JP2001279349A - 銅被覆鉄粉を用いた焼結含油軸受材及びその製造方法 - Google Patents

銅被覆鉄粉を用いた焼結含油軸受材及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】一般的に軸受の強度を重視する場合には鉄粉を
用いることが不可欠であるが、これは耐食性及び耐摩耗
性に劣る。その欠点を解消するものが銅粉を用いた焼結
軸受であるが、銅系の焼結軸受は、材料強度が鉄系焼結
軸受に比べて劣るために高負荷用軸受として用いること
ができず、また経済的でない。また、軸受の耐摩耗性を
向上させようとすると、材料に20〜80wt%の鉄粉
を添加するのが一般的であるが、この配合では、青銅系
軸受に比べて摺動特性、特に軸部材とのなじみ特性やト
ルク特性が劣ったものになる。 【解決手段】鉄粉の表面全体を銅で被覆した銅被覆鉄粉
と銅粉とを主体とする原料粉末を焼結して、鉄が38.
0〜42.0wt%、銅が51.5〜59.5wt%を
占める焼結含油軸受材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄粉粒子の表面の
全体に銅を被覆した銅被覆鉄粉を主原料とした焼結含油
軸受材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼結合金材は含油軸受その他に広く利用
されており、軸受に関してはJIS規格においても家庭
用電気機器、音響機器、事務用機器、農業機械、運搬荷
役用機器等に関して色々に規定され(例えば焼結含油軸
受ならJIS B 1581)、 その成分組成として
も純鉄系(SBF 1118)、鉄―銅系(SBF 2
118及び2218)、鉄―炭素系(SBF 311
8)、鉄―炭素―銅系(SBF 4118)、鉄―銅―
鉛系(SBF 5110)、青銅系(SBK 1112
及び1218)、銅系、鉛青銅系(SBK 2118)
など多様の材質、種類が挙げられる。
【0003】一例を挙げると、特公昭55―38019
号には、鉄粉の各単一粒子毎の表面に30〜60wt%
の銅を均一に被覆した複合粉を主材とし、これをそのま
ま或いは錫等の素地強化成分粉末を加えたものに、ステ
アリン酸亜鉛末、黒鉛、二硫化モリブデン、鉛等の潤滑
成分粉末を配合し、混合、攪拌、成形した圧粉体を還元
雰囲気中750〜1000℃で焼結後、潤滑油を含浸さ
せて成る鉄―銅系焼結軸受材料が開示されている。
【0004】一方、従来から銅を主材とした焼結軸受に
関しても種々の材質のものが開発されており、これら銅
を主材とした焼結軸受は鉄を主材とした焼結軸受に比べ
て一般に材質が柔らかくて相手材を傷つけにくく、耐摩
耗性に優れており滑らかな摺動が行われる反面、機械的
強度、特に降伏強さが低いという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
技術によるものにおいては、その成分組成の如何により
それぞれの特性が得られるとしても、一般的に強度を重
視する場合には鉄粉を用いることが不可欠であるが、こ
の鉄系の軸受においては、耐食性に劣り、摩擦係数が大
きくて相手部材を損耗する等、耐摩耗性に劣るという欠
点がある。
【0006】このような鉄系焼結軸受の欠点を解消する
ものが、銅を主材とした焼結軸受である。しかしこれら
銅系の焼結軸受は、材料強度が鉄系焼結軸受に比べて劣
るために高負荷用軸受として用いることができず、また
材料面からみても高価であるという欠点がある。そこ
で、銅系焼結軸受材料中に鉄粉を配して材料強度の向上
をはかり、高負荷用軸受として用いることも試行された
が、軸受表面に鉄が露出しているために相手材を傷つけ
たり、耐食性が劣るという問題がある。
【0007】また、青銅系軸受は、強度及び耐摩耗性に
優れ、滑り軸受等にも実用化されている。一般に軸受の
耐摩耗性を向上させようとすると、材料に20〜80w
t%の鉄粉を添加するのであるが、この配合では、青銅
系軸受に比べて摺動特性、特に軸部材とのなじみ特性や
トルク特性が劣ったものになる。
【0008】本発明の目的は、例えば光ディスク用スピ
ンドルモータ等の軸部材を高速回転させる場合におい
て、耐摩耗性および軸部材とのなじみ特性やトルク特性
に優れた焼結含油軸受材およびその製造方法を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1の発明
は、鉄粉の表面全体を銅で被覆した銅被覆鉄粉と銅粉と
を主体とする原料粉末を焼結して形成され、鉄が38.
