JPH08260253A - 炭素繊維の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

炭素繊維の製造方法およびその製造装置

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JPH08260253A
JPH08260253A JP7158795A JP7158795A JPH08260253A JP H08260253 A JPH08260253 A JP H08260253A JP 7158795 A JP7158795 A JP 7158795A JP 7158795 A JP7158795 A JP 7158795A JP H08260253 A JPH08260253 A JP H08260253A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】短時間にトウ1を効率よく耐炎化処理炉5内で
焼成するための製造方法および製造装置を提供するこ
と。 【構成】炭素繊維からなる前駆体ステープル1の供給手
段4と、トウを耐炎化処理する耐炎化処理炉5と、引取
手段12とを備えた炭素繊維の製造装置において、耐炎
化処理炉内のトウ1の下方にトウの走行方向とほぼ直交
する方向より熱風を噴射する少なくとも1個の噴射ノズ
ル8と、前記トウ1をその走行方向に交互に緊張・弛緩
させるトウ緊張・弛緩手段13を炉外に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素繊維の製造方法
および製造装置に関するものである。さらに詳しくは、
多糸条の前駆体繊維として炭素繊維からなるトウを短時
間で耐炎化焼成し得る生産性の高い炭素繊維の製造方法
およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維の焼成工程は、耐炎化工程と炭
化工程からなるが、炭素繊維が高価である基本的な要因
は、とりわけ炭素繊維からなる前駆体繊維の耐炎化処理
の処理効率が悪い点が挙げられる。この耐炎化処理工程
の生産性を向上させるには、イ)炭素繊維前駆体の製造
コストを下げること、ロ)耐炎化処理炉内の炭素繊維前
駆体の充填密度、すなわち前駆体繊維の処理炉への供給
速度を上げること、ハ)炭素繊維前駆体の耐炎化焼成速
度を上げることが必要になる。そのためには、耐炎化焼
成はできるだけ高温で行い、かつ、複数本の炭素繊維前
駆体繊維糸条(以下、多糸条という)を処理炉に供給す
るのがよい。
【0003】とりわけ、ポリアクリルニトリル系の前駆
体繊維の耐炎化焼成における反応は酸化・還元反応が同
時に進行する発熱反応であり、高温焼成を行えば反応が
より速くなり、短時間焼成が可能となる。一般に反応温
度が10℃上がれば反応速度は約2倍になる。すなわち
言い換えると操業温度を10℃アップすることができれ
ば生産性も約2倍となるのである。その一方、急速に耐
炎化反応が進行すると、酸化反応に伴う反応熱が前駆体
繊維内に蓄熱しやすくなり、前駆体繊維内温度が急上昇
して、糸切れや発火を引き起こすといった暴走反応を誘
発するという二面性をもつ。したがって、多糸条の前駆
体繊維を耐炎化焼成する場合、前駆体繊維内の反応によ
る発熱を効率よく除去しなければ、高温、短時間で目的
の耐炎化糸を得ることができない。即ち、わずかな時間
でも除熱作用が悪化すると上記暴走反応が誘発されるた
め、前駆体繊維糸条を構成している短繊維個々の間隔を
広げて開繊するなどの良好な除熱作用を維持しながら耐
炎化焼成を行うことが必須条件となる。
【0004】このような問題解決を目的とした従来の短
時間焼成方法としては、例えば特開平6−81223号
公報では、上記課題イ)、ロ)、ハ)を満足するために
前駆体繊維からなるステープル(以下、トウという)を
用い、該トウに振動ガイドによってトウの繊維走行方向
に対して直角方向(上下方向)に振動を与えて該トウを
開繊しながら耐炎化焼成することにより、操業温度の上
限を253℃にすることができることが報じられてい
る。ここで、図3に示すように振動ガイド17とは、そ
れ自体が振動しながらトウ1に接触することにより振動
を伝達するものである。ところがこの公知の耐炎化方法
では、トウ1の挙動は、トウが振動ガイド17に接触し
ている面でのトウの幅方向(振動ガイド17の平面方
向)への拡がりのみであり、2次元的なものであった。
すなわち、トウ1の上下方向(振動ガイド17平面に直
交する方向)への振幅は小さいため、大量の繊維を開繊
できるとは言い難いものであった。また該公報による
