JP2008232230A - 焼結軸受、軸受装置および軸受装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内径精度が低い場合でも、内径寸法の修正など容易に行なうことのできる焼結軸受、軸受装置、および軸受装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】軸線方向に延びた軸穴110を備えた焼結軸受11は、銅または銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉を焼結してなる。鉄粉に対する銅層の被覆率は28重量%から42重量%であって、銅被覆鉄粉の配合割合が焼結軸受11を構成する材料全体に対して70重量%から98重量%である。
【選択図】図1
【解決手段】軸線方向に延びた軸穴110を備えた焼結軸受11は、銅または銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉を焼結してなる。鉄粉に対する銅層の被覆率は28重量%から42重量%であって、銅被覆鉄粉の配合割合が焼結軸受11を構成する材料全体に対して70重量%から98重量%である。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータシャフト等を回転可能に支持するための焼結軸受、この焼結軸受を備えた軸受装置、および当該軸受装置の製造方法に関するものである。
モータシャフト等の軸体を回転可能に支持するための軸受装置としては、たとえば、中心に軸穴を有する焼結軸受が、ハウジング内に保持された構造のものが知られており、モータシャフトの外周面に動圧溝を形成しておけば、動圧軸受装置として機能する。このような軸受装置において、焼結軸受は、銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉を円筒状に成形した後、焼結し、しかる後に、焼結体に対して潤滑油が含浸されたものである(例えば、特許文献1、2、3参照)。
焼結軸受には高い内径精度が求められ、軸体とのクリアランスとして片側で1μmから3μm程度に管理され、焼結軸受の内径円筒度が2μm以下となるように仕上げられている。
特許第3774614号公報
特許第3537286号公報
特許第2553374号公報
しかしながら、軸受装置に用いたハウジングが金属製の場合、ハウジングの内径精度が高くないと、以下の問題点が発生する。まず、ハウジングの内径寸法が小さ過ぎると、ハウジングに焼結軸受を圧入した際、焼結軸受の内径寸法が大きく変化してしまう。従って、ハウジングに焼結軸受を圧入した後、焼結軸受の軸穴内に仕上げ加工を行なう必要が発生するが、軸穴内に硬材である鉄が多く露出していると、研削が困難であり、無理に研削すると、傷が発生してしまう。これに対して、ハウジングの内径寸法が大きすぎる場合、ハウジングに焼結軸受を圧入することができず、接着剤等により固定する必要があるが、接着剤による固定では、焼結軸受を保持する力が弱いという問題点がある。
また、ハウジングが樹脂製の場合、ハウジングの剛性が低いので、内径寸法が小さ過ぎても、ハウジングに焼結軸受を圧入した際に焼結軸受の内径寸法が大きく変化することはないが、樹脂製のハウジングに焼結軸受を圧入した場合には、焼結軸受を保持する力が弱いという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、内径精度が低い場合でも、内径寸法の修正など容易に行なうことのできる焼結軸受、軸受装置、および軸受装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、軸線方向に延びた軸穴を備えた焼結軸受において、銅または銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉を焼結してなり、前記鉄粉に対する前記銅層の被覆率が28重量%から42重量%であって、前記銅被覆鉄粉の配合割合が焼結軸受を構成する材料全体に対して70重量%から98重量%であることを特徴とする。
本発明においては、銅被覆鉄粉の配合量が70重量%から98重量%と比較的高く、鉄が適度に配合されているので、十分な耐磨耗性を備えている。また、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、表面に銅を効率よく露出させることができ、その分、軸穴の内周面における鉄の露出割合を面積比で20%以下、さらには10%以下とすることができる。このため、内周面が軟らかいので、回転サイジングによる研削加工と押し潰し加工とによる矯正を容易に行なうことができるとともに、回転サイジングの際、傷が発生しにくい。従って、軸受装置の組み立て工程において、ハウジングに焼結軸受を圧入した際、例えば、ハウジングの内径精度が低いことが原因で、焼結軸受の内径寸法が変化した場合でも、回転サイジング工程において軸穴内でサイジング部材を相対回転させて軸穴の内周面に十分な量の矯正を行なうことができ、軸穴の内径寸法に十分な精度を得ることができる。それ故、ハウジングとしては、内径精度は低いが安価なプレス加工品等を用いた場合でも、焼結軸受を圧入により固定することができる。さらに、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、銅を効率よく露出させる場合でも、銅層の被覆率が28重量%から42重量%の銅被覆鉄粉でよい。このような被覆率が低い銅被覆鉄粉は、被覆率が高い銅被覆鉄粉と比較して安価であるので、焼結軸受を製造する際の材料コストを低減することができる。さらにまた、銅被覆鉄粉を用いたため、銅を効率よく露出させる場合でも、銅自身の配合量が少なくてよい。それ故、膨張率については、軸体に多用されるマルテンサイト系ステンレス材と熱膨張率を同等にすることができ、使用温度が変化した場合でも、安定した軸受特性を発揮する。