0〜42.0wt%、銅が51.5〜59.5wt%を
占めることを特徴とする焼結含油軸受材である。
【0010】請求項2の発明は、鉄が39.1wt%、
銅が26.1wt%を占めることを特徴とする焼結含油
軸受材である。
【0011】請求項3の発明は、原料粉末として配合割
合全体の38.0〜42.0wt%の鉄粉の表面全体を
25.3〜28.0wt%の銅で被覆した銅被覆鉄粉と
銅粉31.2〜32.6wt%を主原料とする原料粉末
を混合し、圧粉成形し、焼結した後、サイジングするこ
とを特徴とする焼結含油軸受材の製造方法である。
【0012】請求項4の発明は、主原料の粉末に、副原
料として錫粉1.0〜3.0wt%、黒鉛または二硫化
モリブデン等の固体潤滑剤を0.5〜2.5wt%配合
することを特徴とする焼結含油軸受材の製造方法であ
る。
【0013】本発明の焼結含油軸受材を適用すると、主
原料として鉄粉の表面全体を銅で被覆してあるので、銅
系の軸受材よりも材料強度が強く、また主原料に更に銅
粉を加えることによりサイジング後の軸受内表面におけ
る鉄の露出量を少なくすることで、従来の鉄―銅系軸受
材よりも耐摩耗性に優れ、また摺動特性(特になじみ特
性やトルク特性)を向上させ得る。一例として前述した
引用文献(特公昭55―38019号公報)に記載の先
行技術では、鉄粉に銅を被覆はするものの、その主材に
更に銅粉は加えない点において本発明とは異なる技術で
あり、鉄の配合割合を低く押さえることによる効果に違
いが生じる。
【0014】因みになじみ特性及びトルク特性について
は、軸部材を軸受に嵌合させ軸受を固定し軸部材を高速
回転させる際に、回転初期の軸部材と軸受との間の抵抗
が少なく、初期から円滑な摺動接触状態にあることがな
じみ特性が良い状態である。他方トルク特性は、本願の
焼結含油軸受材の場合には、軸部材の高速回転開始から
立ち上がりの段階において、摩擦係数が小さくて、軸部
材にかかるモーメントつまりトルクが低い状態が、トル
ク特性が良好な状態である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態を図
面を参照しつつ詳述する。
【0016】この実施の形態の焼結含油軸受材は、鉄粉
の表面全体を銅で被覆した銅被覆鉄粉と銅粉を主原料と
し、それに更に錫等の素地強化成分粉末と、黒鉛または
二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を加えて配合し、混
合、攪拌、圧粉成形(フォーミング、図3(A))、し
た圧粉体を焼結、一次サイジング(図3(B))、二次
サイジング(図3(C))、回転サイジングを行って焼
結軸受材となし、更に超音波洗浄、潤滑油の含浸、遠心
分離の諸工程を経て焼結含油軸受材とする。
【0017】本実施の形態の焼結含油軸受材において、
図1(A)に示すように鉄粉1の表面全体を粒子毎を単
位として40wt%銅2aで被覆してあるので、銅被覆
鉄粉の銅被覆量は配合割合全体の25.3〜28.0w
t%となる。銅被覆量が25.3%未満では銅被覆が薄
すぎて軸受として軸部材との摺動時に皮膜が所期の大き
さ以上に大きく破れて鉄が摺動面に大幅に露呈しやすい
ために相手材を傷つけ易く、滑らかな摺動も行われにく
く、また鉄さびの発生が増大する。他方銅被覆量が2
8.0%を超えると銅被覆が厚すぎて、摺動面下の鉄骨
格による荷重保持効果が充分でないために高負荷用軸受
として使用できず、また経済的でない。
【0018】鉄粉に対する銅の被覆操作は電気メッキ、
溶融メッキ、無電解メッキ、溶射、ドライプレーティン
グ等の手法で適切に実施し得る。その被覆量ないし被覆
状態については電気メッキの場合においては通電量、通
電時間により適宜に選ぶことができるし、溶融メッキの
場合においても溶融温度あるいは鉄粉の予熱温度を制御
して適切な範囲に被覆することができる。その他の場合
においてもその処理条件如何で任意の被覆状態が形成さ
れる。
【0019】なお原材料である鉄粉粒子の大きさについ
ては特に制限されないが、純鉄系焼結体製造のために従
来一般的に採用されている+80メッシュ(180μ
m)〜−320メッシュ(約40μm)程度より更に拡
大した粒子範囲のものを採用することができる。すなわ
