO層12a、12bを形成する。これらのうち、一方のSiO層12aは基板11と電極14、16とを絶縁するための絶縁層としての役割を有する。
次いで、図2(b)、図6(b)に示すように絶縁層12の表面に犠牲層となるW(タングステン)層21aを、スパッタリング等により、図1(a)、図1(b)に示す空隙部18と同じ厚さに堆積させ、続いて図2(c)、図6(c)に示すように例えばTEOSガスと酸素ガスとを用いたCVDによりW層21aの表面にSiO層13aを成長させる。このとき、W層21aは高温の処理雰囲気に晒されるが、Wは融点の高い金属(融点3400℃)であるため、例えばGe等の融点の低い金属(融点937.4℃)の上にSiO層13aを形成した場合と比較して、W層21aの表面に凹凸が生じにくい。この結果、当該W層21aの上に積層されていくSiO層17aや続く積層体10の表面には凹凸が形成されにくくなる。
基板11上にW層21a、SiO層13aを積層させた後、図2(d)、図6(d)に示すようにSiO層13aの表面にフォトリソグラフィによりレジスト31を形成した後、SF等によるドライエッチングにてW層21aとSiO層13aとのパターニングを行い、これによりW層21aからなる犠牲層21及びSiO層13aからなる分離層13を形成する。ここで、犠牲層21のサイズは、完成後のAGR1における空隙部18のサイズと等しくなるようにパターニングされる。
こうして基板11上に犠牲層21と分離層13とを形成した後、続いて図3(a)、図7(a)に示すようにスパッタリング等により基板11の表面に、Ti層14aを堆積させる。ここでTiは比較的反応性の高い金属であるため、Ti層14aを犠牲層21上に直接堆積させるとこれらの金属が互いに反応してしまい、反応により変質した犠牲層21は過酸化水素水に溶解しなくなってしまうおそれがある。そこでWとの反応性の低いSiOを分離層13として犠牲層21の上に積層させておくことにより、これらの金属の反応を防止し、犠牲層21の除去が困難になるのを防止することができる。
堆積させたTi層14aは、図3(b)に示すようにフォトリソグラフィによりレジスト膜を形成した後、CF等によるドライエッチングやフッ酸によるウェットエッチングにより分離層13の上面を覆う下部電極14にパターニングされる。ここで下部電極14は、図7(b)に示すように犠牲層21の側面を露出部21bとするため、分離層13上に積層された部分の平面形状が犠牲層21や分離層13とほぼ等しいサイズとなるようにパターニングされる。露出部21bは、犠牲層21のエッチング時に過酸化水素水を供給できるように、他の部材によって覆われていない部分を意味する。なお、下部電極14は3,000Å程度と犠牲層21と比較しても薄く、パターニング時に使用するレジストも薄いため、パターニング後のレジストは、有機溶剤により容易に下部電極14から剥離できる。
次に図3(c)、図7(c)に示すように、下部電極14のパターニングされた基板11の表面に圧電体であるAlNの層(AlN層15a)を、例えばアルミニウム(Al)を窒素ガス(N)でスパッタリングすることによりAlNを堆積させる反応性スパッタリングにて形成し、フォトリソグラフィ及び例えば70℃の熱リン酸を用いたウェットエッチングにて圧電薄膜15のパターンニングを行う(図3(d)、図7(d))。
更にTi層16aの堆積(図4(a)、図8(a))、このTi層16aのフォトリソグラフィとドライエッチングによる上部電極16へのパターニング(図4(b)、図8(b))を行い、AGR1に必要な積層体10(下部電極14、圧電薄膜15、上部電極16)を形成する。また下部電極14の場合と同様に、これら圧電薄膜15、上部電極16のパターニングも犠牲層21に露出部21bが形成されるように行われる。
以上の工程により積層体10が形成された後、分離層13を形成したときと同様に、例えばTEOSガスを用いたCVDにより基板11の表面にSiO層17aを成長させ(図4(c)、図8(c))、フォトリソグラフィとSF等によるドライエッチングにて、積層体10の上面に周波数調整層17をパターニングする(図4(d)、図8(d))。そしてこの周波数調整層17の厚さをドライエッチングでエッチングして調整することにより製造後のAGRの周波数を調整することができる。最後に、電極パッド19に相当する部分が除去されたレジスト膜上にAu/Cr層を蒸着させ、有機溶剤でレジスト膜を除去するリフトオフにより、各電極14、15に接続された電極パッド19を形成する(図5(a)、図9(a))。
