JP2008231644A - 炭素繊維製造装置並びに炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐炎化炉1と、炭素化炉12とを有する炭素繊維製造装置であって、前記耐炎化炉1は、熱処理室2と、熱風流路と、加熱外気導入口10と、熱風排出口11と、熱風流路内に加熱外気を供給する加熱外気供給手段とを有し、前記熱処理室2は、炉内を水平走行する前駆体繊維の繊維束Fの鉛直方向に熱風を送り前記繊維束Fを耐炎化し、前記加熱外気導入口10及び前記熱風排出口11は、前記熱風流路に設置され、前記加熱外気供給手段は、送風機15と熱交換器14とを有し、前記炭素化炉12は、耐炎化された前駆体繊維を炭素化し、前記熱交換器14は、前記炭素化炉12からの排出ガスと空気とを混合して燃焼した排ガスと前記送風機15から送られる外気とを熱交換する。
【選択図】図1
Description
一般に、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維は、耐炎化炉で酸化性雰囲気中にて200℃以上で加熱して耐炎化処理した後、炭素化炉で不活性雰囲気中にて300℃以上で加熱して炭素化処理することにより得られる。
耐炎化工程では、通常、熱風循環型の耐炎化炉が用いられている。この熱風循環型の耐炎化炉では、熱処理室内に前駆体繊維である多数の繊維束をシート状に引き揃えて走行させ、そのシート状に並列された多数の繊維束を、熱処理室の外部で一方と他方とに夫々備えられる多数の各ロールに掛け回し、走行方向を一方と他方とに交互に変更させながら多段に走行させる構成となっている。この走行される連続した繊維束に鉛直方向より200℃以上の熱風を吹き付けて加熱することにより、前記繊維束を所望の耐炎化密度になるまで化学反応させて上記耐炎化処理が行われている。
耐炎化工程には長時間を要するため、この耐炎化工程での生産性が炭素繊維の全製造工程での生産性に多大な影響を及ぼす。そのため該耐炎化工程の生産性を向上させるための提案が従来から多数なされている。
例えば、特許文献1には、炭素化炉の排ガスを熱交換器内において熱交換させて外気を加熱し、加熱された外気を耐炎化炉に供給するように構成されるものがある。
耐炎化工程では、繊維束を構成する単繊維相互の膠着が発生し易いため、この発生を防止することが生産性を向上させるために必要であり、その為アミノシリコーン系油剤等のシリコン系油剤を繊維束に付与する方法などによりこれを防止している。しかし炉内で熱風循環が繰り返される内に熱風中にシラン等の揮発性珪素の濃度が高くなり、シリコン系油剤由来の粉末や繊維由来のケバ等の異物が蓄積し、これらが耐炎化繊維を汚染するようになる。特許文献1では、上記汚染を防止する為に耐炎化炉の後工程にあたる炭素化炉で発生する排ガスを熱交換器内に通して外気と熱交換させる。そして加熱された外気を耐炎化炉に供給して熱風中の揮発性珪素の濃度を低減させ、ケバや粉末等の異物の蓄積を防止するように構成されている。そして上記のように外気を耐炎化炉に供給する前に加熱することにより、熱風流路内に冷たい外気が混ざり熱処理室内において部分的な温度の不均一が起こって温度斑が大きくなり、それにより引き起こされる繊維束の反応不足若しくは異常発熱による切断が起こることを防止可能に構成されている。
図1は、本発明の一実施形態の炭素繊維製造装置の構成を示す概略図である。
図1中、1は耐炎化炉で、熱処理室2内には多数本の繊維束Fが水平面(本紙面に垂直方向の面)に並んだ繊維束群(以下「パス」として省略する)を形成して走行するように構成されている。このパスを形成している繊維束Fは、熱処理室2の外部に配設された所定組の折返しローラー(不図示)によって折り返されて熱処理室2に繰り返し供給され、複数段のパスを形成している。
熱処理室2の一方側には側壁19aが形成され他方側には側壁19bが形成されている。又熱処理室2の上方には熱風吹出し口3が備えられ、該熱風吹出し口3の上方には上方流路7が形成されている。熱処理室2の下方には熱風吸気口4が備えられ、該熱風吸気口4の下方には下方流路8が形成されている。熱風吹出し口3及び熱風吸気口4は夫々メッシュ板やパンチング板等の熱風透過性の板状部材により形成され、熱風を均一に繊維束Fへ分散したり熱処理室2内の温度斑を無くしたりするよう配設されている。
熱処理室2と側壁19aを隔てた一方側には、上方流路7と下方流路8とを連通する熱風循環路9が設けられており、熱風流路は前記熱風循環路9と前記上方流路7と前記下方流路8とにより形成されている。
