JP2008231057A - 中性脂肪吸収調節組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】匂いや風味の問題がなく、然も副作用の心配がない中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物の提供を目的とする。
【解決手段】中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物は高極性カロテノイドを有効成分として含有することを特徴とした。前記高極性カロテノイドを有効成分とする組成物は食品、飲料、サプリメント、ペット用食餌、サニタリー製品、化粧品又は薬品に添加あるいは混合しても良い。また、前記高極性カロテノイドは、天然物から抽出し精製されたもの、有機合成によって得られたもの、微生物を介して合成されたものの内から選ばれた一種又は二種以上の組み合わせによって得られたものであっても良い。
【選択図】図1
【解決手段】中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物は高極性カロテノイドを有効成分として含有することを特徴とした。前記高極性カロテノイドを有効成分とする組成物は食品、飲料、サプリメント、ペット用食餌、サニタリー製品、化粧品又は薬品に添加あるいは混合しても良い。また、前記高極性カロテノイドは、天然物から抽出し精製されたもの、有機合成によって得られたもの、微生物を介して合成されたものの内から選ばれた一種又は二種以上の組み合わせによって得られたものであっても良い。
【選択図】図1
Description
本発明は、高極性カロテノイドを有効成分とした中性脂肪吸収調節組成物に関するものである。
体についた、いわゆる贅肉の大部分は「中性脂肪」と呼ばれる脂肪であり、脂肪分から作られ、また組成としては炭水化物から作られる。脂肪分がリパーゼによって小腸で消化(分解)・吸収され、中性脂肪として体の中に蓄積され、また炭水化物(糖質)がエネルギーとして消費され、残ったものが肝臓で中性脂肪に変換されて体の中に蓄積される。
この中性脂肪は本来、体内で「エネルギー貯蔵庫」としての役割を備え、血液中に含まれる糖分が枯渇したときに中性脂肪が体を動かすエネルギー源となる。また「断熱材」として外気から体を守り、体温を一定に保ち、さらに、人体が外部から衝撃を受けたときには骨や内臓など、体のさまざまな組織を守る「クッション材」としてもはたらく。
しかし、必要以上に「中性脂肪」が貯蔵される場合には第一に肥満のために生活習慣病を誘発しやすくなる。またエネルギーに変換されない中性脂肪は、善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やしてしまう。
その結果、血管にコレステロールが付着したり、血液粘度が上昇したり、高脂血症に発展する原因になるだけではなく、動脈硬化や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、肥満症による糖尿病などを発症する原因ともなる。また、最近の研究では、食後の中性脂肪の増加・持続が、循環器系疾患に最も影響する因子であることがわかっている。
この中性脂肪が貯め込まれるのは「脂肪細胞」という細胞であり、成人で250億〜300億個あり、その大きさを3〜4倍にまで膨張させることができる。脂肪細胞が膨張すると中に蓄積された中性脂肪も増えるため、危険度が高くなる。また、脂肪細胞数は妊娠末期の胎児期、乳児期、思春期と3つの時期に増えることがわかっており、基本的に減少しない。したがって、これらの時期に太っていた人は、中性脂肪を貯め込みやすい体質といえる。
以上のことから、現在、中性脂肪吸収の抑制が健康管理上重要な研究課題となっており、従来からリパーゼの生成を阻害することにより中性脂肪吸収を低下させる成分及び生成されたリパーゼの活性を阻害する成分は知られている。しかし、そのようなリパーゼ阻害作用は食品にはなじまず、脂溶性の食品成分で、脂質吸収を強力に抑制する成分は現在ほとんど知られておらず、またその利用も行われていない。
ところで、海藻に含まれる脂溶性物質の一つであるフコキサンチンはカロテノイドの一種であり、天然に存在するカロテノイドの中でβカロテンと並んで最も多く存在するカロテノイドの一つである。しかし、海藻中に含まれるフコキサンチンは多いものでも乾燥海藻に対して0.1重量%程度であるため、これまでその生理機能については殆ど調べられていなかった。
近年、このフコキサンチンの持つ様々な薬理機能が脚光を浴び、種々の報告が為されている。例えば、抗肥満作用(非特許文献1)やガン細胞に対するアポトーシス誘導作用(非特許文献2、非特許文献3)等が挙げられる。しかし、フコキサンチンの中性脂肪値に及ぼす薬理作用に関しては、現在のところ特許文献及び非特許文献の何れにおいても報告されていない。
H. Maeda et al., Biochemical and Biophysical Research Communication, 332 (2005) 392-397.
細川、BIO INDUSTRY, 21 (2004) 52-57.
