JP2008229637A - プレス成形金型、プレス成形方法ならびにプレス成形品 - Google Patents

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嘉明 中澤
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隆一 西村
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匡浩 中田
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恵司 小川
Yozo Hirose
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Abstract

【課題】一般的に慣用される設備を用いて、例えばドアーアウターパネルといった張出部13aを部分的に有する自動車用アウターパネルにおいて問題となる面ひずみを、このアウターパネルの形状に影響されずに、安定的に抑制する。
【解決手段】ブランク16を、部分的に張出部13aを有するパネル12に成形するためのプレス成形金型14であって、張出部13aを形成するための突起部分19とこの突起部分19以外の他の部分とを備え、突起部分19の表面に、ブランク16と突起部分19との摩擦係数を、ブランク16と他の部分との摩擦係数よりも小さくするための薄膜を有するプレス成形金型14を用い、プレス成形の際には、ブランク16と突起部分19との摩擦係数をブランク16と突起部分以外の他の部分との摩擦係数よりも小さくする。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば自動車のドアーアウターパネルといった、プレス成形を行って部分的に張出部を有するパネルを製造した際に、この張出部の周囲に生じる面ひずみを抑制することができるプレス成形金型及びプレス成形方法と、プレス成形品とに関する。
従来から、自動車のフード、フェンダー、ドアー、ルーフさらにはトランクリッドといったアウターパネルの素材として、薄肉の340MPa級の鋼板が用いられる。周知のように、これらアウターパネルは、平板のブランクにプレス成形することにより所望の形状を有するパネルとして成形される。
これらのアウターパネルには、エクステリアデザイン上の要請から、例えば、把手座やランプ座、ライセンス座(ナンバープレート座)さらには給油口座等といった、部品の装着部位が、部分的に所定の深さを有する張出部(凹み部やエンボス部等)として、設けられることが多い。
図1(a)は所定の深さを有する張出部である把手座2を設けられるドアーアウターパネル1の一例を示す説明図である。また、図1(b)は所定深さを有する張出部であるラインセンス座4を設けられるバックドアーアウターパネル3の一例を示す説明図である。
これらの張出部2、4は、素材鋼板であるブランクを所望の全体形状にプレス成形するとともに部分的にさらにプレス成形してある程度の深さを有する張出部を設けることにより、形成される。このため、ブランクに部分的にプレス成形して張出部を形成すると、形成した張出部の周辺に面ひずみが発生する。面ひずみとは、平坦な部分に残存する微小なしわや面精度の不良であって、凹凸の落差が数10〜数100μmのゆがみである。
図2は、ドアーアウターパネルに対するプレス成形の要領を示す説明図である。また、図3は、プレス成形中におけるドアーアウターパネルの把手座の変形状態を概念的に示す説明図である。
図2において、ホルダー5によりブランク6を保持するとともにクッションピン7を介してしわ押さえ面に荷重を付与することによりブランク6を拘束した状態で、ダイ8を矢印方向へ動作(下降)させることによって、ダイ8とパンチ9とによりブランク6を、略弓形の全体形状と、把手座となる張出部10とを有するドアーアウターパネルがプレス成形により得られる。
図3に示すように、このプレス成形の際に、張出部10へ向けて材料が流入するとともに、コーナー部11へその周方向から材料が不均一に移動(流入)するため、コーナー部11には周方向へ圧縮の応力が生じる。このため、コーナー部11には面ひずみが発生する。
面ひずみの発生は、自動車車体を構成するパネルの平坦度等の形状精度を悪化させる。特に、フード、フェンダー、ドアー、ルーフさらにはトランクリッド等のアウターパネルに面ひずみが発生すると、自動車車体の外観品質が著しく損なわれる。
そこで、これまでにも、面ひずみの発生自体を抑制するためのプレス金型の形状変更や、プレス成形後塗装前における面ひずみの矯正作業が行われており、面ひずみ対策として多大な修正工数及びコストを要している。なお、面ひずみが極度に悪化したパネルは廃却処分せざるを得ない場合もある。