と、前記振動ガイドをエアー吹き出しノズルにかえ、同
様に耐炎化焼成することにより操業温度の上限を261
℃にすることができるとも報じている。ところがこの公
知の耐炎化方法でも、繊維走行方向に常時張力が付加さ
れているために、トウの繊維走行方向とほぼ直角方向へ
のトウの挙動は規制され、結果的にトウの挙動の振幅は
小さく、2次元的な挙動となり、大量の繊維を開繊する
には限度があり、かつ良好な開繊状態を維持することが
困難であった。そのため操業温度の上限がまだ低く、生
産性の優れた製造方法とは言い難いものであった。つま
り言い換えると、トウでなく、フィラメントを耐炎化す
ることにより炭素繊維を製造している現行の生産方法と
比較して、格段に生産性を向上することができたとは言
い難いものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を鑑みてなされたもので、その目的とするところ
は、短時間にトウを効率よく耐炎化焼成するための製造
方法および製造装置、ひいては、炭素繊維の生産性を飛
躍的に向上させ得る製造方法および製造装置を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、この発明の炭素繊維の製造方法は、炭素繊維からな
る前駆体ステープルを耐炎化炉内に供給して耐炎化処理
するに際し、前記耐炎化炉内の前駆体ステープルを、そ
の走行方向に緊張・弛緩を交互に加えることにより開繊
させながら処理することを特徴とする。
【0007】この場合、前記耐炎化処理炉内の前駆体ス
テープルに対し、前記前駆体繊維が弛緩状態にあるとき
にのみ、さらにその走行方向とほぼ直交する方向より熱
風を噴射するのが好ましい。また、前記熱風は、前記前
駆体ステープルの下方より、該前駆体ステープルの幅方
向に拡がる扇状に噴射するのがより好ましい。そして、
前記熱風温度は、200℃〜350℃であるのが好まし
い。
【0008】また、上記課題を達成するため、この発明
の炭素繊維の製造装置は、炭素繊維からなる前駆体ステ
ープルの供給手段と、前記前駆体繊維を耐炎化処理する
耐炎化処理炉と、耐炎化処理された耐炎化繊維を引き出
す引取手段とを備えた炭素繊維の製造装置において、
(A)前記耐炎化処理炉内の前駆体ステープルの下方に
設けられ、前記前駆体ステープルの走行方向とほぼ直交
する方向より気体を噴射する少なくとも1個の噴射ノズ
ルと、(B)前記前駆体ステープルをその走行方向に交
互に緊張・弛緩させるステープル緊張・弛緩手段とを備
えていることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の炭素繊維の製造装置およびその方法
は、炭素繊維としてトウを耐炎化処理する際に、トウの
繊維走行方向の張力を周期的に変動させることで連続的
にトウを緊張・弛緩、より好ましくはトウが弛緩状態の
ときにのみ気体をトウに向けて間欠的に噴射すること
で、トウを構成する複数の短繊維の間隔を拡大させ、良
好な開繊作用を付与するものである。これにより、トウ
は、連続的に除熱が促進され、良好な耐炎化処理が可能
となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0011】図1は、本発明の炭素繊維の製造装置の概
略模式図であり、トウ2の耐炎化処理工程を示してい
る。
【0012】図において、1は、図の紙面に直交する方
向が広幅のトウ、2は、トウの容器、3は、ガイドロー
ル、4は、3本ロール形式のトウ供給ロールであり、図
示省略のモータにより駆動される。5は、公知の耐炎化
処理炉であり、出入口を有する箱型の加熱炉である。耐
炎化処理炉5は、循環ブロワ7で吸引された炉内空気が
ヒータ6で200℃〜320℃程度に加熱され、この加
熱空気が炉内上部から炉内を連続走行するトウに対して
均一に吹付けられることにより、トウを耐炎化処理でき
るようになっている。そして、耐炎化処理されたトウ1
は、ガイドロール3を経てトウ引取ロール12で引き取
られ、次の黒鉛化工程に供給されるようになっている。
なお、トウ引取ロール12もトウ供給ロール4と同様、
図示しないモータを有しており、コントローラ15から
の指令により、トウ供給ロール4とトウ引取ロール12
間の速度バランスの調整、一斉停止ができるようになっ
ている。
【0013】以上の耐炎化処理装置は、従来装置と変り
がないものであるが、本実施例装置の特徴は、炉内を連
続走行するトウに対して振動を付与するトウ緊張・弛緩
手段13と、上記トウに対して熱風を噴射する熱風噴射
手段16とからなる2つのトウ開繊手段を備えている点
にある。