I. Konishi et al., Comparative Biochemistry and Physiology. PartC, Pharmacology, toxicology & endocrinology, 142 (2006) 53-59.
食材とすることもでき、安全で海産物などに豊富に存在する高極性カロテノイドには、高脂血症など脂質代謝改善作用や抗酸化性が知られている。この高脂血症などの脂質代謝異常や肥満への有効性を考えると、代謝改善とともに中性脂肪そのものの吸収抑制を併せ持つことにより、メタボリックシンドロームなどの病態改善や予防に対して相乗効果が期待できる。しかしながら、食材や医薬、サプリメントとして相乗的に利用できる成分は、未だ知られていない。
そこで、本発明は、匂いや風味の問題がなく、然も副作用の心配がない中性脂肪吸収調節作用、特に中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、匂いや風味の問題がなく、然も副作用の心配がない中性脂肪吸収調節作用、特に中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題について検討するべく、ひじきやわかめなどの海草に多く含まれるカロテノイド色素であるフコキサンチンとその代謝物であるフコキサンチノールの消化管における中性脂肪の吸収抑制作用とカロテノイド自身の吸収動態について検討を行い、海産物由来の高極性カロテノイドである、フコキサンチンとフコキサンチノールにより、著明な中性脂肪の吸収抑制作用、および血清中性脂肪増加に対する抑制効果が見いだされたことにより本発明に想到した。
即ち、本発明の中性脂肪吸収調節作用を有する組成物は、高極性カロテノイドを有効成分として含有することを特徴とする。
高極性カロテノイドは、フコキサンチン及び/又はフコキサンチン誘導体であればいずれでもよく、たとえばフコキサンチンやフコキサンチノールは、食経験も豊富で安全性が高く、脂質代謝改善作用を有する脂溶性の高極性カロテノイドにより、中性脂肪の腸管吸収を抑制することにより、効果の高いメタボリックシンドロームの病態改善あるいは予防をおこなうことができる。
さらに本発明の中性脂肪吸収調節作用を有する組成物は高極性カロテノイドを食品及び飲料及びサプリメント及びペット用食餌及び化粧品及びサニタリー製品及び薬剤のうちのいずれかに添加あるいは併用して用いることを特徴とする。
前記高極性カロテノイドは、粉末状態のもの、固体状態のもの、ゲルあるいはゾル状態のもの、有機溶媒に溶かしたもの又は界面活性剤を用いて水溶性にしたもの、エマルジョン状態にしたもの、さらに混合物であっても良い。
また、前記高極性カロテノイドは、天然物から濃縮、抽出、精製の単数あるいは複数からなる工程で得られた成分、及び有機合成によって得られた成分、及び微生物を介して合成された成分の中から選ばれた一種又は二種以上の組み合わせによって得られたものであっても良い。天然原料としては、特に海藻類が好ましく用いられる。添加成分として用いる場合には、保存性、品質安定性などを維持するために適当な化合物を混合して用いることもできる。
食品の摂取あるいは医薬品の服用として用いる用量としては、1回摂取につき体重1kgあたり0.01マイクログラム〜10グラムがよく、好ましくは0.1マイクログラム〜1グラムであるが、体重や摂取回数によって適宜調整して用いる。
[作用]
ラットにおける海洋素材カロテノイドの吸収動態を検討したところ、フコキサンチンはリンパ液中にフコキサンチノールに代謝されて検出され、フコキサンチノールはインタクトなまま検出された。門脈血中でカロテノイドは検出されなかった。無添加対照群に比べ両カロテノイドそれぞれの投与群で中性脂肪のリンパ液中への放出が強く抑制され、特にフコキサンチノールで顕著であった。中性脂肪のリンパ液中への放出は、消化管からの中性脂肪の吸収を示すものであることから、すなわちフコキサンチンとフコキサンチノールにはそれぞれ中性脂肪吸収抑制作用があることが明らかになった。
[作用]
ラットにおける海洋素材カロテノイドの吸収動態を検討したところ、フコキサンチンはリンパ液中にフコキサンチノールに代謝されて検出され、フコキサンチノールはインタクトなまま検出された。門脈血中でカロテノイドは検出されなかった。無添加対照群に比べ両カロテノイドそれぞれの投与群で中性脂肪のリンパ液中への放出が強く抑制され、特にフコキサンチノールで顕著であった。中性脂肪のリンパ液中への放出は、消化管からの中性脂肪の吸収を示すものであることから、すなわちフコキサンチンとフコキサンチノールにはそれぞれ中性脂肪吸収抑制作用があることが明らかになった。