特許文献1には、長手方向へ複数のビードを有するル−フパネルにおけるビードの形状を部分的に変更すること、すなわち、最外側のビードの最外縁部の高さが他のビードよりも低くなるようにルーフパネルを成形することにより、特別な付加張力の調整を行うことなく肉余りを低減させ、これにより、ルーフパネルの面品質や張り剛性を確保するプレス成形方法及びプレス成形品に係る発明が開示される。
また、特許文献2には、例えばドアーアウターパネルにおける把手座の周辺における面ひずみを抑制するために、周縁にアール部を有する下型及び上型により、略矩形状板材のうち対向する二辺の端部をブランクホルダーにより押さえるとともに他の二辺の端部を押さえず、他の二辺の端部を下型のアール部よりも内方にかつトリムラインよりも外方に配置するプレス成形方法に係る発明が開示される。
さらに、特許文献3には、自動車用アルミニウム合金パネルのうちの張出部といった、プレス成形の際に面ひずみを発生し易い凹凸部分を選択し、この凹凸部分の部分的な仕上げ成形又は予備成形を電磁成形で行うことにより、凹凸部分の成形に伴う面ひずみの発生を抑制するパネル成形方法に係る発明が開示される。
特開平11−319974号公報 特開平11−57877号公報 特開2004−209486号公報
特許文献1により開示された発明は、長手方向へ複数のビードを有するル−フパネルを対象とするので、通常このようなビードを有さないドアーアウターパネルの面ひずみを抑制することはできない。
また、特許文献2により開示された発明は、略矩形状板材の対向する二辺の端部をブランクホルダーにより押さえ、他の二辺の端部を押さえず、他の二辺の端部を下型のアール部よりも内方にかつトリムラインよりも外方に配置するので、エクステリアデザインに基づいて設定されるドアーアウターパネルの曲率の違いによって付与される面内への張力条件が変化する。このため、この発明により抑制可能な面ひずみもドアーアウターパネルの曲率によって変化すると考えられる。したがって、この発明では、自動車パネルの曲率によっては面ひずみの抑制効果がばらつき、面ひずみの発生を確実に抑制することができない。
さらに、特許文献3により開示された発明は、電磁成形を行うための特別な装置を設ける必要があり、その装置を導入するための設備コストが嵩んでしまう。
このように、特許文献1〜3により開示された従来の技術では、把手座を有するドアーアウターパネルといった、部分的に張出部を有する自動車車体用パネルにおいて問題となる面ひずみを、一般的に慣用される設備により、アウターパネルの形状に影響されることなく安定的に抑制して良好な面品質を有するアウターパネルを製造することは、困難であった。
本発明は、ブランクを、部分的に張出部を有するパネルに成形するためのプレス成形金型であって、張出部を形成するための突起部分とこの突起部分以外の他の部分とを備え、突起部分の表面に、ブランクと突起部分との摩擦係数をブランクと他の部分との摩擦係数よりも小さくするための薄膜を有することを特徴とするプレス成形金型である。
この本発明に係るプレス成形金型では、薄膜が油膜又は固体膜であることが望ましく、固体膜がダイヤモンドライクカーボンであることが望ましい。
別の観点からは、本発明は、突起部分を備えるプレス成形金型により、ブランクを、部分的に張出部を有するパネルに成形するプレス成形方法であって、このプレス成形の際には、ブランクと突起部分との摩擦係数をブランクと突起部分以外の他の部分との摩擦係数よりも小さくすることを特徴とするプレス成形方法である。
さらに別の観点からは、本発明は、部分的に張出部を有するプレス成形品であって、該プレス成形品は請求項4に記載されたプレス成形方法により得られる面性状を備えることを特徴とするプレス成形品である。
本発明に係るプレス成形金型、プレス成形方法ならびにプレス成形品によれば、一般的に慣用される設備を用いて最適な金型条件及び成形条件を設定すること、具体的には、面ひずみ発生の原因である把手座等の張出部を形成するための突起部分とブランクとの摺動抵抗を、この突起部分を除いた他の部分とブランクとの摺動抵抗よりも低下させることにより、張出部への材料の引き込みによる張力を低下して面ひずみの原因となる肉余りを軽減でき、これにより、例えばドアーアウターパネルといった張出部を部分的に有する自動車用アウターパネルにおいて問題となる面ひずみを、このアウターパネルの形状に影響されることなく、安定的に抑制して所定の面品質を有する自動車用アウターパネルを製造することができる。