本発明において「銅または銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉」とは、銅被覆鉄粉において、鉄粉が銅で被覆されている構成の他、鉄粉が青銅等の銅系材料で被覆されている構成を含むことを意味する。これらの銅被覆鉄粉のうち、鉄粉が青銅で被覆されている銅被覆鉄粉を用いると、錫を添加した場合と比較して、錫の偏析防止、および青銅マトリクスの均質化を図ることができ、回転サイジング工程を安定に行なうことができる。
本発明において、焼結軸受を構成する材料全体に対する銅の含有量が29重量%から50重量%であり、焼結軸受を構成する材料全体に対する鉄の含有量が47重量%から68重量%であることが好ましい。
本発明において、前記軸穴の内周面における鉄の露出割合が面積比で20%以下であることが好ましい。このように構成すると、銅の露出面積が広い。それ故、異物の埋没性に優れているので、良好な摺動性を維持することができる。また、耐食性も高いという利点がある。
本発明において、鉄粉を被覆する前記銅層は銅からなり、さらに、焼結軸受を構成する材料全体に対して30重量%以下の含有青銅粉、焼結軸受を構成する材料全体に対して30重量%以下の錫めっき銅粉、および焼結軸受を構成する材料全体に対して1重量%から3重量%の錫のうちの少なくとも一つが配合されて焼結されてなることが好ましい。このように構成すると、鉄粉を被覆する銅層が銅からなる場合でも、配合した銅を青銅化することができる。また、上記上限値以下の配合量であれば、錫の偏析を防止することができる。なお、上記の添加剤のうち、錫めっき銅粉を用いると、錫の偏析をより確実に防止することができる。
本発明においては、さらに、焼結軸受を構成する材料全体に対して0.5重量%から2重量%の固体潤滑材、例えば、グラファイト、銅めっきグラファイト粉、二硫化モリブデン等が配合されて焼結されてなることが好ましい。これらの材料のうち、銅めっきグラファイト粉を用いると、グラファイトとマトリクス(焼結体の主材部分)との結合力を高めることができる。
本発明において、前記軸穴内でサイジング部材を相対回転させて当該軸穴の内周面に研削加工および押し潰し加工を行なうことが好ましい。このような加工方法であれば、加工を効率よく行なうことができるとともに、高い内径精度を得ることができる。
本発明を適用した焼結軸受は、この焼結軸受を内側に保持するハウジングとともに軸受装置を構成する。この場合、軸穴の内周面が平坦になっている構成の他、軸穴の内周面は平坦面であるが、軸体の外周面にヘリングボーン状のグルーブ溝や軸線方向に延びた縦溝が刻まれている構成や、軸穴の内周面にヘリングボーン状のグルーブ溝や軸線方向に延びた縦溝が刻まれている構成を採用することができる。
本発明に係る軸受装置の製造方法においては、少なくとも前記ハウジング内に前記焼結軸受を保持させた状態で前記軸穴内で前記サイジング部材を相対回転させて当該軸穴の内周面に研削加工および押し潰し加工を行なう回転サイジング工程を実施することが好ましい。
本発明において、前記ハウジング内に前記焼結軸受を保持させるにあたっては、当該焼結軸受を前記ハウジング内に圧入することが好ましい。この場合、ハウジングとして金属製のプレス加工品を用いれば、軸受装置のコストを低減でき、この場合でも、本発明によれば、焼結軸受の軸穴の内周面を高い精度で構成することができる。
本発明においては、銅被覆鉄粉の配合量が70重量%から98重量%と比較的高く、鉄が適度に配合されているので、十分な耐磨耗性を備えている。また、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、表面に銅を効率よく露出させることができ、その分、軸穴の内周面における鉄の露出割合を面積比で20%以下、さらには10%以下とすることができる。このため、内周面が軟らかいので、回転サイジングによる研削加工と押し潰し加工とによる矯正を容易に行なうことができるとともに、回転サイジングの際、傷が発生しにくい。従って、軸受装置の組み立て工程において、ハウジングに焼結軸受を圧入した際、例えば、ハウジングの内径精度が低いことが原因で、焼結軸受の内径寸法が変化した場合でも、回転サイジング工程において軸穴内でサイジング部材を相対回転させて軸穴の内周面に十分な量の矯正を行なうことができ、軸穴の内径寸法に十分な精度を得ることができる。それ故、ハウジングとしては、内径精度は低いが安価なプレス加工品等を用いた場合でも、焼結軸受を圧入により固定することができる。さらに、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、銅を効率よく露出させる場合でも、銅層の被覆率が28重量%から42重量%の銅被覆鉄粉でよい。このような被覆率が低い銅被覆鉄粉は、被覆率が高い銅被覆鉄粉と比較して安価であるので、焼結軸受を製造する際の材料コストを低減することができる。さらにまた、銅被覆鉄粉を用いたため、銅を効率よく露出させる場合でも、銅自身の配合量が少なくてよい。それ故、膨張率については、軸体に多用されるマルテンサイト系ステンレス材と熱膨張率を同等にすることができ、使用温度が変化した場合でも、安定した軸受特性を発揮する。
図面を参照して、本発明の焼結軸受および軸受装置を説明する。
(焼結装置の全体構成)