【0014】まず、第1の特徴のトウ緊張・弛緩手段1
3は、炉外後方に設けられており、トウ1を走行自在に
挟持するダンサローラ11、ダンサローラをトウ走行方
向に直交する方向に振動させる加振機13とで構成さ
れ、その振動数、ストロークと、どの時期にトウ1を図
の上または下方向に振動させるかは、コントローラ14
からの指令により自由に制御できるようになっている。
すなわち、ダンサローラが図の下方に移動すると、供給
ローラ4とガイドロール3間のトウ1が緊張するのでそ
の張力が高くなり、逆に上方に移動すると炉内のトウが
弛緩するので張力が緩くなる。なお、加振機13の構成
としては、モーター、コイルバネ、カム機構等からなる
公知のもので十分である。
【0015】次に、本発明の第2の特徴の熱風噴射手段
16は、炉内を走行するトウ1の下方に設けられてお
り、空気を噴射する給気ブロワ10、空気ヒータ6´、
温度検知器9、噴射ノズル8およびこれらを相互に連結
する配管で構成されており、炉外の空気を空気ヒータで
炉内温度とほぼ等しくなるように加熱し、これを噴射ノ
ズルからトウ1の裏側に噴射し、これを貫通させてトウ
を構成する短繊維間隔を拡げて開繊するものである。1
4は、ノズル8から噴射される熱風温度が所望値になる
ように温度検知器9で検知した熱風温度に基づいてヒー
タ6´の出力を調整すると共に、2つの空気ヒータ6、
6´のヒータ出力をも調整するものである。噴射ノズル
8は、その軸線がトウ走行方向に対して傾斜していても
よいが開繊効率からすると直交する方向に配置するのが
好ましい。ノズル配置数は、少なくとも1個あればよ
く、トウ幅やトウの充填密度に応じて、トウ幅方向に複
数個を一定間隔で設けてもよい。噴射ノズル8の設置位
置は、トウの上方であってもよいが、トウの自重を利用
してトウの上下運動を促進することができるという理由
からトウの下方に設けるのが好ましい。具体的位置とし
ては、トウ1の下方、20mm〜200mmの位置であ
る。トウ1に対する熱風の噴射角は、開繊強度の点から
考えて、トウ幅方向へ開繊させる方が効果的なので、ノ
ズル8をトウ幅方向に扇形となるように噴射するのが好
ましい。なお、噴射気体は、本実施例では空気とした
が、窒素、アルゴンガス等の不活性ガスであってもよ
い。
【0016】上記のように構成された実施例装置に対
し、本発明の製造方法は、以下のようにして実施され
る。
【0017】まず、容器2から引取ロール4によって連
続的に引き出されたトウ1は、供給ロール4の供給速度
を検知したコントローラ15が炉内のトウ速度が一定に
なるように引取ロール12を制御するので、一定速度で
炉内に侵入する。これに対し、炉内の上方からヒータ6
で加熱した200℃〜320℃の熱風をその熱風温度に
よって決定される一定時間吹き付け、いわゆる耐炎化処
理を行なう。一方、トウ1の下方からも200℃〜35
0℃の熱風をトウの走行方向に直交する方向から、噴射
角がトウ幅方向に扇形となるように噴射する。なおこの
際、耐炎化を均一に進行させるためには炉内の温度分布
を均等にする必要があるという理由により、噴射する熱
風温度は炉内温度とほぼ等しくするのが好ましい。扇形
角は、開繊状態時のトウ幅よりも若干広角に噴射できる
ようにするのが好ましい。この場合のノズル8の熱風噴
射速度としては、糸条太さが10Kデニール〜500K
デニールのものに対しては、10m/s〜50m/sの
風速で、ノズル1個当り30NL/分〜200NL/分
の流量で噴射するのが好ましい。勿論、ステープル太さ
が大きくなれば、それに従って風速、流量を大きくした
方が好ましい。また、ノズルからの噴射は、連続噴射で
あってもよいが、0.4〜2秒程度の間隔で間欠噴射す
るのが開繊効果上好ましい。このような間欠噴射手段と
して、噴射流体自らの噴射力によりノズル自体が回転す
るものや、ノズルをトウ走行方向に直交する方向に適当
な速度でトラバースさせるものがある。
【0018】また、同時に炉外後方から、トウ緊張・弛
緩手段13を作動させることにより、トウ1に対して、
トウ走行方向の緊張・弛緩作用を交互に与える。この場
合の緊張・弛緩作用は、加振機11の作用により、トウ
1を図の上方に押し出すことによりトウが弛緩した状態
のときにのみ、ノズル8から熱風が噴射されるようにす
るのが好ましい。このようにすれば、トウ1に対する開
繊効果がより一層高くなる効果がある。また、振動数と
ストローク数は、処理対象トウのトータルデニールにも
よるが、概ね前者は30〜150回/分、後者は10〜
50mmの範囲内にある。いずれの場合でも重要なこと
は、張力の変動範囲として、トウのトータルデニールに