以下、本発明に係るプレス成形金型、プレス成形方法ならびにプレス成形品を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、本発明の基本原理を簡単に説明する。面ひずみの発生原因は、
(i)把手座等の張出部におけるコーナー部での材料の微小流入に伴う、円周方向圧縮応力による肉寄り、
(ii)曲げモーメントによる把手座の周囲の盛り上がり、及び
(iii)弾性回復による面ひずみの増大
にあると考えられる。
このため、把手座への材料の流入、すなわち、把手座のプレス成形によって発生する把手座側へ材料を引き込むための張力を、できるだけ低下させることにより、面ひずみの発生を抑制できる。
この張力を低下させるには、この把手座となる部分のブランクと接する金型の突起部分の摺動特性を改善すること、すなわち金型の突起部分の摩擦係数を、突起部分以外の他の部分の摩擦係数よりも低下させればよい。
金型の摩擦係数の低下は、金型の材質、金型の表面処理さらには油の塗布による手法がある。油の塗布が最も簡便であるが、油の塗布が後工程(例えば塗装工程)に悪影響するおそれがある場合には、突起部分を入れ子にして挿入させる、いわゆるインサートブロック形式のプレス成形金型を用い、金型の突起部分に対して材質ならびに金型表面処理を行えばよい。
本発明者らは、ブランク材にプレス成形を行って、自動車のドアーアウターパネルを模擬するとともに把手座である張出部13aを一般形状部13bの中央に有する蒲鉾型モデルパネル12を製造する試験を行った。
図4(a)は、蒲鉾型モデルパネル12を示す平面図であり、図4(b)及び図4(c)は、いずれも、用いたプレス成形金型14の形状を模式的に示す説明図であって、図4(b)は図4(a)のA−A’断面図、図4(c)は図4(a)のB−B’断面図である。
なお、図4(a)、図4(b)に示すように、車体の前後方向に相当する張出部13aに平行なA−A’断面におけるパンチ15の形状は直線形状であり、張出部13aに垂直なB−B’断面におけるパンチ15の形状は曲率半径2000mmの曲線形状である。
このプレス成形金型14を250トンの複動型油圧式プレス機(図示しない)に取付け、ブランク16を、ダイ17とホルダー18とで保持して40トンのしわ押さえ圧を作用させた後、速度1mm/secでパンチ15を矢示方向へ作動させ、全体の成形深さが35mmであって、深さが5mmである張出部13a及び一般形状部13bを有する蒲鉾型モデルパネル12を成形した。
ブランク16には、その表面全面に防錆油が塗布された、板厚が0.70mmであって600mm角の正方形状の340MPa級焼付硬化型鋼板(BH鋼板)を用いた。
張出部13aの摺動性を変化させるために、機械仕上げ後のダイ17における張出部13aを形成するための突起部分19に工作油NO.660−1(日本工作油株式会社製)を塗布した条件と、機械仕上げのままで工作油No.660−1を塗布していない条件とにより、蒲鉾型モデルパネル12をそれぞれ成形し、成形した蒲鉾型モデルパネル12の表面を油砥石で研磨してから、面ひずみの発生状況を比較調査した。
その結果、工作油No.660−1を塗布した条件で成形した蒲鉾型モデルパネル12は、工作油No.660−1を塗布しないで成形した蒲鉾型モデルパネル12に比較して、砥石研磨による研磨痕が不明瞭であり、その範囲が小さくなることがわかった。すなわち、ダイ17における、張出部13aを形成するための突起部分19に工作油NO.660−1を塗布することにより面ひずみは軽減される。
図5は、張出部13aの周辺の変形状態を示す説明図であり、図5(a)は突起部分19に工作油NO.660−1を塗布しないために突起部分19とブランク16との摺動抵抗が大きい場合を示し、図5(b)は突起部分19に工作油NO.660−1を塗布したためにこの摺動抵抗が小さい場合を示す。
図5(a)に示すように、突起部分19に工作油NO.660−1を塗布しないと突起部分19とブランク16との摺動抵抗が大きく、張出部13aのプレス成形の際に一般形状部13bの材料が張出部13aに引き込まれ、これにより、面ひずみが発生する。これに対し、図5(b)に示すように、突起部分19に工作油NO.660−1を塗布すると突起部分19とブランク16との摺動抵抗が小さくなり、張出部13aのプレス成形の際に一般形状部13bの材料を張出部13aの側に引き込む張力が小さくなるため、張出部13aのコーナー部で生じる肉余りが小さくなり、面ひずみが小さくなるものと考えられる。
図6は、ダイ17の突起部分19又はダイ17の突起部分19を除いたその他の部分に相当する工具と、ブランク16に相当する材料との間の摩擦係数を調査するための平板摺動試験の要領を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、荷重Nで工具(SKD11)20を材料21、21で挟んだ後、工具20を速度1000mm/minで引抜距離50mmまで引き抜き、この引抜きの際の荷重Fを連続的に測定し、荷重Nと荷重Fとから摩擦係数μを(F/2N)として求めた。