図1は、本発明に係る焼結軸受を備えたモータの一例を示す断面図である。図1に示すモータ1は、HDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータであり、回転軸3を回転自在に支持する軸受装置10と、回転軸3に搭載されたロータ8と、ロータ8に保持されたロータマグネット5と、ロータマグネット5に対して所定の隙間を介して半径方向内側で対向するステータ4とを備えている。ステータ4はブラケット7の外周に保持され、軸受装置10の円筒状のハウジング15は、ブラケット7の内周に装着される。このような構成のモータ1において、ロータ8は、磁気ディスク等のディスク2を1枚乃至複数枚保持するディスクハブとして構成されている。このようなモータ1において、ステータ4に通電すると、ステータ4とロータマグネット5との間に発生する電磁力によってロータ8および回転軸3が一体となって回転する。
図1は、本発明に係る焼結軸受を備えたモータの一例を示す断面図である。図1に示すモータ1は、HDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータであり、回転軸3を回転自在に支持する軸受装置10と、回転軸3に搭載されたロータ8と、ロータ8に保持されたロータマグネット5と、ロータマグネット5に対して所定の隙間を介して半径方向内側で対向するステータ4とを備えている。ステータ4はブラケット7の外周に保持され、軸受装置10の円筒状のハウジング15は、ブラケット7の内周に装着される。このような構成のモータ1において、ロータ8は、磁気ディスク等のディスク2を1枚乃至複数枚保持するディスクハブとして構成されている。このようなモータ1において、ステータ4に通電すると、ステータ4とロータマグネット5との間に発生する電磁力によってロータ8および回転軸3が一体となって回転する。
本形態において、軸受装置10は、回転軸3が挿入された軸穴110を備えた円筒状の焼結軸受11を備えており、焼結軸受11は、ハウジング15の中央穴150に保持されている。なお、軸受装置10は、スラスト受け19も備えている。このように構成した軸受装置10において、焼結軸受11は軸線方向の全体で内径寸法が同一であるが、回転軸3は、細径部35によって軸線方向で二分割されている。このため、焼結軸受11は、回転軸2の外周面にのうち細径部35の両側31、32を各々回転可能に支持している。また、2つの焼結軸受11が軸線方向で離間した状態でハウジング15に保持される場合もある。
本形態において、軸受装置10は、焼結軸受11が回転軸3の外周面を非接触で支持する動圧軸受装置10として構成されている。すなわち、本形態では、焼結軸受11の内周面および回転軸3の外周面のうちのいずれか一方には、ヘリングボーン状のグルーブ溝や軸線方向に延びた縦溝が刻まれており、これらのグルーブ溝や縦溝により動圧を発生させる。
(軸受装置10の構成および製造方法)
図2は各々、本形態の軸受装置10の製造方法を示す工程図である。図3(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本形態の軸受装置10を製造する際、回転サイジング工程ST12で用いるサイジング部材20の側面図、正面図、A−A′断面図、およびB−B′断面図である。
図2は各々、本形態の軸受装置10の製造方法を示す工程図である。図3(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本形態の軸受装置10を製造する際、回転サイジング工程ST12で用いるサイジング部材20の側面図、正面図、A−A′断面図、およびB−B′断面図である。
本形態において、回転軸3は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料、例えば、マルテンサイト系ステンレス材で形成され、ハウジング15は、金属製のプレス加工品からなる。焼結軸受11は、銅または銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉を焼結することにより形成され、潤滑油が含浸されている。かかる潤滑油は、焼結軸受11とハウジング15との隙間に対しても充填されている。また、焼結軸受11には防錆用の油も含浸されている。
このような軸受装置10を製造するにあたっては、図2に示すように、まず、焼結軸受11の製造工程では、粉体原料混合工程ST1において銅、または青銅等の銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉と、その他の粉体原料を混合した後、成形工程ST2で円筒状に成形し、焼結工程ST3で円筒状の焼結体とする。焼結工程ST3では、焼結温度を700〜800℃に設定したアンモニア分解ガス雰囲気中で圧粉成形体を焼結する。
次に、バレル研磨工程ST4においてバリ取りを行なった後、サイジング工程ST5において、焼結体の軸穴110に対して丸棒状のサイジング部材を通して、軸穴110の内周面を押し潰し、内周面での開孔率の調整を行なう。次に、洗浄工程ST6および乾燥工程ST7を行なった後、含浸工程ST8において、焼結体に潤防錆用の油を含浸し、焼結軸受11を製造する。
ここで、銅被覆鉄粉としては、鉄粉に対する銅層の被覆率が28重量%から42重量%のものを用い、銅被覆鉄粉の配合割合は、焼結軸受11を構成する材料全体に対して70重量%から98重量%である。各成分の含有量で表わせば、焼結軸受11において、銅の含有量は、焼結軸受11を構成する材料全体に対して29重量%から50重量%であり、鉄の含有量は、焼結軸受11を構成する材料全体に対して47重量%から68重量%である。
本形態において、銅被覆鉄粉で鉄粉を被覆する銅層が銅からなる場合、さらに、焼結軸受11を構成する材料全体に対して30重量%以下の青銅粉、焼結軸受を構成する材料全体に対して30重量%以下の錫めっき銅粉、あるいは焼結軸受11を構成する材料全体に対して1重量%から3重量%の錫が配合されて焼結されることもある。