又熱風循環路9には、加熱外気導入口10が配設されている。該加熱外気導入口10の配設位置は前記熱風流路の何れの位置でも構わないが、熱処理室2の入口部にあたる熱風吹出し口3付近で温度がより均一になるように配設されるのが好ましく、すなわちファン6の上流部に配設されることが好ましい。また前記加熱外気導入口10から導入される加熱外気の温度は、熱処理室2の設定温度(200℃以上)から400℃までの間であることが好ましい。
又下方流路8には、熱風排出口11が配設されている。該熱風排出口11の配設位置は前記熱風流路の何れの位置でも構わないが、熱処理室2で発生したシラン等の揮発性珪素を速やかに炉外に排出するために下方流路8に配設されるのが好ましい。そして前記熱風排出口11から、揮発性Si化合物含有の熱風が排出され、熱風中の揮発性Si化合物の濃度が低減しケバや粉末等の異物の蓄積を防止出来、耐炎化繊維の汚染を防止できる。
炭素化炉12は、耐炎化工程の後工程にあたる炭素化工程を実施する装置であり、炭素化炉12と熱交換器14とは炭素化炉排気路17により連結されている。前記炭素化炉排気路17には、前記炭素化炉12から近い順に燃焼用エアー導入口16及び炭素化炉排ガス処理装置13が、夫々前記炭素化炉12と前記熱交換器14とに連通されて配設されている。
前記炭素化炉12から排出される排出ガスは、燃焼用エアー導入口16から供給される燃焼用エアーと混合されて炭素化炉排ガス処理装置13に導入され、該燃焼路排ガス処理装置13内に設けられる不図示の燃焼装置により燃焼され無害化処理された後、炭素化炉排気路17を通って熱交換器14へと送出される。
又炭素化炉排ガス処理装置13から送出される排ガスAは、炭素化炉排気路17を通り前記熱交換チューブ22の管内へと流入され、該熱交換チューブ22の管外を通る前記外気B1とチューブ外装を介して熱交換された後、前記熱交換器14より外部へ開放され排出される。
なお上記送風機15の羽根形状は、加熱外気B2を必要なだけ供給可能なものであればよく、熱交換器内の圧損、設置場所、風量等を考慮し、適宜選定される。
又前記熱交換チューブ22は、そのチューブ内面に接触するヘッド24をチューブの長さ方向に沿って移動させる構成の閉塞防止機構を備えているので、前記熱交換チューブ22が排ガスA中に含まれるSi化合物等の粒子状物により閉塞される虞が無い。又前記閉塞防止機構によれば、従来より知られているエアーブロー方式のように炭素化炉12内圧力に変化を及ぼし該炭素化炉12における炭素化処理に影響を与えたりすることがなく、又超音波振動方式のようにその装置設備費が非常に高価となることもなく、構成が簡単であり装置設備費が安価で故障が少なく、メンテナンス性にも優れた構成となっている。よって前記熱交換器14による熱交換処理は長期に亘り良好に行われ、装置の運転安定性が向上する。
2 熱処理室
5 熱風加熱手段
7 上方流路
8 下方流路
9 熱風循環路
10 加熱外気導入口
11 熱風排出口
12 炭素化炉
14 熱交換器
15 送風機
18 加熱外気給気路
20 温度検出端
22 熱交換チューブ
24 ヘッド
A 排ガス
B1 外気
B2 加熱外気
F 繊維束
Claims (5)
- 耐炎化炉と、炭素化炉とを有する炭素繊維製造装置であって、
前記耐炎化炉は、熱処理室と、熱風流路と、加熱外気導入口と、熱風排出口と、熱風流路内に加熱外気を供給する加熱外気供給手段とを有し、
前記熱処理室は、炉内を水平走行する前駆体繊維の繊維束の鉛直方向に熱風を送り前記繊維束を耐炎化し、
前記熱風流路は、前記熱処理室の上方にある上方流路と、前記熱処理室の下方にある下方流路と、前記上方流路及び前記下方流路を連通する熱風循環路とからなり、
前記加熱外気導入口及び前記熱風排出口は、前記熱風流路に設置され、
前記加熱外気供給手段は、送風機と熱交換器とを有し、
前記炭素化炉は、耐炎化された前駆体繊維を炭素化し、
前記熱交換器は、前記炭素化炉からの排出ガスと空気とを混合して燃焼した排ガスと前記送風機から送られる外気とを熱交換する、
炭素繊維製造装置。 - 前記熱交換器は閉塞防止機構を備えたチューブ式熱交換器である請求項1記載の炭素繊維製造装置。
- 前記閉塞防止機構は、チューブ内面に接触するヘッドをチューブの長さ方向に沿って移動させる構成である請求項2に記載の炭素繊維製造装置。
- 前記熱風循環路に熱風加熱手段を設け、
前記熱処理室に温度検出端を設け、
前記温度検出端の検出結果と、熱風加熱手段の出力とを連動させた、請求項1から請求項3のいずれかに記載の炭素繊維製造装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の炭素繊維製造装置を用いた炭素繊維の製造方法であって、前記熱風排出口より排出する排気量を、前記加熱外気量と同量以上とする方法。
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