一方、材料21として、防錆油を脱脂した340MPa級焼付硬化型鋼板(鋼板A)と、この鋼板Aの表面に工作油No.660−1を塗布した鋼板(鋼板B)とを用いた。
さらに、工具20としては、機械仕上げのままで表面未処理の工具Aと、機械仕上げした表面に固体皮膜であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)の薄膜を形成した工具Bとを用いた。
最初に、鋼板Aと工具Aとを用いた試験(ケース1)を行い、次いで鋼板Aと工具Bとを用いた試験(ケース2)を行い、最後に鋼板Bと工具Bを用いた試験(ケース3)を行い、それぞれのケース1〜3における鋼板−工具の摩擦係数を調べた。その結果、ケース1、2、3における摩擦係数は、それぞれ、0.25、0.13、0.08であった。
このように、ブランク16と突起部分19との摩擦係数を、ブランク16と他の部分との摩擦係数よりも小さくすることは何ら問題なく、このように摩擦係数を制御した状態でブランク16にプレス成形を行うことにより張出部13aに生じる面ひずみを抑制することができる。
すなわち、本発明は、ブランクを、部分的に張出部を有するパネルに成形するためのプレス成形金型であって、このプレス成形金型が、張出部を形成するための突起部分とこの突起部分以外の他の部分とを備え、突起部分の表面に、ブランクと突起部分との摩擦係数をブランクと他の部分との摩擦係数よりも小さくするための薄膜を有するプレス成形金型である。
別の観点からは、本発明は、突起部分を備えるプレス成形金型により、ブランクを、部分的に張出部を有するパネルに成形するプレス成形方法であって、このプレス成形の際には、ブランクと突起部分との摩擦係数をブランクと突起部分以外の他の部分との摩擦係数よりも小さくするプレス成形方法である。
これらの本発明では、薄膜が油膜または固体膜であることが望ましい。例えば、油膜としては工作油No.660−1によるものを例示することができ、また固体膜としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、酸化チタン、チタンカーバイトさらには窒化チタンアルミニウムによるものを例示することができる。
図7は、薄膜として油膜を形成する場合の形成方法を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、ダイ17の内部に油吐出途22を設け、この油吐出途22から工作油を、突起部分19の外面やブランク16における張出部13aの形成予定部分に供給することにより、張出部13aの形成予定部分に油膜を形成することができる。このように、薄膜は突起部分19の外面だけではなく、ブランク16における張出部13aの形成予定部分に油膜として形成するようにしてもよい。
また、上述した各種の固体膜を形成するには、張出部13aに対応する突起部分19を入れ子とした金型(インサートブロック)を用い、この突起部分19となる入れ子の外面に真空蒸着、スパッタリングさらにはイオンプレーティング等の適当な表面処理を施すこととすればよい。
このように、本実施の形態によれば、一般的に慣用される設備を用いて、面ひずみ発生の原因である把手座等の張出部13を形成するための突起部分19とブランク16との摺動抵抗を、この突起部分19を除いた他の部分とブランク19との摺動抵抗よりも低下させることにより、張出部13aへの材料の引き込みによる張力を低下して面ひずみの原因となる肉余りを軽減し、これにより、例えばドアーアウターパネルといった張出部13aを部分的に有する自動車用アウターパネルにおいて問題となる面ひずみを、このアウターパネルの形状に影響されずに、安定的に抑制して所定の面品質を有する自動車用アウターパネルを製造することができる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながら具体的に説明する。
本発明者らは、図4に示すように、板厚が0.70mmで600mm角の正方形状である、340MPa級焼付硬化型鋼板(BH鋼板)からなるブランク16を素材とし、全体の成形深さが35mm、把手座の深さが5mmである蒲鉾型モデルパネルにプレス成形する試験を行った。
プレス成形金型としては、パンチ15全体の中でブランク16の把手座となる張出部13aの摺動特性を意図的に低下させるため、把手座13aを成形する突起部分19の外面のみにプラズマを利用した気相合成法でDLCの薄膜を形成した本発明に係るプレス成形金型と、このDLCの薄膜を形成しない機械仕上げのままの比較例のプレス成形金型とを用いた。