本形態においては、さらに、焼結軸受11を構成する材料全体に対して0.5重量%から2重量%の固体潤滑材、例えば、グラファイト、銅めっきグラファイト粉、二硫化モリブデン等を配合し、焼結することもある。
このように本形態においては、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、少ない銅量で表面に銅を効率よく露出させることができ、その分、次の回転サイジング工程ST12を行なう前の状態で、軸穴110の内周面における鉄の露出割合を面積比で20%以下、さらには10%以下とすることができる。このため、軸穴110の内周面を容易かつ好適に研削加工を行なうことができる。従って、軸受装置10を製造するにあたって、ハウジング組製造工程では、以下の方法を採用することができる。
まず、ハウジング圧入工程ST11において、ハウジング15の中央穴150内に焼結軸受11を圧入する。次に、回転サイジング工程ST12では、図3(a)、(b)、(c)、(d)に示す棒状のサイジング部材20を焼結軸受11の軸穴110に通し、サイジング部材20を回転させる。ここで、サイジング部材20は基端部が回転装置への連結部25になっている。また、サイジング部材20の先端部は、段部を介して2つの部分に分かれており、先端側の導入部分22は基端側の加工部分21に比較して細い。また、サイジング部材20の導入部分22および加工部分21はいずれも断面四角形の角棒状である。このような構成のサイジング部材20を用いて回転サイジング工程ST12を行なうには、まず、サイジング部材20を回転させずに先端側の導入部分22を焼結軸受11の軸穴110内に挿入した後、サイジング部材20を回転させながら、加工部分21を焼結軸受11の軸穴110内に挿入する。従って、加工部分21の角部分において焼結軸受11の内周面を例えば2.5μm程度、研削することができる。その結果、焼結軸受11の軸穴110の内径は、サイジング部材20の加工部分21に対する外接円に補正され、かつ、円筒度も向上する。その際、軸穴110の内周面における鉄の露出割合が増大するが、それでも、面積比として20%以下である。
なお、サイジング部材20の断面形状は、四角形に限定されず、四角形以外の多角形のものを用いることもできる。また、サイジング部材20には、太さの異なる加工領域が複数、軸線方向に形成された構造のもの、外周面に螺旋溝が形成されているもの等、各種のものを用いることができる。
次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15において、焼結軸受11とハウジング15との隙間に対して潤滑油を注入する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の焼結軸受11においては、銅層で被覆されていない鉄粉が配合されていない代わりに、銅被覆鉄粉の配合量が70重量%から98重量%と比較的高く、鉄が適度に配合されているので、十分な耐磨耗性を備えている。すなわち、軸受装置10を使用していくうちに軸穴110の内周面が磨耗しても、鉄が露出してくるので、それ以上、磨耗が進行しない。
以上説明したように、本形態の焼結軸受11においては、銅層で被覆されていない鉄粉が配合されていない代わりに、銅被覆鉄粉の配合量が70重量%から98重量%と比較的高く、鉄が適度に配合されているので、十分な耐磨耗性を備えている。すなわち、軸受装置10を使用していくうちに軸穴110の内周面が磨耗しても、鉄が露出してくるので、それ以上、磨耗が進行しない。
また、銅被覆鉄粉は不規則な形状を有しているため、見かけ密度が低いが、通気性が悪い。それ故、動圧軸受として潤滑油の逃げが少なく、良好な軸受特性を長期間にわたって維持することができる。
また、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、表面に銅を効率よく露出させることができ、その分、硬質の鉄材の露出を低く抑えることができる。例えば、回転サイジング工程ST12を行なう前の状態で軸穴110の内周面における鉄の露出割合を面積比で、20%以下、さらには10%以下とすることができるので、軸穴110の内周面では塑性流動が起こりやすい。このため、軸穴110の内周面に研削加工および押し潰し加工による矯正を容易に行なうことができるとともに、矯正の際、傷が発生しにくい。従って、軸受装置10の組み立て工程において、ハウジング15に焼結軸受11を圧入した際、例えば、ハウジング15の内径精度が低いことが原因で、焼結軸受11の内径寸法が変化した場合でも、回転サイジング工程ST12において、軸穴110内でサイジング部材20を相対回転させれば、軸穴110の内周面に研削加工および押し潰し加工を行なうことができる。従って、軸穴110の内周面に対して十分な量の矯正を行なうことができ、軸穴110の内径寸法に十分な精度を得ることができる。それ故、ハウジング15としては、内径精度は低いが安価なプレス加工品等を用いた場合でも、焼結軸受11を圧入により固定することができる。
また、回転サイジング工程ST12を行なった後も、軸穴110の内周面における鉄の露出割合が面積比で20%以下であり、銅の露出面積が広い。それ故、異物の埋没性に優れているので、良好な摺動性を維持することができる。また、耐食性も高いという利点がある。
さらに、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、銅を効率よく露出させる場合でも、銅層の被覆率が28重量%から42重量%の銅被覆鉄粉でよい。このような被覆率が低い銅被覆鉄粉は、被覆率が高い銅被覆鉄粉と比較して安価であるので、焼結軸受11を製造する際の材料コストを低減することができる。