もよるが、概ね0g〜1500gの範囲内で緊張・弛緩
させることである。なお、トウ自体に捲縮を掛けておく
と、トウの張力変動幅をより広くできるため、良好な振
動効果が得られる。
【0019】このようにノズル8からの熱風噴射に加え
て、トウ緊張・弛緩手段13によってトウに緊張・弛緩
作用を交互に加えると、トウを構成する複数の単糸が少
数の単糸群に分散され、トウに対して噴射ノズルからの
熱風が貫通しやすくなり、その結果、トウの開繊効果が
より一層促進され、耐炎化反応を進行させながらトウ内
の蓄熱を抑制、排除できるという顕著な効果が得られ
る。
【0020】ここで、処理対象のトウ1は、特に限定さ
れないが主にアクリルニトリル100%のアクリル繊
維、アクリルニトリルを少なくとも90モル%以上含有
するアクリル系繊維であって、共重合成分としてメタク
リル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル等を共重合した
共重合体からなる繊維が好ましい。また、該トウを構成
する単糸の繊度は、強度向上の点から3デニール以下、
好ましくは1.5デニール以下のものがよい。また、耐
炎化炉内でのトウの伸縮効果を上げるために捲縮糸を用
いるのが好ましい。なお、上記したトウの充填密度と
は、耐炎化処理炉に対するトウの重量供給速度のことで
あり、具体的にはトウ幅1mm内に充填されている複数
本からなる単繊維の総デニール数をいうものとする。
【0021】実施例1 トウ1として、単糸デニールが1.5デニール、構成短
繊維数が56000、112000および168000
本からなる3種類のトウを用い、図1に示すようにトウ
1を容器2からガイドロール3、供給ロール4を介し
て、ヒーター6とブロワー7により炉内風速1m/sで
トウ1の上方から下方へ熱風が流れる耐炎化処理炉5内
に供給した。
【0022】一方、耐炎化処理炉5内には、トウ1の下
方約60mmの位置に扇形状に気体を噴射するノズル8
を固定した。そして、トウ1に向けて、耐炎化処理炉5
内に設置した温度検知器9の情報をもとにコントローラ
14がヒーター6’と給気給気ブロワ10を制御し、耐
炎化に要する空気を70NL/分の流量で噴射しつつ、
引取ロール12の直前に設置された加振器13とトウ1
に取り付けられたダンサロール11により一分間に90
回の割合でトウ1を上下方向に振動させ、このダンサロ
ール11でのトウに付加する張力を加振器13内の図示
しないコイルバネを調節することにより、0g〜500
g〜0gとなるように変動させて糸切れ温度の測定を行
った。
【0023】ただし、構成短繊維数が112000およ
び168000本からなるトウに関しては、張力の変動
範囲を0g〜700g〜0gとなるように加振器13内
の図示しないコイルバネを調整して糸切れ温度の測定を
行った。その際、耐炎化処理炉内温度が設定値に到達安
定後、トウ1を耐炎化処理炉5内に供給し、耐炎化処理
炉5内のトウ1を全て新しいトウ1に入れ替えた後、供
給を停止し、耐炎化処理炉内の設定温度が230℃以下
の場合は、20分間ホールドし、それ以上の温度では7
分間ホールドして糸切れの有無を確認した。なお、トウ
1は、ガイドロール3により走行方向の幅を40mmに
規制し、かつ制御器15で供給ロール4に設けた図示し
ない速度検出器からの信号をもとに供給速度と引き取り
速度が一致するように制御しつつ、耐炎化処理炉5内へ
供給した。これによりトウの充填密度は、構成短繊維数
が56000本からなるトウは2.1Kデニール/m
m、112000本からなるものは4.2Kデニール/
mm、168000本からなるものは6.3Kデニール
/mmとなる。
【0024】以上の耐炎化処理結果を、横軸に上記3種
類のトウの充填密度、縦軸にこれらトウを耐炎化処理し
た場合の糸切れ温度を採った図2にプロットしてみた。
図中の▲印の「ノズル噴射法+緊張・弛緩法」が本実施
例である比較例1 これに対し、加振器13を用いない以外は、実施例1と
同様に耐炎化処理を行ったところ、図2の△印で示すよ
うに糸条密度2.1Kデニール/mm、4.2Kデニー
ル/mmおよび6.3Kデニール/mm時には耐炎化処
理炉内温度が各々275℃、250℃、240℃で糸切
れが発生した。
【0025】比較例2 炉内風速1m/sでトウ1の上方から下方へ熱風が流れ
る耐炎化処理炉5内においてノズル8も加振器13も用
いないブランクの状態で耐炎化処理を行ったところ、図
2の○印で示すように糸条密度3.4Kデニール/mm
および6.8Kデニール/mm時には、耐炎化処理炉内
温度が各々236℃、221℃で糸切れが発生した。