本発明により、高極性カロテノイドを有効成分として用いることによって中性脂肪吸収を調節することが可能となり、特に吸収抑制を発揮することができる。高極性カロテノイドで、特にフコキサンチンとその代謝物であるフコキサンチノールには海藻特有の匂いや風味が全く存在しないため、食品、飲料、サプリメント等に添加した場合にも、嗅覚及び味覚において無添加のものとの違いに気付かずに摂取することが可能であり、匂いや風味の問題はない。また、フコキサンチンとその代謝物であるフコキサンチノールは古来より食してきた海藻に含まれる成分であり、健康且つ安全に利用することが可能であり、通常用量で摂取する範囲においては副作用の問題もない。従って、食品、飲料、サプリメント、ペット用食餌、サニタリー製品、化粧品及び医薬品に広く利用することができる。
高極性カロテノイドであるフコキサンチンは、例えば乾燥ワカメ粉末より抽出し、カラムクロマトグラフィを用いて単離・精製したものを用いることができる。
このように添加する高極性カロテノイドは海藻から抽出したものだけに限定されず、海産物などを含めた天然物から抽出し精製されたもの、有機合成によって得られたもの、微生物を介して合成されたものであっても構わない。或いはそれらの内から選ばれた二種以上の組み合わせによって得られたものであっても良い。
このように添加する高極性カロテノイドは海藻から抽出したものだけに限定されず、海産物などを含めた天然物から抽出し精製されたもの、有機合成によって得られたもの、微生物を介して合成されたものであっても構わない。或いはそれらの内から選ばれた二種以上の組み合わせによって得られたものであっても良い。
また、高極性カロテノイドを効率良く食品、飲料、サプリメント、ペット用食餌、サニタリー製品、化粧品及び医薬品に添加するために、エタノール等の有機溶媒に溶解したものを利用することや、界面活性剤(乳化剤)を用いて水溶性にすることも可能である。即ち、添加する高極性カロテノイドの形態、つまり化学的・物理的状態は何れの状態であっても構わない。
なお、高極性カロテノイド添加によって中性脂肪吸収抑制以外の効果として、抗肥満作用や血中脂質の減少効果を期待することができる。つまり、高極性カロテノイドを摂取することによって、中性脂肪吸収抑制のみならず、様々な健康増進を図ることができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は実施例記載内容にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
実施例として行われた試験は中性脂肪のリンパまたは頸静脈にカテーテルを留置したラットを用いた。
コントロール試料(10%大豆油、1 mL/rat)を投与した後、60分でリンパ流量がピークに達するのに対して、各カロテノイドをコントロール試料に2 mg /rat添加した群ではピークが90分に遅延し、流量も低値を示した。
[実施例1]
実施例として行われた試験は中性脂肪のリンパまたは頸静脈にカテーテルを留置したラットを用いた。
コントロール試料(10%大豆油、1 mL/rat)を投与した後、60分でリンパ流量がピークに達するのに対して、各カロテノイドをコントロール試料に2 mg /rat添加した群ではピークが90分に遅延し、流量も低値を示した。
リンパ液中と頸静脈血中の中性脂肪濃度はコントロール群よりも各カロテノイド投与群で低下し、試料投与4時間のリンパ液中中性脂肪総放出量はコントロール群で113.5、フコキサンチン群で59.4 、フコキサンチノール群で 53.1 マイクロモルであった。
各カロテノイドを投与した後のリンパ液からはフコキサンチンの代謝物であるフコキサンチノールとインタクトなフコキサンチノールとが検出された。しかし、門脈血には、フコキサンチンとその代謝物であるフコキサンチノールは検出されなかった。
インタクトなフコキサンチンはリンパ液、血液のどちらからも検出されなかったため、フコキサンチンは消化管内でフコキサンチノールへ分解されてから吸収されることが示唆された。
インタクトなフコキサンチンはリンパ液、血液のどちらからも検出されなかったため、フコキサンチンは消化管内でフコキサンチノールへ分解されてから吸収されることが示唆された。
[実施例2]
フコキサンチンとフコキサンチノールによる中性脂肪のリンパ吸収抑制作用を検討した。
フコキサンチンとフコキサンチノールを用いて、中性脂肪の吸収に対する影響を、リンパにカテーテルを留置したラットを用いて調べた。
Wistar ST 雄9週齢のラットを1週間馴化した後、ネンブタール麻酔下で開腹し、十二指腸と胸管リンパにカテーテルを留置した。ラットはボルマンケージに固定した。手術後24時間回復させた後、10%大豆油?1%タウロコール酸のエマルジョンを作成し、各カロテノイドを2mg / mL / Ratになるように調製し(各カロテノイドの投与量=1.3?1.5マイクロモル/ mL)、対照(コントロール)として、10%大豆油?1%タウロコール酸のエマルジョンのみを投与する群を設けた。試料1mLを毎分1mLで腸管カテーテルから投与した後、30、60、90、120、180、240分にリンパ液を採取し、リンパ流量と中性脂肪濃度を測定した。