さらにまた、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、銅を効率よく露出させる場合でも、銅自身の配合量が少なくてよい。それ故、膨張率については、回転軸3に多用されるマルテンサイト系ステンレス材と熱膨張率を同等にすることができ、使用温度が変化した場合でも、安定した軸受特性を発揮する。
しかも、70重量%から98重量%という高い配合比で銅被覆鉄粉を用いたため、軸穴110の内周面で銅が十分露出しているので、サイジング工程ST5において、軸穴110の内周面を押し潰しやすい。それ故、開孔率の調整を容易に行なうことができる。
ここで、銅被覆鉄粉の配合量を70重量%未満にすると、耐磨耗性を確保するのに、銅層で被覆されていない鉄粉を配合する必要性が発生し、軸穴110の内周面で硬質の鉄材の露出が多くなるので、軸穴110の内周面に対する回転サイジングを行なえなくなる。一方、銅被覆鉄粉の配合量が98重量%を超えると、錫やグラファイト等といった固体潤滑剤等を配合できなくなる。それ故、銅被覆鉄粉の配合量については、70重量%から98重量%が好ましい。また、銅被覆鉄粉における銅層の被覆率が28重量%未満の場合には、軸穴110の内周面で硬質の鉄材の露出が多くなってしまう。これに対して、銅被覆鉄粉における銅層の被覆率が42重量%未満を超えても、回転サイジングの容易さに対する優位性については42重量%以下と変わらない一方、銅が増えた分、コストが上昇するとともに、熱膨張が大きくなる等の問題が顕在化する。それ故、銅被覆鉄粉における銅層の被覆率については28重量%から42重量%が好ましい。
[実施例1]
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
40%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 98重量部
アトマイズ錫粉 2重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 58.22重量%
銅 38.11重量%
錫 1.98重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
40%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 98重量部
アトマイズ錫粉 2重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 58.22重量%
銅 38.11重量%
錫 1.98重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
次に、焼結工程ST3において、アンモニア分解ガス雰囲気中で750〜850℃の温度で圧粉成形体を焼結し、円筒状の焼結体を得る。その結果、銅と錫は青銅を形成し、各成分の割合は以下
鉄 58.22重量%(59.24体積%)
青銅 40.79重量%(37.22体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.54体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 7.80面積%
青銅 82.60面積%
グラファイト 9.60面積%
の通りとなる。
鉄 58.22重量%(59.24体積%)
青銅 40.79重量%(37.22体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.54体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 7.80面積%
青銅 82.60面積%
グラファイト 9.60面積%
の通りとなる。
なお、比較例として、銅被覆鉄粉を用いず、鉄粉を用いて上記組成比(重量%)を実現すると、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 53.01面積%
青銅 38.89面積%
グラファイト 8.10面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
鉄 53.01面積%
青銅 38.89面積%
グラファイト 8.10面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
次に、バレル研磨工程ST4を行なう。次に、サイジング工程ST5でサイジングを行い、軸穴110の内周面の開孔率を3〜10%に調整した後、洗浄工程ST6および乾燥工程ST7を行なう。次に、含浸工程ST8で焼結体に防錆用の油を含浸し、焼結軸受11を得る。
次に、ハウジング圧入工程ST11において、ハウジング15の中央穴150内に焼結軸受11を圧入した後、回転サイジング工程ST12において焼結軸受11の軸穴110の内周面を矯正し、内周面の精度を調整する。その結果、内径寸法の公差を2μm以下とすることができ、円筒度を2μm以下にすることができる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 15.80面積%
青銅 73.40面積%
グラファイト 10.80面積%
の通りとなる。
鉄 15.80面積%
青銅 73.40面積%
グラファイト 10.80面積%
の通りとなる。
次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
[実施例2]