ち比較的細粒のものでも銅被覆によって増径され粒径的
に従来一般的範囲のものと同様に処理することが可能で
ある。
【0020】銅被覆鉄粉粒子に対し錫粉も添加した後焼
結することにより、銅被覆層は青銅化し、結果として得
られた軸受は高い軸受性能が得られ、強度的にも優れた
ものとなる。
【0021】原料粉末を混合した後に圧粉成形をする。
圧粉成形は、一般的に気孔率23〜38vol%、特に
26〜32vol%程度であって、本実施の形態では約
27vol%である。気孔率が26vol%未満、特に
23vol%未満では焼結後に行われるサイジングのた
めの適正な圧縮代を確保し、かつこのサイジング後にお
いて含油軸受などとされる場合に目的の含油率を得るた
めの気孔率を得ることが困難となる。これに対しこの気
孔率が32vol%を超え、特に38vol%を超える
ような大きな気孔率のものでは圧粉成形後の取り扱いな
いし焼結処理中において部分的欠損ないし破壊の危険性
が高くなり、好ましくない。
【0022】圧粉成形されたものはエンドサーミックガ
ス雰囲気中において焼結される。本実施の形態では燒結
温度は870℃である。焼結温度が750℃以下では焼
結程度が不充分で材料強度が低くなり、空孔量が減少し
気孔率(結果的には含油率)が18%以下となって満足
すべき軸受性能が得られない。また焼結温度が1000
℃以上では焼結特性が不安定で銅に対する鉄の合金化の
程度も大きく、軸受表面に鉄が露呈し相手材を傷つけや
すく、円滑な摺動が得られにくく耐食性の面でも問題と
なる。なお、燒結時間は1時間である。
【0023】焼結後、焼結体をサイジングすることによ
り所定寸法の製品とする。すなわち焼結によって焼結体
にある程度の歪みが生ずるため、これをサイジングし目
的の寸法製品とすると共に、歪みや変形を矯正する。こ
のサイジング時における矯正のための圧縮量は焼結体体
積比で15〜35%程度であり、本実施の形態では約1
6%である。15%未満では上記のような矯正効果を充
分に得難いし、また35%を超えると焼結によってせっ
かく形成された焼結構造が損なわれ、特に本発明の場合
のように軸受体などとして含油せしめた製品とするとき
には含油量が僅かとなり所期の潤滑性及び耐久性を求め
難いこととなる。
【0024】焼結後にサイジング処理して目的の寸法お
よび気孔率(含油率)を持った製品にするのであるが、
このようなサイジングのための圧縮代は気孔率の20〜
35%程度であって、本実施の形態では約26%であ
る。サイジング後に得られる製品の気孔率は15〜28
%のものとして得られる。15%未満では軸受として用
いるにあたって好ましい含油量が得られないことにな
り、一方28%を超えると強度的に劣った製品となる。
より好ましい製品気孔率としては18〜24%であっ
て、適切な強度、含油率などを得ることができる。
【0025】図1(A)の組織図に示すように、サイジ
ング時に適度に銅被覆部分2aが削られ、鉄が表面に露
出し、軸受本体の機械的強度と耐久性を向上させること
ができる。なおサイジング面は符号3で示してある。
【0026】また、鉄粉1の表面を銅被覆2aした後、
更に銅粉2を加え、鉄の割合を全配合割合の40wt%
以下にすることで、サイジング後の軸受内径表面におけ
る鉄の割合を面積比で5〜20%とし、そのため点在す
る鉄により耐摩耗性を向上することができるとともに、
青銅系や銅系軸受に相当する摺動特性(軸部材とのなじ
み特性やトルク特性)を得ることができる(図4参
照)。
【0027】更に、焼結後の軸受表面は殆ど銅のため、
鉄に比べると柔らかく、サイジングによる気孔率のコン
トロールを容易にすることができる。
【0028】黒鉛または二硫化モリブデンのような固体
潤滑剤の一種または二種以上を添加することにより、後
の圧粉成形の工程をより容易とし、また潤滑性能を向上
して摩擦係数を低減することができる。この場合の添加
量は上記銅被覆鉄粉またはこれに更に銅粉を添加した主
原料粉の0.5wt%以上であって、0.5wt%未満
ではその添加効果を適切に得ることができず、一方5w
t%を超えて添加すると材料強度などを確保し難い。な
お本実施の形態では0.8%としている。
【0029】固体潤滑剤としての黒鉛、二硫化モリブデ
ンなどは粉末として添加されるが、黒鉛のような固体潤