その結果を、図1、図2に示す。
フコキサンチンとフコキサンチノールによる中性脂肪のリンパ吸収抑制作用を検討した。
フコキサンチンとフコキサンチノールを用いて、中性脂肪の吸収に対する影響を、リンパにカテーテルを留置したラットを用いて調べた。
Wistar ST 雄9週齢のラットを1週間馴化した後、ネンブタール麻酔下で開腹し、十二指腸と胸管リンパにカテーテルを留置した。ラットはボルマンケージに固定した。手術後24時間回復させた後、10%大豆油?1%タウロコール酸のエマルジョンを作成し、各カロテノイドを2mg / mL / Ratになるように調製し(各カロテノイドの投与量=1.3?1.5マイクロモル/ mL)、対照(コントロール)として、10%大豆油?1%タウロコール酸のエマルジョンのみを投与する群を設けた。試料1mLを毎分1mLで腸管カテーテルから投与した後、30、60、90、120、180、240分にリンパ液を採取し、リンパ流量と中性脂肪濃度を測定した。
その結果を、図1、図2に示す。
図1は試料投与後のリンパ液放出量の経時変化を示す。
図2は試料投与後の4時間中のリンパ液総放出量を示す。
また、図1中に対照(コントロール)群とフコキサンチンとの有意差を#として示し、対照(コントロール)群とフコキサンチノールとの有意差を*として示す。
図2は試料投与後の4時間中のリンパ液総放出量を示す。
また、図1中に対照(コントロール)群とフコキサンチンとの有意差を#として示し、対照(コントロール)群とフコキサンチノールとの有意差を*として示す。
大豆油エマルジョンと各カロテノイドを添加した試料をラットに投与し、その後のリンパ液を調べた結果、リンパ液への中性脂肪の放出量がコントロール群は60分でピークとなるのに対して、フコキサンチン投与群は90分、フコキサンチノール投与群は120分でピークとなり、各カロテノイドで、リンパ液への中性脂肪の放出速度が遅延していることが観察された。
図3は試料投与後のリンパ液中中性脂肪濃度の経時変化を示す。
図4は試料投与後のリンパ液中中性脂肪の4時間中の総放出量を示す。
また、図3中に対照(コントロール)群とフコキサンチン投与群との有意差を#として示し、対照(コントロール)群とフコキサンチノール投与群との有意差を*として示す。
図4は試料投与後のリンパ液中中性脂肪の4時間中の総放出量を示す。
また、図3中に対照(コントロール)群とフコキサンチン投与群との有意差を#として示し、対照(コントロール)群とフコキサンチノール投与群との有意差を*として示す。
リンパ液中の中性脂肪濃度はコントロールと比較して両カロテノイド投与群とも試料投与60分後で有意に低値を示し、その効果は240分まで続いた。また、試料を投与してから4時間中の総中性脂肪放出量も両カロテノイド投与群でコントロールと比較して、約50%に減少した。
これらの結果から、フコキサンチンとその代謝物であるフコキサンチノールなどの海産物由来カロテノイドは消化管からの中性脂肪の吸収を阻害し、大豆油を摂取した後の血液中の中性脂肪上昇を抑制する効果を有することが明らかとなった。
[実施例2]
フコキサンチンとフコキサンチノールによる血清中性脂肪上昇抑制作用を検討した。
フコキサンチンとフコキサンチノールを用いて、中性脂肪の吸収に対する影響を、頸静脈カテーテルを留置したラットを用いて調べた。
フコキサンチンとフコキサンチノールによる血清中性脂肪上昇抑制作用を検討した。
フコキサンチンとフコキサンチノールを用いて、中性脂肪の吸収に対する影響を、頸静脈カテーテルを留置したラットを用いて調べた。
Wistar ST 雄9週齢のラットを1週間馴化した後、ネンブタール麻酔下で開腹し、十二指腸と頸静脈にカテーテルを留置し、24時間回復させた。10%大豆油?1%タウロコール酸のエマルジョンを作成し、各カロテノイドを2mg / mL / Ratになるように調製し(各カロテノイドの投与量=1.3?1.5マイクロモル/ mL)、対照(コントロール)として、10%大豆油?1%タウロコール酸のエマルジョンのみを投与する群を設けた。試料1mLを毎分1mLで腸管カテーテルから投与した後、15、30、60、90、120、180、240分に頸静脈血を無麻酔、無拘束下で採取し、得られた血清中の中性脂肪濃度を測定した。
大豆油エマルジョンと各カロテノイドを添加した試料をラットに投与し、その後の頸静脈血中の中性脂肪を経時的に調べた結果、コントロールと比較して両カロテノイド投与群とも試料投与30分後で有意に低値を示し、60分後ではコントロールに対して30%減少した(図5、図6)。また、その効果は180分後まで続いた。試料を投与してから4時間中の頸静脈血中に放出された中性脂肪量を経時変化のグラフの曲線化面積から算出した結果、コントロール群と比較して両カロテノイド投与群で有意に減少した。