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
40%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 80重量部
プレミックス青銅粉(10重量%錫) 20重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 47.52重量%
銅 49.50重量%
錫 1.98重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
40%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 80重量部
プレミックス青銅粉(10重量%錫) 20重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 47.52重量%
銅 49.50重量%
錫 1.98重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
次に、焼結工程ST3において、アンモニア分解ガス雰囲気中で750〜850℃の温度で圧粉成形体を焼結し、円筒状の焼結体を得る。その結果、銅と錫は青銅を形成し、各成分の割合は以下
鉄 47.52重量%(48.91体積%)
青銅 51.49重量%(47.51体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.58体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 6.90面積%
青銅 83.60面積%
グラファイト 9.50面積%
の通りとなる。
鉄 47.52重量%(48.91体積%)
青銅 51.49重量%(47.51体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.58体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 6.90面積%
青銅 83.60面積%
グラファイト 9.50面積%
の通りとなる。
なお、比較例として、銅被覆鉄粉を用いず、鉄粉を用いて上記組成比(重量%)を実現すると、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 46.38面積%
青銅 45.50面積%
グラファイト 8.12面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
鉄 46.38面積%
青銅 45.50面積%
グラファイト 8.12面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
次に、バレル研磨工程ST4を行なう。次に、サイジング工程ST5でサイジングを行い、軸穴110の内周面の開孔率を1〜5%に調整した後、洗浄工程ST6および乾燥工程ST7を行なう。次に、含浸工程ST8で焼結体に防錆用の油を含浸し、焼結軸受11を得る。
次に、ハウジング圧入工程ST11において、ハウジング15の中央穴150内に焼結軸受11を圧入した後、回転サイジング工程ST12において焼結軸受11の軸穴110の内周面を矯正し、内周面の精度を調整する。その結果、内径寸法の公差を2μm以下とすることができ、円筒度を1μm以下にすることができる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 15.60面積%
青銅 74.80面積%
グラファイト 9.60面積%
の通りとなる。次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
鉄 15.60面積%
青銅 74.80面積%
グラファイト 9.60面積%
の通りとなる。次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
[実施例3]
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
30%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 98重量部
アトマイズ錫粉 1.98重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 67.92重量%
銅 29.11重量%
錫 1.98重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
30%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 98重量部
アトマイズ錫粉 1.98重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 67.92重量%
銅 29.11重量%
錫 1.98重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
次に、焼結工程ST3において、アンモニア分解ガス雰囲気中で750〜850℃の温度で圧粉成形体を焼結し、円筒状の焼結体を得る。その結果、銅と錫は青銅を形成し、各成分の割合は以下
鉄 67.92重量%(68.41体積%)
青銅 31.09重量%(28.08体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.51体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 6.70面積%
青銅 84.50面積%