滑剤は鉄粉等に比べても比重が小であって、このような
黒鉛を単純に混合しても他の原料粉に対し均一状態に分
散させることが困難であり、しかも搬送荷役中や圧粉成
形時などにおいて黒鉛粉の浮上、片寄りなどによる偏析
が発生する。そこでこの黒鉛のような固体潤滑剤に関し
比較的粗粉のものを採用し、しかもその微粉分を分級し
て除去したものを用いると有効であることが実験により
既に知られている。すなわち上記黒鉛粉末として一般的
に市販されているものが1〜30μm、或いは1〜50
μmの如きであるのに対し本発明者が好ましい固体潤滑
剤としての黒鉛は約50〜60μmとされ、粗粉である
と共に10μmまたは20μm以下の微粉分をカットし
たものであり、それによって均一分散を容易化し、また
荷役その他の取り扱い時における偏析発生を可及的に防
止し得る。前記のような10μm未満、あるいは20μ
m未満のような微粉分は液中での分級処理で粉塵の発生
が無く、しかも適切に分級し得る。
【0030】なお、鉄粉、銅粉、錫粉に黒鉛または二硫
化モリブデン等の固体潤滑剤を加えて製造した従来の技
術による焼結含油軸受材の組織図を図1(B)に示す。
符号1'は鉄粉、2'は銅粉、3'はサイジング面を示
す。
【0031】以下、本発明の焼結含油軸受材の技術的な
具体的用途を、図面を参照しつつ述べる。図2は、本発
明の焼結含油軸受材からなる軸受を構成要素とする動圧
型軸受ユニット21を具備する情報機器用スピンドルモ
ータの断面図を示している。このスピンドルモータは、
軸部材22を回転自在に支持する軸受ユニット21と、
軸部材22に取り付けられ、図示しないポリゴンミラー
を保持するロータハブ23と、軸方向のギャップを介し
て対向させたモータステータ24およびモータロータ2
5とを有する。ステータ24は、軸受ユニット21を保
持するケーシング29に取り付けられ、ロータ25はロ
ータハブ23に取り付けられている。ステータ24に通
電すると、ステータ24とロータ25との間の励磁力で
ロータ25が回転し、ロータハブ23も回転し、更に軸
部材22が軸受本体27内で回転する。
【0032】因みに、これは既に周知の技術ではある
が、本発明にも関係する技術であるので述べておくと、
図3(C)に示すように、軸受本体の外周面には、3つ
の通気溝30が設けてある。これは、図2に示すように
軸受本体27をハウジング26に挿入嵌合して設置する
際に、空気が軸受本体27の外周面とハウジング26の
内周面との間のすきまから逃げることになるが、該すき
まは数μm程度しかないため、空気がハウジング26の
底部空間に閉じ込められ、軸受本体の挿入が難しくな
る。また、モータ駆動時の発熱等により、閉じ込められ
た空気が膨張し、軸受本体27を押し上げて軸受性能を
不安定化させるおそれもある。これらの問題は、軸受本
体27の外周面とハウジング26の内周面との間に図3
(C)に示すような通気溝30を設けることによって解
消される。通気溝30の数は1つでも複数でもよく、ま
た通気溝30は、軸受本体27の外周面とハウジング2
6の内周面のいずれか一方、または双方に設けることが
できる。
【0033】
【実施例】各粒子毎単位で40wt%銅を被覆した銅被
覆鉄粉65.15%に、銅粉32.57%、素地強化成
分粉末として錫粉1.5%、および固体潤滑剤として黒
鉛0.78%を加えて配合し、混合、攪拌、成形(フォ
ーミング)した圧粉体を焼結した後、一次サイジング、
二次サイジング、回転サイジングを経て焼結含油軸受材
を製造し、更に超音波洗浄、含油、遠心分離の諸工程を
経て焼結含油軸受を製造した。この焼結含油軸受と従来
の鉄―銅系軸受および銅系軸受との比較試験結果を図4
に示す。
【0034】試験方法としては、図5に示すような試験
機を用いる。含油軸受12に試験軸11を挿入し、該試
験軸11を回転させる。その際含油軸受12にかかるト
ルクをロードセル18によって測定し、その値から試験
軸と含油軸受本体の摺動面における摩擦係数の経時変化
を算出した。図4のグラフにおいて、縦軸が摩擦係数
μ、横軸が試験時間(単位:分)である。なお、参考ま
でに試験した3種類の軸受の化学成分を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】図4のグラフに示されているように、本実