図5は試料投与後の頸静脈血中中性脂肪濃度の経時変化示す。
図6は試料投与後の頸静脈血中中性脂肪の4時間中の総濃度を示す。
また、図5中に対照(コントロール)群とフコキサンチン投与群との有意差を#として示し、対照(コントロール)群とフコキサンチノール投与群との有意差を*として示す。
図6は試料投与後の頸静脈血中中性脂肪の4時間中の総濃度を示す。
また、図5中に対照(コントロール)群とフコキサンチン投与群との有意差を#として示し、対照(コントロール)群とフコキサンチノール投与群との有意差を*として示す。
これらの結果から、フコキサンチン、フコキサンチノールなどの海産物由来カロテノイドは消化管からの中性脂肪の吸収を阻害し、大豆油を摂取した後の血液中の中性脂肪上昇を抑制する効果を有することが明らかとなった。
本発明は、高極性カロテノイドを有効成分とした中性脂肪吸収調節作用を有する組成物
、特に中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物に関するものである。従って、医療の分野では勿論のこと、多くの食材に高極性カロテノイドを添加あるいは混合することによって、農産物、水産物、畜産物の高機能化を期待することができる。特にカロテノイドは脂溶性の色素であるため、飲料、食用油、ドレッシングなどの食品に添加することによって、脂質成分の吸収抑制、遅延効果などの保健栄養的に意義を付加した食品の製造に応用することができる。
、特に中性脂肪吸収抑制作用を有する組成物に関するものである。従って、医療の分野では勿論のこと、多くの食材に高極性カロテノイドを添加あるいは混合することによって、農産物、水産物、畜産物の高機能化を期待することができる。特にカロテノイドは脂溶性の色素であるため、飲料、食用油、ドレッシングなどの食品に添加することによって、脂質成分の吸収抑制、遅延効果などの保健栄養的に意義を付加した食品の製造に応用することができる。
Claims (10)
- 高極性カロテノイドを有効成分として含有することを特徴とし、中性脂肪吸収調節作用を有する組成物。
- 前記高極性カロテノイドは、フコキサンチン及びフコキサンチン誘導体である請求項1に記載の組成物。
- 前記フコキサンチン誘導体がフコキサンチノールである請求項2に記載の組成物。
- 高極性カロテノイドを食品及び飲料及びサプリメント及びペット用食餌及び化粧品及びサニタリー製品及び薬剤のうちのいずれかに添加あるいは混合してなることを特徴とし、中性脂肪吸収調節作用を有する組成物。
- 高極性カロテノイドが、粉末状態、ゲル状態、ゾル状態又は固体状態又はこれらを組み合わせたものである請求項1〜請求項4のいずれか一に記載の組成物。
- 高極性カロテノイドが、有機溶媒可溶化又は乳剤化したものである請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の組成物。
- 高極性カロテノイドが、天然物から抽出し精製された成分及び有機合成によって得られた成分及び微生物を介して合成された成分の中から選ばれた少なくとも一種以上の組み合わせによって得られたものである請求項1〜請求項6の何れか一に記載の組成物。
- 抽出原料の天然物が海藻類であることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
- 海藻類を、経口的に摂取せしめるように加工し、かつ高極性カロテノイド含量が原含有量の5倍以上になるように濃縮・調製した中性脂肪吸収調節作用を有する組成物。
- 中性脂肪吸収調節作用が中性脂肪吸収抑制作用であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一に記載の組成物。
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JP2012515174A (ja) * | 2009-01-19 | 2012-07-05 | 北京緑色金可生物技術股▲ふん▼有限公司 | フコキサンチン抽出物を含有する組成物 |
WO2012133005A1 (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-04 | 富士フイルム株式会社 | 脂肪低減剤 |
JP2013060402A (ja) * | 2011-09-14 | 2013-04-04 | Furabamin:Kk | フコキサンチンおよびフコイダン含有組成物 |
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2007
- 2007-03-22 JP JP2007075427A patent/JP2008231057A/ja active Pending
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