グラファイト 8.80面積%
の通りとなる。
鉄 67.92重量%(68.41体積%)
青銅 31.09重量%(28.08体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.51体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 6.70面積%
青銅 84.50面積%
グラファイト 8.80面積%
の通りとなる。
なお、比較例として、銅被覆鉄粉を用いず、鉄粉を用いて上記組成比(重量%)を実現すると、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 59.16面積%
青銅 32.68面積%
グラファイト 8.16面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
鉄 59.16面積%
青銅 32.68面積%
グラファイト 8.16面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
次に、バレル研磨工程ST4を行なう。次に、サイジング工程ST5でサイジングを行い、軸穴110の内周面の開孔率を3〜10%に調整した後、洗浄工程ST6および乾燥工程ST7を行なう。次に、含浸工程ST8で焼結体に防錆用の油を含浸し、焼結軸受11を得る。
次に、ハウジング圧入工程ST11において、ハウジング15の中央穴150内に焼結軸受11を圧入した後、回転サイジング工程ST12において焼結軸受11の軸穴110の内周面を矯正し、内周面の精度を調整する。その結果、内径寸法の公差を2μm以下とすることができ、円筒度を2μm以下にすることができる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 14.90面積%
青銅 74.70面積%
グラファイト 10.40面積%
の通りとなる。次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
鉄 14.90面積%
青銅 74.70面積%
グラファイト 10.40面積%
の通りとなる。次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
[実施例4]
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
30%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 70重量部
プレミックス青銅粉(10重量%錫) 30重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 48.51重量%
銅 47.52重量%
錫 2.97重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
本例では、粉体原料混合工程ST1において、焼結軸受11を製造するための粉体原料として、以下の材料
30%銅めっき鉄粉(銅被覆鉄粉) 70重量部
プレミックス青銅粉(10重量%錫) 30重量部
天然黒鉛(グラファイト) 1重量部
ステアリン酸亜鉛 1重量部
をV型ブレンダにて10分混合した後、成形工程ST2において金型内で成形し、円筒状の圧粉成形体を得る。この状態で各成分の割合は以下
鉄 48.51重量%
銅 47.52重量%
錫 2.97重量%
グラファイト 0.99重量%
の通りである。
次に、焼結工程ST3において、アンモニア分解ガス雰囲気中で750〜850℃の温度で圧粉成形体を焼結し、円筒状の焼結体を得る。その結果、銅と錫は青銅を形成し、各成分の割合は以下
鉄 48.51重量%(49.87体積%)
青銅 50.50重量%(46.55体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.58体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 5.90面積%
青銅 85.00面積%
グラファイト 9.10面積%
の通りとなる。
鉄 48.51重量%(49.87体積%)
青銅 50.50重量%(46.55体積%)
グラファイト 0.99重量%(3.58体積%)
の通りとなる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 5.90面積%
青銅 85.00面積%
グラファイト 9.10面積%
の通りとなる。
なお、比較例として、銅被覆鉄粉を用いず、鉄粉を用いて上記組成比(重量%)を実現すると、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 47.00面積%
青銅 44.89面積%
グラファイト 8.11面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
鉄 47.00面積%
青銅 44.89面積%
グラファイト 8.11面積%
の通りとなってしまい、硬い鉄の露出面積が大きくなりすぎて、後述する回転サイジング工程ST12で十分な矯正を行なえなくなる。
次に、バレル研磨工程ST4を行なう。次に、サイジング工程ST5でサイジングを行い、軸穴110の内周面の開孔率を1〜5%に調整した後、洗浄工程ST6および乾燥工程ST7を行なう。次に、含浸工程ST8で焼結体に防錆用の油を含浸し、焼結軸受11を得る。
次に、ハウジング圧入工程ST11において、ハウジング15の中央穴150内に焼結軸受11を圧入した後、回転サイジング工程ST12において焼結軸受11の軸穴110の内周面を矯正し、内周面の精度を調整する。その結果、内径寸法の公差を2μm以下とすることができ、円筒度を1μm以下にすることができる。また、軸穴110の内周面での占有面積比は以下