以上の工程を終え、温度が例えば50〜70℃の範囲内の60℃、濃度が20〜50wt%の範囲内の30wt%に調製された過酸化水素水を用いて犠牲層21のエッチングを行う。即ち犠牲層21は、積層体10で覆われていない露出部21bより過酸化水素水に溶解して除去され、図5(b)、図9(b)に示すように基板11の上面と分離層13の下面との間に空隙部18が形成される。
以上に述べた製造工程に基づいて大型の基板11上に多数のAGR1パターンを形成し、各AGR1を切り離した後、2つの電極パッド19を露出させた状態で積層体10や各電極14、16を図示しないカバーで覆いAGR1の製造を終了する。
次に第2の実施の形態として、基板11に凹部を形成し、そこに埋め込んだ犠牲層21を利用して空隙部18を形成するFBARタイプの圧電薄膜振動子について図10を参照しながら説明する。図10(a)は第2の実施の形態に係るFBAR1aを模式的に示した斜視図であり、図10(b)はこの断面図である。図10においては、第1の実施の形態にて説明したAGR1と同じ役割を果たすものには、図1と同じ符号を付してある。
FBAR1aは、基板11表面に形成された凹部と積層体10下面との間に形成される空間を空隙部18としている点において、積層体10の左右両端部より階段状に延伸されて基板11上面に固定されることにより空隙部18の形成されるAGR1と異なっている。
このように基板11表面に形成した凹部を利用して空隙部18を形成するため、以下の点においてFBAR1aの製造方法はAGR1の場合と異なっている。即ち、図2(a)に示したように基板11を熱酸化処理してその両面にSiO層12a、12bを形成した後、フォトリソグラフィとSF等によるドライエッチングにてSiO層12a及びSi製基板11表面の一部を除去して凹部を形成する。
そしてこの凹部を含む基板11上にWをスパッタリング等により堆積させて凹部にWを埋め込んだ後、SiO層12aが露出するまで基板11表面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨する。第2の実施の形態においては、この凹部に埋め込まれたWが犠牲層21となる。
その後、凹部に埋め込まれた犠牲層21の表面が露出した状態の基板11上に、例えばTEOSガスと酸素ガスとを用いたCVDによりSiO層13aを成長させる。次にフォトリソグラフィとSF等を用いたドライエッチングとによりSiO層12a、13aを削り、犠牲層21の一部を露出させて露出部18aとなるように分離層13をパターニングする。
以上の工程を終え、分離層13の上に積層体10や周波数調整層17を形成し、最後に露出部18aを介して過酸化水素水により犠牲層を除去することによりFBAR1aが製造されるまでの工程は、図3(a)〜図5(b)、図7(a)〜図9(b)を用いて説明した第1の実施の形態に係るAGR1の製造工程とほぼ同じであるので説明を省略する。
本実施の形態に係る圧電薄膜振動子(AGR1、FBAR1a)の製造方法によれば以下のような効果がある。融点が高く、薬品に対する安定性の高いWを犠牲層21の材料に選択しているので、圧電薄膜振動子の製造工程において製造プロセスの温度や使用する薬品に関する制約が少なく、プロセス選択の自由度を向上させることができる。具体例を挙げると、犠牲層21からのレジスト31の除去に硝酸を用いても犠牲層21が変質しにくいため、この犠牲層21を過酸化水素水により容易に除去することが可能であり、硝酸により変質した犠牲層21の一部が除去されずに空隙部18内に残ってしまうといった不具合も発生しにくい。また、分離層13や周波数調整層17を形成する工程において犠牲層21が高温の処理雰囲気に晒されても、その表面に凹凸が形成されにくいため、凹凸の少ない平坦な表面に積層体10を形成でき、圧電薄膜15の周波数に悪影響を与えてしまうおそれも少ない。