【0026】以上の結果を纏めて考察すると、図中の▲
印で示す本発明の「ノズル噴射法+緊張・弛緩法」は、
充填密度2.1Kデニール/mm、4.2Kデニール/
mmおよび6.3Kデニール/mmにおいて、トウの糸
切れ温度が各々285℃、260℃、250℃となり、
いずれも比較例1に比べて約10℃も上昇させることが
できたことを示している。これは換言すれば、本発明の
装置およびその方法は、トウを耐炎化処理するに当り炉
内でのトウからの除熱作用がスムーズにいき、生産効率
が向上したことを意味する。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る炭素繊維の製造方法は、炭
素繊維からなる前駆体ステープルを耐炎化炉内に供給し
て耐炎化処理するに際し、前記耐炎化炉内の前駆体ステ
ープルを、その走行方向に交互に緊張・弛緩作用を加え
ることにより開繊させながら処理するので、トウに3次
元的な大きな挙動が付与でき、開繊効果を格段に高め、
除熱速度を大幅に上げることができる。したがって、ト
ウを高温で短時間に耐炎化処理することができ、生産性
を飛躍的に向上させることができる。
【0028】本発明に係る炭素繊維の製造装置は、炭素
繊維からなる前駆体ステープルの供給手段と、前記前駆
体繊維を耐炎化処理する耐炎化処理炉と、耐炎化処理さ
れた耐炎化繊維を引き出す引取手段とを備えた炭素繊維
の製造装置において、(A)前記耐炎化処理炉内の前駆
体ステープルの下方に設けられ、前記前駆体ステープル
の走行方向とほぼ直交する方向より気体を噴射する少な
くとも1個の噴射ノズルと、(B)前記前駆体ステープ
ルをその走行方向に連続的に緊張・弛緩させるステープ
ル緊張・弛緩手段とを備えているので、トウを高温で短
時間に耐炎化処理することができ、生産性を飛躍的に向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素繊維の製造装置の一実施例の
概略模式図である。
【図2】本発明の方法および装置における実施例と比較
例での糸条密度と糸切れ温度の関係を示す図である。
【図3】従来装置の概略模式図である。
【符号の説明】
1:トウ 2:容器 3:ガイドロール 4:供給ロール(供給手段) 5:耐炎化処理炉 6:ヒータ 6’:ヒータ 7:循環ブロワ 8:噴射ノズル 9:温度検知器 10:給気ブロワ 11:ダンサロール 12:引取ロール(引取手段) 13:加振器 14:コントローラ 15:コントローラ 16:熱風噴射手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維からなる前駆体ステープルを耐炎
    化炉内に供給して耐炎化処理するに際し、前記耐炎化炉
    内の前駆体ステープルを、その走行方向に緊張・弛緩を
    交互に加えることにより開繊させながら処理することを
    特徴とする炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】前記耐炎化処理炉内の前駆体ステープルに
    対し、前記前駆体繊維が弛緩状態にあるときにのみ、さ
    らにその走行方向とほぼ直交する方向より熱風を噴射す
    ることを特徴とする請求項1の炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】前記熱風は、前記前駆体ステープルの下方
    より、該前駆体ステープルの幅方向に拡がる扇状に噴射
    することを特徴とする請求項3の炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】前記熱風温度は、200℃〜350℃であ
    ることを特徴とする請求項3の炭素繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】炭素繊維からなる前駆体ステープルの供給
    手段と、前記前駆体繊維を耐炎化処理する耐炎化処理炉
    と、耐炎化処理された耐炎化繊維を引き出す引取手段と
    を備えた炭素繊維の製造装置において、 (A)前記耐炎化処理炉内の前駆体ステープルの下方に
    設けられ、前記前駆体ステープルの走行方向とほぼ直交
    する方向より気体を噴射する少なくとも1個の噴射ノズ
    ルと、 (B)前記前駆体ステープルをその走行方向に交互に緊
    張・弛緩させるステープル緊張・弛緩手段とを備えてい
    ることを特徴とする炭素繊維の製造装置。
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