施例の軸受は、鉄―銅系軸受に比べて摩擦係数が格段に
小さく、銅系軸受に匹敵する程のものであり、高度の耐
摩耗性を発揮するものである。また軸受の摺動特性につ
いて、本実施例の軸受は初期の摩擦係数が、鉄―銅系軸
受に比べて低く、従って軸部材との初期からのなじみ特
性に優れ、更に立ち上がりの初期トルクが低く、トルク
特性にも優れたものである。
【0037】また本実施例の軸受は、焼結後複数回のサ
イジングを行うことで、内径摺動面を面積比で鉄5〜2
0%、銅80〜95%として成したものであるため、一
方で鉄成分が発揮する機械的強度に優れ、他方銅成分を
含有することによる耐摩耗性や摺動特性にも優れてい
る。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、軸部材の高速回転下に
おいて、鉄粉の配合による軸受本体が材料強度に優れる
ことにより高負荷用軸受として使用でき、さらに銅被覆
成分及び銅粉の配合による耐摩耗性、軸部材とのなじみ
特性およびトルク特性に優れた焼結含油軸受材を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明の焼結含油軸受材の材料組織図。 (B)従来技術による焼結含油軸受材の材料組織図。
【図2】 本発明の焼結含油軸受の技術的用途を示す縦
断面図。
【図3】 本発明の実施形態に係る焼結含油軸受材の製
造工程を示す図。
【図4】 本発明の実施例に係る軸受の耐摩耗性を示す
グラフ。
【図5】 本発明の実施例に係る摩擦係数を測定する試
験機を示す図。
【符号の説明】
1 鉄粉 2 銅粉 2a 銅被覆部分 10 試験機 11 試験軸 12 含油軸受 13 ハウジング 14 加圧用玉軸受 15 加圧ハウジング 16 負荷レバー 17 おもり 18 ロードセル 21 動圧型軸受ユニット 22 軸部材 26 ハウジング 27 軸受本体 30 通気溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 7/10 C25D 7/10 F16C 33/10 F16C 33/10 D 33/12 33/12 B 33/14 33/14 A // C22F 1/00 627 C22F 1/00 627 628 628 630 630A 630D 631 631A 687 687 H02K 5/167 H02K 5/167 A Fターム(参考) 3J011 BA04 DA01 DA02 JA02 KA02 KA03 LA01 MA12 PA03 QA03 RA03 SB02 SB03 SB05 SB19 SE05 SE06 4K018 AA04 AB05 AB07 AC02 BA02 BA14 BC23 BC25 FA02 KA03 4K020 AA23 AA24 AC04 BB29 BB41 4K024 AA09 AB01 BA02 BB05 BC08 GA03 5H605 BB05 CC04 EB06 EB13 FF03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄粉の表面全体を銅で被覆した銅被覆鉄粉
    と銅粉とを主体とする原料粉末を焼結して形成され、鉄
    が38.0〜42.0wt%、銅が51.5〜59.5
    wt%を占めることを特徴とする焼結含油軸受材。
  2. 【請求項2】鉄が39.1wt%、銅が26.1wt%
    を占めることを特徴とする請求項1の焼結含油軸受材。
  3. 【請求項3】原料粉末として配合割合全体の38.0〜
    42.0wt%の鉄粉の表面全体を25.3〜28.0
    wt%の銅で被覆した銅被覆鉄粉と銅粉31.2〜3
    2.6wt%を主原料とする原料粉末を混合し、圧粉成
    形し、焼結した後、サイジングすることを特徴とする焼
    結含油軸受材の製造方法。
  4. 【請求項4】主原料の粉末に、副原料として錫粉1.0
    〜3.0wt%、黒鉛または二硫化モリブデン等の固体
    潤滑剤を0.5〜2.5wt%配合することを特徴とす
    る請求項3の焼結含油軸受材の製造方法。
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