また、犠牲層21のエッチングの薬液として過酸化水素水を用いることにより、圧電薄膜振動子の製造工程の最後に犠牲層21のエッチングを行う場合にも、エッチングによる他部材へのダメージを小さく抑えることができる。これらの結果、本発明を用いて製造された圧電薄膜振動子の信頼性を向上させることができる。なお、犠牲層21として選択可能な材料はWに限定されず、クロム(融点1860℃)、マンガン(同1240℃)、コバルト(1490℃)及び、Wを含むこれらの金属のシリサイドを犠牲層21の材料に選択してもよい。これらの物質もGeと比較すると融点が高く、Moと比較して薬品に対する安定性が高いため、Wを犠牲層21材料に用いた場合と同様の効果を得ることができる。
また圧電薄膜15となる圧電体もAlNに限定されるものではなく、ZnOまたはTaにより構成してもよいし、各電極14、16もTiの他、Al、Au、Cu、Pt、Ta、Mgより選択してもよい。そして、犠牲層21に用いた材料と電極に用いた材料との反応性が低い場合には、これらを分離する分離層13を設けなくてもよい。一方、分離層13が十分な厚さを持っている場合には、各電極14、16にMoやWを使用することもできる。更にまた、積層体10の上面に周波数調整層17を設けないタイプのAGRも本発明は含んでいる。
本実施の形態に係る圧電薄膜振動子の斜視図及び断面図である。 上記圧電薄膜振動子の製造工程の説明図である。 上記製造工程の第2の説明図である。 上記製造工程の第3の説明図である。 上記製造工程の第4の説明図である。 本実施の形態に係る圧電薄膜振動子の製造工程のフロー図である。 上記製造工程の第2のフロー図である。 上記製造工程の第3のフロー図である。 上記製造工程の第4のフロー図である。 第2の実施の形態に係る圧電薄膜振動子の斜視図及び断面図である。 従来型の圧電薄膜振動子の断面図である。
符号の説明
1 AGR
1a FBAR
10 積層体
11 基板
12a、12b
SiO
13 分離層
13a SiO
14 下部電極
14a Ti層
15 圧電薄膜
15a AlN層
16 上部電極
16a Ti層
17 周波数調整層
17a SiO
18 空隙部
18a 露出部
19 電極パッド
21 犠牲層
21a W層
21b 露出部
31 レジスト

Claims (7)

  1. 基板と、この基板上に形成された下部電極、圧電薄膜及び上部電極の積層体と、当該基板の上面と下部電極との間に形成された空隙部と、を備えた圧電薄膜振動子の製造方法において、
    タングステン、クロム、マンガン、コバルト及びこれらの金属のシリサイドからなる材料群より選択された材料によって前記空隙部に対応する犠牲層を形成する工程と、
    次いで、前記犠牲層の一部を露出部として残しながら当該犠牲層の上面を覆う下部電極を形成する工程と、
    次いで前記下部電極の上面に圧電薄膜を形成する工程と、
    次いで前記圧電薄膜の上面に上部電極を形成する工程と、
    次いで前記露出部を介して前記犠牲層を過酸化水素水により除去し、空隙部を形成する工程と、を含むことを特徴とする圧電薄膜振動子の製造方法。
  2. 前記下部電極と前記犠牲層を構成する材料とを互いに分離して、これら下部電極及び犠牲層の材料間の反応を防止するための分離層を、当該犠牲層と下部電極との間に形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の圧電薄膜振動子の製造方法。
  3. 前記分離層は、酸化物または窒化物からなることを特徴とする請求項2に記載の圧電薄膜振動子の製造方法。
  4. 前記分離層の酸化物または窒化物は、SiO、Si、Alから選択されることを特徴とする請求項3に記載の圧電薄膜振動子の製造方法。
  5. 前記上部電極を形成する工程と、前記犠牲層を除去して空隙部を形成する工程との間に、上部電極の上面に、圧電薄膜振動子の周波数を調整するための周波数調整層を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の圧電薄膜振動子の製造方法。
  6. 前記周波数調整層は、酸化シリコンからなることを特徴とする請求項5に記載の圧電薄膜振動子の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一つに記載の圧電薄膜振動子の製造方法により製造されたことを特徴とする圧電薄膜振動子。
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