しわ押さえ圧25トン、及び100トンの条件で蒲鉾型モデルパネルに成形し、この蒲鉾型モデルパネルに発生した面ひずみを定量評価した。面ひずみの定量評価は、張出部13aの下15mmの位置を、張出部13aに平行な方向へゲージ長50mmの3点ゲージで測定し、本発明に係るプレス成形金型を用いてプレス成形した蒲鉾型モデルパネルの曲率変化と、比較例のプレス成形金型を用いてプレス成形した蒲鉾型モデルパネルの曲率変化とを比較した。
図8は、しわ押さえ圧が25トンの場合について、曲率(1/ρ)の変化量(δ)(曲率の極大値−曲率の極小値)の平均値を比較して示すグラフである。なお、表面の曲率を測定することにより表面の凹凸状態が把握され、面ひずみは曲率の変化量で評価でき、曲率の変化量が小さいほど面ひずみが良好であることが知られている。
図8に示すように、しわ押さえ圧25トンにおいて突起部分19にDLC処理を行って薄膜を形成したプレス成形金型を用いてプレス成形された蒲鉾型モデルパネルは、DLC処理を行わなかった比較例のプレス成形金型を用いてプレス成形された蒲鉾型モデルパネルに比較して、曲率変化が小さく、面ひずみが小さく良好な面品質を得られたことがわかる。
さらに、しわ押さえ圧が100トンの場合にも、本発明例のプレス成形金型を用いてプレス成形されたモデルパネルは、比較例のプレス成形金型を用いてプレス成形されたモデルパネルに比較して、曲率変化が小さく、面ひずみが小さく良好な面品質が得られた。
図1(a)は所定の深さを有する張出部である把手座を設けられるドアーアウターパネルの一例を示す説明図であり、図1(b)は所定深さを有する張出部であるラインセンス座を設けられるバックドアーアウターパネルの一例を示す説明図である。 ドアーアウターパネルに対するプレス成形の要領を示す説明図である。 プレス成形中におけるドアーアウターパネルの把手座の変形状態を概念的に示す説明図である。 図4(a)は、蒲鉾型モデルパネルを示す平面図であり、図4(b)及び図4(c)は、いずれも、用いたプレス成形金型の形状を模式的に示す説明図であって、図4(b)は図4(a)のA−A’断面図、図4(c)は図4(a)のB−B’断面図である。 張出部の周辺の変形状態を示す説明図であり、図5(a)は突起部分に工作油を塗布しないために突起部分とブランクとの摺動抵抗が大きい場合を示し、図5(b)は突起部分に工作油を塗布したためにこの摺動抵抗が小さい場合を示す。 ダイの突起部分又はダイの突起部分を除いたその他の部分に相当する工具と、ブランクに相当する材料との間の摩擦係数を調査するための平板摺動試験の要領を模式的に示す説明図である。 薄膜として油膜を形成する場合の形成方法を模式的に示す説明図である。 曲率の変化量(曲率の極大値−曲率の極小値)の平均値を比較して示すグラフである。
符号の説明
1 ドアーアウターパネル
2 把手座(張出部)
3 バックドアーアウターパネル
4 ラインセンス座(張出部)
5 ホルダー
6 ブランク
7 クッションピン
8 ダイ
9 パンチ
10 張出部
11 コーナー部
12 蒲鉾型モデルパネル
13a 把手座(張出部)
13b 一般形状部
14 プレス成形金型
15 パンチ
16 ブランク
17 ダイ
18 ホルダー
19 突起部分
20 工具
21 材料
22 油吐出途

Claims (5)

  1. ブランクを、部分的に張出部を有するパネルに成形するためのプレス成形金型であって、前記張出部を形成するための突起部分と該突起部分以外の他の部分とを備え、前記突起部分の表面に形成された、前記ブランクと前記突起部分との摩擦係数を該ブランクと前記他の部分との摩擦係数よりも小さくするための薄膜を有することを特徴とするプレス成形金型。
  2. 前記薄膜は油膜又は固体膜である請求項1に記載されたプレス成形金型。
  3. 前記固体膜はダイヤモンドライクカーボンである請求項2に記載されたプレス成形金型。
  4. 突起部分を備えるプレス成形金型により、ブランクを、部分的に張出部を有するパネルに成形するプレス成形方法であって、該プレス成形の際には、前記ブランクと前記突起部分との摩擦係数を前記ブランクと前記突起部分以外の他の部分との摩擦係数よりも小さくすることを特徴とするプレス成形方法。
  5. 部分的に張出部を有するプレス成形品であって、該プレス成形品は請求項4に記載されたプレス成形方法により得られる面性状を備えることを特徴とするプレス成形品。
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