鉄 13.70面積%
青銅 76.90面積%
グラファイト 9.40面積%
の通りとなる。次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
鉄 13.70面積%
青銅 76.90面積%
グラファイト 9.40面積%
の通りとなる。次に、洗浄工程ST13および乾燥工程ST14を行った後、注油工程ST15で潤滑油を注入する。その結果、軸受装置10が完成する。
(モータへの搭載例)
なお、上記形態では、HDD、FDD等の磁気ディスク装置に用いる軸受装置10に本発明を適用した例を説明したが、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファン等の小型モータに用いられる軸受装置10に本発明を適用してもよい。
なお、上記形態では、HDD、FDD等の磁気ディスク装置に用いる軸受装置10に本発明を適用した例を説明したが、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファン等の小型モータに用いられる軸受装置10に本発明を適用してもよい。
10 軸受装置
11 焼結軸受
15 ハウジング
11 焼結軸受
15 ハウジング
Claims (9)
- 軸線方向に延びた軸穴を備えた焼結軸受において、
銅または銅系材料からなる銅層で鉄粉の表面を被覆した銅被覆鉄粉を焼結してなり、
前記鉄粉に対する前記銅層の被覆率が28重量%から42重量%であって、
前記銅被覆鉄粉の配合割合が焼結軸受を構成する材料全体に対して70重量%から98重量%であることを特徴とする焼結軸受。 - 焼結軸受を構成する材料全体に対する銅の含有量が29重量%から50重量%であり、焼結軸受を構成する材料全体に対する鉄の含有量が47重量%から68重量%であることを特徴とする請求項1に記載の焼結軸受。
- 前記軸穴の内周面における鉄の露出割合が面積比で20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結軸受。
- 前記銅層は銅からなり、
さらに、焼結軸受を構成する材料全体に対して30重量%以下の青銅粉、焼結軸受を構成する材料全体に対して30重量%以下の錫めっき銅粉、および焼結軸受を構成する材料全体に対して1重量%から3重量%の錫のうちの少なくとも一つが配合されて焼結されてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の焼結軸受。 - さらに、焼結軸受を構成する材料全体に対して0.5重量%から2重量%の固体潤滑材が配合されて焼結されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の焼結軸受。
- 前記軸穴内でサイジング部材を相対回転させて当該軸穴の内周面に研削加工および押し潰し加工してなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の焼結軸受。
- 請求項1乃至6の何れか一項に規定する焼結軸受と、該焼結軸受を内側に保持するハウジングとを備えていることを特徴とする軸受装置。
- 請求項6に規定する焼結軸受と、該焼結軸受を内側に保持するハウジングとを備えた軸受装置の製造方法において、
前記ハウジング内に前記焼結軸受を保持させた後、前記軸穴内で前記サイジング部材を相対回転させて当該軸穴の内周面に研削加工および押し潰し加工を行なう回転サイジング工程を実施することを特徴とする軸受装置の製造方法。 - 前記ハウジング内に前記焼結軸受を保持させるにあたっては、当該焼結軸受を前記ハウジング内に圧入することを特徴とする請求項8に記載の軸受装置の製造方法。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP2007071196A JP2008232230A (ja) | 2007-03-19 | 2007-03-19 | 焼結軸受、軸受装置および軸受装置の製造方法 |
PCT/JP2008/054977 WO2008123068A1 (ja) | 2007-03-19 | 2008-03-18 | スリーブ、軸受ユニット、軸受ユニットの製造方法、流体動圧軸受機構の製造方法、流体動圧軸受機構、および、モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007071196A JP2008232230A (ja) | 2007-03-19 | 2007-03-19 | 焼結軸受、軸受装置および軸受装置の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007071196A Withdrawn JP2008232230A (ja) | 2007-03-19 | 2007-03-19 | 焼結軸受、軸受装置および軸受装置の製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
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---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-03-19 JP JP2007071196A patent/JP2008232230A/ja not_active Withdrawn
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